2回
2013/10 訪問
関西人が眩暈した、関東の本場本格つけ麺
<2013.10> 味玉らーめん
【スープ:極めてオーソドックスな豚骨魚介なれど、研ぎすまされた質感すら感じます】
<明るい魚介の香ばしさと甘み!醤油ダレと共に・・・もうひと工夫されたエッジング>
豚魚の名店「吉左右」。その定番なる味玉らーめんの麺顔は、驚くほどにオーソドックスでありますね・・・。相当に見慣れた風貌とそのスープカラー。もはやトレードマークのような存在感を覚えます。むしろオーラーを感じさせないほどにシンプル。数年前にギョギョ!っと感動したあれは何だったのだろうと思わず回想します。そしてひと啜り・・・・。ううむ、ライト系のようでそうでないような、ハードとライトの中間といった濃度が予測範囲通り。でも・・・脳裏に「!」が浮かび上がるほどに、染み入りますね〜・・・。
汁のきめ細やかさは半端ではなく、そしてサラサラとした甘みを残しまして、香りも魚介を思わせる芳ばしさが鼻孔に駆け抜けます。オーソドックスの中に、仕事の丁寧さがなせる完成度を感じさせる。いやいや、質感というものを感じさせますやん。初めてここで食ったときは、つけ麺だったのだけど、当時濃厚豚魚の絶頂期にあって、このサラサラ感で勝負かけてたのでしたよね。感服の仕上がりに懐かしさを覚えます。
味わいとしては、一言では「上質なオーソドックス豚魚」と言えましょうが・・・ちょっとしたひと工夫も個性として感じられるような気がします。よくある魚介の甘さにプラスアルファされた何かを感じます。それは、醤油のカエシのエッジングが少し強めであるための凛とした清涼感なのか?いやいや・・・仄かにジリリとした何かがあるぞと我が駄舌が反応をする。「一味か?」との判定なれどいかに? 葱の影響か?はたまた生姜?とも思えぬが・・・。ともあれ、ちょっと何かがあるような風味が、「吉左右」と感じさせてもらいました。
<スムースさが伸びやかな動物系のコク・・・豚以外にも鶏コクのさっぱりさも感じる>
以前に感じなかったことが一つだけあり。豚魚の名店ということで、豚コク100%と感じていたのですが、ひょとして鶏コクも豊かなのでは?という感覚。確信は全くありません。ただ、しっかりとした動物系の煮出しを感じる一方で、どこか軽やかな風合いを感じましてね・・・。なのでゴクゴクと一気に飲み干せてしまう。胃もたれなく。しかし鶏?とは感じてみたけど、貼り付くような鶏独特の粘りはなかったわけで、モミジのようなコラーゲン感がふんだんという分けでもないサラサラっとした動物感であることは、変わりなしです。
【麺:もちっとした反発とクッシリと食わせるコシが両立する多加水中太麺!】
<極上の「つるモチ麺」、咀嚼自体が面白く感じさせます>
さてこちらで一番楽しみにしていたのは、実はスープでなく麺の方。とみ田のような貼り付くようなしっとり感あるハード麺もいいのですが、こちらのそれよりもう少しプリプリっとした麺が忘れられない次第であります。これは、期待通りの感触で思わず食ってから笑みが漏れます。つるつるとしていて、モッチリとした歯応えが絶妙。噛むこと自体が楽しくなるという明るさと落ち着きを併せ持つキャラクターが実にいいですね。
前歯での千切りがプツリ!としていて程よい抵抗感。丸めな麺がまた優しい咀嚼感です。奥歯のすり潰しの手前では、プリプリプリっと横ずれしそうで、束になったそれを強引に押しつぶすとクッチリ!とした弾力感あるコシを感じる。時間が経っても汁の吸い込み感もほどほど。最後まで同じ用な弾力を持続させてくれます。
