2回
2025/01 訪問
水の底力再び
2025/04/14 更新
2015/12 訪問
水の底力
今回の北陸旅行で一番高得点を付けたのがこちら。
加賀で懐石と言えば「つる幸」があまりにも有名だが、写真や他レビューなどを見ていると、どうも値段と満足度が強く相関しそうであまり興味がわかない。高くて美味いは当たり前だからなー。
それならばつる幸の料理長まで務めたこちらの店主が作る料理をお手頃値段で楽しもうじゃないか。
事前に10000円コースを予約して訪店。
昼夜2組ずつしか予約がとれないが、この日の客は我々だけだったようだ。
古民家を改装したという店内はとても趣きがある。
加賀独特の漆天井と朱色の壁をしつらえた、紅殻の間という部屋に通される。
本日のコース内容は以下。
八寸(自家製からすみ、梅貝の煮付け、胡麻入り玉子焼きなど)
すっぽんのしんじょう
お造り(ヒラメ、中トロ、イカ、甘エビ)
粟の蒸し物
香箱蟹
小鯛とふくらぎの焼き魚
湯豆腐
手打ち蕎麦
ズワイガニの雑炊
スィーティー寒天
落雁と抹茶
いきなり店主の息子さん自家製のからすみの旨さにノックアウト。こんな美味いからすみは食べたことがない。
すっぽんのしんじょうや栗の蒸し物も出汁の旨さが染み渡り非常に美味しい。
しかし1番驚いたのはコース後半に出てきた湯豆腐と蕎麦。
10000円のコースで豆腐と蕎麦かー、などと思う方もいるかもしれないが、むしろこれがコースの要だった。
昆布出汁が染み込んだ大豆の甘みが強い豆腐を、鰹節を贅沢に使ったタレに付けて食べるともう至福の時。
京都の豆腐専門店でもこれほどの湯豆腐は食べたことがない。
我々は前日に金沢の蕎麦屋で最も評価の高い「更科藤井」でも食べているが、こちらの店主の手打ち蕎麦はそこをはるかに凌駕している。
驚いて女将さんにいろいろ聞いたが「水のおかげです」とのお言葉。
近くの山から湧き水を汲んで料理に使っているらしいが。。
うーむ、店主も息子さんも茶道の師範というだけあって、水に対する嗅覚が凡人とは違うのだろう。
最後は抹茶までいただいて非常に満足。
こんな店が口コミ5件程度で埋もれているとは、加賀の料亭は底知れませんね。
2016/02/07 更新
個人的には石川県に来たら最も再訪したかった店。
先代はもう引退して息子さんが後を継いでいるそうだがその腕やいかに...?
本日の20000円のコース内容は以下
ふろふきカブ
白子真薯の椀
八寸(大根寿し、黒豆、カラスミ、数の子など)
加能ガニの酒蒸し
お造り(サワラ、アオリイカ、ガス海老、ブリ、キジハタ)
蓮根と粟の蒸し物
白甘鯛の唐蒸し
手打ちざる蕎麦
ブリの漬け丼
三宝柑の寒天
笹雪と抹茶
いやー、素晴らしい。
もちろん一度の食事で比べられるものでもないですが、もう先代を超えていると言っても良いのではないでしょうか!(なんちゃって)
日本料理での蟹は基本焼くか茹でるかしか無いと思っていたが、加能ガニの酒蒸しは蟹の香りと甘みが引き出されて超絶品。
ちなみにこの日は隣の部屋で結婚前の両家顔合わせをしていたらしく、お祝い料理として出される希少な白甘鯛の唐蒸しを我々もいただくことが出来た(おめでとうございます)。白甘鯛1匹が大皿に載った様は見た目も味もごちそうである。
そして先代と同様、二代目の手打ち蕎麦もその辺の蕎麦屋をはるかに凌駕した一品。やはり白山の水はすごい。ざる蕎麦を1枚食べた後に、「蕎麦のおかわりしますか?ブリの漬け丼もできますよ」などと言われた日には、「両方ください」としか答えようがないのである。
金沢で大金払わなくてもちょっと足を伸ばして白山まで来れば、本物の北陸の旬を味わえますよ。