鈴木ファンドさんのマイ★ベストレストラン 2011

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鈴木ファンドの東京フレンチガイド

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マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

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今年は、7月にミシュラン社から発売された、ボンヌ・プッティット・ターブル東京の影響により、これまで存在すら知らなかったレストランに行くことが多くなり、新規開拓が進んだ年でした。
ちなみに、私のベストレストラン2011は、クリスマスに訪れた、ル・ジュール・ドゥ・ラシェットであり、このお店だけ別格級で、美味しいを超えて感動の域にまで達していました。
来年は、ボンヌ・プティット・ターブル制覇を目指すべく、食べ歩きとダイエットに精進したいと思います。(あと200店ぐらいありますが。。。)

マイ★ベストレストラン

1位

ル・ジュー・ドゥ・ラシエット (代官山、恵比寿、中目黒 / フレンチ)

1回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.4
    • | サービス 4.3
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.8 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥20,000~¥29,999 -

2012/12訪問 2012/04/14

創造性溢れる料理がカジュアルに楽しめるレストラン「ル・ジュー・ドゥ・ラシエット」

■ ル・ジュー・ドゥ・ラシエットについて(代官山・フレンチ)/22.12/23.12
 代官山にあるフレンチレストラン『 ル・ジュー・ドゥ・ラシエット 』
ル・ジュー・ドゥ・ラシエットとは、“お皿の上で遊ぶ”との意味をなし、シェフの創造力豊かな食材の組み合わせや驚きの調理法などにより遊び心ある料理が楽しめるレストランです。
このレストランのクリスマスメニューは、このレストランで評判が高い料理が勢ぞろいする集大成的な要素が高く、昨年に引き続き、今年も訪問してきました。
お店の場所は、恵比寿駅から代官山駅方面に歩くこと約7~8分。
前回訪問した際、店に辿り着くまでに迷った経緯があり、今回は10分前には到着するようにGPSを使用しながら向かったのですが、結局はギリギリの到着。
代官山は、細く高低差のある道が多く、方向感覚を失ってしまうため、私には苦手な街です。
レストランは、いつものことですが、訪問も満席。
ランチ・ディナーともに非常に人気の高いお店なので、2ヶ月前からの予約が必須です。

1.雰囲気について
 レストランは坂道沿いに位置し、窓からは雑貨屋、イタリア料理店等、若者向きのお洒落な店が軒を連ね、いかにも代官山といった景色が眺望できます。
店内は、白を基調とした清潔感のある内装で、カジュアルなのが特徴的。
有名店だけに、初訪問の際は厳格にドレスコードを遵守しなければならないレストランなんだろうと思いきや、星付きフレンチの中でも最もカジュアルな部類なので、きれい目の服であればOK。
女性のランチ会や20~30代のデート利用にぴったりのお店です。

2.料理について
 クリスマス期間中は、2万円の限定コース料理のみ。
料理の全体的な印象としては、見た目の美しさや意外な食材の組み合わせなどで楽しませてくれる料理が多く、シェフの創造力とセンスに驚かされますが、料理の味はその創造性を更に越えるものがあり、驚きを受けることは間違いなし。
23年バージョンの料理に関しては、和のテイストが強く感じられ、油脂分を控えた料理が多く、10皿以上の構成でしたが、最後まで飽きることなく美味しくいただくことができました。
個々の料理の感想は下記のとおりです。

(1)おつまみ
 前回訪問時(下記参照)と変わりませんが、幾分真鯛が大きくなったような気が。。。
きっと米粉で包み込む技術が向上したのでしょう

(2)ウフ ヴェネディクト トリュフ
 こちらも前回供されたのものですが、メニューがエッグ→ウフと仏語になったことと、トリュフの香り→トリュフとネーミングが変更されていました。
料理もその名のとおり生まれ変わり、前回はオランディーソースに刻まれたトリュフが入っていただけでしたが今回は、トリュフのスライスが2枚追加され、ゴージャス感と香りが格段にアップしていた。

(3)紅芯大根のジュレ 青森県産帆立のマリネ キャビア
 1つめの前菜は、下から紅心大根のすりおろし、紅芯大根のジュレ、帆立のレモンマリネ、キャビア、紅心大根、九条ネギにミョウガを配したという、豪華な海の幸と紅心大根満載の冷たい前菜。
キャビア、帆立が美味しかったのはもちろんですが、紅心大根のジュレが格段の旨さ。
ジュレは、おそらくコンソメベースのものに、大根のエキスを加え、ほんのりした大根の甘味と苦味と風味が楽しめる極めて繊細なもの。
また、大根のすりおろしは、ジュレよりもより強い味わいで、食感も含めて料理の良いアクセントとなる存在です。
キャビア、帆立という主役級の食材以上に紅心大根の旨さが際立った料理。

(4)フォアグラのテリーヌ エビスのチュイル ショコラの土
 お肉の前菜は、杏のピュレがのったフォアグラをチュイルで挟んだもの。
イチジクの実が添えられており、土に見立てているのはカカオを砕いたもので、フォアグラにつけて食べてくださいとのこと。
この食材の組み合わせであれば、フォアグラによく合うことは容易に想像できますが、カカオを土に見立てる創造力が何ともオシャレで素晴らしい。
この店らしい何とも遊び心に満ちた料理で、見た目と味で楽しめ、会話も弾む一品です。
 
(5)38℃で火を入れたタスマニアオーシャントラウトのコンフィ レモンとアーモンドの香り
 前回とほぼ同様のため下記を参照。
食べた後の余韻の長さは相変わらずで、ワインと供に30分かけていただきました。

(6)鱈の白子と蕪のフラン 柚子
 メインの前は、聖護院蕪を様々な技法で調理した優しいお味の料理。
泡状のものは蕪のスープで、その下にソテーした蕪、鱈の白子、チコリ、菜の花が隠れており、更にその下には蕪のフランが配され、お皿の底には泡のスープとは異なる温かいスープが注がれている料理。
紅心大根の前菜も和テイストでしたが、こちらは更に和テイスト。
特にお皿の底に注がれたスープが和風出汁のような味わいで、胃の中で優しく染みわたる感覚が心と身体に安らぎを与えてくれる。
ソテーした蕪やその他の野菜も薄味で食材そのものの旨みが堪能でき、繊細・複雑な味わいの料理が多いメニューの中の箸休め的な存在。

(7)活オマールと牛蒡のクリスティアン
 魚料理は、オマール海老を揚げた牛蒡でぐるぐる巻きにしたもの。
ソースも深みのある牛蒡のソースで、オマール海老と牛蒡のコラボを味わう料理。
オマール海老は身がプリッと引き締まり、凝縮感のある甲殻類の旨みが味わえます。
また、丁寧にオマール海老に巻かれた牛蒡がいい働きをしており、供されたばかりのカリット揚がった食感、牛蒡のスープがひたひたに染み渡った味わいともに良く、時間差で異なる味わいが楽しめる料理。

(8)ゆっくり火を入れた蝦夷鹿フィレのロース ソース グランヴヌール ねずの実の香り
 肉料理も、前回とほぼ同様でしたが、グランヴヌールソースにねずの実の香りがプラスされたとのこと。
正直ねずの実の香りがどんな香りか良く知らないのですが、ソースの複雑味は確実に増しており、力強い鹿肉にも太刀打ちできる存在感のあるソースに飛躍しておりました。

(9)みかんとココナッツのイルフロッタント
 アヴァンデセールは、みかんのソースの上にココナッツのアイスとムースをのせたもの。
みかんの風味が爽やかで、味わいも食感も軽い仕上がりのデザート。
野性味溢れる鹿肉とこの後に控えるボリューミーなデザートの前に相応しい料理。

(10)チョコレート球体 ヴァローナ社チョコレートマンジャリ フランボワーズ バニラ
 前回とほぼ同様のため下記参照

(11)ミニャルディーズ
 前回とほぼ同様のため下記参照

(12)食後の飲み物:カプチーノ(ヴィヴァルド)
 食後の飲み物は、3種類のエスプレッソ、2種類のカプチーノとコーヒー、3種類の紅茶、6種類のハーブティーから選べ、どれも魅力的で選ぶのに迷ってしまいます。
その中から選んだのが、コーヒーとミルクが別々の容器で運ばれてくるヴィヴァルドというもの。
コーヒーとミルクは自分で配合する仕組みで、カプチーノとしてもカフェオレとしても味わえるという楽しいものでした。

(13)パン&バター 
 パンは、「ファミーユ」のパンが使用されているとのこと。
ハードタイプの丸いプチパンが供され、塩気もほどよく、ソースにつけて食べるのにいい感じ。
バターは、無塩のものと岩塩をのせた有塩ものの2種類。
料理が塩分控えめなので、アクセントとして主に有塩バターを使用しました。

3.ワインについて
 紅心大根のジュレまではシャンパーニュ、フォアグラから魚料理にかけてグラスの白×2、肉料理に合わせグラスの赤をいただきました。
シャンパンが1種類、グラスの白が3種類、グラスの赤が2種類という品揃えでした。
個々の感想は下記のとおり。

(1)シャンパーニュ(¥1,785)
 シャンパンの銘柄は、入店したばかりの緊張感のせいでいつも失念してしまうのですが、黒葡萄100%使用したシャンパーニュとのことでこれは前年と同様。
写真ではわかりにくいのですが、きめ細かい泡が店の照明にキラキラ反射し何ともエレガント。
味わいは、果実味が強く、ほのかにアーモンドのニュアンスが感じられる芳醇なタイプのシャンパーニュで、アフターには微かなハチミツのニュアンスが感じられるテイスト。
前述しましたがトリュフとシャンパンを飲んだ時点で満足です。

(2)グラス(白):リースリング(¥1,680)
 フォアグラに合わせてオーダーしたのはもちろんリースリング。
辛口タイプのリースリングで、アタックには甘い香りと林檎と蜂蜜のニュアンスがするのですが、アフターにかけて切れの良い酸味が追いかけてきて余韻も長いもの。
フォアグラとも見事にマリアージュし美味しすぎて言葉も出ません。

(3)グラス(白):ピュリニーモンラッシェ(¥1,890)
 グラスの白は、私の大好きなモンラッシェ(生産者は失念)。
白い花の香り、綺麗な酸、豊富なミネラルと典型的なモンラッシェで、樽香は比較的強いタイプ。
燻製のトラウトサーモンとの愛称が良く、サーモンの余韻とモンラッシェの余韻に長く浸っていました。

(4)グラス(赤):コート・デュ・ローヌ/ユリッセリオ(¥1,890)
 赤はカベルネとグルナッシュの2択で、肉料理が蝦夷鹿でしたので、迷わず後者を選択。
100%グルナッシュを使用したワインとのことで、爆発的な果実味とスパイシーさが特徴的ですが、カベルネソーヴィニヨンのような優雅さとしなやかさを合わせ持つエレガントなワイン。
余りの美味しさにネットショッピングで購入してしまいました。
   
4.接客について
 若いスタッフが多く、爽やかかつフレンドリーな印象で、気さくに話しかけやすい感じが良い。
物腰が非常に丁寧で、誰に聞いても料理の説明が上手で楽しく、料理の作り方まで教えてもらいました。
帰り際には、シェフが階段を下りて来ていただき視界から消えるまで見送ってくれるので、いつも帰り道とは違う方向の脇道に一旦身を隠してしまいます。
気持ちよく食事をするには、何をすべきなのかということを、お客の立場に立って考えられた接客で、居心良い雰囲気を作り出す接客スタイルです。

5.コストパフォーマンスについて
 トリュフ・キャビア・フォアグラ等々の贅沢な食材をふんだんに使用した料理とワイン×4杯で約30,000円、これはグランメゾンともなると食事代だけの価格。
それでいて料理のクオリティは、グランメゾンと同等かそれ以上というのは、私があえてコメントするまでもなく、他の方の評価からもわかること。
2年続けて夢の様な一時を過ごさせて頂きました。

6.総評
 前回はシェフの創造力・発想力の豊かさにただただ脱帽するのみでしたが、それから更にどんどん新たなメニューを生み出しているのが認識でき、もはやひれ伏したいレベル。
また、クリスマスの様な特別な時は、驚きの要素も重要なポイントで料理の話題だけでも会話が弾み4時間以上かけて料理を楽しみました。
当面(店のカジュアルな雰囲気に対応できるまでは。。。)クリスマスは予約が取れれば「ルージュ・ドゥ・ラシエット」で決まりです!!


■□■ 2010年のクリスマスメニュー
(1)おつまみ
■ 真鯛のライムマリネ
 繭玉のような白い球体は、真鯛を米粉とゼラチンで包んだもの。
真鯛は一口サイズの大きさにカットされ、ライムでマリネされています。
それを包み込む白い球体は、米粉とゼラチンを一度泡状にしてから固めたもの。
口に含んだ瞬間は、米粉の泡のふわふわとした食感がするのですが、すぐに口の中でスッと消えてなくなるという非常に面白い食感。
中から現れた真鯛は、ほんのりした塩気と魚の旨味が感じられ、後からライムの爽やかな香りが追いかけてくるといった味わいで、見た目、食感、味覚、香りで楽しませてくれる料理。
■ パルメザンチーズと黒胡椒のスティック/1口サイズのピザ/青さ海苔のチップス
スティックはパルメザンチーズをたっぷりと練りこんだスナックで、チーズの香りが楽しめます。
ピザは、パイ生地にトマトジュースが入ったというもので、噛むと液体がピュと飛び出し、ピザのような味わいになるというもの。
あおさ海苔のチップスは、磯の風味を味わうもの。
すべて一口サイズなのですが、それぞれ風味が豊かで、余韻が残る味わい。

(2)エッグヴェネディクト トリュフの香り
 イングリッシュマフィンの上に、イベリコ豚の背油、黒トリュフ、ポーチドエッグをのせ、ブリオッシュで挟み込んだというもの。
ソースは定番のオランデーズソースですが、そこにトリュフをふんだんに使用した何とも贅沢な料理。
ナイフを入れると中から黄身が溢れ出し、食材すべてをまろやかにコーティング。
これらを一口でほお張ったときの味わいがたまりません。

(3)銚子産金目鯛の炙りカルパッチョ 発芽野菜と洋梨のサラダ キャビア
丸く模られた水菜の上に、鮮やかなピンク色の金目鯛が敷かれ、その上にキャビアと細かく刻んだ洋梨、蕎麦の芽とつまみ菜の2種類の発芽野菜がのせられています。
円状のソースは洋梨のピューレで、料理自体にも柑橘系のソースでうっすら味付けされています。
金目鯛は、臭味は皆無で、ネットリした食感が楽しめ、噛むと口の中に魚の旨みが滲み渡ります。
キャビアは金目鯛の味の深みを更に引き出し、洋梨は後味を爽やかな気分にさせてくれる役割。
洋梨のピューレは、刻んだ洋梨よりは甘く、アクセントとして使用するものでしょう。
魚・フルーツ・野菜のハーモニーが堪能できる爽やかな一品。