<多少な貼り付くような感覚・・・それでも高速なスベリ感覚>
一方、スベリはいい!どちらかと言えば高速に滑るタイプです。しかし単につるつるというより、多少貼り付くような地肌感も感じたりするかも・・・。すごく観念的な例えですが。決してぬるツキを感じるわけではないのであしからずです。そういえば、麺の湯切りの際、決められた数をきっちりカウントするかのように、黙々とテボを振っていたご店主の真面目な顔が思い浮かぶ。
【具:こちらも奇をてらわず・・・オーソドックスなまでに基本に忠実な仕事ぶりです】
<繊維に沿って解れるロース肉、脂肪分が適度にさした甘みがタレの風味と調和する>
これはよく出会う味わいに似ているかも。特に大勝軒系でときどき遭遇するような気がします。ロース肉だと思うのだけど、筋肉質の合間に脂が射しているような肉質で、それらが柔らかい歯応えのあとに解れるように崩れる。やさしい醤油ダレの味わいの中に甘みを感じさせ、タレの香ばしさは抑えめな感じ。それでも白飯と合うというタイプでして、豚飯として立派に成立しそうであります。分厚さも申し分なく、これなら追加しても良かったかもと思えど、食後振り返ってメニュー表をみると、3枚で400円という設定なので、今の私には贅沢品に属するので、どちらにせよ辛抱するしか無かったという次第。
<大胆に大きくおおばって・・・ネットリとして凝縮された黄身のコクを味わう>
さて味玉だけど、これも申し分なし!白身部分は全体に深くタレが染み込んでいて、白身だけでも甘く香しいと思わせる出来映え。黄身はさらにその上を行き、オレンジ色のジェルが非常にネットリとしていて、まるでゼリーであります。思い切って半分を一口でパクリと食すると・・・・これまた濃厚な風味がぶわっと口の中一杯に広がり、独特の甘みが立ちこめます。やはり、名店の味玉に外れなしですね。
総じまして、「いつまでも忘れない味!」・・・・といったところかと。
開店時間の短さとあの混雑。そして活動エリア的には月いち訪問はもちろん、一年に訪問できるチャンスは絶望的ですし・・・・相当特別な日しか食えんのです。ちょっと前までは有給など考えられた環境だったけど、今は夢のまた夢かと・・・・。でも、また機会を作ってきますよ!今回も奇跡的に訪問できたことですし。なので詠います!
シンプルに
ただ質実と
手を抜かず
継続してこそ
真の強さ也
お粗末!ということで家族にも感謝しながら合掌!今日も本当にごちそうさまでした!!
<2009.10> つけ麺
関西在住で、本格的なつけ麺を食してみたいと思い、思いが募って訪問することができました。
濃厚かつスマートのつけ汁と、麺の感触に、感動いたしました!
中太麺のぷりぷり感覚がよいことと、豚骨魚介スープがバランス良い。スープは、松戸とみ田さんと比べると薄いと感じる部分は最初あったのですが、食べ進めるうちに、味わい深さはあるし、麺との相性を考えるとベストマッチなのだと考えを改めました。完成度が極めて高いです。
関西にこういう、接客も含め、全体的に丁寧な仕事をするつけ麺屋さんがあるといいなと・・・・・、関東の人がうらやましく思えました。
また、お店の清潔感には、脱帽です。何年も営業されていて、人気がある名店でたくさんの人が訪問しているのに、店の隅々まできれいに掃除されていて・・・・。参った。飲食業とはこうでありたいと思うものの、実行している人がいるのですね!
