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1位
1回
2012/12訪問 2012/04/14
創造性溢れる料理がカジュアルに楽しめるレストラン「ル・ジュー・ドゥ・ラシエット」
■ ル・ジュー・ドゥ・ラシエットについて(代官山・フレンチ)/22.12/23.12
代官山にあるフレンチレストラン『 ル・ジュー・ドゥ・ラシエット 』
ル・ジュー・ドゥ・ラシエットとは、“お皿の上で遊ぶ”との意味をなし、シェフの創造力豊かな食材の組み合わせや驚きの調理法などにより遊び心ある料理が楽しめるレストランです。
このレストランのクリスマスメニューは、このレストランで評判が高い料理が勢ぞろいする集大成的な要素が高く、昨年に引き続き、今年も訪問してきました。
お店の場所は、恵比寿駅から代官山駅方面に歩くこと約7~8分。
前回訪問した際、店に辿り着くまでに迷った経緯があり、今回は10分前には到着するようにGPSを使用しながら向かったのですが、結局はギリギリの到着。
代官山は、細く高低差のある道が多く、方向感覚を失ってしまうため、私には苦手な街です。
レストランは、いつものことですが、訪問も満席。
ランチ・ディナーともに非常に人気の高いお店なので、2ヶ月前からの予約が必須です。
1.雰囲気について
レストランは坂道沿いに位置し、窓からは雑貨屋、イタリア料理店等、若者向きのお洒落な店が軒を連ね、いかにも代官山といった景色が眺望できます。
店内は、白を基調とした清潔感のある内装で、カジュアルなのが特徴的。
有名店だけに、初訪問の際は厳格にドレスコードを遵守しなければならないレストランなんだろうと思いきや、星付きフレンチの中でも最もカジュアルな部類なので、きれい目の服であればOK。
女性のランチ会や20~30代のデート利用にぴったりのお店です。
2.料理について
クリスマス期間中は、2万円の限定コース料理のみ。
料理の全体的な印象としては、見た目の美しさや意外な食材の組み合わせなどで楽しませてくれる料理が多く、シェフの創造力とセンスに驚かされますが、料理の味はその創造性を更に越えるものがあり、驚きを受けることは間違いなし。
23年バージョンの料理に関しては、和のテイストが強く感じられ、油脂分を控えた料理が多く、10皿以上の構成でしたが、最後まで飽きることなく美味しくいただくことができました。
個々の料理の感想は下記のとおりです。
(1)おつまみ
前回訪問時(下記参照)と変わりませんが、幾分真鯛が大きくなったような気が。。。
きっと米粉で包み込む技術が向上したのでしょう
(2)ウフ ヴェネディクト トリュフ
こちらも前回供されたのものですが、メニューがエッグ→ウフと仏語になったことと、トリュフの香り→トリュフとネーミングが変更されていました。
料理もその名のとおり生まれ変わり、前回はオランディーソースに刻まれたトリュフが入っていただけでしたが今回は、トリュフのスライスが2枚追加され、ゴージャス感と香りが格段にアップしていた。
(3)紅芯大根のジュレ 青森県産帆立のマリネ キャビア
1つめの前菜は、下から紅心大根のすりおろし、紅芯大根のジュレ、帆立のレモンマリネ、キャビア、紅心大根、九条ネギにミョウガを配したという、豪華な海の幸と紅心大根満載の冷たい前菜。
キャビア、帆立が美味しかったのはもちろんですが、紅心大根のジュレが格段の旨さ。
ジュレは、おそらくコンソメベースのものに、大根のエキスを加え、ほんのりした大根の甘味と苦味と風味が楽しめる極めて繊細なもの。
また、大根のすりおろしは、ジュレよりもより強い味わいで、食感も含めて料理の良いアクセントとなる存在です。
キャビア、帆立という主役級の食材以上に紅心大根の旨さが際立った料理。
(4)フォアグラのテリーヌ エビスのチュイル ショコラの土
お肉の前菜は、杏のピュレがのったフォアグラをチュイルで挟んだもの。
イチジクの実が添えられており、土に見立てているのはカカオを砕いたもので、フォアグラにつけて食べてくださいとのこと。
この食材の組み合わせであれば、フォアグラによく合うことは容易に想像できますが、カカオを土に見立てる創造力が何ともオシャレで素晴らしい。
この店らしい何とも遊び心に満ちた料理で、見た目と味で楽しめ、会話も弾む一品です。
(5)38℃で火を入れたタスマニアオーシャントラウトのコンフィ レモンとアーモンドの香り
前回とほぼ同様のため下記を参照。
食べた後の余韻の長さは相変わらずで、ワインと供に30分かけていただきました。
(6)鱈の白子と蕪のフラン 柚子
メインの前は、聖護院蕪を様々な技法で調理した優しいお味の料理。
泡状のものは蕪のスープで、その下にソテーした蕪、鱈の白子、チコリ、菜の花が隠れており、更にその下には蕪のフランが配され、お皿の底には泡のスープとは異なる温かいスープが注がれている料理。
紅心大根の前菜も和テイストでしたが、こちらは更に和テイスト。
特にお皿の底に注がれたスープが和風出汁のような味わいで、胃の中で優しく染みわたる感覚が心と身体に安らぎを与えてくれる。
ソテーした蕪やその他の野菜も薄味で食材そのものの旨みが堪能でき、繊細・複雑な味わいの料理が多いメニューの中の箸休め的な存在。
(7)活オマールと牛蒡のクリスティアン
魚料理は、オマール海老を揚げた牛蒡でぐるぐる巻きにしたもの。
ソースも深みのある牛蒡のソースで、オマール海老と牛蒡のコラボを味わう料理。
オマール海老は身がプリッと引き締まり、凝縮感のある甲殻類の旨みが味わえます。
また、丁寧にオマール海老に巻かれた牛蒡がいい働きをしており、供されたばかりのカリット揚がった食感、牛蒡のスープがひたひたに染み渡った味わいともに良く、時間差で異なる味わいが楽しめる料理。
(8)ゆっくり火を入れた蝦夷鹿フィレのロース ソース グランヴヌール ねずの実の香り
肉料理も、前回とほぼ同様でしたが、グランヴヌールソースにねずの実の香りがプラスされたとのこと。
正直ねずの実の香りがどんな香りか良く知らないのですが、ソースの複雑味は確実に増しており、力強い鹿肉にも太刀打ちできる存在感のあるソースに飛躍しておりました。
(9)みかんとココナッツのイルフロッタント
アヴァンデセールは、みかんのソースの上にココナッツのアイスとムースをのせたもの。
みかんの風味が爽やかで、味わいも食感も軽い仕上がりのデザート。
野性味溢れる鹿肉とこの後に控えるボリューミーなデザートの前に相応しい料理。
(10)チョコレート球体 ヴァローナ社チョコレートマンジャリ フランボワーズ バニラ
前回とほぼ同様のため下記参照
(11)ミニャルディーズ
前回とほぼ同様のため下記参照
(12)食後の飲み物:カプチーノ(ヴィヴァルド)
食後の飲み物は、3種類のエスプレッソ、2種類のカプチーノとコーヒー、3種類の紅茶、6種類のハーブティーから選べ、どれも魅力的で選ぶのに迷ってしまいます。
その中から選んだのが、コーヒーとミルクが別々の容器で運ばれてくるヴィヴァルドというもの。
コーヒーとミルクは自分で配合する仕組みで、カプチーノとしてもカフェオレとしても味わえるという楽しいものでした。
(13)パン&バター
パンは、「ファミーユ」のパンが使用されているとのこと。
ハードタイプの丸いプチパンが供され、塩気もほどよく、ソースにつけて食べるのにいい感じ。
バターは、無塩のものと岩塩をのせた有塩ものの2種類。
料理が塩分控えめなので、アクセントとして主に有塩バターを使用しました。
3.ワインについて
紅心大根のジュレまではシャンパーニュ、フォアグラから魚料理にかけてグラスの白×2、肉料理に合わせグラスの赤をいただきました。
シャンパンが1種類、グラスの白が3種類、グラスの赤が2種類という品揃えでした。
個々の感想は下記のとおり。
(1)シャンパーニュ(¥1,785)
シャンパンの銘柄は、入店したばかりの緊張感のせいでいつも失念してしまうのですが、黒葡萄100%使用したシャンパーニュとのことでこれは前年と同様。
写真ではわかりにくいのですが、きめ細かい泡が店の照明にキラキラ反射し何ともエレガント。
味わいは、果実味が強く、ほのかにアーモンドのニュアンスが感じられる芳醇なタイプのシャンパーニュで、アフターには微かなハチミツのニュアンスが感じられるテイスト。
前述しましたがトリュフとシャンパンを飲んだ時点で満足です。
(2)グラス(白):リースリング(¥1,680)
フォアグラに合わせてオーダーしたのはもちろんリースリング。
辛口タイプのリースリングで、アタックには甘い香りと林檎と蜂蜜のニュアンスがするのですが、アフターにかけて切れの良い酸味が追いかけてきて余韻も長いもの。
フォアグラとも見事にマリアージュし美味しすぎて言葉も出ません。
(3)グラス(白):ピュリニーモンラッシェ(¥1,890)
グラスの白は、私の大好きなモンラッシェ(生産者は失念)。
白い花の香り、綺麗な酸、豊富なミネラルと典型的なモンラッシェで、樽香は比較的強いタイプ。
燻製のトラウトサーモンとの愛称が良く、サーモンの余韻とモンラッシェの余韻に長く浸っていました。
(4)グラス(赤):コート・デュ・ローヌ/ユリッセリオ(¥1,890)
赤はカベルネとグルナッシュの2択で、肉料理が蝦夷鹿でしたので、迷わず後者を選択。
100%グルナッシュを使用したワインとのことで、爆発的な果実味とスパイシーさが特徴的ですが、カベルネソーヴィニヨンのような優雅さとしなやかさを合わせ持つエレガントなワイン。
余りの美味しさにネットショッピングで購入してしまいました。
4.接客について
若いスタッフが多く、爽やかかつフレンドリーな印象で、気さくに話しかけやすい感じが良い。
物腰が非常に丁寧で、誰に聞いても料理の説明が上手で楽しく、料理の作り方まで教えてもらいました。
帰り際には、シェフが階段を下りて来ていただき視界から消えるまで見送ってくれるので、いつも帰り道とは違う方向の脇道に一旦身を隠してしまいます。
気持ちよく食事をするには、何をすべきなのかということを、お客の立場に立って考えられた接客で、居心良い雰囲気を作り出す接客スタイルです。
5.コストパフォーマンスについて
トリュフ・キャビア・フォアグラ等々の贅沢な食材をふんだんに使用した料理とワイン×4杯で約30,000円、これはグランメゾンともなると食事代だけの価格。
それでいて料理のクオリティは、グランメゾンと同等かそれ以上というのは、私があえてコメントするまでもなく、他の方の評価からもわかること。
2年続けて夢の様な一時を過ごさせて頂きました。
6.総評
前回はシェフの創造力・発想力の豊かさにただただ脱帽するのみでしたが、それから更にどんどん新たなメニューを生み出しているのが認識でき、もはやひれ伏したいレベル。
また、クリスマスの様な特別な時は、驚きの要素も重要なポイントで料理の話題だけでも会話が弾み4時間以上かけて料理を楽しみました。
当面(店のカジュアルな雰囲気に対応できるまでは。。。)クリスマスは予約が取れれば「ルージュ・ドゥ・ラシエット」で決まりです!!
