レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!
1位
1回
2013/03訪問 2019/01/29
銀座かわむら。人生一度は行ってみたいと思う至高の店。考え得る最高の食材のみを使う徹底した拘りのシェフに、日本中からファンがやって来る。そのため予約は取れない。常連客に連れて来て貰って、その場で次の予約を取る以外にこの店の客にはなれない。それでも半年先まで予約が埋まっている。最高の和牛の、最高のヒレの、最高の部分のみを惜しげもなく使うステーキは、まさに至高の逸品。その日、その日で一番出来の良い牛ヒレを、日本中から仕入れている。肉の出来はその外観を見るだけで99%分かると言う。触って確かめるなど言語道断とも言う。塩胡椒を一切使用せず、肉自身の旨みを全て引き出す匠の技。肉汁が一切見えない奇跡の焼き上がり。しかしその万遍ない柔らかさには、誰もがうっとりとしてしまう魔法のようなステーキ。炭火と言う生き物を扱いながら、全て完璧な焼き上がりにしてしまう。まさに食の猛獣使いのように。今回は鹿児島県産、鹿児島黒牛のヒレ肉。カツレツはヒレの一番良い部分の1/10しか使わないと言う。ハンバーグも同じヒレ肉の空気に触れた部分を大胆にカットし、中の部分以外は使わない。しかし何と言ってもステーキが凄い。40分以上かけて、目の前の炭火でじっくりと焼き上げ、本当に肉汁を一切出さずに、旨みとともに肉の内部に閉じ込める。満遍なく柔らかくほのかな口当たり。まさに至高のステーキ。ヒレ肉とわずかな野菜のみを使ったコンソメスープが、全く雑実を感じない究極の味わい。黄金色のスープを飲むと、誰でも幸せを感じられる。サラダの野菜、ドレッシング、香の物さえ、素材に徹底的に拘っている。房総産のマダカアワビは20センチ超級の特大もの。柔らかいマダカアワビの中でも、こんなにも柔らかいアワビは食べたことがない。牛丼さえも至高の味わい。最高のヒレ肉を目の前でカットしていき、そのまま牛丼にしてしまう。呆気にとられる。ワインで利益を得ることを良しとしないシェフは、原価に近い価格で料理に合うワインを揃えている。持ち込み料も、1本3千円と控えめな設定。今回持ち込んだワインは、ブルゴーニュでも最も好きな造り手の1人、ドメーヌドラルロ。そして天才醸造家オリヴィエルリッシュ最後のヴィンテージ2010年。早飲みは勿体ないが、最高の肉の露払いには持ってこい。そしてメインはオーパスワン。ボルドーを超えるボルドー的カリフォルニア、ナパ。ムートンのロスチャイルドとロバートモンダヴィの合作。最高の肉を食べるためのワイン。しかしシェフは言う。自分の出すステーキは、これ以上無い繊細な味わい。カベルネやメルローなどのタンニンの効いたワインが合うとは限らない。単にステーキだからボルドーと言うような思い込みで、ワインを持って来て欲しくないと。ワインへの思い入れも相当なものがある。場所は東京メトロ、銀座駅から徒歩数分。新橋に向かって外堀通りを進み、銀座西6丁目交差点をJRに向かって右へ。1本目を左に曲がった左手。路地に入った突き当たりの左側に在る。もう何度も路地の前を通った道。その度に、いつかは来ようと思ったあのダークチェリーの扉。取っ手に掛ける手が緊張する。カウンター8席だけの室内は落ち着いた印象。一見を拒絶する雰囲気には十分。しかしシェフのはにかんだ笑顔と素晴らしい接客には、肉同様に舌を巻く。それにしても、料理は素材が全てと言い切るシェフの、素材への徹底した拘りは凄過ぎて言葉を失う。原価率50%と言われる驚異の経営方針が全てを物語っている。素材そのものの最高の味わいを表現するために、惜しげも無く最高の部分を残して切り捨てて行く調理を見ていると、環境がどうの、効率がどうのと言う言葉が虚しく思えてくる。究極の料理、至高の料理と言われるものは、世の中に星の数程あるかもしれないが、この店のシェフの素材への拘りは、その選択から調理に至るまで、その頂点の一つに到達している。そして料理だけではない客をもてなす心にも感動できる。やはり人生一度は行ってみたい店に間違いはなかった。
お任せコース 50000円/1人 ワイン持ち込み料・税・サービス料を含む
オードブル 房総産マダカアワビとサーモンの刺身
黄金色の牛ヒレコンソメスープ
鹿児島牛ヒレのカツレツ
サラダ 調味料を使わないドレッシング
鹿児島牛ヒレ肉のハンバーグ
トースト
鹿児島牛のヒレステーキ
鹿児島牛の牛丼
オマール海老のカレー
香の物
デザート とろけるプリン ヨーグルトのシャーベット バニラアイスクリーム
コーヒー
NV CHAMPAGNE Sait-Anne CHARTOGNE-TAILLET
2010 NUITS SAINT-GEORGES 1er CRU CLOS DES FORETS SAINT-GEORGES DOMAINE DE L'ARLOT
2007 BULNELLO DI MONTALCINO PININO
2008 OPUS ONE Robert Mondavi & Baron Philippe Rothschild
2位
5回
2020/09訪問 2020/09/28
南麻布に開業して11年目、元麻布に移転してからでも既に8年が経過する日本に合った日本らしいモダンフレンチ。フランス修行時代には星付きレストランからの誘いをことごとく断り、パリの地元レストランに頼まれて、あくまでもシェフであることにこだわり続けた孤高のシェフ。そんなシェフの食材への愛と、食材を丁寧に扱う和の心を感じるこの店の料理は、まさに天国に1番近いレストランの料理と言えるかもしれない。