(4)38℃で火を入れたサーモンのコンフィ レモンとアーモンドの香り 牛乳のガゼインとフヌイユのサラダ
トラウトサーモンは、低温で調理され、アーモンドのパウダーが振られています。
ソースは、アーモンドクリームと白い牛乳のガゼインをつけていただくとのこと。
付け合せには、フヌイユのサラダと甘さの違うトマト3種類が添えられた料理。
この料理で目を見張るべきは、何といっても火入れ。
サーモンは生で味わった時の弾力感や舌に絡みつくネットり感を残しつつ、火を入れることによって得られる旨みの凝縮感も味わえます。
ソースは添えられていますが、何もつけなくてもサーモンの脂の旨みが強く、余韻が長く楽しめるので、何もつけずにいただきました。

(5)オマール海老のフラン 瓶詰め仕立て 暖かい甲殻類のコンソメジュレ 和テイストのサラダ
海老のフランは、コンソメ仕立てで甲殻類の出汁を使用しています。
サラダは、オマール海老にベビーリーフ、紫蘇、菊の花を添え、海老のパウダーを使用し、ジュドオマールから作ったヴィネグレットとメープルヴィネガーのジュレでいただくというもの。
オマール海老のフランは、プルプルした食感がたまらなく、口に含むと滑らかな舌触り。
味わいは蟹の方が強く、香りは海老の方が強い。
サラダはフランとは対照的に、プリッと引き締まったオマール海老の食感が味わえます。
メープルシロップのヴィネガーとの相性も良く、デザート感覚でもいただけます。
オマール海老の美味しさを、余す所なく味わえる一品です。  

(6)グリエした庄内産赤葱のモザイク エシャロットヴィネグレット
 フォアグラと庄内産赤葱をモザイク状に組んだ冷製料理。
フォアグラは、表面だけやや強めにグリエされ中身はほぼミキュイ。
赤葱は焦げがつくまでしっかりとグリエされています。
軽めに胡椒が振られて、付け合せにはエシャロットのグレックと赤ワインに浸けたエシャロット、シブレットのヴィネグレットが添えられた一品。
フォアグラは、ナイフを入れるとプリンの様な弾力で、口に含むと滑らかに溶けていきます。
焦がした赤ネギと組み合わせることで臭味はなく、トロッっとした食感と卵の様な甘みだけが口の中に残ります。

(7)本日の鮮魚 きのこの香り じゃがいものエクラゼ
 魚料理はヒラメのポワレ。
ヒラメは表面だけカリッとさせ、必要以上に火入れはしていません。
ソースはきのこの泡のソースで、その下には、数種類のきのこのソテーとじゃがいものエクラゼが潜んでいるといった料理。
泡のソースはキノコ香りが強く、濃厚なエキスが抽出されています。
ソテーされたキノコもそれぞれ素材の味わいがしっかりしており、それだけいただいても美味。   
ヒラメとじゃがいものエクラゼは、茸の濃厚なソースを受け止める役割で、ヒタヒタに染み込ませて食べると非常に美味。

(8)ゆっくり火を入れた蝦鹿フィレ肉のロースト ソースグランブヌール
 肉料理は、鹿の肉を厚めにカットし、低温でローストしたジビエ料理。
ソースはグランブヌールで、さつまいものピュレも添えてあります。
付け合わせは、リンゴのソテー、さつまいも、オニオン等々です。
鹿肉は、表面以外は均一に火が通っていて、血が滴るような赤色。
絶妙な火入れにより、肉汁を逃がすことなく旨みをとじ込め、かつ噛み締めた時の弾力を兼ね備えており、蝦夷鹿を頬張る肉食獣の気分を味わえます。

(9)キウイのソルべ 花の香り
 ゴールデンキウイのソルベの上にひなげしのジュレ、ライチのムースと菊の花びらを散りばめた色彩も鮮やかなもの。
キウイのソルベとライチのムースはまったり濃厚で、フルーツの酸味と甘みが味わえ、フレッシュ感や爽やかさを味わえます。
この料理で秀逸なのは、ひなげしのジュレ。
ほのかな上品な甘みと、繊細で優しいひなげしの香りが口の中に広がり、リラックスした気分になります。

(10)チョコレート隕石 薔薇
 チョコレートの球体が運ばれ、スタッフが温かいフランボワーズのソースをかけると中からベリーとムースが顔を出すといったお洒落な演出が。
チョコレートはヴァローナ社のものを使用しており、ベリーは、グランベリー、ラズベリー、ブルーベリーの3種。
ムースは、ホワイトチョコレートとフロマージュの2種類を使用し、かすかな薔薇の香りも感じられます。
チョコの苦味、ベリーの甘酢っぱさ、ムースのまったりした甘みなど、様々な味わいが複雑に絡み合い見事なハーモニーを奏でている一品です。

(11)食後の飲み物
 ドリンクメニューのリストを渡され、オーダーしたのは、「ローマ」と命名されたエスプレッソ。
メニューには、エスプレッソだけでも3種類ぐらい掲載されており、酸味の強いもの、カフェインレスのもの等様々。
「ローマ」の味わいは、酸とコクのバランスが取れたもので、優雅な味わいと香りの余韻に浸れました。

(12)ミニャルディーズ   
 小菓子として出されたのが、エクレアと貴腐ワインのジュレに青リンゴのソルベをのせたもの。
エクレアは、クランブル生地にリンゴのキャラメリゼ、チョコレートのテンパリング、塩キャラメルのクリームを挟み込んだもので、生地でサクサクした食感とチョコレート、キャラメルのしっかりした甘さを味わえ、苦いエスプレッソと良く合います。
貴腐ワインのジュレは繊細で上品なワインの甘みと、青リンゴの酸っぱさが爽快感を醸し出し、エクレアとは対照的な小菓子。

  • チョコレート球体
  • 外観
  • 店内から

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2位

emuN (代々木上原、東北沢、代々木八幡 / フレンチ、野菜料理)

1回

  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥6,000~¥7,999

2011/11訪問 2017/01/29

「大地の恵」を享受 emuN(エミュ)

■ emuN (恵比寿・フレンチ)について/22.12.11/23.11.27

 恵比寿にあるフレンチレストラン『emuN (エミュ)』
オープンしてから半年も経たないというのに、ミシュランガイド東京・横浜・鎌倉2011において新規に1つ星を獲得した実力あるお店。
シェフの笹嶋氏は、過去に「タイユヴァン」のポワソニエ、アグネスホテル「ラコリンヌ」の総料理長を務めた経歴があるというのだからそれも納得。どのような料理を提供してくれるのか期待が高まります。
場所は、JR恵比寿駅スカイウォーク出口から歩くこと約3分。
アメリカ橋を渡り、恵比寿南一公園の交差点を右折した街道沿いにあります。
花の模様が描かれたビルが目印で、お店はその2階です。
自宅から徒歩1~2分の場所にあり、最も近所にあるフレンチレストランなのですが、既存のミシュラン掲載店ばかりに目を奪われ、恥ずかしながらミシュランガイド2010掲載をきっかけに訪問です。
土曜日のランチに伺ったのですが、訪れた時には既に満席。
予約は必須であることはもちろん、ガイドブックに掲載されたとなれば、1ヵ月前からの予約をお薦めします。

1.雰囲気について
 ホワイトとエメラルドグリーンをベースとしたカジュアルな雰囲気の店内。
窓からは燦々と陽の光が差し込み、外を見渡せば、渋谷・代官山とは異なる大人のイメージの街が眺望でき、ゆっくりくつろぎながら食事や会話を楽しめる雰囲気です。

2.料理について
 料理のテーマは『温故知新』。
フレンチの伝統に新しい感覚をプラスし、五感を刺激する味わいでありながら胃に負担のかからない料理を目指すというのがシェフのコンセプト。
ランチは下記の3コース。
『エミュ』、『トレフル』は、前菜5種類、メイン6種類の中から選択するプリフィックススタイルで、『時を食す』はシェフのお任せとなっています。
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■ emuN ~エミュ~(\3,150)
 (アミューズ+前菜+ポタージュ+主菜+デザート+小菓子+コーヒー)
■ trefle ~トレフル~(\4,200)
 (アミューズ+前菜+大地の恵+ポタージュ+主菜+デザート+小菓子+コーヒー)
■ dequstation ~時を食す~(\6,000)
 (アミューズ+前菜(2品)+主菜(魚&肉)+デザート+小菓子+コーヒー)
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オードブルのメニューは季節ごとに変わり、訪問したとき(12月)は下記の5種類。
旬の食材を極力使用したいとのお店の意向から、「本日の~」や「シェフのインスピレーション」など食材名がメニューリストに記載されてない料理が多いのが特徴的。お店に訪問してからのお楽しみといったところでしょう。
ちなみに下記メニューの天然鮮魚はヒラメ、本日の前菜はブーダンノワールでした。
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■ 産地直送 天然鮮魚のクリュ 芳醇なヴァニラの香りに包まれて
■ 鳥取産 大山鶏と旬の野菜のポトフ仕立てのテリーヌ 白菜のサラダ添え 粒マスタード風味
■ 本日の前菜 シェフのインスピレーション
■ 無農薬畑で育った蕪のブランマンジェと新鮮な魚介たち 甲殻類のコンソメジュレ添え
■ フランス産鴨フォアグラのブレッセ 旬の果実とご一緒に!!
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 メインは下記の6種類。
シェフのインスピレーションのお魚料理は真鯛のポワレのクリームソース、その下の天然鮮魚はホウボウ、本日の肉料理は鶏もも肉のフリカッセでした。
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■ 産地直送 天然鮮魚のお料理 シェフのインスピレーション
■ 産地直送 天然鮮魚のポテトとパンチェッタの包み焼き
■ 本日のお肉料理 シェフのインスピレーション
■ シャラン鴨股肉ときのこのラグーオーモリエール仕立て 赤土で育ったポテトのピューレと共に
■ 北海道産 エゾ鹿の赤ワイン煮シヴェ仕立て 自家製パートフレッセ
■ 山形県産 庄内牛フィレのロースト トリュフソース 鴨のフォアグラ ポワレ添え
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 私は、シェフのスペシャリテ『能登島の赤土野菜と土浦の完全無農薬野菜のエクスポジション』(以下大地の恵)がコースに入っている『トレフル』をオーダー。
個々の料理は下記のとおりです。

(1)アミューズブーシェ
 パテ・ド・カンパーニュを中心に、玉ねぎ、赤ピーマン、コルニッシション、イタリアンパセリ、マッシュルームが配置されています。
お皿にはオリーブオイルが引かれており、塩コショウも軽く振られています。
パテは嫌な臭みがなく新鮮で、お肉の旨みやコクを楽しむもの。
お野菜は白ワインヴィネガーでマリネされており、素材の甘さが際立っています。
後述しすまが、食前酒で出されるシャンパーニュが、やや酸が強いタイプなので、ヴィネガーの酸味はそれを計算した味付けか。
食前酒には、是非シャンパーニュをいただくのが良いでしょう。

(2)パン&バター
 パンは全粒粉のパンで、暖かい状態でサーヴされます。
食感は外はハードで中はもっちりしたタイプ。
塩分は控えめなので、料理のソースを拭って食べるのが良さそうなパンです。
バターは、無塩とのことですが、料理のソースがパンとの愛称が良かったので、使用しませんでした。

(3)オードブル:鳥取産 大山鶏と旬の野菜のポトフ仕立てのテリーヌ 白菜のサラダ添え 粒マスタード風味
 鳥取県の銘柄鶏の大山鶏(だいせんどり)と旬のお野菜やフォアグラを葱で巻いたテリーヌ。
お野菜は、白菜、椎茸、蕪、ニンジンが使われており、一度ポトフとして煮込み下味を馴染ませるたものを、再度コンソメで固めたという非常に手間隙を掛けたもの。
添えれらているのは、うさぎを象った粒マスタードとクリームをあわせたソース。
付け合わせは、ザワークラフトと思いきや、なんと白菜。
シェフの出身地、茨城県の白菜を使用し、軽くヴィネガーであえたもの。
テリーヌの味わいは、一度ポトフとして煮込まれているということもあり、まろやかで味の統一感があります。
食感は、しんなりしていて優しい口当たり。
それぞれの食材が主張し、個々の食材を楽しむテリーヌもよいのですが、冬に食べるなら、こういったホッとするような安心感のある味付けがいいですね。
また、付け合せの白菜もテリーヌを凌駕する美味しさ。
今が旬の白菜はみずみずしく、甘味が強いのが印象的。
味付けはヴィネガーであえていますが、野菜の甘みの方が勝っている感じ。
食感はテリーヌ同様しんなりしており、1つのお皿として味付け・食感の統一感も感じられます。
このポージョンは、シェフが大切にする「季節感」を具現化した一品。

(4)能登島の赤土野菜と土浦の完全無農薬野菜のエクスポジション(大地の恵)
 20種類以上の野菜を使用した、シェフのスペシャリテ。
お皿がテーブルに運ばれるや否や、その形状の美しさ、色彩の豊かさに魅了されてします。
たくさんの花を散りばめたリースのようで、これは食べてよいものなのかと少しためらってしまうほど見事。
調理方法は、野菜によって異なり、一例として、葱は焼き、さつま芋は素揚げにし、冬瓜は煮る等々、尋常じゃない手間隙がかかっているポーション。
 ソースは、カリフワラーとマヨネーズを併せたソースで、お皿の中央に盛られています。
ただ、店のスタッフ曰く、野菜にはしっかり味がついているので、ソースは付けないでも良いとのこと。 口に含んでみると、なるほど味はしっかりしていますが、食材の旨さは損なわない絶妙な味付け。
ソースは味に飽きた時に、アクセントとして使うものでしょう。
野菜の美味しさ、美しさを思う存分堪能でき、まさに「大地の恵」を享受できる一品。

(5)スープ:マッシュルームのポタージュ
 暖かい容器で運ばれてきたのは、濃厚なマッシュルームのポタージュ。
アクセントとして表面にオリーブオイルを数滴らしています。
味わいは濃厚かつ格調高いもの。
茸のエキスを抽出すると、ややもすれば土臭くなりがちですが、生クリーム、バター、茸エキスの絶妙な調合バランスにより、茸の旨味を引き出しながら高貴なスープにに仕上げています。
見た目はシンプルなポタージュですがシェフの技量の高さが伺える一品。

(6)メイン:本日のお肉料理:鶏もも肉のフリカッセ
 メインは、その日のシェフのインスピレーションによるお肉料理。
パリパリに皮を焼き上げた骨付きの鶏モモ肉にたっぷりと濃厚なソースをかけたもの。
もも肉は香ばしく焼かれ、ナイフを入れるとホロホロと身がはがれ、柔らかくジューシー。火入れは完璧です。
ソースはフォンドボーと甲殻類のエキスを併せたものでマデラ酒系のお酒で香り付けがされています。
一緒に煮込まれているのは海老、葱、キノコで、まさに海老とお肉をコラボレーションさせたお料理です。
食べた印象として、このお料理で秀逸なのはソース。
フォンドボーで重厚さを出し、海老のエキスで繊細さ、お酒を加えることによって複雑さを醸し出し、それぞれが見事なバランスで三位一体となって、それぞれの持つ特徴を演出している。
勿論お肉や海老も美味しいのですが、それらを遥かに凌駕するソースの美味しさ。絶品です!  

