犬魚さんが投稿したナベノ-イズム(東京/浅草)の口コミ詳細

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犬魚の「落ち着ける料理店を探して」

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ナベノ-イズム浅草(東武・都営・メトロ)、田原町、蔵前/フレンチ

1

  • 夜の点数:4.0

      • 料理・味 4.0
      • |サービス 4.0
      • |雰囲気 4.0
      • |CP 4.0
      • |酒・ドリンク 4.0
1回目

2017/07 訪問

  • 夜の点数:4.0

    • [ 料理・味4.0
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気4.0
    • | CP4.0
    • | 酒・ドリンク4.0

日本文化フレンチを堪能する

妙にサラッとした、線の細い、日本料理のようなフレンチは苦手なんだけど、これはアリだなと思ったのでした。

日本人好みの和風フレンチではなく、日本の文化や伝統とがっぷり四つに組んで新しいフランス料理に取り組んでいるのが素晴らしい。

料理ごとのコンセプト、食材、調理方法は、お店のホームページに詳しく掲載されているのですが、詳しい分、専門用語が多くて難しいです。

シェフの料理と味の奥深さ、技術と味覚の凄みをシロートなりに読み解きながら紹介します。

L’Amuse-bouche et Gaspacho de saison
ひとくちのお楽しみ、先付けのアミューズブーシュは、セゾン=季節のガスパチョを中心に、まわりにグリーンオリーブ、モナカのカナッペ、雷おこしの3種を配したヒトサラ。

ガスパチョ(冷製野菜ポタージュ)は、有名なカクテルのピニャコラーダをインスパイアしたもの。

Piña Coladaは、スペイン語で「裏漉(うらご)ししたパイナップル」という意味で、ココナッツミルクと砕いた氷でつくるラムベースのカクテルです。

ガスパチョは、その定義に忠実に塩、オリーブオイル、酸味、固くなったパンで構成していて、完熟パイナップル、完熟マンゴー、セロリ、固くなったバケット、カソナードcassonade (赤砂糖:粗糖)、ミントの葉を使用。

ホワイトラムの香りとともに、ココナッツウォーターのエキューム(泡)が乗っています。

グリーンオリーブはタイプの異なる2種のマリネで、「オリーブのロールス・ロイス」とも呼ばれているフランス産の三日月型をしたリュックは、素材感を重視してオリーブ本来の味を生かした仕上げに。

一方、イタリアで一番高価なオリーブといわれる、大粒で肉厚なシチリア原産種のラ・ロッカは、恩師のジェラール・アントナン氏を献名したアントナン風に。
<ラ・ロッカはブランド名で、種名はノチェラーラ・デル・ベリーチェか、カステル・ベデラーノでしょうか>

モロッコのストリートをイメージして、オレンジコンフィ、サフラン、クミンシード、コリアンダーシード、生オレンジ皮、ミント、コリアンダーと香り高いマリネになっています。

浅草の老舗とのコラボレーションスナックは、まず駒形にある最中種(もなかだね)専門店「種亀」(たねかめ)とコラボしたカナッペ。

最中種とはモナカの皮のことで、その上にクリームチーズ、ラベンダー、塩昆布、アーモンド、丹波黒豆をあしらっています。

もう一つのスナックは、「大心堂雷おこし」とフランスの出会いをテーマに、雷おこしの名品「古代」の上に、フランスのシャラン=ポワトゥ地域のA.O.P.認定無塩発酵バター、スペイン産のアンチョビ、青唐辛子の酢漬けが乗っています。
<A.O.P. アー・オー・ペーとはAppéllation d’Origine Protégéeの略称で欧州の「原産地保護呼称」のこと>

La Farine de sarrasin 
ラ・ファリーヌ・ド・サラザン=サラセンの粉=そば粉のことですね。
<フランスにはサラセンの国から十字軍によってソバがもたらされたという説から>