今回のヴィアンドはラカン産のピジョンラミエ。窒息森鳩の胸、腿、首の真っ赤な色が印象的。ジビエでありながら臭みのない旨みの固まりような鳩には、この店が開業した10年前の衝撃的なシェフの日本デビューの面影を感じる。鳩の骨、肉のジュと赤ワインのソースも鳩の旨みを見事に引き立てている。伝統的なフレンチから始まり、モダン、イノベーティブ、中華、日本料理を取り入れて来たシェフの11年目の集大成は、それらの実績の全てを注ぎ込んで行き着いたモダンやイノベーティブを超えた新クラシックフレンチ。
アミューズはリドヴォ。これも開業時のスペシャリテ。フカヒレの餡かけが新しい。クラシックとイノベーティブのバランスが絶妙な味わい。美味しいところの良いとこ取りとなっている。房総千倉産の黒アワビが飛び抜けて柔らかい。アワビの旨みと椎茸の旨みの競演。牛蒡のポタージュには穴子のフリットが浮いている。これこそまさにこの10年の集大成と言える組合せ。牛蒡と穴子は相性抜群。豚足のクロケットも食感が良く素晴らしく美味しい。
開業直後のスペシャリテはウニと甲殻類のムースのカクテル仕立て。10年振りの復活が嬉しい。以前のクラシックな味わいが、回り回って全く新しい味わいに進化している。美味しさもかつての倍返し。ポアソンはカマス。豚トロとの組合せが絶妙な食感と味わい。豚の旨みで食べるあっさりした白身魚の美味しさは得も言えない。西京味噌を使うところが面白い。単なるフレンチのクラシックやモダンを超えた新しい日本フレンチの完成形。
シャンパーニュはアンリオのミレジメ。完成されたシェフの料理の露払いとしては十分に繊細な泡立ち。クラシックな造りが瓶内熟成により複雑さを増している。黒アワビや穴子、カマスにはジャンクロードラモネ、シャサーニュの人気畑、モルジョを開ける。この白ワインに合わない魚介はない。最高のピジョンラミエには最高のブルゴーニュ、ドメーヌドラロマネコンティ。今回はこの店が開業したバースデーヴィンテージ2009年のエシェゾー。天国に近付くどころか、天国まで来てしまった。
南麻布で開業して11年目にして、今や全国トップクラスの人気を誇る日本を代表するフレンチ。フランスで独自の経験を重ねたシェフが、中華や日本料理まで取り入れて完成させた完璧な日本フレンチという世界。何より食材や生産者を愛する気持が、シンプルに食材を引き立たせる料理になっているところが素晴らしい店。いつまでも若い美人オーナーマダムのコレクションとも言える、膨大なシャンパーニュとワインのストックも素晴らしい。天国に1番近いレストランは、既に天国そのものになっているように思えてならない。
お任せコース 28000円
アミューズ リドヴォ
フカヒレの餡かけ
アミューズ 黒アワビと椎茸
黒アワビの肝のジュレ
ポタージュ 牛蒡のスープ仕立て
穴子のフリット
オードブル 豚肉と豚足のクロケット
ラビゴットソース
オードブル ウニ 甲殻類のムース
コンソメのジュレ
ポアソン カマスと豚トロ
西京味噌のソース
ヴィアンド ラカン産ピジョンラミエ
赤ワインのソース
パン 自家製米粉のプレーンパン
バター
デセールに替わってフロマージュ
カフェ エスプレッソ
2008 BRUT CHAMPAGNE
Millesime
HENRIOT
26900円/750mlボトル
2015 CHASSAGNE-MONTRACHET
Premier Cru "Morgeot"
Jean-Claude RAMONET
32800円/750mlボトル
2009 ECHEZEAUX
DOMAINE DE LA ROMANEE-CONTI
時価/750mlボトル
別途消費税・サービス料10%
南麻布に開業して11年目、元麻布に移転してからでも既に8年が経過する日本に合った日本らしいモダンフレンチ。フランス修行時代には星付きレストランからの誘いをことごとく断り、パリの地元レストランに頼まれて、あくまでもシェフであることにこだわり続けた孤高のシェフ。そんなシェフの食材への愛と、食材を丁寧に扱う和の心を感じるこの店の料理は、まさに天国に1番近いレストランの料理と言えるかもしれない。
料理に寄り添うオーナーマダムのシャンパーニュとワインが素晴らしい。築地の鮪問屋のお嬢様として育ったマダムの感性が、この孤高の天才シェフを支えている。日本らしいフレンチの最先端と言えるシェフと、新たな食文化の担い手でもあるマダムによる全く新しいフレンチ。伝統的なフレンチ、モダンフレンチ、イタリアン、中華、懐石料理のエスプリを吸収し、誰も知らない領域を目指して進化してきたこの2年、いよいよこの店の天国への階段も、完成が近づきつつあるように思える。
今回のヴィアンドは北海道産の蝦夷鹿。冬の蝦夷鹿の旨みを活かす低温ローストが素晴らしい。申し分のない食材と火入れの組合せ。均一な柔らかさは、ナイフを落とすだけでしんなりと切れてしまう。シンプルにソースだけが添えられているのも、シェフの絶対的な自信の表れ。フォンドボーと鹿のジュ、赤ワインを主体とした複雑にも関わらずあっさりとした口当たりの、食材を一番とするソースも完璧な仕上がりとなっている。
アミューズから和洋中、クラシックとモダンの融合が完成に近づきつつあることを伺わせる。和を代表する旬の菊芋が滑らかなブルーテとなり、菊芋を含む野菜のオーケストラのような複雑な味わいが美味しい。オマール海老にはタラの燻製を合わせている。黒トリュフと燻製の香りのハーモニーが素晴らしい。フォアグラは軽いソテー。フカヒレと生ハムとの組合せも、フレンチ、イタリアン、中華を極めたからこその発見に基づく1つの回答と思われる。