■□■ 2010年のクリスマスメニュー
(1)おつまみ
■ 真鯛のライムマリネ
繭玉のような白い球体は、真鯛を米粉とゼラチンで包んだもの。
真鯛は一口サイズの大きさにカットされ、ライムでマリネされています。
それを包み込む白い球体は、米粉とゼラチンを一度泡状にしてから固めたもの。
口に含んだ瞬間は、米粉の泡のふわふわとした食感がするのですが、すぐに口の中でスッと消えてなくなるという非常に面白い食感。
中から現れた真鯛は、ほんのりした塩気と魚の旨味が感じられ、後からライムの爽やかな香りが追いかけてくるといった味わいで、見た目、食感、味覚、香りで楽しませてくれる料理。
■ パルメザンチーズと黒胡椒のスティック/1口サイズのピザ/青さ海苔のチップス
スティックはパルメザンチーズをたっぷりと練りこんだスナックで、チーズの香りが楽しめます。
ピザは、パイ生地にトマトジュースが入ったというもので、噛むと液体がピュと飛び出し、ピザのような味わいになるというもの。
あおさ海苔のチップスは、磯の風味を味わうもの。
すべて一口サイズなのですが、それぞれ風味が豊かで、余韻が残る味わい。
(2)エッグヴェネディクト トリュフの香り
イングリッシュマフィンの上に、イベリコ豚の背油、黒トリュフ、ポーチドエッグをのせ、ブリオッシュで挟み込んだというもの。
ソースは定番のオランデーズソースですが、そこにトリュフをふんだんに使用した何とも贅沢な料理。
ナイフを入れると中から黄身が溢れ出し、食材すべてをまろやかにコーティング。
これらを一口でほお張ったときの味わいがたまりません。
(3)銚子産金目鯛の炙りカルパッチョ 発芽野菜と洋梨のサラダ キャビア
丸く模られた水菜の上に、鮮やかなピンク色の金目鯛が敷かれ、その上にキャビアと細かく刻んだ洋梨、蕎麦の芽とつまみ菜の2種類の発芽野菜がのせられています。
円状のソースは洋梨のピューレで、料理自体にも柑橘系のソースでうっすら味付けされています。
金目鯛は、臭味は皆無で、ネットリした食感が楽しめ、噛むと口の中に魚の旨みが滲み渡ります。
キャビアは金目鯛の味の深みを更に引き出し、洋梨は後味を爽やかな気分にさせてくれる役割。
洋梨のピューレは、刻んだ洋梨よりは甘く、アクセントとして使用するものでしょう。
魚・フルーツ・野菜のハーモニーが堪能できる爽やかな一品。
(4)38℃で火を入れたサーモンのコンフィ レモンとアーモンドの香り 牛乳のガゼインとフヌイユのサラダ
トラウトサーモンは、低温で調理され、アーモンドのパウダーが振られています。
ソースは、アーモンドクリームと白い牛乳のガゼインをつけていただくとのこと。
付け合せには、フヌイユのサラダと甘さの違うトマト3種類が添えられた料理。
この料理で目を見張るべきは、何といっても火入れ。
サーモンは生で味わった時の弾力感や舌に絡みつくネットり感を残しつつ、火を入れることによって得られる旨みの凝縮感も味わえます。
ソースは添えられていますが、何もつけなくてもサーモンの脂の旨みが強く、余韻が長く楽しめるので、何もつけずにいただきました。
(5)オマール海老のフラン 瓶詰め仕立て 暖かい甲殻類のコンソメジュレ 和テイストのサラダ
海老のフランは、コンソメ仕立てで甲殻類の出汁を使用しています。
サラダは、オマール海老にベビーリーフ、紫蘇、菊の花を添え、海老のパウダーを使用し、ジュドオマールから作ったヴィネグレットとメープルヴィネガーのジュレでいただくというもの。
オマール海老のフランは、プルプルした食感がたまらなく、口に含むと滑らかな舌触り。
味わいは蟹の方が強く、香りは海老の方が強い。
サラダはフランとは対照的に、プリッと引き締まったオマール海老の食感が味わえます。
メープルシロップのヴィネガーとの相性も良く、デザート感覚でもいただけます。
オマール海老の美味しさを、余す所なく味わえる一品です。
(6)グリエした庄内産赤葱のモザイク エシャロットヴィネグレット
フォアグラと庄内産赤葱をモザイク状に組んだ冷製料理。
フォアグラは、表面だけやや強めにグリエされ中身はほぼミキュイ。
赤葱は焦げがつくまでしっかりとグリエされています。
軽めに胡椒が振られて、付け合せにはエシャロットのグレックと赤ワインに浸けたエシャロット、シブレットのヴィネグレットが添えられた一品。
フォアグラは、ナイフを入れるとプリンの様な弾力で、口に含むと滑らかに溶けていきます。
焦がした赤ネギと組み合わせることで臭味はなく、トロッっとした食感と卵の様な甘みだけが口の中に残ります。
(7)本日の鮮魚 きのこの香り じゃがいものエクラゼ
魚料理はヒラメのポワレ。
ヒラメは表面だけカリッとさせ、必要以上に火入れはしていません。
ソースはきのこの泡のソースで、その下には、数種類のきのこのソテーとじゃがいものエクラゼが潜んでいるといった料理。
泡のソースはキノコ香りが強く、濃厚なエキスが抽出されています。
ソテーされたキノコもそれぞれ素材の味わいがしっかりしており、それだけいただいても美味。
ヒラメとじゃがいものエクラゼは、茸の濃厚なソースを受け止める役割で、ヒタヒタに染み込ませて食べると非常に美味。
(8)ゆっくり火を入れた蝦鹿フィレ肉のロースト ソースグランブヌール
肉料理は、鹿の肉を厚めにカットし、低温でローストしたジビエ料理。
ソースはグランブヌールで、さつまいものピュレも添えてあります。
付け合わせは、リンゴのソテー、さつまいも、オニオン等々です。
鹿肉は、表面以外は均一に火が通っていて、血が滴るような赤色。
絶妙な火入れにより、肉汁を逃がすことなく旨みをとじ込め、かつ噛み締めた時の弾力を兼ね備えており、蝦夷鹿を頬張る肉食獣の気分を味わえます。
(9)キウイのソルべ 花の香り
ゴールデンキウイのソルベの上にひなげしのジュレ、ライチのムースと菊の花びらを散りばめた色彩も鮮やかなもの。
キウイのソルベとライチのムースはまったり濃厚で、フルーツの酸味と甘みが味わえ、フレッシュ感や爽やかさを味わえます。
この料理で秀逸なのは、ひなげしのジュレ。
ほのかな上品な甘みと、繊細で優しいひなげしの香りが口の中に広がり、リラックスした気分になります。
(10)チョコレート隕石 薔薇
チョコレートの球体が運ばれ、スタッフが温かいフランボワーズのソースをかけると中からベリーとムースが顔を出すといったお洒落な演出が。
チョコレートはヴァローナ社のものを使用しており、ベリーは、グランベリー、ラズベリー、ブルーベリーの3種。
ムースは、ホワイトチョコレートとフロマージュの2種類を使用し、かすかな薔薇の香りも感じられます。
チョコの苦味、ベリーの甘酢っぱさ、ムースのまったりした甘みなど、様々な味わいが複雑に絡み合い見事なハーモニーを奏でている一品です。
(11)食後の飲み物
ドリンクメニューのリストを渡され、オーダーしたのは、「ローマ」と命名されたエスプレッソ。
メニューには、エスプレッソだけでも3種類ぐらい掲載されており、酸味の強いもの、カフェインレスのもの等様々。
「ローマ」の味わいは、酸とコクのバランスが取れたもので、優雅な味わいと香りの余韻に浸れました。
(12)ミニャルディーズ
小菓子として出されたのが、エクレアと貴腐ワインのジュレに青リンゴのソルベをのせたもの。
エクレアは、クランブル生地にリンゴのキャラメリゼ、チョコレートのテンパリング、塩キャラメルのクリームを挟み込んだもので、生地でサクサクした食感とチョコレート、キャラメルのしっかりした甘さを味わえ、苦いエスプレッソと良く合います。
貴腐ワインのジュレは繊細で上品なワインの甘みと、青リンゴの酸っぱさが爽快感を醸し出し、エクレアとは対照的な小菓子。
2位
1回
2012/01訪問 2012/11/15
プロデュイ(素材)、キュイソン(火の入れ方)、アセゾネ(味付け)の素晴らしさを堪能
■ レストラン・カンテサンス (白金台・フレンチ)について/24.1.11
白金台にあるミシュラン三つ星フレンチ「レストラン・カンテサンス」
レストランの名前であるQuintessence(カンテサンス)とはフランス語で「進化する世界を説明するために存在するエネルギー」「エーテル」「万物の本質」などの意味合いをもち、少々哲学的なニュアンスを感じます。
シェフの岸田氏は、パリ16区の「アストランス」(現在、三つ星)にて、スーシェフを務められた実力派。
お皿の上でどんな料理哲学を披露してくれるのか期待を胸に初訪問です。
場所は、白金台駅1番出口より徒歩10分。
なだらかに下るプラチナ通りを北西に進み、眼下に首都高の高架が見えてきたあたりで左折するとお店はあります。
3週間前に平日ランチの予約を入れたのですが、たまたまその日にキャンセルがあったらしく、運良く予約が取れました。
1.雰囲気について
店名のエンブレムが入った扉をあけると、そこはウェイディングスペースとなっており、スタッフの女性が笑顔でお出迎え。
店内はブロンズ色の壁、黒いレザーの椅子、真っ白なテーブルクロスが敷かれ、モノトーン調のシックで大人の雰囲気。
3つ星ともなると豪華爛漫な内装をイメージしていたのですが、以外にシンプルでコンパクトな店内です。
隣席との距離もしっかりとられ、テーブル・椅子ともにゆったりしたサイズなので、周りを気にすることなく、料理に全力集中で挑める雰囲気です。
2.料理について
メニューは、ランチ(\7,875税込)・ディナー(\16,800)ともに1種類のみ。
その理由は、席に着くと渡される白紙のメニューに記載されており、「最高のお料理でもてなすために、その日もっとも旬な状態の素材を各地より仕入れ料理を仕上げるため、メニューの内容がたえず変化するから」とのこと。
私が訪問した際のメニュー構成は、アミューズ+小さな前菜(2皿)+魚料理+肉料理+アヴァンデセール+デセールの7皿で、他の方のレビューを見てもこの構成は同じ模様。
なお、ランチのポーションは7皿で、ディナーに比して少ないのですが、個々のポージョンの量を多めにしているとのこと。
料理の全体的な印象としては、シェフが掲げるコンセプト「プロデュイ(素材)」「キュイソン(火の入れ方)」「アセゾネ(味付け)」の3つの要素を忠実に守り、全神経を注いで調理しているなというのがひしひし伝わってきます。
これらのこだわりに関しては、他のレストランと明らかに一線を画すものがあり、3つ星獲得も納得です。
個々の料理の感想については下記のとおり。
(1)アミューズ:白子のフランと茸のスープ
北海道産の鱈の白子のフランの上に、フランス産のシャントレルとトランペット茸の2種の茸をスープにしたものが注がれ、その上に同じ茸の泡状のソースがかけれた3層からなる前菜。
白子は特有のまったりとした味わいと、滑らかで弾力のある食感が楽しめ美味。
2種の茸も、インパクトのある白子の味に負けず劣らずの味と香りで、特に香りが芳しく、食欲がそそられ一皿目には適した料理。
ただ唯一の難点が、サーヴされたシャンパーニュとの相性が悪かったことで、白子を口に含んだ後にシャンパーニュを飲むと、魚介の生臭ささが助長され、とてもワインとあわせて飲めるようなものではなかったこと。
白子のフランは、バリエーションを変えてよく供されるようなので、ワインと一緒に楽しむのであれば、ソムリエに相談されるのがベストでしょう。
(2)前菜1:山羊の乳のバヴァロワ
この料理はシェフのスペシャリテの1つであり、他の方のブログを拝見すると2皿目で供される確立が高いようです。
バヴァロワは、毎朝京都から直送される山羊乳を使用したもので、ゲランド塩がふりかけられています。
バヴァロワ周りには、「Mille et Une Huiles」というメーカーの「fruite vert」(緑のフルーツ)というオリーブオイルがソースのように敷かれおり、バヴァロアの上には、食感のアクセントとしてマカダミアンナッツと百合根がのせられたという一品です。
まずは、バヴァロワをスプーンですくって味わってみると、予想に反して酸味が強く、例えは悪いかもしれませんが、プレーンヨーグルトのような味わいで、これだけ食べるとずば抜けて美味しいものとは感じません。
ただ、他の食材と合わせて食べてみると、この酸味があるが故にゲランド塩の甘み・旨みを感じることができ、また、そのまま食すれば青臭く、少し苦味のあるオリーブオイルのフルーティな部分だけが強調され、秀逸なソースに変化をとげています。
主役と思われがちなヴァヴァロワを媒介として、塩とオリーブオイルという調味料の素晴らしさに着眼点を置いた料理です。
(3)前菜2:桜海老、ボタン海老、ぽろネギ
レモンでマリネした北海道産の牡丹海老に、伊豆の桜海老をフレークしたものとディルがのせられています。
海老の下には北海道産のポロ葱が敷かれており、それらは蒸上げて柔らかくしてから、1本1本の繊維を手で解しているとのこと。
小さなポーションながらも非常に手の込んだ一品です。
牡丹海老は、ねっとりとした食感で甘みがあり味覚で楽しませてくれる存在。
桜海老は、「その香りを生かすために高温で調理しました」とのスタッフの説明どおり、今まで感じたことがないほどの凝縮感のある桜海老の香ばしい香りでうっとりしてしまいます。
北海道産のポロ葱は、手の込んだ処理をされているだけあり、トロトロの食感で牡丹海老によく絡みます。
また、マスタードとヴィネガーでマリネされているため、甘みの要素が強調され、フルーツを食べているような感覚でした。
味の牡丹海老、香りの桜海老を使用した、海老のいいとこ取りの前菜。美味しかったです。
(4)魚料理:山口萩産甘鯛の松笠揚げ
魚料理は甘鯛の松笠揚げ。
他のレビュアーの口コミを拝見して、松笠揚げは一番食べたかった魚料理だったのでラッキーでした。
甘鯛は、鱗と皮を黄金色にパリッと揚げているのですが、鱗の一枚一枚が均一な方向に垂直に立っており、これほど美麗な松笠揚げは見たことがありません。
鯛の身は、外側とは対照的にふっくらジューシーで必要以上に火入れはしていない模様。
ソースは、バターベースのソースで、行者ニンニク、せり等、あまりフレンチでは使用されているのを見たことがない香草が刻まれており、付け合せにはほうれん草・オレガノ・へーゼルナッツが添えられたという一品。
早速、松笠揚げを味わってみると、脂抜けの良いサクサクとした食感が心地良く、まるで衣を食べているような錯覚に陥ります。
また、単に衣を付けてフライにしてしまうと味わえない、ダイレクトな香ばしさを感じることができ、ありきたりの食材がシェフの魔法の火入れにより、こんなにも美味しいものに変化をとげるのかと驚愕してしまいました。
バターソースも一癖ある香草との相性が面白く、行者ニンニクのピリッとした味わいは、食欲をそそるものがあり、倍のポーションでも完食できると思わせるほどの秀逸な料理。
この料理だけでもカンテサンスに来た甲斐がありました。
(5)肉料理:いも豚のロースト
肉料理は、「いも豚」と呼ばれる豚をローストしたもので、かなりボリュームのあるポーションです。
ソースは、赤ワインとコニャックを煮詰めたソースとカンゾウをオリーブに漬け込んで、バターと合わせたソースの2種。
付け合せとして、レンズマメ、トランペットと杉茸、レンズ豆の煮込みとスティックセニョールが添えられた一品です。
この料理で特質すべきものは、何といってもシェフが「アストランス」時代に身につけた、低温長時間ローストで肉の旨みを引き出す火入れの手法。(加熱1分、余熱5~6分を数十回繰り返し火を入れる。)
ピンクと白の肉の表面からは、肉の内部までは火が入っているとは到底思えないのですが、ナイフを入れると肉の表面と同様に火が入っており、肉本来の赤身の旨さ、脂身の旨さを堪能できます。
ただ、いくら赤身・脂身が美味しいからといって、限りなくレアに近い肉をたくさん食べれるかというと話は別で、肉の半分を食べ終えたころには味に飽きてくるし、ハッキリいって胃にもたれます。
より小さなポーションが供されるディナーでは評判が良いのかもしれませんが、ランチで供されたサイズでは食べてる途中でもういいやと思えるものでした。
(6)アヴァンデセール:ココナッツのクリーム ピスタチオオイルとエスプレッソ
アヴァンデセールは、ココナッツのクリームにピスタチオのオイルを注ぎ、オイルの中央部にエスプレッソを流し込んだもの。
スプーンを垂直に入れてすくって食べてくださいとのことです。
この料理は、それぞれの食材を単体で食べると全く味気のないものですが、口の中で融合させると、ココナッツクリームの甘み、エスプレッソの苦味、なめらかピスタチオのオイルが複雑に絡み合い美味。
また、3つの食材の割合を変化させても味わいが大きく異なるので、スプーンで微妙に配分を変えながら味わうという楽しみ方もできるデザートです。
(7)デセール:メレンゲのアイスクリーム(能登の塩バージョン)
供されたのは、こちらもシェフのスペシャリテの1つであるメレンゲのアイスで、メレンゲを香ばしく焼いたあと、わざわざ崩してミルクと混ぜてアイスを作っているとのこと。
なお、このアイスにはたくさんのバリエーションがあるらしく、訪問時に供されたのは、メレンゲのアイスに能登の海水を煮込み、5倍の濃度にしたものを霧吹きで吹きかけたものでした。
味わいは、計算された絶妙な塩加減により、アイスの甘みが引き立ち、同時に塩の旨みも味わえるもの。
アイスも口どけが軽くさわやかで、塩を吹きかけたことにより、キャラメルのような味わいに変化しとても美味でした。
(8)パン
パン・オ・ルヴァンっぽいものが供され、酸味があるので食が進みます。
なお、完食するとまた同じものがサーヴされました。
(9)食後の飲み物:エスプレッソ
コーヒー・紅茶・エスプレッソ・ハーブティーの中から選択でき、エスプレッソをオーダー。
ステンレスと思われる器に注がれ供されます。
美味しいエスプレッソなのですが、素晴らしい料理の後に飲むと、平凡に感じてしまうのが悲しいところです。
3.ワインについて
アミューズ~山羊のバヴァロワにかけてシャンパーニュ、牡丹海老の前菜~魚料理にかけてグラスの白、肉料理に合わせてグラスの赤をオーダーしました。
グラスワインの品揃えは、赤白ともに数種類あり、デザートワインもグラスで用意されていました。
個々の感想は下記のとおり。
(1)シャンパーニュ:フランソワ・ビリオン(\1,890)
元「サロン」の醸造長が作ったシャンパーニュで、単一品種、単一ヴィンテージ、単一クリマにこだわり製造されたもの。
味わいは、バターやナッツ系の重厚な厚みのある味わいの中にも、シャルドネらしい切れ味のある酸味が味わえ大変美味。
久々に美味しいシャンパーニュを味わうことができ、普段なら失念してしまう作り手の名前までしっかりと記憶できました。
ただ、前述したとおり、アミューズの白子のフランとの相性が悪く、魚介の臭みを助長するものであったのが唯一残念。
(2)グラスワイン(白):ラ・トゥール・サン・マルタン メヌトゥ・サロン・ブラン モローグ 2010(\1,470)
