葡萄党幹事長さんのマイ★ベストレストラン 2012

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葡萄党活動レポート

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葡萄党幹事長 (60代後半・男性・東京都) 認証済

マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

コメント

フレンチとワインの世界から、今年は日本料理と日本酒の世界へとマイベストレストランの対象範囲を広げた。パン、バターを食べずに、ソースを味見程度にして食する健康的なフレンチの楽しみに加え、主治医の許可を得て塩分、脂分控え目な日本料理に限り、再び戻ることのできた喜びは一入。今年行った全ての日本料理をマイベストレストランと呼びたいが、今回は一番印象深いベスト4を挙げた。神楽坂ブームを牽引するいしかわグループの2店は申し分なしの満足感。伝統にこだわる「いしかわ」の大将の心意気と、「虎白」の素材を活かす斬新な発想は特筆に値する。「くろぎ」の大将も、日本料理にエンターテイメント性を持ち込んだと意味で、「傳」の大将と並ぶ功労者。日本料理に日本酒を合わせながら、料理を造る楽しさを肌で感じて食することのできる幸福は比類のないもの。しかしワインにはやはりフレンチ。今年のエポックメイキングは「エクアトゥール」の移転開業。南麻布の隠れ家ペントハウスから、元麻布の大使館街に寛ぎの場を移し、相変わらずのホスピタリティを提供し続ける。「ロブション」は今年も日本最高峰のグランメゾン。パリを拠点にする日本人シェフのマスコミでの活躍を見るまでもなく、ロブションの天下に揺るぎはない。これにややグランメゾンに近い「タテルヨシノ」と、ややプチメゾンに近い「カンテサンス」、両方の良さをバランス良く保持する「レフェルヴェソンス」。このトリオがマイベストレストランから外れることは当分考えられない。フレンチと日本料理以外では、地元の食材にこだわり、地元の食文化の醸成に心を砕くレストランを挙げたい。今年もナンバーワンは「アルベロ」。今や地元のレストランのどこもがフレンチでもイタリアンでもないアルベロを目指す。今年も美味しいフレンチとワイン、感動的な日本料理と日本酒という、生きる望みと成り得る経験を日々積むことができた。あと何年生きることができるか分からないが、生きている限り、最大の生きる喜び、食べること、飲むことを心の底から楽しみたい。そしてこの幸福な瞬間瞬間を共有してくれる家族と友人。この愛する人達の全てに、100%の感謝の気持ちを伝えたい。今年も1年、ありがとう。

マイ★ベストレストラン

1位

エクアトゥール (麻布十番、六本木、広尾 / イノベーティブ、フレンチ)

5回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥100,000~ ¥15,000~¥19,999

2020/09訪問 2020/09/28

天国に1番近いレストラン

南麻布に開業して11年目、元麻布に移転してからでも既に8年が経過する日本に合った日本らしいモダンフレンチ。フランス修行時代には星付きレストランからの誘いをことごとく断り、パリの地元レストランに頼まれて、あくまでもシェフであることにこだわり続けた孤高のシェフ。そんなシェフの食材への愛と、食材を丁寧に扱う和の心を感じるこの店の料理は、まさに天国に1番近いレストランの料理と言えるかもしれない。
今回のヴィアンドはラカン産のピジョンラミエ。窒息森鳩の胸、腿、首の真っ赤な色が印象的。ジビエでありながら臭みのない旨みの固まりような鳩には、この店が開業した10年前の衝撃的なシェフの日本デビューの面影を感じる。鳩の骨、肉のジュと赤ワインのソースも鳩の旨みを見事に引き立てている。伝統的なフレンチから始まり、モダン、イノベーティブ、中華、日本料理を取り入れて来たシェフの11年目の集大成は、それらの実績の全てを注ぎ込んで行き着いたモダンやイノベーティブを超えた新クラシックフレンチ。

アミューズはリドヴォ。これも開業時のスペシャリテ。フカヒレの餡かけが新しい。クラシックとイノベーティブのバランスが絶妙な味わい。美味しいところの良いとこ取りとなっている。房総千倉産の黒アワビが飛び抜けて柔らかい。アワビの旨みと椎茸の旨みの競演。牛蒡のポタージュには穴子のフリットが浮いている。これこそまさにこの10年の集大成と言える組合せ。牛蒡と穴子は相性抜群。豚足のクロケットも食感が良く素晴らしく美味しい。

開業直後のスペシャリテはウニと甲殻類のムースのカクテル仕立て。10年振りの復活が嬉しい。以前のクラシックな味わいが、回り回って全く新しい味わいに進化している。美味しさもかつての倍返し。ポアソンはカマス。豚トロとの組合せが絶妙な食感と味わい。豚の旨みで食べるあっさりした白身魚の美味しさは得も言えない。西京味噌を使うところが面白い。単なるフレンチのクラシックやモダンを超えた新しい日本フレンチの完成形。

シャンパーニュはアンリオのミレジメ。完成されたシェフの料理の露払いとしては十分に繊細な泡立ち。クラシックな造りが瓶内熟成により複雑さを増している。黒アワビや穴子、カマスにはジャンクロードラモネ、シャサーニュの人気畑、モルジョを開ける。この白ワインに合わない魚介はない。最高のピジョンラミエには最高のブルゴーニュ、ドメーヌドラロマネコンティ。今回はこの店が開業したバースデーヴィンテージ2009年のエシェゾー。天国に近付くどころか、天国まで来てしまった。

南麻布で開業して11年目にして、今や全国トップクラスの人気を誇る日本を代表するフレンチ。フランスで独自の経験を重ねたシェフが、中華や日本料理まで取り入れて完成させた完璧な日本フレンチという世界。何より食材や生産者を愛する気持が、シンプルに食材を引き立たせる料理になっているところが素晴らしい店。いつまでも若い美人オーナーマダムのコレクションとも言える、膨大なシャンパーニュとワインのストックも素晴らしい。天国に1番近いレストランは、既に天国そのものになっているように思えてならない。

お任せコース 28000円
アミューズ リドヴォ
 フカヒレの餡かけ
アミューズ 黒アワビと椎茸
 黒アワビの肝のジュレ
ポタージュ 牛蒡のスープ仕立て
 穴子のフリット
オードブル 豚肉と豚足のクロケット
 ラビゴットソース
オードブル ウニ 甲殻類のムース
 コンソメのジュレ
ポアソン カマスと豚トロ
 西京味噌のソース
ヴィアンド ラカン産ピジョンラミエ
 赤ワインのソース
パン 自家製米粉のプレーンパン
 バター
デセールに替わってフロマージュ
カフェ エスプレッソ

2008 BRUT CHAMPAGNE
 Millesime
 HENRIOT
 26900円/750mlボトル
2015 CHASSAGNE-MONTRACHET
 Premier Cru "Morgeot"
 Jean-Claude RAMONET
 32800円/750mlボトル
2009 ECHEZEAUX
 DOMAINE DE LA ROMANEE-CONTI
 時価/750mlボトル

別途消費税・サービス料10%



南麻布に開業して11年目、元麻布に移転してからでも既に8年が経過する日本に合った日本らしいモダンフレンチ。フランス修行時代には星付きレストランからの誘いをことごとく断り、パリの地元レストランに頼まれて、あくまでもシェフであることにこだわり続けた孤高のシェフ。そんなシェフの食材への愛と、食材を丁寧に扱う和の心を感じるこの店の料理は、まさに天国に1番近いレストランの料理と言えるかもしれない。

料理に寄り添うオーナーマダムのシャンパーニュとワインが素晴らしい。築地の鮪問屋のお嬢様として育ったマダムの感性が、この孤高の天才シェフを支えている。日本らしいフレンチの最先端と言えるシェフと、新たな食文化の担い手でもあるマダムによる全く新しいフレンチ。伝統的なフレンチ、モダンフレンチ、イタリアン、中華、懐石料理のエスプリを吸収し、誰も知らない領域を目指して進化してきたこの2年、いよいよこの店の天国への階段も、完成が近づきつつあるように思える。

今回のヴィアンドは北海道産の蝦夷鹿。冬の蝦夷鹿の旨みを活かす低温ローストが素晴らしい。申し分のない食材と火入れの組合せ。均一な柔らかさは、ナイフを落とすだけでしんなりと切れてしまう。シンプルにソースだけが添えられているのも、シェフの絶対的な自信の表れ。フォンドボーと鹿のジュ、赤ワインを主体とした複雑にも関わらずあっさりとした口当たりの、食材を一番とするソースも完璧な仕上がりとなっている。

アミューズから和洋中、クラシックとモダンの融合が完成に近づきつつあることを伺わせる。和を代表する旬の菊芋が滑らかなブルーテとなり、菊芋を含む野菜のオーケストラのような複雑な味わいが美味しい。オマール海老にはタラの燻製を合わせている。黒トリュフと燻製の香りのハーモニーが素晴らしい。フォアグラは軽いソテー。フカヒレと生ハムとの組合せも、フレンチ、イタリアン、中華を極めたからこその発見に基づく1つの回答と思われる。

ウニとハマグリ、フキの組合せも懐石料理のようでもあり、モダンフレンチのようでもある。ハマグリのジュは旨みが凝縮している。子持ちヤリイカはトマトのコンソメを使ったソースにぴったり。添えらた蕗味噌が和洋を一体的に味わうポイント。カサゴのフリットは薄い衣と揚げ方が絶妙。繊細な白身の味わいをそのまま活かしている。ポアソンは世界に誇る千倉の黒アワビ。ふわふわの柔らかさ。アワビの肝のソースに合わせる空豆のエスプーマも組合せの妙。

北海道産の蝦夷鹿に続いて仕上げの食事。コースの構成自体が、京懐石のコースと同じようになっていて驚く。食事はカンスイの配合率を指定したという特製麺。今回は冷たいパスタ。旬の真っ盛り、蛍烏賊と春キャベツが春の訪れをストレートに伝えている。デセールのフォンダンショラやアイスに替えて今回はデザートワイン。こともあろうに1996のシャトーデュケムを惜しみなく注ぐマダムの笑顔が、天使にも、女神にも、観音様にさえ見えてくる。

シャンパーニュはその美人マダムが、シャンパーニュオタクと言っても良いほどのコレクションを持っていて、いつ来ても楽しく味わえる。今回はヴィルマール。レコルタンマニュピランのクリュッグと呼ばれるフランスでの人気ナンバーワンシャンパーニュ。最新のミレジムは泡の勢いも繊細。シャサーニュは超有名3ドメーヌの飲み比べ。ニュイサンも2ドメーヌの対比。楽し過ぎるバリエーション。女神のようなマダムと2人で乾杯を繰り返し、2人ともかなり酔っ払ってしまった。

あらゆるジャンルの料理やあらゆる時代の潮流を吸収し、独自の解釈を加えて今までに全く無かった新しい世界を創り続ける孤高のシェフ。愛するオーナーソムリエでもある美人マダムのために、人生の全てを掛けたシェフの料理と、いつまでも若い魔女のようなマダムによるこの店の料理、ワイン、サービス、雰囲気は、まさに天国に1番近いレストラン。オープンから11年通い続けるこの店には、日本の食文化のこれからの希望が果てしなく詰まっているように思えてならない。

料理とワインのお任せコース
 40000円/人
アミューズ 菊芋のブルーテ
 ウナギの炭火焼き マデラ酒のソース
アミューズ オマール海老のフラン
 タラの燻製 黒トリュフ
フォアグラ フォアグラのソテー
 フカヒレ 生ハム
オードブル 大ハマグリ
 ハマグリのジュレ 北海道産ウニ フキ
オードブル 子持ちヤリイカ
 トマトとイカ墨のソース
 ホワイトアスパラ グリーンアスパラ
 蕗味噌 穂紫蘇
オードブル カサゴのフリット
 若筍 花山椒の葉と茎
 生姜の皮 木の芽
ポアソン 千倉産黒アワビのリゾット仕立て
 空豆のエスプーマ アワビの肝のソース
 柚子の香り
ヴィアンド 北海道産蝦夷鹿の低温火入れ
 フォンドボーと赤ワインのソース
自家製パン プレーン
 ミルクパン ミニバケット バター
特製麺 冷たいパスタ
 カンスイの配合率を指定した麺
 蛍烏賊 春キャベツ 芽葱
デセール フォンダンショコラに替えて
 デザートワイン
 1996 Chateau d'Yquem
カフェ エスプレッソダブル
プチフール 自家製カヌレ

2019 CHAMPAGNE BRUT
 GRAND RESERVE Vilmart & Cie
 120mlグラス
2011 CHASSAGNE-MONTRACHET
 1er cru LES VERGERS
 DOMAINE FONTAINE-GAGNARD
 120mlグラス
2010 CHASSAGNE-MONTRACHET
 1er cru LES CHENEVOTTES
 DOMAINE JEAN-MARC PILLOT
 120mlグラス
2012 CHASSAGNE-MONTRACHET
 1er cru LES VERGERS
 Domaine Marc Morey
 120mlグラス
2011 NUITTS-SAINT-GEORGES
 Premier Cru "Les Prulieers"
 DOMAINE LECHENEAUT
 120mlグラス
1999 NUITTS-SAINT-GEORGES
 Domaine ANTNNIN RODET
 120mlグラス
1996 Chateau d'Yquem
 60mlグラス

南麻布に開業して10年目、元麻布に移転してからでも7年となる今や知らない人のいない、日本に合った日本らしいモダンフレンチ。開業直後の無名時代から通って10年目となる。パリで星付きレストランからの誘いをことごとく断り、現地のマダムに頼まれてあくまでもシェフであることにこだわり続けた孤高のシェフ。そんなシェフの食材への愛と、食材を丁寧に扱う日本の心を感じるこの店の料理は、まさに天国に一番近いレストランの料理と言えるかもしれない。

料理に寄り添うオーナーマダムのシャンパーニュとワインたちが素晴らしい。築地の鮪問屋のお嬢様として育ったソムリエでもあるマダムの感性が、シェフの日本フレンチを支えている。日本らしいフレンチの最高峰と言えるシェフと、新たな食文化の担い手であるマダムによる全く新しいフレンチがこの店では完成されている。にもかかわらずシェフの料理は、本場フレンチ、日本フレンチ、イタリアン、中華、和食のエスプリを吸収し、今もまだ誰も知らない領域を目指して進化し続けている。

今回のヴィアンドはルーアン鴨。食材そのものの鴨とは思えぬ凝縮された旨みと、低温調理による万遍のない柔らかさ。申し分のない食材と火入れの組合せ。シンプルにソースだけが添えられているのも、シェフの絶対的な自信の表れ。フォンドボーと鴨のジュ、赤ワインを主体とした複雑にも関わらずあっさりとした口当たりの、食材を一番とするソースも完璧な仕上がりとなっている。

アミューズは京懐石のようなスタート。トラフグの白子を葛で寄せて毛蟹の餡かけにしている。美味しさも桁違いだが、今日のコースの構成を予測できなくされた驚きが衝撃的。続くアミューズも京懐石。佐島の真蛸のふわふわな茹で加減。山葵の葉の心地良い辛さと旬の海老芋も文句無しに美味しい。ようやくフレンチらしいオマール。合わせるのは新筍とアワビ。フランスと日本の旬の競演。アメリケーヌソースとオランデースソースのダブルソースが絶妙なコンビネーション。

フォアグラに合わせる酸味の利いた赤ワインソースも上品。ふんだんに使われた黒トリュフの香りは器の蓋を閉めたままでも香ばしく上がってくる。オードブルは大ハマグリと蕗、ウニ、紫蘇の穂。再び京懐石との融合。スッポンのつくねも和の真骨頂。スッポンの背骨から取るソースと卵黄も完成された和の世界。ポアソンは皮だけカリッと仕上げられた松毬焼きを思わせるグジ、アマダイのポアレ。白味噌と白ワインのソースのバランスは、あたかも今回のコースのテーマを見るよう。

フランス産のルーアン鴨に続いて仕上げの食事。コースの構成自体が、京懐石のコースと同じようになっていて驚く。食事はカンスイの配合率を指定したという特製麺。豚肉のミンチ、ラー油、パクチーの組合せは坦々麺に近い印象。しかし白子のソースが濃厚で、今までに経験したことの無い麺となっている。デセールのフォンダンショラとマンゴーのアイス、プチフールの自家製カヌレがフレンチであることを思い出させてくれる。

シャンパーニュはオーナーソムリエのマダムが、シャンパーニュオタクと言っても良いほどのコレクションを持っていて、いつ来ても楽しく味わえる。今回はベレッシュエフィス。伝統的な造りのシャンパーニュとしてはコストパフォーマンス抜群のレアキャラ。白子や真蛸にぴったり。オマール、筍、フォアグラにはシャサーニュ。ハマグリとスッポンにグロフィエのパストゥーグラン。そしてグジにマルクモレ、ルーアン鴨にドニモルテのジュヴレ。仕上げに89のジャンマルクボワイヨ。素晴らし過ぎて笑いが止まらない。

あらゆるジャンルの料理やあらゆる時代の潮流を理解し、独自の解釈を加えて今までに全く無かった新しい食の世界を探求し続ける孤高のシェフ。愛するオーナーソムリエのマダムのために人生を掛けたシェフの料理と、いつまでも若く美しい魔女のようなマダムによるこの店の料理、ワイン、サービス、雰囲気は、まさに今の日本で一番天国に近い店。それでもなお、進化を続けるこの店には、日本の食文化のこれからの希望が果てしなく詰まっているように思えてならない。

料理とワインのお任せコース
 40000円/1人
アミューズ 虎河豚白子の葛寄せ
 毛蟹 葛餡掛け
アミューズ 佐島の真蛸
 山葵葉 海老芋
アミューズ オマール海老
 アワビ 新筍
 アメリケーヌソースとオランデーズソース
 キャビア
フォアグラ フォアグラのフラン
 赤ワインのソース 黒トリュフ
オードブル 大ハマグリと蕗
 ウニ乗せ ハマグリのジュレ 穂紫蘇
オードブル スッポンのつくね
 スッポン背骨のソース 卵黄
ポアソン グジのポアレ
 牛蒡と独活 菜の花
 白味噌と白ワインのソース
ヴィアンド フランス産ルーアン鴨の低温火入れ
 フォンドボーと赤ワインのソース
自家製パン プレーン ミルク ミニバケット
 バター
特製麺 カンスイの配合率を指定した麺
 豚肉のミンチ 白子と辣油のソース
 パクチー
デセール フォンダンショコラ
 マンゴーのアイスクリーム
カフェ エスプレッソダブル
プチフール 自家製カヌレ

NM CHAMPAGNE BRUT RESERVE
 Bereche & Fils
 120mlグラス
2010 CHASSAGNE-MONTRACHET
 1er cru LA GRANDE MONTAGNE
 DOMAINE FONTAINE-GAGNARD
 90mlグラス
2009 BOURGOGNE PASSETOUTGRAN
 Domaine Robert GROFFIER Pere & Fils
 90mlグラス
2012 CHASSAGNE-MONTRACHET
 1er cru LES VERGERS
 Domaine Marc Morey
 90mlグラス
2011 Gevrey-Chambertin
 DOMAINE DENIS MORTET
 90mlグラス
1989 Pommard LA POMMARDIERD
 Domaine Jean-marc BOILLOT
 90mlグラス

初めてこの店を訪れてから7年目となる。南麻布からこの元麻布に移転した初日も、夏限定イタリアンを始めた初日も、いつもこの店に来ることができたのは幸運だったのかもしれない。7年前、南麻布のデザイナーズマンション最上階2層を使った1日1組限定のプライベートレストランとの出会いは衝撃的だった。全く無名でほとんど知られていなかったレストラン。しかしそれは日本に合った日本らしいフレンチ、今までずっと求めていた夢のようなフレンチとの始めての出会いだった。

パリで星付きレストランからの誘いをことごとく断り続け、現地のマダムに頼まれてあくまでもシェフであることにこだわり続けた、まさに孤高のシェフ。その料理は日本の心をパリに伝える現代の伝道師だったのかもしれない。そんなシェフのこだわりは日本的な素材への愛と、素材を丁寧に扱う日本料理の心。どの皿にもシェフの思いを感じることができるこの店の料理は、まさに天国に一番近いレストランの料理と言えるかもしれない。

その料理を支えるマダムのシャンパーニュとワインたち。築地の鮪問屋のお嬢様として育ったマダムの感性は、シェフの日本的フレンチの心の支えともなっている。日本における日本フレンチの旗手として最高峰のシェフと、日本における新たな食文化の作り手であるマダムによる全く新しいフレンチがこの店において今まさに完成されつつある。この店が日本の食文化のイノベーター、インキュベーターたらん食通たちのメッカとなっているのも当然の結果かもしれない。

今回も鳩が素晴らしく美味しかった。真っ赤な肉の色が、その素材の持つ秘められたパフォーマンスを醸し出しているラカン産のピジョンラミエ。濃厚なジビエらしい味わいを、均一で丁寧な火入れで柔らかく慈愛に満ちた仕上がりにしている。とにかくシンプルな肉の塊が、ラカンピジョンの良さを余すところなく引き出す。鳩の内臓を使ったソースも軽いスモークが完璧に効いていて、全く内臓の嫌な部分が消え去り、肉を盛り立てている。全てがバランス良くまとまり、この皿の向こうには美しさを超えて後光が差していた。

ピジョンラミエまでの8皿のアミューズ、オードブルも、どれも美しく美味しい。タラバとウニはカニ味噌がポイントとなり、黒アワビも肝との取り合わせが絶妙。イイダコとキャビアにダブルコンソメも文句の付けようがない。魚は金目にタイラ貝。まさに日本料理の世界。そして和牛とトリュフ、フカヒレとフォアグラ、虎河豚の白子にオマール海老と続く。しかしその全てがシンプルなピジョンラミエの露払いだったことを知り愕然とすることになる。

合わせるワインも凄い。シャンパーニュマニアのマダムのコレクションから、まずはこの店オリジナルシャンパーニュ。次々に食に関する新事業を立ち上げるマダムだから出来る神業。続いてもシャンパーニュ。しかもドラピエのミレジメ。2008年らしい上品な泡立ちと味わい。熟成ブルゴーニュが続くと、マダムがフランスの友人から直輸入するフロマージュに合わせてオリヴィエルフレーヴのムルソープルミエクリュ。楽しくて仕方がなくなる。

場所は元麻布の閑静な住宅街。中国大使館やブラジル公使館が並ぶ一角。東京メトロ日比谷線、都営大江戸線の六本木駅から六本木ヒルズに入り、六本木通りの反対側にあるレジデンス棟の間を抜けて行くのが一番の近道。

フランス料理と日本料理を、今最も融合させることができる、料理以外にはマダムにしか興味のない職人のなかの日本一の職人シェフと、何一つ苦労なく育った美しい新進気鋭の実業家、かつシャンパーニュマニアのマダムの織り成す奇跡的な店。この店との運命のような7年間を神に感謝するとともに、あらためてこの店が天国に一番近い店と思わざるを得ない。

料理とワインのお任せコース 35000円
アミューズ タラバ蟹とウニのフラン
 タラバ蟹のカニ味噌とともに
前菜1 三陸産黒アワビ
 アワビの肝のソースと米のソース
前菜2 明石産イイダコとキャビア
 セリと生キクラゲ
 ダブルコンソメジュレ
 柚子のヴィネグレット
前菜3 伊豆産金目鯛のスモークミキュイ
 タラの白子ソース 自家製カラスミ
前菜4 徳島産筍とタイラ貝
 和牛の炙り 黒トリュフソース
前菜5 フカヒレとフォアグラ
 自家製干し椎茸のスープ
前菜6 直火焼きした虎河豚の白子
 ベアルネーズソース
 オマール海老のポシェ
 アメリケーヌソース
口直し ヴィシソワーズ
 ホタルイカのソース
 自家製カラスミの冷製パスタ
ヴィアンド ラカン産ピジョンラミエ
 鳩内臓のスモークソース
アヴァンデセール キルシュのアイス
 黒トリュフ 蜂蜜とポアブルジャバ
 薔薇のヨーグルト
グランデセール ブルードオーベルニュ
 洋梨 クルミとレーズンのプレッセ
 コンフィした2種類のッグレープフルーツ
 ハーブティーのソルベ
 カモミールの炭酸ジュレ
フロマージュ フランス産
 マダムの友人から直輸入した盛合せ
ミニャルディーズ
カフェ エスプレッソ

NM CHAMPAGNE Le Belle Bleue
 Restaurant l'equateur
 BLIARD-MORISET
2008 CHAMPAGNE BRUT
 DRAPPIER Grande Sendree
2011 Alsace Grand Cru
 Wineck Schlossberg
2014 Domaine Romaneaux-Desteyet
1995 BEAUNE
 DOMAINE MICHEL GAUNOUX
1990 POMMARD VIEILLES VIGNES
 COCHE-BOUILLOT
2000 Moursault 1er Cru
 LES PORUZOTS Olivier Leflaive