ウニとハマグリ、フキの組合せも懐石料理のようでもあり、モダンフレンチのようでもある。ハマグリのジュは旨みが凝縮している。子持ちヤリイカはトマトのコンソメを使ったソースにぴったり。添えらた蕗味噌が和洋を一体的に味わうポイント。カサゴのフリットは薄い衣と揚げ方が絶妙。繊細な白身の味わいをそのまま活かしている。ポアソンは世界に誇る千倉の黒アワビ。ふわふわの柔らかさ。アワビの肝のソースに合わせる空豆のエスプーマも組合せの妙。
北海道産の蝦夷鹿に続いて仕上げの食事。コースの構成自体が、京懐石のコースと同じようになっていて驚く。食事はカンスイの配合率を指定したという特製麺。今回は冷たいパスタ。旬の真っ盛り、蛍烏賊と春キャベツが春の訪れをストレートに伝えている。デセールのフォンダンショラやアイスに替えて今回はデザートワイン。こともあろうに1996のシャトーデュケムを惜しみなく注ぐマダムの笑顔が、天使にも、女神にも、観音様にさえ見えてくる。
シャンパーニュはその美人マダムが、シャンパーニュオタクと言っても良いほどのコレクションを持っていて、いつ来ても楽しく味わえる。今回はヴィルマール。レコルタンマニュピランのクリュッグと呼ばれるフランスでの人気ナンバーワンシャンパーニュ。最新のミレジムは泡の勢いも繊細。シャサーニュは超有名3ドメーヌの飲み比べ。ニュイサンも2ドメーヌの対比。楽し過ぎるバリエーション。女神のようなマダムと2人で乾杯を繰り返し、2人ともかなり酔っ払ってしまった。
あらゆるジャンルの料理やあらゆる時代の潮流を吸収し、独自の解釈を加えて今までに全く無かった新しい世界を創り続ける孤高のシェフ。愛するオーナーソムリエでもある美人マダムのために、人生の全てを掛けたシェフの料理と、いつまでも若い魔女のようなマダムによるこの店の料理、ワイン、サービス、雰囲気は、まさに天国に1番近いレストラン。オープンから11年通い続けるこの店には、日本の食文化のこれからの希望が果てしなく詰まっているように思えてならない。
料理とワインのお任せコース
40000円/人
アミューズ 菊芋のブルーテ
ウナギの炭火焼き マデラ酒のソース
アミューズ オマール海老のフラン
タラの燻製 黒トリュフ
フォアグラ フォアグラのソテー
フカヒレ 生ハム
オードブル 大ハマグリ
ハマグリのジュレ 北海道産ウニ フキ
オードブル 子持ちヤリイカ
トマトとイカ墨のソース
ホワイトアスパラ グリーンアスパラ
蕗味噌 穂紫蘇
オードブル カサゴのフリット
若筍 花山椒の葉と茎
生姜の皮 木の芽
ポアソン 千倉産黒アワビのリゾット仕立て
空豆のエスプーマ アワビの肝のソース
柚子の香り
ヴィアンド 北海道産蝦夷鹿の低温火入れ
フォンドボーと赤ワインのソース
自家製パン プレーン
ミルクパン ミニバケット バター
特製麺 冷たいパスタ
カンスイの配合率を指定した麺
蛍烏賊 春キャベツ 芽葱
デセール フォンダンショコラに替えて
デザートワイン
1996 Chateau d'Yquem
カフェ エスプレッソダブル
プチフール 自家製カヌレ
2019 CHAMPAGNE BRUT
GRAND RESERVE Vilmart & Cie
120mlグラス
2011 CHASSAGNE-MONTRACHET
1er cru LES VERGERS
DOMAINE FONTAINE-GAGNARD
120mlグラス
2010 CHASSAGNE-MONTRACHET
1er cru LES CHENEVOTTES
DOMAINE JEAN-MARC PILLOT
120mlグラス
2012 CHASSAGNE-MONTRACHET
1er cru LES VERGERS
Domaine Marc Morey
120mlグラス
2011 NUITTS-SAINT-GEORGES
Premier Cru "Les Prulieers"
DOMAINE LECHENEAUT
120mlグラス
1999 NUITTS-SAINT-GEORGES
Domaine ANTNNIN RODET
120mlグラス
1996 Chateau d'Yquem
60mlグラス
南麻布に開業して10年目、元麻布に移転してからでも7年となる今や知らない人のいない、日本に合った日本らしいモダンフレンチ。開業直後の無名時代から通って10年目となる。パリで星付きレストランからの誘いをことごとく断り、現地のマダムに頼まれてあくまでもシェフであることにこだわり続けた孤高のシェフ。そんなシェフの食材への愛と、食材を丁寧に扱う日本の心を感じるこの店の料理は、まさに天国に一番近いレストランの料理と言えるかもしれない。
料理に寄り添うオーナーマダムのシャンパーニュとワインたちが素晴らしい。築地の鮪問屋のお嬢様として育ったソムリエでもあるマダムの感性が、シェフの日本フレンチを支えている。日本らしいフレンチの最高峰と言えるシェフと、新たな食文化の担い手であるマダムによる全く新しいフレンチがこの店では完成されている。にもかかわらずシェフの料理は、本場フレンチ、日本フレンチ、イタリアン、中華、和食のエスプリを吸収し、今もまだ誰も知らない領域を目指して進化し続けている。