どっしりとしたミネラルが特徴的で、ソーヴィニヨンブランのしっかりとした柑橘系の果実味とのバランスも良いワイン。
シャンパーニュも美味しかったのですが、食事と合わせるとなるとこちらのほうが断然上。
海老の前菜、甘鯛の松笠揚げの魚介料理にもよく合う非常に美味しいワインでした。
ソーヴィニヨンブランでこんなに美味しいものは初めてかもしれません。
(3)グラスワイン(赤):ジュヴレ・シャンベルタン ピエール・ダモワ 2006(\1,890)
鮮やかなバラ色のワインで、ブラックチェリーを思わせる華やかな果実味と樽香がバランスよく融合された力強いワインで、脂身のある豚肉にもマリアージュ。
典型的なブルゴーニュであれば、可憐さ故に確実に豚肉パワーに負けてしまうのでしょうが、そこはパワフルなジュブレ・シャンベルタンだからこそなせる業。
ジュブレ・シャンベルタンは最も好きなワインの1つです。
4.接客について
接客に関しては、客に対する気遣いや観察力・料理の説明・ワインの説明等完璧で、一見非の打ちどころがないように感じますが、完璧すぎるが故に窮屈な印象を受けることがあるのも事実。
具体的には、ワインを飲み干すと、確実に90秒以内には次のワインを進められるという凄まじいサービスを受けたのですが、常に誰かの視線を感じながら食事をするというのは常人ではなかなか気持ちのいいものではありません。
また、料理の説明の際に、主体となる食材の説明はもちろん、付け合せの食材の産地まで長々と聞かされるので、温かい食事が出てきたときは、説明を省略するなど、柔軟な対応が欲しいところ。
サービス単体で評価すれば、非の打ち所がないのかもしれませんが、料理を美味しく食べるという観点から評価するといささかこの店のサービスについては疑問を持ちますし、私の好みではありません。
5.コストパフォーマンスについて
カンテサンスの場合は、メニューが1種類しかないので、これは紛れもなく他店でいうところの「シェフのオススメ料理」に該当し、価格面のみで比較しても、決して高いランチだとは思いません。
それに加え、創造性溢れる料理、渾身の火入れを技術料として換算すれば、カンテサンスに勝るコストパフォーマンスのレストランは遭遇したことはありません。
8,000円という価格を遥かにしのぐ満足感や価値を感じました。
6.総評
3つ星=完璧という先入観から、アラばかり探してしまいがちですが、これだけ素材・火入れ・味付けにこだわった美味しい料理はめったに出会えるものではなく、これ以上のものがあれば是非教えてもらいたいです。
予約が取れればすぐにでも再訪したいところですが、今回訪問した際の反省点として、事前に食べログで情報を収集しすぎたため、ネタばれが多く、感動が薄かったので(他のレビュアーさんの描写力が素晴らしいのもあります。)、新たなメニューができるまで、しばらく時間をおいて訪問したいと思います。
より大きな感動を得るために。。。
3位
1回
2012/04訪問 2012/11/23
■ クニオミ ル ネオ ビストロ(恵比寿・フレンチ)について/24.4.15
恵比寿にあるフレンチレストラン「クニオミ ル ネオ ビストロ」
何も予定がなかったとある日曜日に、オープンテーブルで当日でも予約が取れるフレンチレストランを検索していたら、見慣れぬ名前の当店を発見。
お店の場所が、家の近所ということもあり、詳しく調べてみると、24年3月にオープンしたばかりの店とのこと。
フェイスブックに料理の写真等が掲載されており、どの料理をみても美味しそう。
しかも、一番安価なコースが1,200円ということも判明し、これは押さえておかないと!と思い、迷わず予約を入れました。
場所は、恵比寿駅東口から徒歩7~8分。
みずほ銀行前の7差路を北西方向に進み、道が少し狭くなるところから2~3軒奥に進んだところにお店は所在します。
前述したとおり、当日予約で日曜日のランチに訪問しました。
1.雰囲気について
ブルーと白を基調とした店内は、フランスというよりは、さながらエーゲ海に面した小さなレストランを彷彿とさせるもの。
座席数は、店内に20席のほかに、テラス席が8席が用意され、これからの季節気持ちが良さそうです。
紙ナプキン、コンパクトなテーブル・椅子など、いかにもビストロという雰囲気ですが、これが安価な価格に繁栄されているというのであれば、むしろ歓迎すべきこと。
用途としては、気の知れた友人とワイワイ飲み食いするとか、仕事帰りにサクッとつまんで、ワインを1~2杯楽しむという使い方が適したレストランだと思います。
2.料理について
ランチのコースの下記の3択で、2,400円のコースをオーダーしました。
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□ Aコース:前菜+メイン or メイン+デザート(¥1,900)
■ Bコース:前菜+メイン+デザート(¥2,400)
□ Cコース:メイン(¥1,200)
※ 価格は税込みで、サービス料はかかりません!
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料理は、前菜からデザートに至るまで非常に作りこまれた料理が多く、ミシュラン星付の店にもまったく劣らないクオリティーを持っており、度肝を抜かれました。
カテゴリーとしては、モダンフレンチの部類に属すると思われ、見た目は重厚そうな料理でも、ひと手間加えることによって軽い仕上がりになっています。
また、料理の選択肢の多いことが特徴的で、フレンチの定番料理はしっかり抑えつつも、通好みの滋味豊かな料理も多数見受けられました。
ビストロと名のつくお店は数々訪問しましたが、これだけ繊細で手の込んだ料理を提供するお店は初めてです。
個々の感想は下記のとおり。
(1)前菜:ノルウェーサーモンの自家製マリネのタルタル仕立て フロマージュブランのタルタルソースをかけて
前菜は下記の5択でサーモンのマリネをオーダー。
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□ スズキと野菜のギリシア風マリネ
□ グリーピースの冷製スープ ホタルイカと春の苦味を入れて
□ 田舎風フォアグラ入りパテ、契約農家のサラダ
□ 地鶏のシーザース サラダ
■ ノルウェーサーモン自家製マリネのタルタル仕立て フロマージュブランのタルタルソースをかけて
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供されたものは、2層のタルタルを円状にかたどった冷製の前菜。
マリネしたサーモンとキュウリを細かく刻んでタルタル状にしたものの上に、酸味のあるフレッシュチーズと香草をタルタルにしたものが乗せられています。
ソースは、オリーブのソースがお皿に敷かれ、タルタルを巻くようにして、アスパラが添えられた一品です。
まず、何と言っても見た目が美しく、ここは本当にビストロか?と目を疑うくらい鮮やか!
見た目的にはチーズが強すぎるような印象ですが、あっさりとしたフレッシュチーズを使用することにより、サーモンの旨みも十分感じ取れる仕上がりでした。
香草として使用されているディルとサーモンの相性も抜群で、思わずワインをガブリと行きたくなる一品。
同時に入店された方が、メインを半分食べ終えたぐらいの時まで、じっくり楽しんでいただきました。
(2)メイン:本日のおすすめメインディッシュ
メインは下記の5択で、おすすめメインディッシュ(牛のロースト)をオーダー。
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■ 本日のおすすめメインディッシュ(牛のロースト オニオンのキッシュを添えて)
□ 蛤とタケノコのリゾットに鮮魚のポワレをのせて
□ 本日の鮮魚料理
□ 豚ロース肉の低温ロースト、ジャガイモのブーランジェール
□ クスクス・ロワイヤル、自家製メルゲーズ入り
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供された料理は、牛肉にローズマリーを混ぜたパン粉を塗り、それをシンプルに焼き上げ、仕上げにデミグラスソース(おそらく)をかけたというもので、オニオンのキッシュが添えられた一品です。
牛肉は、適度に歯ごたえを感じる食感で、肉の旨みが非常に強く、ナイフを入れると肉汁が溢れ、非常にジューシー。
パン粉を付けることによって、サクサクとした食感が楽しめるとともに、濃厚なソースをしっかりと吸い、余すことなく秀逸なソースを堪能できます。
また、添えられたキッッシュは、細切りのオニオンがぎっしり詰まったもので、オニオンの香ばしさ、芳醇なバターの香りを堪能でき、付け合せの域を超えたもの。
前菜、メイン、付け合せ、どれをとっても脱帽です。
(3)デザート:チェリーのタルトに自家製アイスクリームを添えて
デザートは、下記の5択でモンブランをオーダー。
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■ 本日のタルトに自家製アイスクリームを添えて
□ マルキーズショコラ
□ クレームブリュレ
□ パイナップルのミルフイユ
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訪問日のタルトは、ちょっと小ぶりのチェリーのタルトにバニラアイスを添えた一品。
生地はしっとり目で、チェエーの甘酸っぱい香り、濃厚な味わいが楽しめ、余韻が暫く口の中に残るもの。
コーヒーとの相性も良く、美味しかったです。
(4)パン
パンは、焼きたてのものが供されましたが、多少水気を感じたので、おそらく輸入物の冷凍パンかな?
ただ、小麦の味わいが強く、下手な自家製パンよりは断然美味しいです。
なお、バターは無しです。
(5)その他
調査員2号も同行し、前菜にスズキと野菜のギリシア風マリネ、メインに蛤とタケノコのリゾットに鮮魚(ホウボウ)のポワレをのせて、デザートにパイナップルのミルフイユをオーダーしておりました。
写真だけ掲載させていただきます。
3.ワインについて
ワインは、前菜に合わせてグラスの(白)、メインに合わせてグラスの(赤)をオーダーしました。
グラスワインの価格は、赤白いずれも700円と、お安く明瞭会計。(ちなみにシャンパーニュは\1,200円)
生産国は、フランス産だけにはこだわらず、イタリア産、オーストラリア産のワインも用意されていました。
個々のワインの感想は下記のとおりです。
(1)グラスワイン(白):シャルドネ(\700)
グラスの白は2種類用意され、ダンディーな店員曰く、「品種はいずれもシャルドネで、フランス産のコクのあるタイプものと、オーストラリア産のスッキリ目のワインを用意させていただいております」とのこと。
前菜は、チーズが使用されたものだったので、コクのあるシャルドネをオーダー。
さすがに700円のワインだと、複雑な味わいや余韻はあまり感じられませんが、果実味が豊富で、直感的に美味しいと感じるワイン。
クオリティーの高い料理とあわせても十分楽しめ、美味しかったです。
(2)グラスワイン(赤):シチリア産(\700)
グラスの赤も2種類用意され、軽い感じのオーストラリアワインと、重い感じのシチリアワインの2択でした。
メインが、重厚そうだったので後者を選択。
赤ワインも、白ワインと同様、果実味が豊富で、直感的に美味しいと感じるもの。
タンニンが丸いのが特徴的で、ジュースのようにゴクゴクイケテしまうワイン。
メインがドカンとした肉の塊でしたので、このワインの様に何も考えずに飲むワインの方が良いですね。
4.接客について
接客については、私を含めて2~3組しかいなかったということもあってか、年配のダンディーな男性が1人で対応されていました。
料理の説明、ワインの説明ともに簡素で、可もなく不可もなくといったところですが、サービス料もかからないし、そもそもビストロには過度の接客は求めておりません。
お客とは、比較的距離を置いているように見受けられますが、こちらから話しかければ丁寧に対応していただいたので、良い印象を持ちました。
至ってスマートな接客スタイルです。
5.コストパフォーマンスについて
これだけのハイクオリティーな料理を食べて、2,400円というのは正直驚き!
しかも、デザートを省けば、なんと1,900円という驚異的な価格設定。
この圧倒的なコストパフォーマンスを見せ付けられると、他のレストランに行く気も失せてしまいます。
私が知る限りでは、都内のランチで、現在最もCPが良いレストランの1つではないでしょうか?
あとは、このお店の人気が出てきたときに、この価格を維持していただけるかだけが今から心配です。。。
6.総評
ガッツリ系のフレンチを安価で食べられるというビストロは都内にそこそこありますが、この店ほど「作りこまれた料理」「繊細な料理」を供するビストロには、訪問したことがありません。
近くに住民としては、「リアルに人に教えたくない店」です。
4位
1回
2012/04訪問 2012/11/23
■ キャーヴ・ド・ポール・ボキューズ(広尾・フレンチ)について/24.4.30
広尾にあるPAUL BOCUSEブランドのブラッスリー「キャーヴ・ド・ポール・ボキューズ」
ひらまつ系列のレストランは、独自のルートでワインを輸入しており、美味しく安くワインが飲めるので、どの店の私のお気に入り!
今回は、その中でも広尾にあるブラッスリーに初訪問させていただきました。
広尾店のコンセプトは、ワイン蔵(キャーヴ)をイメージし、ワインとの相性を第一に考えられた料理が供されるとのこと。
ワインにこだわるひらまつグループの中でも、更にワインに特化したお店というのだから、非常に期待が高まります。
場所は、地下鉄日比谷線「広尾駅」3番出口の正面にある「cafe des pres」の地下にあります。
一休.comを利用し、一週間前に予約を入れ訪問しました。
1.雰囲気について
カフェの中の階段から、レストランに向かうというアプローチは、隠れ家的要素が付加され、何だかわくわくさせられます。
初めて訪問される方で、スマートに入りたい人は、HPのレイアウト図で階段の位置を確認してから訪問するのも良いでしょう。
店内に入ると、横長にずらっとテーブルが配置され、壁際にはワイングラスが飾られている店内は、圧巻の一言。
地下ということもあり、周囲の喧騒から遮断され、非常に落ち着いた雰囲気で食事を楽しむことができます。
代官山のメゾンと比べてしまうと、隣席との距離の近さ、テーブルが小ささが気になるところですが、ナプキンは布ナプキン、フォーク等も取り替えてくれるので、巷のブラッスリーとは比較にならないほど、居心地が良い雰囲気です。
30~40代の大人の方がカジュアルに料理を楽しむのにはぴったりのレストランだと思います。
2.料理について
料理は、一休.com限定プラン「シェフのおまかせコース」(\5,000)を事前に予約して訪問しました。
メニュー構成は下記のとおりですが、仕入状況により変更があるらしく、一休.comに紹介されていた内容より、「豪華」なものになっていましたので、予めご注意を。
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□ 前菜(グリーン・アスパラガスのムースリーヌ 小海老のポッシェ添え 甲殻類のコンソメゼリーと共に)
□ 魚料理(パート包み、リゾットを添えてヤリイカのソテーサフランのリゾット プロヴァンスの香り
□ 肉料理(鴨肉のパイ包み焼き フォアグラ風味 タイムの香りのジューソース 季節の野菜添え)
□ アヴァン・デセール
□ グラン・デセール
□ 小菓子(マカロン)
□ コーヒー
□ パン&リエット(スパイスの香りを付けた鶏肉のリエット “マルコポーロ風”)
□ 乾杯用スパークリングワイン1杯
□ フリードリンク(グラスワイン赤&白、オレンジジュース、ストレートアイスティー)
※ 価格は税込みで、サービス料はかかりません!(つまり5,000円)
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ボキューズの料理に関する理念「良い素材・良い火加減・良い味付け」というのは有名なコンセプトですが、広尾店ではそれに加え、料理とワインのマリアージュを念頭において料理が考えられているのが特徴的。
今回のコースは、料理もワインもおまかせなので、ボキューズプロデュースのマリアージュを味わうコースといえるでしょう。
料理は総じて、至ってクラシカルなフレンチであり、確かな技術に基づき調理された料理は、どれも安定感があり完成度も高い。
代官山のメゾンのセカンドライン的な位置付けでしょうが、料理に関してはメゾンにも決して負けないクオリティーを持っていると思います。
個々の感想は下記のとおり。
(1)スパイスの香りを付けた鶏肉のリエット “マルコポーロ風”&オリーブオイル
最初にパンとともに供されたのが、リエットとオリーブオイル。
ボキューズ系列のブラッスリーでは定番のリエットで、鶏肉のリエットに数種のスパイスを加え、カレー風味に仕上げたもの。
この料理は、スパイスの分量が重要と思われ、スパイスを入れすぎると肉本来の旨みが消されてしまうのですが、絶妙な配合により、肉本来の旨みを十分残しつつ、スパイスにより食が進むという秀逸なりエット。
なお、オリーブはナチュラルなタイプのものでしたが、リエットが美味しかったのでほぼ使用しませんでした。
(2)前菜:グリーン・アスパラガスのムースリーヌ 小海老のポッシェ添え 甲殻類のコンソメゼリーと共に
カクテルグラスに盛られて運ばれた前菜は、宝石のように美しく、食べてしまうのがもったいないくらいの料理。
この料理は、グリーンアスパラのムースの上に、海老、オクラ、トマト、甲殻類のゼリーを乗せ、カリカリに揚げたベーコンを添えたというもの。
それぞれの食材ごとに分けて味わうと、何てこと無い味わいなのですが、アスパラの持つ自然な甘さを抽出したムース、香ばしい香りを楽しむための甲殻類のゼリー、食感と季節感を楽しむための海老・トマト・オクラ、これらが融合したときの味わいが複雑で美味。
特に甲殻類のゼリーが、スモーキーで若干苦味が感じられ、料理全体を奥深いものに変えていました。
したがって、上からちょっとづつすくって食べるのはNGで、スプーンを垂直に入れて味わいましょう。
(3)魚料理:甘鯛のパート・ブリック包み焼き サフランのソース サフランのリゾット添え (個人的に命名)
魚料理は、甘鯛をパート・ブリックで包み焼きにしたものに、サフランのリゾット、素揚げしたチンゲン菜を添えたものが添えられ、ソースもサフランをベースにした一品です。
甘鯛は、パート・ブリックで包むことにより、パイ包み焼きのような身のホクホク感、旨みの凝縮感が味わえ、鯛の身から出る上品な脂がデリシャス!
