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Y・Tパラディーソ (男性・神奈川県) 認証済
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1回
昼の点数:4.0
2015/10 訪問
ゲルネによる『冬の旅』
2017,10,21巨大台風が関東を直撃する直前の東京の夜。折角のサントリーホールでのバリトン・リサイタルに、お客は半分以下の寂しい状況です。ドイツの歌手マティアス・ゲルネの思い出は、もう15年近く前のこと、新進気鋭のバリトン歌手としてヨーロッパで注目され、活躍していた頃のことです。日本では、一部のレコードファン以外に知名度が高くなかったのか、藤沢市民会館のような地方都市のホールでシューベルトを歌ってくれたのでした。当時、週末の当日券が少々残っていたので飛び込みで入り、聴きました。開演前の昼にホールのレストランで、夫婦で食事とお茶していると、(後で分かったのですが)ゲルネ本人と伴奏のピアニストが休憩中でした。その姿は、私服のシャツに丸刈りの頭、ギョロ目のドイツのあんちゃんといった外見で、まるで日本を訪れたバックパッカーのコンビのような風貌でした。その彼が、1時間後にはタキシードでステージに立って歌っている!若いにも係わらず、折り目正しい歌唱から滲む歌詞への深い解釈と感情表現に、ちょっと驚き感動した覚えがありました。その彼のステージを再び赤坂の地で聴けるとなれば、万難を排し嵐を突いても駆けつけないではいられません。土砂降りのアークヒルに車を滑り込ませ、2階に上がると、エントランス付近では開館を知らせるオルガンが鳴り響きます。「まだ40分もあるなぁ。」「ちょっとお腹空いたし、お茶しよう。」ホール正面のパリ風カフェ。隣のブーランジェリーでフロマージュ・ジャンボンのサンドウィッチとエピなどを購入し、カフェカウンターのお姉さんに珈琲をお願いします。店内のお客さんの1/3は外国人。カウンターのお姉さんは小柄で可愛らしい。「今、落としたばかりの新しいのを淹れますね。(ニコ)」期待感ではやる気分を熱い珈琲で押さえながら、雨に濡れたエントランス前のタイル張りの広場に反映する光を眺めます。機械仕込ですが、淹れたての珈琲は香りも良く美味しいのです。この日予定していた伴奏者のクリストフ・エッシェンバッハは急病の為キャンセルで代役のパートナーが来日。しかし、その影響は全くないばかりか、ゲルネの歌の意図に完全に寄り添っていました。20年前より恰幅がよくなって髭を蓄えた貫禄ある体躯でステージに登場しました。第1曲「おやすみ」の歌い出し、深々とした声が響き始めた時、ゲルネ氏の大きな芸術的成長を目の当たりにできた喜びがこみ上げてきます。彼の歌はドラマです。彼の声は地の底から響くようであり、そしてまた、天から舞い降りる花びらのような軽やかさと優しさに満ちた慈愛で語り掛けて来ます。囁くように、時にオペラのアリアのように、また、遠く地平の彼方へ祈るように言葉を届けようと歌う姿に視線を逸らすことができません。全曲、休憩なしで「辻音楽師」まで歌い終わったとき、場内からジワジワと拍手が沸き起こったのでした。数少ない観客は、2度目、3度目のカーテンコールでついに皆立ち上がって拍手を送っていました。素晴らしいステージだった!「冬の旅」をこれほど振幅の大きな表現で、どんな言葉も、細かなニュアンスも意味を込めて歌う演奏に出会ったことはありませんでした。ゲルネ氏は、今もっとも優れた歌の表現者に違いありません!巨大台風にめげず、赤坂まで来た甲斐があったというものです。2015,10,17 前回投稿【ブラームスはお好き?】サントリーホールにコンサートを聴きに来ました。単独です。(ホントです!)ホール開場までしばらく時間がありますので、どうしようか周囲を見渡します。湘南くんだりから、たまの休日ここに来ると、コンサートの開場時間まで珈琲など口にしたくなるってものでございますよ。国立新美術館の公募展見て、昼食抜きで歩いて来ましたから、小腹を埋めるパンを一片とともにいただきたい。見つけたのはダークブラウンの調度に囲まれた、オールドファッションなパリ風のカフェです。「アン カフェ シルヴプレ」スタッフ間で飛び交う、注文コールは全てフレンチであります。良く見ると、日本人とヨーロッパ人が半々ぐらいの人数のスタッフがフロアを動き回っており、テーブルや仕事を分担し合っています。なんともお洒落なカフェではありますね。東京に居ながら、パリのカフェの雰囲気そのまんまを味わえます。