今回のヴィアンドはルーアン鴨。食材そのものの鴨とは思えぬ凝縮された旨みと、低温調理による万遍のない柔らかさ。申し分のない食材と火入れの組合せ。シンプルにソースだけが添えられているのも、シェフの絶対的な自信の表れ。フォンドボーと鴨のジュ、赤ワインを主体とした複雑にも関わらずあっさりとした口当たりの、食材を一番とするソースも完璧な仕上がりとなっている。
アミューズは京懐石のようなスタート。トラフグの白子を葛で寄せて毛蟹の餡かけにしている。美味しさも桁違いだが、今日のコースの構成を予測できなくされた驚きが衝撃的。続くアミューズも京懐石。佐島の真蛸のふわふわな茹で加減。山葵の葉の心地良い辛さと旬の海老芋も文句無しに美味しい。ようやくフレンチらしいオマール。合わせるのは新筍とアワビ。フランスと日本の旬の競演。アメリケーヌソースとオランデースソースのダブルソースが絶妙なコンビネーション。
フォアグラに合わせる酸味の利いた赤ワインソースも上品。ふんだんに使われた黒トリュフの香りは器の蓋を閉めたままでも香ばしく上がってくる。オードブルは大ハマグリと蕗、ウニ、紫蘇の穂。再び京懐石との融合。スッポンのつくねも和の真骨頂。スッポンの背骨から取るソースと卵黄も完成された和の世界。ポアソンは皮だけカリッと仕上げられた松毬焼きを思わせるグジ、アマダイのポアレ。白味噌と白ワインのソースのバランスは、あたかも今回のコースのテーマを見るよう。
フランス産のルーアン鴨に続いて仕上げの食事。コースの構成自体が、京懐石のコースと同じようになっていて驚く。食事はカンスイの配合率を指定したという特製麺。豚肉のミンチ、ラー油、パクチーの組合せは坦々麺に近い印象。しかし白子のソースが濃厚で、今までに経験したことの無い麺となっている。デセールのフォンダンショラとマンゴーのアイス、プチフールの自家製カヌレがフレンチであることを思い出させてくれる。
シャンパーニュはオーナーソムリエのマダムが、シャンパーニュオタクと言っても良いほどのコレクションを持っていて、いつ来ても楽しく味わえる。今回はベレッシュエフィス。伝統的な造りのシャンパーニュとしてはコストパフォーマンス抜群のレアキャラ。白子や真蛸にぴったり。オマール、筍、フォアグラにはシャサーニュ。ハマグリとスッポンにグロフィエのパストゥーグラン。そしてグジにマルクモレ、ルーアン鴨にドニモルテのジュヴレ。仕上げに89のジャンマルクボワイヨ。素晴らし過ぎて笑いが止まらない。
あらゆるジャンルの料理やあらゆる時代の潮流を理解し、独自の解釈を加えて今までに全く無かった新しい食の世界を探求し続ける孤高のシェフ。愛するオーナーソムリエのマダムのために人生を掛けたシェフの料理と、いつまでも若く美しい魔女のようなマダムによるこの店の料理、ワイン、サービス、雰囲気は、まさに今の日本で一番天国に近い店。それでもなお、進化を続けるこの店には、日本の食文化のこれからの希望が果てしなく詰まっているように思えてならない。
料理とワインのお任せコース
40000円/1人
アミューズ 虎河豚白子の葛寄せ
毛蟹 葛餡掛け
アミューズ 佐島の真蛸
山葵葉 海老芋
アミューズ オマール海老
アワビ 新筍
アメリケーヌソースとオランデーズソース
キャビア
フォアグラ フォアグラのフラン
赤ワインのソース 黒トリュフ
オードブル 大ハマグリと蕗
ウニ乗せ ハマグリのジュレ 穂紫蘇
オードブル スッポンのつくね
スッポン背骨のソース 卵黄
ポアソン グジのポアレ
牛蒡と独活 菜の花
白味噌と白ワインのソース
ヴィアンド フランス産ルーアン鴨の低温火入れ
フォンドボーと赤ワインのソース
自家製パン プレーン ミルク ミニバケット
バター
特製麺 カンスイの配合率を指定した麺
豚肉のミンチ 白子と辣油のソース
パクチー
デセール フォンダンショコラ
マンゴーのアイスクリーム
カフェ エスプレッソダブル
プチフール 自家製カヌレ
NM CHAMPAGNE BRUT RESERVE
Bereche & Fils
120mlグラス
2010 CHASSAGNE-MONTRACHET
1er cru LA GRANDE MONTAGNE
DOMAINE FONTAINE-GAGNARD
90mlグラス
2009 BOURGOGNE PASSETOUTGRAN
Domaine Robert GROFFIER Pere & Fils
90mlグラス
2012 CHASSAGNE-MONTRACHET
1er cru LES VERGERS
Domaine Marc Morey
90mlグラス
2011 Gevrey-Chambertin
DOMAINE DENIS MORTET
90mlグラス
1989 Pommard LA POMMARDIERD
Domaine Jean-marc BOILLOT
90mlグラス
初めてこの店を訪れてから7年目となる。南麻布からこの元麻布に移転した初日も、夏限定イタリアンを始めた初日も、いつもこの店に来ることができたのは幸運だったのかもしれない。7年前、南麻布のデザイナーズマンション最上階2層を使った1日1組限定のプライベートレストランとの出会いは衝撃的だった。全く無名でほとんど知られていなかったレストラン。しかしそれは日本に合った日本らしいフレンチ、今までずっと求めていた夢のようなフレンチとの始めての出会いだった。
パリで星付きレストランからの誘いをことごとく断り続け、現地のマダムに頼まれてあくまでもシェフであることにこだわり続けた、まさに孤高のシェフ。その料理は日本の心をパリに伝える現代の伝道師だったのかもしれない。そんなシェフのこだわりは日本的な素材への愛と、素材を丁寧に扱う日本料理の心。どの皿にもシェフの思いを感じることができるこの店の料理は、まさに天国に一番近いレストランの料理と言えるかもしれない。