サフランのソースは、爽やかな味わいで、ソース自体は主張するものではなく、鯛の美味しさを引き出す役割。
チンゲン菜は、少し苦味のある味わいで、料理の良いアクセントとなっているとともに、素揚げすることにより、ソースがよく染み込み、ソースの秀逸さをより一層味わえるようになっていました。
初夏を思わせる爽やかな魚料理でした。
(4)肉料理:鴨肉のパイ包み焼き フォアグラ風味 タイムの香りのジューソース 季節の野菜添え
肉料理は、鴨肉のパイ包み焼き。
事前にお店のHPを見て、この料理が一番食べたかったのでラッキーでした。
パイ包みは、拳よりやや小さめの鴨肉を包んだもので、パイ生地の香ばしい香り、匂いたつフォアグラの風味が食欲をそそります。
パイ包み焼きの上にちょこんと乗せられているのはタイムの葉で、付け合せにはほうれん草、グリンピース、ベビーリーフ等の緑の野菜が添えられて、ソースは食欲をそそる色をした濃厚なジュのソースが使用された一品です。
パイ生地にナイフを入れると、中から鴨汁が溢れ出し、非常にジューシー。(写真を見てください!)
パイ生地の中には、鴨肉がギッシリと詰まっており、ちょっと小さめのポーションかなと思っていましたが、ちょうど良いボリューム。
鴨肉も身が締まっており、噛みしめる度に肉の旨みが伝わってきます。
また、フォアグラを少し使用することにより、味の深みが格段に増し、ワンランク上の料理へと昇華していました。
ワインとの愛称も素晴らしく、赤ワインなら何を飲んでも美味しいのではないでしょうか。
美味しいを通り越し、食べることに幸せを感じる料理でした。
(5)アヴァン・デセール:シャーベット
口直しに供されたのが、シャーベットにピスタチオを砕いたものを塗したもの。(供される料理が多すぎて、何のシャーベットだったかは失念)
この価格でアヴァン・デセールが出されたのが驚きで、コースを間違って予約してしてないか、スマホで予約履歴を確認したほど。
余りにも肉料理の余韻が強烈でしたので、爽やかなシャーベットは、味を一度リセットするためにもありがたい一品でした。
(6)グラン・デセール:サクランボのムース
グラン・デセールは、サクランボのムースの上に円状の飴細工をのせたもの。
添えてあるのはカットされた苺で、あまりにもギッシリ敷き詰められているので、苺にムースを添えたデザートともいえるかもしれません。
苺は非常に甘く、チョコレートのソースが敷かれていますが、ソースをつける必要は全くないくらい甘かったです。
ムースはさくらんぼの存在がしっかり感じ取れ、甘さは控えめで飴細工とチョコレートのソースで甘さを調整して味わうようになっています。
デザートも非常に豪華な一品で驚きの一言。
どうやったらこの価格でこれだけの料理が提供できるのでしょうか?
(7)小菓子:苺のマカロン
マカロンは、人工的な甘さを感じるただ甘いだけのものがありますが、これは自然な甘さで、苺のほのかな酸っぱさもしっかりと感じられるもの。
スイーツ専門店で売られているそれと比べてもクオリティーは高く、最後の最後まで手抜かりの無いコース料理でした。
3.ワインについて
ワインについても料理同様おまかせで、食前にシャンパンカクテル、前菜~魚料理に白ワイン、肉料理に赤ワインが供されます。
なお、シャンパンカクテルは1杯のみですが、赤・白ワインに関してはフリーで、無くなるとサーヴしてくれます。
総じた印象は、フリーのワインとしては、ものすごくクオリティーは高いのですが、料理のクオリティーと比較すると、いささか安っぽい感じがするのが否めなく、心の底から美味しいと思えるワインには巡り合いませんでした。
なお、ワインをグレードアップしたコースもありましたので、真のマリアージュを味わうにはそちらのコースかと思われます。
個々の感想は、下記のとおりです。
(1)シャンパンカクテル
シャンパンにオレンジを加えてシェークしたもの。
濁りがあるタイプで、果実のフレッシュ感がダイレクトに伝わってきて良いです。
また、細かな氷をあえて入れることにより、清涼感が増し、これからの季節に良さそうです。
シャンパンに何かを混ぜたものは、これまで好みではなかったのですが、これは美味しかった!さすがボキューズ。
(2)白・赤ワイン(銘柄等失念)
白ワインは、フランスのスペイン国境近くで生産されたシャルドネのワインで、魚料理に合わせて用意されたものとのこと。
南の方のワインということで、酸味が柔らかく、力強い果実味が味わえるもの。
魚料理も、地中海をイメージした料理っぽかったので、必然的にワインとよく合いました。
なお、赤ワインは、鴨肉のパイ包み焼きがあまりにも美味しく、ワインについては不覚にも忘れてしまいましたので、コメントは割愛させていただきます。
4.接客について
私の席周辺は、30~40代のジェントルマンがほぼ1人対応してくれました。
非常に物腰が柔らかく丁寧で、料理・ワインの説明等も的確で的を得たもの。
フレンチを食べ慣れていると思われる人には細かな説明を、余り食べなれていないと思われる人には、とてもわかりやすい説明をされていました。
終始にこやかで、楽しんで接客をしているなーという雰囲気が、お客にも伝わってくるのが好印象。
その他の方を見ていても非常にレベルが高いので、誰でも安心して食事を楽しめます。
5.コストパフォーマンスについて
これでもかと言うくらい料理が出され、ワインはフリーとくれば、間違いなく★★★★★であえて語る必要はないでしょう。
なお、特質すべきはディナータイムも、ランチとそれほど大差ない価格設定なので、今度はディナーで行ってみようかな。
6.総評
何といっても料理&コスパが素晴らしく、5,000円でいただくのが申し訳ないと恐縮してしまうレベル。
大人がスタイリッシュ&カジュアルに料理を楽しめるという雰囲気も好印象で、カフェの地下というロケーションも心憎く、こういう隠れ家的なレストランは必ず1つは押さえておきたいところ。
評価については、限りなく5点に近いのですが、唯一減点(0.5点)したのはワインのクオリティーで、美味しいのは間違いないのですが、料理と比較してしまうと感動が薄くなってしまいます。
ドリンクをアップグレードさせたコース(6,500円)もあるとのことなので、次回訪問するときは是非そのコースで予約したい。
それにしても、鴨肉のパイ包み焼きは感動的な美味しさ、今でも余韻が続いていそうな気分です。
5位
1回
2012/03訪問 2012/11/10
遠方の方でも特別な気持ちになれるフランス料理店「ボンシュマン」
■ ボンシュマン (五本木・フレンチ)について/24.3.3
目黒区五本木にあるフレンチレストラン「ボンシュマン」
昨今は、オープンして間もないにも関わらず、華々しくミシュランの星を獲得するというレストランが多々ありますが、このお店は、オープンしてから約10年近くかけてミシュランを獲得したという長期熟成型のレストラン。
シェフの花澤氏は、青山のラブランシュでスーシェフ、代官山のラブレーにてシェフとして活躍された経歴をもち、2002年9月に目黒区五本木にこのレストランをオープンされました。
シェフのコンセプトは、「ゆっくりまっとうな道を進みたい」「特別な気持ちになれる近所のフランス料理店になれば」とのこと。
そのまっとうなフレンチを楽しみに、五本木桃まつりが開催されていた3月3日に訪問させていただきました。
場所は、東急東横線「祐天寺」および「学芸大学駅」より徒歩15分の距離にあり、五本木商店街の南側に位置します。
結構な距離を歩きますが、料理のボリュームが相当あるお店なので、ここは是非とも歩いて向かいたいところ。
一休ドットコムのレストラン予約を利用し、日曜日のランチで訪問させていただきました。
1.雰囲気について
お店は、五本木商店街という地元密着型の商店街の一角にあり、近所の中華料理店にでも行くような感覚でお店に入ることができ、フレンチレストランの敷居の高さは感じられません。
店内は、白を基調とした清潔感あふれる店内で、オープンしてから10年経つとは思えないほど綺麗な店内です。
座席は、メインダイニングに16席用意されているほか、店の奥には6名ほどが利用できる個室があり、訪問した際はすべての席が埋まっておりました。
なお、ナプキンやテーブルクロスは紙製で、ミシュラン掲載店でこれほど簡素なテーブルセッティングは私の経験上では神楽坂にあるルグドゥノム・ブション・リヨネ以外では経験したことがなく、料理だけで星を獲得したんだなーと逆に期待を持たせる展開です。
客層については、家族連れ、近所のマダムと思われる方々等、まさに地元に根付いたフレンチレストランと言え、カジュアルな感覚で楽しめるレストランです。
2.料理について
ランチのコースの下記の3択で、季節のコース(\3,675)をオーダー
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■ シェフのおまかせコース:(\6,825)
■ 季節のコース:アミューズ+前菜+メイン+デザート+食後の飲み物(\3,675)
■ 今週のランチ:前菜+メイン+デザート+食後の飲み物(\1,890)
※ 今週のランチは事前予約が必要です。
※ 価格は税込みで、別途サービス料(10%)がかかります。
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料理の全体的な印象としては、前菜ではモダンな要素を取り入れた料理が見受けられますが、基本的にはフレンチの料理本にも必ず出てきそうなガチのクラシカルフレンチ。
塩気をしっかりと効かせたメリハリある味わいで、ワインを飲まない方にとっては好みが分かれるかもしれませんが、いずれの料理についても正統な一流フレンチの味わいで、一口料理を食せば、何故ミシュランの星を獲得できたのかが理解できることでしょう。
また、料理のポージョンが大きいのが特徴的で、前菜でもメイン並みの量の料理が供されますので、お腹一杯正統フレンチを堪能することができるレストランです。
個々の料理は下記のとおり。
(1)アミューズ:ブイヨンのスープ
アミューズはブイヨンをベースとした温かいスープ。
ブイヨンのスープといっても、ほぼブイヨンそのものが供され、オリーブオイルが加えらた程度のシンプルなもの。
ナチュラルな肉の旨み、野菜の旨みが、優しく体の中に染み渡ります。
また、オリーブオイルは、青臭いタイプのオリーブオイルが使用されており、フレッシュ感を醸し出すよいアクセントとなっていました。
ごまかしが効かない料理をいきなりもってくる時点で、「この店やるな!」と思わせる一品です。
(2)前菜:ブーダンブランのロースト
前菜は下記の5択で、ブーダンブランのローストをオーダー
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■ カジキの瞬間マリネ 香草オイルソース
■ ブーダンブランのロースト
■ 季節の野菜のマリネ タイム風味 仔ウサギを添えて
■ お魚の裏ごしスープ
■ 2種のフォワグラに自家製のイチジクのジャムを添えて (+¥1260)
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メニューに記載されている料理の説明書きによれば、「腸の中に豚足を詰めて網脂を巻いて焼き上げたもの」と記載されており、食べログ等で写真も公開されていなかったため、若干グロテスクなものを想像しましたが、供されたのは、至ってシンプルな自家製ソーセージ。
ソーセージの下に敷かれているのはキャロットラペで、ソースはバルサミコのソース、味のアクセントとしてリンゴのソテーが添えられた一品です。
ソーセージは、しっかり目に焼き上げられており、カリットした食感と香ばしい感じがGood!