(7)デザート:ヌガーグラッセ
 ナッツ類を生クリームと混ぜ合わせ、冷やして固めたもの。
上にはベリー系の甘酸っぱいソースとショコラアイスがのっています。
このお店のヌガーグラッセは、これでもかといわんばかりにナッツがぎっしり詰まっていて、香ばしさと、噛み締める食感が楽しめます。
生クリームは口当たりが軽い仕上がりで、見た目ほどの重厚感を感じさせません。
また、アイスとベリーのソースをアクセントとして使用することにより、最後まで飽きずにいただけます。
デザートまで手抜かりなく作られており、料理については文句の付けようがありませんね。

(8)飲み物
 紅茶、コーヒー、エスプレッソから選べます。
私はエスプレッソをオーダー。
コクが豊でまろやかなタイプのエスプレッソ。食事後の優雅な余韻が続きます。

(9)小菓子
 食後の飲み物と供に運ばれてきたのが、生キャラメルとクレームブリュレ。
生キャラメルはスプーンの上にひとかけらのせられており上には塩が振られています。
口に含むと、すぐにとろけてバターの高貴な香りだけが残ります。
クレームブリュレは、冷やした状態で運ばれ、甘さは控えめ。滑らかな食感を楽しむものでしょう。
双方ともに、量は少なめですが、優雅な余韻が長く続き、締めの一品としてはふさわしい小菓子です。

3 ワインについて
 食前酒にシャンパーニュ、オードブルと大地の恵に合わせ、それぞれグラスワイン(白)を1杯づつオーダー。
グラスワインは赤白4種類くらいの中から選択でき、お値段はシャンパーニュも含めて千円台前半とお安め設定です。
個々の感想は下記のとおり。

(1)シャンパーニュ:Lanson(¥1,300)
 ピノノワールとシャルドネを使用したシャンパーニュ。
色合いは澄みきった麦わら色で泡は細い糸のように立ち上り上品な感じのするシャンパーニュ。
香りはほんのりとハチミツのニュアンスが感じられ、味わいは酸味が強く、フレッシュ感が楽しめるワイン。
ワインビネガーを使った料理とよく合い、このお店のアミューズとよく合いました。

(2)白ワイン:Macon(\1,200)生産者不明
 色合いは、澄みきった薄黄色のワイン。
香りは、樽香が微かに感じられますが、果実実の方が勝っている感じ。
口に含むと白桃、青リンゴ感じられ、アフターに樽のニュアンス。
ブドウの果実味と樽発酵によるの重厚さがうまく調和したバランスの良いワイン。

(3)白ワイン:Sancerre(\1,200)生産者不明
 スタッフ曰く、大地の恵と良く合うとのことだったのでオーダーしたロワールのソーヴィニヨンブラン。
色合いは少し緑がかった黄色
香りと味わいは青リンゴと洋梨のニュアンスする典型的なロワールのソーヴィニヨンブランですこしマッタリしており、野菜というより、カリフラワーのソースに良く合うような気がしました。
マコンは透明感のあるワインでしたが、こちらはマッタリ感が楽しめどらも美味。

4.接客について
 接客は親しみやすい感じで、気軽に話しかけれるような雰囲気が良いです。
料理についての説明は至って丁寧で、使用している食材や調味料のレベルまで1つ1つ説明してくれます。(さすがに大地の恵はないですが)
料理を運ぶタイミングはややゆっくり目で、お酒を飲まれる方にとっては丁度良い感じ。
何の気兼ねなく料理を楽しむことができ、個人的にはこういう接客が一番ありがたい。

5.コストパフォーマンスについて
 料理はどれも繊細で美味しいのはもちろんですが、手間隙かかっていることが容易に伺えるシェフの渾身の作品たちをこの価格でいただけるのであれば、2倍の料金を払ってでも行く価値はあります。
飲み物もシャンパーニュ・グラスワイン供に1、000円代前半と安価な設定。
ランチタイムは、サービス料もかからないため、お財布を気にしないで食事を楽しめるお店です。

6.総評
 何と言っても料理がずば抜けて美味しく、特に野菜が旨い!
オーダーした料理では、特別高価な食材を使っているわけではないのですが、シェフの丁寧な仕事でそれを補っている。
また、店の雰囲気は豪華満欄とはいいがたいのですが、カジュアルで居心地が良く、何だかまた訪れたくなりそうな雰囲気を持っています。
普段使いができ、最高に美味しい料理を出してくれるお店で、予約が入っていなければ、私の名前で埋め尽くしたいと思えるお店です。

■■■ 2011.11に再訪 ■■■

1.料理について
 ランチでエミュのコース(\3,150)をいただきました。
前回はシェフの得意料理である魚料理を1つも食べなかったということもあり、魚尽くしのメニュー構成です。
料理について前回と比較させていただくと、デザートのクオリティーが格段にアップしており、既に★5評価でしたが、★7を付けれるものなら付けたいぐらいほど。
また、どのポーションにも野菜が上手に、タップリと使用されているのは相変わらずで、このレストランのもっとも好きなところで、主観的な評価としては東京で一番のフレンチレストラン。
個々の料理の感想は下記のとおり。

アミューズ:鹿のパテ・ド・カンパーニュ グレック
 一口サイズの鹿のパテに、グレック(野菜をさっと茹でて酢付けにしたもの)を添えたもの。
パテは、豚肉よりは軽い仕上がりで、熟成した肉の味わいというより、軽さと鹿の肉独特の力強さが味わえる。
グレックは、とても小さな野菜なのですが、これだけでも野菜の美味しさと調理人の下処理の丁寧さ十分に伝わり、あーエミュに来たんだなと実感させられる一皿。

前菜:秋刀魚と長茄子のテリーヌ 生姜風味のクリームと一緒に!! 
 前菜は、秋刀魚を長茄子で包んだテリーヌと、こんがり焼き上げた秋刀魚の組み合わせ。アクセントとして秋刀魚の肝が添えられています。
テリーヌは、非常に細かな作業がされており(写真ではわかりませんが。。。)秋刀魚を非常に薄くスライスされた茄子で包まれたもので、崩すのが申し訳ないと思えるぐらい繊細なもの。
味わいは、秋刀魚の強い旨みと茄子の優しい味が調和しており、秋刀魚と茄子がこんなに相性がいいものなのかと驚かされた。
また、秋刀魚の肝も苦味も絶品。
これまで、魚の肝とワインを合わせると、魚介の臭みが引き立ち、相性はあまり良くないなーと思っていましたが、今回調理された肝はワインにとても良く合い、どんどんワインが進みました。
新たな発見をさせられた一品です。

主菜:タスマニアサーモンの軽い燻製風味 赤土馬鈴薯のソース エルブ ド プロヴァンス風味
 テーブルに運ばれるや否や、まずはその圧倒的な美しさに思わず笑みがこぼれる。
エルブ・ドとは、プロバンス地方の料理でよく使われるハーブをブレンドしたもので、その名のとおり沢山のハーブと野菜が使われ、主役のサーモンが隠れてしまうほど。
しかし、味においてはサーモンがこの料理のまさに主役。
ふっくらした焼き加減と、芳しい燻香で、シンプルな味付けながら素材の旨みを最大限に利用した料理。
ハーブとの相性もバッチリでした。(複雑すぎて表現は不可能ですが。。。)

デザート:梨との梨のムースとカモミールのジュレ ガトーショコラ添え
 運ばれてきたものは、梨、梨のムース、カモミールのジュレ、棒状のガトーショコラデザートの盛り合わせで、別容器に柑橘系のジェラートが添えられます。
この中では、カモミールのジュレが絶品で、絶妙な甘さと、カモミールのほのかな香りが非常に上品。
あまりの繊細さゆえに、ジェラートを掛けるとジュレの上品さが損なわれるんじゃないかと思いきや、それはそれで、まったく別の爽やかなデザートとして成立する見事なもの。

2.ワインについて
 シャンパーニュ(\1,300)とグラスの白×2をオーダー。
白ワインは、ブルゴーニュのシャルドネ、ラングドックのピクプールという品種のワイン(\900)、ローヌのクローズ・エルミタージュ・ブラン(\1,200)の3択で、ピクプールエルミタージュブランをいただきました。
いずれも、強いミネラルと樽の香りがするもので、魚料理にはピッタリでした。

3.エミュのおせち
 帰り際に、昨年から非常に気になっていた、おせち2段(\31,500)を注文してきました。
感想については、また来年報告させていただきます。正月が待ちきれません。

  • (再訪)タスマニア産サーモンの軽い燻製風味
  • エミュのおせち
  • (再訪)アミューズ

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3位

メゾン ポール・ボキューズ (代官山、中目黒、神泉 / フレンチ、イノベーティブ)

1回

  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.8 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥8,000~¥9,999

2011/03訪問 2017/01/29

卓越した技量の料理、厳選されたワイン、そして最高のサービス。

■ メゾン・ポール・ボキューズ (代官山)について/23.3.24

 ミシュラン東京1つ星レストラン「メゾン・ポール・ボキューズ」。
リヨンにおいて44年間3ツ星に輝き続ける「ポール・ボキューズ」の日本における総本店で、コンセプトは、「フランス料理という文化、その正当なるものを日本に伝えること」。
その正当なるフランス料理とは何たるかを知るために初めて訪問させていただきました。
場所は、代官山駅から徒歩5分、旧山手通り沿いにあり、エジプト大使館の正面というロケーションです。
過去に数回休日ランチの予約を試みたのですが、満席あるいは貸切パーティーでなかなか予約が取れず、平日ランチで訪問させていただきました。

1.雰囲気について
 エントランスから続くらせん階段を降りると広大な敷地からなる店舗が顔を出し、スタッフがお出迎え。
店内は、アール・ヌーヴォー調のバーとラウンジ、赤い壁が目を引くシックなメインダイニングとその豪華絢爛な内装に目を奪われます。
ドレスコードはないのですが、格式あるお店なので、オシャレをして訪問したほうが良さそうです。
まずは、ラウンジでメニューを眺めながらシャンパーニュを。

2.料理について
 ランチのコースは下記の3種類。
---------------------------------------------------------------------
★ MENU DEJEUNER:アミューズブーシュ+前菜+主菜+デザート+コーヒー+小菓子(\3,400)
★ MENU SAISON:アミューズブーシュ+前菜+魚料理+肉料理+デザート+コーヒー+小菓子(\4,200)
★ MENU SPECIAL:アミューズブーシュ+前菜+魚料理+肉料理+デザート+コーヒー+小菓子(\6,300)
---------------------------------------------------------------------
デザート及び「MENU SEISON」のコースの魚料理と肉料理はプリフィックススタイル。
私は「MENU DEJEUNER」のコースをいただきました。
一番軽めのコースなのですが、ポーションはしっかりしていて量は十分。
特にデザートが食べ応えがあり、小菓子も好きなだけ選べますので、しっかりとお腹をへらして挑みましょう。
料理の印象は、ボキューズ氏が心がける「良い素材、良い火加減、良い味付け」というコンセプトのとおり、シンプルですが、食材の良さを最大限に引き出すよう計算しつくされた料理の数々。完成度がかなり高いです。
特にソースが秀逸で、フレンチにおけるソースの重要性を改めて再認識させられました。
個々の料理の感想は下記のとおり。

(1)アミューズブッシュ:カリフラワーのスープ
 カリフラワーのスープにオリーブオイルをたらし、クルトンを浮かべたという非常にシンプルな一皿。
スープはカリフラワーの旨みが十分に抽出されていて非常に濃厚。
味付けは、純粋にカリフラワーの旨みだけで勝負しており、調味料は極力控えている印象。
そのため、野菜の優しい旨みが口の中や胃の中まで広がりなんだかホッとした気分に。
格式あるお店で少し緊張していましたが、この一皿で心も和みました。  

(2)パン&バター
 供されたパンは、フランス産の小麦とライ麦を配合したもので、現地でつくられたものをチルドの状態で日本に空輸しているとのこと。
食感は、クラストがカリカリしていて、クラムはもちもち。ソースもタップリ染み込みます。
味わいは、やや酸っぱい感じがするので、パンオ・ルヴァンっぽくもある印象。
バターはエシレを使用しているとのことで、普段はあまりバターを使用しないのですが、今回は贅沢に使用させていただきました。 

(3)前菜:マッシュルームのスープ カプチーノ仕立てフォアグラのラビオリとグリーンアスパラ添え
 前菜は、カプチーノ仕立てに泡立てたマッシュルームのスープの中にフォアグラを包んだラビオリと大ぶりな2本のアスパラが入った一皿。
マッシュルームのソースは、マッシュルームエキスがしっかりと抽出され、塩気もしっかりしているので、ワインがないと辛いかも。
対照的にアスパラは、わずかな下味が施されているだけで素材の旨さを味わうもの。
そして、なんといってもこの料理の主役はフォアグラ。
焦げ目がしっかりつくぐらいカリカリにソテーしたフォアグラは、濃厚かつ香ばしい味わい。
そのフォアグラをラビオリに包むことによって、温かいスープの熱でとけたフォアグラのエキスがラビオリの中に留まり、噛んだときにジュワッとフォアグラの香りと旨みが広がります。 
まさにフォアグラの小龍包。 これは絶品です。

(4)主菜:カレーの香りを付けた仔羊のパート包み焼き
 主菜は、クリームで煮込んだジャガイモの上にパート・ブリックで包んだ仔羊をのせた料理。
仔羊の肉の上には、タイムが散らされ、ソースは羊の骨から取ったスープとカレー粉をあわせたもの。
付け合わせに、ブロッコリ、ドライトマト、松の実、ベーコンを配したという一皿。
この料理で特質すべきは、仔羊の火入れ。
鮮やかなピンク色の羊肉は、レアに近いミディアムレアの状態で、羊肉の旨さと柔らかさを極限まで引き出したもの。
これ以上の火入れ、これ以下の火入れで調理を施せば、この旨みと柔らかは演出できないでしょう。
クリームで煮込んだジャガイモは脂身の少ない羊肉にコクとまろやかさを補い、タイムは後味の爽やかさを演出する存在。
ソースはパート・ブリックにたっぷり染み込ませて食べることにより、カツカレーのようなテイストになり面白い。  
この料理に合わせたワインは、グルナッシュ。
独特の羊の旨みとスパイシーなカレー粉のソースをその豊富なタンニンで包み込み見事にマリアージュ。
ボリュームある主菜でしたので、2杯いただいてしました。  

