この口コミは、鈴木ファンドさんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。
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昼の点数:4.8
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¥10,000~¥14,999 / 1人
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料理・味 4.7
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|サービス 4.5
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|雰囲気 4.5
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|CP 5.0
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|酒・ドリンク 4.5
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[ 料理・味4.7
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| サービス4.5
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| CP5.0
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| 酒・ドリンク4.5 ]
プロデュイ(素材)、キュイソン(火の入れ方)、アセゾネ(味付け)の素晴らしさを堪能
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甘鯛の松笠揚げ
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シャンパーニュ
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グラスワイン(白)
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いも豚のロースト
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アヴァン・デセール
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パン
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2012/11/15 更新
■ レストラン・カンテサンス (白金台・フレンチ)について/24.1.11
白金台にあるミシュラン三つ星フレンチ「レストラン・カンテサンス」
レストランの名前であるQuintessence(カンテサンス)とはフランス語で「進化する世界を説明するために存在するエネルギー」「エーテル」「万物の本質」などの意味合いをもち、少々哲学的なニュアンスを感じます。
シェフの岸田氏は、パリ16区の「アストランス」(現在、三つ星)にて、スーシェフを務められた実力派。
お皿の上でどんな料理哲学を披露してくれるのか期待を胸に初訪問です。
場所は、白金台駅1番出口より徒歩10分。
なだらかに下るプラチナ通りを北西に進み、眼下に首都高の高架が見えてきたあたりで左折するとお店はあります。
3週間前に平日ランチの予約を入れたのですが、たまたまその日にキャンセルがあったらしく、運良く予約が取れました。
1.雰囲気について
店名のエンブレムが入った扉をあけると、そこはウェイディングスペースとなっており、スタッフの女性が笑顔でお出迎え。
店内はブロンズ色の壁、黒いレザーの椅子、真っ白なテーブルクロスが敷かれ、モノトーン調のシックで大人の雰囲気。
3つ星ともなると豪華爛漫な内装をイメージしていたのですが、以外にシンプルでコンパクトな店内です。
隣席との距離もしっかりとられ、テーブル・椅子ともにゆったりしたサイズなので、周りを気にすることなく、料理に全力集中で挑める雰囲気です。
2.料理について
メニューは、ランチ(\7,875税込)・ディナー(\16,800)ともに1種類のみ。
その理由は、席に着くと渡される白紙のメニューに記載されており、「最高のお料理でもてなすために、その日もっとも旬な状態の素材を各地より仕入れ料理を仕上げるため、メニューの内容がたえず変化するから」とのこと。
私が訪問した際のメニュー構成は、アミューズ+小さな前菜(2皿)+魚料理+肉料理+アヴァンデセール+デセールの7皿で、他の方のレビューを見てもこの構成は同じ模様。
なお、ランチのポーションは7皿で、ディナーに比して少ないのですが、個々のポージョンの量を多めにしているとのこと。
料理の全体的な印象としては、シェフが掲げるコンセプト「プロデュイ(素材)」「キュイソン(火の入れ方)」「アセゾネ(味付け)」の3つの要素を忠実に守り、全神経を注いで調理しているなというのがひしひし伝わってきます。
これらのこだわりに関しては、他のレストランと明らかに一線を画すものがあり、3つ星獲得も納得です。
個々の料理の感想については下記のとおり。
(1)アミューズ:白子のフランと茸のスープ
北海道産の鱈の白子のフランの上に、フランス産のシャントレルとトランペット茸の2種の茸をスープにしたものが注がれ、その上に同じ茸の泡状のソースがかけれた3層からなる前菜。