豚足入りのソーセージは、以外にクセのないあっさりとした味わいで、かみ締めるとジューシーな脂が口の中に溢れ、大変美味でした。
また、キャロットラペはニンジンの甘みと、ビネガーの酸味がバランス良く調和されており、単なる付け合わせに過ぎないのですが、主役級の美味しさでした。
なお、一緒に訪問した調査員2号は、カジキの瞬間マリネをオーダーしたのですが、分厚く切られたマグロがお皿にタップリと盛られ、前菜とは思えないボリュームの一品でした。
無論料理は美味しく、ネットリとした食感と、魚の旨みが絶品とのことでした。
(3)メイン:千代幻豚のパイ包み焼き 青ピーマンのソースで
メインは下記の5択。
ちょうど座ったソファーの後に、シュークルートに関する本とパイ包みに関する本が置かれており、共にこのお店が力を注いでいる料理なんだろうと思い、どちらを食べようか迷ったのですが、後者をオーダー。
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■ 築地からのお魚料理
■ シュークルート
■ 千代幻豚のパイ包み焼き 青ピーマンのソースで
■ 川俣シャモのロースト
■ 本日のメインディッシュ (+¥1260~)
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パイはこんがりと美味しいそうに焼かれており、バターの香りも相まって、非常に食欲をそそられます。
パイの中には、ミンチ状の千代幻豚がタップリと詰められており、青ピーマンのソースをつけていただく一品です。
パイ生地はサクサクとした食感が心地良く、それ自体に味があまりついていないので、中に詰められた豚肉の旨みが強調されます。
また、ピーマンのソースはスパイシーで酸味があり、豚肉の甘みをさらに引き出す役割を果たしていたほか、パイ生地との相性もよく、かなり分厚い生地でしたが、ペロリと完食できました。
ちなみに調査員2号は、シュークルートをオーダーしたのですが、このお店のシュークルートはキャベツの上に豚バラと鶏のコンフィが乗っかっているという非常にボリューミーなものでした。
あまりにも美味しそうだったのでいただいてしまったのですが、お肉はもちろん、肉汁をすったキャベツが格別で、今まで食べたシュークルートの中ではNo.1。
正直言わせていただきますとシュークルートの方がオススメだと思います。
(4)デザート:キャラメルとミルクのブランマンジェ
デザートは選択肢がなく、2種のブランマンジェが供されました。
キャラメルの味、ミルクの味がよく抽出されたブランマンジェで、喉越し滑らかで、後味がさっぱり。
非常にシンプルなデザートですが、このお店の料理のボリュームと力強さを考慮すれば、むしろこういうデザートの方がありがたい。
(5)パン&リエット
このお店のパンは、小さなプチパンが供されます。
クラストはパリッとしていて香ばしく、クラムはもちもちとした食感のパンで、小麦の香りも感じられる美味しいパンでした。
また、このお店はバターではなく、たっぷり盛られたリエットが供され、シャンパーニュのお供としても最適です。
味わいは、比較的ナチュラルで、、熟成感を楽しむというよりは、フレッシュ感を楽しむタイプのリエット。
パンもリエットも美味しく、ついつい手が伸びてしまいますが、前述したとおり、料理がボリューミーなので、計画的に食べましょう。
3.ワインについて
食前酒にシャンパン、前菜に合わせグラスの白、メインにグラスの赤をオーダー。
なお、今回は料理のインパクトが余りにも大きく、ワインの情報については大半を失念してしまいましたが、記憶に残っている情報だけ記載してみました。
(1)シャンパン:(\1,300)
気が抜けているものを供されたので、本来のポテンシャルはわかりかねますが、通常の状態で出されていたとしても、旨いと叫びたくなるレベルでないことは確か。
赤・白のグラスワインが安価なので、グラスワインを沢山飲んだ方が良かったかな。
(2)グラスワイン(白):アルザス・リースリング(\800)
グラスの白は、アルザスのリースリングとヴィオニエの2択(いずれも800円)で、リースリングをオーダー。
供されたリースリングは辛口タイプのリースリングで、果実味が豊富で芳醇な味わいながらも、切れのよい酸味で後味がクリア、しかも長い余韻も感じられる秀逸なワイン。
リースリングはフランスワインの中では比較的安価ですが、下手なシャブリよりクオリティーが高く、個人的に好んで飲んでいる白ワインです。
(3)グラスワイン(赤):ボルドー(\1,000)
グラスの赤も2択で、カベルネ・ソーヴィニヨン(\1,000)か、ピノ・ノワール(\1,100)が用意されており、前者を選択。
インクの様な濃い赤色をしたワインで、見ただけで粘度が高いとわかるもの。
味わいも見た目のとおり「濃い」の一言で、例えるなら巨峰100%のぶどうジュースのような感じ。
酸味が強くないので、ワインが苦手な人にも飲みやすいワインです。
4.接客について
接客は、ハキハキとした感じのマダムと 草食系(風)のお兄さんの対照的な応対。
基本的に、お客の方には入ってこなく、料理の説明等も簡素で、サバサバとし印象。
個人的には、距離を置いてくれた方が、気兼ねなく料理を楽しむことができるので良いのですが、10%のサービス料を取られるのは納得いかないかな。
5.コストパフォーマンスについて
料理に関しては、美味しいことには間違いないのですが、それほど高価な食材が使用されていないこと、サービス料10%を加算すると約4,000円の料金になってしまうことを考えると適正価格といえるでしょう。
ただ、グラスワインが安価で、かつ良質なワインをセレクトされているので、ワインを飲む人ほど相対的に満足度が高くなると思われます。
6.総評
店の雰囲気や接客対応は、至ってカジュアルなレストランですが、料理は一流レストランで供されるクオリティー。
シェフは、特別な気持ちになれる近所のレストランというコンセプトを掲げられていますが、遠方の方でも特別な気持ちになれることは間違いないレストラン。
新しいメニューになったら必ず訪問させていただきます。
6位
1回
2012/08訪問 2012/10/20
【2012夏休み 京都旅行編その3】
■ 草食ろくだい(京都市・懐石料理)について/24.8.30
8月末に京都を観光した際に利用させていただきました。
京都といえば懐石料理を思い浮かべるのですが、旅行中の食事ということもあり、極力コストパフォーマンスに優れるお店で食べたいという理由で選んだのがこの「草食ろくだい」
平均利用価格が6,000円~、食べログ評価が4点前後というのが決め手になり訪問しました。
「ろくだい」の大将は、東京・杉並の久我山で創業され、福岡・柳川、そしてここ京都の西院に移られてきたという経歴を持たれる方。
コンセプトは、屋号の由来ともなった、天・地・風・火・水・識の六つの要素を料理の中に踏襲してゆくこと、草食・草堂(あばら家にして粗末な料理)ながらも、創意と工夫により客に気に入ってもらうこと。(HPより引用)
場所は、阪急京都線・西院駅より徒歩5分弱と、利便性が良い土地に立地しているのですが、住宅街の中にあるため、店の近くまで行く時間より、店を探す時間の方が多くかかってしまいました。
初めて行かれる方は、20分前には駅に到着された方が良いかもしれません。
訪問したのは平日でしたが、席は満席。
ある程度期間に余裕を持って予約を取られることをオススメします。(私は1ヶ月前に予約を入れました。)
1.雰囲気について
背の低い潜り戸に頭をぶつけ店内に入ると、大将がやさしくカウンター越しからお出迎え。
座席は、カウンター席10席のみ小さな店内で、先に来た客から詰めて座るのがこの店のスタイル。
店内は、カウンターから厨房の全てが丸見えで、まさにライブキッチンの呈をなしています。
あまり日本料理には詳しくないので、食材の下処理、調理過程等を拝見でき、非常に勉強にもなりました。
内装は、古い家屋を利用していながら、座席等は非常に清潔。
大将の趣味のジャズが掛けられており、オシャレな雰囲気も感じられます。
ただ、如何せん店が狭いことが難点。
隣席との距離が近いうえに、背もたれと背後との壁の隙間がほとんどないくらい窮屈です。
入り口付近にお手洗いがあるのですが、店の奥側に座られた方が利用されるときには、皆が椅子を引かなければならないといった状況。
隣にマナーをわきまえたお客がくれば、同じ時を過ごすという一体感が生まれるのですが、マナーをわきまえない方・体格の良い方が来られると、苦痛以外の何物でもないかもしれません。
店の場所柄からなのか、安い料金からなのか、客層は若い方が多いので、後者になるリスクは考慮しておく必要があると思います。
2.料理について
料理のコースは、5,000円のおまかせコースのみで、全ての座席が18時半にスタートするので遅刻は厳禁。
コースの流れは懐石の呈はなしていますが、個々の料理は、懐石という括りに縛られていない印象。
また、草食とのコンセプトどおり、高価な食材を多様しないながらも、厳選された旬の食材や、調理人の技術・創意工夫により、コストを抑えつつも、最大限の満足感を味わえるように配慮されています。
個々の感想は下記のとおりです。
(1)先付
「夏と秋の季節感を出した料理です。」と言われて供されたのが、松茸と鱧の炊き合わせですだちが添えられたもの。
1つのお椀の中で名残の鱧と走りの松茸が出合った一品で、味と味覚で季節感を堪能できます。
それぞれの食材は、バーナーで炙られ、香ばしさを感じるとともに、上品で必要最低限の味付けが施されており、京料理っぽさを感じる一品。
松茸とすだちの風味、鱧の食感が印象的な料理でした。
(2)鯛の刺身
2皿目は、鯛の刺身を酢味噌かポン酢でいただくという料理で、下にキャベツが敷かれているのが斬新的。
ポン酢は、鯛そのものの美味しさを味わうの適し、酢味噌は鯛とキャベツを一緒に食べるときの媒介的な役割を果たしています。
個人的には、酢味噌でいただく方が好みで ねっとりとした鯛の食感とキャベツのシャキシャキとした食感の対比が良かったです。
鯛というありきたりな食材を使用しながらも、2種類の調味料、刺身にキャベツを添えるという斬新な工夫が施された料理でした。
(3)椀物
3皿目は、冬瓜、湯葉、オクラ、しめじを焦がし味噌で仕立てたもの。
季節感溢れる食材の旨さが堪能できるとともに、香ばしい焦がし味噌が食欲をそそります。
先付と同じ季節感を感じる料理ですが、全体的に濃い目の味付けが施され、先付とは差別化が図られているように思えます。
心も温かくなる一品で、ようやく店の雰囲気にも馴染んできた感じがしました。
(4)お造り
お造りは、マグロ・カンパチ・カレイの3種類。
それぞれ鮮度は抜群で、美味しいことには間違いないのですが、大衆的な居酒屋で供されるものとの差異はあまり感じられませんでした。
特にマグロが、その傾向が顕著で、食材のコストを落とすことで、味も落ちている印象。
この程度のクオリティーのマグロであれば、あえて提供する必要性は感じず、むしろもっと安くても美味しい魚を提供していただきたいと思いました。
(5)揚げ物
5皿目は、舞茸・いちじく・胡椒の葉の天ぷら
それぞれ、サクッとした揚げ具合で、どの天ぷらも美味しかったのですが、特にイチジクが秀逸。
関東ではあまり見かけることがなく、今回初めて食べたのですが、生で食べるより甘みが鮮明になり、サクッとした衣との相性も良い。
また、白ワインとの相性が素晴らしく、家に戻ってからワインのつまみとして同じものを作ったほど美味しかったです。
リースリングやヴィオニエなどとの相性が良さそうです。
(6)焼き物
6皿目は、万願寺唐辛子を炙ったもの、カレイの西京焼きに湯葉と小松菜が添えられた一品。
万願寺唐辛子は、普段の食生活では食すことが無いので特に美味しく感じ、その肉厚感や甘みがありながらも、後からピリッとした刺激が追いかけてくる味覚がたまりませんでした。
(7)穴子の白焼き
7皿目は、生の穴子が供され、自分で炭火に炙っていただくというもの。
網に下味がつけられており、皮目から炙って、そのままいただきます。
プレゼンテーションとしては面白いものがありますが、火力が弱く食べるまでに時間と手間を要するのが難点。
また、手間隙掛けることによって期待感は高まりますが、それに見合うだけの美味しさは無いように感じました。
炙ることによって小さく縮んだ穴子を食べるのもチープな感じがします。
(8)食事
8皿目は、鱧の蒸し寿司と茄子の寿司の2品で、漬け物が添えられています。
蒸し寿司は、熱々の状態で供され、分厚い鱧のホクホクした食感が楽しめる一品。
茄子の寿司は、サッパリした茄子と酢飯の相性が良く、爽やかな余韻が残る味わい。
分厚い茄子をほうばって食べる感覚もたまりませんでした。
(9)ワカメとアオサのお吸い物
食事が出されたすぐ後にお吸い物が出されました。
終電までの時間のことを気にしすぎ、味わいについては失念してしまいました。。。
(10)甘味
私が店を出るギリギリの時間まで、間に合うように作る努力してくれましたが、残念ながらいただくことは出来ませんでした。
お店のHPには、料理を提供する時間が2時間弱と書かれており、20時30分には出れるだろうと踏んでいたのですが、その日のメニューによって若干時間が長くなることがあるらしく、20時45分にまた潜り戸に頭をぶつけながら退出させていただきました。
その日のうちに東京へ帰られる方が利用するのは、非常に厳しいかもしれません。
3.お酒について
お酒は、ビールの他に、グラスの白ワイン2杯、グラスの赤ワイン1杯をいただきました。
白ワインは2杯ともシャルドネながら種類の異なるワイン、赤ワインはモンテプルチアーノがサーヴされました。
ワイン自体は美味しかったのですが、料理とのマリアージュという観点で評価すると微妙。
特に赤ワインは、料理よりもワインの主張が強く、無難にブルゴーニュを出す方がよいと思います。
また、ワインによっては、大将がデキャンタをしてくれ、更にグラスに注いでからグラスを回して提供されることがあったのですが、その行為はやり過ぎ感を感じました。
デキャンタはまあ良いとして、グラスを回すのは客に任せるべきだと思います。
高々グラスワインですし、何より割烹着でデキャンタをする姿に違和感を覚えたもので。。。
4.接客について
お店は大将とご夫人の2人で切り盛りされており、大将が接客と料理を担当され、ご夫人は調理に専念されておりました。
東京の人間が、いきなり京都の料理屋に予約電話を入れるのはドキドキするものですが、電話対応時から店を出るときまで、終始丁寧な対応をしていただき、安心して食事を楽しむことができました。
また、ご夫人に料理を指示する姿も優しさが感じられ、カウンターから見ていて大将の温かい人柄が良く見て取れる光景でした。
欲を言えば、ドリンクを注文しやすくするための隙をもっと作ってほしい感じはしました。
料理を作るだけで手一杯な感じがして、ドリンクをオーダーする隙が無く、酒飲みとしては少々辛いものがありました。
ただ、それを差し引いても暖かみのある接客は素晴らしく、懐石とは「おもてなし心」とよく言われますが、それが具現化された素晴らしい接客対応だと感じました。
5.コスパについて
慈善事業なのかと思うぐらいに安く感じます。
この内容で5,000円はありえません。
間違いなく星5つです。
6.総評
おもてなしの精神に基づく接客や創造性・季節感に溢れる料理を存分に堪能させていたでき、素晴らしい京都の夜を過ごさせていただきました。
ただ、ギリギリの観光スケジュールの中に、ろくだいでの食事を組み入れてしまい、おもてなしの受ける側の配慮が足りなかったことが反省点。
今度京都を宿泊で訪問する際には、是非この店に再度訪れたいと思える素晴らしいお店でした。
7位
1回
2012/09訪問 2012/10/26
■ オマージュ(浅草・フレンチ)について/24.9.17
浅草にあるフレンチレストラン「オマージュ」
「オマージュ」とは、フランス語で「敬意」若しくは「尊敬」の意味を持ち、生産者・スタッフ・お客様など、料理の道を進ませてくれる全ての方々に敬意を評したいという、オーナーシェフの想いから命名されたとのこと。(お店HPより引用)
昨年11月末に発売された「ミシュランガイド2012 東京・横浜・湘南」において新規に1つ星を獲得され、ミシュランに掲載される以前からも評価が高かったことから、新規に掲載されたレストランの中でも1番訪問したいお店でした。
ただ、スカイツリー人気で、人ごみが凄い浅草駅が最寄り駅ということもあり、人ごみを掻き分けてフレンチを食べに行く気にもなれず、敬遠していたのですが、たまたま上野の国立西洋美術館で見たい展覧会があり、セットで訪問してみました。
場所は、地下鉄銀座線「浅草駅」から徒歩10分強。
近くには、浅草寺・花やしき等の観光スポットがあり、予想通り人を掻き分け訪問となりました。
日曜日の13時に訪問したのですが、席は全て満席。
ミシュランを獲得してから1年近く経ちますが、人気は衰えることを知らないようです。
1.雰囲気について
打ちっぱなしのコンクリートで作られたお店はクール!の一言で、20代の自分だったら、おそらく入店するのに躊躇したでしょう。