(5)デザート:オレンジ風味のチョコレートのムース ピスタチオのアイスクリームと共に
 デザートは下記の3択で、チョコレートのムースをセレクトしました。
---------------------------------------------------------------------
★ フレッシュ苺のタルトレット仕立て 牛乳のシャーベットを添えて
★ オレンジ風味のチョコレートのムース ピスタチオのアイスクリームと共に
★ クレープ“ジュゼット”(+\500)
---------------------------------------------------------------------  
 チョコレートのムースとピスタチオのアイスが両端に配され、中央にオレンジのソースが敷かれたデザート。
チョコレートのムースは、甘さ控えめでチョコレートの苦味と香りが強く、大人の味わい。
対照的にピスタチオのアイスは、しっかりとした甘さがあり、、後から香ばしい香りが追いかけてくる。
単体でチョコレートムース、ピスタチオのアイスを食べると普通に美味しいデザートといった程度ですが、合わせることによって、単体では何かもの足りない味の要素を互いに補い、旨さが飛躍的にアップする印象。  

(6)エスプレッソ&小菓子
 食後の飲み物は、コーヒー・紅茶・エスプレッソ・ハーブティーから選べ、エスプレッソをオーダー。 
酸味が強いタイプのエスプレッソで、余韻が長く、格調高い味わいで家に着くまで優雅な気分が続きそう。
小菓子はワゴンで運ばれ、好きなだけいただけます。
味わいは至って普通ですが、たくさんの種類の中から選べるのがうれしいですね。

3.ワインについて
 ボキューズでは、ひらまつグループがワイナリーから直輸入した厳選ワインを非常にリーズナブルな価格で楽しむことができ、ワイン好きにとってはうれしい限り。
食前酒にラウンジでシャンパーニュ、前菜に合わせてグラスの白、主菜にグラスの赤をいただきました。
個々の感想は下記のとおり。

(1)シャンパーニュ:Delamaotte Brut(\1,500)
 シャンパーニュは、白2種類、ロゼ1種類の合計3種類の中から選択可能で、リキュール(モモ、カシス、アプリコット、メロン、野イチゴ)で割ったカクテルをいただくことも可能。
オーダーしたのは、お安い方の白のシャンパーニュ。(もう一方は、ドン・ぺリニヨン。。。)
シャルドネ5割、ピノ・ノワール3割、ピノ・ムニエ2割の配合から作られ、シャルドネの比率が高いのが特徴。
泡は、きめ細かく、ゆっくりと立ち優雅そのもの。
味わいは、果実味・ミネラル感が強く、口に含んだ感想は「濃い」の一言。
アフターにかけてグレープフルーツとハチミツのニュアンスが感じられ、非常に余韻も長いです。
美味しいシャンパーニュと、豪華絢爛なお店の雰囲気にやられ、既にこの時点で満足状態。

(2)グラス(白):Rully LA FOLIE 2006 Claudie JOBARD(\1,200)
 グラスの白は、600円のハウスワインと、ロワール、ブルゴーニュの3種類から選択可能。
オーダーしたのは、ロワールの白ワイン。(ヒラマツグループが、独占して輸入購入しているワインとのこと。)
美しい琥珀色の液体からは、洋梨やリンゴのフレッシュな香りと微かな樽香が感じられます。
口に含むと、粘度が高く、トロトロしていて舌に絡みつき、果実味豊富でパワフルなのですが、ミネラル分が強く、アフターにかけて青リンゴのニュアンスが出てくるので、見た目の予想に反してスッキリとした味わい。
この価格にしては、相当ポテンシャルが高く、さすがひらまつグループが目を付けたワイン。

(3)赤ワイン:GIGONDAS 2006 生産者不明(\1,200)
 グラスの赤も、600円のハウスワイン、ジゴンダス、ボルドーの3種類から選択可能。
主菜がカレー味のスパイシーなソースだったので、ジゴンダスをオーダー。
グルナッシュを100%使用したワインで、豊富な果実味とタンニンが特徴的。(かなり渋いです。)
主張が強い仔羊やカレー風味のソースを受け止める包容力があり、よく合いました。

4.接客について
 給士さんたちの心のこもった丁寧な接客が印象的。
格式あるレストランに行くと余計なことに気を使いがちですが、明るい笑顔の対応のおかげで心置きなくボキューズの料理を堪能できました。
個人的には、シャンパーニュやグラスワインの価格を明確に伝えてくれたのがありがたく、お会計の金額を気にせずワインが飲みたのはうれしかったです。

5.コストパフォーマンスについて
 ランチに関していえば、3,000円台から食事ができ、グラスワインも600円からと気軽にボキューズの雰囲気を楽しむことができます。
ただ、これだけ豪華な空間の中で食事がいただけるのであれば、特別な時に訪問し、思い切り贅沢するのがこのレストランの使い方。
コストパフォーマンスという概念を当てはめてはいけないレストラン。

6.総評
 卓越した料理、厳選されたワイン、完璧なサービスを非日常的なゴージャスな世界でいただくことができ、非常に優雅な時間を過ごさせてもらいました。
ランチでも、リーゾナブルにその世界を堪能できますが、満喫するならやはりディナー。  
次回はこのお店のスペシャリテである「エリゼ宮で、V.G.Eに捧げたトリュフのスープ」、「イトヨリのポワレ」などをオーダーし、思い切り贅沢したい。

  • 外観
  • シャンパーニュ:Delamaotte Brut(\1,500)
  • パン

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4位

エメ・ヴィベール (麹町、半蔵門、市ケ谷 / フレンチ)

1回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥15,000~¥19,999 -

2011/07訪問 2012/01/02

ガストロノミーを体感「エメ・ヴィヴェール」

■ エメ・ヴィヴェール(二番町・フレンチ)について/23.7.18
 
 千代田区ニ番町にあるグランメゾン「エメ・ヴィヴェール」。(ミシュラン東京2011二つ星)
コンセプトは、パリ郊外=イル・ド・フランスに点在するメゾンを東京二番町に再現したとのこと。
レストランの前を通るたび、優美な石造りの洋館に目を奪われ一度は行ってみたかったレストラン。
今回、念願叶って初めてディナーで訪問させていただきました。
場所は、女子学院の真向かいにあり、麹町駅あるいは市ヶ谷駅どちらからでも歩ける距離ですが、市ヶ谷駅から向かうと500m弱の上り坂を登らなければならないので、身だしなみも考えれば麹町駅から向かうべき。
また、土日は数ヶ月前から結婚式等のパーティーで埋まってるので、早めの予約が必要でしょう。

1.雰囲気について
 店の入口には、すでにお店の方が立っており、名前を告げるとまずはウェイティングルームに案内されます。
暫くの間、優美な店の雰囲気を楽しんでいると、頃合を見計らったようにメインダイニングに通されました。
メインダイニングは、広く開放的で、各テーブル間の距離がかなり広めにとられており、ゆったりとした気分で食事が楽しめます。
内装は、シャンデリアなどの高価な調度品や絵画が飾られまさに豪華絢爛。
また、天井や壁面にガラスが多用されているのが特徴的で、ディナータイムは日が沈む光景を眺めながらの食事となるため、非常にロマンチックな雰囲気になります。
店の外は、ライトアップされた庭園にバラが咲き誇るという幻想的な世界。
まさに非日常の世界で食事が味わえるレストランといえるでしょう。

2.料理について
 ディナーのコースメニューは下記の2種類で、メニュー構成は同じですが、選択肢が異なります。
---------------------------------------------------------------------
■ MenuA:アミューズブーシェ+前菜+魚料理+シャンパーニュのグラニデ+メイン+フロマージュ+        デザート+小菓子+食後の飲み物(¥10,500)
■ MenuB:アミューズブーシェ+前菜+魚料理+シャンパーニュのグラニデ+メイン+フロマージュ+        デザート+小菓子+食後の飲み物(¥15,750)
※ 上記金額は消費税込で、この他にサービス料が10%かかります。
---------------------------------------------------------------------
私は、メニューAをオーダー。
料理の全体的な印象としては、クラシカルな王道フレンチを昇華させたもで、素材の良さ、ソースの秀逸さを楽しむことに主眼が置かれており、忠実な技法を背景に、どの料理も完成度が高く、安定感があります。
その安定性の反面、メニューを見ただけでその料理のおおよその味と風貌が想像でき、意外な食材の組み合わであるとか、曲芸レベルの火入れの料理等、サプライズ的な要素はありませんが、だれでも耳にしたことがある王道の料理が、あたり前のように美味しい。
それが、この店のレゾン・デートルであり、4年連続ミシュラン2つ星を獲得している所以なのでしょう。
個々の料理の感想は下記のとおり。

(1)アミューズ:ガスパッチョ
 アミューズとして供されたのは、小さなグラスに注がれたガスパチョで、中にボイルされたタコとカリフラワーが入っているというシンプルな料理。
ガスパチョは、酸味を押さえ、トマトの優しい旨みだけを引き出したもの。
また、タコやカリフラワーも素材本来が持つ、自然な旨みや甘みを味わうもの。
それぞれの食材によって異なる甘さや食感が楽しめ、またそれが三位一体となって1つの料理として見事に調和しているという優れた一品。

(2)前菜:オマール海老とサーモンのマリネと茄子のアスピック
 前菜は3択で、オマール海老のマリネと茄子のアスピックをオーダー。
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■ オーマール海老のマリネと茄子のアスピック
■ 生雲丹とそのクレーム フヌイユのバヴァロワ仕立て
■ ランド産フォワグラのコンフィ いちじくのチャツネと自家製ブリオッシュ
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 運ばれてきた料理は、オマール海老、茄子、オクラをブイヨンで固めたアスピックを中心に、オマール海老、フルーツトマト、ルッコラなどの野菜が配され、その周囲にオリーブのソースを敷かれたという美しい料理。
この料理は、茄子のアスピックが絶品。
茄子には、ブイヨンのコクが染み渡り、それだけ頂いてもワインが何杯もいけてしまうくらい美味なもの。
また、オマール海老と茄子、オクラと茄子を一緒に口に含むことにより、それぞれの食材に奥深い味わいを加え茄子がソースのような役割も果たしている。
何種類もの食材をちりばめたテリーヌも好きですが、これだけ少ない食材でもじっくり楽しませてくれる技量の高さに関心。

(3)魚料理:天然・真鯛のグリエとオレンジの香るフヌイユ ソースヴェルジュ
 お魚料理は2択で真鯛のグリエをオーダー。
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■ トラウトサーモンのコンフィ クレソンのピュレ
■ 天然・真鯛のグリエとオレンジの香るフヌイユ ソースヴェルジュ
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 この料理は、焼き目をつけてグリルした真鯛の上にフヌイユをのせたという立体的な構造。
ソースはヴェルジュソースがたっぷりお皿に敷かれ、ニンニクとコリアンダーを散らしたというシンプルなもの。  
真鯛の火入れは、ふっくら感を重視したもので、弾力がありプリプリした歯ごたえです。
素材も新鮮で、シンプルな料理だからこそ、その良さが引き立っています。
ソースは、酸味が強いヴェルジュソースで、散らされたニンニクも相まって食欲が増してきます。
ただ、美味しい料理であることには間違いないのですが、如何せん味や食材の使い方がシンプルすぎて感動が薄く、冷静に見ればそこら辺の美味しいビストロでも供されるレベル。
2つ星のレストランが供する料理としては、物足りなさが残る印象。

(4)メイン:ブレス産ミニパンタドーの一羽塩パイ包み焼き フォワグラのソテーと
 メインは6拓で、鶏のパイ包み焼きをオーダー。
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■ エルブのファルシ フランス産ウズラの一羽ロティとジロル茸のソテー
■ ラパンの肩肉のかるーいブレゼ 二種のオリーヴと
■ 骨付き仔羊の背肉のロティとフェーヴ アイユの香り
■ ブレス産ミニパンタドーの一羽塩パイ包み焼き フォワグラのソテーと(2人~)
■ 和牛フィレ肉のポワレとレギュームグラッセ 甘酸っぱいソース(+2,100円)
■ ドーバーソールのアンティエ ムーニエール(2人~)
---------------------------------------------------------------------
 この料理を選択すると、料理としてお皿で運ばれてくれる前に、まず焼き上がった鶏を目の前で切り分けれくれるというプレゼンテーションで楽しませてくれる。
料理はと言うと、シャンポン種というブレス産の最高級のホロホロ鳥をパイで包み塩焼きにしたもので、ソースはバルサミコソースを使用し、カリカリにソテーされたフォアグラと一緒にいただくというもの。
この料理は、何と言っても鶏が旨い。
鶏は比較的脂肪分が高いタイプで、口に含むとミルクやバターのようなクリーミーさが味わえる。
また、数種類の香草と一緒に焼かれているためか、味にしつこさはなく、軽い味わいに仕上がっている。
美味しいフォアグラが添えられているのですが、その存在を忘れさせてくれるほど鶏肉の旨さに魅了されます。
最高級の鶏肉の旨さを最大限に引き出した料理。

(5)デザート   
 デザートは下記の5択で、桃のシブストとマンゴーのクレームをオーダー。
---------------------------------------------------------------------
■ 桃のシブストとマンゴーのクレーム
■ カシスのムースといちじくのジュレ グアヴァのソルベ
■ ココナッツのムースグラッセとパイナップルのコンポート
■ クリオロ種をつかったミルクチョコレートのムースとクルミのパフェ
■ ゴールデンパインのココットロティ バニラのソースと牛乳のアイスクリーム(2人~)(+1,050円)
---------------------------------------------------------------------
 お皿一面に敷かれたマンゴーのソースの上に、桃のシブスト、アイスを配したという贅沢なデザート。
桃のシブスト・マンゴーのソースともにネットリ凝縮感のある仕上がり。
また、フルーツの青臭さがなく、果実の外側のみ使用して作れたものだということが容易に分かる。
デザートも料理に劣らずクオリティーが高い。

(6)チーズ   
 ワゴンで数種類のチーズが運ばれてきて、好きなだけ切り分けてくれるというスタイル。
このお店のチーズは、コースの中に含まれていて、別料金がかからないというのがうれしい。
ただ、今回は満腹状態でしたので、手を付けることが出来ませんでした。

(7)小菓子
 小菓子もワゴンスタイルで運ばれてきて好きなだけ食べることが出来る。
種類は、エメヴィベールのロゴの入ったチョコレート、紅茶/キャラメル/フランボワーズの3種のマカロン、ヌガーグラッセ、ワインのゼリー等々目移りしそうな多彩なデザートの数々。
前述したとおり、満腹状態でしたので、何とかマカロンを少々いただきました。

3 ワインについて
 食前にシャンパーニュ、前菜に合わせてグラスの白、肉料理に合わせてグラスの赤をオーダー。
グラスのシャンパーニュは2,100円、グラスワインは、2,000円前後の価格設定。
その他ボトルワインは、お店のHPに掲載されています。
個々の感想は下記のとおり。(シャンパーニュ忘れてしまいましたので除く)

(1)グラスワイン白:ピュイ・ヒュメ(¥1,890)
 グラスワインは、下記の4種類(聞き取れた情報のみ記載)で、ピュイ・フュメを選択。
---------------------------------------------------------------------
■ アルザスのリースリング
■ ソーヴィニヨンブラン
■ ピュイ・ヒュメ
■ ピュイ・ヒュッセ07
---------------------------------------------------------------------
ピュイ・ヒュメは、よく火打ち石に例えられますが、このワインもその特徴どおりスモーキーなニュアンスのする白ワイン。
 前菜とお魚料理にいただいたのですが、抜群の相性とまではいきませんでしたが、無難にマッチし、少し個性のあるワインを堪能させていただきました。