パリのレストランでシェフをつとめたあと帰国したこのシェフの料理は、素材の選択とそれらの組合せが素晴らしい。各皿のビジュアルの完成度も際立っている。元麻布の閑静な大使館街にひっそりと佇む高級マンションにあるレストランは、お洒落と寛ぎの究極コラボレーション。若き美人オーナーと、控え目で優しいイケメンシェフは、2人揃ってソムリエ資格も持つ。シェフのフランス時代の思い入れは今のレストランの形態に続くものがある。パリの星付きレストランからの誘いをことごとく断り、自分の腕を試し、現地の評価を受けたいがために、敢えて頼まれたレストランのシェフを務めていた。そのシェフの思い入れは、最新のパリの流れを汲みつつ、あくまでオリジナリティ豊かな表現に力を入れる、この店の美しく美味しい皿の数々に丁寧に込められている。南麻布に開業して4年。この元麻布に移転してから2年が経過し、シェフの腕はますます円熟味を帯びてきている。料理のコースは、アミューズ、フォアグラ料理を含むオードブルが数皿出た後、旬の魚料理、フランスを中心としたジビエ料理のメインが続くという構成。それに持ち込みワインのコースと、素晴らしいお勧めワインをセットにしたコースが加わる。アミューズやオードブルから美しいビジュアルに感動できる。カトラリーもガラスや石の皿も素晴らしい感性で統一されていて、一分の隙も無い。

今回はフランス、ラカン産の鳩のローストがいつにも増して素晴らしい火入れと味わいだった。シェフのジビエへの思い入れは、今や巨匠の域に達している。オードブルで最高のピュレニーに合わせた大トロが感涙物だった。樽を微かに感じる艶かしいほどのピュレニーにぴったりの大トロは、ホワイトアスパラガスとグレープフルーツ、バルサミコとのアンサンブル。フォアグラのポアレが地鶏黄卵のラビオリと共鳴し、4種類の旬の貝類の競演に感動の嵐。合わせるワインが凄過ぎる。2008ミレジメのブランドノワールに始まり、エティエンヌソゼの1996熟成ピュリニー、エシュゾーにトラペの1981熟成シャンベルタン。料理も凄さを増しているが、マダムの繰り出すワインは、既に世界最高峰に届いてしまう勢いを感じる。

場所は各国の大使館がひしめく元麻布の住宅街。消防署の脇の小道を下り、突き当たりを道なりに左手に。その先の右へ曲がる突き当たりの右側、角のマンション2階に在る。1階はミシュランの星の付く日本料理店。階段を上がるとステンレスの名盤にエクアトゥ-ルと文字のみのエントランスが、料理同様に奥ゆかしい。友達のマンションに入るようにドアを開けると小じんまりしたエントランスホール。すぐにマダムが迎えに出る。入ってすぐに6人用の個室。大抵は2人客用に贅沢に使っている。オープンなL字のカウンターには、ゆったりとしたソファタイプのチェアが6席。バックバーも美しい。インテリアの絵はシェフが自ら書いている。料理、ワイン、サービス、インテリアと、全てに統一されたオーナー夫妻のセンスは他のどこの店も適わない。ゆったりしたカウンターも、2人なら2組しか取らない。3人以上なら、相変わらず1組しか取らない時が多い。とにかく何を置いてもサービスの質と顧客満足に拘っている。従って1人客は取らない。開業して4年が経過しても進化を続けるシェフの料理と、若く美しいマダムのワインサービス。心許せる家族や仲間との食事の場として、これ以上ない最高の舞台が用意されている。ここは天国に一番近いレストラン。これからも食事を心から楽しみたい人のためだけに、さらなる進化を続けて欲しい。

シェフお任せ料理とマダム秘蔵ワインのコース 30000円(時価)
アミューズ 蛍烏賊のカダイフ包み ジャガイモのエスプーマを添えて
オードブル 7時間煮た活き蛸のスモークとウニ 浅利と芹 生木耳の黄柚子ヴィネグレット添え 昆布と牛スネ肉のダブルコンソメ
オードブル 地鶏黄卵のラビオリ フォアグラのポアレ 京都山城の筍と菜の花 トリュフソース
オードブル 佐賀県産ホワイトアスパラガスと大トロ グレープフルーツとバルサミコ クミンと木の芽 クレソン マーシュのサラダ
ポアソン トコブシ ハマグリ ミル貝 タイラ貝 貝のジュと独活 ハーブの香り
ヴィアンド フランスラカン産鳩のロースト
自家製パン
フロマージュ 3種類の盛合せ
デセール 蜂蜜ヨーグルトの黒トリュフ添え バニラアイスクリームと金柑に詰めて焼いたクレームダマンド アニスショコラ添え
カフェ エスプレッソ
プチフール

2008 CHAMPAGNE BLANC de NOIRS BRUT Frederic MALETREZ 120mlグラス
NM CHAMPAGNE Cuvee no.737 JACQUESSON 750mlボトル/4人
1996 Puligny-Montrache Le Referts Domaine Etienne Sauzet 750mlボトル/4人
2007 Echezeaux DOMAINE J,CACHEUX 750mlボトル/4人
1981 CHAMBERTIN DOMAINE LOUIS TRAPET 750mlボトル/4人

* * * * * * * * * *

今回もビュルゴー家ルーアン鴨のロティが素晴らしい出来だった。火入れの丁寧さによる全体的な柔らかさも良いが、ソースがビュルゴー家のルーアン風とぴったり合っている。赤ワインのソースには香草を効かせ、濃厚な鴨自体の味わいをピリッと引き立てる。研究熱心なシェフの技を感じる。今回は、ホタテもマナガツオも、ルーアン鴨以上の火入れ具合に感動する。フワフワに仕上げるシェフの火入れに対する拘りは相当なもの。マダムのお奨めワインはロゼのシャンパーニュが待ち遠しい春の訪れを感じさせるセレクト。ジョバールのムルソーが素晴らしい口当たりで、ホタテとのマリアージュに涙が出る。マナガツオとルーアン鴨にはグロのヴォーヌロマネ。仕上げは昨秋早世したパトリックビーズに敬意を表して、シモンビーズのサヴィニーオーヴェルジュレス。なんと言う組合せと演出だろうと、ただただ感激する。

シェフにお任せコース 14200円 別途サービス料10%
アミューズ  温かい甲殻類のフラン 
アミューズ タスマニアサーモンのマリネ 燻製ジャガイモのムース
オードブル オマール海老と活ホタテのポアレ フォンダンエシャロットとハーブのヴィネグレット
 有機野菜とトリュフのサラダ添え
オードブル スープドポワソン カニ味噌とズワイガニのガレット 赤穂産牡蠣のポアレ
フォアグラ
ポアソン マナガツオの直火焼き スミイカとインゲンのソテー ソースヴィエルジュ
グラニテ ウェルベーヌ
ヴィアンド ビュルゴー家ルーアン鴨のロティ 赤ワインと香草を使ったソース
パン 4種類の自家製パン
フロマージュ 5種の盛合せ
デセール 
カフェ エスプレッソダブル
プティフール カヌレ マカロン他

各皿に合せたマダムにお任せのボトル 33600円/4本 別途サービス料10%
NM CHAMPAGNE MONOPOLE ROSE TOP BRUT HEIDOSIECK
2007 Meursault "Les Grands Charrons” JOBARD-CHABLOZ
2007 Vosne-Romanee AUX REAS DOMAINE A.-F.GROS
2001 Savigny-les-Beaune Aux Vergelesses 1er CRU Simon Bize & Fils

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移転前の店では、1日1組限定で、魂のフレンチを作っていた。新店舗では、1日3組までに拡大し、しかし同じような強い思い入れのフレンチを作り続けている。また個室とカウンターに分かれ、広くなった店内を若く美しいマダムが蝶のように舞っている。やはりここは、未だ天国に一番近いレストラン。今回も旬のジビエ、夏蝦夷鹿が素晴らしい出来。素材の熟成度も理想的なら、合わせるソースが夏鹿仕様。黒胡麻に赤ワインとフランボワーズを合わせたソース。どっしりとしたジュヴレシャンベルタンに何と合うことか。感動する。ポアソンの萩の甘鯛の絶妙な火入れもさることながら、いつもながらのオードブルの美しい旋律のような流れが、今回も際立っている。アミューズは西瓜の甘みとエストラゴン、泡の淡い苦味が舌の上で3重奏を奏でる。抜群の火入れの帆立にラングスティーヌと甲殻類のギリシャバロックなソース。堪らない。フォアグラがルーアン鴨、サマートリュフと共に国旗のようにデザインされた皿。白烏賊には北海道産牛のトリッパ。もう何も言うことは無い。今回の乾杯はミレジメも2005年。真夏の夜のブランドブランは酸味がきっと効いている。西瓜のアミューズに合い過ぎて怖い。サンセール、ムルソーがオードブル、甘鯛に合わせて次々に開けられる。ルーアン鴨とフォアグラにはサヴィニーの熟成赤ワイン。しかも日本人妻を娶ったシモンビーズ。奥が深いセレクションに驚く。主役の夏鹿には熟成ジュヴレシャンベルタン。ワインと料理のマリアージュに、マダムの天才的なセンスを感じる。ワイン持込みコースは、何本持ち込んでも構わない。これまでの5人以下7万円から、6人以下7万8千円に。6人なら1人あたり1万3千円となる。移転して、バージョンアップした上に値下げとは、どこまで顧客の想像を超えるホスピタリティを目指しているのだろう。驚きとしか言いようがない。

シェフにお任せ コースA 9950円 別途サービス料10%
アミューズ 若鮎のムースと西瓜のムース エストラゴンのジュレ
オードブル ラングスティーヌとスモークした帆立のポアレ ギリシャ風ソース
オードブル ルーアン鴨とフォアグラのユール仕立て
オードブル 白烏賊と仔牛のトリッパ 肝に見立てた豚足と烏賊墨の煮込み
ポアソン 自家製塩麹に漬けた萩甘鯛 大蒜とパセリのソース サザエのガレット添え
グラニテ グレープフルーツとウォッカのグラニテ
ヴィアンド 蝦夷夏鹿のロースト 黒胡麻のソース
フロマージュ 5種の盛合せ
18ヶ月熟成コンテ フルムダンベール シャンパーニュ地方のウォッシュ他

各皿に合わせたマダムのお任せワイン
2005 CHAMPAGNE BRUT GRAND CRU MALLOL-GANTOIS 1750円/120mlグラス
2010 SANCERRE La Bourgeoise HENRI BOURGEOIS 1700円/120mlグラス
2001 Savigny-les-Beaune 1er CRU Aux Vergelesses Simon Bize & Fils 1850円/120mlグラス
2010 MEURSALT Le Limozin SYLVAIN DUSSORT 1800円/120mlグラス
1996 Gevrey-Chambertin 1er CRU "LE GORBEAUX” PHILIPPE ROSSIGNOL 時価/120mlグラス

別途サービス料10%

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今回は牛肉を使った料理のコースB。アミューズの春独活と菜の花のエスプーマが季節感たっぷり。前菜の3皿は、アスパラガス、蛍烏賊、地蛸に始まり、64℃で64分火入れした地鶏卵、オマール海老にトリュフ、フォアグラ、モリーユ茸と続く夢の共演。松笠焼きの金目鯛も素晴らしい火入れ。しかし一番はやはり牛肉。北海道みついし牛のヒレが、均一に柔らかく、温かく、しっとりと火入れされ、ネセロリと赤ワインをベースにした、複雑かつ繊細なソースに絡みつく。今回も乾杯のシャンパーニュはミレジメ。暖かな春の訪れを喜ぶようにブランドブランが用意されている。シャンパーニュの造り手もコストパフォーマンスを考えたセレクト。しかし白、赤の造り手、産地は、さらにコストパフォーマンスの優れたものを揃えていて、ブルゴーニュ好きには堪えられない。至福の時を満たす料理の数々には、至福の時を支えるブルゴーニュが欠かせない。

ディナーB スペシャル 14200円 別途サービス料10%
アミューズブーシュ 磯ツブ貝と春独活 絹サヤ豆の和え物 菜の花のエスプーマ
オードブル アスパラガスのデグネリゾン 生蛍烏賊と青柳の小柱 スモークした久里浜の地蛸 甲殻類のエマルジョン
オードブル 64℃で64分火入れした地鶏卵 自家製コンソメドゥ-ブルとトリュフのチネリ オマール海老を添えて
オードブル おやきとサンジャック フォアグラのポアレ モリーユ茸とコニャックのソース
ポアソン 下田産金目鯛の松笠焼きと赤穂の牡蠣 山菜のソース
グラニテ パンプルムースのグラニテ
ヴィアンデ 北海道産みついし牛のロティ ネセロリと赤ワインのソース
フランスとルクセンブルグから4種のパン
フロマージュ 各種盛合せ
デセール ブルボンルージュのプティポー 生姜とカルダモンのアイスクリーム
カフェ マリアージュフレールのハーブティー
プティフール カヌレ 鬼灯 クレームショコラ

2004 CHAMPAGNE BRUT BLANC DE BLANCS Nicolas Feuillatte 1本
2007 PULIGNY-MONTRACHET DOMAINE ALAIN CHAVY 1本
2009 SANCERRE Monts Damne's GERARD BOULAY 1本
2001 Savigny-les-Beaune "Aux Grands Lirds” Simon Bize & Fils 1本

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今回の新ジャガとアーティチョーク、黒トリュフのグラタンが素晴らしい。フォアグラのポアレと牡蠣のソースのコンビネーションになっている。トリュフとフォアグラを見事にマリアージュさせ、グラタンとポアレの組合せがリズミカル。ビジュアルと香り、味わい、全てに計算されつくした理想のコンビ。楽し過ぎて笑さえこぼれてしまう。阿蘇山から来た馬肉ハラミのローストも珍しい。馬肉を赤ワインと燻製にしたエシャロットソースに合わせる。今回の特別過ぎるワインとの相性を考え抜いた究極のセレクション。今回のスペシャルワインはシャトーオーゾンヌ。5大シャトーと並ぶボルドーの9大シャトー、サンテミリオンの主。どんな考え抜いたワインも、全て露払いとしてしまう。そんなワインに合わせる料理を作るシェフの腕は神技とも思える。

ワインコース 78000円/6人 税・サービス料込み ワイン持ち込みは何本でも可
アミューズ 佐賀県産ホワイトアスパラのブランマンジェ トマトとライチ 
前菜 マリネしたホタテのミキュイ ハマグリと毛ガニのコンビネーション 
レモングラスのジュレとコブミカンオイル 自家製生アンチョビ添え 
前菜 白子のフラン 白子とオマール海老のポアレ塩漬けした鱈のソース 
前菜 新ジャガとアーティチョーク 黒トリュフのグラタン モリーユ茸 
フォアグラのポアレと牡蠣のソース
お魚料理 北海道産カスベのロティ ケッパーとハーブの香り 
グラニテ りんごのグラニテ
お肉料理 阿蘇山から来た馬肉ハラミのロースト 赤ワインと燻製したエシャロットソース 
自家製パン
デセール ブルボンバニラのプティポーとカルダモンと生姜のアイス アルマニュアック香るイチゴミルク 
プティフール カヌレとクレームショコラ 金柑とラズベリーの水まんじゅう
カフェ マリアージュフレール

ワインコース 持ち込みワイン
NV CHAMPAGNE “Le DRAPPIER” Special Cuvee DRAPPIER
2009 PERNAND-VERGELESSES “LES COMBOTTES” Domaine Rapet Pere & Fils
2011 MEURSAUT “LES VIREUILS” Domaine des Hospitalieres
2010 ALSACEl GEWURZTRAMINER Domaine Paul Zinck
2007 CHAMBERTIN Grand Cru Domaine Jean Claude Belland
2008 CHATEAU LAFON ROCHET Grand Cru Classe du Medoc

スペシャルワイン
2003 CHATEAU AUSONE Saint-Emilion Premier Grand Cru Clsse “A”

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今回のリードボーとフォアグラの組合せも繊細にして大胆。トピナンプールとトリュフの香りが全身を包み、甘口のワインが喉を潤す。ジビエ料理はウズラとラングスティーヌのファルシ。軽い味付けと柔らかな火入れ、ジビエとは思えぬ、軽いながらも幾重にも複雑に重なる味わいは、グロのヴォーヌロマネに合わせての絶妙なマリアージュ。複雑さと複雑さの出会い。まさに天国への階段を昇る思い。各皿に合わせるお任せワインが素晴らしい。シャンパーニュはアンリジローのエスプリから。〆のヴォーヌロマネまで、料理とのマリアージュは完璧。文句の付けようがない。そしてワインンサービスをする若く美しいマダムの、ワインを愛する思いが伝わるトークに酔うこともできる。

コースA 9950円
アミューズ 佐賀県産ホワイトアスパラのブランマンジェ
オードブル 真鱈の白子プリン その白子とオマール海老のソテー 塩漬けした真鱈のソース
フォアグラ リードヴォーとフォアグラのフリカッセ トピナンプールとトリュフ
ポアソン 五島列島産カサゴのポアレ その出汁で取ったブイヤベース
グラニテ リンゴのグラニテ
ヴィアンド 国産ウズラとラングスティーヌのファルシ コニャックと赤ワインのソース
自家製パン
デセール ライチと苺のアイスマカロン ショコラブランとミントのソース 
14種類の香辛料のジュレで合わせたフレッシュライチ 苺 ラズベリー
カフェ マリアージュフレールの紅茶各種
プティフール カヌレ
クマの縫いぐるみが好きな妻のためのクマちゃんのチョコレートと食用花

NV CHAMPAGNE ESPRIT DE GIRAUD BRUT HENRI GIRAUD 1700円/120mlグラス
2008 ALSACE GRAND CRU RIESLING GEISBERG KIENTZLER 1500円/120mlグラス
2009 SANCERRE GERARD BOULAY 1600円/120mlグラス
2007 Vosne-Romanee AUX REAS DOMAINE A.-F.GROS 1800円/120mlグラス

別途サービス料10%

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1日数人だけに振舞われる極上料理の数々は、連夜享楽の極み。ここはワイン好きにとって天国に一番近い部屋。これまでの南麻布を後にして、12月からこの元麻布に移転して来た。広尾、六本木、麻布十番の三角地帯の真ん中。カウンター6席と個室6席と少し規模を拡張した。しかし、サービスの質を落としたくないと、1日2組、合わせて5、6人程度という方針は変えないと言う。

ワインコース 78000円/6人
アミューズ 毛蟹のプチタルト キャビア添え
オードブル 赤穂牡蠣と蛤 ホッキ貝のミキュイ 帆立のブイヨンで作った海藻ジュレ ラングスティーヌのクリームとベルガモットのエスプーマ 黄柚子風味
オードブル テットドフロマージュとラングスティーヌのポアレ ポアブロンルージュのクーリと秋トリュフ
フォアグラ 鹿児島県産筍とフォアグラのカネロニ仕立て ブルーチーズとフォアグラのソース
ポアソン クミンを塗した北海道産鮟鱇のロースト ココナッツソースと昆布蜜柑オイル
グラニテ 5種類のベリーのクラニテ 苺 ブルーベリー ラズベリー ブラックベリー 黒スグリ
ヴィアンド ペルドローのロースト モリーユ茸とコニャックのクレーム
デセール 桂花陳酒のジュレ ソルベアマンド マンゴープリン 金柑と苺
カフェ エスプレッソダブル
プチフール カヌレ クレームショコラ

NV CHAMPAGNE GRAND CRU Brut Tradition RM PIERSON-CUVELIER EARL
2010 PULIGNY-MONTRACHET "LES ENSEIGNERES” Domaine Sylvain Cholet
NV CREMANT D'ALSACE BRUT "Cuvee Manekineko” Clement KLUR
SOLERA RATAFIA DE CHAMPAGNE HENRI GIRAUD
2007 MEURSAULT DOMAINE MICHEL CAILLOT
2009 GEVREY-CHAMBERTIN "VIEILLES VIGNES Age 55” FREDERIC MAGNAEN
2002 GEVREY-CHAMBERTIN "CLOS DES ISSARTS” PREMIER CRU DOMAINE FAIVELEY

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ワインコース 70000円/5人
ワインは事前に自分で持込んで、料理をワインに合わせてもらうというコース。
アミューズ 帆立のプリン 紫雲丹と毛蟹のカクテル
オードブル 駿河湾産天然真鯛のクリュ 長崎県産地蛸と勝浦産雌貝鮑にその肝のソース ポアブルベールの香り
オードブル ローストした和牛ハツとゼストオレンジのコンフィ フォアグラのソテーとトリュフ風味コンソメジュレ
オードブル トピナンプールのクリームとラングスティーヌのポアレ スモークした黒胡椒とベーコンのエマルジョン
ポアソン アズキハタのロティ 江戸前アサリと黄柚子のナージュ
桃のグラニテ
ヴィアンド 青首鴨のロースト 生姜とエシャロットのソース
デセール 丹波産 石鎚の渋皮煮を包んだ焼きモンブランと五香粉のアイスクリーム ピスタチオソース
プチフール
カフェ マリアージュフレージュ

持込みワイン 7本/5人

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場所は南麻布の住宅街の真ん中にあるデザイナースマンション。エントランスは裏側に回ったところにあり、オートロックで部屋番号を押す時点で、特別感はトップギアに入る。最上階に上がると、ホールではうら若き美人オーナーがにこやかに迎える。玄関ドアを開けて招き入れられると、そこは東京タワーのライトアップを目の前に見渡すリビングルーム。スケルトンのインドア階段を上がると、目前に現れる寛ぎのダイニングキッチン。オープンカウンター5席だけの極上空間。テーブルセッティングは季節の設え。春夏秋冬の飾り付けに惚れぼれする。料理は素材を活かし、なお且つワインに合わせることを最優先する。季節の素材は欠かさない。日本各地、フランス各地の旬の組合せはバランス感覚の妙。ワインには北から南まで、例えばブルゴーニュにはブルゴーニュに合う、ボルドーにはボルドーに合う料理が用意される。フォアグラひとつとっても、そのアレンジは多様な切り口。カウンターでのサービスのパフォーマンスも、オーナーの美しい動きを見ているだけで楽しい。ワインはシャンパーニュ、ブルゴーニュを中心に、何でも揃っている。オーナー、シェフの2人がソムリエ資格を持っているので、ワインのセレクトは阿吽の呼吸。持込みコースもお奨め。5人貸切、料理と持込み料を含んで7万円。何本でも持ち込める気軽なコース。

持込みワインに合わせるお任せコース 70000円/5人
アミューズ 鮎のリエット コンソメのジュレとジャガイモのムース
オードブル 冷製フォアグラのカルパッチョ 杏とセロリのピューレ 長野パープル
オードブル 紫ウニ イクラ キャビア リコッタチーズ グリンピースのスープ掛け
オードブル リードヴォーとスモークしたオマール海老のポワレ グリーンアスパラガスとフォンドヴォーのソース
ポアソン 日向灘のヒラスズキの鱗焼き ツブ貝と白ウド ジュンサイの軽いソース 海葡萄のアクセント
グラニテ ミントと青りんご
ヴィアンド 2週間熟成させた北海道産の夏雌鹿のロティ フランボワーズと黒胡椒のソース
デセール 桃のコンポート ブランマンジェ トロピカルフルーツの炭酸ムース
カフェ ハーブティー
プティフール チョコレートのガナッシュ エピスのクランブルとグレープフルーツとローズマリーのコンフィ ローズのマカロン ブラックオリーブのコンフィ

Degrege2010 CHAMPAGNE BRUT NATURE Sans Ajout De Soufre DRAPPIER
2010 Alsace Grand Cru Gewurztraminer Altenberg de Bergbieten DOMAINE ROLAND SCHMITT
2002 MEURSAULT CLOS DU CROMIN JEAN LEFORT
1998 MAZOYERES-CHAMBERTIN GRAND CRU DOMAINE CAMUS PERE ET FILS
1999 ECHEZEAUX GRAND CRU LIGER BELAIR

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南麻布の閑静な住宅街の一角に、築数年のお洒落なマンション。最上階のペントハウスは、吹き抜け階段のあるスキップフロア。玄関を入るとゆったりソファーのリビングでウェイティング。吹き抜けの階段を上がると、そこはカウンター5席、極上のダイニング空間。1日5人限定の超こだわりダイニング「エクアトゥール」。本日は「葡萄党港支部新春ワイン会」。葡萄党の党首、その他党員合せて5名。エクアトゥールでの「葡萄党食べログ支部」結成式のレビューを、食べログで見た党首のリクエストによりこの店で開催。1週間前に届けて置いた持ち込みワインは、「1995 ルフレーヴ ピュリニー・モンラッシェ・レ・コンベット」、「1997 ブシャール シュバリエ・モンラッシェ」、「1987 ルモワスネ グラン・エシェゾー」、「1994 マルタン・ノブレ エシェゾー」など6本。いずれ劣らぬ最高レベルの飲み頃バックヴィンテ-ジ。さすが党首が来る時の気合いの入り方。 