ほんの少しの緊張感を抱きつつ、店のドアを開けると、笑顔で女性が出迎えてくれ一安心。
店内は1階が受付とトイレ、2階が20席程度のダイニングフロアとなっています。
スタッフに案内され2Fに登ると、木の温もりが感じられる空間が現れ、クールな外観とは対照的な暖かい雰囲気です。
また、供される料理や使用されている食器、和服を着られたマダムなど、日本若しくは下町を連想させ、高級感はあるのですが、庶民的で親しみを感じる一面も持ち合わせる雰囲気です。
2.料理について
料理のコンセプトは、「素材の良さを引き立てるだけにとどまらず、その素材の内側にある、もうひとつの表情を引き出せるように心がけること。」
「日本ならでは、東京ならではの料理を発信すること」とのこと。
休日のランチは下記の3種類のコースが用意され、一番軽い3,800円のコースをオーダーしました。
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□ アミューズ+前菜+メイン+デザート+コーヒー(\2,900)※平日のみ
■ アミューズ+前菜2皿+メイン+デザート+コーヒー(\3,800)
□ アミューズ+前菜2皿+魚料理+肉料理+デザート+コーヒー(\6,300)
□ シェフ荒井によるお任せコース(\9,450)
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料理の総じた印象としては、「和」の要素を巧みに取り入れているのが最も印象的でした。
日本の食材を使用することがウリのフレンチレストランにこれまで、幾度となく訪問してきましたが、いかにも奇をてらった感のある料理が供され、肯定的なイメージはありませんでした。
ただ、この店のフレンチは、和の食材を使いながらも素直に美味しいと思える料理が多く、巷の和フレンチとはクオリティーが異なります。
また、非常に考えて作られた料理が多く、料理を通じて何かを訴えかけられるものを感じました。
ボリュームに関しては、一番軽いコースでも前菜が2皿提供されるので、完食できるか不安でしたが、比較的ポーションは小さく、量より種類を重視する傾向に感じましたので、女性の方が好むフレンチかもしれません。
個々の料理の感想は下記のとおりです。
(1)アミューズ・ブーシュその1
アペリティフがサーヴされた直後にグリーンのオリーブと甘い味付けのナッツが運ばれてきました。
なお、このセットは、お店の定番のアミューズとのことです。
味わいについては特質すべきものはありませんが、オリーブに刺してある楊枝?竹串?の様なものがオシャレで、思わずアップで写真をとってしまいました。
(2)アミューズ・ブーシュその2
食前酒を飲んでいる最中に運ばれてきたのが、フォアグラのフランに山葡萄のコンフィチュールをのせたものと、ヴィシソワーズのアイス。
フォアグラに杏やベリー系のフルーツを合わせて食すのは良く見かけますが、山葡萄は初めてで、これは和を意識したものでしょう。
そのコンフィチュールを味わうと、オブラートに包んだような、間接的でまろやかな酸味が面白い。
フォアグラも、フランにすることによって、フォアグラらしさが中和され、まろやかなコンフィチュールと調和がとれていました。
あっさりデザート感覚でいただけるので、フォアグラが苦手な方でもOKです。
ヴィシソワーズのアイスは、下にコンソメのジュレが敷かれ、枝豆、アサツキが添えられています。
ヴィシソワーズのアイスは、それ自体が味の主張をするものではなく、コンソメジュレの旨み、あさつきの風味を引き立てる媒介的な役割を担っているように感じました。
当初は、シャンパン+2杯のワインコースで押さえるつもりでしたが、アミューズの作り込みように敬意を表し、3杯のコースに変更させていただきました。
(3)前菜1:1ヶ月熟成させた南瓜の冷製ヴルーテ コーヒーのクリーム添え
前菜の1皿目は、カボチャのヴルーテにコーヒークリームをのせ、クルミが散らしたという一品。
かぼちゃのヴルーテは甘みが強く、滑らかな舌触りでそれだけでも十分イケルもの。
そこにほろ苦いコーヒー味のクリームを投入することにより、カボチャの甘みが引き立ち、コーヒー豆の香ばしい香りもプラスされていました。
この料理に和は見出せなかったのですが、非常に美味しく、この料理に合わせてサーヴされた「ピュイ・ヒュメ」ともよく合っていました。
(4)前菜2:モッツアレラのバヴァロワ チェリートマトとイベリコ豚の生ハム
前菜の2皿目は、下記の4択で、モッツアレラのバヴァロワをオーダー。
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□ 和歌山県産太刀魚のマリネ 無花果と茄子と共に
■ モッツアレラのバヴァロワ チェリートマトとイベリコ豚の生ハム
□ 冬瓜のコンポート 房州産鮑と共に(+\1,575)
□ 本日のフォアグラ料理(\840)
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運ばれてたものは、バニラビーンズの効いたモッツアレラチーズに、鮮やかな色のチェリートマトと、分厚く切られた生ハムがのせられたもの。
この料理の主役は、生ハムのような気がしました。
鮮やかで瑞々しいトマトやバニラが効いたエレガントなモッツアレラチーズは、ともに美味しいのですが、強く塩気を欲する食材。
そこへ分厚い生ハムを投入することによって、効果的に生ハムの旨さが引き出されている感じがしました。
普段は好んで、生ハムは食べないのですが、この日はもっと食べたいと感じ、提供の仕方によって、こうも食材が変化するんだなと関心してしまいました。
(5)メイン:3週間熟成させた石田さんのフォゲット ボルケッタ仕立て
メインは下記の2択で、肉料理をオーダー。
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□ 本日の鮮魚料理
■ 3週間熟成させた石田さんのフォゲット ポルケッタ仕立て
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フォゲットとは、生後1年未満(ラム)、2年以上(マトン)の中間期の羊のことで、そのお肉をボルケッタ風に焼き上げたもの。
ソースはジュのソースで、付け合せにイカのソテーとレモンのコンフィチュール、アクセントとして岩塩にゆかりをまぶしたものと、ニンニクとアーモンドのピュレでいただくという料理。
初めて食べたフォゲットは、ラムより食べる部分が大きく、マトンより臭みがなく、牛肉っぽい感じもありました。
ラム、マトンそれぞれのいいとこ取りのような気がしますが、何だか中途半端だなーというのが正直な感想。
ポルケッタには、本来豚肉を使用しますが、フォゲットを使用する意図が分からず、素材の目新しさだけが印象に残りました。
(6)デザート:マルキーズショコラ キャラメルのアイスクリームとピスタチオのスープ
デザートは3択で、マルキーズショコラをオーダー。
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□ 東浦産巨峰のマリネとスムージー パン・デビス風味のミルリトン添え
■ マルキーズショコラ キャラメルのアイスクリームとピスタチオのスープ
□ 浅間白桃のデクリネゾン タイム風味
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このお店のマルキーズショコラは、お皿にタップリ敷かれたピスタチオのソースの上に、サクサク軽いマルキーズショコラを置き、苦味のあるキャラメルアイスをのせたもの。
デザートは、甘く濃厚なものが好みなので、このデザートは個人的にはパーフェクトな一品。
特にタップリ注がれたピスタチオのソースが濃厚でたまらなく、至福の一時でした。
(7)食後の飲み物&小菓子
食後の飲み物は、コーヒー・紅茶・エスプレッソ・ハーブティからの4択で、コーヒーをオーダー。
味わいについては、至って普通で、これまでのクオリティーが高かっただけに、その普通さが目立つ印象。
小菓子は、人形焼をかたどったフィナンシェと梅とシソの味のパート・ド・フリュイ、カリントウの3種が供されました。
人形焼のフィナンシェは、下町っぽさを自然に出すのにとても良いアイディアだと思いました。
3.ワインについて
ワインは、アペリティフにシャンパーニュをオーダーし、料理に合わせて3種のデギュスタシオンコース(\3,500)をオーダーしました。
(1)シャンパーニュ:ヴィンテージ等不明(\1,500)
普段はスパークリングワインで抑えるのですが、いいお店に訪問すると、ついついシャンパーニュをオーダーしてしまいます。
サーヴされたのは、淡い黄色のシャンパーニュで、グラスの底から優美にゆっくり泡が立つのは、見ているだけで幸せな気分。
味わいは、ミネラルが強く、アフターにハチミツのニュアンスが感じ取れるもので、まさに私の大好きなシャンパーニュでした。
(2)Domaine Alexandre Bain(ロワール) Pouilly-Fumé 2010
まったりとした見た目の印象どおりの味わいのワインで、果実味が強く、杏のニュアンスを感じるワインで、デザートワインに近いものもあります。
比較的甘みの強い、アミューズの山葡萄のコンフィチュール、1皿目の前菜のカボチャのヴルーデに合わせてセレクトされたものと思われますが、非常によく合っており、この日のマリアージュ度No.1でした。
(3)ピュイ・ヒュッセ:ヴィンテージ等不明
2皿目の前菜に合わせて供されたのが、ピュイ・フュッセで、ピュイ・ヒュメよりは、重めで樽を効かせた白ワイン。
ピュイ・ピュメ程のマリアージュ度はなかったものの、モッツアレラのババロアと良く合っていました。
(4)Chateau Villa Bel-Air Rouge 2007
肉料理に合わせて供されたのが、クラーヴ地区の赤ワイン。
ぶどう品種は、メルロー 50%、カベルネ・ソーヴィニョン 40%、カベルネ・フラン 10%の配合。
エレガントな舌触りで、タンニンの力強さがあり、バランスが良く、複雑さも兼ね備えた秀逸ワイン。
個人的に牛肉っぽく感じたフォゲットとの相性もバッチリでした。
4.サービスについて
満席で賑やかな店内を良くオペレーションされていたと思います。
私の場合、食事のスピードが平均的な方より1.3倍遅いため、火入れを行う料理は若干冷めたものが出されることが多々あるのですが、オマージュでは最適な状態の料理が供されました。
しかも、必要以上に待たされることなく、あたりまえのように提供するのは、客への観察力が成せる業。
接客も、やや機械的ではありますが、笑顔を絶やさない対応は好印象。
ただ、唯一気になったのがマダムの和服。
シャンパーニュは、マダムに注いでもらったのですが、グラスに袖がひっかからないか正直心配でした。(ありえないとは思いますが。。。)
見た目の雰囲気は面白いかも知れませんが、キビキビと動ける服で接客をされた方がよいと思うのは私だけでしょうか?
5.コストパフォーマンスについて
アミューズが2種、前菜も2種、小菓子がついて、3,800円(税込)は安価。
しかも創造性あふれる料理が、次々と提供されるので、満足度も大。
また、このお店は料理と同等にワインが美味しく、デギュスタシオンコースは2杯で2,500円、3杯で3,500円、4杯で4,500円と一般的な価格帯ながら、そのクオリティーは素晴らしい。
是非ソムリエ推奨のデギュスタシオンコースをお薦めします。
トータルで、9,000円近く使いましたが、満足感だけが残りました。
いいお店では、しっかりお金を使うべきだと実感です。
6.総評
和の食材を自然にフレンチに融合させ、奇をてらったものではなく、自然な美味しさを感じる料理を提供されているのには驚き。
また、食材の使い方など、熟考されて調理されており、シェフが何を表現したかったのか考えながら料理を食すのも楽しかったです。
今回いただいたコースは、一番お安いコースであり、シェフの表現力に多少の縛りをかけるもだったかもしれませんが、それでも満足。
季節によっても、料理が大きく変化するものと思われるので、次回はジビエの季節にディナーで訪問したいですね。
8位
1回
2011/12訪問 2012/11/23
通好みの郷土料理が味わえる渋い店「ビストロ・コティディアン」
■ ビストロ・コティディアン (麻布十番・フレンチ)について/23.12.18
麻布十番にあるフレンチレストラン「ビスストロ・コティディアン」(ボンヌ・プティット・ターブル掲載店)
コティディアンとは、フランス語でいう「日常の」「日々の」との意味合いを持ち、料理も雰囲気も「身近」がコンセプトのレストラン。
シェフの須藤氏は、3つ星レストラン「ピエール ガニェール」、「ルカ キャルトン」等の名店で修行され最近では恵比寿の人気店「ル・ビストロ」のオープニングシェフとして活躍された実力派。
このお店には初めて訪問させていただきましたが、須藤シェフの料理は1年前にル・ビストロでいただいて以来となります。
場所は、麻布十番駅1番出口から徒歩5分、二の橋の交差点を仙台坂方面に曲がったところに位置します。
日曜日のランチで訪問しましたが、席は満席でしたので予約は必須です。
1.雰囲気について
店内は、オフホワイトの壁に木のテーブルと椅子が置かれており、オシャレすぎず小奇麗な店内。
カウンターキッチンからは真剣な眼差しで料理を調理するシェフの姿が見え隠れするのがビストロっぽくっていい感じ。
BGMには軽快なフレンチポップが流れ、コンセプトのとおり身近で、誰でも気軽に肩肘張らず食事と会話をを楽しむことができる雰囲気です。
また、料理が供されるペースがゆっくりしている(見た限りでは1回転)ので、急かされるような気分になることなくゆっくりとした時間を過ごすことが出来るのもこの店の特徴でもあります。
2.料理について
ランチコースは下記の3種類。
1,800円のコースをオーダーするつもりでしたが、その日のポタージュがレンズ豆のポタージュと知り、寒い冬には外せない一品なので、スープ付きの2,100円のコースをオーダーしました。
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■ オードブル+メイン+デザート+ドリンク(\1,800)
■ オードブル+スープ+メイン+デザート+ドリンク(\2,100)
■ オードブル×2+スープ+メイン+デザート+ドリンク(\2,500)
※ 消費税込み、サービス料なし、ランチタイムはカードの使用は不可
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料理の全体的な印象としては、「美味しいからこそ昔から食べられ続けられているフランス料理を毎日丁寧に」とのコンセプトどおり、シュークルート、カスレ、ブーダンノワールなど、定番の郷土料理が名を連ね、通にとってはたまらない料理ばかりで目移りしてしまいます。
味わいに関しては、他の方のレビューにあるとおり、味にメリハリがあり、塩気がしっかりしているので、是非ともワインと合わせて楽しみたい。
また、いずれの料理もボリューム満点で、1,800円のコースでも満腹になることは間違いなし。
個々の料理の感想は下記のとおりです。
(1)オードブル1品目:ブリのカルパッチョとクスクスのサラダ
オードブルは下記の7択で、ブリのカルパッチョをオーダー。
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■ ブリのカルパッチョとクスクスのサラダ バジル風味
■ 本日のポタージュ
■ 田舎風お肉のパテ
■ 岩中豚のリエットと鶏白レバーのムース
■ ブーダンノワール(豚の血)のテリーヌ 紅玉のピューレ
■ モンサンミッシェル産 ムール貝の白ワイン蒸し(+\700)
■ フランス産 温かい山羊のチーズのサラダ(+\600)
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運ばれてきた料理は、円状に盛られたクスクスの上に、分厚いカルパッチョをのせたという立体的な盛り付けの料理。
ソースは、バジルのソースで、お皿に円を描くように敷かれています。
ブリは、脂が良くのっており、ネットリとした食感と口の中に広がる旨みがたまりません。
鮮度も抜群で、下処理も丁寧に施されているため、ブリ特有の臭みは皆無でした。
また、クスクスは、全体的に酸味が効いており、刻まれたパプリカ等の野菜が和えられているため、サラダ感覚で味わうことができ、脂っぽくなった口の中をさっぱりさせてくれる存在です。
個性が強いブリという素材をうまく調理し、その良いところだけを引き出した秀逸な一品です。
(2)本日のポタージュ:レンズ豆のポタージュ
予定していたコースを変更させてまで飲みたかったのがレンズ豆のポタージュ。
味わいは、素材本来の甘みを生かし、油脂分や調味料を極力排除したナチュラルな味わい。
ほっこり温まり、身体に染み渡るような感覚がたまりませんでした。
やはり寒い日に飲むレンズ豆のスープは格別に旨い!
