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「オアシスカフェ」ホームページによると2014/1/31 諸事情により閉店しますとのこと。ある程度予想していたけれど、営業期間約7か月で閉店とは、ちょっと早かったですね。
大阪中南部に数店舗展開(本店はネパール・カトマンズBasundhara,Kathmandu,Nepal にあり、カトマンズでも最大規模のレストランらしい)しているインド・ネパール料理店「オアシスカフェ」による、ネパールの大衆的定食であるダルバートを中心とした店がオープンした。某マニアからの情報により、急遽予定を変更して平日のランチタイムに訪問してみた。店名の「ねぱりこちゅろ」とは「ネパールの台所」という意味らしい。
店の立地は大阪市営地下鉄、御堂筋線大国町駅を降りて(出口②)徒歩4~5分のわりと殺風景なワンルームマンションなどが多く集積するエリアである。
駅を降りてスーパー玉出を目標に行けば分かりやすい。店頭に大きなネパール国旗を掲げている。
店舗はもともと「そば屋」であったようで、エクステリアは派手にペイントされていたが、格子の引き戸であるとか瓦であるとか純日本風の建物であることが間違いなく分かる。店内についても、インド・ネパール料理店にありがちな怪しい雰囲気は無く、テーブルクロスや照明等を工夫してお洒落な雰囲気を作っており好感がもてる。お金をかけて改装せずに元の雰囲気を残した改装をしているようであるが、逆にそのことによってレトロチックなお洒落カフェの趣も醸し出されており、女性に好まれそうな良い雰囲気である。訪問した日はホール担当者1名の他コックさん2名の体制であったが、レギュラーでこの体制なのかは分からない。
店内に入ってランチタイムのメニューを見たところ、確かに「ナーン」を含むメニューは無く、基本的にダル、タルカリ、アチャール、バート(ごはん)を中心とした、まさにネパール定食ダルバートのみ」という思い切ったものであった。ネパール系インド料理店を利用したことがある一般的な日本人なら、たぶんナーンやタンドリーチキン、マイルドなカレーといった某チェーン店のようなメニューを想像して店に入ってくるのであろうが、上記のようにメニューに「ナーン」は無く、「豆スープ、カレーとごはん」を中心としたものばかり(麺料理であるチョウメンやトッパはあるが)なので、ネパール料理のことをよく知らない、あるいは間違ってイメージしている方々は肩透かしをくらうであろう。
さて今回私がオーダーした料理は、一番内容が充実しており最もダルバートらしい「ダルバート マス」(1,100円)。チキン、マトンから選択できるマスコタルカリ(肉のカレー)はマトンカレーでお願いした。辛さもオーダーできるので、デレイピロでお願いした。その他のメニューは女性客をかなり意識しているようで、680円のシンプルなものからカレーの種類やダル、タルカリ等の組み合わせにより数種類のランチセットが用意されている。麺料理を除く全ランチセットはすべてごはんのお代わりは無料のようである。
「ダルバート マス(ノンベジのダルバート)」の内容であるが、ダル、マスコタルカリ、アチャール2種(アルコアチャール、ムラ+ガージャルミックスアチャール)、ベジタルカリ、サーグ、バート(ごはん)がワンプレートに盛りつけられている。なお混ぜていただいたダルバートは非常に美味しく、特にダルバートの肝であるダールが素晴らしかった。水分多めのシンプルなダール(ムングダール使用?皮付きも入ってた)であるが、ネパール人に人気が高いタカリー族などのダールによく見られる、ヒマラヤの乾燥ハーブである「ジンブー」をタルカして使用しているためとても風味がよく、巷によくある北インドレストラン料理的なダールとは一線を画するものとなっている。このダールをいただけるだけでも価値が高いと思う。一般の日本人を対象としたレストランで、このようなあまり日本人が慣れてないタイプの現地的なダールを供するということはかなり勇気がいることであり、それをあえて供していることでこのお店の本気度が分かる。他のタルカリやアチャールもとても美味しかった。
店のコンセプトなど自分の考えと共感できる部分が多く、関西では本格的な現地仕様のネパール料理がいただける店が少ないため、是非このメニューで頑張って継続していただきたいと思う。ただ今回初めて訪問してみて気になった点もある。
まず1つ目は、一般的なダルバートの食べ方として、おかず類をダルをかけたバートに混ぜていただくわけであるが、たぶん一般的な日本人のお客さんはこういうことをご存じないので、ホール担当者がお客さんに食べ方説明をする必要があるわけであるが、今回見た限りでは一切食べ方について説明をしていなかった(私を含めて)。「自由に食べたらいいでしょ」と言う人もいると思うけれど、ダルバートは基本である「ダール+バート」が重要なのであって、これ無しではせっかくのダルバートの美味しさが半減する。一般的な日本人は「おかず類とご飯を別々に口に入れて口の中で混ぜ合わせる」という食べ方をするので、なおさら特別な説明が必要である。もしホール担当者が日本語でうまく説明できないのであれば何か説明書的なペーパーを用意して各テーブルに配置すべきであろう。根本的なことであるが、「ダルバートとは何ぞや?」というような基本的なことを説明するペーパー等も必要なことは言うまでもない。日本人シェフによるエスニック料理店ではそのような細かい気配りができている店が多いように思うので参考にしていただきたい。
2つ目としては、別のテーブルに座っておられた女性客に料理が配膳される時、ホール担当者が「ごはんはお代わり無料です」と言っていたけれど、普通の女性客ならまずごはんのお代わりはしないと思うし、確かにダルバートとしてはそのようなご飯お代わり無料というスタイルが普通のことだけれど、顧客サービスの面から見ると特にお客にアピールするものではないと思われる。むしろ若い女性客にそんなことを言うと「私そんなに大食いに見えるの?」と反感を買うケースも考えられるので、ここは配慮が必要(男性客のみに声掛けをするとか)なのではないだろうか?
なお、なぜこのような本気のダルバート専門店といっていいコンセプトの店がオープンしたのか、経緯をよく知るマニアの方に伺ったところ、「従来のお決まりのスタイルでなく、よりリアルなものが求められていて、受け入れられつつある… という事に、日本人の入れ知恵でなく、ネパール人スタッフ達自身が気づき始めたらしい」とのこと。そうであればなおさら「ダルバートを普及させる」という強い意志をもって、粘り強くコンセプトを変更することなく店を続けていってほしいと思う。