その料理を支えるマダムのシャンパーニュとワインたち。築地の鮪問屋のお嬢様として育ったマダムの感性は、シェフの日本的フレンチの心の支えともなっている。日本における日本フレンチの旗手として最高峰のシェフと、日本における新たな食文化の作り手であるマダムによる全く新しいフレンチがこの店において今まさに完成されつつある。この店が日本の食文化のイノベーター、インキュベーターたらん食通たちのメッカとなっているのも当然の結果かもしれない。
今回も鳩が素晴らしく美味しかった。真っ赤な肉の色が、その素材の持つ秘められたパフォーマンスを醸し出しているラカン産のピジョンラミエ。濃厚なジビエらしい味わいを、均一で丁寧な火入れで柔らかく慈愛に満ちた仕上がりにしている。とにかくシンプルな肉の塊が、ラカンピジョンの良さを余すところなく引き出す。鳩の内臓を使ったソースも軽いスモークが完璧に効いていて、全く内臓の嫌な部分が消え去り、肉を盛り立てている。全てがバランス良くまとまり、この皿の向こうには美しさを超えて後光が差していた。
ピジョンラミエまでの8皿のアミューズ、オードブルも、どれも美しく美味しい。タラバとウニはカニ味噌がポイントとなり、黒アワビも肝との取り合わせが絶妙。イイダコとキャビアにダブルコンソメも文句の付けようがない。魚は金目にタイラ貝。まさに日本料理の世界。そして和牛とトリュフ、フカヒレとフォアグラ、虎河豚の白子にオマール海老と続く。しかしその全てがシンプルなピジョンラミエの露払いだったことを知り愕然とすることになる。
合わせるワインも凄い。シャンパーニュマニアのマダムのコレクションから、まずはこの店オリジナルシャンパーニュ。次々に食に関する新事業を立ち上げるマダムだから出来る神業。続いてもシャンパーニュ。しかもドラピエのミレジメ。2008年らしい上品な泡立ちと味わい。熟成ブルゴーニュが続くと、マダムがフランスの友人から直輸入するフロマージュに合わせてオリヴィエルフレーヴのムルソープルミエクリュ。楽しくて仕方がなくなる。
場所は元麻布の閑静な住宅街。中国大使館やブラジル公使館が並ぶ一角。東京メトロ日比谷線、都営大江戸線の六本木駅から六本木ヒルズに入り、六本木通りの反対側にあるレジデンス棟の間を抜けて行くのが一番の近道。
フランス料理と日本料理を、今最も融合させることができる、料理以外にはマダムにしか興味のない職人のなかの日本一の職人シェフと、何一つ苦労なく育った美しい新進気鋭の実業家、かつシャンパーニュマニアのマダムの織り成す奇跡的な店。この店との運命のような7年間を神に感謝するとともに、あらためてこの店が天国に一番近い店と思わざるを得ない。
料理とワインのお任せコース 35000円
アミューズ タラバ蟹とウニのフラン
タラバ蟹のカニ味噌とともに
前菜1 三陸産黒アワビ
アワビの肝のソースと米のソース
前菜2 明石産イイダコとキャビア
セリと生キクラゲ
ダブルコンソメジュレ
柚子のヴィネグレット
前菜3 伊豆産金目鯛のスモークミキュイ
タラの白子ソース 自家製カラスミ
前菜4 徳島産筍とタイラ貝
和牛の炙り 黒トリュフソース
前菜5 フカヒレとフォアグラ
自家製干し椎茸のスープ
前菜6 直火焼きした虎河豚の白子
ベアルネーズソース
オマール海老のポシェ
アメリケーヌソース
口直し ヴィシソワーズ
ホタルイカのソース
自家製カラスミの冷製パスタ
ヴィアンド ラカン産ピジョンラミエ
鳩内臓のスモークソース
アヴァンデセール キルシュのアイス
黒トリュフ 蜂蜜とポアブルジャバ
薔薇のヨーグルト
グランデセール ブルードオーベルニュ
洋梨 クルミとレーズンのプレッセ
コンフィした2種類のッグレープフルーツ
ハーブティーのソルベ
カモミールの炭酸ジュレ
フロマージュ フランス産
マダムの友人から直輸入した盛合せ
ミニャルディーズ
カフェ エスプレッソ
NM CHAMPAGNE Le Belle Bleue
Restaurant l'equateur
BLIARD-MORISET
2008 CHAMPAGNE BRUT
DRAPPIER Grande Sendree
2011 Alsace Grand Cru
Wineck Schlossberg
2014 Domaine Romaneaux-Desteyet
1995 BEAUNE
DOMAINE MICHEL GAUNOUX
1990 POMMARD VIEILLES VIGNES
COCHE-BOUILLOT
2000 Moursault 1er Cru
LES PORUZOTS Olivier Leflaive
パリのレストランでシェフをつとめたあと帰国したこのシェフの料理は、素材の選択とそれらの組合せが素晴らしい。各皿のビジュアルの完成度も際立っている。元麻布の閑静な大使館街にひっそりと佇む高級マンションにあるレストランは、お洒落と寛ぎの究極コラボレーション。若き美人オーナーと、控え目で優しいイケメンシェフは、2人揃ってソムリエ資格も持つ。シェフのフランス時代の思い入れは今のレストランの形態に続くものがある。パリの星付きレストランからの誘いをことごとく断り、自分の腕を試し、現地の評価を受けたいがために、敢えて頼まれたレストランのシェフを務めていた。そのシェフの思い入れは、最新のパリの流れを汲みつつ、あくまでオリジナリティ豊かな表現に力を入れる、この店の美しく美味しい皿の数々に丁寧に込められている。南麻布に開業して4年。この元麻布に移転してから2年が経過し、シェフの腕はますます円熟味を帯びてきている。料理のコースは、アミューズ、フォアグラ料理を含むオードブルが数皿出た後、旬の魚料理、フランスを中心としたジビエ料理のメインが続くという構成。それに持ち込みワインのコースと、素晴らしいお勧めワインをセットにしたコースが加わる。アミューズやオードブルから美しいビジュアルに感動できる。カトラリーもガラスや石の皿も素晴らしい感性で統一されていて、一分の隙も無い。