両国の「江戸蕎麦ほそ川」の朝挽き蕎麦粉をソースエミュルッショネの技法で炊き上げた「そばがき」との説明ですので、emulsionエミュルッション=乳化ですから、「乳化した」ということでしょうか。

江戸ソバリエの資格をもつシェフならではの発想ですが、そのコンセプトはロシアのそば粉のパンケーキ「ブリニblini」にインスパイアされ、ヨーロッパ本来の食べ方を目指したもの。

だから、天然利尻昆布を昆布蔵で2年寝かし、昆布臭や磯臭さを取り除いて、うま味を増した奥井海生堂の『蔵囲(くらがこい)昆布』のジュレとともに、乳色のそばがきの上でフランスはアキテーヌ産キャビアが豪華に黒光りしているのも納得です。
<コクのあるシベリアチョウザメ(バエリ)でしょうか>

キャビアの上のおろしたて天城ワサビと芽ネギ、レンゲの上のウォッカクリームの組み合わせで味わいます。

Les Légumes Traditionnels Japonais et Les Produits Emblématiques de la Cuisine Française
日本の伝統野菜とフランスの伝統食材の融合をテーマに、岐阜の清流からの鮎を米粉焼きとパテに、サラダ菜とキュウリのプレッセ(圧力整形した料理)仕立てに。

リヨンのブショネでは必須の郷土料理「セルヴェル・ド・カニュ」、半白キュウリ、スイカのマリネを添えています。
<セルヴェル・ド・カニュは絹織り職人の脳みそという意味で、職人たちが好んで食べたことに由来し、脳みそは比喩で実際は、水切りしたフロマージュ・ブランにエシャロット、ハーブ、にんにくなどを混ぜ、ワインビネガーとオリーブ油で調理したもの>

「鮎を日本の夏のジビエととらえ、鮎の最高峰調理である炭火焼きに敬意を表しながらフランス料理の技法でどこまで近づけるかをテーマとした料理。鮎1匹を丸ごと食べる定義をパテで表現し、身をフィレにし片面のみを米粉焼きにすることで焼き魚の内側の質感をあらわしています。付け合せは鮎が胡瓜魚科ということで同じ香りをもつ西瓜と胡瓜を合わせ皿の中の一体感を出しました。そしてフロマージュブランを使用した「セルヴェル・ド・カニュ」とのコンビネゾンはフランスの定番の組み合わせです」(HPより)

フィレfilletは三枚おろしの上身のこと、フロマージュ・ブランはフランス語で「白いチーズ」を意味し、牛の生乳でつくったクセのないクリームです。

そういえば、鮎は10年ほど前までは、サケ目のアユ科とされていましたが、最新の遺伝子解析による分類ではキュウリウオ科Osmeridaeのアユ亜科に変わりましたね。

キュウリウオの身は、鮮度がよいとスイカやキュウリなどウリ科の植物の香りがするので有名です。

ギリシャ語で「ピリッとした香り」という科名の意味もしっくりきますし、天然の鮎はケイ藻やラン藻を食すこともあり、昔からスイカなどの香りがすると言われてきましたから、理にかなった生物分類と調理法といえます。

特にエストラゴンを頭にちょこんと乗せた、頭と内臓のパテが、今まで食べたことのないお味で、非常においしゅうございました。

食材は、鮎のほか、米粉、鮎魚醤、完熟スイカ、半白胡瓜、花丸胡瓜(花をつけた未熟なキュウリ)、胡瓜、サラダ菜、フロマージュ・ブラン、蓼オイル(ソースに使用)、ニンニク、芽ネギ、純米酒、コニャック、「やげん堀」特別調合スパイスです。