(2)グラスワイン(赤):ヴォーヌロマネ(¥2,310)
 グラスの赤は3種類でヴォーヌ・ロマネをオーダー
---------------------------------------------------------------------
■ ヴォーヌ・ロマネ07
■ カベルネソーヴィニヨン
■ サン・ジョセフ06
-----------------------------------------------------------------------------
  ヴォーヌ・ロマネは、万能型のブルゴーニュワインで、酸味と果実味のバランスが素晴らしい。
  また、ジュブレ・シャンベルタンの力強さ、シャンボール・ミュジニーのエレガントさも兼ね備えており、ワインだ
  けでも楽しめます。
  無論ホロホロ鶏との相性は抜群でうっとりしてしまいました。

4.接客について
  接客は、スマートでありながら暖かみがあるもので、スタッフ全員から感じ取れます。
 料理の説明は、簡潔で分かりやすく、お客の会話の邪魔をしないという配慮が感じ取れる。
 店を退出する際も、見送りをしていただき、接客に関しては言うことなく素晴らしい。

5.コストパフォーマンスについて
  最高のシチュエーションでいただくディナーを1万ちょっとでいただけるのは、かなりハイパフォーマンス。
 食事に関していえば、どの料理も美味しいのは前述したとおりですが、チーズがコースに含まれており好きな
 だけいただけること、また小菓子も好きなだけいただけることを考えれば、かなりのお得感を感じました。

6.総評
  雰囲気・料理・接客すべての面において、高いレベルで、4年連続2つ星というのは納得。
 あえて、重箱の隅を突付けば、料理にサプライズと感動が薄いということ。
 結婚式場も兼ねているレストランということもあり、誰もが美味しいと感じる料理をつくらざらるを得ないかもしれ
 ませんが、料理だけを食べに来た人の立場からすれば、少しは斬新な要素も見てみたいというのが本音。
 ただ、それを差し引いても、この雰囲気のなかで食事を楽しむことは、他のレストランは味わえないこと。
 ガストロノミーをじっくり体感させていただきました。
  

  • 外観
  • アミューズ
  • 前菜

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5位

ア・ニュ ルトゥルヴェ・ヴー (広尾、恵比寿 / フレンチ)

1回

  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥6,000~¥7,999

2011/02訪問 2011/03/11

仕事を休んで平日ランチ

                                                          業 務 連 絡
                                                          23. 2. 25
                                                          鈴ファン第48号

★ ★ ★ ★ ★ ★   ア・ニュ ルトゥルヴェ・ヴー (広尾)について   ★ ★ ★ ★ ★ ★

 ミシュラン東京/鎌倉2011において新規に1つ星を獲得したフレンチレストラン「アニュ」。
アニュとは”ありのままの”という意味のフランス語で、ありのままであることを思い出さしてくれる空間を提供す
るというお店のコンセプトでもあります。
過去に3度休日ランチの予約を取ろうと試みたのですがすべて失敗。
どうしても行きたかったレストランでしたので、平日に休暇をいただき訪問しました。

1.雰囲気について
  ウォールナットと白を基調としたインテリア、グレーと黒のレザーの椅子は、シンプルかつスタイリッシュ。
 天井が高いのが特徴的で、隣席との距離もゆとりがあり、開放感溢れる空間です。
 平日のランチということもあり、店内はマダムの集いが催されている状況。
 落ち着いた環境の中で食事と会話を楽しみたいのであれば、ディナーで訪れたほうがよいかもしれません。

2.料理について
  土曜ランチコースは下記の3種類。
 3、500円のコースはプリフィックススタイル、6、000円のコースはシェフのスペシャリテとなっています。
--------------------------------------------------------------------------------------
★ Menu de champagne:食前のお飲み物/前菜/お魚orお肉料理/デザート/食後のお飲み物 (\3,500)
★ Menu de luxe:前菜/本日のお魚料理/お肉料理/デザート/食後のお飲み物(\3,500)
★ Menu de specialites:前菜3品/お魚料理/お肉料理/デザート/食後のお飲み物(\6,000)
--------------------------------------------------------------------------------------
  コースにシャンパンが含まれる、ムニュードゥシャンパーニュのコース(¥3、500)をいただきました。
 見た目の美しさや創造力豊かな食材の組み合わせに目を奪われがちですが、味わいは以外にストレート。
 素材の良さを最大限に引き出すことを念頭に作られている印象です。
 個々の料理は下記のとおり。
(1)パン/バター
   アミューズはなく、最初に供されるのがバゲット。暖かい状態でサーヴされます。
  バゲットはクラムがやや厚めで、パリパリと元気に飛び散るタイプ。
  クラストはセミハードで気泡がやや大きめ。
  ソースを余り吸収しないタイプなので、バターを付けていただきます。
  バターは、無塩バターと無塩バターの上に岩塩をのせたものの2種類でした。 
(2)オードブル:ホタテ貝と紅心大根 2色のスープ
   前菜は下記の5種類で、本日のオードブルはサーモンの薫製でした。
--------------------------------------------------------------------------------------
★ ホタテ貝と紅心大根 二色のスーフ
★ 宮城県鳴瀬産 牡蠣とスペルト小麦のリゾット ベーコンの泡
★ ア・ニュのテリーヌ グレックレギューム添え
★ 魚介と野菜を詰めた 長野県産カブのファルシ 生ハムのコンソメジュレ
★ 本日のオードブル
+1,000円でお皿をもう一皿追加可能。
--------------------------------------------------------------------------------------
  メインをガッツリ系にしたので、オードブルは比較的あっさり目のホタテと紅心大根のスープをセレクト。
  白、黄、緑、紅色のコントラストが美しいオードブルは、温かいホタテのスープの上に、擦りおろした紅心大根、
  オリーブオイル、刻んだチャイブを配したもの。
  口に含むと、爽やかな磯の香りと凝縮感のあるホタテの旨みが口の中に広がります。
  スープの中には角切りの紅心大根が隠れており、同じ食材を異なる食感で楽しませてくれます。
  味わいは、ホタテの主張が強く、その他の食材は味のリズムを変えるアクセント的な役割。
  特にホタテのコクのある旨みと大根のさっぱり感の対比が絶妙で、それぞれの良さが強調されている印象。
  素材の良さを最大限に引き出したスープです。
(3)主菜:マダムビュルゴーのシャラン鴨もも肉のソテー白と赤のソース
   主菜は下記の5択。
  本日のお肉料理は、蝦夷鹿肉の腎臓を使った料理。
  本日のお魚料理は、萩産真鯛のポワレでした。
--------------------------------------------------------------------------------------
★ マダムビュルゴーのシャラン鴨もも肉のソテー 白と赤のソース
★ イベリコべジョータのカルビと季節野菜のココット蒸し焼き
★ 熟成和牛イチボのロティ アンチョビとケッパーのソース
★ タスマニア産オーロララムのロティ アリサノソース
★ 本日のお肉料理
--------------------------------------------------------------------------------------
  事前のチェックで、一番食べごたえのありそうだった鴨のソテーをオーダー。
  マダムビュルゴー産の肉質のしっかりした鴨肉を、薄く塩胡椒で味付けし、ソテーしたもの。
  ソースは2種類で、白いソースは玉ねぎのソース、赤いソースはビーツのソースとのこと。
  付け合わせには、紫が鮮やかなビーツを薄くスライスしたものが添えられています。
  この料理で印象的なのは、火入れの技法。
  皮は唐揚げと思わせるくらいパリパリで固いのですが、中は均一なピンク色。
  肉汁を外に一滴も逃さないぞという意志が伝わってくるような火入れです。
  味わいは、この技法によって鴨肉の動物的な旨みが強く出ている印象でジビエのような滋味深い味わい。
  異なる種類のグラスワイン2杯と合わせてじっくりと堪能させていただきました。
(4)デザート:ア・ニュのティラミス
   デザートは、下記の6択。
  本日のデザートは、宮城県産「もういっこ」というイチゴを使ったデザートでした。
--------------------------------------------------------------------------------------
★ モンブラン ランヴェルセ
★ 紅玉りんごの温かいスフレチーズケーキ キャラメル・サレのアイス添え
★ ア・ニュのティラミス
★ マンダリンのスープ 白ワイン、ショコラのジュレ クルトンと共に
★ アイス盛り合わせ
★ 本日のデザート
+500円で、前菜をもう一皿追加可能
-------------------------------------------------------------------------------------- 
  これだけ選択肢が多いと迷ってしまうのですが、店名の入ったティラミスをオーダー。
  供されたのは、マスカルポーネのソースの中に焦がしたメレンゲを浮かばせたもの。
  ソースの中には、コーヒーに浸けたブラックタピオカが入っており、お皿に敷かれたカカオパウダーと混ぜてい
  ただくと、口の中でティラミスの味覚になるという何とも遊び心があるデザート。
  シェフの創造力に脱帽です。
(5)食後のお飲み物:エスプレッソ(アルペジオ)
   食後の飲み物は、下記のコーヒー、エスプレッソ、お茶、ハーブティの中から選択。
--------------------------------------------------------------------------------------  
カフェ(コーヒーorエスプレッソ)
★ 季節のカフェ:季節に合わせ、バリスタが選び抜いた旬のカフェ
★ アルペジオ:高密度で力強い性質を持つ。メニューの中では一番の強さ。
★ ヴィヴァルト:強めの焙煎、軽やかな酸味、苦味を控えたバランス派。
★ ダルサオ:ブラジル豆のみを使用し、繊細で上品な風味を持つ。
★ フィネッツォ:フルーティーでライトなボディ。
★ デカフェルンゴ:カフェインレスだが力強さも持ち合わせる。
--------------------------------------------------------------------------------------
お茶
★ ダージリン
★ アールグレイ
★ ウバ
★ 翠玉
★ 茉莉花茶
★ 宇治玉露
--------------------------------------------------------------------------------------
ハーブティー
★ カモミール
★ ミント
★ ヴェルヴェーヌ
★ ローズ
-------------------------------------------------------------------------------------- 
  こちらも選択肢が多く、(玉露があるのには驚き。)選択に迷いましたが、一番濃厚なアルペジオというエスプ
  レッソをオーダー。
  濃厚なエスプレッソという売り文句ですが、そもそもエスプレッソは濃厚なものしか飲んだことがないもので他
  店のそれとの違いは、残念ながら見い出せませんでした。

3 ワインについて
  食前酒にコースにシャンパン、前菜と合わせてグラスの白、メインに合わせてグラスの赤を2杯オーダー。
 グラスワインの品揃えは赤白供に4本。オールフランスの布陣です。
 価格は、オーダーしたグラスワイン3杯はすべて1、200円。比較的良心的な価格です。
 個々の感想は下記のとおり。
(1)シャンパン:銘柄は忘れてしまいました。
   美しいグラスに注がれサーヴされたのは、コースに含まれるシャンパン。
  味わい・香りともに、果実味が抑え目で、ドライかつシャープなタイプ。
  シャンパン自体は美味しいのですが、何せアミューズが無いので何か物足りない印象。
  イチゴのソルベにシャンパンを注いだものを店の方が薦めていたので、このコースに限っては、そちらの方が
  満足感が得られるかも。。。
(2)白ワイン:サンジョセフ・ブラン・リスラ2007/ドメーヌ・イヴ・キュイロン(¥1、200)
   マルサンヌとルーサンヌという品種のブドウをブレンドしたローヌの白ワイン。
  粘性が高くボリューム感がありながら、全体的に柔らかな味わい。
  ヴィオニエの様な華やかな芳香を持つのが特徴的で、ハチミツのニュアンスが強い印象。
  爽やかなホタテと紅心大根のスープにはピッタリ。
  一足早く春を先取りしたような気分にさせられます。
(3)赤ワイン:サヴィニー・レ・ボーヌ2009/Dominique ANCELLIN(\1,200)
   ピノ・ノワール100%のブルゴーニュワイン。
  味わいは、果実味が強く、酸味・タンニンは抑え目でまろやかな印象。
  非常に香り高く、癖の強い鴨肉にも負けないアロマを持ちあわせます。
  アタックはエレガントでしっかりとした主張をするのですが、アフターにかけてフワッとした感じのするワイン。
(4)赤ワイン:クローズ・エルミタージュ2007/アラン・グワイヨ(¥1,200)
   シラー100%のローヌワイン。
  シラー特有のスパイシーさ、豊富な果実味、まろやかなタンニンのバランスが秀逸な綺麗なワイン。
  ここまで上品なシラーは珍しいのではないでしょうか。

4.接客について
  料理の説明、ワインを勧めるタイミング、適度な客との距離感等々、どのスタッフも高いレベルにある印象。
 ただ、スタッフの数が多いような感じが否めず、常に視線を感じるので何故か落ち着かない。
 一人一人の能力が高いので、そう感じてしまうのかも知れませんが。。。

5.コストパフォーマンスについて
  コース料理にシャンパンがついてこのお値段は破格。しかもミシュラン。
 数ヵ月先まで予約が一杯というのも頷けます。
 お会計を済ますと同時に、次の予約をいれたいほど。

6.総評
  料理・接客・コスパの素晴らしさは、あえて語る必要がないほど素晴らしいもの。
 特に料理の美味しさは感動もので、余韻がしばらく残りました。
 仕事を休んでまで訪問する価値のあるレストラン。

  • 外観
  • 店内
  • ワインセラー

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6位

デュ バリー (池尻大橋、三軒茶屋 / ビストロ、フレンチ、ワインバー)

1回

  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥2,000~¥2,999

2011/07訪問 2012/02/29

気軽にオシャレに本格フレンチを味わえるレストラン「デュバリー」

■ du Barry (池尻大橋・フレンチ)について/23.7.10

 池尻にあるフレンチレストラン「デュ バリー」。 (ボンヌ・プティット・ターブル東京掲載店)
食べログでレビューを書くようになってからというもの、口コミ件数を増やすために、同じ店をリピートリピートすることは皆無に近くなっているのですが、この店は例外で、メニューが変わるたびに訪れているレストランです。
このレストランが、コンセプトしてイメージしたのは、東京らしい「感度」
多様な価値観が交差する街に生活する人々に安らぎや喜びを提供し、愉しみの感じれるレストランを目指したいとのこと。
場所は、池尻大橋から三宿方面に歩くこと7~8分、R246から一本脇道に入ったところにあり、多少分かり難い場所にあるので、余裕をもって訪問したほうが良さそうです。

1.雰囲気について
 外観・内装ともにナチュラル系のカフェの様相で、気軽に入れる雰囲気がこのお店の良いところ。
お一人様のランチもよく見かけます。
店内は、明るく清潔感に溢れ、テーブルや椅子、その他調度品などに木が多用されており、暖かみのある雰囲気の中で食事がいただけます。
窓の外には、ハーブが沢山植えられており、まさに都会の中の癒しの空間といったところでしょう。