(3)メイン:大仙どりのもも肉のパン粉焼き 粒マスタードソース
メインは下記の4択で、大仙どりのパン粉焼きをオーダー
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■ 本日の鮮魚(イトヨリ)のポワレ ラタトゥイユ添え
■ 大仙どりもも肉のパン粉焼き 粒マスタードソース
■ 岩中豚肩肉とじゃがいものアルザス風煮込み
■ 自家製岩中豚のソーセージのシュークルト(+\900)
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暖めた皿に乗せられ運ばれてきたものは、大きな骨付きの鶏もも肉に、マスタードを塗り込み、パン粉を塗して焼き上げ、仕上げにパセリをのせたもの。
ソースは定番のマスタードソースで、付け合せにマッシュポテトが添えられた一品です。
この料理で秀逸だったのが、火入れの上手さ。
鶏の外側は肉の旨みを中に閉じ込めるために、パリッと強めの火入れを行っているのですが、中身はふっくらジューシーに仕上がっており、ナイフを入れるたびに肉汁が溢れる完璧な火入れ。
また、添えられているマッシュポテトがとろとろクリーミーで、パンチの効いたマスタードソースの味わいを中和させてくれる役割を果たしています。
シンプルな料理だからこそ、料理人の技量の高さが引き立つ一品。
(4)デザート:キャラメリゼしたバナナのタルト、キャラメルアイス添え
デザートは下記の4択で、バナナのタルトをオーダー
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■ キャラメリゼしたバナナのタルト キャラメルアイス添え
■ 金柑のコンポート ヨーグルトのシャーベット添え
■ クレームダンジュ フレッシュオレンジ添え
■ ラム酒風味のクレームキャラメル
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バナナのタルトは、生地に焦げ目がつくほどハードに焼き上げたもの。
味わいは、バナナの味と風味が強く、甘みもしっかりしたタイプ。
添えてあるキャラメルアイスは、苦味があるもので、ラム酒もしっかり効いており、まさに大人の味。
料理だけではなく、デザートもメリハリのあり、私好みの味付けのデザートでした。
(5)パン
パンはポワンタージュのものが使われており、シンプルなバゲットが供されました。(バター無し)
強い小麦の香りと少し酸味のある生地で、私が好んで食べているロブションの「フェルマンタシオンラント」に近いものがあり、ストライクのバゲットでした。
3.ワインについて
食前にシャンパーニュ、前菜に合わせてグラスの白、メインにグラスの赤をいただきました。
それぞれの価格は、シャンパーニュが1,100円~、グラスワインが700円~という価格設定。
なお、グラスワインはソムリエに好みを伝えて選んでもらうスタイルなので、品揃えについては不明。
個々の感想は下記のとおりです。
(1)シャンパーニュ:価格以外すべての情報について失念(\1,100)
リンゴのニュアンスがするのが特徴的なシャンパーニュですが、少し気が抜けていたので、100%の状態のポテンシャルが味わえなかったのが何より残念。
(2)グラスワイン(白):ソムリエがミッドナイト~と言っていたような。。。(\700)
「果実味のしっかりしたものを」と告げるとサーブされたのが、甘く華やかなマスカットの香りがする白ワイン。
味わいは、甘い香りとは裏腹に、スッキリドライなテイストで、食事とも良く合い、こうゆうワインもあるんだという意外な発見ができました。
(3)グラスワイン(赤):ブルゴーニュ・ルージュ07(\1,100)
赤はピノが飲みたい気分だったので、こちらから品種を指定してオーダー。
サーブされたのは07年のブルゴーニュルージュで、ソムリエ曰く、「07のブルゴーニュワインは可憐な感じを楽しんで下さい」との言葉どおり、繊細かつ可憐で、少しイチゴのニュアンスがするチャーミングなワインでした。
鶏との愛称が良いのはもちろんですが、ワインについての薀蓄をご教授できるのもこの店の特徴。
4.接客について
接客は、マダムとベテランソムリエの2人によるものですが、この店の大きな魅力として、ベテランソムリエ抜きには語れない。
ワインに対する豊富な知識はもちろんですが、着かず離れずの接客、わかりやすく丁寧な説明、ところどころに交えるジョーク等すべてに品格があり、何より安心感というオーラが漂っています。
笑顔が素敵なマダムも、料理の説明等、エレガントかつ丁寧で非常に好感が持てる接客。
このレストランのサービスは、ビストロの域を明らかに超越しています。
5.コストパフォーマンスについて
2,000円前後で、ランチのコースを食べることが出来るレストランは都内に多々ありますが、「料理が一品一品丁寧に作りこまれている」「しっかりとボリュームがあるコース料理」「肉料理が旨い」「上質なサービスが受けられる」という点においては、この価格帯では都内随一。
また、ワインに関しては星付きレストランと変わらない価格設定であり、コストパフォーマンスが良いとまでは言えませんが、ソムリエの解説料付きということを加味すれば、許容の範囲内。
肉とお酒が好きな人にとっては、大きな満足感が得られることかと思います。
6.総評
2,000円前後という料理の価格設定からそのコストパフォーマンスの良さに目を奪われがちですが、それ以上に須藤シェフが作る肉料理の旨さ、マダムとベテランソムリエによるビストロを超越したサービスのクオリティの素晴らしさに満足すること間違いなし。
特に肉料理とワインが好きな人にとっては、ビストロコティディアン以上の満足感が得られるレストランを探すのは至難の業でしょう。
9位
1回
2012/02訪問 2012/03/18
女性受けしそうな要素が多い本格派フレンチレストラン「MANOIR」
■ マノワ (広尾・フレンチ)について/24.2.18
広尾にあるフレンチレストラン「Manoir」
「マノワ」とは、フランス語で「館」や「家」を意味し、肩肘張らずに、リラックスした時を過ごしていただきたいという想いがこめられているレストラン
昨年11月にオープンして間もないのにも関わらず、食べログでの評価が高く、かつ雑誌等で取り上げられることも多い話題のレストランです。
オーナー兼ソムリエはアニュの支配人だった中村氏、シェフはラール・エ・ラ・マニエールに在籍していた吉池氏という若いながらも実力ある人材をそろえたお店です。
事前に店の情報を調べると、座席数が20席未満ということでしたので、約1ヶ月前に予約を入れ、土曜のランチで訪問させていただきました。
場所は、東京メトロ日比谷線「広尾」駅より徒歩8分 、JR「恵比寿」駅東口より徒歩10分 という距離、明治通りに面しているため、迷うことはないでしよう。
1.雰囲気について
店内は、テーブル席が12席と小さな店内ですが、テーブルが上手く配置されており、隣席との距離を感じさせないような配慮がなされています。
厨房は、オープンキッチンスタイルで、それを囲むように4席のカウンターが用意されており、聞くところによれば、お一人様に設けられているとのこと。
この界隈には1人で気軽に入れるフレンチレストランがあまりないので、近くに住むものとしてはかなり利用価値が大です。
内装は、ダークな木目を基調とした重厚な雰囲気で、カウンターキッチンということもあり、ビストロっぽい印象。
それもそのはず、この店ができるまでは、「ブラッスリーマノワ」というお店で、オーナーが買い取り、居抜きで使用されているとのこと。
木の暖かい温もりが感じられる、居心地の良いお店です。
2.料理について
ランチのコースの下記のとおりで、ムニューエキュムをオーダー
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■ ムニューエキュム:食前の飲み物+前菜+メイン+デザート+食後の飲み物(\3,675)
■ ムニュールミエール:前菜+魚料理+肉料理+デザート+食後の飲み物(\3,675)
■ ムニューヴェルデュール:アミューズ+前菜×2+魚料理+肉料理+デザート+食後の飲み物(\6,30
※ 価格は税込みで、別途サービス料(10%)がかかります。
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料理の全体的な印象としては、、見た目はクラシカルなフレンチそのものですが、塩気を効かせつつも、油脂分が控えめな料理が多く、見た目よりも軽く繊細な印象。
メニューも比較的オーソドックスで、シェフの調理技法を見せつけたり、意外な食材の組み合わせを楽しむサプライズ的な要素はないのですが、何を食べても外れがないという安定感があります。
ポーションはやや小さめで、もっと食べたい感じは否めないのですが、以外にデザートがしっかりしているので、トータルで考えれば、一般的な男性でも十分満足できるボリュームです。
個々の料理の感想は下記のとおりです。
(1)前菜:本日の前菜白子のムニエル
前菜は下記の5択で、本日の前菜(白子のムニエル)をオーダー
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■ 長野県大島農園の季節の野菜の温かいスープ 地鶏のクネル添え
■ 富山県産ホタルイカと長野県大島農園の季節の野菜 甲殻類のジュレと共に
■ ズワイガニとクヌギマスのミルフィーユ仕立て
■ 新ジャガイモのヴィシソワーズのブランマンジェ キャビア添え
■ 本日の前菜
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供されたものは、しっかり焦げ目が付くぐらい焼かれた鱈の白子に、バルサミコベースのソースが敷かれ、数種類の野菜が添えられたという一品。
まず驚いたのが、料理が以外にシンプルかつ古典的であるということ。
中村氏がこれまで手掛けられてきたお店は、明らかにモダンな要素の強いフレンチですが、その真逆を行くスタイルにある意味サプライズ。
本題の白子は、外がカリッ、中がトロットした状態の完璧な火入れ。
丁寧に下処理され、バルサミコソースも濃厚なので白子の臭みはまったく感じることはなく、白子が好きな人はもちろん、苦手な方でもそのトロットした食感とコクのある旨みを堪能できる料理です。
(2)メイン:和牛ホホ肉の赤ワイン煮込み
メインは下記の6択で、和牛ホホ肉の赤ワイン煮込みをオーダー
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■ 本日のお魚料理
■ マダムピュルゴーのシャラン鴨もも肉のコンフィ 燻製ベーコンのエミュリュッション
■ 和牛ホホ肉の赤ワイン煮込み
■ きのこのクルートをのせた 北海道産仔牛のロースト
■ 宮崎県 霧島豚のロースのグリエ 新玉ねぎのソース
■ 本日のお肉料理
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このお店の赤ワイン煮込みは、マッシュポテトの上に乗せられており、数種類の野菜が添えらています。
ホホ肉は、ナイフを軽く入れただけで、肉の繊維がほぐれ、非常に柔らかい食感です。
牛ホホ肉の赤ワイン煮込みというと、私は代官山にあるル・プティ・ブドンのものが最も好きなのですが、味わいを比較すると、ソースの甘みが抑え目なので、逆に肉の自然な甘みが引き立っているように感じます。
また、マッシュポテトには、チーズが入っているものと思われ、非常に食欲をそそる存在。
付け合せの野菜も綺麗に盛られており、見た目も味わいも上品な感じの牛ホホ煮込みでした。
(3)デザート:デザートの盛り合わせ
デザートは下記の5択で本日のデザートをオーダー
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■ 苺のショートケーキ 苺のアイス添え
■ レアチーズケーキ キウイのソルべ添え
■ 透明なヨーグルトのジュレ パイナップルのソルべ
■ マノワ風オペラ コーヒーのアイス添え
■ 本日のデザート
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本日のデザートは、お皿の中央に苺を配し、3種のアイスが添えられたもの。
お皿の右上には、表現が難しいのですが、棒状のハードなシュークリームっぽい生地にヴァローナチョコレートを閉じ込め、揚げたものが添えられています。
特にヴァローナのスティックが絶品で、生地にナイフを入れると、お皿にドロドロと液体になったヴァローナチョコレートが溢れ出し、口の中が一杯になるくらいの量のヴァローナチョコレートを堪能できます。
無論チョコレートは、味わい深く、香り高きもので、このデザートは美味しかった!
(4)パン&バター
パンは、クラム・クラストともハードなタイプのシンプルなバゲットですが、印象に残るほど美味しいというものではありませんでした。
バターは、球状のものが供され、見た目は面白いのですが、空気に触れる面積が大きいため、最初にナイフを入れた時点で既に溶け出しそうなくらいふにゃふにゃで、バターの香りもコクも飛んでいるような気がして余り好きではありません。
(5)食後の飲み物:フォルティシオ
食後の飲み物は下記のとおりで、多種多様で選ぶのに迷ってしまいます。
私はコーヒーのフォルティシオをオーダーしました。
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■ コーヒー&エスプレッソ
・ ローマ:ストロングタイプで滑らかな味
・ フォルティシオ:心地良い苦味と絶妙なコク
・ ヴィヴァルト:ほのかな花の香りと心地良いマイルドな風味
・ フィネッツオ:ジャスミンやベルガモットを思わせる香りとかすかな酸味
・ デカフェ:炒った穀物とかすかなココアの香りを持つ力強い味わい
■ 紅茶
・ 季節の紅茶
・ ウヴァ
■ ハーブティー
・ ヴェルヴェーヌ
・ カモミール
・ 菩提樹
・ ミント
・ ローズレッド
・ ジャスミン
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コーヒーは、大きなコーヒーカップにタップリと注がれており、コーヒーが大好きな私にとってはうれしい限り。
味わいは、エスプレッソのような苦味、爽やかな酸味、深いコクをあわせ持つ、非常に深い味わいで美味しいもの。
間違いなく、今までレストランで味わったものの中ではベスト。
3.ドリンクについて
ドリンクメニューは下記のとおりで、コースに含まれる食前酒でシャンパンを、前菜に合わせグラスの白を、メインにグラスの赤をオーダー
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■ グラスシャンパン(\1,575)
■ カクテル
・ 苺のシャーベットとシャンパン(\1,575)
・ ミモザ(\1,575)
・ ホワイトミモザ(\1,575)
・ キールロワイヤル(\1,575)
・ キール(\1,260)
■ ノンアルコールカクテル
・ 苺のカクテルとトニック(\840)
・ アグリュム(\840)
■ グラスワイン(\1,050/\1,260/\1,575)
■ デキュスタシオン デュ ヴァン(数種のワインを料理に合わせて提供するワインコース)
・ 3種(\3,150)
・ 4種(\4,200)
・ 5種(\5,250)
■ フリードリンクシャンパーニュ(一人\8,400)
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(1)シャンパン:ジャン・ボバン
シャンパーニュ地方CONGY村で造られる、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ、シャルドネ各33%のシャンパーニュ
アタックには豊富な果実味が感じられ、アフターにトースト香のする比較的厚みのある美味しいシャンパーニュ
味わいもさる事ながら、オシャレなグラスにそそがれ優雅な気分にさせられました。
過去の経験上、ワンドリンクがつくコースで良い思いをしたことがないのですが、このお店は単独でオーダーするものと同じものが供されるので、エキュムのコースは、お酒が好きな方にはお得なコースかもしれません。
(備考:ネット価格約2,500円)
(2)グラスワイン(白):ブルゴーニュ・シャルドネ FREDERIC MAGNIEN/2009
グラスの白は3種から選ぶことができ、ブルゴーニュのシャルドネをオーダー。
他には、アルザスのリースリングとクローズエルミタージュが用意されておりました。
フレンチオークの樽香、果実味と酸味がそれぞれバランスよく配合されている感じのワインですが、すべての要素にインパクトがなくあまり印象に残らない。
値段相応のワインと言えるでしょう。
(備考:ネット価格2,000円台前半)
(3)グラスワイン(赤):シャトー・ド・カヤック2005
赤も3択で、ボルドーのシャトー・ド・カヤックをオーダー。
他には、ピノ・ノワールとグルナッシュが用意されていました。
メルロー60%、カベルネ・ソーヴィニヨン25%、カベルネ・フラン15%の配合比率のグラーブ地区のワインで、滑らかな舌触り、まろやかなタンニン、コクがバランスよく配合されているワイン。
こちらも白と同じく2,000円程度のワインですが、力強いアロマや、しばらく余韻が残る点で白とは異なり、料理と合わせて楽しめました。
(備考:ネット価格2,000円台前半)
4.接客について
接客のコンセプトはお客様がサービスを受けていることを意識しないような接客が理想のスタイルとのこと。
そのコンセプトどおり、客との応対が自然で、つかず離れずの距離感も絶妙。
初めて訪れた店なのですが、気兼ねすることなく、リラックスしながら食事と会話を楽しめました。
また、見られているという意識はないのですが、ワインを勧めるタイミング、次の料理を運ぶタイミング等外すことはないので、全くストレスを感じさせません。
(私は、監視されている中で食事をするのが大嫌い!!)