この日は、新日本フィルハーモニーのサントリー定期。曲目は、ブラームス・ヴァイオリン協奏曲二長調op,77とメーンに交響曲第1番ハ短調op,68。ソリストは話題の新人、韓国系ドイツ人の若き女流ヴァイオリニスト、クララ=ジュミ・カン。コンダクターは、ヨーロッパ中心でご活躍のベテラン=ヘルムート・ヘンヒェンさんです。パラにとって、ブラームスは大好きな作曲家の一人です。交響曲は勿論のこと、ピアノ協奏曲第2番とかヴァイオリン協奏曲二長調など、何種類のレコードやCDがあるのか分からない程、我家には相当枚数コレクションがあります。フランソワーズ・サガンの小説「さよならをもう一度」を米・仏合作で映画化した「ブラームスはお好き」の中で、主人公ポーラは愛人ロジェの大好きなワグナーのレコードの裏面にブラームスのヴァイオリンコンチェルトがあるのを見つけて聴き入ります・・・。この曲は、そもそもブラームスの屈折した恋愛感情をおめでたいほどに切々と旋律に昇華した曲なのではないか?と、パラディーソは勝手に解釈しています。第1楽章は、叶わぬ恋についての焦燥。第2楽章は、告白して後、見つめ合う二人。第3楽章は、舞踏会でのダンス、そして幸福な関係の継続。・・・そんな、下衆な解釈ってあり得ないっスよね、スミマセン。(それにしても、ワグナーのレコード裏面にブラコンをカップリングするか? これは、ポーラを挟む男二人のライバル関係の伏線だろ。)韓国系ヴァイオリニストと言えば、かつてチョン・キョンファが情熱の滾りをぶつける超絶的な演奏を聞かせてくれていたものです。(特に彼女のシベリウスは今も私にとってベスト盤です。)この若きクララちゃんはどんな演奏を聞かせてくれるのでしょう、非常に楽しみです。さて、お店の話。先ず、パンコーナーでフィグのハーフをスライスしたもの5枚が入った袋を買い求め、次にカフェに移動し、喫煙可能なカウンターに腰かけます。「エスプレッソ、シングルでいいや。」とカウンター内の美しいお姉さんにお願いします。デミタスカップに半分以下の分量の濃いエキスが熱く泡立っております。勿論、パラはこれには角砂糖を2個とも投入し、スプーンでぐるぐるかき回します。(このニガニガはブラックで飲みたくない。甘い方が好き。)そして、おもむろにビニル袋からフィグのスライスを取り出しで齧ります。「食べてもいいよね?」とお姉さんに確認します。「どうぞ、大丈夫ですよ。」とニッコリ (*^-^*)「今日は、コンサートですか?」視線を真っすぐこちらに向けて話す態度は好感が持てます。「うん、新日フィルの定期。」って言ってもこの子には分からないか・・・。「日曜日はお昼なんですね。ここでお食事されて行くお客さん多いですよ。」「しっかり食べちゃうと、演奏中に寝ちゃうから我慢するんだ。」「なるほど。」・・・笑顔が綺麗。「出演者やソリストも事前に来るでしょ。」「ええ、来ます来ます。」・・・彼女ともうちょっと話したいけど、時間がなぁ。このフィグが、しっかりした味のパン生地で美味しい。そして甘苦いエキスとも良く合っているのです。おまけに、カウンター内のお姉さん(バーテンダー兼ねてるのかな?)のフレンドリーな対応。エスプレッソは、たったの200円です。硬貨2枚をお姉さんに手渡しして、いざ会場へ・・・。
2017/10/30 更新
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日本酒あり
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2017,10,21
巨大台風が関東を直撃する直前の東京の夜。
折角のサントリーホールでのバリトン・リサイタルに、お客は半分以下の寂しい状況です。
ドイツの歌手マティアス・ゲルネの思い出は、もう15年近く前のこと、新進気鋭のバリトン歌手としてヨー
ロッパで注目され、活躍していた頃のことです。
日本では、一部のレコードファン以外に知名度が高くなかったのか、藤沢市民会館のような地方都市のホー
ルでシューベルトを歌ってくれたのでした。
当時、週末の当日券が少々残っていたので飛び込みで入り、聴きました。
開演前の昼にホールのレストランで、夫婦で食事とお茶していると、(後で分かったのですが)ゲルネ本人と
伴奏のピアニストが休憩中でした。
その姿は、私服のシャツに丸刈りの頭、ギョロ目のドイツのあんちゃんといった外見で、まるで日本を訪れた
バックパッカーのコンビのような風貌でした。
その彼が、1時間後にはタキシードでステージに立って歌っている!