コースは前回同様、「持込ワインに合せたお任せコース 新春バージョン 70000円/5人 
アミューズ レンズ豆とトリュフのスープ
こんなに美味しくレンズ豆を仕上げるシェフはそういない。トリュフの香りと絡み合って、シャンパーニュのための完璧な皿。いきなり素晴らしい。 
オードブル 毛蟹のエフィロッシュとホッキ貝のマリネ、赤ピーマンのクーリ 
ほぐした毛蟹の蟹肉とホッキ貝が交互に丸く並び、上には可愛らしい野菜にイクラとキャビア。見た目の美しさにうっとり。ホッキ貝が美味しく、あっと言う間にシャンパーニュから白ワインに交代。シュバリエ・モンラッシェからとはあまりに贅沢。 
オードブル オマール海老のラビオリとそのエッセンスを使ったソース、マテ貝とともに
濃厚なオマールの味わいがラビオリの食感の中から。美味しい。オマールのソースとマテ貝が絡み合って、舌の上で踊る。合せるワインはルフレーヴの熟成プルミエ・クリュ。この世の快楽の頂点を極めた感。 
ポアソン オウモンハタのロースト ドライノイリー酒とブールノワゼットの香り 
これは今日一番印象に残る料理。オウモンハタってこんなに美味しいのかと驚く。初めての体験。皮はかりっと、白身は柔らかく、あっさりした味わいの中にも旨味が凝縮され、ほんのり甘みさえも感じられる。さすが刺身でも、ぷりっぷりな高級魚のオウモンハタ。ドライノイリー酒が効いているのか。こんなに狭いマンションのキッチンで、どうしたらこんなに素晴らしい火入れと味付けができるのだろう。流石と唸る。それにしても、こんなに美味しい魚。ルフレーヴ飲みながら食べるとは、バチでも当たらないと良いが。  
フォアグラ スモークしたフォアグラロールキャベツとトリュフのエマンセ 
今流行りの草食系に見せかけた肉食系女子の様相のフォアグラ。たっぷり黒トリュフの香りを楽しみながら、柔らかで軽い甘みのキャベツの中から絶品フォアグラが美味しい。合わせるのはロワールの生原酒のような白濁した白ワイン。こんな面白い甘口ワインが世の中にあるのだろうか。この珍しいワインにフォアグラを合せるため、わざわざ甘みを感じるキャベツで巻いたのだおうか。だとしたら凄過ぎる。 
グラニテ ベルベーヌとライムのグラニテ 
ヴィヤンド 穀物飼育のプレミアム仔羊のロティ ジュードアニョーとニンニクのピュレ ヴィネグレットエルブと春野菜 
仔羊の肉が珍しい味わい。穀物飼育というのは肉の味を濃厚にするのだろうか。全く臭みのない仔羊。軽くニンニクを効かせた仔羊のジュで柔らかい肉が引き立つ。回りにちりばめられた春野菜も季節を感じさせてくれる。飲み頃バックヴィンテージ、グラン・エシェゾーとエシェゾーのための料理。仔羊で何の不足もない。ワインの美味しさが、何倍にも増幅された感じで、感謝、感謝。 
デセール あまおうとブラックベリーのスープ仕立て 4種のベリーソルベとアプリコットの炭酸ムース 
こんな素敵なデセールを、これだけワインを飲んだ後に見せられるとは。勿体ないとしかいいようがない。 
カフェ マリアージュフレール ブルボンバニラ この店、お決まりのパターン。 
プティフール 金柑のパスティス漬けと三河のホオズキ そして金柑で〆め。 

またも素敵なワインたちに合せた完璧なマリアージュ。素晴らしい料理を小さなキッチンから次々繰り出すシェフと、うら若き美人オーナーのコンビネーション。この特別感は他では味わえないフルオーダー感覚。今宵も素敵な宴の場をありがとう。 

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最近ワイン仲間になった方の誘いで、いつもの仲良し5人組みが集まった。ワインは持込。泡、白、赤2本、飲み頃を選んで2週間前に自宅からお店に宅急便で送ってある。さながら葡萄党食べログ支部の結成式。お店にも大きなセラーと奥にサブのセラーがあり、ソムリエ資格を持つ若く美しい女性オーナーが厳選したブルゴーニュ中心のワインが沢山揃っている。従ってわざわざ持ち込む必要はない。今回は幹事より、是非、葡萄党幹事長厳選のワインとこの店の料理を合わせたいとリクエストがあり、恐縮ながらワインは全て持ち込みでお願いした。 

持込みワインに合せたお任せコース 70000円/5人 
ワインは何本持ち込んでも構わない。今回は事前に送ってあったワインに合せた特別コースを、オーナーとシェフで演出してくれた。感謝に堪えない。まずは泡から。 

2002 クリスチャン・エティエンヌ シャンパーニュ・ミレジム 
NMなら、コスパ・ナンバーワン・シャンパーニュとして有名な泡。そのミレジム。しかも希少な2002年。これに合せる料理がスタート。 

美食へのいざない 
砂糖を一切使わない人参のスープ カカオの香り 白身魚と小海老の焼きサンドウィッチ トリュフ添え 
人参とココア味の組合せでシャンパーニュ。いきなり来たという感じ。あっさりと美味しい、人参とは思えぬスープ。ちっちゃな焼きサンドもぷりっと美味しい。おまけにトリュフの香り、複雑な香りが絡み合う幸せな一瞬。 
季節のアントレ 
マグレ鴨のスモークで巻いたマンゴーとネセロリのプレスオマール 春野菜のサラダ バニラドレッシング 
マグレ鴨とオマール海老の折り重なる味わいが素晴らしい。これで一気にシャンパーニュが無くなりますね~。この美味しいミルフィーユを乗せられたキャビアが引きたて、添えられた秋なのに春野菜の甘みがまた、たまりませんね。熟成ムルソーを開けて合わせる。ソムリエールでもあるオーナーが、素敵な手さばきでコルクを抜く。グラスの長い足も、オーナー同様に美しい。今日は酔い過ぎそう。 

1985 ドメーヌ・ジャン・デュポン ムルソー・クロズリー・デ・ザリジエ 
1985年のムルソーも稀少価値狙い。シナモンと蜂蜜香が熟成の極みで見せる軽い酸味。合せる料理は何か。 

熟成ムルソーのためのアントレ 
豚の3種の部位を使った島根産白烏賊のポアレ 万願寺唐辛子とカレー風味のカリフラワーピュレ 蛤のチップ 
温かくて甘い白烏賊が美味しい。豚足や豚耳などを合せている。万願寺唐辛子の泡仕立ても面白く、添えられたジロール茸が、なんともムルソー。 
フォアグラ 
スモークした牡蠣とフォアグラ ジロール茸のソテー マッシュルームスープ仕立て 
秋の夜長のジロール茸攻め。牡蠣とフォアグラを同時に同じ皿で食べるのも初体験。ムルソーのためのフォアグラ。 順調なワイン会、この結婚式のような皿がその象徴。続いて本日3組目のマリアージュへと。 

1999 ドメーヌ・カミュ マゾワイエール・シャンベルタン 
これは何度も飲んでる鉄板のグラン・クリュ、マゾワイエール。シャルムを名乗れる畑で敢えてマゾワイエールに拘るカミュ爺渾身のワイン。1999年も残り少なくなってきたと言われるが。 

熟成赤ワインのための海の恵み 
長崎産カサゴのポアレ チョリソーとキャベツ レモンと生姜のナージュ仕立て 
なんと魚を合わせて来た。これは驚く。チョリソーと甘いキャベツを使うことで、赤の熟成グラン・クリュに合せたとのこと。レモンと生姜の海を泳ぐ長崎のカサゴ。
カクテル仕立ての口直し
これなら口直しなしでも、肉に行けてしまう。本日のメイン・イベントはヴォーヌ・ロマネの巨匠。 

2005 ドメーヌ・プリューレ・ロック ヴォーヌ・ロマネ・レ・クルー 
ドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティの共同経営者で有名な元祖自然派、プリューレ・ロック。その最もコスパの優れたレ・クルー。そして近年最良の2005年。メイン・イベントに合わせる料理は何か。その前にサブ・イベント。使うナイフを自分で選ぶ。ラギオールの6色のナイフ。好きな色を。 

ヴォーヌロマネに合わせたお任せ肉料理 
フランス産ピジョンラミエのロティ 赤ワインソースとネセロリのピュレ 内臓のパテ添え 
フランスの山鳩。自然派ヴォーヌ・ロマネとピジョンラミエ。嬉し過ぎるマリアージュ。材料費、いったいいくら掛けたのか。内臓のパテも美味しい。これだけで飲めてしまう。 
デセール 
とろける焼きモンブランのキャラメリゼ サンクエピスのアイスクリーム ピスタチオクーリ 
そびえるモンブランの頂上にアイスが乗っている。 
カフェ マリアージュフレール ブルボンバニラ 
紅茶はマリアージュフレール各種の缶の香りを楽しんで、好きな缶を選べる。楽しい演出。シェフが大好きと言うブルボンバニラで全員決定。オーナー曰く、初めて出たとのこと。 

しめて4組の完璧なマリアージュ。オーナーのみならず、シェフまでソムリエ資格を持つ完璧なワインのためのレストラン。心を奪われる。また来たいと誰もが思う。素晴らしいインテリアと、ワインに合わせた最高の料理、美しいオーナーの肌理の細かい心使い、そして何より気心の知れた身内だけでのゆったりとした時間。一昔前に流行った会員制レストランのお洒落コンパクト版。このお店のコンセプトにもやられてしまった。蛇足だがオーナーと名刺交換をすると、オーナーとシェフがビックリして目を丸くしていた。何かあるのか。先日、御社の会長と社長、グループ会社の役員たちが来て、マンションの下の路上に黒塗りをずらっと並べ、運転手を待たせて食事会をしてくれた。社長夫妻はその後も来ているとのこと。こっちこそビックリ仰天。  

  • ラカン産ピジョンラミエ 赤ワインのソース
  • 黒アワビと椎茸 黒アワビの肝のジュレ
  • ウニ 甲殻類のムース コンソメのジュレ

もっと見る

2位

ガストロノミー ジョエル・ロブション (恵比寿、目黒 / フレンチ)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥40,000~¥49,999 -

2012/02訪問 2019/01/29

理想の3つ星シャトーレストラン

恵比寿ガーデンプレイスのランドマーク、シャトーロブション。1階のカジュアルさも良いが、やはり2階の雰囲気は文句なし。記念の食事をするなら、今の日本ではナンバーワンの対応が期待できる。20年前のタイユヴァンロブションも衝撃的日本デビューだったが、ロブションが世界で初めて出したと言うこのガストロノミージョエルロブションにも、あの時以上の衝撃がある。30年前、世界で初めて30代の最年少でミシュラン3つ星を獲得したジャマンのロブションが、10年後にパリで拡大移転したジョエルロブション。同じ年にパリに続いて東京にオープン。まだバブルの残り香を引きずる東京での強烈なアジアンデビューだった。当時、社長のお供で接待に利用したレストラン。個人で来る気にはとてもならない価格の場所でもあった。プライベートで来れるようになった今、価格的にも雰囲気もサービスも、やっと日本のフレンチが、われわれ庶民に浸透してきたような気もしている。不景気もデフレも円高も、悪い面は悪い面として、良い面はもっと伸びて貰いたい。今回はアニバーサリーでの利用。のんびりディナー。コースは、25200円と40320円の2種類。今回のお任せコースは25200円。価格は税サービス料12%を含む。今回のワインは、皿ごとに合わせるグラスワインのデギュスタシオン。5杯で19040円。料理、ワイン、エヴィアンを合わせた金額は、1人45000円。先日、1階のラターブルドゥジョエルロブションで、カジュアルなワイン会を開催。楽しさは一緒でも、やはり2階のガストロノミーの方が盛り上がる。支配人もほぼ付きっきりでサービスしてくれ、来日中のロブションの話や、パリの店の話もしてくれて、パリ行きの参考にもなった。支配人からはパリの予約を取ったら必ず連絡するよう言われたが、違う店を2軒、予約してしまった。ロブションやステラマリスは日本でも味わえるので。折角の好意なのに申し訳ない。タイユヴァン時代からのフランス人シェフまで出て来て緊張した。あんなに気さくに色々声を掛けてくれたのにも関わらず、重ねて申し訳ない次第。来日中のロブションが六本木に行っていて良かった。この店は、相変わらず記念日には最高。文句なしの行届いたサービスで誰もが盛り上がること請け合い。

アミューズ レモン バニラ風味のジュレにしアニスの香るクレームと
 バニラ風味のレモンジュレ。上には煮詰めたウイキョウが乗っている。自慢のシャンパーニュに合せたジュレ。小麦の味が濃縮された美味しいバケットのお伴にもいい感じ。
小さなバケット
 バターをワゴンで持って来てくれる。いきなりのパフォーマンスが楽しい。濃縮したバルサミコ酢がわずかな量でオリーブオイル全体に味付けしている。この不思議なオイルもパンのお伴。 
オードブル 紅芯大根と様々な根菜 長崎高野屋のカラスミとキャビアを添えたホタテ貝のカルパッチョ レモンを香らせて
 バターでコーティングしたラデュッシュが美味しい。バスク産の唐辛子も効いてる。丸まったあっさり紅芯大根がシャサーニュのお伴。キャビアの粒が大きい。これは最上級のキャビア。 
パン
 山盛りで、大きなワゴンで運ばれて来る。動くパン屋状態。どれもこれも美味しそうに見える。特にミルクパンのほんのりした甘みが絶品。カロリー計算と、塩分、脂分、コレステロール、余分3兄弟は忘れて食べててしまうしかない。
フォアグラ トピナンブール イベリコ生ハムのブイヨンで滑らかにスープにしポアレしたフォアグラとパルメザンチーズのフランに注いで
 驚くばかりの黒トリュフの香り。これには相当フレッシュなトリュフがトッピングされている。トピナンブール、フレンチ里芋が、イベリコのブイヨンで泡にされて、身体にあっさりと浸み込んで行き、皿の底にはフォアグラがパルメザンチーズのフランとブツブツと。最高のトリュフとフォアグラが、イベリコブイヨンの泡に絡んでこの世のものとは思えぬ美味しさ。フォアグラ用に濃厚白ワインが欲しくなる。
ポアゾン 甘鯛 うろこ付きで香ばしく焼き百合根と島根県益田市産柚子のナージュに浮かべて
 これは日本料理、甘鯛の松かさ仕立て。カリカリの甘鯛の皮が香ばしく、柔らかい白身を引き立てている。百合根と柚子のナージュは、鶏と甘鯛のブイヨンでほんのりとした仕上げ。シソの香りも漂い、幸せな味わいとなっている。 
パン
 ワゴンが再び登場。濃厚白ワインにはアンチョビパンを合せたい。
ヴィヤンド ハーブ豚 真空調理をしてからメープルシロップと黒胡椒でキャラメリゼし滑らかなポレンタと舞茸を添えて
 最高のワインに合せるヴィヤンドは真空調理。メイプルシロップと黒胡椒のマリアージュ。真空調理で柔らかくなったハーブ豚。あまり好きではない豚を見直せる素晴らしい味わい。豚も色々、人生と同じか。果実味の抑えられた、まさにバランスのモレの中でもルーミエは別格。そこらのクロサンドニを超える濃厚さが素晴らしい。このくらい甘みとスパイシーさをバランスさせたハーブ豚には、このくらいの強烈なワインをぶつけるのが最高。  
フロマージュ シェーブル
 フロマージュとドライフルーツもワゴンがやって来る。まるでお祭りの屋台の乗り。お洒落ではある。
ドライフルーツ 枝付き葡萄
デセール アールグレイとレコンサントレのジュレ チャイのイメージで
 チャイに見立てたグラス仕立て。
ショコラ フォレノワール しっとり焼き上げたガトーショコラにアマレナチェリーのソースとクレームを添えて
 しっとりガトーショコラの上にはまん丸チョコボール。開けてビックリ玉手箱。中身はラズベリーのソルベと桜を練り込んだクレーム。添えられたアマレナチェリーと泡のソースがまた楽しい。 
カフェ ハーブティー ミント レモングラスブレンド
 珈琲カップも面白い。底がとんがって、ソーサーに埋まっている。 
ミニャルディーズ マカロン カヌレ オレンジピール シュセット その他色々
 ミニャもおっきなワゴンで現れる。しかもバレンタイン仕様の大きなハート付き。こうなるとディズニーランドのパレードに近い。
MERCIキャンデー
 お礼の金太郎飴 どこまでも楽しませてくれる。

皿ごとに合わせるグラスワインのデギュスタシオン 19040円
NM シャンパーニュ プルミエール キュヴェ ブルーノパイヤール 120mlグラス
 最近良くこのシャンパーニュを飲む。戦後できた、唯一のシャンパンハウス。シャンパーニュ地方で葡萄畑を売る人がいないので、新規参入は不可能。ピノ85%、シャルドネ15%の飲み口は素晴らしく、以前から好きだったシャンパーニュの一つ。 ロブション本人が大好きなシャンパーニュとのこと。ロブションでは通販で、このシャンパーニュを1本7,500円で販売している。 
2008 シャサーニュモンラッシェ カイユレ ドメーヌルシアンルモアンヌ 120mlグラス
 凄いものがグラスで出てくる。さすがグランメゾンのグラスは桁違い。ルシアン・ル・モアンヌは知る人ぞ知る貴重なドメーヌ。日本で見ることは滅多にない。以前、東急本店の試飲会で、同じカイユレの試飲グラス1杯を3千円で出していた造り手。嬉しいことこの上ない。これは熟成ピュリニーと見紛うグランヴァン。ビックリ仰天する色どり野菜のいろいろと良く合っている。 
2007 テスタマッタ ブジーア ビービーグラーツ 120mlグラス
 ビービーグラーツ、テスタマッタ。グラスで出されて驚く。極上フォアグラだからか。さすがロブション、ワインの流れが豪華絢爛。何も言うことはない。デギュスタシオンコース、120ml5杯で2万円しない価格は驚愕。安過ぎる。  
2006 モレサンドニ プルミエクリュ クロドラブジエール ドメーヌジョルジュル-ミエ 120mlグラス
 ここまでやるかというセレクト。よりによってジョルジュルーミエ。しかも付きっきりでサービスしていた支配人に代わって、シェフソムリエが登場し、今日はもう何でも開けちゃいましょうと明るく対応。こちらの方が無言になってしまう。アニバーサリー対応に感謝感激。
2001 ソーテルヌ シャトースデュイロー 30mlグラス
 これもまたビックリする。最後の最後まで驚かされる。シェフソムリエ取って置き、お奨めディジェスティフは、イケムの再来と評価を上げているスデュイロー。驚いたのは2001年という生産年。この年のソーテルヌはけた外れに出来の良い年で、まだ残っているだけでも凄い。嬉しい驚き。リトルイケムのレベルではない。これは最高のソーテルヌ。原価でもグラス1杯2千円は下らないと思われる。しかしここまで凄い味わいとは。 

  • ヴィヤンド/ハーブ豚、真空調理をしてからメープルシロップと黒胡椒でキャラメリゼし、滑らかなポレンタと舞茸を添えて
  • 泡/ブルーノ・パイヤール/シャンパーニュ・プルミエール・キュヴェ/NV
  • アミューズ/レモン、バニラ風味のジュレにしアニスの香るクレームと

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3位

レフェルヴェソンス (表参道、乃木坂、広尾 / フレンチ)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥30,000~¥39,999 ¥20,000~¥29,999

2013/10訪問 2019/01/29

西麻布に天才シェフの美しい泡空間

完璧なスタイルを確立したレストラン。今、最も料理の質、サービス、ワイン、雰囲気のバランスの取れた店と言っても過言ではない。流れるような淀みのない料理と、泡立つような気持ちの高揚を抑えられないサービスの素適な店でもある。高学歴でビジュアルも良いシェフの考えは、料理からも分かりやすく伝わる。料理をトータルな文化と捉え、全てのバランスを大切にした仕上がり。ミシュラン1つ星は評価が低過ぎるとも思わせる。

野菜、魚、肉の素材の選択と火入れ、調理の形式、仕上がったビジュアル、いずれも文句の付けようがない。柔らかく均一な火入れは、色合いに拘った盛り付けで五感を同時に責められる感覚。スペシャリテの4時間火入れした蕪は、季節によってまったく違った香りと味わいを見せる。今回は秋の蕪。バスク黒豚のジャンボンセックとブリオッシュに合わせている。

秋のお任せディナーコースは日本の秋の味覚とフレンチ手法の、あたかも究極コラボレーションを目指しているかのよう。外国人客が過半を占める最近の傾向に合わせるように、日本独特の素材が選択されている。秋刀魚のアミューズでスタートするところから驚く。蕪と並ぶスペシャリテ、アップルパイのようにシリーズは、何と松茸と車海老に、蓮根と若布。これぞ日本の香りと食感の集合体。このアップルパイの真意を英語で伝えようと、そこここのテーブルでホールスタッフが奮闘している。

オードブルには鱧。海苔の香りの甲殻類のジュをリードボーと共に。日の丸とトリコロールが舌の上で交じり合い、経験したことのない新しい美味しさを発見できる。ポアソンは戻り鰹。これはもう日本料理の世界であり、日本酒を合わせるべきでは思いたくなる。しかし合わせるのはあくまでフランスワイン。日本とフランスの融合がテーマ。見た目は鰹のタタキ、食感は全く違うフレンチの柔らかで、均一に温かい火入れの妙、味わいはシャンピニオンと黒酢でもう訳が分からない美味しさ。フォアグラには柿と紫蘇と来た。もう完全に日本料理店にいるとしか思えない。

秋と言えば脂の乗り切った蝦夷鹿なしには語れない。そしてこの店の蝦夷鹿が、ジビエの季節の始まりを告げる号砲となる。いくらなんでもこれはフレンチと思いきや、添えられたピュレは菊芋の白味噌仕立て。やっぱり日本料理になっている。もともと柔らかい蝦夷鹿のロースに、美しいほど均一で優しい火入れの脂の乗り切った蝦夷鹿。この日本のジビエの王様を、白味噌仕立てのピュレと共に。最高の融合が完成している。

今回のワインも皿ごとに合わせるデギュスタシオン。秋刀魚には2007年のブリュットミレジメ。松茸にはシェリーのように熟成したジュラの白。鱧には驚くことにピノノワールを合わせる。しかし感心するほど合っている。支配人のセレクションにただただ頷くしかない。今回一番の驚きは、戻り鰹とジュブレシャンベルタン。全く想像できなかった。

場所は地下鉄3駅、表参道、広尾、六本木からそれぞれ徒歩15分。三角地帯の中心。首都高速の高樹町インターからすぐ近く。隠れ家的名店の集まる西麻布交差点からも近い。アプローチのフットライトの列が、夢の世界へ心をいざなう。モダンな色使いの外観は、向かい側が寺院や墓地という環境を忘れさせるに十分な雰囲気。

入口には女性のサービス担当が待ち構え、到着と同時にドアが開けられる。入って右側がウェイティングスペース。コルビジェの黒レザー張りソファーが、これでもかと贅沢に並んでいる。ハーブ水のウェルカムドリンクで喉を潤し、1階メインダイニングへ。地下はキッチンと個室。1階の床は店名のレフェルヴェソンスが意味する泡模様。到る所が泡をモチーフにしたインテリアとなっている。

料理は流行りの低温長時間火入れ。魚、肉の柔らかさを全体に満遍なく残して、均一な温度に沁み渡らせる。温かいのにシャキシャキする蕪の丸ごと火入れがスペシャリテ。美味しいかどうか賛否両論あるが、季節ごとにまったく違う香りと味わいを見せる蕪が楽しめるのは面白い。烏賊や甲殻類の季節の料理も、鴨や鹿などのジビエも、常に進化したビジュアルと味わい。ソースにも凝っているが、一番は火入れと素材の組合せ。

大学卒業後にこの世界に入り、フロア担当からミシェル・ブラス・トーヤ・ジャポンで修行。ロンドンのミシュラン店でスーシェフという異色のシェフ。常に進化するシェフと至れり尽くせりのサービス陣。美しい箱、インテリア。これからの更なる進化が楽しみな店。

≪今回の料理≫
Un souhait et lumiere 願いと光 15750円/1人 別途サービス料10%

オリーブ ブラッドオレンジ味とプレーンの2種類をランダムに
アミューズ 秋刀魚 榛の実 バターナッツ南瓜を2口で

アップルパイのように NO.10
 松茸 車海老 加賀蓮根 若布を3口で

オードブル 焼き鱧とリドヴォーのポアレ 
 海苔香る甲殻類のジュと冬瓜 ディル オリーブオイル

定点 丸ごと火入れした蕪とイタリアンパセリのエミュルション 
 バスク豚のジャンボンセックとブリオッシュ

ポアソン 秋の悦び 稲藁で燻した戻り鰹 
 クレームドシャンピニオンと鰯いしると黒酢のレデュクション 辛味大根 ジロール 紫蘇の花

秋の色 フォアグラのナチュラルとコンテ 柿 ヴァニラ アマランサスと紫蘇の葉
右と左で 金宣烏龍茶

ヴィアンド 森と命 北海道白糖町から頂いた蝦夷鹿ロース肉のロティ 無花果と赤ワインのソース 
 菊芋と白味噌のピュレ シャントレル茸とのこぎり草

フロマージュ 江別市のブルーチーズ シェーブル 国産ハードタイプ ジュヴレシャンベルタンの友達
アヴァンデセール 栗のブリュレのかけら ラムレーズンアイスクリーム 山葡萄のジュレ オリーブオイルの蒸しパン
〆のデセール 朴の葉のアイスクリームとブルーベリー 牛乳葛餅