2013/11/17 更新
<2018.03> 味玉らーめん
<マイルド豚魚の崇高さに加えて、何か隠し味が光る気がする>
当時と変わらないなーと思ったのは、磨かれた厨房。そして紺色のふきん。小さい金網の上にちょこっと載っているのだが、綺麗に端と端が折りたたまれてる。細かいこと覚えている自分がちょっと笑えてしまいました。そんなタイミングで早めに配膳されたのがこの麺顔です。
おお!いかにもマイルドさと優しさが溢れる豚骨魚介独特のベージュ。ちょうど今の季節、イトーヨーカドーで売ってる、春色のカーディガンのような色合いですなー。どんどんと記憶が蘇ってくる。
色合いからあっさり系と思いきや、実際に味わってみると、しっかりと豚骨の煮出しと、鶏系のコラーゲン、そして魚粉の甘みが煮出され、溶け込んでいる。レンゲを持ち上げると、ポタポタと垂れるスープは、微妙なトロミを感じさせます。それが舌全体に優しくまとわるのですが、醤油ダレと豚骨エキスの塩気と、少なからずの魚粉の甘みが、色濃くハーモナイズされております。ここまでなら、何となく巷のこの手のスープと、そんなに違わない気がする。
誤解を生じるかもしれませんが、こちらの豚骨魚介には、「クリーミーな清涼感」があると思うー。背反する言葉同士かもだが、別の風合いを感じてしまう。スモーカーの舌だからアテにならないが、たとえば香味を与える葱とか、また「ショウガ」のエキスのような物を感じて、それが他の豚骨魚介にもまして食欲を与えているように、思えてならないー。ほぼ妄想ですから、あしからず。
当然、スープは飲み干しました。そこに溜まった魚粉の量が、最近見ないほどの量だった。それでも魚粉の重さを感じさせず、ザラつきを一切感じさせないところが、改めて秀逸と思えてしまいます。旨し!。
<絶品自家製麺!ツルもち感覚の多加水ストレート麺!>
スープも麺も素晴らしい。店主の才能に溢れてますな。ご存知のツルツルしてて、滑りやすく、前歯を当てるとブルン!と弾み千切れ、奥歯ではモチモチと明るく弾むストレート麺です。デフォルトで200gというボリュームも嬉しい。スープの浸透というより、スープで濡れた感覚が、とても口当たりが良くて、啜りあげるのに快感を与えますねー。
時々、メンマや薬味ネギと絡んで、複雑な歯ごたえになるところも楽しい。そして髪切った後のグルテンの風味がほのかに香るところもいいですね。グルテンの風味と豚骨魚介ってとても絡むような相性の良さを感じます。この点も、またおまと呼ばれるまで、一世を風靡したポイントなんでしょうか。
<味玉にハズレなし!>
Lサイズで優しい色合いに染まってます。白身のタレ浸透は均一で、全体的にプルプルっと震えるような柔らかい感覚です。卵黄は、中心部から、ジェル>ゲル>芋羊羹のような感覚のあるグラデーション。味わいは、深さよりも卵黄の本来の味を感じる、あっさりタイプの味玉でした。嗚呼、今回も味玉にハズレなし。
<解けるような柔らかさ!脂の甘みと肉質の程よい塩気がナイス!>
無骨な風貌ですが、箸でリフトすると崩れていきそうなほど、すごく柔らかい豚肩ロース肉。これが塩気が程よく効いた赤身の味わいが秀逸で、周囲の脂身の甘さも引き立ちます。スープを浸透させているところもあって、なかなか味わい深い。ビールにも、ライスにも相性の良さがありますね。
総じまして、「飽きることない永遠の東京豚骨魚介なる一杯!」と言う感じでしょうか。今回も素晴らしいと感動を与えてくれました。これだけ、人気をキープし続けて、実績を重ねても、仕事に対するブレのなさも尊敬に値するね。二号店三号店を出そうとか、メニュー拡大していくとか、限定麺をシリーズ化するとか、色々もっと可能性があったと思いますが、これ一筋ですもん。またおまと呼ばれた豚骨魚介飽和期もビクともせずに、トップを突っ走る!。つくづく、今後も応援し続けたいと思う店です。今回はごちそうさまに加えて、ありがとうだな。と、そんな感動を忘れないうちに、とっとと最後に詠って、いつものように締めたいと思います!。
春盛る
溢れる陽射し
汗じわり
溢れる誠意
味玉らーめん
お粗末!と言うことで家族にも感謝しながら合掌!!今日も本当にごちそうさまでした!!!