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味のパラディーソ(楽園)を探す旅
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Y・Tパラディーソ (男性・神奈川県) 認証済
この口コミは、Y・Tパラディーソさんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。
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1回
昼の点数:4.0
2014/06 訪問
晴れてくれれば☆4つ。初めて「ほうとう」を旨いと思えた。
『甲府市からバスにゆられて1時間。御坂峠へたどりつく。御坂峠、この峯の頂上に、天下茶屋という、小さい茶店があって、井伏鱒二氏が初夏のころから、ここの二階に、こもって仕事をして居られる。私は、それを知ってここへ来た。ここから見た富士は、むかしから富士三景の一つにかぞえられているそうであるが、私はあまり好かなかった。まるで、風呂屋のペンキ画だ。芝居の書割だ。どうにも註文どおりの景色で、私は恥ずかしくてならなかった。』『富嶽百景』から抜粋。太宰らしい味のある文体ですが、まぁ、そこまで自意識過剰ぎみに目の前の風景を評価しなくてもいいんじゃないかと思ったり、いや、言い得て妙だと感じたり人それぞれ感想を持つでしょう。この日6月初旬、長野からの帰り道、高速代を節約しようと一宮・御坂で降りて御坂トンネル経由で河口湖へ抜けようとしたら、生憎御坂トンネルは天井版を撤去する工事中で、南に迂回しろという道案内です。いやいや、それなら峠越えの旧道で行こうよとワイフと話して山道へ回ります。思い出したのが、この「天下茶屋」さん。うちの息子たちがまだ子供だった頃には、御坂山塊に「すずらんの群生地」を見学方々登山してその下山後、ここで休憩と喫茶したものでした。そのころは食事はしなかったような記憶です。梅雨入り前の蒸し暑い晴れの天候。旧道トンネルを抜けると、午後の陽ざしを受けて半逆光気味の富岳が目の前に現れるのでした。「いいじゃん。」「なかなか…。」麓の河口湖と周辺の町が見える、その向こうにそそり立つ富岳が構図的にいい塩梅で鎮座しているのでした。パラは太宰のように<恥ずかしい>という程お誂え向きな富士とは思いませんんでしたけどね。車を道脇のスペースに停めて、茶屋の店内に入りますと、この店の従業員のおばちゃまが座敷に上がれと案内してくれます。座敷の壁には、ここを舞台にした太宰関連の映画のチラシやポスターなどが展示されています。また、土間を挟んで二階に上がる階段脇に「太宰治記念館」なる張り紙表札があります。食事を終えたら、登ってみるのもいいでしょう。さて、こんにゃくの味噌田楽とこの店オリジナルのほうとうを注文致しました。こんにゃくは想像通りの味。味噌は甘味が少ないタイプのものです。運ばれて来た鉄鍋にはてんこ盛りの野菜に埋もれて熱々の味噌ほうとうです。七味を振り、ハフハフ言いながらいただきますと、野菜の甘みと出汁のコクが相まってスープは非常に美味であります。いつぞやは、麓の河口湖周辺の大型店舗で何度か食したほうとうではありますが「まぁ、こんなもんだろ。」ぐらいの感想しかなかった食べ物です。名物に旨い物なしなどという文句を言うつもりはありませんが、山梨県民には申し訳ないけど評価していなかったメニューを今回の茶屋ほうとうで払拭できました。食べても食べても、野菜が出てくる。カボチャも、キノコも大根も白菜も人参も葱も、もっちり食感のほうとうと絡んで気持ちをホッカリさせてくれます。いわゆるホームメイドな作りなのですが、さりとて素人臭さはない。御坂トンネルが工事中でなかったら寄らなかった「天下茶屋」での遅い昼食は当たりでした。食後、二階の太宰が使っていた机や火鉢を置き執筆室の再現を設えた記念館に立ち寄りました。窓から毎日のようにこの富士山の風景を見て「月見草がよく似合う」などと書いていたのかとう感慨が湧いてまいります。文学にも風景構図にも興味がなくても、人並みの感性と味覚があればお勧めできるお店です。