カフェ エスプレッソダブル
ミニャルディーズ

Panna 1000円/1本

≪今回のワイン≫
2007 CHAMPAGNE BRUT MILLESIME Alberic DUVAT 2310円/120mlグラス

Special Degustasion 各皿に合わせたワインのデギュスタシオンコース 11550円/1人

2009 Cuvee Prestige Jean Fransois Ganevat 60mlグラス
2010 BEANE 1ER CRU LES PERRIERES DOMAINE PHILIPPE PACALET 60mlグラス

2010 Sancerre SKEVELDRA Sebastien Riffault 60mlグラス
2011 Gebrey-Chambertin Domaine CLAUDE DUGAT 60mlグラス

2005 la Paille Perdue 60mlグラス
2008 COTE ROTIE Mathilde et Yves Gangloff 60mlグラス

2003 D d:vin Chateau Lauduc 60mlグラス
2011 Cuvee Oppidum Chateau de GAURE 60mlグラス

貴醸酒 満寿泉 枡田酒造 富山県 45mlグラス
1969 MAURY Millesime MAS AMIEL 45mlグラス

 別途サービス料10%

* * * * * * * * * *

≪過去のレビュー≫
今回の真夏の蕪料理は、イタリアンパセリとバスク黒豚との組合せ。夏の蕪もまた、この店では旬にしてしまう。しかし今回は蕪より鮎。フランス料理には天然ものより、脂のたっぷり乗った養殖ものが向いているとシェフが熱く語る。頭の後ろのふっくらした養殖鮎は、身の引き締まった天然鮎よりフランス料理にしやすいとのこと。天然ものは銀座の日本料理店で美味しい日本酒に合わせれば、フレンチではかなわないとも。なるほど説得力がある。感動的に美味しかったのは、ヴァンデ産の仔鳩の炭火焼き。鳩はやはり内臓のジュに限る。これぞザ、フレンチ。シュフの進化は素晴らしい。クラシックな素材を、クラシックなコンセプトで、最新のビジュアルと味わいに変えてしまった。出てきたワインはシャペルシャンベルタン。もう何も言うことはない。

毎回違う楽しさが溢れるのは、アップルパイに見立てた皿。子供のように、うきうきする気持ちを持って欲しいというシェフの気持ちが現れる。餡となるフォアグラや甲殻類、野菜が贅沢。大人心もうきうきする。ワインは珍しいブルゴーニュが揃う。原価率は決して買い得感はないが、もともとコストパフォーマンスの良いものを探しているので、トータルでは損を感じない。飲みたかったワインが飲める。今回は2周年記念の5種類のシャンパーニュコース。ミレジメからマグナムまで、造り手や畑だけではなく、面白いバリエーションを展開。もてなす心が嬉しい。

≪過去の料理≫
ランチコース おでかけ Une promenade 7500円/1人 別途サービス料10%

アミューズブーシュ 本マグロ ウニ 紅芯大根 日向夏のグラス
ポアソン 鮎をその澄んだジュと自家製うるかのガストリック 山椒のオイル 
 マンゴー ラディッシュ パンプルネルと共に
蕪料理 丸ごと火入れした蕪とイタリアンパセリのエミュルション
 バスク産黒豚のジャンボンセックとブリオッシュ
フォアグラ料理 フォアグラのナチュラル 
 加賀太胡瓜とメロン 茗荷 レーズンのチャツネと丁字 金蓮花の葉と花
ヴィアンド フランスヴァンテ産の仔鳩炭火焼ロティとその内臓のジュ 
 エンドウ豆のピュレとスナップエンドウ 新玉葱 清見のマルムラ―ドとかたばみの葉 
パン プティバケットと泡の乗ったバター
デセール ビングチェリーの赤ワインマリネとトンカ豆のムース 
 コーヒーのアイスクリームとピスタチオのブリニ オレンジのクリーム
ミニャルディ おしゃべりのひととき 焼き菓子 マカロン ショコラ チュイル 
カフェ エスプレッソダブル

≪過去のワイン≫
料理に合わせるお任せグラスワイン 12000円/1人 別途サービス料10%

NM CHAMPAGNE GRAND CRU RENAISSANCE FLEURON a OGER 120mlグラス
2011 BEAU PAYSAGE la montagne TSUGANE 120mlグラス
NV Evidence Les Cailloux Le Paradis 120mlグラス
2003 VIN D'ALSACE BINNER Audrey et Christian 120mlグラス
2207 CHAPELLE-CHAMBERTIN Grand cru Domaine Rossignol -Trapet 120mlグラス
2011 Yves Cuilliere Russilliere CVILLERON 60mlグラス

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≪過去のレビュー≫
今回のような、鴨と手長海老、フォアグラを1つの塊に合わせるような、素材の組合せの妙にもいちいち感心させられる。

≪過去の料理≫
ランチコース en chemin より道 4800円 別途サービス料10%

アミューズブッシュ マッシュルームと椎茸のムース 4時間煮込んだ鮑 昆布出汁のエスプーマ カボスのグラニテ
西と東が~真鯵と北海道新十津川町のトマトをクリュで フェンネルと香る草花
丸ごと火入れした蕪とイタリアンパセリのエミュルション ハモンイベリコ&ブリオッシュ
アップルパイの様に#5~
フランスシャラン産鴨肉のラグー&打木赤皮甘栗南瓜とヴァニラ・手長海老・フォアグラ・ズッキーニ・エストランゴンのジュを泡立て
ホウズキ・茄子・南瓜・牛蒡・トマトのサラダと共に
2種類のパンと泡の乗ったバター 小さなバケット他
アボガドのムース オレンジとシャルトリューズジョーヌのジュレ ショコラノワール ピモンデスプレッド
カフェ ハーブティー 青い1杯目と茶色い2杯目
おしゃべりのひととき 黒胡麻のマカロン ナツメヤシの生八橋 メロンジュース入り薄皮 パチパチチョコ
ミネラルウォーター Panna 1000円/1本

≪過去のワイン≫
開業2周年記念 5種類のシャンパーニュコース 9450円/120mlグラス×5杯 別途サービス料10%

NV CHAMPAGNE BRUT CUVEE INTENSE LENOBLE
NV CHAMPAGNE GRAND CRU BRUT BLANC DE BLANCS Pierre Callot 
NV CHAMPAGNE BRUT Sainte-Anne CHARTOGNE-TAILLET 
2000 MILLESIME CAMPAGNE SEC SUBLIME RESERVE Philipponnat
NV CHAMPAGNE Grand Siede 1.5L BRUT Laurent-Perrier
1996 CLOS DE LA Coulee de Serrant 2100円/120mlグラス
2008 CHATEAU QUINAULT L'Enclos 1470円/120mlグラス

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≪過去のレビュー≫
西麻布と南青山の境界、お寺の裏通りに、美しいガラスと照明のファサードが現れる。開業1年でミシュランの星を獲得した天才シェフの店。インテリアも空間自体も非の打ちどころのない完璧さ。サービスの気さくさがこれ以上ない心地良さの店「レフェルヴェソンス」。こんな店は他にない。本日は友人の誕生会。6人のパーティーの予定が3人に急用ができてしまい全部で3人になってしまった。マネージャー、ソムリエ、シェフを初めとするスタッフが代わる代わる顔を出してくれるので、寂しさなど全く感じない、とっても盛り上がった誕生会ができた。「レフェルヴェソンス」の意味は「泡」のこと。床のカーペットの模様も泡模様。料理も泡を意識した食材、調理法が多く、「泡を楽しむレストラン」がコンセプトのようにも思える。店のコンセプトに合わせ、泡からのスタート。

≪過去のワインと料理≫ 
NM シャンパーニュ・プルミエール・キュベ ブルーノ・パイヤール 2079円/120mlグラス (価格は税・サービス料10%を含む/以下全て同様)先日、妻の誕生会をしたばかりの「ガストロノミー・ジョエル・ロブション」と同じ泡。パイヤールが続いている。ミレジムでなくてもいい感じ。仕入れ値は1本4千円くらい。グラスで原価率3割は安くはない。まあ、普通か。ミレジムと違ってNMにはムニエが少々入っている。シャルドネが少ない分、まだ真冬には向いている。始めに店から勝負を挑まれる。 

アミューズ オリーブマリネ
マネージャーの説明、「オリーブはオレンジの味わいのものと、普通のものが1つずつ。ただし皆さんのをまとめてあるので、両方普通になる方も、1つずつの方も、両方オレンジ味の方も出る可能性がある。見た目が全く同じなので、運試しとなっている」とのこと。結果は、自分1人、両方普通。原価率などせこい事を気にしている心がけのせいかもしれない。これがほんとのアミューズ。誕生会らしくてとっても楽しい。 

ディナーはお任せコースの1種類のみ。 願いと光 17325円  

アミューズブーシュ 北の海から~ 
ツブ貝、生海苔、デコポンとフェンネルを2口で 
グラスの下にも泡が入っている。料理も泡仕立て。何から何までレフェルヴェソンス。デコポンは-296℃の絶対零度、窒素ガスで瞬間冷凍。冷たい。 

オードブル アップルパイ#2~ 手長海老、ほうれん草、フォアグラ、アーモンド 
黒い盆の上にはシェフからのメッセージ。「こどもの日の思い出」。まだ若いシェフのこどもの日は、あのハンバーガーチェーンのアップルパイが脳裏に淡い思い出として残っている。ほとんど同じ、あの赤いケースで乗っていて、同じように端を開いて取り出す。すると中身はアップル味ではなく、手長海老とほうれん草。これはワインにも合う。アツアツをフーフー言いながら食べるのは、やはりあの店を思い出す。でも欲しいのはシェイクではなく白ワイン。 

ワインは「デギュスタシオン・ド・ヴァン(3850円/90ml×4杯)]」。本当は、120mlが3杯ですが、皿に合わせて少しづつと我侭を言うと、嫌な顔一つせずに変えてくれる。何とフレキシブルな対応か。それではまずは白ワインから。 

2008 ドメーヌ・ジャン・ラトゥーユ・ラビーユ ムルソー・クロ・レ・メ・シャヴォー 
創業230年、ムルソーの老舗。ビオに近い生産者で知る人ぞ知るという低収量生産者。もう今日はこれでワインのストーリーが見える。知らないところ攻め。かなり嬉しい。ムルソーらしいほんのり蜜の香り。樽はあまり効いていない、すっきりムルソー。相当マニアックな畑。アップルパイ形状の手長海老に合う。 

パン 小さなバケットともう1種類 バターにも泡を乗せたレフェル仕様。 

オードブル 雪のように~ 甲イカと百日舞茸のポアレ、ピュレとクリュのカリフラワー、ブリーをレフェルヴェソンスに 
兵庫県産の甲イカがめっちゃ美味しい。ブリーでできた泡、これでもかの泡、泡攻撃が続く。カリフラワーとイカが合うのも初体験。 

2009 エーデルワイン 五月長根葡萄園・リースリング・リオン 
これは美味しい。イカとカリフラワーと、国産リースリング。日本のワインも特に白はいけるようになった。これはエーデルワインのフラッグシップ。五月長根葡萄園はリースリング・リオンもかなりのハイレベル。仕入れ値、1本2千円]くらいのものか。  

オードブル 丸ごと火入れした蕪とイタリアンパセリのエミュルソン、ハモンイベリコとブリオッシュ 
この店のスペシャリテは蕪料理。千葉県東庄町産の蕪を使っているので親しみも一入。なんと4時間7分かけて低温でゆっくり火入れしたそう。蕪に4時間。白金あたりの3つ星フレンチの肉料理でも3時間ですよ。柔らかく温かいのに、蕪のシャキシャキ感が残っている手品のような料理に感激。ここに来たらやはり蕪。 

2008 ドメーヌ・デ・ソーマド シャトーヌフ・デュ・パプ 
やはり超レアで来た。シャトーヌフの白自体が珍しい。しかも見たことも聞いたこともないドメーヌ。シャトーヌフの白がこれほど美味しいとは思いもかけない。蕪とイベリコの共演を脇から盛り上げる。仕入れ値は5千円クラスか。恐るべき謎のワイン。グルナッシュブランかクレレットの香りが南の白の印象をほんのり見せているが、味わいはボルドーの白に近い。ポアソンのアンコウにもぴったり合っていて驚く。 

ポアソン 黒の世界から~ 青森大間から来たアンコウをノワゼットで焼いて 
黒大根のピュレとクリュ、黒キャベツと黒オリーブ、ヴィネーグルレデュイ 
久し振りのアンコウは柔らかくてフラットな味わいで、絶妙な火入れとサービスされるタイミングがピッタリ。写真なんか撮ってる場合じゃない。黒大根のピュレとクリュは深海のイメージ。深海の底をゆったりと泳ぐアンコウ。深層水はシャトーヌフ。そしてやはり両サイドにレフェルベソンズ、泡、泡、泡。

フォアグラ ふるさと~ フォアグラのナチュラルと極寒純米酒、干し柿、田芹、アカザの実 
ピュアな味わいでしっとりした舌触りのフォアグラが美味しい。そしてまたもレフェルベソンス。今度の泡は純米酒を煮詰めて作った泡。胃に沁みる。 

グラニテに替えて 右と左で~ 金宣烏龍茶 
またしても驚きのマジック。何の仕切りもないのに、カップの真ん中から左右きっちり半分、烏龍茶の温度が違う。右側半分は温かく、左側半分は冷たい。いったいどうなってるのか。 

2004 ドメーヌ・ラ・サフレーヌ バンドール 
鹿に合わせてバンドール。やっぱりジビエには南の赤なのか。しかしこれはまたマイルドなバンドール。強さは微塵も感じない。ちなみにやっぱり見たこともない造り手。南仏プロヴァンスのバンドール。ムールヴェードル主体のAOCは唯一バンドールだけ。2004年はバンドールの当たり年。このまろやかさは樹齢の古さか、造り手の特徴か。それにしてもジビエに合わせる南のワインを、これほど繊細なもので攻めてくるとは驚く。 

ヴィヤンド 北海道白糠町の鹿、鞍下肉とそのジュ、白人参のピュレ、アジャン産プルノーと胡麻、芽キャベツ、ノコギリソウ 
なんと柔らかく、鹿肉の旨みを凝縮させた美しい火入れか。まさに完璧な鹿。白人参味も良いが、マダガスカル産の胡麻が効いている。添えられた芽キャベツが森の泡に見えてしまう。催眠術に掛かったような感覚。 

フロマージュ 厳選チーズ 
シェーブル他3種。超熟成でスモーキー。大好きな味。ディジェスティフに行ってしまう。 

ディジェスティフ カルヴァドス ポム・ド・イヴ 1980円/60mlグラス
ディジェスティフのワゴンも色々揃っていて迷う。ポム・ド・イヴがあるのにも驚く。イングリット・バーグマンの凱旋門で有名になったリンゴのブランデー。素晴らしい演出。 

デセール 壊したいスノーマン~ 苺とムースバナーヌ 
バニラアイス、アーモンドとココナッツ、マルガリータのジュレと野生ミントの泡、黒オリーブ 
雪の泡に囲まれた雪だるま。子供に帰って壊すと、中からはビックリのものが。 

デセール :軽快なモンブラン 
モンブランと言っても、実は飲物だった。 

カフェ ハーブティー 青い1杯目と茶色い2杯目 
またまたマジック・スペクタル。同じポットに入ったハーブティー。始めの1杯と、お代わりの2杯目で色が全く違う。いったいどういう手品なのか。 

:ミニャルディーズ 
チューブでお皿に落書きをする。童心に帰るアミューズでスタートし、童心に帰るミニャでラスト。:一貫したストーリー性を感じる。どうせ正体はバレバレなので、皿には葡萄の絵を描いた。ミニャの口の中でプチプチ破裂する昔懐かしい駄菓子風チョコが楽しい。お土産ミニャまで付いてくる。プチプチチョコ。 

ファサード、エントランスの美しさに目を引かれ、ウエイティング・ルームのコルビジェのソファーに心弾ませ、美しいダイニングルームに心を鷲掴みされ、天才シェフの美味しいお料理と楽しすぎる演出、気心が知れたような:寛ぎのサービスに心を奪われた。そして何より聞いたことのないワインたちとの未知との遭遇。素敵な料理たちとのマジックのようなマリアージュ。まさに完璧なレストランに出会ってしまった。脱帽。人生、長く生きてみるもの。 

  • 森と命 北海道白糖町から頂いた蝦夷鹿ロース肉のロティ 無花果と赤ワインのソース 菊芋と白味噌のピュレ シャントレル茸とのこぎり草
  • 焼き鱧とリドヴォーのポアレ 海苔香る甲殻類のジュと冬瓜 ディル オリーブオイル
  • 秋の悦び 稲藁で燻した戻り鰹 クレームドシャンピニオンと鰯いしると黒酢のレデュクション 辛味大根 ジロール 紫蘇の花

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4位

レストラン タテル ヨシノ 芝 (御成門、大門、芝公園 / フレンチ)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥20,000~¥29,999 ¥20,000~¥29,999

2012/01訪問 2015/01/12

ジビエとワインのマリアージュ

芝パークホテルのアネックス1階。パリのステラマリスで星を獲得した日本人シェフによる、日本での1号店。ミシェラン2つ星を2年連続で維持するタテルヨシノ芝。昨年は銀座から、現在日本でトップクラスのソムリエと言われる総支配人とその下の支配人が一緒に来て、この芝を盛り上げていたが、今年はまた銀座に戻ってしまった。しかし今の支配人ほか、スタッフのサービスは相変わらず心地の良い一流感で、昼から楽しいワイン三昧。 まずはいつものようにシャンパーニュ。

NM ドゥ・スーザ・エ・フィス シャンパーニュ・ブリュット・トラディション 2,079円/120mlグラス
税・サービス料10%込み
総支配人に奨めて貰った美味しいシャンパーニュ。真冬向けにちょっとピノの多めな伝統派。美味しい。

アミューズブーシュ チーズのシュー
この店のスペシャリテとも言えるシュー。シャンパーニュのベストパートナー。

ランチでもジビエが堪能できる。

メニュー・ド・セゾン 8,662円 税・サービス料10%込み 以下価格は全て同様
オードブル ホタテ貝のマリネとカブのエスプーマ 小さく切ったビーツと共に
底にホタテ。中はカブのエスプーマで、一番上がビーツの泡。きれいなカクテルグラス。カブがシャンパーニュに合う。ホタテのマリネが駄目な人には代わりに、南仏産の栗のスープ。

パン 細いミニバケット
ミネラルウォターはホールスタッフがちょくちょく注ぎに来てくれる。
泡なしのフランス産 577円/1人

そろそろ白ワインかなと心の中で思うと同時にささっとソムリエ。銀座に戻った総支配人のお奨めシリーズで宜しいでしょうかとのこと。引継ぎができている。

2009 ドメーヌ・ヴァンサン・デュルイユ・ジャンティアル リュリー プルミエ・クリュ レメカドヴィエーユヴィーニュ 2,079円/120mlグラス
このリュリー、美味し過ぎで反則。あまりに美味しいので、当店で買い占めてますとニコヤカにソムリエ。楽しい。とてもリュリーではない。さすが15年前の初リリース以来、ベビーモンラッシェと評価されるだけはある。まさに酒質はモンラッシェに匹敵する驚きのワイン。こんなコスパのいいワインを飲むのは初めて。 

ポアソン 季節野菜のエチュベ セップとカダイフの衣をまとったアナゴのフリットとソースエミュルション トリュフ風味
アナゴのフリットが美味しい。セップとともに絶品。リュリーと絶品コンビ。そしてこのエチュベの美しい配列。
スープ キジのブイヨン仕立て 腿肉のキャベツ包みとクネル
キャベツに巻かれたキジの腿はほとんど刺身。同じキジをムースにしたクネルと対極させている。この2極対比は流行のよう。今年は正月からジビエ三昧。キジに合せるワインは。

2008 ドメーヌ・アルロー シャンボール・ミュジニー 2,310円/120mlグラス
アルローも総支配人が奨めてくれたドメーヌ。あの時はモレ・サン・ドニ、今回はキジのためのシャンボール。あれ以来、このアルローには嵌っている。シャンボールなのに、ビオなのに、あの嫌いなフランボワーズの香りやビオらしさが全くしない。優しい口当たりと複雑な味わい。幸せなワイン。キジの刺身に合う不思議な組合せ。ワインは分からないもの。

ヴィヤンド 本日のジビエ料理 ピジョンラミエのロースト パースニップのピュレ
シェフが、生肉のお嫌いな方には無理だと思いますと、女性用は牛頬肉の赤ワイン煮に替えてくれている。このシェフ、客のの好みを完璧に把握してくれている。銀のボールの蓋を開けると、皿の中には見るからに濃厚な森鳩が。確かにこの鳩の足を見ただけでもう無理と言う女性も多い。替えて貰っていて良かった。パースニップのピュレは見た目は人参色で、味はじゃが芋。不思議な食べ物。美味しいが。ピジョンラミエは味わいも見た通りに濃厚でうれしい。合せるワインは。

2005 ☆シャトー・リオナ 2,310円/120mlグラス
またまたまた凄い。エチケットには家族専用とフランス語が。サンテミリオンの有名シャトーが自分たちで飲むためだけに造ったワイン。何故ここにあるのか訪ねると、今は売られるようになっていますとのこと。まさにブルゴーニュのグラン・クリュと言われても全く分からないすばらしいワイン。2005年は出来も最高。原価は1本4千円は超えるものと思われる。グラスワインでこれだけ安いフレンチは貴重。ブルゴーニュのグランクリュクラスに近いこのワイン、ピジョンラミエと抜群の相性。

デセール マロンのエクラゼに軽やかなメレンゲを添えて
柔らかいメレンゲをサクサク壊して、添えられたラムのボンボンも壊し、ラムをメレンゲに混ぜ合わせる。聞かないと食べ方が分からない。これはディジェスティフを頂きたくなる。

アンリ・ジロー ソレラ・ラタフィア・ド・シャンパーニュ
ソレラは珍しい。さすが。こんなものまで置いているとは。しかもアンリ・ジローのシャンパーニュ。嬉し過ぎ。

カフェ 紅茶

本日も完璧なショーを見せて頂いた。ジビエとワインによるマリアージュの宴。昼からとは言え十分堪能。隣のテーブルでは結婚記念日の若い2人がスタッフに歌を歌って貰っている。こっちはほんとのショー。テーブルはゆったりしていて、ダンスホールのようなインテリアはいかにも伝統的というより昭和を感じる雰囲気。でもこのゆったり感が良い。これで大理石張りの内装にでもしたら、この値段で食事はできなくなる。いつまでもこんな感じでお願いしたいもの。折角きたので、みやげはサブレカフェ(630円)をいっぱい買って帰ることに。

  • ヴィヤンド/本日のジビエ料理/ピジョンラミエのロースト、パースニップのピュレ
  • 泡/ドゥ・スーザ・エ・フィス/シャンパーニュ・ブリュット・トラディション/NV
  • チーズのシュー

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5位

カンテサンス (白金台、目黒 / フレンチ)

1回

  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥15,000~¥19,999

2012/11訪問 2012/11/17

5年連続ミシュラン3つ星に輝く白金の名店

徹底的に美味しさを追求するアスリートのようなシェフ。今年で5年連続ミシュラン3つ星を獲得し続ける料理は、素材、火入れ、味付けという3つのプロセスに拘ったストイックで新しい、オリジナティ豊かなフレンチ。メニューは昼、夜ともにお任せコース1種類のみ。その時々の最も素晴らしい素材を使い、その仕入れた時の状態を見てメニューを決めるため。

昨年、レストランを買い取りオーナーシェフとなった。以来、ますますオリジナリティに磨きがかかっている。支配人はブルゴーニュの畑で働いたほどブルゴーニュワインの虜でもある。その仕入れたワインの在庫も素晴らしい。あまり酒を飲めないシェフは、珍しいリキュールなどを惜しみなく料理に使ってしまうと支配人が苦笑する。なんと楽しいレストランだろう。


場所は白金、プラチナ通りの一番下に近い。医科研の裏側となる。通りから少し入ったところの、下駄履きマンションと言うには白金らしい小洒落た建物の1階にひっそりとエントランスがある。

あたかも意図的に目立たぬようにしているようにも見える、オフィスのエントランスのような構え。料理に基本的なコンセプト重視の思いを詰めるように、店の構えもあくまでシンプルに、華美な装飾を嫌った結果が現れている。

インテリアも白を貴重にしたパリの街角にありそうなモダンデザイン。重厚過ぎず、クラシックでもカジュアルでもない、シンプルモダンの真骨頂。全てが料理に対する思いと重なり、あまりのストレートさに気持ちが良い。体育会系の徹底度合いを憶える。


料理はその時々の旬の魚と肉、その状態に合わせた調理法が毎回楽しみ。今回が5回目の利用になるが、毎回、いつ誰と来たかを確認され同じものは絶対に出さないという念の入れよう。この辺りもいわゆる体育会系。毎回答えるのが面倒なので、今回からリストにして過去何を食べたか分かるようにしている。

そして拘りの素材に対する、火入れへの尋常ではない更なる拘り。魚、肉の低温長時間調理は当たり前。3時間、4時間という時間を掛けて、何度も何度も火入れをする。特に魚料理が素晴らしい。どんな魚であろうと、全身をシェフに委ね、ピンクの肌を晒し、へなへなにならざるを得ない。あらゆる魚たちが文句の付けようがない美味しさとなる。

肉料理は牛、豚、鴨など、その日の状態により、いろいろな調理を楽しめる。今日は何が出てくるのかと毎回わくわくできる。スペシャリテは有名な山羊のバヴァロワ。塩とオリーヴオイルのための1皿。ゲランド産の大粒の塩と、その時々の最高のオリーブオイルのブレンド。百合根とノワゼットは塩とオイルを味わうための材料。これこそまさに体育会系料理。


ワインはブルゴーニュ好きの支配人が集めたコレクションが素晴らしい。飲み頃のロマコンが並んでいるワインセラーに目を奪われる。もし死ぬ前の最後に好きなものを食べて良いと言われたら、この店のワインと言うだろう。


写真撮影は禁止。ただし、2室ある個室のみ、携帯電話や音の出るカメラでなければ、周りに迷惑を掛けない範囲で撮影できる。アスリートのようなシェフと支配人の作る料理と、厳選されたワインには、食べる側もアスリートの優しさが求められるということか。最後に見送ってくれるシェフや支配人、見た目にアスリートらしさは微塵もない。慈愛に満ちた、遠慮がちな笑顔に、またすぐにでも来たくなる店でもある。


≪今回の料理≫

お昼のお任せコース 7500円 別途サービス料10%・消費税


アミューズ 冷たいオニオングラタンスープ

スペシャリテ 塩とオリーブ油が主役 山羊乳のバヴァロワ


オードブル マッシュルームのケークサレ

パン


ポアソン 萩の甘鯛 ソース・フィザリス

ヴィアンド 蝦夷鹿の3時間ロースト


デザート マカロンパッション

カフェ エスプレッソ

プチフール サヴァランのキャラメリゼ


≪今回のワイン≫

NV CHAMPAGNE gran cru brut Francois Seconde 12000円/1本

2010 TRAISENTAL RESERVE Gruner Veltliner 90mlグラス

2008 Sancerre Vincent Pinard 90mlグラス

2006 CHASSAGNE-MONTRACHET 1ER CRU VIEILLES VIGNES Domaine Marc Morey & Fils 90mlグラス

2010 CHASSAGNE-MONTRACHET DOMAINE JEAN-MARC MORRET 9000円/1本

Calvados 14 Ans Chateau du Breuil 45mlグラス


* * * * * * * * * *


≪過去のレビュー≫

プラチナ通り沿い、医科研のちょうど裏側になります。古川橋方面から来ると坂の登り始め右手。4年連続ミシェラン3つ星、シンプルで本物に拘ったインテリアも素晴らしい「カンテサンス」。 

いつものように仲良しの「から○○」様からお誘いを頂きました。今まではワイン会(ただの宴会!?笑)のノリでしたが、今回は初めてのランチ会。珍しいこともありますね。まあ結局、昼からワイン会になるだけでしょうが・・・(笑)! 