Le Calmar
カルマール、つまりイカですね。

アオリイカを柔らかく蒸し上げ、夏野菜、メルゲーズ(北アフリカ発祥のひき肉の羊腸詰め)、ひよこ豆とのアンサンブルです。

「厚みのあるアオリイカに細かく蛇腹包丁を入れてから軽く蒸しあげることにより、イカの甘みを最大限に引き出しております。日本におけるラーメン、カレーライスなどに見られる異文化の味を取り入れての定着料理、国民的料理がクスクスロワイヤルと考えております、私自身フランス時代に良く食し思い出の味となっております、夏のメニューに相応しく、スパイスを効かせ温かい料理をお腹に入れていただくことで医食同源のアプローチも考えております。フレッシュコリアンダーに酢橘と木の芽を仕上げに使用し、Nabeno-Ismらしさも加味しております。」(HPより)
<クスクスロワイヤルは、辛みの効いたメルゲーズでつくったクスクス料理です>

カレーとは逆にイカとクスクスをスープに加えて頂きました。

食材はアオリイカ、メルゲーズのほか、ミント、ラスエルハヌート(マグレブ[モロッコ・チュニジア・アルジェリア]料理のミックススパイス)、アルガンオイル(モロッコの黄金ともよばれるアルガンノキのタネからつくる油)、ひよこ豆、ズッキーニ緑・黄、マイクロトマト、ミニオクラ、モロッコインゲン、スダチ、木の芽、フレッシュコリアンダー、コリアンダーシード、クミンシード、トマト、玉葱、ブイヨンです。

Le Foie-gras
フォアグラ。

創業150年木村家本店「人形焼」の上にフォワグラV.C.C.焼きを乗せ、バッハコーヒー粗挽きで仕上げたもの。

キャラメリゼバナナ、ピスタチオ、針生姜と調和させ、ピスタチオオイルとパンデピススパイスを香らせ、エスプレッソとヴァニラのソースが添えられます。

V.C.C.はバリオ・クッキング・センター(高級多機能調理器)でしょうか。バッハは海外でもレジェンドと評される田口護氏によるもの? パンデピスPain d’Epicesはジンジャーブレッド(香辛料入りパン)の一種で、それ用のスパイスミックスですか?

Le Bar
バールは鱸のことで、山口県萩から直送した天然スズキ。

トマトマリネと共にしっとりと焼き上げ、長茄子と生姜のクーリソース、シチリア産オレガノのオイルとタプナード(黒オリーブやアンチョビなどのペースト)をあしらっています。

さて、メインは仔羊と牛フィレ(+2千円)の二択だったので、お連れ様とシェアして2種類とも頂きました。

L’Agneau
まず、アニョーは仔羊です。

「オーストラリア産仔羊のロニョナード。南仏の香りをまとわせバロティーヌ仕立て。ソッカベニエにしたフヌイユとアーモンド、白いんげん豆、枝豆のマリネ ミント風味 クーリロメスコのパンチュール。ソースに使用しているジュダニョーは仔羊のスネ肉のミンチと水、少量の野菜のみで抽出したピュアな仕上がりに焼き脂の芳ばしい風味を合わせました」(HPより)

う~ん、シロートには結構難しいです。

この場合のrognonnadeロニョナードはロニョン(腎臓)を包み込んで丸めた背肉?、バロティーヌは筒状に肉を巻いた詰め物を加熱すること。

ソッカベニエはなんでしょう? ニースのローカルフードにソッカsoc(c)aというひよこ豆の粉やその揚げ菓子、クレープがありますし、ベニエBeignetはいわゆる衣をつけて揚げる、フリッターでしょうか。フヌイユ、つまりフェンネル(ういきょう)のフリット?

クーリロメスコは、どうでしょう? クーリCoulisならラテン語に由来する「漉す」で液状の「ピュレ」や「濃厚なソース」も意味しますし、ロメスコromescoはトマトやナッツなどでつくるカタルーニャの伝統的なソース? パンチュールpeintureは絵画という意味ですから、ソースを絵の具みたいに白い皿に塗るということでしょうか?