2.料理について
 ランチはプリフィックスタイルで、コースは下記の4種類。
オードブルとメインが味わえるメニューBをオーダーしました。
---------------------------------------------------------------------
★ Menu A:今日のスープ+メインディッシュ(\1,200)
★ Menu B:オードブル+メインディッシュ(\1,600)
★ Menu C:オードブル+今日のスープ+メインディッシュ(\2,000)
★ Menu D:オードブル+お魚料理+メインディッシュ(¥2,700)
※ すべてのコースに自家製パンと食後の飲み物が付きます。
※ +300円でデザートが付きます。
---------------------------------------------------------------------
 料理のコンセプトは、「あたたかく、おしゃれじゃないけど気持ちのこもった食べ応えのある料理」を提供することとのことですが、コンセプトに反して美しくオシャレな盛り付けの料理ばかり。
味わいも、繊細さや複雑さを兼ね備え、古典的なフレンチとは一線を画す模様。
なお、メニューは比較的頻繁に替わり、お店のHPに写真入りで紹介されているので、訪問する前にチェックされると良いかもしれません。
個々の料理の感想は下記のとおり。

(1)前菜:ガスパッチョに浮かべた真アジのポワレ
 前菜は下記の4択で、真アジのポワレをオーダーしました。
---------------------------------------------------------------------
■ パテ・ド・カンパーニュ
■ 鮮魚と魚介のカルパッチョ、サフランの香り
■ ガスパチョに浮かべた真アジのポワレ
■ ズワイ蟹とアボカドのタルティーヌ
---------------------------------------------------------------------
 涼しげなガラスのお皿に盛られた料理は、鮮やかなオレンジ色のガスパチョの上に真アジのポワレをのせたもの。
真アジの上にはイカ、皿の上にはアサリが添えられており、アクセントとしてイカ墨が加えられています。
この料理で秀逸だったのは、ガスパチョのソース。
ベースとなるトマトの甘酸っぱさに加え、濃厚な魚貝の出汁が加えられており、奥深い味わい。
また、イカ墨を加えることで、アジの複雑さも兼ね備え、非常に奥深いソースに仕上がっています。
アジは特有の旨みが強く、アジだけ食べても美味。無論ソースをつければ極上の味わいです。
前菜から繊細で複雑、しかも美しい料理で大満足です。

(2)パン&バター
 このお店で供されるパンは、ソフトな全粒粉のパンで、秀逸なソースを拭って食べるのに重宝します。
マヨネーズの様な形をしたバターも付きますが、前菜・メインともソースが素晴らしいので、バターは使用しませんでした。 

(3)メイン:豚頬のビール煮込み
 メインは下記の5択で豚頬のビール煮込みをオーダー。
---------------------------------------------------------------------
■ 仔羊のグリエ ペルシャード
■ 豚頬のビール煮込み/オニオンフォンダンのスープ。
■ 牛ロースのステーキ
■ ラ・コンプレート
■ 今日のお魚料理
---------------------------------------------------------------------
お皿にドカンとのせられた豚頬の固まりは、適度な歯ごたえを残し、肉を頬張る喜びが感じられるもの。
味わいは、豚肉の旨みが感じられるのですが、ビールで煮込むことにより後味がほろ苦く、大人の味わい。
ソースは、まろやかで甘みのあるオニオンフォンダンのスープ。
肉の旨みと苦味、スープの甘さ。
一見すると味の方向性がバラバラのようですが、結果的にはそれぞれの良さが引き出され、非常に味わい深い料理に仕上がっています。 

(4)デザート:ヌガーグラッセ
 デザートは下記の3択で、ヌガーグラッセをセレクトしました。
---------------------------------------------------------------------
★ パッションフルーツのタルト
★ マンゴーのクレームブリュレ
★ ヌガーグラッセ
---------------------------------------------------------------------  
 デザートは。やや小ぶりな印象を受けますが、前菜・メインがボリューミーなので、量的には調度良い感じ。
オーダーしたヌガーグラッセは、ナッツは少なめで、口解けのよいクリームを楽しむもの。
ベリー系の甘酸っぱいソースがかけられており、クリームの芳醇さ、ナッツの香ばしさとの調和が楽しめます。

(5)コーヒー&フルーツ
 食後の飲み物は、コーヒー又は紅茶が選べ、コーヒーをオーダーしました。
暖かみのある容器に注がれたコーヒーは、泡立っているのが特徴的。
また、添えてあるミルクが以外にリッチな味わいで、優雅な気分で家路に着くことができるでしょう。

3.ワインについて
 食前にスパークリングワイン、前菜に合わせてグラスの白、メインに合わせてグラスの赤をオーダー。
ワインは赤・白ともに3択で、いずれもお財布に優しい価格設定。
また、たっぷりと注いでくれるので、料理とワインの相性を心行くまで堪能できます。
個々の感想は下記のとおり。  

(1)スパークリングワイン:銘柄等不明(\900)
 泡立ちがきめ細かく優雅な雰囲気を持つワインで、味わいは豊富な果実味に、グレープフルーツとハチミツのニュアンスが感じられ、非常に余韻も長いもの。
また、前述したとおり、たっぷりグラスに注がれるので、人によっては前菜まで楽しめるかもしれません。

(2)グラス(白):オーストリア/シャルドネ(\700)
 ミネラルが強いのが印象的な微発泡の白ワイン。
果実味もしっかりしており非常に美味。
キリッとした喉越しなので、夏に冷やして飲むと、最高でしょう。

(3)赤ワイン:カベルネソーヴィニヨン(\700)
 カベルネ、ピノノワール、シラーの3択で、カベルネをオーダー。
スパークリングワイン、白ワインともに果実味が豊富だったのですが、こちらも濃厚タイプ。
口当たりが滑らかで、味わいはエレガントで700円のワインとは到底思えない。
このお店は、ワインのセレクトが本当に素晴らしいなと実感。

4.接客について
 物腰が柔らかい接客で、店の雰囲気にマッチしている。
料理・ワインに関する説明・知識も十分で、カジュアルっぽい店の雰囲気ですが、しっかりした接客。
非常に好感が持てます。

5.コストパフォーマンスについて
 しっかりとした量の前菜・メインが味わえて1,000円台の価格設定は、まさにフレンチの価格破壊。
私の中では間違いなく、都内のフレンチレストランのコストパフォーマンス大賞。

6.総評
 繊細な味付けの料理、厳選されたワインを、肩肘張らずにじっくり楽しめるレストラン。
口コミを書いているとまた行きたくなってしまったので、そろそろ次回の予約を入れようかな。

  • (10月訪問)メイン:スペアリブのカルダモン風味
  • (10月訪問)前菜:秋サバのミジョテ 松茸のスープ仕立て
  • 外観

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7位

ビストロ・ミル・プランタン (勝沼ぶどう郷 / ビストロ、フレンチ)

1回

  • 昼の点数: 3.7

    • [ 料理・味 3.5
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.5 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥2,000~¥2,999

2011/05訪問 2012/02/19

国産ワインの魅力、勝沼の魅力を満喫できるレストラン「ビストロ・ミル・プランタン」

■ ビストロ・ミル・プランタン(甲州市・フレンチ)について/23.5.7
 
 2010年7月勝沼に誕生したレストラン「ビストロ・ミル・プランタン」。
銀座の名店「レカン」のチーフソムリエをしていた五味氏が故郷の勝沼に開いたお店です。
勝沼には、ワイナリー巡りで頻繁に訪れるのですが、本格的な食事と合わせて飲んだことがないことや、五味氏がセレクトするワインを味わいたく、初めて訪問させていただきました。
場所は、勝沼バイパス沿いにあり、高速バスの勝沼バス停から西へ歩くこと約10分位です。
店が開店する11:30頃訪れたので、先客はいませんでしたが、12:30頃には8割程度埋まっていました。
遠方から行かれる方は、特に予約は必須でしょう。

1.雰囲気について
 店内は、テーブル、椅子、床ともに焦げ茶で統一され、いかにもビストロっぽい印象。
盆地の高台に位置するため、窓からは辺り一面に広がるぶどう畑を見渡せます。
土曜のランチで訪れたのですが、客層は私同様、ワイナリー巡りで遠方から来られる方々がほとんど。
服装はラフな感じの方が多く、気軽に料理とワインを楽しむ雰囲気のお店です。

2.料理について
 ランチタイムは1,680円のコース料理が用意され、スープ+サラダ+バゲット+メイン+ドリンクといった構成。
プラス300円でデザートを付けることができ、予約すれば、3,000円のコースもいただくことが可能です。
料理は、地元で採れたの有機野菜を使用するなど、山梨の食材をふんだんに使用しており、まさに地産地消。
このお店にくれば、山梨県のの食べ物、飲み物を満喫できることでしょう。
個々の料理の感想は下記のとおり。

(1)かぼちゃのスープ
 カボチャのスープがマグカップに注がれ運ばれてきます。
いかにも濃厚そうな黄色のスープで、大き目のクルトンを浮かべ、パセリを散らしたというシンプルなもの。
スープは、見た目どおり、カボチャの味がしっかりと抽出されて、塩気もしっかり。
ワイナリー巡りで歩き疲れていたため、失われたミネラル分が体に染み渡る感じがして美味でした。
大き目のクルトンからは、質の良いバターの香りが感じられ、余韻が残る味わいに仕上がっています。

(2)サラダ
 トマト、玉ねぎ、サニーレタス、エンダイブなど数種類の野菜を使用し、ソースはヴィネグレットソースを使用したという至ってシンプルなサラダ。
野菜は、県内の有機農家の野菜を使用しており、新鮮そのもの。
素材そのものを生かした優しい味付けで、ふわっとした感じのシャトレーゼのシュールリーとよく合いました。

(3)バゲット
 焼きたてのバゲットが、かごに入れられサーヴされます。
クラストは、飛び散るほどパリッとしていて、クラムはむちむち、一番好きなタイプのパン。
メインでオーダーした牛スジ肉のスープを拭って食べたのですが、肉の旨みがパンに染み渡り大変美味。

(4)メイン:牛スジ肉と春野菜の煮込み
 メインは、甲州麦芽ビーフのグリエか、牛スジ肉と春野菜の煮込みの2拓で、後者を選択。
牛スジ肉、トマト、ニンジン、ジャガイモ、ねぎ、ぜんまいをデミグラスをソースで煮込んだもので、付け合わせにクレソンを練りこんだフェットチーネが添えらた一品。
スープを口に含むと、凝縮感ある肉の旨みが口の中一杯に広がります。
お肉はトロットロになるまで煮込まれ、野菜はかみ締める度に中から水分があふれ出すという新鮮なもの。
パスタは、デミグラスソースに絡めて食べるように出来ていて、軽く塩と胡椒をふった程度の味付けで、ほのかにクレソンの風味が感じ取れます。
ソースをパンで拭って食べるのもいいのですが、パスタに絡めて食べてもまた絶品でした。
今回は、白ワインを3種類いただいたので赤ワインはオーダーしませんでしたが、五味氏お勧めのベリーAと合わせて飲みたかった。

(5)コーヒー   
 食後のドリンクは、コーヒーか紅茶から選べ、コーヒーを選択。
コクがしっかりしているのです、後味スッキリで爽やかな印象のコーヒーでした。

3 ワインについて
 ワインは、通常のメニューリストの他、店内のボードに掲示されている「お勧めグラスワイン」からも選ぶことができます。
気になるワインばかりで、選ぶのに苦慮しましたが、「甲州シュールリー飲み比べ」という魅惑的なメニューがあり、そちらをオーダーしました。
ちなみに、「お勧めグラスワイン」の一例を、下記に記載してみました。
---------------------------------------------------------------------
 ■甲州
   大泉勝沼甲州 (¥500)
   ルバイヤート甲州シュールリー2009 (¥700)
 ■ベリーA
   シャトーマルス カベルネ・ベリーA穂坂収穫 (¥700)
   山梨ワイン ベルカント マスカット・ベリーA樽貯蔵2009 (¥900)
 ■シャルドネ
   シャトージュンシャルドネ2009 (¥700)
 ■ピノ・ノワール
   Eco BALANCE 「チリ産」 (¥900)
---------------------------------------------------------------------
「甲州シュールリー飲み比べ」についての感想は、下記のとおり。

(1)ダイヤモンド酒造 シャンテY.A アマリージョ2010
 オーナー曰く、2010年物のアマリージョは、つい先日売り始めたらしく、前日にダイヤモンド酒造から買ってきたものとのこと。
アマリージョとは、スペイン語で「黄色」の意味で、3種類の中では、一番濃い色したワイン。
味わいは、アタックに甲州種の柔らかく優しく、そしてキリッとした口当たりが楽しめるのですが、アフターにかけて果実の旨みが溢れ出し、時間差で楽しませてくれるワイン。
あまりにも美味しかったので、近くにあるワイナリーまで行って購入してしまいました。

(2)シャトレーゼ 甲州シュールリー2009
 色はほぼ無色で、ふわっとした果実味と香りが印象的なワイン。
後味は、キリッと爽やかで辛口の日本酒を思わせ、薄味の和食に良く合いそうな雰囲気。
こちらもシャトレーゼワイナリーでご購入。  

(3)丸藤葡萄酒工業 ルヴァイヤート 甲州シュールリー2009
 ルヴァイヤートのシュールリーは、3本の中では唯一の複雑系。
フレッシュなアロマと生き生きとした酸味、そして甲州種特有の渋みがバランス良く調和して、ややどっしりした感じの白ワイン。
こちらは、自宅のセラーにルヴァイヤート樽貯蔵2009が残っていたので、空けるまで購入は見送り。

4.接客について
 接客はご夫婦2人で対応されるようですが、主にはオーナーがフロアに立たれている様です。
料理の説明、流れるようなワインのサーヴの仕草、ユーモアを交えた会話など、さすがは元レカンのチーフソムリエ。オーラすら感じます。

5.コストパフォーマンスについて
 料理は、特段高級な食材は使用していないのですが、鮮度が素晴らしく、勝沼に来た時は、毎回ここに来ようかなと思わせる充実の内容。
ワインについては、原価率から換算すれば、相場並みと価格と言えるのでしょうが、五味氏厳選の国産ワインを味わえること、国産ワインに関する話をじっくり聞けることを勘案すれば、かなりお得。
バス代も新宿から往復3,000円くらいなので、月に1回は来たくなるようなお店です。

6.総評
 ワイナリー巡りをして美味しいワインを探すのも楽しいのですが、星の数ほどあるワインの中から、これといったワインを探すのは、至難の業。
そんな時には、このお店で美味しい食事を取りながら、オーナーが勧めるワインを堪能し、その中から自分好みのワインをワイナリーまで行って買い付けるといった楽しみ方もアリだなと思いました。
このレストランのおかげで、国産ワインの魅力、勝沼の魅力が更に増しました。