カンテサンスはあちこちで名前を聞きますが、同時に予約が取れないお店と聞いていたので伺うのはあきらめておりました。でも取れる方は取れるんですね・・・。前回来店時に今回の予約をしたそうです。 

この辺りは昔飲み歩いた場所から遠くありません、勝手知ったる道。カンテサンスの前も何度も通ってます。会社からタクシーでお邪魔しました。お昼の遅い時間は道も空いていて、丸の内からは25分とちょっと。エントランスもシンプル。中に入るとウェイティングのソファーに皆さんお揃いです。午前中の会議が長引いてギリギリでした。すみません。 

6人全員揃ったところで壁一面がワインセラーの嬉しい個室へ。おー、今まで飲んだロマコンの中でも、一番美味しかった1983年のロマコンが2本もあるではないですか~。DRC、ルフレーヴ初め、熟成ブルゴーニュの宝庫です。総資産おいくら(笑!?)。 

すると支配人、「では本日はこれを開けると言うことで・・・」。ロマコンですか~。すみません本日は持ち合せがちょっとだけ足りません・・・(笑)。興味を持った1人が伺いました。「ちなみにおいくらですか?」。「私の一存です。まあ、原価は1本150万円くらいでしょうか?」と支配人。おちゃめですねー、超楽しい~♪ 

メニューは有名な白紙。真っ白な大理石調の重い板。皆さん何度も来ている方々ですが、これはこのお店の神事のようでもあります(笑)。スタッフの皆さんが楽しんでいるからこそ、お客さんも楽しいんでしょうね。この雰囲気は好きです♡ 


まずはお昼だろうと何だろうと次の予定にかまわず、泡からいきましょう(喜)! 

/「RM・ピエール・ペテルス/シャンパーニュ・グラン・クリュ・キュヴェ・ドゥ・レゼルヴ・ブリュット・ブラン・ド・ブラン・ル・メニル・シュール・オジェ/NV(2,080円/グラス/120ml/税・サービス料10%込み)」/支配人の説明が詳細で掘下げタイプ!とにかくワイン好きにはたまらない口上付きワインサーブです。 

曰く、「クリュッグ、サロンを有名にした村、メニル・シュール・オジェ。17しかないグラン・クリュの村の1つ・・・」。美しいシャンパンゴールドですねー。泡はグラスに満遍なく、しかも細かく上がってくるタイプ。すっきりして酸味の淡い美味しさ。さすが、「ステンレスタンクのモンラッシェ」と呼ばれるレコルタン・マニピュランのシャンパーニュ。 

仕入れ値は5千円程度のものと思われますが、本日の真夏のような30度近い秋のお昼に飲むには最適な泡です。原価率は4、5割とグラスにしてはかなり良心的。何だかいきなり、支配人の掌に乗っちゃった気分です♪ 

 ≪お任せコース(8,660円/税・サービス料10%込み・以下価格は全て同様)≫ 

アントレ/「ガルビュール・ジャポネ」/ガルビュールと言うと、南西地方のワインと料理のお店、赤坂の「コム・ア・ラ・メゾン」を思い出してしまいますが、こちらはお上品。あちらの溢れる野趣のスープがあるべき姿なのかもしれませんが、日本的に、と言うかこのお店風にアレンジ。 

見た目も美しくガラスの器入りですが、食感を重視して梨の細ま切れを入れています。支配人の説明では「新高梨」、新潟で新たに梨を生育するため、高知の品種を掛け合わせて作ったので、両方の地名を取った梨で、大きさは30センチ近い梨の王様。食感をメインに甘みを抑えた品種を選んでいるようです。 

シャンパーニュはあっと言う間に空いてしまいます。白ワインに移りましょう。しかしお昼なのに皿数を考えるとワインを飲み過ぎてしまいそうです。う~ん何を優先しましょうか?すると支配人、「料理に合せてお出ししますよ。量の制限はどのくらいですか?それでは全てハーフサイズで出させて頂きます」とのこと。え~、ビックリ!まるで行きつけのレストランと同じ対応ではないですかー!  

白ワイン/「シャトー・パラディ/コトー・デクサン・プロヴァンス/2010年(1,040円/グラス/60ml)」/「パーカー100点満点の造り手が集まって立ち上げた南仏の白ワイン。粘土石灰質がテロワールの特徴です・・・」とまたも支配人のワイン教室。嬉しい~。しかしステンレスタンクの魔術師系が続きますねー!フルーティーなのにふくよか。不思議な柔らかさです。梨に合います! 

この2010年は完全にビオ化した初リリース。聞けば支配人、カリフォルニアで葡萄造りをしていたそうです。葡萄から醸造、販売まで携わり、日本に戻ってこの世界に・・・。なるほどワインの好みが現代的な訳です。しかしセラーの中の熟成ブルゴーニュとは対極ですね! 

アントレ/「塩とオリーブオイルが主役、山羊乳のバヴァロワ」/このお店のスペシャリテ。「必ず出します」とのこと。濃厚オリーブオイルを中心に3種類をブレンドしたオイルだそうです。山羊の乳は大好物。フロマージュは必ず山羊を選びます。トッピングのお塩と共に口に運ぶと、油と乳と塩の超絶マリアージュ(笑)。 

アントレ/「ポロ葱と海老」/この時期の西洋葱は香りも柔らかです。白い柔らかい部分を、まるでパスタのように細かく裂いたもの。言われなければ葱とは思いません。これとプリッとした小海老、クルトンのように揚げたトッピングの3色を合せて頂くと、これも素敵な組合せ。おいっし~☆ 

もー我慢できません・・・。ブルゴーニュを、と言いかけると、支配人が撫で肩のボトルを持って立っているではありませんかー!心の声を聞くタイプの方です(笑)。 

白ワイン/「ジャン・マルク・ボワイヨ/モンタニー・プルミエ・クリュ/2009年(1,040円/グラス/60ml)」/ボワイヨ兄弟はいずれも大好きです!しかも早飲みできるモンタニーの2009年。嬉しい思し召し(笑)。 

熟成させて飲むタイプではありませんが、あたかも熟成したような柔らかさを持つワインです。今日はもう笑いが止まりません!これも仕入れ値3千円程度ですから原価率は3割。値段はグラスの洗い代のみですね(笑)。  

ブルゴーニュの出番となったところで、お魚さんの登場です! 

ポワソン/「鰆、ヴェント・デスターテと沢山の柑橘」/噂の火入れマジック!マジックは失礼ですね。真面目で完成されたお料理。しっかりと季節の素材をセレクト。しかし素材を超える味わいを、火入れと味付けから目指すシェフの真骨頂。8.5キロ(!?)の鰆をまるごと火入れしているそうです。その方が、中が柔らかいまま全体に火が行きわたるとのこと。 

あわ~いピンクの切り口が、シェフの意図を全て語っています。支配人はボワイヨと鰆を結婚させるやり手の仲人好きおば様でしょうか!?アーモンドと言うよりシナモンのニュアンスをあっさり目に持つプルミエ・クリュ。夏の風「ヴェント・デスターテ」の樽香のチーズ味にピッタリですね。超絶火入れの鰆をワインと夏の風が両サイドから挟みこんで盛り上げている感じ。 

もー感激の連続でお肉まで気持ちが切れずに持つか心配です(笑)。赤ワインはブルゴーニュしか考えられないんですけど~。当然のように「既に決まっております」と支配人。そーでしょう、そーでしょうとも・・・。 

赤ワイン/「ドメーヌ・エルヴェ・ジゴー/シャンボール・ミュジニー・プルミエ・クリュ・レ・センティエ/2004年(1,160円/グラス/60ml)」/ジゴーは珍しいですね。しかもレ・センティエ!ボンヌ・マールの東隣でレ・ブドの北側。シャンボールのフランボワーズとスパイスの香りは嫌いですが、北の外れボンヌ・マールは別格です。 

このワインはプルミエ・クリュとは思えません。グラン・クリュの香り。ほとんんどモレ・サン・ドニですね。シャンボールよりジュヴレに近い・・・。嬉しい~。大好きな味わい。「2004年は今が飲み頃」と支配人のお墨付き! 

ヴィヤンド/「群馬芋豚の3時間ロースト、香茸ソース」/出た!3時間、30回の火入れ。外はカリッと、中は均一に柔らかーく火が通っています。30回の出し入れで余分な脂は完全に落ち、コラーゲンが残っています。美味しい上に健康的。 

おまけにこのブルゴーニュに合いますねー。支配人の説明では、芋などの飼料を使って育てた豚は、自らうまみ酵素を沢山作るようになり、美味しい豚となるそうで、群馬県の生産者から入れているそうです。ソースは香りも味わいも深い香茸、贅沢ですねー、秋の高級茸。そのまま食べたいくらいです(笑)。飲み頃ブルのお伴です。 

背骨もあばらも付けたまま火入れすることにより、肉を縮めずにローストする、考えただけでも手間のかかるお料理。これだけ完全に仕上げるのも、ほんとーに大変だと思います。 

パンはメゾンカイザー、バターはフランス、グランフェルマージュの無塩とのこと。魚藍坂下まで買いに行ってるんでしょうか(笑)。 

デセール/「ボヤ騒ぎのガトー・オペラ」/ちょっと変わったオペラです、スパイシー!だからボヤ騒ぎ?もともとお酒を使わずに作るガトー・ショコラに信じられないようなお酒を混ぜてます。掟破り!瓶ごと見せてくれました。1976年の「アードベッグ/シングル・アイラ・モルト」。何とアイラのシングル・カスクを使ったそうです。 

「折角素晴らしいモルトを手に入れたと喜んでいたら、シェフに取られて料理に使われてしまいました・・・」と悲しそう(嬉しそう)な支配人。アードベッグは1978年に一度生産を止めてます。その前のモルト。そのまま飲ませて欲しいんですけど~(笑)。 

デセール/「丹波産、栗のガレット」/季節感のあるデセールですねぇ~。でもお腹いっぱい・・・。 

デセール/「メレンゲのアイスクリーム」/これもこのお店のスペシャリテだそうです。トッピングが毎回いろいろ変わるとのこと。このお店の特徴として、素材の組合せの妙というのもありそうです。 

カフェ/「レモングラスと西洋菩提樹のハーブティー」/カフェは珈琲、エスプレッソ、紅茶、ハーブティーなど。ハーブティーは、「レモングラス」、「カモミール」、「西洋菩提樹」の3種がありました。ご一緒して頂いたお美しい女性が「ブレンドして頂けますか?」とレモングラスと西洋菩提樹のブレンドをお願いしました。それでは同じ物をください。付和雷同(笑)。 

香り高いレモングラスと香りの無い西洋菩提樹のブレンド。詳しいですねー。でも私はデセール、カフェよりディジェスティフ(笑)。 

ディジェスティフ/「リキュール/アマレット(2,540円/グラス)」/最後は今日のお料理に合せた〆を!とお願いすると、なんと超古酒の杏のリキュール。これは濃厚、強烈、お値段もいい感じですねー(笑)。あっさり甘いのに、濃厚な杏の味わいがちょっとピリッと・・・。不思議なお酒です。素晴らしい〆でしたー♪ 

オーナーシェフがかつてスーシェフを務めたパリ16区のレストラン、アストランス。シェフはこのスタイルを継承しているそうです。シェフが入社した時には1つ星だったお店。翌年2つ星に昇格。そして、この師匠のお店も、2007年に3つ星に輝きました。今やパリで最も予約の取り難いレストラン。 

カンテサンスの3つ星獲得は翌2008年。ついにパリの師匠に追いついた日本人シェフ。世界中からの予約電話が鳴りっぱなしとなる理由も分かります。これからも日本で最も予約の取り難いレストランとして、世界中に、日本人の繊細さ、味覚の素晴らしさ、そして食文化の素晴らしさを発信していって欲しいものです。 

誘ってくださった「から○○」様を初め、ご一緒頂いた皆様のお蔭で本当に楽しい食事ができました。ありがとうございました。また呼んでください。 
ちなみに次回、妻と2人で来ようと予約をお願いしたところ、「予約受付期間の2ヶ月以内はディナー、ランチとも全て満席です」とのこと。から○○様、いったいどうやって予約されたんですかー! 

  • 萩の甘鯛 ソース・フィザリス
  • NV CHAMPAGNE gran cru brut Francois Seconde 12000円/1本
  • 冷たいオニオングラタンスープ

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6位

虎白 (飯田橋、牛込神楽坂、神楽坂 / 日本料理)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥20,000~¥29,999 -

2013/07訪問 2013/07/07

神楽坂の粋と極上の居心地

今風の軽い味わいを伝統的な日本料理に取り入れる先駆者。石かわグループ3店舗の中では、石かわよりも洗練さを感じる。洒落たシンプルモダンのインテリアや、垢抜けた着物姿の女性スタッフのサービスも、料理同様に軽さと伝統のバランスが素晴らしい。ミシュランは石かわに3つ星、此の店に2つ星を付けてはいるが、伝統を守ることに重きを置く石かわに対して、この店にはより新しさ、オリジナリティを感じる。

コースの構成は、先物、揚げ物、しのぎ、お椀と続くオーソドックスな日本料理。造りや焼物、煮物は言うまでも無く、全ての皿に季節感を織り込むことを重視している。旬の走りのみを追い求めず、盛りのみにも拘らない。鮎、鯵、金目、太刀魚、穴子に甘鯛と、夏なら夏の走り、盛り、名残をこれでもかと散りばめる。野菜や肉にも素材の選択に気を使うが、この魚の流れだけでも感激できる。まさにバランスの素材選択。

今回の稚鮎の天婦羅には、技の凄ささえ感じる。苦味の強い新鮮な稚鮎を、揚げた後に笹の葉で燻し、濃厚な香りとぶつけ合う。八角の塩と合わせると複雑な初夏の味わいが高度に完成されていく。きんと冷やした美味しい日本酒が心底欲しくなる。

造りの金目の炙りは、出汁のジェレの海に泳いでいる。かなり大胆に酸味を効かせたジュレと、しっかりした味わいの金目の組合せが、伝統を超える美味しさ。ある意味これは、従来の日本料理ではない。太刀魚と新玉葱の焼物が、さらに一歩進んでいる。鰹と昆布の出汁に一晩漬けたトリュフのクリームスープ。もはやこうなるとフレンチの近い。

シャンパーニュは季節の料理に合わせ変えている。夏はレコルタンマニピュランでは日本でも名を馳せるシャルトーニュタイユ。シャルドネ主体の夏らしいキリッとした口当たりと軽い中にもクラシックな味わい。セレクトのセンスが光る。日本酒は東洋美人や貴と山口県産が並ぶ。日高見などの東北を代表する銘柄も揃えていて嬉しい。

場所は地下鉄東西線、飯田橋駅B3出口を出て、神楽坂下から早稲田通りを登り、2つ目の路地を左に入ったすぐ先。右手に見える。黒い竹張りの外壁は、昔の料亭街にある風情を今風にモダンアレンジした設え。石張りの床が続くアプローチには、格子窓から洩れる明かりと地袋風のニッチの間接照明が気持ちを高ぶらさせる。エントランス脇の箱庭の前の陶製の狛犬が、急く気持ちを落ち着かせてくれる。

この店はあらゆる意味で、今や神楽坂における日本料理の頂点、模範、尺度となっている。

≪今回の料理≫
おまかせコース 13000円

先付 今朝上げた生白湯葉 長芋とトンブリ 生雲丹
揚物 稚鮎とヤングコーン 笹の葉で燻した天婦羅 八角塩
凌ぎ 鯵飯蒸し 海苔酢 眼葱
椀物 バイ貝と白胡麻を練った豆腐 花山椒
造り 金目鯛の炙り 酸味の効きいた出汁のジュレ
焼物 太刀魚と新玉葱の炭火焼き トリュフソース
冷物 牛タン 車海老 白芋茎
煮物 穴子 水蓮菜 蕪
食事 甘鯛 碓井豆 炊き込みご飯 味噌汁 香の物
デザート 黒豆 抹茶ムース ラム酒シャーベット カラメルソース

≪今回のワイン≫
NM CHAMPAGNE BRUT Sainte-Anne CHARTOGNE-TAILLET 7800円/1本

≪今回の日本酒≫
超辛口純米酒 日高見 平孝酒造 宮城県 1260円/1合
純米吟醸 東洋美人 澄川酒造場 山口県 1460円/1合
長州の純米酒 貴 原田酒舗 山口県 1260円/1合

* * * * * * * * * *

≪過去のレビュー≫
カウンターで料理長とのやり取りを楽しむ、今流行の日本料理店のスタイル。「石かわ」からの流れは当分止まりそうもない。その石かわに最も近いと思われる店。料理長は石かわ創業メンバーで一番弟子。季節の素材を組合せ、ビジュアルも大切にした楽しい日本料理。香りと食感に季節の記憶を留め、旬の走りから名残まで散りばめた素材の組合せと美しい皿は、右脳と左脳を同時に働かせる魅力を持つ。シャンパーニュに合う先付けから、濃厚な日本酒に合う肴の数々。ミシュラン2つ星の日本料理に文句の付けようはない。

白を基調としたインテリアと艶消しのクリアなカウンターはまさに和モダンの骨頂。料理長のセンスを伺わせる。7席のカウンターはいつも常連で満席。この店の楽しさは、やはり料理長と話しながら酒と肴を楽しむカウンターにこそある。

料理はお任せコース、13000円と15000円。季節の彩り豊かな皿の数々と食事、デザート。真夏の素材の構成は紫雲丹、若鮎、金目鯛、サマートリュフ、ジュンサイ、冬瓜、トウモロコシなどの組合せ。とにかくビジュアルが美しい。緑豊かな蓮の葉に乗った雲丹の殻。神楽坂の夏祭りに合わせ、蓮の葉商いに掛けた演出もアミューズを越えたインタレストが溢れる。スダチのジュレには紫雲丹が長芋、飛子、湯葉と絡み、混ぜ合わせた食感と味わいは、複雑にして爽やか。まさに蓮の葉に乗るに相応しい極上の仕上がり。

若鮎を薄く割いて揚げたかき揚げは斬新。鯵のたたきの寿司は餅米との食感のコントラストが秀逸。香ばしく焼かれた金目鯛には、サマートリュフが掛かる。房総沖の珠玉の魚にピエモンテの至宝を組合せる妙。梅香る鰻ご飯に至っては、神楽坂の粋の極み、江戸モダン。

シャンパーニュはレコルタン・マニュピュラン、ジョゼ・ミシェルを置いている。長熟ピノ・ムニエの雄。コストパフォーマンスが素晴らしい造り手。ワインに精通していることを伺わせるセレクション。スダチのジュレが絡む紫雲丹に合う。

各皿に合わせたお任せの日本酒には、日高見や田酒が出される。津波で甚大な被害にあった石巻や地震の被害を受けた青森の蔵元。日本人の思いやりの心を思い出させてくれる。

この店には江戸モダンのエッセンスが溢れている。洒落と理性を併せ持つ料理と演出の数々。インターナショナルな素材のセレクトやビジュアル。明るく動きの良いスタッフに囲まれて、美味しさを超えた感動を分けて貰える。「石かわ」、「虎白」、「蓮」の3店舗を経営するこのグループは、今や神楽坂自体を支えていると言っても過言ではない。

≪過去の料理≫
お任せコース 13000円

先付 紫雲丹の殻雲丹 湯葉 酢橘のジュレ 長芋 飛び魚の子
油物 若鮎のかき揚げ 昆布に漬けた塩 炭火で焼いた肝の裏濾
鯵寿司 鯵のタタキ 土佐酢の餅米 海苔のソース
椀物 穴子のシンジョ 白髪葱 芋茎
向付 フッコの2種類の梅浸し 鰹と昆布の出汁
鉢肴 金目鯛と胡麻豆腐 サマートリュフ掛け 醤油のソース
強肴 桃と毛蟹 ジュンサイ 焼きトウモロコシ 柚子の香り
止肴 車海老 夏野菜 赤万願寺唐辛子 冬瓜 インゲン
味噌漬け豆腐
食事 鰻ご飯 赤出汁
香物 山芋 昆布 牛蒡
水菓子 桃のシャーベット ラムムース マンゴー

≪過去のワイン≫
NV CHAMPAGNE BRUT Tradition JOSE MICHEL & FILS 8400円/1本

≪過去の日本酒≫
純米吟醸 日高見 平孝酒造 宮城県 1260円/1合徳利
特別純米 田酒 西田酒造店 青森県 1365円/1合徳利

  • 造り 金目鯛の炙り 酸味の効きいた出汁のジュレ
  • 焼物 太刀魚と新玉葱の炭火焼き トリュフソース
  • 冷物 牛タン 車海老 白芋茎

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7位

神保町 傳 (神保町、九段下、竹橋 / 創作料理)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥15,000~¥19,999 -

2013/11訪問 2014/02/22

神保町に慈愛の日本料理

客への愛、素材への愛、料理そのものへの深い愛情。心優しい大将や美人若女将をはじめとしたスタッフ全員が、客を心から慈しむ愛を持っている店。季節の素材に強くこだわり、客が食事を楽しむことに全力を傾ける。その素材の選択はもとより、素材を最も活かす方法をじっくり考え、徹底して手間を掛けている。その手間を惜しまぬ弛まぬ研究と努力は、同時にサービスの形となって現れ、自然と客に伝わって、世界中からやって来る客全員を一瞬にして虜にしてしまう。

今回は北海道産の黒毛和牛。腿肉は先付で一口カツ風に仕上げられている。こんな甘みのある牛肉は食べたことがない。野菜を使った出汁に、たっぷり手間隙かけて漬けた腿肉の甘みが素晴らしい。ロース肉は〆の土鍋で炊込みご飯となる。やはり甘みのあるサーロインが、ご飯全体を仄かな甘さに引き立て、文句のない美味しさを実現している。

鰤大根と言う名の造りは新潟県佐渡産の寒鰤。3日間熟成させた鰤の旨みは最高の状態に凝縮され、食べる端から頬が蕩ける。乗せられた金色に輝く飛び子と深緑のトンブリが、柔らかく厚みのある鰤と食感のハーモニーを奏でる。ブロッコリーのスプラウトがビジュアルの楽しさだけではなく、さっぱりとした味わいで箸休めに丁度良い。

芋の熟成は難しい。しかしこの熟成海老芋の芋とは思えぬ甘さは絶品。焼かれた山口県産の鰆の火入れも、そのふわふわの柔らかさが全体に均等であることに驚きを覚える。海苔のソースと柔らかな鰆の組合せも素晴らしい。添えられた3種類のキャベツも甘さが秀でている。この店の野菜は畑での作りから丁寧さが違う。生産者と料理人の素材を慈しむ気持ちが、皿の上に溢れていて感動的。

