3回
2017/11 訪問
天下無双! 唯一無二の羊しゃぶしゃぶ
ここは人に教えたくないというのが本音。
年間かなりの数の飲食店にいくが二度行くのは稀、通うのは100軒に1軒だろう。
その1軒の中でも特に通い続けようと決めている店は少ないがここはそういうお店である。
存在を知ったのは今は懐かしい山本益博氏の「ダイブル」に掲載されていたのが記憶のはじめ、
天麩羅のみかわ、コートドールなどと並んで記憶に残っているお店である。
まさに唯一無二の国宝のような店。
料理はシンプル、日本では馴染みの薄い羊のしゃぶしゃぶである。
巨大な煙突鍋を真っ赤な卓上に置き、円卓に所狭しと並べられた薬味と酢醤油で
自分に合った醤を作り上げて食べる。これがめっぽう美味いのだ。
薬味は、大蒜、生姜、ごま油、紹興酒、腐乳、ニラ、葱、、パクチー、豆板醤、
蜂蜜漬けされた大蒜、と賑やかだ。酢醤油をベースにタレを作り上げてゆくのが楽しい。
羊肉はラム肉であるが、柔らかく癖がないのでいくらでも食べられる。
ぐらぐら煮立つ鍋の湯にさっと薄くスライスされた肉をくぐらせてタレに漬けて食べる。
美味過ぎる(涙)。
タレは初めはあっさりと次第にごま油、紹興酒、腐乳、豆板醤などを加えて濃厚に仕上げてゆく。
肉が終わると次は野菜、野菜の次は餃子が加わり、最後はラーメンが鍋に投入。
店長夫婦が高齢のためか18時半がラストオーダーになっており(飲み物は別)、
もたもたしていると店主夫人に急かされるが愛情が感じられるので気にはならない。
この日はスペシャルコースを頼んでおいたので
前菜3品とスッポンの姿煮がついてきた。
このすっぽんの姿煮が凄い迫力。巨大な白い皿に内臓と血抜きをして醤油ベースで甘辛く煮込まれた
すっぽん丸ごとが乗っかって運ばれてくる。固いすっぽんを甲羅ごとほろほろと崩し、
店主が取り分けてくれる演出も見事!甲羅をしがむと上質のぷるぷるのデラチンがとれる。
これに続いてデザートが二品。
一品目は杏仁豆腐、金木犀の花を浮かべたシンプルな杏仁豆腐。胃に優しく体にいい味だ。
二品目がメインデザート。ここにしかない『三不粘』。
「歯につかない、皿につかない、箸につかない」。
でもそれ自体は粘りついている不思議なもの。それが幻のデザートといわれる所以である。
水あめと油、卵、小麦粉で作られたこのデザートを作れる人は日本ではここだけ、
中国でも数人しかいないとか(真偽はしらないが)。中国と比べて、ここは甘すぎないように水あめの量を調整している。スライムのようなデザートで食感は極めて柔らかくもちもちしている。
素晴らしい料理のオンパレードだが、こちらをさらに素晴らしくしてくれるのが店主の口上。
軽妙な語り口はいつも客を楽しませてくれるまさにエンターテイメントの世界である。
こんな店はどこにいってもない。そう思わせる名店。
2018/09/06 更新
年末最後の龍水楼詣。
こちらの鍋も食べ納めか。
いつもと変わらず完璧に旨いです。
すっぽんは他のメンバーの分が回ってきて食べ過ぎた。