レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!
2位
1回
2011/07訪問 2011/08/21
多摩美術大学に用向きがあったのでR16を北上し、橋本からさらに県道づたいに丘陵地帯を走ると、
かなり開発されたとはいえ、田舎っぽい雰囲気が僅かに残るエリアに入ります。
約束の時間は昼なので、ちょっと時間が空いていることをいいことに前々から目をつけていた喫茶店
というかカフェに入りました。
ドイツの地方の小さな館(やかた)風なしつらえで今どきの日本じゃ重厚過ぎる構えの建物です。
玄関脇に車4台ぐらいのスペースがあって、既に一組のお客が入店してました。
中は吹き抜けの天井で壁にはフレスコ?と思しき壁画が描かれています。
柱も梁の木材も極太の古材を流用したのか塗装して黒光りしております。
窓近くの枠組もヨーロピアンな工芸趣味で彫り込まれ、この店のオーナーの強い拘りが感じられるインテ
リアじゃありませんか!
この時代錯誤的逸楽の空間で、これまた拘りの珈琲がいただける訳ですね。
本日の珈琲 =(マンデリンに換えてもらう)¥600
木苺とチョコレートのケーキ ¥500?
さて、店内を珍しげに見渡しますと、古いインポート物のグランドピアノも譜面台もあるところから、これ
はサロンコンサートなども開かれるようであります。
天井まで繋がる大きなフレスコ画はタペストリー柄の写しかも知れないが、いやに本格的でごまかしが
ありません。(聞けば、多摩美の教授が受注して描いたのだとか・・・どうりで。)
丹念に描かれたアルプスの北側のヨーロッパの山岳地帯と森林に登場する騎士物語を彷彿とさせる。
店のスタッフもこの店の造りについては、聞けば自慢げに答えて下さいます。
やがて運ばれてきた珈琲は店内カウンターでサイフォン仕立てで淹れたもので、香豊かにともされます。
ケーキも素人臭さが微塵もない上出来な美味しさです。
自作のスウィーツもあるが、カットケーキは提携しているパティスリーに作らせているのだそうです。
マンデリンのやや強い苦味が懐かしく、また木苺の風味が効いたチョコレートケーキの甘さを中和して
くれます。
『あぁ~、好きだわ。この雰囲気。」
おそらく、お若い方々には暗く重すぎて息が詰まるような重厚感なのでしょうが(若い客は来ないか…)
ワシら団塊~昭和30年代あたりのオヤジの感性には、遠く青春時代に憧れたヨーロピアンな貴族的
ムードを演出してくれるこんな喫茶店が今でも残っているというだけで嬉しくなるのです。
とても遠いけど、年に一回は来るな・・・。
3位
1回
2011/05訪問 2011/05/17
「シトロン」という小さなタルトにこのお店のお菓子の味の象徴を見ることができると言えば大仰に聞こ
えるでしょうか?
どんな味?
・「1個のタルトに持てる技能と優れた素材を濃縮し、詰め込むだけ詰め込んでいる。」
・「これ1個に、あたかもレモン1個丸々使っているのではないかと思えるぐらい味が濃い。」
・「このタルトの強い酸味と甘みと香りを支えるには固くて甘いこのタルト生地以外に有り得ない。」
・「中の(恐らく)ピスタチオ混入プラリーネは輪郭のハッキリした香り高いレモンクリームと硬めのタルト
生地の緩衝材であると同時に(音楽で言えば)対旋律パートを受け持つ木管楽器群的な役割を担っ
ている。」=あ、この説明は分かりにくいか?
【パラディーソ物語~4人の再開】
お園の逗子のアパートの部屋で・・・。
パラ子 「買って来たわよ、楽ちゃんの大好きな<タルトシトロン>!」
楽ちゃん 「えっ、ホント? スゲェ!」
大輔 「シトロンが一番好きなんだって?」
お 園 「そんな素晴らしいケーキがあるのかい。」
楽ちゃん 「あ、うん。これまで食べたケーキ類の中で一番感動したのがロブションのレモンタルト」
パラ子 「お園ちゃんと半分こしなよ。お園ちゃんはどれがイイ?」
お 園 「う~、この赤いハートのケーキは綺麗じゃねぇ。」
大輔 「やっぱりィ、予想通りルージュだ!」
パラ子 「タルト・フリュイ・ルージュとどっちだろって言ってたんだよ。じゃアタシがこのベリータルト。」
お 園 「紅茶いれるね。」
お園が1か月半もの長きに渡って被災地に近い故郷へ戻っている間にパラ子と大輔は熱愛状況に突入
していました。
それは、偏に楽ちゃんの深く考えもしなかったアドバイスに依るものですが、パラ子は恋愛のイニシアチ
ブをどうとればいいのか開眼したのでした。
今日は、そんな二人が東京デートの帰りに六本木ヒルズに寄って、楽ちゃんの大好きな「タルトシトロン」
を含む5つのスウィーツ(ルージュ、ミルフィーユ、タルト・フリュイ・ルージュ、シュー・アラ・クレーム)を買い求めてお土産にし
たのでした。
お 園 「こんな不揃いな食器しかないけど・・・。」
パラ子 「そんなの気にしないで、さっ、いただきましょうよ。」
大輔 「俺はこのミルフィーユもらうよ。」
楽ちゃん 「シューアラクレームが1つ余るじゃん。」
パラ子 「それは、お園ちゃんのお夜食よ。」
大輔 「みんなの感想聞きたいね。」
大輔はパラ子と二人でセレクトしたスウィーツを褒めてもらいたくて仕方がない様子です。
4人は、約2か月ぶりに揃ったことを喜ぶとともに、この一時を迎えることができた幸せをかみしめる様
にティータイムを楽しみました。
楽ちゃん 「ほんと、<シトロン>のきつい酸味と甘みと香りは感動する! レモン!!!て感じ。」
お 園 「この<ルージュ>は切ると中にいろんな層があるんじゃねぇ。」
パラ子 「そうなのよ。チョコレートムース、ピスタチオクリーム、カカオスポンジ、そしてチェリージュレのコーティングね。」
大輔 「へぇ、結構複雑なのに綺麗な積層になってるね。」
お 園 「いろんな味が渾然一体じゃ。美味しい!」
パラ子 「よかったワ。喜んでもらえて。大ちゃんのミルフィーユは?」
大輔 「うん、クリームが他店と違うね。パイは思った程サクサクでもないけど。」
パラ子 「アタシのベリーのタルトは見た目以上にポーションあるの、シアワセ~♡」
みんな、それぞれのケーキの個性を味わって、お園が淹れてくれた紅茶を飲みました。
パラ子 「ダージリンね。フォション?」
お 園 「よく分かるんね。貰いものだぁ。」
大輔 「会社、復帰後は順調なの?」
お 園 「うん。まぁ…。」
楽ちゃん 「夏にまた帰るって。」
パラ子 「そりゃ心配よね。」
大輔 「今度みんなで行くか! 福島。」
一同 「・・・・・・。」
お 園 「そうなぁ、みんな来たら少しは笑顔んなっぺか。」