この店の料理は常に素材の選択が季節にストレートで気持ち良い。春なら新筍、夏の鱧、鮎、玉蜀黍、秋の松茸。旬の定番をこれでもかと旬の野菜、魚に合わせてくる。しかし押し付けがましさは微塵も感じない。全ての素材があたりまえのように皿の中に存在する。手の込んだ料理も、その苦労を表に出さず、水面下で水をかくスタッフたちに伝わる技の凄みが垣間見える。

流行りの薄味も、しっかりとした素材本来の味わい、白魚の繊細さ、鱧の肉の味、玉蜀黍のそこはかとない甘みなどを損なうことなく表現している。最近の健康的な料理の典型。塩や脂をほとんど感じない日本料理。素材本来の味わいとは正にこのこと。話題の低糖質も初めから実現されていた。

大将の楽しい演出は、素晴らしいスタッフに支えられている。若く美しい女将の気遣い。大将の料理を脇で支える、やる気満々の料理人たち。ミシュラン店を目指して来る外国人観光客に、ネイティブな英語で対応するスタッフ。この店には成長に必要な心の余裕が満ち溢れている。

各皿に合わせる日本酒のセレクションも信頼が置ける。日本全国の拘りの銘酒を探し出していて、大将の日本酒好きは相当のレベル。値段に関係なく、ひたすら良い造りを目指す蔵元が揃っていて驚く。素材を追い求めて、食べる人の驚きと喜びを追求する大将は、その料理に合わせる日本酒にも驚きと楽しみを忘れない。料理と日本酒の組合せには、伝統への限りない愛を感じる。

今回は和歌山県産の純米吟醸無濾過生原酒シリーズに感動した。紀土は外国人を意識してKIDと読ませる。口当たりの良い、アルコール度の高い生酒。同じ紀州の南方は熊楠を意識した日本酒の原点に迫る日本酒。こんな楽しい飲み比べは早々出来ない。石川県の花さかゆうほや、静岡県の雅の粋など、今日来るであろう客をイメージして大将やスタッフが予め選んでいた日本酒に、この日の世界中から集まったゲストたちも感動を隠さない。

場所は地下鉄神保町の駅から出てすぐ。コンビニエンスストアの角を路地に入った先、左手。寿司屋の手前の一戸建。ごく普通の住宅にも見える落ち着いた店構え。敷地に入ると道路からは控えめに隠れた、塀の裏側がエントランス。真新しいインテリアは、今人気の日本料理店らしいクリアなウッディ感。シンプルで飾り気のない空間は、料理とお酒、サービスを楽しめる雰囲気を感じる。

トータルのパフォーマンスが非常に高い店。どの客も料理に、日本酒に、サービスに心を打たれ、大将のエンターテイメントに笑いを堪えることができない。そして会計をするとさらなる驚きが待っている。こんなに買い得価格で良いのだろうか。間違っているとしか思えない。スタッフ全員がここまで客のことを思い、客と素材と料理そのものに限りない愛を注ぎ込む店は、そうはなかなかないだろう。

≪今回の料理≫
お任せコース 大将お任せの日本酒と共に 16000円/人

一口カツ 出汁と野菜に漬けた北海道産黒毛和牛の腿肉
甘い熟成海老芋 湯葉掛け 柚子の出汁と共に
デンタッキー 黒米入り

熟成させた佐渡産寒鰤 ブロッコリーのスプラウトと卸し大根 飛び子とトンブリ
山口県産鰆焼き 海苔のソースで 縮みキャベツ 黒キャベツ 芽キャベツと共に
お姉さんの作る彩り野菜

蕪と芝海老の椀物
北海道産黒毛和牛サーロインの土鍋炊込みご飯
日向夏とクリームチーズ

≪今回のワイン≫
NM FRANCIACORTA BRUT '61 BERLUCCHI

≪今回の日本酒≫
紀土 純米吟醸 無濾過中取り原酒 Shibata's KID be fresh 平和酒造 和歌山県
南方 純米吟醸 無濾過生原酒 しぼりたて 世界一統 和歌山県
遊穂 純米吟醸 花さかゆうほ 生原酒 うすにごり 御祖酒造 石川県
国香 雅の粋 特別純米酒 国香酒造 静岡県

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≪過去のレビュー≫
今回はいつものフォアグラ最中が秋らしい栗きんとん風。そして焼き芋風の海老芋。トリュフとロックフォールの茶碗蒸しと、芋栗茸の秋尽くし。そして甲殻類好きな妻のためには毛蟹が用意されている。季節を大切にしながら、1人1人の客のために手間を惜しまないメニュー構成。感動的ですらある。

朴葉味噌焼き風の鴨のつくねも、血の滴る鯨肉の煮付けも、抜群の火入れや出汁の旨みが素晴らしい。しかし今回はいつもの西東京市で大将の姉が作る野菜が印象的だった。妻のためにピンクや紫の野菜が彩りも可愛らしく盛り付けられ、野菜ごとに違う温度で火入れされたり、揚げられたり、冷やされたりしている。手法は完全にモダンフレンチ。極めつけに人の顔をしたポテトの目がハート型になっている。

今回の日本酒はあまりの品揃えに絶句した。黒龍酒造の最上位酒、低温で長期間寝かせ自家の屋号を付けた純米大吟醸、蔵のフラッグシップとも言える石田屋を中心に、貴重な酒米、亀の尾で造る石巻の阿部勘、その純米吟醸。秋田新政が白麹で造った特別純米酒。仕上げは山形の出羽燦々を究極の22%まで精米した、まさに名前通りの穀潰し。北陸一の日本酒に続いて、東北3大日本酒と思えてしまう力の入れように驚く。

≪過去の料理≫
お任せコース 大将お任せのお酒と共に 16000円/人

最中のようなフォアグラ 胡瓜の柴漬け 栗きんとん風
海老芋の焼き芋風
トリュフの茶碗蒸し 茸スープと共に
毛蟹 出汁のジェレ掛け 蟹味噌乗せ
氷見産鰹タタキの漬け
鴨つくね  朴葉味噌焼き風 銀杏と蕎麦の松葉
西東京市でお姉さんが作る野菜のサラダ
血の滴る鯨肉の煮付け 葱と豆腐の椀物
デザート ラフランスの蜜漬け クリームチーズ ラム酒とコアントローのジュレ
秋刀魚炊き込みご飯のお握り 昔のヨーグルト風プリン

≪過去のワイン≫
NV BRUT PRIMA CUVEE MONTE ROSSA

≪過去の日本酒≫
いちのくら すず音 発泡清酒 一ノ蔵 宮城県
石田屋 大吟醸純米酒 低温長期熟成 黒龍酒造 福井県
阿部勘 純米吟醸 亀の尾 阿部勘酒造店 宮城県
亜麻猫 白麹仕込み 特別純米酒 新政酒造 秋田県
くどき上手 穀潰し 純米大吟醸 出羽燦々22%精米 亀の井酒造 山形県

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≪過去のレビュー≫
日本料理は大将とのやり取りを楽しめるカウンターが一番。特に最近評判の店の多くがこのスタイル。中でもこの店のエンターテイメント性は飛び抜けて高い。季節の素材をストレートに用いながら、丁寧に手を入れ、とことんその素材の特徴を引き出す術も心憎い。その料理、一つ一つに笑いを伴う大将や女将、スタッフ全員による仲の良い演出が楽しめる。

今回は夏の名残バージョン。いつもの傳タッキーもスパイシー。アワビを肝と海苔で合わせると、最高の気分で夏を見送れる。海葡萄も名残惜しさに拍車を掛ける。北海道産のミスジは、焼肉の夏の終わりに相応しい。ビーツソースが鮮血のごとく、モダン絵画のごとく飛び散っている。大将曰く、店のフランス研修旅行でルーブルの影響を受けてしまったせいとのこと。笑いがカウンターに広がった。そして〆の土鍋炊き込みご飯は、待ちに待った松茸。この店の松茸で、秋を迎える幸せを感じることができる。

今回も1年振りに、手取川、別誂、神保町傳に再会できた。最高の造り手が、この店のためだけのために誂える純米大吟醸、石川県の銘酒。次に会えるのは来年の晩夏となるのか。秋の次回来店まで残っていてくれると嬉しい。ワインはイタリアが好きなようだが、日本料理とイタリアワインの組合せは、個人的には難しいと思う。最近はスプマンテ以外、出なくなったのは自分だけか。

≪過去の料理≫
お任せコース 大将お任せのお酒と共に 16000円/人

無花果とチーズの豆腐
クリームコロッケ
傳タッキー 夏のスパイシーバージョン
蒸しアワビの肝と海苔のソース 海葡萄乗せ
北海道産のミスジと赤蒟蒻 ビーツのソース
西東京市でお姉さんが作る野菜のサラダ
穴子と茄子の湯葉綴じ
松茸の炊き込みご飯
香の物 赤出汁
甘味 梨と葡萄のジュレ掛け

≪過去のワイン≫
NV BRUT PRIMA CUVEE MONTE ROSSA

≪過去の日本酒≫
宝剣 限定純米吟醸 湧水仕込 宝剣酒造 広島県
豊盃 純米吟醸 豊盃米仕込 三浦酒造 青森県
阿部勘 秋あがり 純米吟醸原酒 阿部勘酒造 宮城県
白岳仙 ひやおろし 純米原酒 安本酒造 福井県
手取川 別誂 神保町傳 純米大吟醸 吉田酒造店 石川県

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≪過去のレビュー≫
スタッフ全員が、イタリア、フランスの研修旅行から帰ってきたばかり。長期休暇から店を再開させた翌日だった。この日の客全員に、土産が振舞われるところがこの店の真骨頂。36ヶ月熟成のトリュフ入りコンテが素晴らしい。サーディンやトマトまでイタリア帰りで嬉しいサプライズ。真夏といえばこの店の玉蜀黍の炊き込みご飯が頭から離れない。甘い玉蜀黍が釜の隅々まで染込んで、まさに夢にまで見る美味しさ。今回はホタテと玉蜀黍の二重奏。なんとも言えぬ極上のハーモニー。

前菜では、ジュンサイ、パッションフルーツ、バジルシード、海葡萄、プリプリ食感のオンパレードを蓮の葉の上下に、出汁のゼリーで寄せている。出汁のゼリーを溶くのは酢。夏真っ盛りに夏祭りのような皿。素晴らし過ぎる。焼き物は、鮎と鮎の肝の組合せ。これこそ日本酒の最良の伴侶。淡い苦味が半日干されて熟成感に変わり、軽く焦げた皮の香りが広がる。肝のパテとパンに合わせると、どんな日本酒でも進んでしまう。

今回の驚きは、福島県の銘醸、飛露喜。その年に1度の山田穂。日本全国に16本しか卸さない幻の名酒。誰もが喉から手が出るほど欲しい日本酒を、いとも簡単にポンと出してくる。大将の人徳から来る人脈は、恐るべきものがある。

≪過去の料理≫
お任せコース 大将お任せのお酒と共に 16000円/人

鱧カツのフィッシュ&チップス 小腹レスキューPringlesうすしお味ケース入り
神戸の知人から仕入れたジュンサイ 出汁と酢のゼリー パッションフルーツ バジルシード 海葡萄と共に
今日の夕方しめた鱸 梅肉と紫蘇の葉
半日干して焼いた鮎 鮎の肝のパテ 鮎の肝を練りこんだパンと共に
西東京市でお姉さんが作る野菜のサラダ
鰯のつみれとトマトの出汁汁 イタリア土産のサーディンとトマト
フランスみやげの36ヶ月熟成コンテ トリュフ入り
ホタテと玉蜀黍の炊き込みご飯
特製玉子焼き 香の物 赤出汁
デザートに変えて デザートワイン風自家製カクテル ウォッカに漬けた柚子で熟成させた白ワイン

≪過去のワイン≫
NV BRUT PRIMA CUVEE MONTE ROSSA

≪過去の日本酒≫
吟醸 日高見 夏吟50 氷温貯蔵 平孝酒造 宮城県
生酒 羽根屋 夏吟 富美菊酒造 富山県
吟醸 黒龍 吟十八号 黒龍酒造 福井県
純米吟醸 飛露喜 山田穂 廣木酒造 福島県
白岳泉 吟生 安本酒造 福井県

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≪過去のレビュー≫
春は大浅利、白魚に新筍が嬉しい。旬の盛りには、走りと名残を散りばめる。今回は鰆の生と火入れの食べ比べが素晴らしかった。うっすらと火入れされた炙りの鰆が海苔のこってりしたソースに絡み、絶妙なレア感。じっくり火入れした鰆には、菜の花や桜の春野菜が雑魚味噌と共にたっぷり乗せられている。時間をかけて丁寧に火入れした鰆は、ふっわふわに仕上がり、レアとは一味違う雑みの無いストレートな美味しさ。

≪過去の料理≫
お任せコース 大将お任せのお酒と共に 15000円/人

浜に打ち上げられた大浅利 湯葉のソース 海苔と菜の花
白魚と友人が取る富士山麓の沢の芹の掻揚げ 
デンタッキー 古代米と古代人参のサムゲタン風 松の実とクコの実入り
鰆の炙り 海苔のソース
鰆焼き 菜の花や桜の春野菜 雑魚味噌
畑のようす お姉さんが中野で作る春野菜
食事 稲庭うどん 新筍と若布
デザート 日向夏とラムのジュレ

≪過去のワイン≫
NV FRANCIACORTA '61 BRUT DOCG BERLUCCHI

≪過去の日本酒≫
東鶴 特別純米 山田錦 荒走り生 東鶴酒造 佐賀県
A Brewring Abekan 阿部勘酒造店 宮城県
小左衛門 純米吟醸 信濃美山錦 おりがらみ生 中島醸造 岐阜県
刈穂 山廃純米 生原酒 番外品 刈穂酒造 秋田県

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≪過去のレビュー≫
夏の終わりなら、鮎、鱧、桃、ピュアホワイトなど、夏の名残の素材をこれでもかと散りばめ、松茸、秋茄子、新秋刀魚など秋の走りを徹底的に使う。まるで秋祭りのような心が躍る構成に、唖然とするほどの感動が伴う。

最近のトピックは大将待望のオリジナル酒の完成。2年間に及ぶ蔵元とのやり取りにより、大将にとっても客にとっても嬉しい別誂えが届いた。その名は、「特注酒 神保町 傳 別誂 大吟醸 酒魂 手取川」。石川県の銘醸、吉田酒造が品評会用に特別に造る大吟醸酒の一部を、この店のためだけに別誂えしたもの。この料理にこの酒、そしてこのサービス。天下無双の店になった。

≪過去の料理≫
お任せコース お任せのお酒とともに 14000円/人

秋茄子と穴子の餡かけ
オクラの蕾と低温で熟成させたインカの目覚めの揚げ物
北海道産新秋刀魚のジェンガ仕立て
ピュアホワイト白味噌焼き 無花果 鴨 胡麻豆腐 トースト
畑のようす 3種のビーツ トマト オクラ ルッコラ 人参 ジャガイモの似顔絵と名前のアルファベット
鮎のワタのパテ
山口県産の松茸と淡路島産の鱧のお椀
群馬の鶏そぼろご飯
デザート 白桃とマンゴーのコンポート ラム酒のジュレ

≪過去のワイン≫
NV FRANCIACORTA '61 BRUT DOCG BERLUCCH

≪過去の日本酒≫
特注酒 神保町 傳 別誂 大吟醸 酒魂 手取川 吉田酒造 石川県
陸奥八仙 特別純米 ひやおろし 八戸酒造 青森県
純米吟醸 豊盃 三浦酒造 青森県
正雪 純米吟醸 山田錦 神沢川酒造 静岡県

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≪過去のレビュー≫
例えば夏なら鱧。丁寧に仕上げてから揚げる。しかも「ハムカツ」を出してから、「鱧カツ」を出す洒落の効いた一手間。「スタッフが間違えました」と言う大将のジョークに、カウンターから笑いが絶えないこの店の神髄が伺える。入口の外の植木にスコップを刺し、コケ育成中と看板が。その日の締めはスコップに乗せ、苔に見立てたデザート。卵を乗せる朱鷺の巣に見立てた皿には、話題の朱鷺のヒナの人形が。

最近のトピックは2012年ミシュランで星を2つに増やしたこと。また直近では食べログランキンク東京総合1位となっている。

≪過去の料理≫
お任せコース お任せのお酒とともに 14800円/人

ホワイトアスパラの寄せ豆腐 卵黄と共に
枝豆豆腐 ウニと生湯葉乗せ 可愛らしい枝豆と共に
芝海老のおくらの花包み揚げ
平目と甘海老の梅肉和え
干し鮎とタデのパン 鮎のワタのパテと共に
大穴子の山椒ソース 牛蒡乗せ
畑の様子 西東京市で大将のお姉さんが作る野菜
イワシのつみれ汁 冬瓜とジュンサイ入り
大穴子の土鍋ご飯 香の物 味噌汁
朱鷺の巣に見立てた杏仁豆腐

≪過去のワイン≫
NV FRANCIACORTA '61 BRUT DOCG BERLUCCH

≪過去の日本酒≫
純米吟醸 阿部勘 石巻産 ひより 阿部勘酒造 宮城県
酒未来 純米吟醸 写楽 宮泉銘醸 福島県
特別純米 小左衛門 信濃美山錦 中島醸造 岐阜県
山形正宗 純米吟醸 雄町 斗瓶囲い 水戸部酒造 山形県
大吟醸 而今 斗瓶取り 木屋正酒造 三重県
元禄仕込 純蜜薫酒 勝山 元 大吟醸 勝山酒造 宮城県

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≪過去の料理≫
お任せコースとお酒のお任せ 15000円/1人
(カッコ内は大将のジョーク)

(最中!) フォアグラ いぶりがっこ 大将のお爺さんが作る甘夏のジャム
先付 ジュンサイの酢ゼリーがけ(新食感宣言) ジュンサイ バジルの種 柚子でといたトマト 玉子豆腐 トビッコ
小皿 鱧カツ(ハムカツ) 初めは本当にハムカツ!後から改めて鱧のカツ
凌ぎ 雲丹ご飯(料理長の頭) 紫雲丹と山葵
造里 本日の鮮魚 かます 甘海老 あさつきと茗荷 カボス
焼物 鮎トースト(アンパンマン) 鮎とパン 皮付きヤングコーン
中皿 畑の様子 西東京市で大将のお姉さんが作る野菜
煮物 大浅利の酒煮(浅利ちゃん) 三重の大浅利 日本酒と昆布出汁
食事 とうもろこしご飯(ピラフ) 3時間半火入れした宮崎牛のとも三角 とうもろこし 新玉葱
香の物
デザート ハーブとスパイスの水羊羹 バジル ミント

≪過去のワイン≫
NV Franciacorta DOCG PRIMA CUVEE BRUT MONTE ROSSA
2000 BALGERA Valtellina Superiore RISERVA Sassella

≪過去の日本酒≫
寶剱 限定涼香吟醸 宝剣酒造 広島県
陸奥 八仙 ISARIBI 特別純米無濾過生詰 八戸酒造 青森県
和らぎ水 山水 麒麟山酒造 新潟県
純米吟醸 山本 瓶燗火入れ 急速冷却 低温瓶貯蔵 山本合名 秋田県

  • 山口県産鰆焼き 海苔のソースで 縮みキャベツ 黒キャベツ 芽キャベツと共に
  • 一口カツ 出汁と野菜に漬けた北海道産黒毛和牛の腿肉
  • 甘い熟成海老芋 湯葉掛け 柚子の出汁と共に

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8位

くろぎ (湯島、上野広小路、上野御徒町 / 日本料理)

1回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥20,000~¥29,999 -

2014/01訪問 2014/01/15

築90年の元置屋を改装した湯島らしさを醸す店

料理の鉄人としてすっかり有名となった今でも、客への敬意を重んじる大将の姿勢と、相変らず可愛らしい和装の女将のサービスに居心地の良さを感じる店。コンパクトなカウンターで大将の料理を見ながらの食事も楽しいが、1階奥の個室で、女将の心尽くしのサービスを堪能するのも捨て難い。湯島の古い置屋の風情と京味出身の大将の、良い素材の選択とその素材を活かしビジュアルも大切にする料理の数々に舌鼓を打てる店でもある。

今回は正月のお任せコース。祝い酒は春鹿の樽酒。金粉と枡が正月らしいスターター。黒豆と小梅が酒のつまみ。自家製のカラスミは表面に軽く火を入れて、香ばしさが部屋を包む。松と梅に抜かれた大根が合う。続く雑煮は京人参が甘い白味噌仕立て。芽蕪が可愛らしい。松葉蟹は兵庫県産。雄と雌のコンビ。雌のズワイ蟹は既に禁漁期間に入っているが、辛うじて網に掛かったものを譲って貰ったとのこと。今年最後の雌の松葉蟹すなわちズワイ蟹。北陸産であれば、香箱蟹であり、せいこ蟹でもある。最盛期以上に甘みが増して美味。名残惜しい。

御節八寸が豪華。馬の器に入った海鼠腸と山芋。なんと金粉入りの祝い酒に合うことか。正月気分が満喫できる。子持ち昆布や伊達巻風の軽い甘さのある玉子焼き、ばちこや川海老の艶煮も御節料理らしい。オーソドックスな田作りは、苦味が一切無い澄んだ仕上がりに驚愕。こんな味付けが可能とは恐れ入る。公魚の照焼きや河豚の唐揚げも美味しいが、やはり京蕪蒸しの具となる京野菜が抜群の味わい。良い野菜を使っているのは一目瞭然。素材重視の本領発揮。正月らしいラインナップにも感無量となれる。

日本酒は祝い酒が存分に振舞われる。いつもは濃い目の味わいを感じる春鹿も、樽酒は別物。金粉の入った枡で振舞われると、味わいより正月気分が先行してしまうからかもしれないが、柔らかい舌触りが際立つ。いつもの嘉永蔵大吟醸に続き、正月らしく貴の純米吟醸。正月はやはり雑煮に御節と日本酒。それを美味しい京野菜の京料理で味わえる幸せは格別なものがある。

場所は東京メトロ千代田線、湯島駅から徒歩3分。湯島の交差点から湯島天神と反対側、1本裏側の飲食店街の並びに在る。築90年の1戸建古家は元置屋の建物をリユース。奥の個室から眺める小さな箱庭も風流。カウンターは大将の舞台。トークと匠の技を間近で見られて楽しめる。造りはコンパクトで隣との距離も近い。女将とゆっくり話すなら、奥の個室がお勧め。

料理の鉄人としてすっかりマスコミの顔になった大将。名前に人気と実力が重なるにつけ、師匠譲りの高下駄も板に付いてきた。しかし何と言ってもこの店は女将の対応が素晴らしい。ややもするといたずらっ子のようにも見える大将と、このしっかり落ち着いて、なおかつとても可愛らしい女将の店が、これからも東京の京料理を牽引していくのは間違いないと思われる。

≪今回の料理≫
正月のお任せコース 18900円/1人 別途サービス料10%

祝い酒 春鹿 樽酒 金粉入り
 黒豆 小梅 自家製カラスミ 松と梅形大根
椀物 白味噌仕立ての雑煮 京人参 大根 頭芋 芽蕪

兵庫県産雌雄ズワイ蟹
 祝い酒のぬる燗で甲羅酒
焼き胡麻豆腐

御節八寸 海鼠腸と山芋の馬の器入り 
 子持ち昆布 玉子焼き 昆布入りなます 田作り ばちこ 川海老の艶煮 たたき牛蒡 蕗煮

造り 鯛と赤貝の紅白 鮟肝と供に
河豚の唐揚げ
公魚の艶煮 京都の千枚漬け添え
野菜の京蕪蒸し 頭芋 牛蒡 銀杏

七草土鍋御飯 京人参 芹 三つ葉
止め椀 味噌汁 香の物
葛切り 黒蜜 黄粉砂糖

VOSS artesian water 800円/500mlボトル

≪今回の日本酒≫
祝い酒 春鹿 樽酒 金粉入り 振舞い酒/1合枡
貴 純米吟醸山田錦 永山本家醸造場 山口県 1260円/1合徳利
嘉永蔵 大吟醸 末廣酒造嘉永蔵 福島県 1680円/1合徳利

別途サービス料10%

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≪過去のレビュー≫
あまりの人気に常に5か月先まで予約で満席。季節のおまかせコースは、日本の四季の贅沢を如何なく堪能できる。活舌の効いた大将のパフォーマンスも、華やかで飽きの来ない料理と共に古屋の伝統的な雰囲気とのコントラストを際立たせている。ここは会席劇場と言うにふさわしい総合力の高い店。

特にカウンターでのやり取りは、料理を味わいで、見た目で、音声で楽しむという流行りのスタイルの完成形。予約の取れないのも、1度来た人の多くが常連となっていくためと思われる。場所は湯島の交差点のすぐ近く。春日通りからドンキホーテの裏に1本入った小道。女性と2人で歩くには、ちょっと気の引けるエリアにある。

エリアの雰囲気にドップリ浸る並びに、1件だけ独特な伝統的外観。昔の木造家屋に良くある、洗濯物の似合う木のバルコニー。その真下には看板がほとんど見当たらない玄関。店のマークが目印。知らないと入り難い。内装は綺麗に改装されているので、90年の歴史は言われなければ分からない。入ってすぐがカウンター。2階への階段。奥が個室になっている。引き戸の個室は、箱庭に面してしていかにも料亭風。天井の細工や欄間風の部分部分に、そこはかとない伝統建築の面影を感じることができる。