  • 甲州シュールリー飲み比べ
  • 店内
  • かぼちゃのスープ

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8位

ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション (六本木、麻布十番、乃木坂 / フレンチ)

1回

  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥6,000~¥7,999

2011/02訪問 2011/02/19

卓越した技量のフレンチを様々なアプローチから楽しませてくれるレストラン。

                                                          業 務 連 絡
                                                          23. 2. 12
                                                          鈴ファン第46号

★ ★ ★ ★ ★ ★   ラトリエ・ドゥ・ジョエル・ロブション (六本木)について   ★ ★ ★ ★ ★

 ミシュラン東京2つ星レストラン「ラトリエ・ドゥ・ジョエルロブション」。
「気軽に自由に楽しめるシンプル・フレンチ」とのロブション氏の提唱に基づき作られたお店。
普段は、ご近所ある同じセカンドラインのラターブルがあるので、あえて六本木まで足を運ぶ必要はなかったので
すが、予約で満席だったため、今回は六本木のラトリエに初訪問です。
土曜日ランチで利用したのですが、以外にも空席がちらほら。
お客の回転も早いので13時以降であれば予約なしでも大丈夫かもしれません。
場所は、六本木ヒルズ ヒルサイドの2階です。

1.雰囲気について
  赤と黒を基調とした店内は、モダンでスタイリッシュな空間。
 ロブション氏が銀座にある行きつけの寿司屋からヒントを得たと言われる44席の長いカウンターがひときわ目を
 引き、寿司屋ともバーともとれる雰囲気。
 また、オープンキッチンの活気のある店内は、バルとも取れる雰囲気をも持ち合わせます。
 この混沌とした不思議な雰囲気はこの店にしかない独特のもの。
 土曜ランチの客層は、観光ついでに来られた方が多めで、店にこなれた感じの人の比率は少なそう。 
 用途は様々で、しっかり食事をとりたい方、ちょっとした食事とワインを楽しみたい方、パンを楽しみたい方、六
 本木のオシャレな空気を感じたい方等々、様々なニーズに応えてくれそうなお店です。

2.料理について
  土曜ランチのコースは下記の4種類でアラカルトもOKとのこと。
--------------------------------------------------------------------------------------
★ アミューズブッシュ+前菜+主菜+デセール+カフェ(\3,900)
★ アミューズブッシェ+前菜orデセール+主菜+カフェ(\2,950)
★ アミューズブッシェ+前菜2品+主菜+デセール+カフェと小菓子(\5,400)
★ 9皿のコース+カフェと小菓子(\12,600)
--------------------------------------------------------------------------------------
 前菜かデセールかを選択する2,950円のコースをオーダーし、前菜の方をいただきました。
 料理の印象は、ロブション氏が提唱するとおりシンプルかつカジュアルなフレンチ。
 このコースにおいては、高級な食材は使用しておらず、見た目も簡素で不必要な要素を削ぎ落とした印象。
 しかしながら、味に関しては一切妥協を許しておらず、卓越した技法や食材選びの秀逸さを至る所に垣間見る
 ことができ、カジュアルフレンチと言い切ってしまうのが恐れ多いほどのこだわりが感じられます。
 個々の料理の感想は下記のとおり。
(1)アミューズブッシュ:豚のリエット
   最初に供されたのは豚のリエット。
  うっすら焦げ目がつくぐらいカリカリに焼かれたバゲットの上にのせられています。
  リエットは、肉の脂が滴らんとするほどジューシーでフレッシュ。
  この脂が染み込んだバゲットも美味。
  塩加減は薄目で、肉本来の旨味を味わうタイプで、お酒なしでも美味しくいただけけます。 
  シンプルですが、レベルの高いリエット。
(2)パンの盛り合わせ
   パンは下記の3種類。
  重厚でスタイリッシュなボウルに盛られて運ばれてきます。
  パンがなくなると焼きたてのパンをサーヴしてくれるので、ロブションのパンを十分堪能できることでしょう。
☆☆ バゲット ☆☆
    両端が尖ったタイプのプチバゲット。
    味わいは極めてシンプルで、ほのかな塩気と小麦の風味が味わえ、どんな料理にも合う優等生。
    両端の焦げ目が食感・味わいにアクセントをつけています。
☆☆ パン・オ・ルヴァン ☆☆
    天然酵母を発酵させてつくられた酸味の強いパン。
    クラフトがパリパリでクラムがもちっとしていて個人的には一番好きなタイプ。
    このパン独特の酸味とタンニンの強い赤ワインとの愛称が抜群でした。
☆☆ ブリオッシュ ☆☆
    甘めの生地とフワフワの食感が日本人受けしそうなパン。
    地鶏卵の前菜と合わせていただきました。
    ブリオッシュと半熟卵、ベーコンの脂、キノコ(トリュフじゃないですが)の組み合わせはエッグベネディクト。
    パンが食材すべての旨味を吸収し、非常に美味。 
 
(3)前菜:地鶏卵 季節のキノコと共に 軽いカプチーノ仕立て
   前菜は下記の3種類から選択。
--------------------------------------------------------------------------------------
★ カボチャのなめらかなヴルーテ フレッシュチーズのタルティーヌを添えて
★ 自家製スモークサーモン 酸味のあるエシャロットクリームを添えて
★ 地鶏卵 季節のキノコと共に 軽いカプチーノ仕立て
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  食べログレビューで、キノコの前菜の写真が掲載されていませんでしたので、あえてオーダーしてみました。
  こちらの前菜は、ソテーした椎茸・シメジ・舞茸・マッシュルームの上に半熟卵をのせた料理で、卵の上の網
  目状の模様は、ソバ粉のガレット。
  パリパリ割ってそのままいただくのも良し、ソースにヒタヒタにつけて食べるのも良し、良い食感のアクセントと
  なる存在です。
  ソースはキノコの泡のソースでカリカリのイベリコハムとイタリアンパセリも散らされています。
  少し唐辛子を振っている模様で、ピリ唐風味の料理です。
  この料理の主役はなんといっても旬のキノコたち。
  味わい香り共に非常に強く、キノコの旨みを余すことなく抽出しており、技量の高さと素材選びの秀逸さを伺
  い知ることができます。
  卵は、料理全体にコクとまろやかさを与える役割で濃厚なキノコのスープと絡み合い、より深い味わいを醸し
  出しています。
  前述しましたが、卵の黄身、キノコのソースをブリオッシュで拭って食べるのが非常に美味。
  この冬食べたキノコ料理の中ではシンプルな部類に入るのですが一番の美味しさ。

(4)主菜:マトウダイのポワレ タルべ産インゲン豆とジャガイモのクルスティアン
   主菜は下記の3種類から選べるのですが、アイナメが終わってしまい、マトウダイに変更となっていました。
--------------------------------------------------------------------------------------
★ アイナメのポワレ タルべ産インゲン豆とジャガイモのクルスティアン
★ 群馬産せせらぎポークのフィレ肉をマジョラム風味のグラチネに 野菜のソテーを添えて
★ 鴨のフォアグラのプランシャ焼き パルメザンのリゾットと共に(+\1,680)
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  オーダーしたのは、通常のメニューに載ってないというレア感からついついマトウダイのポワレをオーダー。
  お皿にたっぷりと敷き詰められたフランス産白インゲンの上に、大振りなマトウダイのポワレをのせたもの。
  魚の上にはポテトのクリスピーと水菜が添えられ、イタリアンパセリ・唐辛子が軽く振られています。
  ソースはバルサミコソースで、お皿の上に茶色く描かれ、見た目にも美しい料理です。
  マトウダイは、うっすら焦げ目を付けた程度の火入れで、パリパリ感よりジューシーさを重視している模様。
  塩加減は結構しっかりしており、ワインがないとキツイかも。
  白インゲンは、魚の旨みを十分に吸収し、これだけでワイン1本ぐらい空けてしまいそう。
  また、予想以上に水菜の風味が強く、後味爽やかで早春を思わせる爽やかなフレーバー。
  白い花の香りがするワインと合いそうな予感。

(5)エスプレッソ
  酸味が強いタイプのエスプレッソ。
 非常に余韻が長く、格調高い味わいで、家に着くまで優雅な気分が続きそう。

3 ワインについて
  食前酒、前菜にあわせてグラスの白、パン・オ・ルヴァンにあわせてグラスの赤をオーダー。
 グラスワインは、フランス産、スペイン産、東欧産、国産等々バラエティに富み、赤白それぞれ10種類以上もの
 品揃えは圧巻の一言。
 価格は、700円程度のものから3,000円台を超えるものまで(モンラッシェなどは、\3,500ぐらい)非常に選
 択肢が広く、ふところ事情に合わせたオーダーが可能なのが魅力的。
 個々の感想は下記のとおりです。
(1)キール(\1,200)
   シャンパーニュが1,900円位したもので、いろいろ悩んだあげくお値段安めなキールをオーダー。
  キールはカシスとアリゴテの配分が店によってまちまちで、当たり外れが大きく(残念な経験の方が多い。)
  リスキーな選択でしたが、さすがはロブション、選んで大正解。
  しっかりとした骨格の良質なアリゴテワインを使用し、ワインの配合比率も相当高く、華やかなアロマのある
  ロゼワインといった印象。
  気分も華やかになります。
(2)白ワイン:ラングドック(\1,200)銘柄は忘れてしまいました。。。
   ラングドックの赤は、この冬ジビエに合わせてたくさん頂いたのですが、白でお目にかかるのは初。
  前菜との相性を考慮せず、ついつい興味本位でオーダーしてしまいした。
  シャルドネを使用したワインで(多分)、フレッシュな酸味と豊かな果実味が口いっぱいに広がります。
  太陽をいっぱいに浴びた葡萄から作ったような陽性でトロピカルなワイン。
(3)赤ワイン:Ch.Cransac Renaissance(\1,400)
   主菜にあわせて白ワインをオーダーしようと思ったのですが、パン・オ・ルヴァンが想像以上に美味しかった
  ので、衝動的に「タンニンの強い赤ワインを下さい」とソムリエにお願いし、サーヴされたのがこのワイン。
  フランス南西地方特有のネグレット種とカベルネ・フラン、シラーなどをブレンドしたワインで、口当たりは比較
  的ソフトで、酸味は強いが渋みは穏やかで、いろいろブレンドした結果グルナッシュになりましたといった感じ
  の面白いワイン。
  ロブションセレクトだけあって、無論美味しいワインでキノコの前菜にもあうのかなといった印象。

4.接客について
  いい意味でドライな感じ。
 総席数が多く、回転率が高いお店なので、1人1人に対応していられない状況から必然的にそういった対応に
 なってしまうかも知れませんが、じっくり食事とお酒と会話を楽しみたい人にとってはむしろ良い。
 また、こちらからアプローチすれば快く対応してくれますし、ワインを勧めるタイミング等バッチリで、忙しそうなの
 によく見ているな~と感心させられてしまいました。
 こういう洗練された都会的なスタイルのお店には、ドライな接客があっているし、その空気が心地よい。

5.コストパフォーマンスについて
  料理・お酒いずれにおいても、選択肢が広く、安く済ますことも可能であれば、思いきり贅沢することも可能。
 シチュエーションやふところ事情に合わせてお値段を選択できる自由度の高さはとても魅力的。

6.総評
  お店のコンセプトどおり、シンプルに素材の旨さが引き出された料理が多く、無駄な要素は省いているが、卓
 越した技量と食材選びの秀逸さで、旨さのポイントは抑えているといった印象。
 また、もう1つのコンセプトである自由度が高いといった点も魅力的で、用途によって様々な使い分けが可能。
 個人的には、じっくり料理を楽しみたいなら恵比寿のシャトー、気軽に楽しみたいなら六本木のラトリエといった
 感じで使い分けたいところ。
 仕事帰りにふらっと1人で立ち寄りたいレストラン。

  • 外観
  • 外観(ロブション氏ズーム)
  • メニュー(\3,900/\2,950)

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9位

モノリス (渋谷、表参道、明治神宮前 / フレンチ)

1回

  • 昼の点数: 3.9

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 3.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.5 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥6,000~¥7,999

2011/10訪問 2012/01/02

繊細な味付けながら、素材の主張を強く感じ取れる料理。

■ モノリス (渋谷・フレンチ)について/23.9.18

 渋谷にあるフレンチレストラン「モノリス」。(ミシュラン東京2011 1つ★)
モノリスという店名は、映画「2001年宇宙の旅」に登場する進化の象徴である1枚岩に由来し、料理・スタッフ共に進化していこうという思いから命名されたとのこと。
シェフは過去に「モナリザ丸の内」の料理長という経歴をもち、当時3年連続ミシュラン1つ★を獲得し、この店においても既に1つ★を獲得したという実力派です。
場所は、渋谷駅から徒歩10分、宮益坂をのぼり青学の手前で六本木通り方面に右折するとお店はあります。
日曜ランチで訪問させていただきました。

1.雰囲気について
 渋谷の雑然とした商業地を歩き進むと、こげ茶の外観を持つ店舗が目に入ります。
店内は、全体的に白・黒のモノトーンでまとめられ、シックで大人の雰囲気。
隣席との距離が若干狭めで、全体的に静かな店内なので、大人数で会食するというよりは、少人数でじっくりと料理を楽しむ使い方に向いています。
2人でディナーに訪れるのがベストでしょう。

2.料理について
 訪問した際のランチのコースは下記の3種類で、高いコースほど選択指が増えるというもの。
(※ 現行メニューとは、多少異なります。)
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★ Menu A:アミューズ+前菜+魚又は肉+デザート+食後のお飲み物(\3,045)
★ Menu B:アミューズ+前菜+魚又は肉+デザート+食後のお飲み物(\4,045)
★ Menu Traditional:旬のコース (\5,880)
---------------------------------------------------------------------
一番価格がお安い「MENU A」のコースをオーダーしました。
料理の全体的な印象としては、お店のHP等の写真を見てわかるように、見た目が美しいということ。
あらゆる料理に色鮮やかな野菜がが多用されているのが特徴的で、野菜好きにもうれしいところ。
料理の味付けは、全体的に薄味かつ繊細で、素材本来の美味しさを味わうタイプ。
いわゆる、女子受けしそうな要素を盛り込んだ料理といったところでしょうか。
個々の料理の感想は下記のとおりです。

(1)アミューズ:茄子のムース/セサミのスティック
 アミューズとして供されたのは、茄子のムース。
ムースは、茄子とチーズをあわせたもので、口に含んだ瞬間に、茄子の風味がふわっと広がり、後からチーズの香りと味わいが追いかけてくるというもので、茄子及びチーズの双方の存在が感じられるムースです。
ムースの上に載せられているのは、イカを小さく刻んだもの・バジルのペースト・茄子のチップスの3種で、イカの深みのある味わい、バジルの爽やかさ、チップスのパリパリとした食感で、秀逸なムースをさらに複雑な味わいへと導く役割。
セサミのスティックも温かく、ゴマの香りが香ばしく、お酒にもよく合いました。
見た目の美しさ、味わい共にクオリティーが高く、前菜クラスの充実度でした。