楽ちゃん 「家の修理は順調らしいけどね。」
お 園 「お父、以前のように動けんの。」
大輔 「怪我はなかったんだよね。」
楽ちゃん 「気力というか希望というか、だろ?」
パラ子 「何て言っていいか分からないけど、こっちでお園ちゃんが元気で活躍してる様子を
小まめに知らせてあげるしかないんじゃない。」
この時まだ、楽ちゃんは4人の平和な日常が引き続き南神奈川のエリアで展開することを疑いません
でした。
およそ2時間の談笑で、パラ子と大輔が伊豆旅行以来、切羽詰まってきていることだけは楽ちゃんに
バレてしまいました。
何より二人の寄り沿い方、距離のなさは大らかなお園でもしげしげ見とれてしまう程です。
羨ましくもあり、それを望んではいけないことのようでもあり・・・。
3人が逗子の部屋を去った後、部屋に戻ったお園は一つ残ったシューアラクレームを皿ごとラップして
冷蔵庫にしまいました。
お 園 「・・・明日、たべよう。」
********** つ づ く **********
4位
1回
2011/05訪問 2011/05/11
藤沢の町では比較的遅い時間まで飯が食えるイタリア料理店と知り、仕事帰りに寄りました。
開店してまだ間がないのですが、一部贔屓筋も出来てそれなりにお客さんが付き始めているようです。
【楽園コンビの再会編 2】
楽ちゃんの地元、藤沢で職場から直行で来たお園を藤沢で迎えて、再会後初のお食事デートです。
お 園 「お待たせしましたぁ。」
楽ちゃん 「待ちましたぁ。」
お 園 「今日は、何を食べさせて下さるおつもりなの?」
楽ちゃん 「その、お嬢様しゃべりは、何?」
お 園 「ちょっと言ってみただけだぁ、あはは。」
明日は土曜日ということもあり、駅周辺は普段よりやや賑わいを見せていますが、それでも藤沢と
いう街は不思議なところで、表だって大騒ぎしたり猥雑な雰囲気を丸出しにしない節度?があります。
珍しく小田急の特急に乗って来たお園は、それだけでも少しはしゃぎ気味で楽ちゃんに乗車の感想を
報告しながらその腕を両手で掴んでいます。
楽ちゃん 「どした? しがみついて。」
お 園 「んにゃ、うれしぃだけよ。 あのね、会社の人がイタリア料理好きで、ニョッキたらいうの
が不思議旨い言う。」
楽ちゃん 「それって男の人?」
お 園 「そ、ぐるめってる男子よ。うちをイタ飯サ誘うの。」
楽ちゃん 「じゃ、ニョッキ出す店行こう。『昨日たべたも~ん』て言えばいいじゃん。」
今夜のお園のハイテンションは何でしょうか。
いつもは楽ちゃんのペースに追従するのに、アウェーの町で完全に主導権を握ってしまっています。
楽ちゃん 「さて、どうするかな? 後で電車で帰ることを考えると・・・。」
お 園 「にょっきー、にょっきー にょっきにょきにょっきー♪・・・食べなきゃない(ナラナイ)っちゃ。」
楽ちゃん 「わかったよ。町中で歌わないの。」
イタリアンならこのあたりは、有名無名色とりどりですが楽ちゃんは敢えて評価の定まっていない開店
間もない「セラフィーノ」に向かいました。
楽ちゃん 「ここなら駅から近いし、ゆっくり話もできそうだね。」
お 園 「な~んか、お洒落そなレストランじゃぁ。」
さて、店内は白を基調にシックなインテリア、しかし照明の落とし具合と天井の黒が落ち着きのある
お洒落なカジュアルを演出しております。
また、カウンター横の黒板にはその日入った新鮮な相模湾の魚介類を自慢の調理で出すお薦めもあ
って、どれを選ぶか迷いますね。
非常にこなれた男性のフロア担当が注文を聞きながら若い二人に料理の説明をしてくれます。
こちら、グランメニューは、主に北イタリア系の料理が多いように見受けられますが、海鮮は地中海風
でもあり、オールマイティな調理ができるようです。
楽ちゃん 「野菜好き? だよね。」
お 園 「大好き、野菜何でも好きよ。」
* 鎌倉野菜ノバーニャカウダー“セラフィーノ”スタイル
楽ちゃん 「チーズ好き? だよね。」
お 園 「大好き、ミルクもチーズも。」
* 自家製ニョッキ ゴルゴンゾーラ
楽ちゃん 「お肉の煮込みは好き?」
お 園 「大好き、煮ても焼いても好きだっちゃ。」
* オーソブーコ“セラフィーノスタイル”
楽ちゃん 「僕のことは好き?」
お 園 「どかな?」
楽ちゃん 「あれ? なんだよぅ。」
お 園 「こういう会話の展開って、男女逆じゃねか?」
楽ちゃん 「逆かぁ、・・・そうかも。」
お 園 「またぁ、(かも)が好きじゃね、楽ちゃんは。」
* グラスワイン(赤)
* リコッタチーズのタルト
* エスプレッソ
楽ちゃん 「バーニャカウダって<熱い風呂(ソース)>の意味だよ。でもこの店では敢えて冷たいソース
をカップに入れて野菜スライスを盛りつけてる。」
お 園 「このスナックエンドウの甘み! チビ大根も甘さ実感できるぅ。」
楽ちゃん 「アンチョビソースの仄かな塩加減がGood!だね。冷たいと香りが穏やかだからかな。」
お 園 「きた~っ、ニョッキ。・・・白玉? みたいじゃ」
楽ちゃん 「どう? 味は。」
お 園 「可愛い食べ物じゃねぇ。ホントにあったかくて不思議旨い。」
楽ちゃん 「この食感は自家製だね、ゴルゴンのソースがよく絡んで旨いよ。」
楽ちゃん 「お~っ、仔牛の骨付きはデカいお皿で来ましたね。」
お 園 「ふわ~、ボリューム凄! このカニほじるみたいな道具は?」
スタッフ 「これで髄を出して召し上がってくださいね。」
お 園 「骨の髄も!コラーゲンじゃね。」
スタッフ 「温かいうちにどうぞ。」
楽ちゃん 「柔らかいね。ポテトの荒潰しがソースと絡んでるので食べやすいよ。」
お 園 「イタリア料理ったら、これ程美味しいもんじゃったの。」
楽ちゃん 「パスタやピッツァだけがイタリアンじゃないよ。」
食事中、会社のグルメ気取りの男の子の可笑しさに少々話題が盛り上がりましたが、デザートでは
妙にしんみりしてきたお園です。
お 園 「楽ちゃん…。」
楽ちゃん 「うん。何?」
お 園 「リコッタチーズも爽やかよ。」
楽ちゃん 「おぅ、これはレモンかライムジュースを混ぜ込んでるね。柑橘の香りが素敵だ。」
お 園 「こんなご馳走の後、ケーキさ食うと体丸くなるぅ。」
楽ちゃん 「平気、リコッタは脂肪分無いから…。」
楽ちゃんがコーヒーを飲み干すのを合図に、二人は席を立ちました。
店を出た時、外は小雨が降り始めております。
お園の折りたたみ一本に二人は肩寄せ合って駅に向かい歩きながら言葉が途切れました。
また、駅で離れてしまわなければならない淋しさでしょうか?