料理は季節の素材を活かした、「おまかせコース」のみ。価格もその日の素材による。手のこんだ料理の味わいもさることながら、季節感が強調された見た目の彩りに感激する。コースの組み立ても飽きの来ない構成。どの料理も素材その物の味わいが活かされ、素材の新鮮さと相まって、完成された新しい日本の淡く美しい美味しさと言える。特に季節の豆腐は絶品。

日本酒は一般的に美味しいとされる物の品揃え。レアな日本酒を探して来たというよりは、料理に合う普通の日本酒を、敢えて選んでいるように見える。ワインもシャンパーニュから、白、赤と一通りの品揃え。日本酒同様、この店の料理に合わせた普通のワインを、やはり敢えてラインアップしたのだろう。

≪過去の料理≫
お任せコース 13,000円 サービス料10%別

焼き胡麻豆腐
初鱧のたたき 鱧の骨煎餅 鬼灯の中に玉子と梅肉と胡麻
鯛のにこごり 夏野菜の冷やし鉢
揚げ鱧のお椀 鱧の骨の出汁 サマー松茸 ジュンサイとズッキーニ
クエのしゃぶしゃぶ すだちとポン酢
鱧棒寿し ばち子 アボガドの白和え 枝豆と長芋の流しもの
天然鮎の塩焼き
豊後水道のお造り 氷に乗せて
サマー松茸のフライ
和牛のタタキ 山葵 柚子胡椒
とうもろこしと貝柱のご飯
鯛出汁味噌汁 香の物
水羊羹 葛切り

≪過去のワイン≫
CHAMPAGNE Brut TRADITION JANISSON & Fils 120mlグラス

≪過去の日本酒≫
純米酒 翠露 華吹雪 舞姫酒造 長野県 2合徳利
純米 澤屋まつもと 松本酒造 京都府 2合徳利

* * * * * * * * * *

≪過去の料理≫
おまかせコース 13000円 サービス料10%別

先付 うすい豆のお浸し
先付 鹿児島県産ふきのとう豆腐
先付 蛍烏賊の沖漬け
先付 菱蟹の内子
先付 花見弁当盛り込み
    菜の花と飯蛸、酒粕とナッツ、シャンパンとさつま芋の団子、一夜干し桜鯛の棒寿し、芝海老と桜海老のかき揚げ
椀物 若竹椀 白子筍ご飯の木の芽入り
向付 豊後水道産の刺身盛合せ
鉢肴 琵琶湖産稚鮎の揚げ物と焼き物
強肴 海老芋と巻湯葉 蕗
食事 白子筍ご飯 木の芽入り 香の物 丹波京漬物の盛合せ 止め椀 田舎味噌椀の京葱入り
水菓子 葛切り
水菓子 桜餅

≪過去のワイン≫
2006 CREMANT DE BORDEAUX BRUT ALEXIS LICHINE 5000円/1本
2009 CHABLIS Laroche 5100円/1本
2008 ALSACE RIESLING DOMAINES SCHLUMBERGER

≪過去の日本酒≫
〆張鶴 純 純米吟醸 宮尾酒造 1300円/1合
嘉永蔵 大吟醸 末廣酒造 1600円/1合

  • 兵庫県産雌雄ズワイ蟹
  • 正月祝酒 春鹿樽酒金粉入り 黒豆 小梅 自家製カラスミ 松と梅形大根
  • 御節八寸 海鼠腸と山芋の馬の器入り 子持ち昆布 玉子焼き 昆布入りなます 田作り ばちこ 川海老の艶煮 たたき牛蒡 蕗煮

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9位

神楽坂 石かわ (牛込神楽坂、飯田橋、神楽坂 / 日本料理)

3回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥40,000~¥49,999 -

2021/06訪問 2021/06/03

神楽坂を代表する日本料理

ミシュラン東京創刊以来14年連続で3つ星を取り続ける日本料理を代表する店。石かわ、虎白、蓮の3店で合わせて7つの星を持つ大将は、ロブションの日本料理店版とも言える存在。しっかりした味を勇気を持って伝える出汁の使い方が特徴。まさに新しい東京料理と言える完成された料理構成、旬の食材の扱い方、その組合せ、さりげないのに完璧な調理技術、何より食べる人を楽しませようという造り手の思いが素晴らしい。
神楽坂の中心、毘沙門天の直ぐ裏手に隣接する黒塀がランドマークでもある神楽坂を代表する日本料理店。旬の食材にこだわった東京料理という言い方が似合っている店でもある。

今回はグジとウニの組み合わせが特に素晴らしかった。旨味の乗ったグジ、すなわち甘鯛が炙られることでさらに旨味を凝縮させている。この溢れ出るような旨味に寄り添う仄かな甘さが上品な紫ウニ。蕩けるようなコンビネーションにかなう相手が、この世に存在するだろうか。最高の食材と食材を、最高の調理で味を引き出して組み合わせる技の凄さに身震いしてしまう。

お任せコースはアワビからスタートする。萩の黒アワビが見事に柔らかく仕上げられている。肝粥があっさりと美味しく、この先の料理への期待が盛り上がる。大村湾名産の糸モズクに島原豆腐を合わせる。九州の郷土料理の東京版。出汁の軽快さが見事。グジとウニに続いて千葉のハマグリ。やはりハマグリは大きな富津産が美味しい。地の味わいとはまさにこのこと。

鉢肴は天然のサクラマスが珍しい。養殖と違って旨味が上品。脂の乗りにしつこさが微塵もない。白筍は物集女が一番。オホーツクの毛蟹を合わせるダブルキャストに笑いが止まらない。美味し過ぎて言葉を失う。山菜は京都の山の中からこの朝採って来たもの。どれも食感が素晴らしく、わずかな苦みにさえもその奥に甘さを感じる。空豆も火入れが絶妙で文句なしに美味しい。

メバルの柔らかさも、ワカメの旨味も素晴らしく、1皿たりとも手抜きのない味わい。丁寧な仕事が一目で分かる。黒毛和牛の素麺も感動する。和牛は脂を感じない脂の乗りが大事。まるで教科書のような赤身の美味しい黒毛和牛となっている。椎茸の炊込みご飯から果物、水菓子まで、息つく暇もない怒涛の構成。これこそ日本を代表する東京日本料理の神髄。

現在、緊急事態宣言によりアルコールの提供は自粛中だが、普段は日本酒も全国の銘酒が揃っている。新潟の鄙願や富山の勝駒も気軽に楽しめるが、この店のスペシャリテとも言える、プレミアムな日本酒がお勧め。超希少な日本酒を惜しげもなく原価のような価格で出している。例えば山形を代表する銘醸十四代の、秘酒とも言える七垂二十貫の双虹。飲めるだけでも幸せな気分に浸ることができる銘酒中の銘酒。

ミシュラン3つ星を取り続ける日本を代表する神楽坂発の東京料理。日本中の旬の食材を朝一で手に入れられるのも東京一の人気店であるからこその実力。敢えて流行りの薄味に仕上げることはせずに、直球一本ど真ん中の美味しさを追い求めているところが嬉しい。インテリアや器へのこだわりも完璧で言うことがない。何より大将の客を楽しませようという心意気が粋。これからも東京料理の進化は、この店、この大将とともに続くものと思われる。

お任せコース 35000円
山口県萩の黒アワビ
 肝粥
長崎県大村湾の糸モズク
 島原豆腐
甘鯛の炙り 出汁の漬け
 北海道函館の紫ウニ
 青海苔 山葵
千葉県富津のハマグリ
 柚子
青森県産天然サクラマス
 木の芽 蕪の甘酢漬け
 甘醤油
北海道オホーツクの毛蟹
 京都府物集女の白筍
京都産朝採れの山菜
 空豆 蕗 蕪
青森県産新ワカメ
 メバル 新生姜
鹿児島県産黒毛和牛
 白胡麻素麺
山菜と椎茸の土鍋炊込みご飯
シジミと豆腐の味噌汁
香の物
埼玉県産苺 あまりん
 静岡県産マスクメロン
サクラのムース
 寒天 自家製小豆
煎茶

※現在は緊急事態宣言により
アルコールの提供を自粛中
鄙願 大吟醸
 大洋酒造 新潟県
 2150円/1合徳利
勝駒 純米
 清都酒造場 富山県
 1800円/1合徳利
十四代 七垂二十貫 双虹
 高木酒造 山形県
 8000円/1合徳利

別途消費税・サービス料10%

ミシュラン東京創刊以来13年連続で3つ星を取り続ける日本料理を代表する店。石かわ、虎白、蓮の3店で合わせて8つの星を持つ大将は、ロブションの日本料理店版とも言える存在。しっかりした味を勇気を持って伝える出汁の使い方が特徴。まさに新しい東京料理と言える完成された料理構成、旬の食材の扱い方、その組合せ、さりげないのに完璧な調理技術、何より食べる人を楽しませようという造り手の思いが素晴らしい。

鹿児島県が誇る千日牛の黒牛は、鹿児島産の新筍に乗っている。まさに頬が落ちるような柔らかさの黒牛と初々しい食感の新筍を、この店の真髄とも言えるしっかりした出汁の椀物に仕上げている。肉の出来も素晴らしいが、絶妙な火入れと筍との組合せ、合わせる出汁の味わい、全てに欠点が見つからない。そしてそれがあたかも平然と、ごく普通に、特段の主張も無く、さりげなく出される。気負いを感じないところに、東京料理のあるべき形を見る気がしてならない。

先付はいきなり境港の松葉蟹から始まる。蟹の身が蟹味噌と共に蟹のジュレに乗っている。これだけでも来た甲斐を感じる。カリッとした薄衣に包まれたトラフグの白子がトロトロ。椀物は超希少種のシログジ。豊後水道の白甘鯛は雑味が全くない白身の王様。出汁の染み込んだ蕪とのマリアージュも素晴らしい。向付はどれも秀逸としか言いようがない。なかでも北海ムラサキは最高の出来。ウニその物の味わいが、たっぷりの旨みと一体となって舌の上で踊っている感覚。クエやボタンエビも、その軽い熟成が、食感と旨みのバランスをベストにしている。

境港のズワイ蟹は、雄の松葉蟹に続いて雌の香箱蟹。内子、外子、蟹味噌も細かく解し、甲羅に詰めた餅米に乗せて飯蒸しにしている。丁寧な仕事振りに食べるのが惜しくなる。焼物は銚子の金目鯛。満遍ない火入れの素晴らしさ。クエやグジの透き通るような白身の味わいとは好対照となる、深みのある味わいに感激する。添えられた原木椎茸の旨みにも負けていない。伊勢海老と茄子の組合せも斬新。伊勢海老の甘さと、焼いた茄子の仄かな甘さがお互いを引き立て合っている。

鹿児島黒牛と新筍に続いて、食事は土鍋炊込みご飯。今回は新潟産のコシヒカリ。満面の笑顔で炊き上がりを見せる大将が人懐っこい。まずは白飯で食べて、次に鯛味噌や海苔、揚げ玉などを乗せ、出汁を掛けて出汁茶漬けに。艶々に立ったコシヒカリその物も捨てがたいが、鯛味噌茶漬けの美味しさも止められない。最後に鯛味噌で日本酒が1合は飲めてしまう。

乾杯の日本酒は十四代が誇る双虹。十四代七垂二十貫のなかでも最も希少な1本。松葉蟹との組合せはビッグカップル以外の何者でもない。白子には初亀の大吟醸。北海ムラサキには白岳泉。いづれも絶妙なマリアージュ。長崎の大吟醸も鹿児島黒牛との相性が良い。鯛茶漬けに合わせるのは宮城の日高見。料理同様、最後まで息つく暇ない豪華オンパレードとなっている。

大将は3店で既に8つものミシュランの星を取り、うち1店は銀座に移転。フレンチも出店し、ワインバーや日本酒割烹、最近は寿司割烹までプロデュースする神楽坂の夜の町内会長。やるなら命懸けが、大将の弟子たちに対する口癖。伝統的な京料理から今流行りの薄味の日本料理まで、良い物は取り入れて独自に組合せていく才能が飛び抜けている。この大将が走り続ける限り、この店の料理も弟子たちと共に進化し続け、東京日本料理とも言える新しいジャンルが、完成形に近づいて行くように思える。

お任せコース 31000円
先付 島根県境港の松葉ガニ
 蟹味噌 蟹のジュレ
揚物 トラフグ白子
 銀杏とともに
椀物 大分県豊後水道の白甘鯛
 蕪のお椀
向付 北海ムラサキウニ
 大分県豊後水道のクエ
向付 島根県境港のボタンエビ
 海老味噌 海老の子
凌ぎ 島根県境港の香箱蟹
 内子 外子 味噌
 餅米の飯蒸し
鉢肴 千葉県銚子港の金目鯛
 愛知県産原木椎茸
強肴 伊勢海老と焼き茄子
 伊勢海老の味噌
肉料理 鹿児島黒牛
 鹿児島県産新筍
 滋賀県中主の木の芽
食事 土鍋炊き込みご飯
 新潟県産コシヒカリ
 出汁茶漬け 鯛味噌 海苔
 香の物
水菓子 完熟マスクメロン
水菓子 黒豆
 黒豆のジュレ

十四代 七垂二十貫 双虹 大吟醸
 高木酒造 山形県 5500円/1合徳利
初亀 瓢月 純米大吟醸
 初亀醸造 静岡県 2300円/1合徳利
白岳仙 純米吟醸 荒走
 安本酒造 福井県 1550円/1合徳利
福田 純米大吟醸 山田錦
 福田酒造 長崎県 1720円/1合徳利
日高見 純辛 純米
 平孝酒造 宮城県 1320円/1合徳利

別途消費税・サービス料10%

カウンターで大将と話しながら、料理だけではなく、店のコンセプト、料理への姿勢、その時々の世間話に花の咲く、今、最も日本料理で受けているスタイルの元祖と言える店。大将の見た目と正反対に腰の低い、人当たりの良さに驚く。何よりスタッフ全員が愛想が良くて気持ち良く時間を過ごせる。石川流が徹底されていて、全てにおいてすっきりと爽快な気分になれる。それはバランス感覚のある完成された料理と、各皿に合わせるワインと日本酒のセレクション、料理と同じくらいすっきり完成されたサービスによると思われ、ミシュラン3つ星にも納得できる。


場所は神楽坂の中心、毘沙門天と同じ区画という絶好のロケーション。飯田橋の神楽坂口から上ってすぐ。三菱銀行と毘沙門天の間を左に入いると目の前右手に在る。

毘沙門天のすぐ裏のビルの1階。ビルとは言え黒塀で囲まれたファサードは、まさに神楽坂の町並みを形成する起点。その黒塀の上に控えめに光る店名のサイン。たったこれだけで、シンプルな日本の美をモダンに表現し、店のコンセプトを明確に示す。黒塀の隅にスリットのように切り取られたエントランスがまた美しい。その先にはしっとりとした中庭が見える。その手前が入口となる。

戸を開けると中は見えないのに、挨拶の声が響く。凛とした料亭らしい雰囲気と、クリアでモダンなインテリアが妙に馴染んでいる。カウンター7席は、ゆったりとした椅子で落ち着くのが良い。いかにも誠実そうな大将と、笑顔がにこやかなスタッフの対応に心が安らぐ。4つあるテーブル席は全て個室になっていて、接待での利用の多さを伺わせる。


料理は全般に出汁が素晴らしい。味ははっきりしていて強めの関東風。昔から日本料理が好きな人には受けるだろう。造りや椀物でも魚の使い方は言うまでもなく、焼き物が素晴らしい。今回の穴子の柔らかさ、香ばしさが絶品。何より合わせる野菜との取り合わせの妙に舌を巻く。安納芋は、ほんのりと全体的に甘みを広げ、はっきりした味わいの穴子のお伴。

食事の鯛の味噌和えが素晴らしい。柔らかく伸ばした、しっとり甘味のある味噌で和えた鯛の、濃厚なまでに凝縮された旨みと、目の前の釜で炊かれたばかりの新米の相性は、忘れることのできない美味しさ。大将の目指す世界がここにある。京風とは完全に一線を画す関東の料理。いや、この潔さこそまさに、現在の神楽坂の、これからの伝統料理と言えるかもしれない。


ワインは日本料理に合わせること自体、あまり奨められないが、乾杯はビールよりシャンパーニュが合う。店が選ぶお奨めは、ルイ・ロデレール。これは日本料理に鉄板だろう。ここにも高いレベルでのバランス感覚を感じる。

日本酒は静岡の銘酒、初亀醸造の純米大吟醸、亀がお奨め。この3年間熟成された古酒とも言える辛口の濃口酒は、20年近く飲み続ける一番のお気に入り。この日本酒を奨められただけで、この店がどれほど日本酒を愛して止まないのか理解できる。


大将は、世間に受けるなら、もっと新しい日本料理、革新的な日本料理を目指すだろうと言う。しかし、自分に与えられた使命は、日本料理の伝統を次代に継承すること、確立した今の形式をいつまでも継続することだとも言う。そして更なる使命は、それを越える次代を担う人材の育成だと言い切る。

この大将のもと、虎白と暖簾分けした弟子達が、新しい日本料理、革新的な日本料理を開拓し、世の中に受ける店となりつつある現在、この大将の考えには頷く以外ないようだ。


後ろ姿が見えなくなるまで客を見送り続ける大将の姿を見ながら、彼が暖簾分けの際に必ず弟子に言うという言葉を思い出した。「魂を込めて命賭けでやれるか」。この店が続く限り、日本料理の伝統は守られるに違いない。


≪今回の料理≫

お任せコース 15000円 /1人 別途サービス料10%・消費税


先付 ふく酢橘和え

揚物 湯豆腐 鼈のあん

椀物 甘鯛そうめん


造り 真鯛

造り 鯖 酢飯 白葱


焼物 穴子酒盗焼 安納芋

中皿 蔵王鴨といろいろきのこ

煮物 くえの白鍋


食事 新米の釜炊き 鯛の具 香の物

デザート 栗のアイスクリーム 抹茶寒天 新小豆 ココナツミルク


≪今回のワイン≫

NV CHAMPAGNE BRUT PREMIER LOUIS ROEDERER 1980円/120mlグラス


≪今回の日本酒≫

田酒 特別純米 西田酒造店 青森県 1365円/1合

黒龍 本醸造 黒龍酒造 福井県 1150円/1合

亀 純米大吟醸 初亀醸造 静岡県 2400円/1合

  • 甘鯛の炙り 出汁の漬け 北海道函館の紫ウニ 青海苔 山葵
  • 山口県萩の黒アワビ 肝粥
  • 青森県産天然サクラマス 木の芽 蕪の甘酢漬け 甘醤油

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10位

トラットリア・アルベロ (みつわ台 / イタリアン、ワインバー)

1回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥20,000~¥29,999 -

2013/12訪問 2015/07/13

みつわ台にマリアージュの聖地

ブルゴーニュワインに楽しく合わせるコース料理の数々。飲み頃のブルゴーニュは気分や人数、シチュエーションに応じて、グラスでもボトルでも頼める。合わせる料理は、予算に応じたお任せコースがお勧め。コース料理の価格も、予約時に依頼すれば、6千円以下から1万円以上まで、内容に応じて臨機応変。地元の食材には徹底したこだわりを持つ。野菜は自家農園産か、千葉市内産や県内産のビオ栽培。魚は千葉では知らない人のいない有名な仲買人から直接買い付ける。銚子の金目、御宿の伊勢海老、勝浦の鰹、千倉の黒アワビと枚挙に暇が無い。肉は地元房総産の夏鹿、夏猪や、秋から冬に掛けてのあらゆるジビエ。これらにフランス産、イタリア産の野菜と肉、そして極めつけは、フォアグラ、キャビア、トリュフ。ここはイタリアンでもフレンチでもない、アルベロという名のニューカテゴリー。この店の料理はフィレンツェで修行したシェフの、塩分を控えた優しい味付けと、房総産の海の幸、山の幸を活かす素材重視のコンセプトが良い。自家農園産の野菜もフレッシュで毎回楽しみとなる。

今回のクリスマスは店のボンナターレに捻りを加えた日本料理店仕様。メインは皇室の祝い酒、石田屋と仁左衛門。合わせる料理は煮アワビとカラスミ。こんな素敵なクリスマスメニューは聞いたことがない。客にとっては、まさに最高のクリスマスプレゼント。煮アワビは帆立と合わせてタルターラに。その上にはカラスミと共に最高グレードのキャビアが乗っている。ニューカレドニア産の天使海老や、今やこの店のスペシャリテとなりつつあるリードヴォー料理はマッシュルームのクレスペッレ。魚料理は平鱸、肉料理は広島県産なかやま牛カイミノのステーキ。特にカイノミの火入れの柔らかさが素晴らしい。グリーンペパーソースの軽い味わいも、濃厚なカイノミの味を引き立てている。3種類のドルチェも手間を惜しんでいない。ビジュアルも可愛らしい。日本料理仕様の極め付けは〆の一品。フロマージュに替わって自家製のカラスミが、あたかもフロマージュコンテのようにスライスされて並んでいる。そしてコンテのようなカラスミには石田屋が合わせられる。贅の極み。

昨年のクリスマスでDRCを出してしまった店の今年のサプライズは、何と皇室の祝い酒、福井県黒龍酒造の希少酒、石田屋と仁左衛門と言う飛車角の飲み比べ。こんな贅沢なことが出来る店を他に知らない。姫林檎のフォアグラ詰めにはジャマールのシャンパーニュ。煮アワビと帆立、カラスミ、キャビアに石田屋、仁左衛門。阿波尾鶏には何と、コントラフォンのムルソーシャルム。凄過ぎるラインナップ。メインのカイノミのステーキにジャングリヴォのクロドヴージョ2002年。もう笑いが止まらない。本来この店では、イタリアはもとよりブルゴーニュやボルドーのワインが豊富。国産も揃える。特に飲み頃のバックヴィンテージが、グラスで提供されることも多く、この店の懐の深さは素晴らしい。更に最近のブルゴーニュの充実には目を見張るものがある。千葉では他に類を見ない。コストパフォーマンスも抜群で、ワインで利益を追求しない数少ない店と言える。おまけに素晴らしい日本酒も加わった。

場所は千葉都市モノレールみつわ台駅から徒歩10分。しかし雑木林も多い住宅街の中を通る道は分かり難く、道に迷う人も多い。JR千葉駅からはタクシーで千5百円程度。稲毛駅や西千葉駅からも同様な距離。瀟洒な一戸建の建物は少々年期が入っているが、千葉の郊外の雰囲気にはマッチしている。広い駐車場は、ワインの店らしくない。インテリアは手前のダイニングスペースが濃い茶系ではあるが若干カジュアル。奥の半個室スペースはイタリア調の本格塗り壁と真っ白なテーブルクロスが美しい。ワイン会にはこういったスペースが向いているが、数人しか入れない広さ。


≪今回の料理≫
最高の日本酒に合せるお任せコース 10000円/1人
先付 姫林檎のフォアグラムース詰め
前菜 煮アワビと帆立のタルターラ カラスミとキャビア乗せ
揚物 ニューカレドニア産天使海老のコトレッタ フルーツトマトと青唐辛子ソース
焼物 リドヴォーとマッシュルームのクレスペッレ
凌ぎ 阿波尾鶏とポワロー葱のラグー ホウレン草のトンナレッリ
 フランス産最高級黒トリュフを掛けて
蒸物 平鱸のロールキャベツ仕立て 生ハムのクロカンテと共に
食事 広島県産なかやま牛カイノミのステーキ グリーンペパーソース
水菓子 アルベロのクリスマスケーキ 3種類のドルチェ
〆め 自家製カラスミ

≪今回の日本酒≫
最高の日本酒飲み比べ 5000円/1人
石田屋 純米大吟醸 限定品 黒龍酒造 福井県 90mlグラス
仁左衛門 純米大吟醸 限定品 黒龍酒造 福井県 90mlグラス

≪今回のワイン≫
ボンナターレのお任せコース 5000円/1人
NM CHAMPAGNE E.Jamart & Cie BRUT St-Martin d'Ablois 120mlグラス
2004 MEURSAULT-CHARMES DOMAINE DES CONTES LAFON 120mlグラス
2002 CLOS DE VOUGE DOMAINE JEAN GRIVO 120mlグラス

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≪過去のレビュー≫
今回もズワイ蟹に始まり、最高のリードボー、鴨、アオリ烏賊、四元豚とワインのための秋から冬の食材が並んだ。秋トリュフを支配人がテーブルでふんだんに掛けるパフォーマンスもいつも通り。自家菜園の野菜も、この時期は里芋のフリットが良い出来。シェフの料理も日に日に腕が上がっている。今回もリードボーの火入れの絶妙さに感激する。ぷりっとした見た目通り、リードボーの塊りは滋味深い味わい。蕪のしゃきしゃき感と秋トリュフの香りが、最高に美味しい。飲み頃ど真ん中のブシャールのフラッグシップ、ランファンジェジュと夢のコラボレーション。今回も最高のリードボーに合わせるのは、飲み頃ど真ん中のブルゴーニュの宝。ブルゴーニュ最大級のネゴシアン、ブシャールのドメーヌとしてのフラッグシップ、ランファンジェジュ。イエスキリストの葡萄畑と言う名前に恥じない理想のブルゴーニュ。しかも1998年。香りがダイニング中に広がり、テーブルにある全ての料理を包み込む。これほどの出来のブルゴーニュは早々無い。最高のリードボーと最高のピノノワール。幸せ過ぎて無言となる。