今回はフランス、ラカン産の鳩のローストがいつにも増して素晴らしい火入れと味わいだった。シェフのジビエへの思い入れは、今や巨匠の域に達している。オードブルで最高のピュレニーに合わせた大トロが感涙物だった。樽を微かに感じる艶かしいほどのピュレニーにぴったりの大トロは、ホワイトアスパラガスとグレープフルーツ、バルサミコとのアンサンブル。フォアグラのポアレが地鶏黄卵のラビオリと共鳴し、4種類の旬の貝類の競演に感動の嵐。合わせるワインが凄過ぎる。2008ミレジメのブランドノワールに始まり、エティエンヌソゼの1996熟成ピュリニー、エシュゾーにトラペの1981熟成シャンベルタン。料理も凄さを増しているが、マダムの繰り出すワインは、既に世界最高峰に届いてしまう勢いを感じる。
場所は各国の大使館がひしめく元麻布の住宅街。消防署の脇の小道を下り、突き当たりを道なりに左手に。その先の右へ曲がる突き当たりの右側、角のマンション2階に在る。1階はミシュランの星の付く日本料理店。階段を上がるとステンレスの名盤にエクアトゥ-ルと文字のみのエントランスが、料理同様に奥ゆかしい。友達のマンションに入るようにドアを開けると小じんまりしたエントランスホール。すぐにマダムが迎えに出る。入ってすぐに6人用の個室。大抵は2人客用に贅沢に使っている。オープンなL字のカウンターには、ゆったりとしたソファタイプのチェアが6席。バックバーも美しい。インテリアの絵はシェフが自ら書いている。料理、ワイン、サービス、インテリアと、全てに統一されたオーナー夫妻のセンスは他のどこの店も適わない。ゆったりしたカウンターも、2人なら2組しか取らない。3人以上なら、相変わらず1組しか取らない時が多い。とにかく何を置いてもサービスの質と顧客満足に拘っている。従って1人客は取らない。開業して4年が経過しても進化を続けるシェフの料理と、若く美しいマダムのワインサービス。心許せる家族や仲間との食事の場として、これ以上ない最高の舞台が用意されている。ここは天国に一番近いレストラン。これからも食事を心から楽しみたい人のためだけに、さらなる進化を続けて欲しい。
シェフお任せ料理とマダム秘蔵ワインのコース 30000円(時価)
アミューズ 蛍烏賊のカダイフ包み ジャガイモのエスプーマを添えて
オードブル 7時間煮た活き蛸のスモークとウニ 浅利と芹 生木耳の黄柚子ヴィネグレット添え 昆布と牛スネ肉のダブルコンソメ
オードブル 地鶏黄卵のラビオリ フォアグラのポアレ 京都山城の筍と菜の花 トリュフソース
オードブル 佐賀県産ホワイトアスパラガスと大トロ グレープフルーツとバルサミコ クミンと木の芽 クレソン マーシュのサラダ
ポアソン トコブシ ハマグリ ミル貝 タイラ貝 貝のジュと独活 ハーブの香り
ヴィアンド フランスラカン産鳩のロースト
自家製パン
フロマージュ 3種類の盛合せ
デセール 蜂蜜ヨーグルトの黒トリュフ添え バニラアイスクリームと金柑に詰めて焼いたクレームダマンド アニスショコラ添え
カフェ エスプレッソ
プチフール
2008 CHAMPAGNE BLANC de NOIRS BRUT Frederic MALETREZ 120mlグラス
NM CHAMPAGNE Cuvee no.737 JACQUESSON 750mlボトル/4人
1996 Puligny-Montrache Le Referts Domaine Etienne Sauzet 750mlボトル/4人
2007 Echezeaux DOMAINE J,CACHEUX 750mlボトル/4人
1981 CHAMBERTIN DOMAINE LOUIS TRAPET 750mlボトル/4人
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今回もビュルゴー家ルーアン鴨のロティが素晴らしい出来だった。火入れの丁寧さによる全体的な柔らかさも良いが、ソースがビュルゴー家のルーアン風とぴったり合っている。赤ワインのソースには香草を効かせ、濃厚な鴨自体の味わいをピリッと引き立てる。研究熱心なシェフの技を感じる。今回は、ホタテもマナガツオも、ルーアン鴨以上の火入れ具合に感動する。フワフワに仕上げるシェフの火入れに対する拘りは相当なもの。マダムのお奨めワインはロゼのシャンパーニュが待ち遠しい春の訪れを感じさせるセレクト。ジョバールのムルソーが素晴らしい口当たりで、ホタテとのマリアージュに涙が出る。マナガツオとルーアン鴨にはグロのヴォーヌロマネ。仕上げは昨秋早世したパトリックビーズに敬意を表して、シモンビーズのサヴィニーオーヴェルジュレス。なんと言う組合せと演出だろうと、ただただ感激する。
シェフにお任せコース 14200円 別途サービス料10%
アミューズ 温かい甲殻類のフラン
アミューズ タスマニアサーモンのマリネ 燻製ジャガイモのムース
オードブル オマール海老と活ホタテのポアレ フォンダンエシャロットとハーブのヴィネグレット