白子は特有のまったりとした味わいと、滑らかで弾力のある食感が楽しめ美味。
2種の茸も、インパクトのある白子の味に負けず劣らずの味と香りで、特に香りが芳しく、食欲がそそられ一皿目には適した料理。
ただ唯一の難点が、サーヴされたシャンパーニュとの相性が悪かったことで、白子を口に含んだ後にシャンパーニュを飲むと、魚介の生臭ささが助長され、とてもワインとあわせて飲めるようなものではなかったこと。
白子のフランは、バリエーションを変えてよく供されるようなので、ワインと一緒に楽しむのであれば、ソムリエに相談されるのがベストでしょう。
(2)前菜1:山羊の乳のバヴァロワ
この料理はシェフのスペシャリテの1つであり、他の方のブログを拝見すると2皿目で供される確立が高いようです。
バヴァロワは、毎朝京都から直送される山羊乳を使用したもので、ゲランド塩がふりかけられています。
バヴァロワ周りには、「Mille et Une Huiles」というメーカーの「fruite vert」(緑のフルーツ)というオリーブオイルがソースのように敷かれおり、バヴァロアの上には、食感のアクセントとしてマカダミアンナッツと百合根がのせられたという一品です。
まずは、バヴァロワをスプーンですくって味わってみると、予想に反して酸味が強く、例えは悪いかもしれませんが、プレーンヨーグルトのような味わいで、これだけ食べるとずば抜けて美味しいものとは感じません。
ただ、他の食材と合わせて食べてみると、この酸味があるが故にゲランド塩の甘み・旨みを感じることができ、また、そのまま食すれば青臭く、少し苦味のあるオリーブオイルのフルーティな部分だけが強調され、秀逸なソースに変化をとげています。
主役と思われがちなヴァヴァロワを媒介として、塩とオリーブオイルという調味料の素晴らしさに着眼点を置いた料理です。
(3)前菜2:桜海老、ボタン海老、ぽろネギ
レモンでマリネした北海道産の牡丹海老に、伊豆の桜海老をフレークしたものとディルがのせられています。
海老の下には北海道産のポロ葱が敷かれており、それらは蒸上げて柔らかくしてから、1本1本の繊維を手で解しているとのこと。
小さなポーションながらも非常に手の込んだ一品です。
牡丹海老は、ねっとりとした食感で甘みがあり味覚で楽しませてくれる存在。
桜海老は、「その香りを生かすために高温で調理しました」とのスタッフの説明どおり、今まで感じたことがないほどの凝縮感のある桜海老の香ばしい香りでうっとりしてしまいます。
北海道産のポロ葱は、手の込んだ処理をされているだけあり、トロトロの食感で牡丹海老によく絡みます。
また、マスタードとヴィネガーでマリネされているため、甘みの要素が強調され、フルーツを食べているような感覚でした。
味の牡丹海老、香りの桜海老を使用した、海老のいいとこ取りの前菜。美味しかったです。
(4)魚料理:山口萩産甘鯛の松笠揚げ
魚料理は甘鯛の松笠揚げ。
他のレビュアーの口コミを拝見して、松笠揚げは一番食べたかった魚料理だったのでラッキーでした。
甘鯛は、鱗と皮を黄金色にパリッと揚げているのですが、鱗の一枚一枚が均一な方向に垂直に立っており、これほど美麗な松笠揚げは見たことがありません。
鯛の身は、外側とは対照的にふっくらジューシーで必要以上に火入れはしていない模様。
ソースは、バターベースのソースで、行者ニンニク、せり等、あまりフレンチでは使用されているのを見たことがない香草が刻まれており、付け合せにはほうれん草・オレガノ・へーゼルナッツが添えられたという一品。
早速、松笠揚げを味わってみると、脂抜けの良いサクサクとした食感が心地良く、まるで衣を食べているような錯覚に陥ります。
また、単に衣を付けてフライにしてしまうと味わえない、ダイレクトな香ばしさを感じることができ、ありきたりの食材がシェフの魔法の火入れにより、こんなにも美味しいものに変化をとげるのかと驚愕してしまいました。
バターソースも一癖ある香草との相性が面白く、行者ニンニクのピリッとした味わいは、食欲をそそるものがあり、倍のポーションでも完食できると思わせるほどの秀逸な料理。
この料理だけでもカンテサンスに来た甲斐がありました。
(5)肉料理:いも豚のロースト
肉料理は、「いも豚」と呼ばれる豚をローストしたもので、かなりボリュームのあるポーションです。
ソースは、赤ワインとコニャックを煮詰めたソースとカンゾウをオリーブに漬け込んで、バターと合わせたソースの2種。
付け合せとして、レンズマメ、トランペットと杉茸、レンズ豆の煮込みとスティックセニョールが添えられた一品です。
この料理で特質すべきものは、何といってもシェフが「アストランス」時代に身につけた、低温長時間ローストで肉の旨みを引き出す火入れの手法。(加熱1分、余熱5~6分を数十回繰り返し火を入れる。)
ピンクと白の肉の表面からは、肉の内部までは火が入っているとは到底思えないのですが、ナイフを入れると肉の表面と同様に火が入っており、肉本来の赤身の旨さ、脂身の旨さを堪能できます。
ただ、いくら赤身・脂身が美味しいからといって、限りなくレアに近い肉をたくさん食べれるかというと話は別で、肉の半分を食べ終えたころには味に飽きてくるし、ハッキリいって胃にもたれます。
より小さなポーションが供されるディナーでは評判が良いのかもしれませんが、ランチで供されたサイズでは食べてる途中でもういいやと思えるものでした。
(6)アヴァンデセール:ココナッツのクリーム ピスタチオオイルとエスプレッソ
アヴァンデセールは、ココナッツのクリームにピスタチオのオイルを注ぎ、オイルの中央部にエスプレッソを流し込んだもの。