≪過去の料理≫
グラスワインに合わせる支配人にお任せのコース 6000円/1人
アミューズ ズワイ蟹のフリッタータ 野菜のソース
オードブル リードボーと蕪のソテー 秋トリュフ掛け ジャガイモのピュレと共に
オードブル フランス産鴨肉のラグー 自家製パッパルデッレ
ポアソン アオリ烏賊と蕪のソテー 焼いた初物の菜花
ヴィアンド アメリカ産四元豚の低温長時間ロースト オリーブオイルと下敷き野菜のソース
 自家菜園の里芋のフリット
パン 自家製焼き立てのフォカッチャ
デセール アップルパイとアーモンドのアイスクリーム
カフェ エスプレッソダブル

≪過去のワイン≫
お任せのグラスワインのコース 6000円/1人
NM Franciacorta Cuvee BELLAVISTA 120mlグラス
2009 MEURSAULT DOMAINE MICHEL CAILLOT 120mlグラス
1998 VIGNE DE L'ENFANT JESUS DOMAINE BUCHARD PERE & Fils 120mlグラス
Vieux Marc de Champagne Guy Charlemagne 60mlグラス

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≪過去のレビュー≫
今回もプリモの自家製タリアテッレ以外は、ほとんどフレンチのカテゴリー。フォアグラとミンチにした阿波尾鶏を詰めたガレンティーヌが素晴らしい出来。軽い仕上がりのポマールのためのガレンティーヌ。あっさりした阿波尾鶏と滑らかなフォアグラのコンビネーションも感激できる。沖縄県産の車海老を使ったビスクも驚く。甲殻類の香りに心を鷲掴みにされ、南瓜の柔らかい口当たりに癒される。天然真鯛の火入れも全体的に柔らかく、掛けた時間が想像できて、この価格では申し訳なくなる。いつものハウススパークリングに続いては、樽香が仄かに漂うムルソーからスタート。軽いポマールも熟成が進んで飲みやすい。何と言っても今回はドメーヌドラロマネコンティ。久し振りにロマコンのマールで仕上げたが、やはりこれは他の追随を許さぬディジェスティフ。美味し過ぎる。

≪過去の料理≫
グラスワインに合わせるお任せのコース 6000円/1人
アミューズ 茸の一口パイ
オードブル 沖縄県産の車海老と南瓜のビスク
オードブル イタリア産カラスミと秋野菜のタリアテッレ
ポアソン 鹿児島県産天然の真鯛とフランス産生セップ茸 低温長時間の火入れ
ヴィアンド 徳島県産阿波尾鶏のガレンティーヌ フォアグラと鶏肉のミンチ詰め
 低温で蒸してから火入れ プルーンのソース
パン バケット
デセール スイートポテトのタルト
カフェ エスプレッソダブル

≪過去のワイン≫
お任せのグラスワインのコース 6000円/1人
NM Franciacorta Cuvee BELLAVISTA 120mlグラス
2010 MEURSAULT "COEUR DE ROCHES” FREDERIC MAGNIEN 120mlグラス
2011 Chardonnay HAMILTON RUSSELL VINYARDS 120mlグラス
2004 Pommard 1er Cru Les Pezerolles Domaine de MONTILLE 120mlグラス
1986 MARC DE BOURGOGNE DOMAINE DE LA ROMANEE-CONTI 60mlグラス

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≪過去のレビュー≫
今回は秋の料理。初物の松茸は長野県産。夏の名残は房総産のアワビ。いずれも季節感たっぷりの料理が、素材を大切に軽い味付けで出される。松茸と徳島県産スダチが素晴らしい香ばしさ。部屋全体に幸福感と共に秋の香りが広がる。ポテトを纏った長髭のガス海老がフレンチを彷彿とさせる。やはりこの店に既存のカテゴリーは当てはまらない。北海道産の秋刀魚の脂の乗りも最高だが、リードボーのラビオリがより素晴らしい。セイジバターに包まれた粘り強いラビオリ。中身はしっかりした味わいながら塩を抑えた滋味深いリードボー。思い出すだけで涎が出てくる。しかし本日一番は、フォアグラの味が染込んだ仙台牛のヒレ肉。やはりイタリアンではない。ロッシニー風と言いたい。添えられたフランス産のセップ茸、トランペット茸、ジロール茸、ピエブルーも、フォアグラの味わい。なんと言う贅沢か。今回のお任せワインのコース、テーマはドメーヌフェヴレ。96年のニュイサン1erクリュと、99年のジュヴレ1erクリュモアンヌの飲み比べ。露払いはジャドのムルソー。何も言うことはない。おまけに仕上げのディジェスティフはDRCのマールドブルゴーニュ。信じられないお任せコース。

≪過去の料理≫
お任せコース 6000円/1人
アンティパスト 長野県産松茸初物と房総産アワビ 自家製カッペリーニと共に
アンティパスト ポテトを纏った長崎県産髭長ガス海老 蕪のジェレのソースと共に
プリモピアット 北海道産秋刀魚ラグーの自家製トンナレッリ リードボーのラビオリ セイジバターとセイジの葉
セコンドピアット フォアグラと仙台牛のヒレ肉 フランス産4種類の茸と共に セップ茸 トランペット茸 ジロール茸 ピエブルー
自家製フォカッチャ
ドルチェ モンブラン
カッフェ エスプレッソダブル

≪過去のワイン≫
お任せグラスワインのコース 6000円/1人
NM Franciacorta Cuvee BELLAVISTA 120mlグラス
2010 MEURSAULT LOUIS JADOT 120mlグラス
1996 NUITS-ST-GEORGES 1er CRU "AUX CHAIGNOIS” DOMAINE FAIVELEY 120mlグラス
1999 GEVREY-CHAMBERTIN 1er CRU "LA COMBE AUX MOINES DOMAINE FAIVELEY 120mlグラス
1986 MARC DE BOURGOGNE DOMAINE DE LA ROMANEE CONTI 45mlグラス

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≪過去のレビュー≫
今回は夏の旬、愛知県産の天然鮎を使った新メニューがお披露目。燻製にしたチーズ、スカモルツァと生ハムで鮎を3枚に重ねて巻き付け、軽く揚げた上、胡瓜のジュレで仕上げている。鮎のあっさりした、ふんわりと繊細な白身と軽く燻製されたチーズが生ハムの深い味わいと一緒になって、夏の風味を複雑に表現。胡瓜のソースとの組合せも抜群で、夏の美味しさ満喫。鮎に釣られて来たものの、今回のサプライズは千倉産の最高級黒アワビ。鉄鍋で蒸し焼きにされた黒アワビの柔らかで、地味深い味わいは感動的。千葉県産野菜と共に蒸されたアワビ鍋は、千葉の山海の素晴らしい食材のオンパレード。もう一杯お替りがしたくなる美味しさ。今回のワインも飛び抜けている。極めつけは、93年のニュイサンと。99年のヴォーヌロマネ。飲み頃とは、まさにこのこと。露払いはピュリニーとムルソー。ここが千葉であることを忘れる。仕上げのエイジ25のマッカランも涙もの。鮎にムルソー、アワビにヴォーヌロマネ。支配人の掌の上で夢見心地を味わえる。

≪過去の料理≫
お任せブルゴーニュワインのための特別コース 10000円
アミューズ 自家製の鴨ハムとイチジク シェリービネガーソース
前菜 愛知県産の鮎 スカモルツァチーズと生ハム巻き
前菜 ムール貝とセロリのラグー トンナレッリ
自家製パン 夕方焼き立てのバケットとフォカッチャ
魚料理 房総産の最高級黒アワビとその肝の蒸し焼き 房総産の色々野菜と共に
肉料理 千葉県産もち豚の低温ロースト キノコ添え
デザート 大人のパフェ チョコレートアイス スイカのグラニテ パンナコッタ
苺 ブルーベリー ナッツケーキ
カフェ エスプレッソダブル

≪過去のワイン≫
料理に合わせたお任せブルゴーニュワインのコース 6000円
NM CHAMPAGNE DRAPIER CARTE D'OR 120mlグラス
2010 PULIGNY-MONTRACHET FREDERIC MAGNIEN 60mlグラス
2006 Meursault 1er Cru Poruzot-Dessus 60mlグラス
1993 Nuits-Saint-Georges PREMIER CRU Aux Murgers 60mlグラス
1999 Vosne Romanee Jean-Pierre MUGNERET 60mlグラス
2009 MEURSAULT DOMAINE MICHEL CAILLOT 60mlグラス

The MACALLAN 25 30mlグラス
Vieux Marc de Champagne Guy Charlemgne 30mlグラス
Marc de Bourgogne Pierre Mored 30mlグラス

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≪過去のレビュー≫
今回は妻の誕生日のアニバーサリー。各皿に合わせるワインは何れ劣らぬアニバーサリー仕様。千葉にあって、これだけのブルゴーニュをグラスで出せる店が他にあるだろうか。2004年のシュヴィヨンのニュイサンジョルジュが各別の味わい。クロドベーズにヴォーヌロマネルスーショも最高。極め付きは本日の泡。日本初上陸のシャンパーニュ、その1本目とのこと。開いた口が塞がらない。

≪過去の料理≫
お任せのアニバーサリーコース 6000円
アミューズ キャビアとオレンジのカッペリーニ
前菜 勝浦産活き伊勢海老 黒トリュフ乗せ
フォアグラ料理 和牛 地鶏 鶏レバーとフォアグラのパテ そのフォンとバルサミコのソース ピクルスと共に
魚料理 鹿児島産真鯛の低温長時間火入れ バジルソース 芽キャベツ タラの芽 椎茸と共に
ワタリ蟹のホウレン草を練り込んだタリアテッレ
焼き立ての自家製フォカッチャ
ドルチェ リンゴとナッツのキャラメルケーキ
カッフェ エスプレッソダブル

≪過去のワイン≫
アニバーサリーコースの各皿に合わせた記念ワインコース 6000円
2007 CHAMPAGNE DIZY-Terres Rouges Rose JACQUESSON 120mlグラス
日本初上陸の超レアシャンパーニュ
1998 Clos de Beze Domaine Prieure Roch 60mlグラス
グランクリュクラッセ
2004 NUITS-SAINT-GEORGES LES RONCIERES 1er CRU DOMAINE ROBERT CHEVILLON 60mlグラス
シュヴィヨン04は最高の飲み頃
2008 PULIGNY-MONTRACHET LES CORVEES DES VIGNES DOMAINE MAROSLAVAC-LEGER 60mlグラス
2007 VOSNE-ROMANEE 1er CRU LES SUCHOTS Dominique LAURENT 60mlグラス
2000 VINSANTO CASTELLO DI AMA 45mlグラス

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≪過去のレビュー≫
この店の素晴らしいサービスは、特に誕生日や結婚記念日などのサプライズに向いている。緊張のあまり水ばかり飲んでいる男性客に支配人が気がついたというFBの記事を見た。一緒に来た女性客が洗面所に行った時に支配人が男性に理由を聞いたところ、プロポーズをしたいとのこと。支配人が気を利かせてきっかけとなるようなサプライズプレートを出したところ、うまくいきスタッフ一同感動したという内容。この店は客以上にスタッフが客のことを考えているところが素晴らしい。今回はイブの晩のクリスマスディナーが、そのワインのセレクトと共に感動的だった。この日のために用意したというシャトーマルゴー1974年は、このワインが大好きな妻のために開けて貰った。そんな気障なオーダーが似合う、千葉から天国に一番近いレストラン。

≪過去の料理≫
クリスマスイブのディナー
2012 Menu di Natale 8000円
1皿目の前菜 千葉県産 完熟トマトのゼリー ヴィシソワーズのカクテル仕立て フランス産最高グレードのキャビアとマイクロトマト添え
2皿目の前菜 本鮪 中トロのコレッタ 徳島県産阿波尾鶏のソース
3皿目の前菜 オマール海老と地場野菜のヴァポーレ カッポンマーグロ アルベロ風
イタリアンカラー トリコロール タリオリーニ フランス産トリュフの香り
魚料理 天然真鯛とマッシュルームのパイ包み焼き エシャロットのソース
口直し ミントと檸檬のグラニテ
肉料理 熊本県産赤牛のサーロイン イタリア産ポルチーニ茸と赤ワインのソース
ドルチェ コーヒーとマスカルポーネチーズのロールケーキ ノエル仕立て
カッフェ エスプレッソダブル
小菓子

≪過去のワイン≫
NV CHAMPAGNE CARTE D'OR DRAPPIER 1000円/120mlグラス
クリスマスディナーの各皿に合わせたハーフワインのコース 3000円/60mlグラス×4杯
2011 Chardonnay HAMILTON RUSSE VINEYARDS
2007 CLOS-VOUGEOT Grand Cru DOMAINE JEAN-JACQUES CONFURON
2008 CHASSAGNE-MONTRACHET LE BLANCHOTS DESSOUS DOMAINE COFFINET-DUVERNAY
1988 Meursoult 1er Cru Perrieres Selection NICOLAS POTEL

1974 CHATEAU-MARGAUX 70000円/1本
1995 Chateau d'Yquem 5000円/60mlグラス

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≪過去のレビュー≫
新しいパティシエールが入ってからは、ドルチェも充実している。種類はもとより、誕生日、結婚記念日などのアニバーサリーに、サプライズプレートやサプライズケーキを頼める。彼女が心を込めて作ったドルチェに、涙を流して喜ぶ客も後を絶たないと聞く。感激した客からの礼状の束を見せて貰った。

≪過去の料理≫
お任せコース 6000円
パルマ産生ハム 洋梨 パルミジャーノレッジャーノのソース
房総海老のロースト ジャガイモの燻製のピュレ
トリュフを練り込んだ手打ちトンナレッリ
鹿児島県産真鯛のグラモラータ
自家製フォカッチャ
フランス産ホロホロ鶏のコンフィ 白トリュフオイル
4種のチーズリゾット
ドルチェ フランス産栗のモンテビアンコとパンナコッタ バニラジェラート チーズケーキ
カッフェ 珈琲

≪過去のワイン≫
お任せコースの皿に合わせたグラスハーフワインのコース 4000円
NV CHAMPAGNE Ay GRAND CRU BRUT TRADITION GATINOIS 120mlグラス
2010 Vintage GEORIS 60mlグラス
2000 POMMARD 1er CRU "Les Pezerolles” Domaine Potinet-Ampeau 60mlグラス
2010 CHARDONNAY par ESCUDO ROJO 60mlグラス
2008 PARADIGM 60mlグラス
Viognier Vendimia Tardia Vina Santa Marina \ 45mlグラス
FIOR DI GRAPPA GAMBRINUS 45mlグラス
2010 La Fuga Contessa Entellina Chardonnay DONNAFUGATA 45mlグラス

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≪過去の料理≫
お任せコース 5000円
ジャガイモのヴィシソワーズ フォアグラのムース ピエモンテ産サマートリュフがけ
自家製サルシッチャ キャベツのワインビネガーソテー
焼きたてのフォカッチャとバケット
カスピ海産最高級グレードのベルーガキャビアと自家農園産茄子のカッペリーニ
フランス産ウズラのマルサラソース
アムスメロンとグレープフルーツゼリーのスープ仕立て バニラジェラートと共に
エスプレッソ

≪過去のワイン≫
2010 La Fuga Contessa Entellina Chardonnay DONNAFUGATA 120mlグラス
1988 Blagny La Piece sous lebois Robert AMPEAU et Fils 120mlグラス
NV SHAMPAGNE BRUT Cuvee Tradition Christian Etienne 120mlグラス
CASTELLO DI FONTERU GRAPPA DI CHINANTI CLASSICO MAZZEI 45mlグラス

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≪過去の料理≫
お勧めワインに合わせたお任せコース
房総産 黒アワビのソテー
房総産 活き伊勢海老1匹丸ごと 伊勢海老の味噌のソースのスパゲッティ
ウズラの1匹丸ごと ウズラの骨の出汁で煮込んだリゾット詰め
ガトーショコラ
カプチーノ

≪過去のワイン≫
CHAMPAGNE GATINOIS Ay
1999 Poupille
2006 CHASSAGNE-MONTRACHE Premier Cru Clos Saint-Jean DOMAINE RAMONE

≪過去のデュジェスティフ≫
MARC de la Chanpagne DORAPPIER

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≪過去のレビュー≫
千葉で一番のワインサービス、痒い所に手が届くイケメン支配人の気使い。なんと言ってもフィレンツェで修行したイケメンシェフの、とても優しい料理が素晴らしい。取って置きの隠れ家レストラン、トラットリア・アルベロ。JR千葉駅、西千葉駅、稲毛駅、いずれからでもタクシーで1500円くらいの距離。千葉都市モノレール、みつわ台駅からは徒歩10分です。あくまで道に迷わなければだが。本日は妻と2人でランチ。アルベロの支配人の誕生日。彼のファンである妻は、毎年この日にプレゼントを持って食事に行くことにしている。今年も恒例の花束贈呈。泡で乾杯。本日の泡は珍しくカクテル。 

≪過去の料理≫
ワインに合せたお昼のお任せコース 5000円/1人 
ストウッツィキーノ たらの芽とふきのとうのフリット
春が来た。やたら寒いが。たらの芽のほんのりとした苦味が、ふわっとしたフリットになって、春らしく美味しい。 
アンティパスト 尾長鯛のベリーソース
わずかに甘みまで感じるぷりぷりの尾長鯛。生魚が駄目な妻には火入れしてくれている。ベリーのソースがベリーの泡の伴。支配人とシェフのタッグマッチが、今日も素晴らしい。 
アンティパスト 焼きタラバ蟹とホワイトアスパラ
妻の大好物、焼きタラバ。お祝いのお返しでしょうか。これも甘い蟹。あっさりした走りのホワイトアスパラとのハーモニーが心を揺する。
プリモピアット 大根とじゃが芋のポタージュ
大根味とは、何だか不思議な食感と味わい。珍しいズッパ。 
プリモピアット 赤ワインで煮込んだイベリコ豚 ココアを練り込んだタリアテッレ
イベリコ豚がクタクタになるまで煮込まれている。赤ワインで酔っぱらったイベリコ。ココア味、ココア色のタリアテッレに赤ワイン味が絡んで、これは美味しい。熟成ポマールと相性ドンピシャ。イベリコに続く本日のポマールに合せる主役は何か。 
セコンドピアット 牛タンのボリート サルサヴェルテソース
みどりのソースはイタリアンパセリをたっぷり使ったサルサヴェルテ。添えられた緑の野菜たちとの相性も抜群。柔らかく煮込まれた牛タンは、肉の味わいを凝縮したタイプ。美味しい。熟成ポマールにはイベリコの方が合うようではあるが、これは料理単体がイタイアンらしくない美味しさで面白い。これは昼からワインが良く回る。
ドルチェ ブラッドオレンジのシャーベット

本日も平日昼から、美味しく、楽しく、ワインと共に幸せな食事。支配人、祝誕生日。この日この後この店のディナーで結婚記念日を祝った部下が、あまりの美味しさとサービスの気持ち良さに感激。わざわざ千葉支店から丸の内のオフィスまで、素晴らしい店を紹介頂き、妻と2人、感謝の気持ちで一杯と、礼の挨拶に来た。それを聞いた丸の内の部下たちが、みんな、行きたいと言っている。全ては支配人とシェフ、スタッフの力。順次連れて行くので、今後とも宜しく。 

≪過去のワイン≫
カクテル ベリーのスプマンテ
苺の良く合うスプマンテを使っている。誕生会らしいセレクト。本日の赤ワインは何か。
1996 ドメーヌ・ミシェル・ゴノー ポマール・プルミエ・クリュ・レ・ペリエール
さすが、ポマールならミシェル・ゴノーはナンバーワンクラスではないか。熟成飲み頃の1996年。ポマールとは思えぬ、限りなくヴォーヌロマネを感じる濃厚な赤黒色。ほんのり甘みの香りに、深く複雑な赤い果実の味わい。たまらない。
2008 フリードリッヒ・ベッカー シュペートブルグンダー・ブランド・ノワール・アイスワイン
ドイツのDRCと言われているフリードリッヒ・ベッカー醸造所。以前、千葉駅前のイタリアン、エスト!プロッシモでシェフソムリエに奨められたもの。シュペートブルグンダーはドイツのピノ・ノワール。甘い、甘いアイスワインに仕上がっている。かなり秀逸。 
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≪過去のレビュー≫
クリスマス・イブのディナーに妻と2人で。2ヶ月前に予約して、何とかギリギリ取れた。ラッキー。クリスマスの泡は、嬉しいことにアンリ・ジロー。 

≪過去の料理≫
CENA NATALE -クリスマスにあなただけのオリジナルコース- 10000円/1人
アンティパスト ズワイガニとトマトの泡 キャビア添え
ズワイ蟹のボリートでスタート。シャンパーニュに合う。キャビアが美味しい。フランス産の最高のキャビアを、クリスマス用に特別に仕入れたとのこと。素晴らしい。
アンティパスト ホウレン草のズッパ 黒アワビの柔らかスチーム煮込み
ホウレン草と素晴らしく柔らかな黒アワビがソーヴィニヨン・ブランに合う。手間隙掛けて作られたズッパが嬉しい。 
アンティパスト フランス産鴨とフォアグラのオレンジテリーヌ マルサラソース
鴨とフォアグラのテリーヌ。マルサラワインのソースも完璧で美味しい。 
プリモピアット サフランを練りこんだタリアテッレ 和牛テールの赤ワイン煮込みソース
これも美味しい。しかし、そろそろ赤ワインか。本日は最高の熟成ブルゴーニュを用意していると思わせぶりな支配人。なんだろうか。
ドルチェピッコロ バルサミコ酢のグラニテ 
バルサミコの酸っぱさが効いている。 
セコンドピアット 鹿児島県産真鯛のジャガイモ包み焼き ブールノワゼットソース 黒トリュフ掛け
真鯛を包んだジャガイモ。これも美味しい。芋、栗、南瓜好きの妻のための魚料理。感謝、感謝。そしてお待ちかねは妻と2人のクリスマスのために用意して貰った最高のブルゴーニュ。果たして何か。
セコンドピアット 和牛ロースのステーキ 野菜の煮込みソース
今回のクリスマスメニューでは、生に近い和牛を出している。しかし妻のために、我々だけはたっぷり火の入った和牛。生肉の食べられない妻のために、妻の一番好きな火の入れ具合。相変わらず素晴らしい。お客さんごとに、一番合った火の入れ具合など、他のどこのお店でもあり得ない気の使いよう。 
ドルチェ リコッタチーズと林檎のパイ包み焼き ブッシュ・ド・ノエル風
さすがクリスマス。ドルチェもブッッシュ・ド・ノエル風。 
カッフェ エスプレッソダブル 

≪過去のワイン≫
NM アンリ・ジロー シャンパーニュ・エスプリ・ブリュット
400年前にまだシャンパーニュがスティルワインの生産地であったころから、アンリ・ジローはワインを造っていた。今の当主は12代目。日本はまだ江戸の始め。その最もスタンダードなエスプリ。クリスマスらしいセレクション。繊細にして樽の効いた、バニラっぽいシャンパーニュ。いい感じ。
2010 ギャルリエール トゥーレーヌ・サンドリオン
シンデレラのガラスの靴のエチケット。ディズニーフリークの妻のためにわざわざ捜してきてくれたワインとのこと。ソーヴィニヨン・ブランの硬さに若干のシャルドネ。蟹とキャビアのお供。面白いワイン。そういえば、今日は来た時から、BGMがディズニーばかり。まさか妻のために。もちろんです。本日は奥様のクリスマスためにお店をあげて、準備万端、完璧ですよと支配人。満席の他のお客さまに申し訳ない。
1992 ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ ロマネ・サンヴィヴァン
DRCの飲み頃ど真ん中。まさかクリスマスにDRCの飲み頃を探して来てくれるとは思わなかった。今日はもう何も言うことがない。DRCと言えば、先日久しぶりにロマコンを飲んだが、やはりロマコンは別格中の別格、美味し過ぎて言葉が出なかった。ロマネ・サンヴィヴァンはロマコンに比べると、香りも、味わいも、他のヴォーヌ・ロマネで比較できるものもあると思っていたが、飲み頃は想像を超える凄さがある。ちょっと感動する。だからこの店はやめられない。
ディジェスティーヴォ ボナヴェントゥーラ・マスキオ ラ・グラッパ・903・バリック
やたらグラッパの種類の多い店でもある。それはワインとグラッパおたくの支配人の影響のよう。今回も、いつもの903のおたくバージョン。リースリング8割、カベルネ2割で、バリック熟成のグラッパ。濃厚なワインを飲む感触。 
クリスマス・イブに妻と2人、ロマネ・コンティを思わせる最高に飲み頃なワインで過ごすことができた。いつも申し訳ないくらいの素敵なサーブ。こんな店、他にはない。

  • 広島県産なかやま牛カイノミのステーキ グリーンペパーソース
  • 石田屋と仁左衛門 純米大吟醸 限定品 黒龍酒造  2004 MEURSAULT-CHARMES DOMAINE DES CONTES LAFON
  • 煮アワビと帆立のタルターラ カラスミとキャビア乗せ

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