いいえ、『何か、大切なことを聞かないままになってる・・・。さっき園は何か言いかけたのか。』
楽ちゃんには、そう思えてならないのでした。
お 園 「今日は割勘にすっぺ、学生に戻った人に金使わす訳にゃいかん。」
楽ちゃん 「そんなっ、いいよ。僕が連れてったんだし。」
お 園 「違う、にょっきー言うたのはうちじゃ。」
と言うが早いか、数枚のお札が楽ちゃんのジャケットのポッケに入れられていました。
お 園 「また、4人のチビパーティしてけろ。」
楽ちゃん 「あぁ、そだね。」
お 園 「おやすみだよ。」
楽ちゃん 「・・・ん。」
楽ちゃんは、諦めて握った手を放しました。
雨に煙る藤沢駅の階段で離れて行くお園をジッと見上げながら、以前のような幼さを精一杯
演じて、その実、甘さのない成長を遂げたお園の心を強く意識せざるを得ないのでした。
********** つ づ く **********
5位
1回
2011/05訪問 2011/05/30
湘南ボーイ楽ちゃんの元に、1年下の後輩で葉山っ子の純朴青年=大輔が訪ねて来たのは5月も終
わる晴れた日の夕方でした。
楽ちゃんはこの春から大学院へ、大輔は4回生として社会に出て行こうというタイミング。
二人に共通するのは、現在、愛しい女性お園とパラ子の存在があるということです。
楽ちゃん 「何がいい?」
大 輔 「せっかく男二人ですから食べて飲んでがいいですよ。」
楽ちゃん 「了解。」
楽ちゃんは、噂に聞きし中華の隠れ家「茶馬燕」の入ったビルに大輔を連れて行きました。
大 輔 「ほう、こんな分かりにくい場所に評判のお店が…。」
楽ちゃん 「四川系でも平気か?」
大 輔 「あ、 何でもOKスよ。」
楽ちゃん 「さ、食べたいもの言ってくれ。」
二人は甕出し紹興酒をロックでそれぞれお願いした後、「口水鶏(よだれ鶏)」、「酢豚(ノーマル)」、
「陳麻婆豆腐」「浅蜊炒飯」などを注文しました。
大 輔 「『よだれ鶏』、タレが旨すぎでしょ!」
楽ちゃん 「う~ん、確かに旨いなぁ。黒酢と辣油、芝麻醤とかいろいろだな。(笑)」
大 輔 「ナッツとか刻み大蒜、韮とか入ってません?」
楽ちゃん 「風味がいいよネ。」
大 輔 「ところで先輩、お園ちゃん帰ってきてどうすか?」
楽ちゃん 「どうって?」
大 輔 「いや、だからこれまで以上に仲良くってか…。」
楽ちゃん 「無邪気な関係じゃなくなった。」
大 輔 「えっ!?、それって…。」
楽ちゃん 「いや、実は何も進展してない、どころかハードル高くなった。」
大 輔 「ハードルっすか。」
楽ちゃん 「お園は相変わらず可愛いのは可愛いけど、僕は焦ってる。」
大 輔 「彼女は先輩をどう思ってるんすか?」
楽ちゃん 「実ァ、分からん。」
大 輔 「お、『酢豚』ですね。・・・う、優しい! 肉カラッと揚がって餡とからんで旨い!」
楽ちゃん 「“藤沢の巨匠”の味だよ。」
大 輔 「巨匠ったって厨房のお二人まだお若い感じですよ。」
楽ちゃん 「この前、<厨房ですよ>に出ちゃったのさ。酸味が尖ってないし上品でイイね。」
大 輔 「そうなんだぁ。TV出たんだ。」
楽ちゃん 「お園、幼いのかと思ったら元々は強いのさ。」
大 輔 「最初は分からなかった…。」
楽ちゃん 「いや、分かってた。今度の件(震災後の帰郷)で顕在化した。」
大 輔 「俺たちもそう言ってたんです。」
楽ちゃん 「うん。」
大 輔 「うぉ~、『四川陳麻婆』、黒い土鍋入りで来ましたねぇ。」
楽ちゃん 「取っ手付きセラミックかな。結構熱々、辛そうだよ。」
大 輔 「色からして本チャンですね。」
楽ちゃん 「花椒の香りも凄いな。」
大 輔 「いただきます。・・・・クッ。・・・か、か、辛~い! けど旨~い!」
楽ちゃん 「おう。痺れるな。麻が勝ってる。」
大 輔 「これ、パねぇ~!」
楽ちゃん 「うちらの『地元最強』かも。」
大 輔 「“かも”ッスか?」(笑)
楽ちゃん 「いや、間違いなく最強だ。豆腐といい、醤系も、豆豉も、辣油もコクも第1級だ!」
大 輔 「メシが進みます! ハイ。」
大 輔 「で、先輩・・・。」
楽ちゃん 「それ以上聞くな!」
大 輔 「あぁ、ハイ。」
楽ちゃん 「何とかしたいよ。僕だって。」
と、楽ちゃんはグラスをグビッと開けて、小さく溜息をつくのでした。、
大 輔 「先輩、『浅蜊炒飯』来ました。」
楽ちゃん 「食え、思い切り。」
大 輔 「先、いただきます。」
楽ちゃん 「どう?」
大 輔 「浅蜊の風味がします。〆にピッタリっす。」」
楽ちゃん 「フム、しっかりした味付けだなぁ。」
大 輔 「さっきの麻婆が強烈だったんで、柔らかく感じます。」
楽ちゃん 「やぁ、これ単品で調理の主張は明確に打ち出してるな。」
二人は2杯めの紹興酒を空けてかなりお腹いっぱいになりました。
大 輔 「なんか口直しいただきますか?」
楽ちゃん 「オーガニック・ジンジャー・スプリング・ミント。」
大 輔 「なんスか、それ?」
楽ちゃん 「オーストラリアのジンジャエールさ。分けよう。」
大 輔 「へぇ、デザート代わりのドリンクですね。」
楽ちゃん 「香りがいいだろ、ハーブとか入ってる。」
大 輔 「ウィルキンソン・ドライとは違ってこれはこれで美味しいです。」
楽ちゃん 「甘いけどな。」
この夜、大輔は尊敬する先輩が何でも見通して余裕で自分の恋愛を進めているものと思っていたのに、
想像だにしない悩みを抱えていることを察したのでした。
大 輔 「先輩! 俺、パラ子と結婚したいと思ってるんス。」
楽ちゃん 「いいんじゃないか。」
大 輔 「あれ、なんか忠告ないですか?」
楽ちゃん 「ない。言える立場じゃない。」