スプーンを垂直に入れてすくって食べてくださいとのことです。
この料理は、それぞれの食材を単体で食べると全く味気のないものですが、口の中で融合させると、ココナッツクリームの甘み、エスプレッソの苦味、なめらかピスタチオのオイルが複雑に絡み合い美味。
また、3つの食材の割合を変化させても味わいが大きく異なるので、スプーンで微妙に配分を変えながら味わうという楽しみ方もできるデザートです。
(7)デセール:メレンゲのアイスクリーム(能登の塩バージョン)
供されたのは、こちらもシェフのスペシャリテの1つであるメレンゲのアイスで、メレンゲを香ばしく焼いたあと、わざわざ崩してミルクと混ぜてアイスを作っているとのこと。
なお、このアイスにはたくさんのバリエーションがあるらしく、訪問時に供されたのは、メレンゲのアイスに能登の海水を煮込み、5倍の濃度にしたものを霧吹きで吹きかけたものでした。
味わいは、計算された絶妙な塩加減により、アイスの甘みが引き立ち、同時に塩の旨みも味わえるもの。
アイスも口どけが軽くさわやかで、塩を吹きかけたことにより、キャラメルのような味わいに変化しとても美味でした。
(8)パン
パン・オ・ルヴァンっぽいものが供され、酸味があるので食が進みます。
なお、完食するとまた同じものがサーヴされました。
(9)食後の飲み物:エスプレッソ
コーヒー・紅茶・エスプレッソ・ハーブティーの中から選択でき、エスプレッソをオーダー。
ステンレスと思われる器に注がれ供されます。
美味しいエスプレッソなのですが、素晴らしい料理の後に飲むと、平凡に感じてしまうのが悲しいところです。
3.ワインについて
アミューズ~山羊のバヴァロワにかけてシャンパーニュ、牡丹海老の前菜~魚料理にかけてグラスの白、肉料理に合わせてグラスの赤をオーダーしました。
グラスワインの品揃えは、赤白ともに数種類あり、デザートワインもグラスで用意されていました。
個々の感想は下記のとおり。
(1)シャンパーニュ:フランソワ・ビリオン(\1,890)
元「サロン」の醸造長が作ったシャンパーニュで、単一品種、単一ヴィンテージ、単一クリマにこだわり製造されたもの。
味わいは、バターやナッツ系の重厚な厚みのある味わいの中にも、シャルドネらしい切れ味のある酸味が味わえ大変美味。
久々に美味しいシャンパーニュを味わうことができ、普段なら失念してしまう作り手の名前までしっかりと記憶できました。
ただ、前述したとおり、アミューズの白子のフランとの相性が悪く、魚介の臭みを助長するものであったのが唯一残念。
(2)グラスワイン(白):ラ・トゥール・サン・マルタン メヌトゥ・サロン・ブラン モローグ 2010(\1,470)
どっしりとしたミネラルが特徴的で、ソーヴィニヨンブランのしっかりとした柑橘系の果実味とのバランスも良いワイン。
シャンパーニュも美味しかったのですが、食事と合わせるとなるとこちらのほうが断然上。
海老の前菜、甘鯛の松笠揚げの魚介料理にもよく合う非常に美味しいワインでした。
ソーヴィニヨンブランでこんなに美味しいものは初めてかもしれません。
(3)グラスワイン(赤):ジュヴレ・シャンベルタン ピエール・ダモワ 2006(\1,890)
鮮やかなバラ色のワインで、ブラックチェリーを思わせる華やかな果実味と樽香がバランスよく融合された力強いワインで、脂身のある豚肉にもマリアージュ。
典型的なブルゴーニュであれば、可憐さ故に確実に豚肉パワーに負けてしまうのでしょうが、そこはパワフルなジュブレ・シャンベルタンだからこそなせる業。
ジュブレ・シャンベルタンは最も好きなワインの1つです。
4.接客について
接客に関しては、客に対する気遣いや観察力・料理の説明・ワインの説明等完璧で、一見非の打ちどころがないように感じますが、完璧すぎるが故に窮屈な印象を受けることがあるのも事実。
具体的には、ワインを飲み干すと、確実に90秒以内には次のワインを進められるという凄まじいサービスを受けたのですが、常に誰かの視線を感じながら食事をするというのは常人ではなかなか気持ちのいいものではありません。
また、料理の説明の際に、主体となる食材の説明はもちろん、付け合せの食材の産地まで長々と聞かされるので、温かい食事が出てきたときは、説明を省略するなど、柔軟な対応が欲しいところ。
サービス単体で評価すれば、非の打ち所がないのかもしれませんが、料理を美味しく食べるという観点から評価するといささかこの店のサービスについては疑問を持ちますし、私の好みではありません。
5.コストパフォーマンスについて
カンテサンスの場合は、メニューが1種類しかないので、これは紛れもなく他店でいうところの「シェフのオススメ料理」に該当し、価格面のみで比較しても、決して高いランチだとは思いません。
それに加え、創造性溢れる料理、渾身の火入れを技術料として換算すれば、カンテサンスに勝るコストパフォーマンスのレストランは遭遇したことはありません。
8,000円という価格を遥かにしのぐ満足感や価値を感じました。
6.総評
3つ星=完璧という先入観から、アラばかり探してしまいがちですが、これだけ素材・火入れ・味付けにこだわった美味しい料理はめったに出会えるものではなく、これ以上のものがあれば是非教えてもらいたいです。
予約が取れればすぐにでも再訪したいところですが、今回訪問した際の反省点として、事前に食べログで情報を収集しすぎたため、ネタばれが多く、感動が薄かったので(他のレビュアーさんの描写力が素晴らしいのもあります。)、新たなメニューができるまで、しばらく時間をおいて訪問したいと思います。
より大きな感動を得るために。。。