(2)前菜:焼きトウモロコシのババロア、アボカドと天使の海老のジュレ寄せ
 前菜は、トウモロコシのババロアの周りに、コンソメのジュレで包んだ海老とアボガドを添えたもの。
この料理も非常に繊細な味わいで、トウモロコシの香ばしさと自然な甘さを楽しむことに主眼がおかれてており、コンソメのジュレなどは非常に薄味でババロアの存在を引き立てる役割。
海老もジュレ同様、非常に薄い塩味がついているだけで、身のプリプリ感を楽しむアクセント的な存在。
最低限の味付けで、素材の味を最大限に引き出した秀逸な料理です。

(3)メイン:イベリコ豚のセクレタのグリエ 野菜のファルシーとスペッツレ添え
 メインは、肉料理か魚料理の2択で、肉料理を選択。
当日の肉料理は、イベリコ豚のセクレタ(肩ロースの上についている脂と脂の中に入っている赤身の部分)をグリエし、付け合わせマッシュルーム等数種類のキノコ、ヤングコーン、しし唐、ルッコラを添えたもの。
 味付けにはバルサミコのソースが使用されています。
メインは前菜までの傾向に反して、直球勝負の調理法で肉食動物の本能を刺激するような料理。
セクレタという部分は初めて食べたのですが、赤身でありながら非常にジューシーで甘みが強く、なぜ今まで知らなかったのだろうと少し後悔するほどの旨さ。
直球勝負の料理ですが、素材の味を生かすということに関しては、オードブルから一貫されており、イベリコ豚のセクレタをじっくり堪能させていただきました。

(4)デザート:バナナのケーキ、キャラメルアイス
 デザートは数種類から選べ、ケーキとアイスの盛り合わせをいただきました。
ケーキはバナナのしっとりとしたケーキで、その上にキャラメルのアイスが乗っており、チョコレートのスッティックが添えられているというもの。
個人的にはキャラメルアイスが好み。
苦味が強いタイプのキャラメルアイスで、まさに大人の味わいです。
デザートのために少し残しておいた赤ワインと一緒に食べても絶品でした。

(5)食後の飲み物&小菓子 
 食後の飲み物は、コーヒー・紅茶・エスプレッソから選べます。
飲み物と一緒にフィナンシェも運ばれてくるのですが、これが熱々の状態で運ばれてくるのにはビックリ。
最後の最後まで細かい配慮が行き届いているのには脱帽です。

3.ワインについて
 アミューズに合わせてシャンパーニュ、前菜にグラスの白、メインにグラスの赤をいただきました。
グラスワインの品揃えはフランス中心で価格は1,000円程度。
訪問した日は赤・白ともにブルゴーニュワインが選べたので、ブルゴーニュ好きの私としてはうれしい限り。
個々の感想は下記のとおりです。(残念ながらシャンパーニュは忘れてしまいました。)

(1)グラスワイン(白):マコン/シャルドネ
 白のグラスワインは下記の3択で(記憶にある情報のみ記載)、マコンのシャルドネをオーダー。
---------------------------------------------------------------------
★ アルザス/リースリング
★ マコン/シャルドネ
★ イタリア/ソーヴィニヨン・ブラン
---------------------------------------------------------------------
比較的強い酸味としっかりとしたミネラルをもち、バランス系の洗練された印象のする白ワイン。
他の2種のように主張は強くないのですが、繊細な前菜と合わせるとなるとコレがベスト。

(2)グラスワイン(赤):マルサネ  
 赤は下記の3択で、ブルゴーニュ好きとしては選択肢は1つ。
「マルサネ」をオーダーしました。
---------------------------------------------------------------------
★ マルサネ/ピノ・ノワール
★ TEMPERANCE/ボルドー/メルローとカベルネソーヴィニヨンのブレンド
★ ラングドック/シラー
---------------------------------------------------------------------
写真で見てわかるとおり、深いルビー色の美しい色調のワインで口当たりも滑らか。
飲み口はとても柔らかく上品ながらも、実はしっかりとした骨格で余韻が長いという、典型的な美味しいブルゴーニュワイン。
料理と合わせるのを忘れてしまいそうなほど、ワインに魅了されてしまいました。

4.接客について
 店の雰囲気と同様、静かかつ落ち着いた接客で、料理の説明等も不必要に長くないタイプ。
個人的には、同席者との会話を寸断されるのがあまり好きじゃないので、こういった感じの接客が好き。
また、店を出るときにはシェフが見送りに着てくれ、一番お安いコースを頼んだのにわざわざ来てくれてと、非常に恐縮してしまいました。

5.コストパフォーマンスについて
 3,000円程度のコースで、しっかりと作り込まれたアミューズと小菓子がつくのは、かなりのお得感があります。
また、料理のボリュームもしっかりしたもので、美味しい料理を、お安く、お腹一杯に食べることができ、この上ない満足感を味わうことができました。

6.総評
 接客・コスパ等すべての面においてレベルが高いのですが、何といっても料理が美味しい。    
元モナリザの料理長ということもあり、相当期待して訪問したのですが、想像どおりの美味しさで、しかもそれは一番お安いランチコース。
次回訪れるときは、是非スペシャリテをオーダーし、心行くまでクオリティーの高い料理を堪能したい。   

  • アミューズ
  • 外観
  • 店内

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10位

メゾン・ド・スリジェ (神泉、代官山、渋谷 / フレンチ、ビストロ)

1回

  • 昼の点数: 3.8

    • [ 料理・味 3.5
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥5,000~¥5,999

2011/10訪問 2012/01/02

時間が経つのを忘れてしまうほど居心地の良いレストラン「メゾン・ド・スリジェ」

■ メゾン・ド・スリジェ(鉢山町・フレンチ)について/23.10.15

 渋谷区鉢山町にある一軒家のフレンチレストラン「メゾン・ド・スリジェ」(ボンヌ・プティット・ターブル掲載店)
新鮮な素材を使った、代官山フレンチ最先端の旬の味覚を味わってもらいたいというのが、この店のコンセプト。
今回、レストランには初めて訪問させていただきましたが、店舗営業のほかに宅配もやっており、よく利用させていただいていたので、一度はお店に行こうと思ってたお店です。
場所は、代官山駅・神泉駅のほぼ中間で徒歩10分弱、閑静な住宅街の中にある一軒家のレストランです。

1.雰囲気について
 店は、古民家を改築して作ったというアンティークな造りで、1階はデリ、2階にレストランという構造。
 店内は、100年以上前のヴィンテージウッドの床板、1940年代のシャンデリアを使用しているとのことで、この空間だけ時間が止まっている様な錯覚に陥らせる心地よいレストランです。
また、座席数も合計15席でと少なく、臨席との距離も十分あるので、非常にゆったりとした雰囲気で、ランチでありながら、ディナーで訪れた様な感覚で食事を楽しめました。

2.料理について
 ランチのコースは下記の4種類で、料理&食べ物から5品選べるという「メニューA」を選択。
なお、メニューAとBについては、オーダーの仕方が特徴的なので、初めて訪れる方がスムーズに注文できるように少し説明させていただくと、まず同じカテゴリーの料理を4~5種類選べるということが特徴的で、前菜5品でも、ワイン5杯という注文方法でもOKとのこと。
2つ目のポイントとして料理の注文数によって、個々の料理の分量が異なること。
具体的に言うと、私は「前菜+パスタ+肉料理+飲み物2種」を選び、隣席の方は「前菜+パスタ+飲み物3種」を選ばれていたのですが、私より臨席の片の方がパスタの量が多く、つまり2品頼んだ人も3品頼んだ人も同じくらいの満腹感が得られるように、調整されているのでしょう。
したがって、パスタ1品+飲み物4種を選べば、おそらくメガ盛りのパスタが供されることでしょう。
---------------------------------------------------------------------
■ コースメニュー
 ★ スペシャルコース(\5,900)
 ★ メニューA:料理&飲み物から5品を選択+パン+食後の飲み物(\3,800)
 ★ メニューB:料理&飲み物から4品を選択+パン+食後の飲み物(\2,800)
 ※ 価格は税込み、別途サービス料10%
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■ 料理&飲み物のメニュー
 ★ オードブル
  ・鮮魚のマリネ 季節野菜とカボスのヴィネグレット
  ・秋野菜とウニ、甘エビの冷製ロワイヤル オマールエビのジュレと共に
  ・本日のテリーヌ
  ・様々なキノコと穴子の温かいテリーヌ ポルト酒ソース
  ・フォアグラとイチジクのソテー エイグルドゥーソース(+¥1,000)
  ・本日のスープ
 ★ メイン
  ・本日の鮮魚料理
  ・本日のパスタ料理
  ・仏産 プーレジョンヌのソテー オレンジとグリーンペッパーのソース 
  ・蝦夷 ヒグマのロースト ミックスベリーとエピスのソース(+¥1,000)
  ・十勝ボーンフリーファーム 黒毛和牛フィレステーキ(+¥2,000)
 ★  フレッシュチーズ・デザート
  ・本日のフレッシュチーズ 3種盛り合わせ
  ・本日のデザートと自家製アイス、ソルベ 5種盛り合わせ
  ・洋ナシのコンポートと牛乳のジェラートのアフォガート(+¥500)
 ★ 飲み物
  ・シャンパーニュ
  ・ワイン
  ・ビール
  ・ソフトドリンク
  ・ミネラルウォーター
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 個々の料理の感想は下記のとおり。

(1)1品目(シャンパーニュ):エルネス・ラペノー セレクション・ブリュット
 食前酒としてシャンパーニュをオーダー。
通常シャンパーニュは、グラスワインよりも割高なのですが、このコースでは、シャンパーニュもワインと同様に選択することが可能なのでお得感があります。
シャンパーニュは、ピノ・ノワールとピノ・ムニエとシャルドネをブレンドしたもので、味わいはトーストのような香ばしさと、グレープフルーツの爽やかな香りをあわせ持ち、バランスが取れ、少しリッチな感じのするシャンパーニュです。

(2)2品目(前菜):秋野菜とウニ、甘エビの冷製ロワイヤル オマールエビのジュレと共に
 小さなココットに、色とりどりの野菜やウニ・エビなどの海の幸が散りばめられた、宝石のように美しい冷製のロワイヤル。上にはオマールエビのジュレのせています。
ジュレは、コンソメとオマールのエキスがバランスよく配合されており、甲殻類特有の複雑かつ濃厚な旨みがしっかりと抽出され、ジュレだけでもうっとりするぐらい美味。
また、ウニやエビという磯の香りの強い食材を使用しているのですが、コンソメの味がしっかりしているため、その香りが前面に押し出されず、味と香りに複雑を醸し出す1つの要素としての役割を果たしており、シャンパンや白ワインとも愛称の良い仕上がりになっています。
なお、余談になりますが、1階のデリでもこのクオリティーの高い前菜が販売されていましたので、レストランが気になる方は一度デリで購入してみるのも良いかもしれません。

(3)3品目(白ワイン):ブルゴーニュ シャルドネ Dmルウ
 白ワインは2択で、ブルゴーニュのシャルドネをオーダー。
非常に酸味が強い白ワインで、果実味もかなりのもの。
3,800円のコースに含まれるワインなんで大したことないだろうと思っていましたが、予想に反してクオリティーの高いワインが供されました。

(4)4品目(パスタ):本日のパスタ
 パスタは日替わりで、訪問した日は牡蠣のクリームパスタでした。
大きな牡蠣が3つ入ったパスタで、プリプリとした牡蠣の食感が楽しめます。
見た目は、至ってシンプルなパスタなのですが、すぐ隣の調理場で調理されたパスタがいただけるというのがこのお店のメリット。
大きな店舗となると、★付きのレストランでさえ少し冷めているなと感じる料理が出されることがあるかと思いますが、この店に限っては1人1人に目が届くので、最高の状態の料理を提供してくれます。
小さなお店でしか味わえない特権です。

(5)赤ワイン:シャトー・ロバン コート・ドゥ・カスティヨン
 料理も美味しく、気分もよくなってしまったので、赤ワインを追加オーダー。
赤ワインも2択で、ボルドーのワインを選択。
メルロー、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨンをブレンドしたワインで、非常にパワーのあるワインでありながら、シルクの様な滑らかさを感じさせるエレガントなワイン。
おそらく肉料理のメニューにある「ヒグマのロースト」に合うようにとソムリエがセレクトしたものだと推測され、ヒグマを頼めばよかったと少し後悔。。。

(6)5品目(肉料理):仏産 プーレジョンヌのソテー オレンジとグリーンペッパーのソース
 フランス産のプーレジョンヌ(コーンを主体とする飼料により育てられた黄色い鶏)をシンプルにソテーしたもので、さつまいも、大根、チンゲン菜などが添えられた料理。
鶏肉は硬く締まっており、噛めば噛むほど味わい深くなり非常に美味。
お野菜も噛み締めると口にジュワっと水分が溢れ出し、非常に新鮮なもの。
ただ、美味しいことには間違いないのですが、パスタに続いてシンプルな料理が続いたので、前菜を食べたときのような感動が薄れてしまったのは事実。
やはりヒグマを注文すべきだったか。。。

(7)パン
 パンは熱々を2種でいずれも柔らかな食感のプチパン。
無塩バターとオリーブオイルが用意されるのですが、オリーブの容器がお洒落で、香水のようにパンにシュット振りかけて食べてくださいとのこと。
なお、パンに勢いよくふりかけようとすると、周りにオリーブオイルが飛び散るのでご注意を。

(8)食後の飲み物
 食後の飲み物は下記の7種類でエスプレッソをオーダーしました。
---------------------------------------------------------------------
★ ブレンドコーヒー
★ エスプレッソ
★ アッサム
★ アールグレイ
★ ジャスミン
★ ルイボス
★ ハーブティー
---------------------------------------------------------------------  
参考までにメニューを記載させていただきました。

3.接客について
 前述したとり、座席総数が15ということもあり、1人1人に目が届いており、食事を出すタイミング、ワインを勧めるタイミング等抜群でこれ以上のものはない。
また、ソムリエ兼ホールを担当されている方が、奇策でユーモアのセンスのある方なので、非常に楽しく食事をさせていただきました。
ランチタイムでサービス料10%もこのお店であれば納得です。

4.コストパフォーマンスについて
 このお店のクオリティーで、前菜+パスタ+肉料理+ドリンク3杯を注文すると7,000円前後するのですが5,000円札1枚で収まってしまうのは、非常にお得。
予想以上にお金がかからなかったので、帰り際に1階のデリで、いちじくのタルトを購入してしまいました。

5.総評
 料理は前菜が抜群で、宝石の様に色鮮やかで繊細な味わいの料理が楽しめ大満足。
頻繁にはレストランには来れないので、前菜だけ1階のデリか宅配で購入するといのいい手かも。
また、店の静かでゆったりとした雰囲気も素晴らしく、ランチでここまでくつろいだ気分で料理を味わえたのは初めてです。
思わず時間が経つのを忘れてしまうほど居心地の良いレストラン。 

  • メイン
  • 外観
  • 1Fデリ

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