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茶室内の照明
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床の間
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茶室から見る風景
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先付、向付
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汁
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汁椀
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汁
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八寸
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焼物
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炊き合わせ
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焼物
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焼物
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御食事
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煮物椀
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水物
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お薄、お菓子
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南禅寺総門外松林茶店として創業、400年の歴史を経て今なお続く
瓢亭さんへの訪問です。
何も知らず、ただ行ってみよう的な勢いで10年以上前に訪れた時と比べて
店の佇まいは変わっていません。
今回は紅葉を愛でる観光客で溢れ返っている時期に伺いました。
隣にある無鄰庵の庭を見て予約の時間に昔の茶店の雰囲気を残す店へ。
物腰柔らかい仲居さんに案内されて打ち水がされた店内を通り、
草葺きの茶室「くずや」へ。
歴史を感じさせる部屋に入ると感動と緊張が混ざり合った不思議な雰囲気。
ヒヨドリが鳴く声以外、外の喧騒から遮断された静寂を保つ秋の庭。
庭に枝が一本降ってきたのは鳥がくずやの草葺きを引っ張り出す為。
風情がありすぎです。
庭の池は透明度が高いので仲居さんに聞くと琵琶湖疏水を流れる水を無鄰庵へ引き、
その水を瓢亭さんの庭の池に引いてさらにその水は白川へ流れているそうです。
どうりで水がきれいなわけだ。
そうこうしているうちに女将さんが挨拶に来られ、食事が始まりました。
・先付
からすみ大根、胡瓜と柿の胡麻和え
・向付
明石鯛
からすみのしっとり感、ねっとり感は最高。
胡麻和えの胡麻の風味が鼻を快くくすぐります。
ここで出される鯛は明石の潮でもまれた為、身は筋肉質で脂が程良くよっています。
そこに合わせるトマト醤油は鯛の持つ白身の旨味を殺さず
旨味の上にトマトの旨味を重ねます。そのまま飲めますよ、と女将さんに
言われて試してみると、飲めるわ。売っていたら即買いなんだけど。
・汁
蓮根団子、なめこ入り白味噌汁
蓮根団子に仕込まれた山葵の演出が見事。白味噌、出汁が京都だなあ。
鳥獣戯画が描かれている椀がかわいい。
・八寸
瓢亭玉子、栗の甘露煮、焼き銀杏とむかご、青味大根、蟹子、海老と鯛の手毬寿司
名物の瓢亭玉子の登場。一見普通の半熟ゆで卵ですが箸で持ち上げた時、
この玉子に隠された料理人の技に驚愕。
これを半分に切る時に黄身を流さずに且つ柔らかい白身にガタガタの切り口を
残さない包丁の入れ方に感動。そう簡単に出来るものではありません。
また、切った黄身の表面に黄身の色で判らないように乗せた淡口醤油が
卵の旨味を引き立てます。
技を客人にひけらかさない料理人の心意気。日本人ならではの心配りでしょう。
蟹子は初めて頂きました。磯の香りと日本酒にあう塩加減は車で来た人には
悪魔のささやき。栗は皮付きで洋菓子では絶対に出せない上品な甘さが
実にしみ込んでいます。
・焼物
焼き鶉、かぶらの餡かけ
鶉はたれがかかっていて、たれと鶉の脂、焼きの香りがものすごくいいです。鶉って
こんなに美味いんだ、と思わせる逸品。かぶらも出汁がしゅんでて美味いわ。
・炊き合わせ
海老芋、すけそうだらの卵
京野菜である海老芋に染みている出汁、里芋とは違った海老芋の持つねっとり感、
すけそうだらの卵の美味さ。凄過ぎです。
・焼物
かます、舞茸の杉板焼き
ふっくら仕上げたかますの身に杉の香りを纏わせてすだちをかけていただきます。
香りのよさ、美味さに卒倒しそう。
・御食事
ご飯、煮物椀（蟹真丈、京人参、生麩）、香の物
ご飯が甘くてめちゃくちゃ美味い！
仲居さん曰く、滋賀の江州（ごうしゅう）米を使っているとの事。
あまりにも美味くておひつのご飯を全部頂いてしまいました。
煮物椀の出汁は素材を邪魔しない様に鮪節を使ってギリギリの旨味を保持しています。
蓋をあけた時に広がる柚子の香りと素材のもつ味、出汁の香りと味とのバランスが
素晴らしい。
・水もの
柿、ラ・フランス
柿は持つと崩れてしまうのでは、という程完全に熟していて
スプーンで身をすくって頂きます。
こんなうまい柿食べた事ない・・・。
ラ･フランスはコンポートで。
・お薄、お菓子
嘯月の上生菓子「錦秋」
実は前日に嘯月さんで手に入れた「錦秋」を食べているのですが、
見た目は同じでも瓢亭さんで頂いた「錦秋」は中が違う、全くの別物。
瓢亭スペシャルとも言うべき嘯月さんの傑作。
それを歴史ある茶室で頂くこの上ない贅沢。
秋の葉を模した菓子皿（葉脈が浮き出ている木皿）に乗った
嘯月さんのお菓子とお薄との色調はため息が出るほどの美しさ。
日本人でよかったと思わせるひと時です。
店に入って約3時間。だれる事なく適度な緊張感を持ちながら
素晴らしい料理を頂きました。
季節感を交えながら素材の持つ力を引き出す味付け、
見た目控えめな料理だがその裏に盛り込まれた卓越した料理技術、
料理を引き立たせる数々の皿、料理を頂く場所とその店の持つ歴史。
そして客に対する店の方の間の取り方と嫌味の無いもてなし。
日本料理の枝葉を食わせる店はいくらでもありますが
森まで食わせる、真の日本料理をいただける店は瓢亭さんくらいだと思います。
食事終えて店を出た後、女将さんと仲居さんに自分たちの姿が見えなくなるまで
見送って頂きました。最初から最後まで気持ちよくさせて頂きました。