拍子抜けした大輔は、尚も食い下がって自分たちの恋の成就への先輩からの言葉を聞き出そうとしま
した。
楽ちゃん 「お前が就職して稼ぎ、パラ子が良さを出して活躍する。そこに何の不安があるよ?」
大 輔 「まあ、そうすね。」
楽ちゃん 「まさか、初めからパラ子を主婦にするつもりじゃないだろ。」
大 輔 「いや、・・・そんな・・・。」
楽ちゃん 「なら大丈夫だよ、若くても。・・・結婚しても、3~4年は活躍させてやれば?」
大 輔 「先輩も3~4年ぐらい先ですか?」
楽ちゃん 「・・・・・・・・・・。」
大 輔 「あ、すみません。」
その夜、大輔は先輩の家に泊めてもらうことにしました。
自宅の部屋に戻り、たった3杯の紹興酒でふんわり酔った楽ちゃんは飲み足りなそうな大輔に向って、
真顔で言いました。
楽ちゃん 「披露宴に出てもいいが、喋らないからな。」
大 輔 「や~、まだ何も、パラ子だって・・・」
楽ちゃん 「いいか大、おまいらはもう結婚してるのと同じなんだよ。」
大 輔 「そんなら先輩たちだって。」
楽ちゃんは大輔の耳元で小声ながらきっぱり言いました。
楽ちゃん 「お園は誰にも抱かれていない!」
大 輔 「え!!」
楽ちゃん 「“本当は怖い愛とロマンス”・・・なのさ。」
大 輔 「・・・・・・(キョトーン)。」
楽ちゃん 「おやすみ。冷蔵庫のカンチュウハイ飲んでいいぞ。」
*********** つ づ く ***********
6位
1回
2011/09訪問 2011/09/13
たかがラーメンです。
所詮、大衆の食いものを大仰に論ずるのもどうか、あるいは星の数を3にするのか4にするのか悩むのも
どうか・・・などとラーメン専門の食べロガーの方から見れば、不見識な思いもよぎるのですが。
ここ「夢中」さんのラーメンこそは、そういう蔑んだもの言いが不適切であることを痛感するようになったきっ
かけでもあります
藤沢駅から行くと、白旗のバイパスガード下で右斜めに枝別れした道を進みます。
大清水高校に近いあたりの緩やかなカーブでお店が見えてきます。
店の道向かいにパーキング3台分ぐらいのスペースがありますので、車のアプローチが可能なのです。
この店でラーメンを食べると、パラディーソは大抵スープを飲み干してしまいます。
また、家族の中で誰よりワイフが愛するラーメンでもあります。(彼女的には地区1位だそうです。)
2年越しで、かれこれ7~8回お邪魔しました。
なかなか自由に動ける休日がなく、平日も開店時間に戻ってこれませんが、タイミングが合えば行きたく
なるラーメン屋さんです。
いつも、白醤油!(と餃子を頼む日もある。)
独りでも、夫婦・家族と行っても同じです。
絶妙の塩加減・濃さの出汁が効いた透明なスープ。
程良くコシのある細麺。
押し付けがましさのない、でも美味しい叉焼。
食べ始めから、食べ終わりまで極めて安定したお味。
寡黙な店主のラーメンづくりの動き、姿勢には信念に基づくストイックな哲学すら嗅ぎとれる・・・なぁ~んて
ちょっと誇張し過ぎでしょうかね。
辺鄙なエリアの地味なお店なのに・・・ファンは確実に増えているので昼時を外して行くようにしないと…。
7位
1回
2011/09訪問 2011/09/20
もっとも好きなカフェ♪~(Ⅴ) 彼氏になーりたーきゃどう言うの~♪
この店がもっとも好きなカフェだと言うのは、うちのワイフです。
勿論、パラディーソも好きでこの夏は2度ばかり来てしまいました。
理由はいたって簡単で、太平洋が高い視点で180度見渡せるからなのです。
左手に三浦半島~江ノ島、サザンビーチを足元に烏帽子岩、前方に茅ヶ崎漁港の小さな人口港湾、
そして右方向には真鶴~伊豆半島の山々を眺められる絶景のテラス席。
ここで美味しいチーズケーキか、パストラミビーフとクリームチーズのサンドウィッチ&Beerをいただくと
湘南エリアに住んでいることの幸福をしみじみ味わえる訳です。
それは8月の下旬に入って間もなくのこと、この夏、何のレジャーも旅行もなかった可哀そうなワイフを
お茶に誘い出して連れてきました。
この店が入っているグレーのマンション的な商業ビルのそっけなさに疑いの目を注いでいたワイフが、
5Fの店のドアを開けて奥に進んだとき感嘆の声をあげたのです。
ワイフ 「ワァ~、海・・・。」
海育ちの彼女にとって、それが気持ちのすべてを表わす言葉でした。
潮騒の聞こえるサザンビーチは、サーフィンするのに頃合いの良い波が来るようで、週末はそれなりに
賑わっております。
それを高みの見物でもするように小さなテラス席(2組分しかない!)に陣取って注文いたしましょう。
この店、チーズケーキだけで常時10種類以上ショウケースに並べられていて、選ぶのに迷います。
訊けば店のスタッフは丁寧に解説してくださいます。
【第1日目】
パラディーソ = 胡桃の乗っかったチーズケーキとエスプレッソ
ワイフ = パストラミビーフ&クリームチーズのサンドウィッチとBEER
【第2日目】は、次男坊も付き合ってくれました。
パラディーソ = ベリーのチーズケーキとカフェカプチーノ
ワイフ = 山崎という名のウィスキーを染み込ませたチーズケーキ
次男坊 = ピスタチオのチーズケーキとアイスティ
サンドウィッチはワイフのツボだったので大満足だと申しております。
チーズケーキはどれもポーション大きくありません。
しかし、皿に盛りつけるにあたって、その種類に応じてて様々なソースを綺麗にデコレーションし、ミントの
葉やクリームを添えて出してくれます。
勿論、ケーキそのものがしっかり美味しいと思いました。
でも、何より、ここはテラス(ベランダ的と言ってもよい)席からの海の眺め!