有機野菜とトリュフのサラダ添え
オードブル スープドポワソン カニ味噌とズワイガニのガレット 赤穂産牡蠣のポアレ
フォアグラ
ポアソン マナガツオの直火焼き スミイカとインゲンのソテー ソースヴィエルジュ
グラニテ ウェルベーヌ
ヴィアンド ビュルゴー家ルーアン鴨のロティ 赤ワインと香草を使ったソース
パン 4種類の自家製パン
フロマージュ 5種の盛合せ
デセール
カフェ エスプレッソダブル
プティフール カヌレ マカロン他
各皿に合せたマダムにお任せのボトル 33600円/4本 別途サービス料10%
NM CHAMPAGNE MONOPOLE ROSE TOP BRUT HEIDOSIECK
2007 Meursault "Les Grands Charrons” JOBARD-CHABLOZ
2007 Vosne-Romanee AUX REAS DOMAINE A.-F.GROS
2001 Savigny-les-Beaune Aux Vergelesses 1er CRU Simon Bize & Fils
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移転前の店では、1日1組限定で、魂のフレンチを作っていた。新店舗では、1日3組までに拡大し、しかし同じような強い思い入れのフレンチを作り続けている。また個室とカウンターに分かれ、広くなった店内を若く美しいマダムが蝶のように舞っている。やはりここは、未だ天国に一番近いレストラン。今回も旬のジビエ、夏蝦夷鹿が素晴らしい出来。素材の熟成度も理想的なら、合わせるソースが夏鹿仕様。黒胡麻に赤ワインとフランボワーズを合わせたソース。どっしりとしたジュヴレシャンベルタンに何と合うことか。感動する。ポアソンの萩の甘鯛の絶妙な火入れもさることながら、いつもながらのオードブルの美しい旋律のような流れが、今回も際立っている。アミューズは西瓜の甘みとエストラゴン、泡の淡い苦味が舌の上で3重奏を奏でる。抜群の火入れの帆立にラングスティーヌと甲殻類のギリシャバロックなソース。堪らない。フォアグラがルーアン鴨、サマートリュフと共に国旗のようにデザインされた皿。白烏賊には北海道産牛のトリッパ。もう何も言うことは無い。今回の乾杯はミレジメも2005年。真夏の夜のブランドブランは酸味がきっと効いている。西瓜のアミューズに合い過ぎて怖い。サンセール、ムルソーがオードブル、甘鯛に合わせて次々に開けられる。ルーアン鴨とフォアグラにはサヴィニーの熟成赤ワイン。しかも日本人妻を娶ったシモンビーズ。奥が深いセレクションに驚く。主役の夏鹿には熟成ジュヴレシャンベルタン。ワインと料理のマリアージュに、マダムの天才的なセンスを感じる。ワイン持込みコースは、何本持ち込んでも構わない。これまでの5人以下7万円から、6人以下7万8千円に。6人なら1人あたり1万3千円となる。移転して、バージョンアップした上に値下げとは、どこまで顧客の想像を超えるホスピタリティを目指しているのだろう。驚きとしか言いようがない。
シェフにお任せ コースA 9950円 別途サービス料10%
アミューズ 若鮎のムースと西瓜のムース エストラゴンのジュレ
オードブル ラングスティーヌとスモークした帆立のポアレ ギリシャ風ソース
オードブル ルーアン鴨とフォアグラのユール仕立て
オードブル 白烏賊と仔牛のトリッパ 肝に見立てた豚足と烏賊墨の煮込み
ポアソン 自家製塩麹に漬けた萩甘鯛 大蒜とパセリのソース サザエのガレット添え
グラニテ グレープフルーツとウォッカのグラニテ
ヴィアンド 蝦夷夏鹿のロースト 黒胡麻のソース
フロマージュ 5種の盛合せ
18ヶ月熟成コンテ フルムダンベール シャンパーニュ地方のウォッシュ他
各皿に合わせたマダムのお任せワイン
2005 CHAMPAGNE BRUT GRAND CRU MALLOL-GANTOIS 1750円/120mlグラス
2010 SANCERRE La Bourgeoise HENRI BOURGEOIS 1700円/120mlグラス
2001 Savigny-les-Beaune 1er CRU Aux Vergelesses Simon Bize & Fils 1850円/120mlグラス
2010 MEURSALT Le Limozin SYLVAIN DUSSORT 1800円/120mlグラス
1996 Gevrey-Chambertin 1er CRU "LE GORBEAUX” PHILIPPE ROSSIGNOL 時価/120mlグラス
別途サービス料10%
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今回は牛肉を使った料理のコースB。アミューズの春独活と菜の花のエスプーマが季節感たっぷり。前菜の3皿は、アスパラガス、蛍烏賊、地蛸に始まり、64℃で64分火入れした地鶏卵、オマール海老にトリュフ、フォアグラ、モリーユ茸と続く夢の共演。松笠焼きの金目鯛も素晴らしい火入れ。しかし一番はやはり牛肉。北海道みついし牛のヒレが、均一に柔らかく、温かく、しっとりと火入れされ、ネセロリと赤ワインをベースにした、複雑かつ繊細なソースに絡みつく。今回も乾杯のシャンパーニュはミレジメ。暖かな春の訪れを喜ぶようにブランドブランが用意されている。シャンパーニュの造り手もコストパフォーマンスを考えたセレクト。しかし白、赤の造り手、産地は、さらにコストパフォーマンスの優れたものを揃えていて、ブルゴーニュ好きには堪えられない。至福の時を満たす料理の数々には、至福の時を支えるブルゴーニュが欠かせない。