格式にこだわるサービスを提供するレストランも必要だとは思いますが、こういうサービスを提供するお店がそれ以上に評価されるべきだと私は思います。
5.コストパフォーマンスについて
コースにつくドリンクが通常オーダーすれば1,500円ぐらいするものなので、料理だけ考慮すると実質2,000円台というお値打ち価格。
料理は、どれを食べても安定感のある美味しさで、特にデザート、食後のコーヒーは、他のレストランと一線を画すほど素晴らしいもの。
ただ、グラスワインに関しては、価格的には星付きレストランと同等なのにも関わらず、大衆的な雰囲気のワインが供されたので、中村氏のレストランだけにちょっと不満です。
6.総評
クラシカルなスタイルのフレンチながらも繊細な味付け、やや小さめのポーション、ドリンク・デザートの充実度といった点を考慮すると、女性向けの本格フレンチという印象のお店。
料理に関しては、基本に忠実な技法で調理され、どれを食べても間違いなくおいしいのですが、現時点では感動するというレベルというほどではなく今後に期待したいところ。
接客に関しては、他の方の評判どおり素晴らしいものなので、私があえて述べる必要はないでしょう。
現時点では、中村氏の接客のみが前面に打ち出されいる印象が強いお店ですが、今後の注目株としては間違いなく都内トップクラスでしょう。
10位
1回
2012/01訪問 2012/11/15
■ ピーク・バー (新宿・バー)について/24.1.29
パークハイヤットホテル東京41Fのピークラウンジに併設する「ピーク・バー」
食べログでも評価が高い「ピーク・オブ・ジョイ」を予約して、初めて訪問させていただきました。
場所は、新宿駅南口から甲州街道をひたすら西に歩くこと約12分。
なお、ビル内部の構造が複雑なため、初めて訪れる方は多少余裕をもって訪問されたほうが良いでしょう。
(ビルの2Fから、39F・40F・41Fのみに止まるエレベーターを利用します。)
1ヶ月前に予約を入れ、日曜日の18:30分スタートで利用させていただきました。
ちなみに、「ピーク・オブ・ジョイ」のシステムの詳細については、下記のとおりです。
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・ 価格は、女性4,500円・男性5,200円(税込み・サービス料10%別)
・ 利用時間は、17時~21時の時間帯のうちの2時間
・ コースメニューのほかに1品でも注文すると、2時間という時間制限がなくなります。
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1.雰囲気について
ホテルのHPによれば、ピークラウンジに併設されているとありますが、ピークラウンジの一角にバーのスペースがあるというのが正しい表現で、フロアに仕切りがないため、広く開放的な雰囲気です。
ラウンジは、壁面から天井に至るまでガラス窓で囲まれ、眼下に広がる東京の夜景を眺めることができ、まさに「非日常」の空間です。
案内されたのは、窓際の席でしたが、ラウンジ内の何処からでも夜景が眺望できるので、あえて窓際にこだわる必要はないと思います。
また、フロア内はメニューの文字がなんとか認識できるほどの明るさで、ムーディーな雰囲気。
ただし、前述したとおり、全体的には開放的な雰囲気なので、気軽なデートやあまり騒ぎすぎないメンバーでの女子会に利用するのがベターでしょう。
2.料理について
料理は、サラダ+小さな前菜3皿+小さなメイン3皿という構成。
クオリティー的には、チョットおいしい巷のデリバリーレベルというのが正直な感想で、多少手間はかかっているのでしょうが、料理に対するこだわりがあるというほどではなく、お酒のつまみ程度に捉えたほうが良いでしょう。
また、ボリュームに関しては、料理だけ食べれば腹八~九分といったところですが、ドリンクをそれなりにいただけば、お腹一杯になりますので、あまり気にすることはないかと思います。
個々の料理の感想は、下記のとおりです。
(1)サラダ:ガーデングリーンサラダ
大きなボウルで運ばれてきたのは、レタスとベビーリーフがタップリ盛られたサラダで、上にはパンが乗せられたもの。
ソースは、バルサミコベースのものと、オリーブオイルベースで柚子の香りがするものの2種でした。
野菜は、特段下処理が施されている訳ではないのですが、元気で瑞々しく、素材本来の美味しさを楽しめました。
(2)前菜1:ニシンのマリネ
前菜の1つめは、ニシンのマリネ(一人につき一切れ)に付け合せの野菜を添えたもの。
ニシンは、香草につける等の処理はされていない模様で、魚の臭みを残したタイプですが個人的には大好き。
合わせて飲んだ白ワインも、ミネラルが豊富なタイプなので、いたずらに魚臭さを助長することなく、おいしいくいただきました。
(3)前菜2:にんじんのムース
にんじんのムースにプチトマトをのせた前菜。
ムースは、おそらくニンジンのピュレと生クリーム的なものを和えたもので、ニンジンの甘さと、芳醇なクリームのコクがバランス良く配合された秀逸なムースでした。
食べ終えた後の余韻も長く、この日いただいた料理の中ではベスト。
(4)前菜3:パテドカンパーニュ
しっとりしたタイプのパテですが、肉々しさが余り感じられなかったので、個人的には好みではありませんでした。
コクのあるスペイン産のワインに力負けしていたのも残念。
(5)メイン1:ペンネ(トマト+ツナ+オリーブ)
可も無く、不可も無く、普通に美味しいペンネ。
(6)メイン2:鱈のフライ
メインの魚料理は、鱈のフライにカイワレ大根を添えたもの。
見た目も味も普通。(それしかコメントの仕様がないです。。。)
(7)メイン3:ローストビーフ
メインの肉料理は、ローストビーフに、ニンジンのピュレと菜の花をそえたもの。
こちらの料理も、可も無く、不可も無く、普通に美味しいというのが正直な感想。
個人的にはローストビーフよりも添えられていた菜の花の方が季節感があり印象的でした。
3.ドリンクについて
ドリンクメニューについては、下記のとおりで、あまりの種類の豊富さにビックリです。
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■ スパークリングワイン
・ カヴァ マルケスドモハ(スペイン)
■ ワイン
・ 赤ワイン ラ・オブラ グルナッシュ(スペイン)
・ 白ワイン ラ・オブラ ヴィラムスカ(スペイン)
■ ビール
・ キリン ブラウンマイスター
■ スピリッツ&ウィスキー
・ アブソルートウォッカ
・ バカルディホワイトラム
■ カクテル
・ シトラスティー:ウォッカ、柚子リキュール、グレープフルーツジュース、マンダリン
・ エンジェルソング:ラム、グリーンアップルリキュール、葡萄ジュース、キャラメル
・ クレセット:スロージン、アプリコットブランデー、アップルジュース、ナチュラルシロップ
・ トゥインクルスター:ゴールードテキーラ、レモンジュース、グレープフルーツ、ソーダ
・ ウィンターリップ:ホワイト&マッカイ、アップル、生姜、スパイシーマンゴー、ソーダ
・ ファンシードリーム:ジン、ヨーグルトリキュール、ストロベリーソース、ソーダ
・ ナルキッソス:白ワイン、マンダリンリキュール、アップルジュース、アプリコット
・ ラバーズデイ:蜜柑リキュール、すももリキュール、グレープフルーツジュース、生姜
■ スパークワインカクテル
・ アップル&ジンジャー
・ マンダリン
・ グランベリー
■ ビーフィータージン
・ サウザ シルバー テキーラ
・ ホワイト&マッカイウィスキー
・ ジム ビーム ウィスキー
■ リキュール
・ カシス
・ サザンカンフォート
・ ミスティア
・ ピーチ
■ MIXERS
・ ソーダ、トニックウォーター、ジンジャーエール、コーラ
■ ノンアルコールカクテル
・ ウィンターローズ:ストロベリーネクター、グレープフルーツジュース、ローズシロップ
・ スノーフレーク:アップルジュース、グレープフルーツジュース、セブンアップ
・ ブーナ:蜜柑ジュース、スパイシーマンゴーシロップ、ソーダ
・ カペラ:グランベリージュース、ヨーグルト、マンダリンシロップ
・ ナイトベール:ミックスベリーピューレ、蜜柑ジュース、アイスティー
■ノンアルコールビール
・ サントリー オールフリー
■ソフトドリンク
・ オレンジジュース
・ アップルジュース
・ ウーロン茶
・ パイナップルジュース
・ グレープフルーツジュース
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種類の多さだけではなく、クオリティーに関しても十分満足できるもので、ワインやスパークリングワインに関しては、価格的には高いものではないのですが、セレクトが素晴らしく、それぞれに個性があり、ワイン単体で味わっても十分楽しめるレベル。
また、ノンアルコールカクテルをはじめて飲んだのですが、味・香りとも複雑であまりの完成度の高さにビックリ。
ちなみに飲んだドリンクは、スパークリングワイン、グラス(白)、グラス(赤)、スパークリングカクテル、カクテル×1、ノンアルコールカクテル全種類の合計10杯。
個々の感想は下記のとおりです。(記憶にあるものだけ。。。)
(1)スパークリングワイン:マルケスドモハ
食前酒としていただいたのがマルケスドモハというカヴァ。
シャープで切れのある酸味が特徴で、果実味も豊富。
フリードリンクだったので、あまり期待してはいなかったのですが、最初の一口で見事に期待を裏切られました。
ドリンクが総じて甘めなので、食事と一緒にお酒を楽しみたい方には重宝する一品です。
(2)白ワイン:ラ・オブラ ヴィラムスカ(スペイン)
どしっりとしたミネラルが特徴的なスペインのワイン。
南の地方のワインにしては、綺麗な酸味で、どんな料理とも合う万能選手。
カヴァに続き白ワインのクオリティーも素晴らしかったです。
(3)赤ワイン:ラ・オブラ グルナッシュ(スペイン)
赤は、グルナッシュを使用したスペイン産のワイン。
こちらは、南の地方特有の柔らかな酸と、豊かなコクが味わえ濃厚そのもの。
温度も、適温で管理されており、さすが一流ホテルと納得の一杯でした。
(4)スパークリングカクテル:グランベリー
スパークリングワインに、グランベリーのリキュールを加えたもの。
甘い味わいで、お酒を普段飲まない方は飲みやすいかもしれませんが、食事とは合わないし、スパークリングワインのクオリティが高かったこともあり、シンプルに飲むほうが個人的には好き。
(5)カクテル:エンジェルソング
唯一オーダーしたカクテル。
カクテルを飲むことはめったにないので、他店のものとの比較はできないのですが、かなり甘いテイストだったので個人的にはNG。
料理と合うとは思えないし、アルコール度数も高いので、食後に1杯ぐらい飲むぐらいがいいのかな。
(6)ノンアルコールカクテル:ブーナ
ノンアルコールカクテルはすべて制覇するほどどれも美味しかったのですが、一押しがブーナ。
濃厚な蜜柑ベースのカクテルなので、酔いを覚ますのにはもってこいの飲み物。ゴクゴクいけてしまいます。
また、アフターに感じるスパイシーな感覚も、病み付きになる1杯でした。
4.接客について
きびきびとした接客が好印象で、料理の説明等も簡潔でわかりやすく、客の会話の邪魔にならないよう十分配慮されたもの。
また、フリードリンクで重要なのが、ドリンクのオーダーをとりにくるタイミングなのですが、このバーに関しては、飲んでいるドリンクがなくなりかけると、次のドリンクを薦めてくれるという気前の良さ。
フリードリンクで、この接客姿勢はかなりポイントが高いです。
サービスが良いと、お酒が2倍にも3倍にもおいしく感じるなーとつくづく実感させられるサービスでした。
5.コストパフォーマンスについて
普通にオーダーすれば、1杯千円~2千円のドリンクを10杯近く飲むことができたので、価格的には大満足ですが、それ以上にドリンク1杯1杯のクオリティーが高かったことが驚き。
食べログで4点以上という評価も、誰もが納得する内容だと思います。
6.総評
料理は、ハッキリ言って巷のデリレベルですが、ドリンクの種類の豊富さとクオリティーで、補って余りある内容。
東京の夜景を眼下に見下ろせる非日常的なシチュエーションや、都会的で洗練された接客も申し分なく、大変気分良くお酒が飲めました。
そしてなりより素晴らしいのが、5,000円というコストパフォーマンスの良さ。
リピートは100%確実な素敵なバーでした。
2012年は、旅行に行くことが多く、東京以外、フレンチ以外のジャンルのレストランを数多く堪能させていただいた充実の1年間でした。
ただそれと同時に、東京のレストランのクオリティーの高さ、フレンチの素晴らしさについて、改めて実感させられた1年でもありました。
レストランの評価は、マイベストランに示すとおりですが、今年印象に残った料理・印象に残ったワインを下記に記載させていただきました。
2013年は、これまで同様フレンチ中心のスタンスは変えずに、詳細かつ、客観的にをコンセプトにコメントさせていただきたいと思います。
特にネオ・ビストロと言われているお店を中心に食べ歩きたいと思っており、痛風・肝臓等、体調管理に気を付けながら(笑)東京フレンチ100件越えを目指すべく頑張る所存です。
今年、レビューを見ていただいた方、コメントをいただいた方、ありがとうございました。来年もよろしくお願いします。 by鈴木ファンド
■■■ 今年印象に残った料理 ■■■
□ 甘鯛の松笠揚げ(カンテサンス)
均一の方向を向いた鱗の美しさにため息。
□ シュークルート(ボンシュマン)
鴨の脂、豚の脂を吸った熱熱のキャベツが最高。
□ クスクス・ロワイヤル(クニオミ・ネオ・ビストロ)
味付けが最高。この店の味付けとの相性が良く、何を食べても美味しかった。
□ 鴨肉のパイ包み焼き(キャーヴ・ド・ボキューズ)
鴨肉の旨みとフォアグラの苦味が見事に融合。赤ワインを欲する味。
□ マトンカリー(想い木)
この夏、カレーを食べ歩くきっかけとなった一皿。肉の旨みとスパイスの見事な調和。
□ 矢澤ステーキ
肉が甘い!脂の余韻も長い!至福の時間を過ごさせていただきました。
■■■ 今年印象に残ったワイン ■■■
□ ブルゴーニュ・ブラン(ル・ブション)
ヴィンテージ等ですが、このお店のグラスワインのセレクトは秀逸です。
□ 菊鹿カベルネ/熊本ワイン(アルヴィナール)
国産ワインでここまでパワフルなのは初めて。熊本、期待しています。
□ Domaine Alexandre Bain Pouilly-Fume 2010/ロワール(オマージュ)
フォアグラとの相性が抜群。2杯飲みたくなるくらい美味でした。
□ イミル/カラブリア(リストランテ デラ コリーナ)
黄金の液体で、パワフルなのかと思いきや清楚なワイン。