ジュダニョーは、説明の通り仔羊のダシです。

Le Filet de Bœuf
牛肉のフィレ。

「国産牛フィレ肉をV.C.C.調理から備長炭でグリエ、東京柚子胡椒と生姜をぬり、トウモロコシの様々な表現、テクスチャー、テイストと共に極上バーボンウイスキーと焦がしトウモロコシのコンソメアンフージョンを注いで。※丁寧に抽出した牛スネのコンソメに“焦がしトウモロコシ”のティーパックと極上バーボンウィスキーで味と香りをさらに倍増させ、備長炭で燻した肉に全て東京産の材料で作った柚子胡椒と生姜をひと塗りし、味に深みと食べやすさを演出してます。」(HPより)

これはだいたいわかりますね。アンフージョンは、煎じる、染み出させるという意味で、浸して成分を絞り出すこと。

食材は、国産牛フィレ肉、東京柚子胡椒ペースト、筍、トウモロコシ、花山椒、マルトセック(タピオカの粉)、牛スネコンソメ、バーボンウィスキー、亀種最中、トウモロコシニョッキです。

最後にデザートを2種頂き、コーヒーと小菓子で打ち止め(デザートの用語も結構難しいです)。
<リモンチェッロ=レモンのリキュール、ぺーシュメルバPêches Melba=桃のコンポート(シロップ煮)にバニラアイスを乗せたもの、シャルトリューズ=薬草系でリキュールの女王、ビスキュイランス=シャンパーニュのピンクの伝統菓子、シュクル・ぺティアン=パチパチ跳ねる飴>

さてさて、時間とともに移り変わる川面の風景が窓いっぱいに広がり、素晴らしい料理とサービス、三拍子そろったフランス料理店でございました。

  • L’Amuse-bouche et Gaspacho de saison

  • 季節のガスパチョ

  • 雷おこしの名品「古代」の上に、シャラン=ポワトゥ・バター、スペイン産のアンチョビ、青唐辛子の酢漬け

  • モナカの皮の上にクリームチーズ、ラベンダー、塩昆布、アーモンド、丹波黒豆

  • 三日月型がフランスのリュック、丸い大粒がシチリアのラ・ロッカというオリーブ

  • L’Amuse-bouche et Gaspacho de saison

  • 乳化した「そばがき」の上にアキテーヌ産キャビア

  • La Farine de sarrasin

  • 岐阜の清流からの鮎を米粉焼きとパテに、サラダ菜とキュウリのプレッセ(圧力整形した料理)仕立て

  • Les Légumes Traditionnels Japonais et Les Produits Emblématiques de la Cuisine Française

  • アオリイカを柔らかく蒸し上げ、夏野菜、メルゲーズ(北アフリカ発祥のひき肉の羊腸詰め)、ひよこ豆とのアンサンブル

  • アオリイカを柔らかく蒸し上げ、夏野菜、メルゲーズ(北アフリカ発祥のひき肉の羊腸詰め)、ひよこ豆とのアンサンブル

  • アオリイカを柔らかく蒸し上げ、夏野菜、メルゲーズ(北アフリカ発祥のひき肉の羊腸詰め)、ひよこ豆とのアンサンブル

  • Le Foie-gras

  • 「人形焼」の上にフォワグラV.C.C.焼きを乗せ、バッハコーヒー粗挽きで仕上げ

  • Le Bar

  • 鱸とトマトマリネ

  • スズキとトマトマリネ

  • Le Filet de Bœuf

  • 国産牛フィレ肉をV.C.C.調理から備長炭でグリエ

  • オーストラリア産仔羊のロニョナード(背肉の腎臓包み)

  • L’Agneau

  • 1er Dessert La Nefle

  • 2me Dessert Le Peche Melba

  • オーギュスト・エスコフィエ創作【ぺーシュメルバ】@KOMAGATA Vergion2017

  • 完熟桃コンポート/桃のジュレシート/シャルトリューズのソルべ/クレームブリュレソースヴァニラ風味/ソースフランボワーズ/ フランボワーズフレッシュ/ビスキュイランス/ミント/シュクルぺティアン

  • Café et Mignardises

  • Café et Mignardises

  • 1階の調理場

  • 1階の調理場

2017/09/02 更新

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