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昼の点数:3.8
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喫茶の洞窟へ――バナナの静寂に沈む。
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2026/02/12 更新
カレーとの真剣勝負を終え、腹にどっしりとした充実を抱えたまま神保町の交差点へ戻る。挽肉カレーの余韻がまだ舌に残り、カツとシューマイの存在感が胃の奥で静かに主張している。勝負のあとの余熱を冷ますには、この街そのものがちょうどいい。
古書店の軒先に並ぶ背表紙。少し色褪せた帯。紙とインクが混ざった乾いた匂い。ここには、幾人もの文豪が原稿の締切に追われ、幾人もの編集者が赤字を入れ、議論し、時に夢を語った時間が沈殿している。三島も、池波も、名もなき書き手も、この通りを歩いたのだろう。そんな記憶の層に、そっと敬意を払いながら、足は自然とさぼうるへ向かう。
重たい扉を押し開けると、薄暗い店内に赤いビロードの椅子。洞窟のような落ち着き。ここでは時間が直線ではなく、円を描いている。学生たちのざわめきの奥に、かつての編集会議の残響が聞こえる気がする。煙草の煙が漂っていた時代の名残さえ、壁に溶け込んでいる。
頼むのはバナナジュース。
グラスに満ちた淡い黄色は、驚くほど濃い。とろりとした甘みが口内をやさしく包み、まんてんの濃密なカレーの余韻を穏やかにほどいていく。冷たさが思考を整え、満腹の身体を静かに現実へ戻す。派手ではないが、確かな救いだ。
外へ目をやれば、書店を巡る若者たち。新しい才能が芽吹く街でありながら、過去の巨人たちの足音も確かに響いている。神保町は、言葉と記憶の交差点だ。
まんてんで満ち、さぼうるで緩む。
食と文学が自然に隣り合うこの街で、私は今日も静かに敬意を抱く。