若いにも係わらず、折り目正しい歌唱から滲む歌詞への深い解釈と感情表現に、ちょっと驚き感動した覚えが
ありました。
その彼のステージを再び赤坂の地で聴けるとなれば、万難を排し嵐を突いても駆けつけないではいられません。
土砂降りのアークヒルに車を滑り込ませ、2階に上がると、エントランス付近では開館を知らせるオルガンが
鳴り響きます。
「まだ40分もあるなぁ。」
「ちょっとお腹空いたし、お茶しよう。」
ホール正面のパリ風カフェ。
隣のブーランジェリーでフロマージュ・ジャンボンのサンドウィッチとエピなどを購入し、カフェカウンター
のお姉さんに珈琲をお願いします。
店内のお客さんの1/3は外国人。
カウンターのお姉さんは小柄で可愛らしい。
「今、落としたばかりの新しいのを淹れますね。(ニコ)」
期待感ではやる気分を熱い珈琲で押さえながら、雨に濡れたエントランス前のタイル張りの広場に反映する光
を眺めます。
機械仕込ですが、淹れたての珈琲は香りも良く美味しいのです。
この日予定していた伴奏者のクリストフ・エッシェンバッハは急病の為キャンセルで代役のパートナーが来日。
しかし、その影響は全くないばかりか、ゲルネの歌の意図に完全に寄り添っていました。
20年前より恰幅がよくなって髭を蓄えた貫禄ある体躯でステージに登場しました。
第1曲「おやすみ」の歌い出し、深々とした声が響き始めた時、ゲルネ氏の大きな芸術的成長を目の当たりに
できた喜びがこみ上げてきます。
彼の歌はドラマです。
彼の声は地の底から響くようであり、そしてまた、天から舞い降りる花びらのような軽やかさと優しさに満ち
た慈愛で語り掛けて来ます。
囁くように、時にオペラのアリアのように、また、遠く地平の彼方へ祈るように言葉を届けようと歌う姿に
視線を逸らすことができません。
全曲、休憩なしで「辻音楽師」まで歌い終わったとき、場内からジワジワと拍手が沸き起こったのでした。
数少ない観客は、2度目、3度目のカーテンコールでついに皆立ち上がって拍手を送っていました。
素晴らしいステージだった!
「冬の旅」をこれほど振幅の大きな表現で、どんな言葉も、細かなニュアンスも意味を込めて歌う演奏に出会
ったことはありませんでした。
ゲルネ氏は、今もっとも優れた歌の表現者に違いありません!
巨大台風にめげず、赤坂まで来た甲斐があったというものです。
2015,10,17 前回投稿
【ブラームスはお好き?】
サントリーホールにコンサートを聴きに来ました。
単独です。(ホントです!)