ワイフにとってはそれが全てなのでした。
ワ イ フ 「ここ、好きよ、すぐ帰りたくないワ。」
次男坊 「イイじゃん、知る人ぞ知るカフェっぽくて。」
どこにも遊びに行けなかった夏、少し幸せそうに癒されたワイフの表情を見て『連れて来て良かったなぁ』
と安心するパラディーソでした。
8位
1回
2011/10訪問 2011/10/12
3連休でも初日と2日目は出勤でした。(‐‐
夫婦で20:00に帰宅してみると、次男坊はゼミ仲間と飲み会、長男は友人の結婚式で家には誰もいま
せん。
「外食するか」と車を西に走らせます。
昼間晴れていたのに、夜になって急な雨、のち土砂降り!
天候も心持ちも冴えないなぁ。
二人ともクタクタな上に何も気力が湧いてこないという体たらくです。
こんな時は、何か美味しいものでもいただかないと明日への希望が持てない(ってのは大げさですね。)
駅伝街道(湘南新道)の浜見台交差点=辻堂の南を左折すると湘南工科大学が目の前です。
その筋向いには、いくつか美味しい飲食店が並んでおりますが、中でも気になっていたのは「とんかつの
大関」って普通は思うでしょう。
そうではなくて、こちらビストロ・ブルックランズさんのたたずまい。
以前(多分、前のオーナーの時代)にテラス席でランチだったかデザート&お茶だったかしてとても良い印
象が残っておりました故、きっと夜はそれなりに満足できる洋メシをいただけるかと期待してお邪魔いたし
ましたよ。
このサイトでの評価は普通でしたが、期待できそうだという予感は見事に的中するのでした。はっはっはっ。
「作り置きはなく、お時間かかりますよ。」という若いマダムの忠告を軽くやり過ごして中に入ります。
テーブル&カウンター、そして奥のバンケットルームと合わせて25名程度で満席の小じんまりしたレスト
ランですね。
ロンドンの郊外にありそうなチューダースタイル風というか2、3階はティンバーフレームっぽい白壁と黒い
梁、1階はブリックの外壁で店前に車3台ぐらい置けるスペース。
室内は腰から下の高さは落ち着いた木の壁とフローリング、腹から上はオフホワイトの壁と天井でシック
にまとめられたトラディショナルな雰囲気です。
「この雰囲気は好きだね。」
予約のお客様達の第一陣は引けた後で我々夫婦だけがラストオーダーらしくキッチンは一度きれいに片
づけられておりました。
さて、夜は2800円、3800円、5000円と3通りのコースメニューがありましたが、初めての店で様子見とい
うことで2800円のコースをメインは各々、肉料理1、魚料理1で注文いたします。
* 前 菜 = さんまのコンフィ、サラダ仕立て
ポーションは大きい。まるでポアソンのメーンみたいだ。
サンマ丸々一尾分を低音の油でじっくり揚げると骨まで軟らかくいただける。
これをお皿のラタトゥイユに載せて上からたっぷりの野菜。特に人参や水菜が多く、
ブロッコリ、オクラ、マッシュルームなども入っている。
バルサミコとパプリカのソースドレッシングは甘味と酸味のバランスもよく美味しい。
* スープ =蛤の牛乳スープ
中ぶりの蛤が6~7粒も入っている!
出汁は余計なことをせずシンプルに蛤からでるコクだけ。
ミルクと一緒に火を通して弱い塩で味を調えたもの。旨い!
* 舌平目のグリエ生姜のクリームソース=ワイフ
舌平目の半身を上手にグリエし、ガルニの上に載せてある。
ホワイトクリームソースは野菜とお酒(名前忘れた)の自然な甘みを含む生姜風味。
* 牛頬肉の煮込みポルト酒ソース=パラディーソ
とろとろに煮込まれた頬肉の塊を崩すと身と脂が渾然となってポルト酒ソースと
ともにいただくと口中に広がる快感!
このソースは旨すぎる!
肉のメーンも魚のメーンもガルニは共通だが蕪、小松菜、インゲン、じゃが芋、さつ
ま芋、南瓜、人参、大根、アンディーブ・・・・種類が多い上に切れが大きい。
別茹でしたものやソテーしたものなど、それぞれの野菜の旨味が最上の形で出る
ように配慮して並べていることが分かる。
* ヨーグルトシャーベットとマスカットのクレームブリュレ
ここまででかなりお腹一杯になったが、出されたデザートの入れ物の大きさにビッ
クリしてしまう。大真面目にクレームブリュレの作りたてが出てきた! と思ったら
中身はヨーグルトのシャーベットと冷やしたマスカットの剥き身が6=7粒も入った
爽やかなクレームブリュレだった。
カラメリゼされた膜だけが熱々で中はひんやり、爽やかに完食できた。
* コーヒー = 我々二人のために淹れてくれたドリップ、アメリカンだったが香豊かで旨い。
外は、雨。
このまま、新たな来客がなければ店仕舞かと思われた頃に急に予約なしで来た客を笑顔で迎えてくれ
た上に、一番エコノミーなコースを注文したその客に手抜き一切無しの料理を提供してくれる・・・。
それぞれのお皿と味に「ビストロ」の意地とプロ根性を見せていただきました。
イングランド風の店名としつらえながら、出て来るものはフレンチ! あるいは仏・伊融合のコンチネンタル
であって、決して所謂「洋食」ではありません。
この価格で、このクオリティはあっぱれと言う他ありませんね。
ワイフ 「すごくイイお店がまた一つ増えたわね。」
パ ラ 「うん、クリスマスまでにもう一回行きたいね。シェフの得意料理を事前に聞いてさ。」
再訪は必至です!
