6_6さんが投稿した京懐石 吉泉(京都/出町柳)の口コミ詳細

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京懐石 吉泉出町柳、元田中/日本料理

1

  • 夜の点数:4.9

    • ¥20,000~¥29,999 / 1人
      • 料理・味 4.9
      • |サービス 4.9
      • |雰囲気 4.5
      • |CP 4.9
      • |酒・ドリンク 4.0
1回目

2018/06 訪問

  • 夜の点数:4.9

    • [ 料理・味4.9
    • | サービス4.9
    • | 雰囲気4.5
    • | CP4.9
    • | 酒・ドリンク4.0
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

全てを知り尽くした男 

 久しぶりのミシュラン3星付きの体験です。

そして、久しぶりの京都・・・予約が叶った時から、伺うことが楽しみでした。

伺う数日前に、大阪府北部地震が有り、京都も人的、家屋被害などが有り
余震なども騒がれ、キャンセルしようか天秤にかけましたが、美食が勝りました。

 この日は、夜の予約なので、少しお酒も頂こうと思い、宿泊先からタクシーで伺い
ドライバーの方に地震のことを聞くとやはり大きな揺れで驚き、
その後色々な方面でキャンセルが相次いだと仰っていました。

 先ずは、この場をお借りして、豪雨等もあわせまして
大変な思いをされたみなさまに、謹んでお見舞い申し上げます。

この度、土地勘もなく、少し、早めに着いたので、
世界遺産の 下鴨神社でタクシーを降り、お参りをさせて頂きました。
こちらの神社の御神紋は双葉葵  葵祭が開催される神社だそうです。

後になり気づいたのですが、この下鴨神社とも深いご縁を感じるお店のようです。

そして、親切なタクシードライバーから伺っていたルートを徒歩数分で
こちらの吉泉に行きました。

すると、お店の前では若い男性スタッフがソロで、打ち水をした後?
ゲストを迎える玄関を、入念に綺麗にしています。
これも、いつもの光景だと地元のタクシードライバーが、運転をしながら嬉しそうに、
言っていました。
最近は、いつもの光景ほど平和だとつくづく思います。
そんな話を聞いただけに、入る前から親近感が沸きます。

彼に案内されお店に入ると、女性スタッフが出迎えてくれました。
こちらは、靴を脱ぎ店内に入ります。
その事は知らなかったので、
素足にバックストラップパンプスで来てしまい失敗でした。

我々の後に来た外国人は、打ち水された入り口で濡れたスニーカーのまま早々に上がり
廊下に三歩足跡が付いた所で、やんわり靴を脱ぐように言われていました。
そんな対応も凄く慣れている感じで、流石です。

聞くと、旅のついでとはいえ、海外からのゲストの方が多いようです。
まさしく、ミシュラン星付き、飛行機に乗っても行くべきお店なのかも知れません。

今回予約したときカウンターか個室か聞かれ、カウンターにしました。
カウンター席は入って右奥に数席だけ用意され、
その中央ぐらいに席が確保されていました。

又、こちらのカウンターは厨房と繋がっているようで、
その息遣いも感じることが出来、楽しい心落ち着く空間でした。

本会席                21000円
グラス スパークリングワイン       2000円
サンタニオル 500ml(炭酸水)     900円

最初に、分厚い切り株の上に、花びらのオブジェが来て、
一見すると何か?解りませんでしたが、それは
甘酒のシャーベット  伏見のばら
味覚も、視覚もわしづかみの第一歩でした。

次に来たのは、夏越しの大祓 茅の輪くぐりの飾りのある一品。
丁度この時期になると、行われる神事で、この一品でゲストの厄を払ってくれた感じです。
輪の中には、にしんと数の子 なすのチップフライ 
なすのチップフライの下ににしんと数の子が隠れていました。
にしんが京都でなじみ深いお話をタクシードライバーから少し伺ったので
嬉しい一品でした。
そして、脇には、双葉葵の器で “酒一献” これは
「ようこそ、おいでくださいました」と店主からのご挨拶で、少し辛口の日本酒でした。

トウモロコシの丹波の豆乳は、今までとガラリと変わった金ぴかの器で来たので、
かなり意表を突かれた感じでした。
とてもマイルドな季節の豆乳スープです。

椀  鴨しんじょう 
椀の蓋には茶筅でさっと露を打ちされ、涼味を添え心を尽くす清々しさを表していました。
蓋を開け、少し響く柑橘系の香りをかぎ、一口口に含ませ、店主の力強い命の出汁が
舌の味蕾からしみいりそのお味は、海馬までゆっくりと確実に届きます。
聞くと和昆布からのお出汁だそうで、口の中から消えた後も美味しい余韻が残りました。
マイルドな鴨しんじょうの上にごぼうと源氏ゆずが控え
全てを出汁で丸く収めた絶品でした。

お造り
大きな巻き貝の上にわさびの葉が乗りその上に三種のお造り
そい 剣先イカ 根室の雲丹 で、お好みでチリ酢で頂きます。
淡泊・歯ごたえ有り・フワフワの三種で美味しく頂きました。
わさびの葉も頂いたのですが、今まで頂いた中で一番辛かったです。