ホール開場までしばらく時間がありますので、どうしようか周囲を見渡します。
湘南くんだりから、たまの休日ここに来ると、コンサートの開場時間まで珈琲など口にしたく
なるってものでございますよ。
国立新美術館の公募展見て、昼食抜きで歩いて来ましたから、小腹を埋めるパンを一片とともに
いただきたい。
見つけたのはダークブラウンの調度に囲まれた、オールドファッションなパリ風のカフェです。
「アン カフェ シルヴプレ」
スタッフ間で飛び交う、注文コールは全てフレンチであります。
良く見ると、日本人とヨーロッパ人が半々ぐらいの人数のスタッフがフロアを動き回っており、
テーブルや仕事を分担し合っています。
なんともお洒落なカフェではありますね。
東京に居ながら、パリのカフェの雰囲気そのまんまを味わえます。
この日は、新日本フィルハーモニーのサントリー定期。
曲目は、ブラームス・ヴァイオリン協奏曲二長調op,77とメーンに交響曲第1番ハ短調op,68。
ソリストは話題の新人、韓国系ドイツ人の若き女流ヴァイオリニスト、クララ=ジュミ・カン。
コンダクターは、ヨーロッパ中心でご活躍のベテラン=ヘルムート・ヘンヒェンさんです。
パラにとって、ブラームスは大好きな作曲家の一人です。
交響曲は勿論のこと、ピアノ協奏曲第2番とかヴァイオリン協奏曲二長調など、何種類のレコ
ードやCDがあるのか分からない程、我家には相当枚数コレクションがあります。
フランソワーズ・サガンの小説「さよならをもう一度」を米・仏合作で映画化した「ブラーム
スはお好き」の中で、主人公ポーラは愛人ロジェの大好きなワグナーのレコードの裏面にブラ
ームスのヴァイオリンコンチェルトがあるのを見つけて聴き入ります・・・。
この曲は、そもそもブラームスの屈折した恋愛感情をおめでたいほどに切々と旋律に昇華した
曲なのではないか?と、パラディーソは勝手に解釈しています。
第1楽章は、叶わぬ恋についての焦燥。
第2楽章は、告白して後、見つめ合う二人。
第3楽章は、舞踏会でのダンス、そして幸福な関係の継続。
・・・そんな、下衆な解釈ってあり得ないっスよね、スミマセン。
(それにしても、ワグナーのレコード裏面にブラコンをカップリングするか? これは、ポー
ラを挟む男二人のライバル関係の伏線だろ。)
韓国系ヴァイオリニストと言えば、かつてチョン・キョンファが情熱の滾りをぶつける超絶的な
演奏を聞かせてくれていたものです。(特に彼女のシベリウスは今も私にとってベスト盤です。)
この若きクララちゃんはどんな演奏を聞かせてくれるのでしょう、非常に楽しみです。
さて、お店の話。
先ず、パンコーナーでフィグのハーフをスライスしたもの5枚が入った袋を買い求め、次にカフェ
に移動し、喫煙可能なカウンターに腰かけます。
「エスプレッソ、シングルでいいや。」とカウンター内の美しいお姉さんにお願いします。
デミタスカップに半分以下の分量の濃いエキスが熱く泡立っております。
勿論、パラはこれには角砂糖を2個とも投入し、スプーンでぐるぐるかき回します。
(このニガニガはブラックで飲みたくない。甘い方が好き。)
そして、おもむろにビニル袋からフィグのスライスを取り出しで齧ります。
「食べてもいいよね?」とお姉さんに確認します。
「どうぞ、大丈夫ですよ。」とニッコリ (*^-^*)
「今日は、コンサートですか?」視線を真っすぐこちらに向けて話す態度は好感が持てます。
「うん、新日フィルの定期。」って言ってもこの子には分からないか・・・。
「日曜日はお昼なんですね。ここでお食事されて行くお客さん多いですよ。」
「しっかり食べちゃうと、演奏中に寝ちゃうから我慢するんだ。」
「なるほど。」・・・笑顔が綺麗。
「出演者やソリストも事前に来るでしょ。」
「ええ、来ます来ます。」・・・彼女ともうちょっと話したいけど、時間がなぁ。
このフィグが、しっかりした味のパン生地で美味しい。
そして甘苦いエキスとも良く合っているのです。
おまけに、カウンター内のお姉さん(バーテンダー兼ねてるのかな?)のフレンドリーな対応。
エスプレッソは、たったの200円です。
硬貨2枚をお姉さんに手渡しして、いざ会場へ・・・。