近隣の方には、是非お勧めしたいお店ですね。
9位
1回
2011/01訪問 2012/03/02
【2012,2月 また来ちゃった~♪】
珍しく、関東に積雪の日、仕事で遅くなった中年夫婦は次男坊を呼び出して外食です。
次男坊は「ご飯ものがイイ」、ワイフが「お魚が食べたい!」って言うから、藤沢でたっぷりお魚食うなら
『魚や 翻車魚丸』 (さかなや まんぼうまる)さんしかない訳です。
そんな3人の意見が一致して、またここへ来ましたよ。
夜の定食は非常にお得だということは先刻承知しておりましたので迷わず以下の通り注文しました。
* ワイフ ・・・金目ダイの煮付け、本日の味噌汁、ご飯
金目は半身丸ごと、程良い醤油&酒・みりん出汁で煮浸けてあります。脂がのって旨
いし全ての骨をばらして味わいます。
本日の味噌汁は浅蜊のテンコ盛り! これでもかってぐらい大きな椀に溢れている。
ご飯も大盛りで食べきれないから1/3をパラが手伝う。
彼女曰く、「近所じゃここの煮魚の味付けが一番好きよ。」
* 次 男 ・・・煮魚と刺身の定食
本日の魚は「ドンコ」と言っても蝦夷アイナメのことで季節的には脂がのって旨いに決
まっております。次男は夢中になって黙々と食べています。(まぁそうだろなぁ)
* パ ラ ・・・焼き魚と刺身の定食
中ぶりのイサキがうまく焼けてます。季節じゃないので脂・旨味ともに若干弱いけど
柑橘と大根おろしと共に美味しくいただきました。
刺身は次男坊の鉢と共通です。寒ブリ?、カンパチ、金目、鯛、生タコ、鮪、ホッキ貝
サーモンそれに鯨!!ぞれが1~2切れづつ、分厚く並べられており、これだけで大盛
りメシが食えるほどではないでしょうか!
* 共 通 ・・・おまかせのビックリサラダ
鯖のから揚げ、鮪のから揚げが盛りだくさんの生野菜の上にゴロゴロ並べられてます。
これに和風ポン酢風のドレッシングとマヨを細くあしらってます。
3人でお代りできるほどの量なのねぇ~。
やっぱりお腹一杯で次男坊でもご飯を少し残す程でした。
この家族が魚を食うと残骸は魚の形を残さないし、恐らく猫も皿をまたぐぐらいに身も何も残りません。
それぐらい好きですね。
マンボウさんの味付けもいいんですよ。
この日はこれだけ食べても一人¥2000を超えない! というCPでした。
ご馳走さま。
【2011、9月】
嵐を衝いて、「魚や 翻車魚丸」で晩飯を食べようとお伺いしました。
台風の風雨は半端じゃない!
次男坊は大学周辺の交通が不通になっているので、学食で済ますというメールでしたから夫婦で外食
と決めました。
葉山~逗子~鎌倉あたりの目ぼしい店を順に訪ねるも、全て閉店!
「そうだ、藤沢で魚食おうぜ。」
電車も止まり信号機も一部停止し、殆どの店が早仕舞で灯りを消して切りあげる中、ここ翻車魚丸さん
だけは営業中でした♪
さすがに台風の夜は空いていたのか、店のご主人も女将さんも歓迎です。
奥のテーブル席に案内してもらって早速お品書きを・・・。
パラ 「よくばり定食」=刺身、天婦羅、煮魚か焼魚、味噌汁、お新香付き ¥2100
ワイフ 「金目の煮付け」、「野菜天婦羅」、「玉子焼き」とご飯のセット、ココナッツアイス ¥2300
10分~15分待つ間に次々に料理が運ばれて来ます。
定食の刺身はカンパチ、金目、鯛、タコ、鮪、帆立・・・、いずれも一切れが分厚く大きい。
天婦羅は海老2本、鰆、鰯、茄子、オクラ、南瓜、椎茸・・・揚げたて熱々。
煮魚は鰈だけと思っていたら、鰤のカマが2本も!!お皿にてんこ盛りになってます。
ワイフの金目煮付けは大きな身の半分を二つ裁断で煮付けて盛ってあります。
玉子焼きもお鮨屋さんでお目にかかるような分厚い出汁巻き玉子まるまるドーン!
野菜天は蓮根、イモ、大葉、キノコ、南瓜、他・・・確認できず。
さらに、「ようこそこんな悪天候の中お越し下さいました。」と板長さんからサーモンのサラダがサービス
されました。
たった2人のテーブルには4~5人前の料理と味噌汁、ご飯、お新香が!
パラ 「これ、凄過ぎる! どこから手をつけていいのか。」
ワイフ 「うわ~、食べきれるかなぁ。」
パラ 「取りあえず、一気に行けるところまで食うしかないよ。」
ワイフ 「うん、食べよ。」
これは、通常のサービスではないことは分かっていましたが、ここに夜来て、CP損した気分になることは
過去に1度もありませんでしたね。
刺身は自分の店の船で伊豆諸島の漁場から仕入れているものもあるから新鮮この上ない。
煮魚の味もマイルド系ながらちょうど良い濃さでご飯が進みます。
天婦羅もサクサク美味しいですね。
玉子焼きも甘過ぎず熱々で嬉しい。
夫婦でそろって言ったことは、「長男が居れば良かったのに」。
魚好きの奴が居てくれたならきれいさっぱり平らげてくれるはず。
今日は、50半ばの中年が二人というのが悔やまれます。
そして、満腹で苦しい!!