2014/06/24 更新
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日本酒あり
焼酎あり
オシャレな空間
カップルシート
カウンター席
ソファー席
座敷
『甲府市からバスにゆられて1時間。御坂峠へたどりつく。
御坂峠、この峯の頂上に、天下茶屋という、小さい茶店があって、井伏鱒二氏が初夏のころから、
ここの二階に、こもって仕事をして居られる。
私は、それを知ってここへ来た。
ここから見た富士は、むかしから富士三景の一つにかぞえられているそうであるが、私はあまり
好かなかった。
まるで、風呂屋のペンキ画だ。芝居の書割だ。
どうにも註文どおりの景色で、私は恥ずかしくてならなかった。』
『富嶽百景』から抜粋。
太宰らしい味のある文体ですが、まぁ、そこまで自意識過剰ぎみに目の前の風景を評価しなくて
もいいんじゃないかと思ったり、いや、言い得て妙だと感じたり人それぞれ感想を持つでしょう。
この日6月初旬、長野からの帰り道、高速代を節約しようと一宮・御坂で降りて御坂トンネル経
由で河口湖へ抜けようとしたら、生憎御坂トンネルは天井版を撤去する工事中で、南に迂回しろ
という道案内です。
いやいや、それなら峠越えの旧道で行こうよとワイフと話して山道へ回ります。
思い出したのが、この「天下茶屋」さん。
うちの息子たちがまだ子供だった頃には、御坂山塊に「すずらんの群生地」を見学方々登山して
その下山後、ここで休憩と喫茶したものでした。
そのころは食事はしなかったような記憶です。
梅雨入り前の蒸し暑い晴れの天候。
旧道トンネルを抜けると、午後の陽ざしを受けて半逆光気味の富岳が目の前に現れるのでした。
「いいじゃん。」
「なかなか…。」
麓の河口湖と周辺の町が見える、その向こうにそそり立つ富岳が構図的にいい塩梅で鎮座して
いるのでした。
パラは太宰のように<恥ずかしい>という程お誂え向きな富士とは思いませんんでしたけどね。
車を道脇のスペースに停めて、茶屋の店内に入りますと、この店の従業員のおばちゃまが座敷に
上がれと案内してくれます。
座敷の壁には、ここを舞台にした太宰関連の映画のチラシやポスターなどが展示されています。
また、土間を挟んで二階に上がる階段脇に「太宰治記念館」なる張り紙表札があります。
食事を終えたら、登ってみるのもいいでしょう。
さて、こんにゃくの味噌田楽とこの店オリジナルのほうとうを注文致しました。
こんにゃくは想像通りの味。味噌は甘味が少ないタイプのものです。
運ばれて来た鉄鍋にはてんこ盛りの野菜に埋もれて熱々の味噌ほうとうです。
七味を振り、ハフハフ言いながらいただきますと、野菜の甘みと出汁のコクが相まってスープは
非常に美味であります。
いつぞやは、麓の河口湖周辺の大型店舗で何度か食したほうとうではありますが「まぁ、こんな
もんだろ。」ぐらいの感想しかなかった食べ物です。
名物に旨い物なしなどという文句を言うつもりはありませんが、山梨県民には申し訳ないけど
評価していなかったメニューを今回の茶屋ほうとうで払拭できました。
食べても食べても、野菜が出てくる。
カボチャも、キノコも大根も白菜も人参も葱も、もっちり食感のほうとうと絡んで気持ちをホッ
カリさせてくれます。
いわゆるホームメイドな作りなのですが、さりとて素人臭さはない。
御坂トンネルが工事中でなかったら寄らなかった「天下茶屋」での遅い昼食は当たりでした。
食後、二階の太宰が使っていた机や火鉢を置き執筆室の再現を設えた記念館に立ち寄りました。
窓から毎日のようにこの富士山の風景を見て「月見草がよく似合う」などと書いていたのかと
う感慨が湧いてまいります。
文学にも風景構図にも興味がなくても、人並みの感性と味覚があればお勧めできるお店です。