流木のオブジェの前に
大トロと めかぶ が畏怖堂々とやってきました。
もう、これは一つの食べる芸術絵画のようでした。

ひょうたん型の漆器に
紀州の鮎の握りと海老豆がちんまりと登場
鮎の握りは初めてで、全体的に小さめにまとまっていますが、
爽やかな鮎は大きく何とか一口で頂きました。
海老豆はほおずきの中に上手く隠れ、侮る無かれ的な存在感で
桜エビ?のうま味がふんだんに豆と絡まった癖になるお味

揚げた鮎の骨   カルシウム抜群の一品

六角の足つき膳の中に、見目麗しげに
大トロカマ握りがぽつねんと・・・
しみじみと・・・京懐石はいいな~~~と思いました。

小芋と村沢牛のあんかけ
お出汁が美味しいので、とても味わい深く柔らかい村沢牛との相性も抜群でした。

明石の鯛の石焼き  トビッコ ゆずと醤油
パイナップルの輪切りの上で明石の鯛が石焼きで遊ばれていました。
まさか、ここでパイナップルと鯛が出会うとは、驚きました。
多分?鯛も驚いたと思います。
その、鯛の上に乗ったトビッコは私の知らない色で尚かつそれには
ゆずのお味と薄口醤油のお味が、色もお味もお見事でした。
そろそろ、お腹はいっぱい気味に・・・

はも雑炊 お漬け物 麹漬け
雑炊の前に、失われたアークを思い出すような、重厚な四角い聖櫃が来ました。
そこの中には、麹で漬けた漬け物が入り、蓋は裏返し中にはも雑炊で使う薬味が入れられます。
はも雑炊は少ないかしら?と思ったのですが、奥深かったので意外と有り
途中から主人に手伝ってもらいました。
聖櫃の中の麹漬け、特別なお味でした。

みかんのパンナコッタ 
透明な蜂蜜の泡の上には、エディブルフラワーで飾られた美しい一品
そこへ液体がかけられ、モクモクイリュージョンが始まります
フワフワの雲海の中にスプーンを入れ、みかんのパンナコッタをすくい、
蜂蜜の泡と一緒に頂きます。
名残惜しい終盤の旋律の様なお味でした。

わらび餅
美味しいきな粉の下にはクリスタルに輝くエアリーなわらび餅が・・・

フルーツ
瑞々しい苔の森の中に、妖精のようなフルーツが隠れていました。
物語の終わりを甘い妖精達が告げます。

最後のお茶は、双葉葵の器でほうじ茶が出されました。
最初の一献も双葉葵で始まり、最後のお茶も双葉葵で終わり
アンコールなしの美食オーケストラの終わりです。

京都と言う立地をこよなく愛した男(亭主 谷河吉巳氏)の懐石料理
全てを知り尽くし、ワールドワイドな感性で表現された
心温まる滞在でした。

お弟子さんがカウンターにて配膳をされたのですが、研修先に海外に行かれたり
恵まれた環境に驚く話ばかりでした。
この日は、イタリア人の方がこちらへ短い修行にも見え、
亭主の懐の深さも知りました。

帰る時に、厨房からわざわざ店主の方がご挨拶にいらして、
浜松から来た件を開口一番にお話下さり・・・破顔一笑
厨房の声も聞こえていましたが、同様にこちらの話も筒抜けでした。

帰りにこちらで呼んで下さったタクシードライバーも、とても礼儀の有る方で
宿泊先に着くまで、素敵な余韻も楽しめ、
地元の方にまで愛されているお店だと知りました。

右も左も解らない、味音痴な我々に、心温まるご対応で
素敵な、思い出深い京都の夜を感謝申し上げます。

出来ることならば、又伺いたいです。

酷暑の続く毎日です、どうかご自愛の程・・・


  • 甘酒のシャーベット  伏見のばら

  • 茅の輪くぐりの一品と双葉葵の一献

  • トウモロコシの丹波の豆乳

  • 椀の蓋には茶筅でさっと露を打ち

  • 椀  鴨しんじょう

  • お造り

  • そい 剣先イカ 根室の雲丹

  • 大トロと めかぶ

  • めかぶ

  • 紀州の鮎の握りと海老豆

  • 海老豆

  • 揚げた鮎の骨

  • 大トロカマ握り

  • 足つきの膳

  • 小芋と村沢牛のあんかけ

  • 明石の鯛の石焼き

  • サラダ

  • はも雑炊 奥がお漬け物の器

  • 聖櫃に入った麹漬け

  • みかんのパンナコッタ

  • みかんのパンナコッタ イリュージョン中

  • わらび餅

  • 妖精達の苔森

  • スパークリングワイン

  • サンタニオル 500ml(炭酸水)

  • 双葉葵で終わります

  • カウンター席

  • 店内

  • 入り口手前には小宇宙のお庭

  •  近所の、世界遺産の下鴨神社

2018/07/19 更新

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