結局、煮魚はきれいに食べきりましたが玉子焼きの半分と天婦羅を少々、パックに詰めてお持ち帰り
にさせていただきました。
サーモンの大皿サラダ少々とワイフのご飯は最後の3口が入りません。
繊細さではなく、新鮮さと豪快さ、量で魚好きの客を満足させる店です。
台風15号の夜は忘れられないご馳走ぜめの『マンボウ丸』でした。
【初回レビュー】
もう、何年前になるでしょうか。
パラディーソが足を怪我して、3週間ばかり入院生活を余儀なくされた時、毎日の院内食に
ほとほと辟易しておりました。
(だって、外科の治療で入院しているのですから消化器は健康体じゃないですか。)
「もう、いい加減にしてくれ~。 マトモな魚が喰いテー!!」って思いながら過ごした病院も、
晴れて退院した梅雨明けの夏の日の夕暮れ。
藤沢に戻って、最初に訪れた店がここ、「翻車魚丸」さんだったという訳です。
・・・・・・今日は、久しぶりに間抜けレポーター風に、行っちゃいましょうか。
*おめでとうございます! 入院生活はいかがでした?
楽ちゃん 「いやぁ、結構長かったよ。退屈だし・・・。」
*どんなことが楽しみだったんでしょう?
楽ちゃん 「本来なら、食事って言いたいとこだけどネ、それが最低なの。」
*と言うと?
楽ちゃん 「なんつっても、朝は焼いてもいない食パンとマーガリン(かジャム)と妙にあった
かミルクとぬるスープ、茹でキャベツのかけポンサラダだぜ。昼は、極薄味の煮
もの、減塩の漬物と冷めた味噌汁にご飯さね。」
*そして夕飯は?
楽ちゃん 「たまに出る煮魚は骨も無く、味も無く、旨味が全部逃げちゃった輸入冷凍食品。
他におかずないから飯とともに飲み込む…。しゃーネェじゃん。」
*そいじゃ、まるで病人の食事ですね。
楽ちゃん 「アンタ、なめてんの!? こちとら病院にヘエってたの、もぅ。」
*あ、すいやせん、そうだった。
楽ちゃん 「しかたネェから、朝パンなんぞ病院玄関先に来る小雀のエサよ。」
*ほう、スズメちゃんにおめぐみされた・・・。
楽ちゃん 「無風の大将が店出す前おんなじ病棟にいてさ、車椅子で玄関横で一緒にエサ
やりしてたって訳よ。」
*無風の大将!? 入院仲間ってことすか? スズメつながりでお友達になっちゃったの?
楽ちゃん 「おうヨ。ここでダチんなって、無風のトレードマーク・デザインおいらが作ったの。」
*<翻車魚丸>については?
楽ちゃん 「退院直後、どしても魚食いたくってよ、ここに飛び込んだって訳。」
*今何を召し上がってるんですか?
楽ちゃん 「煮魚・・・でっかい鰈{カレイ}さ、上品な味付けで旨いよー。」
*それで、ここがお気に入りになった・・・?
楽ちゃん 「イヤイヤ、おいらの退院直後の待ち焦がれた魚めしだって聞いた板さんがさ、
今、刺身をテンコ盛りにして<退院祝いだ>って出してくれたのよ。」
*はぁ~、それは素敵なお話ッスねー。
楽ちゃん 「なんて人情味ある職人さん達!って感激しちゃったのよ。もう旨くって泣いた。」
*こいつぁ、出所直後の<御苦労馳走>みたいなもんだぁ。
楽ちゃん 「いい加減にしな! おいらその筋の方じゃないから。」
*<まんぼう丸>でお食事中の楽さんでしたー、そいじゃスタジオお返ししまーす。
と言う訳で、思い出の店、私メの魚食の飢えを救ってくれた店です、<翻車魚丸>は。
横須賀で魚って言ったら<無風>だけど、藤沢で真っ先に行くって言ったら<翻車魚丸>ですよ。
今回、久々におじゃましました「翻車魚丸」のお昼は、相変わらずの美味しさとお得感ですねぇ。
広島牡蠣のフライ、刺身盛り合わせ、煮魚(めばる)、焼魚(寒ブリ)、天婦羅盛り、メンチ&
鯵フライ、鶏唐揚げ、・・・etcで、10種類ぐらいありましたっけね。
その中から、2品を選んで定食にしてくれます。
出された刺身は、いずれも切れが大きくサーモン1、鮪2、寒ブリ3、イカ3、鯛の薄造り2。
鯛以外は新鮮この上ない、鯛は身の旨味が出るまで少し寝かせてあるのが分かる。
煮魚は中振りのめばるが酒・みりん・醤油と生姜を上品に配合して透明に煮てあります。
ご飯も上手く炊けていて、岩海苔の味噌汁とタクアンの細切りが添えられて、たった980円。
一般には、刺身だけの定食でも千円超えるご時勢。
観光地ならこのメニュー「1890円」とかで出されたりして、それでも「さすが漁港の傍はCPも良く
美味しいね」、なーんて騙されて満足するのに…ですよ。
わが町、藤沢の「旨いのに、高飛車にならないお店」の筆頭ですね、「翻車魚丸」さん。
【2013,10 再訪】
ワイフと彼女の同僚(藤沢市民)と仕事帰りの3人で、久しぶりにお伺いしました。
「美味しい魚、いいッスね。」というリクエストにお応えして、最初は「翻車魚丸」に行くかと
玄関を開けたら、「ゴメンナサイ、今日は早仕舞いです。」とのこと。
それで、江ノ電のガードをくぐって駅方向にトボトボ歩くうちに、「獺祭」さんに決めたのでした。
21:00ちかくになるけど、店内は満席です。
しかし、お会計になるテーブルがあるので暫し待たれよとのご案内でしたので店外で待ちます。
その間、お姉さんがメニューを持って来て、「先にリクエストしておいてください」って優しく言って
くだいましたので、3人でワクワクしながらメニューを覗きます。
* 刺身の盛り合わせ(3人前)
* 新いくら、スモークサーモンのボテトサラダ
* 長芋とえのきのバター焼き
* 手羽先揚げ 6本
* 中々
* ビール(アサヒスーパードライ)
* ウーロン茶
* 〆は、焼き鯖の土鍋ご飯
漸く店内に入れてもらってテーブル席につきましたが、この夜のお通しは「魚の南蛮漬け」です。
量的にささやかですが、味はgood。
乾杯して後は、同じ業種ということもあり、もっぱら仕事の話が中心となります。
最初に出てきた刺身は黒い大皿に美しく盛り付けられており、魚の身はぶ厚く切り揃えています。
・伊 東 産 黒むつ
・網 代 産 かんぱち
・伊 東 産 あおり烏賊
・伊 東 産 鰹
・塩 竈 産 めばち鮪
・長 崎 産 ひらまさ
・北海道産 ぶり
若い同僚 「わぁ~、うま! こんな刺身食べたことない。」
ワイフ 「やっぱり違うわねぇ。」
パラ 「だね。」
この皿のどの切り身を食べても外れはありませんでした。
例によって、醤油も普段とは違うので、味に食べる充実感や快感があります。
同席した若い彼は、この店を知りませんでしたが、普通に食べる刺身とレベルが違うと感激して
おります。
次に手羽先揚げですが、当然の如く外側はパリっと、中はジューシーに仕上がっており、あっと
いう間に各自2本を食べてしまいました。
新いくらとスモークサーモンのポテトサラダは、見た目、円形のケーキのように美しく盛られて出て
まいります。
ナイフで3糖分して小皿に分け、それぞれが口にいたしますと、全員が目を合わせて「・・・・・・。」
あまりに美味しい!
三つの食材が口の中で混ざり合い、それぞれが食感と風味を主張しつつ、やがて溶け合っていく
のでした。
この料理は、素材の選択と下拵えの丁寧さ、盛付けの美しさによって見事に成功していると思い
ました。
長芋&エノキを丸い鉄板皿でバター焼きしたものには、好みで醤油をかけていただきます。
香ばしい香りと新鮮な素材そのものの食感、味が生きています。
そして、焼き鯖といり胡麻がたっぷりのっかった土鍋ご飯。
もはや、説明し難い幸福感に満たさえる一時であります。
茶碗の2杯目を、お店の出汁と薬味でお茶漬けにしていただきました。
メニューに関する談笑と、仕事の話とが交互に繰り返され、美味しいお酒とともに時が過ぎてい
きました。
若い同僚 「今度、母の誕生日に連れて来ようかなぁ。」
ワイフ 「それはいい思いつきね。」
パラ 「でも予約必須だよ、ここは。早めに押さえておくといい。」
大満足で一人5000円ほど。
この満足感は、よくある組織の会合で会費5千とか6千とか取られる飲み会とは比べ物になりま
せんね。
この店が藤沢にあるということが誇らしく思える・・・、そんな夜でした。
【初回レビュー】
「体調あまり良くないの」と、ワイフが言います。
「軽く一杯飲んで、すぐ寝たいわ」と急かすようにどこかで夕食を済ませたい意向です。
先入観も、予約もないまま夜22:00近くに通りすがりで入ったお店。
(だって居酒屋系はパラディーソの守備範囲じゃございませんので、下調べがないんです。)
ただ、『どこかで聞いたことあったなぁ』ぐらいのうろ覚えで看板をチラ見して店の入り口に・・・。
ワイフは、入ったことのないお店に警戒感をあらわに「大丈夫なの?」と訊いてきます。
しかし・・・・・ここが、噂の「獺祭」だったという奇遇(であり幸運)であります!
焼酎の「百年の孤独」の源酒、「なかなか」って名だったかな?などを注文してじっくりメニュー
を眺めておりますと、いきなりの炭火の火鉢に網をかけてカウンターにドンと置く。
いきの良い烏賊ゲソが小鉢に一盛り、刺身でも食べられるというそのゲソを口に含むと、出汁に
漬け込んだらしく、強い旨味の下味がつけられております。
これを炭火で炙っていただきますと・・・。
<旨い!>
突き出しの安易さなどどこ吹く風と言わんばかりの食の喜びが湧きおこってまいります。
* 刺身の盛り合わせ
* 烏賊のワタ和え炒め
* 焼き鯖の土鍋ご飯(2~3人前)
などを注文いたしました。
さて、お刺身ですが、一つ一つの切れが大きな寿司ネタのようにデカい!
本鮪トロ、スズキ、金目鯛、赤メバル…etc
一つ一つの魚の旨味をしっかり味わえ!と言わんばかりの盛り方です。
語弊を恐れずに言えば、これらの魚達は男の口の楽しみの為にともされていると言ってもよい
でしょう。
刺身を「頬張る」という感じで食すのです。
鮪はスジばってましたが、それ以外は脂がのって、美味しいですねぇ。
醤油もただの醤油じゃない。
若干の甘味と出汁の効き具合(けれど透明感がある)から、これが土佐醤油なのかしら?
烏賊のワタ和えの炒め物は、突き出しのゲソと被ってしまいましたので、取り立てて感激はあり
ませんが充分に水準を超えて美味しいです。
ところで「なかなか」という焼酎のコクの強さと旨さは大したものです。
ロックでいただきましたが、なんだろうこの旨さは・・・。『ウ~ン、…ナカナカ…。』 → Aaa~(^^:
食には、まだまだ知らない世界と異なるレベルの旨さがある。
それを思い知らされたのは土鍋ご飯です。
茶碗に4杯たっぷり分ある出汁ご飯に、焼きたての鯖の半身と溢れるほどの胡麻をのせて登場
です。
カウンターでじっくり10分蒸らして女性スタッフが丁寧にかき混ぜて茶碗に盛ってくださいます。
これがとんでもないお味!!
私メ、この食べログで一度も使用したことがない言葉=「絶品」、をここで使いたくなりました。
だって、これ程美味しい土鍋ご飯は、他のどんな店でも味わったことがないもので。
まぁ、食の経験は豊かとは言えませんけど、この美味しさは分かりますよね。
ワイフは最初、「そんなに食べられないワ」とか言ってました。
気がつくとペロっと完食しているじゃありませんか!
体調よくないのにしっかり飲んで食べてる…。
こちら、素材を最大限活かす技と創造性は群を抜いておりますよ。
不調の客を元気にしてしまう。
こんなお店が藤沢にあったというだけでも幸せですね。
横須賀(県立大学駅)の『無風』さん以来の感動がありました。
焼き鯖土鍋ご飯、大盛り一杯分を、深夜に実家戻り予定の長男に食べさせようとパックに詰めて
もらって、お会計ですが、思いの外リーズナブルなお値段でした。
必ず、また来ます。
とワイフも言ってます!