ディナーB スペシャル 14200円 別途サービス料10%
アミューズブーシュ 磯ツブ貝と春独活 絹サヤ豆の和え物 菜の花のエスプーマ
オードブル アスパラガスのデグネリゾン 生蛍烏賊と青柳の小柱 スモークした久里浜の地蛸 甲殻類のエマルジョン
オードブル 64℃で64分火入れした地鶏卵 自家製コンソメドゥ-ブルとトリュフのチネリ オマール海老を添えて
オードブル おやきとサンジャック フォアグラのポアレ モリーユ茸とコニャックのソース
ポアソン 下田産金目鯛の松笠焼きと赤穂の牡蠣 山菜のソース
グラニテ パンプルムースのグラニテ
ヴィアンデ 北海道産みついし牛のロティ ネセロリと赤ワインのソース
フランスとルクセンブルグから4種のパン
フロマージュ 各種盛合せ
デセール ブルボンルージュのプティポー 生姜とカルダモンのアイスクリーム
カフェ マリアージュフレールのハーブティー
プティフール カヌレ 鬼灯 クレームショコラ
2004 CHAMPAGNE BRUT BLANC DE BLANCS Nicolas Feuillatte 1本
2007 PULIGNY-MONTRACHET DOMAINE ALAIN CHAVY 1本
2009 SANCERRE Monts Damne's GERARD BOULAY 1本
2001 Savigny-les-Beaune "Aux Grands Lirds” Simon Bize & Fils 1本
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今回の新ジャガとアーティチョーク、黒トリュフのグラタンが素晴らしい。フォアグラのポアレと牡蠣のソースのコンビネーションになっている。トリュフとフォアグラを見事にマリアージュさせ、グラタンとポアレの組合せがリズミカル。ビジュアルと香り、味わい、全てに計算されつくした理想のコンビ。楽し過ぎて笑さえこぼれてしまう。阿蘇山から来た馬肉ハラミのローストも珍しい。馬肉を赤ワインと燻製にしたエシャロットソースに合わせる。今回の特別過ぎるワインとの相性を考え抜いた究極のセレクション。今回のスペシャルワインはシャトーオーゾンヌ。5大シャトーと並ぶボルドーの9大シャトー、サンテミリオンの主。どんな考え抜いたワインも、全て露払いとしてしまう。そんなワインに合わせる料理を作るシェフの腕は神技とも思える。
ワインコース 78000円/6人 税・サービス料込み ワイン持ち込みは何本でも可
アミューズ 佐賀県産ホワイトアスパラのブランマンジェ トマトとライチ
前菜 マリネしたホタテのミキュイ ハマグリと毛ガニのコンビネーション
レモングラスのジュレとコブミカンオイル 自家製生アンチョビ添え
前菜 白子のフラン 白子とオマール海老のポアレ塩漬けした鱈のソース
前菜 新ジャガとアーティチョーク 黒トリュフのグラタン モリーユ茸
フォアグラのポアレと牡蠣のソース
お魚料理 北海道産カスベのロティ ケッパーとハーブの香り
グラニテ りんごのグラニテ
お肉料理 阿蘇山から来た馬肉ハラミのロースト 赤ワインと燻製したエシャロットソース
自家製パン
デセール ブルボンバニラのプティポーとカルダモンと生姜のアイス アルマニュアック香るイチゴミルク
プティフール カヌレとクレームショコラ 金柑とラズベリーの水まんじゅう
カフェ マリアージュフレール
ワインコース 持ち込みワイン
NV CHAMPAGNE “Le DRAPPIER” Special Cuvee DRAPPIER
2009 PERNAND-VERGELESSES “LES COMBOTTES” Domaine Rapet Pere & Fils
2011 MEURSAUT “LES VIREUILS” Domaine des Hospitalieres
2010 ALSACEl GEWURZTRAMINER Domaine Paul Zinck
2007 CHAMBERTIN Grand Cru Domaine Jean Claude Belland
2008 CHATEAU LAFON ROCHET Grand Cru Classe du Medoc
スペシャルワイン
2003 CHATEAU AUSONE Saint-Emilion Premier Grand Cru Clsse “A”
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今回のリードボーとフォアグラの組合せも繊細にして大胆。トピナンプールとトリュフの香りが全身を包み、甘口のワインが喉を潤す。ジビエ料理はウズラとラングスティーヌのファルシ。軽い味付けと柔らかな火入れ、ジビエとは思えぬ、軽いながらも幾重にも複雑に重なる味わいは、グロのヴォーヌロマネに合わせての絶妙なマリアージュ。複雑さと複雑さの出会い。まさに天国への階段を昇る思い。各皿に合わせるお任せワインが素晴らしい。シャンパーニュはアンリジローのエスプリから。〆のヴォーヌロマネまで、料理とのマリアージュは完璧。文句の付けようがない。そしてワインンサービスをする若く美しいマダムの、ワインを愛する思いが伝わるトークに酔うこともできる。
コースA 9950円
アミューズ 佐賀県産ホワイトアスパラのブランマンジェ
オードブル 真鱈の白子プリン その白子とオマール海老のソテー 塩漬けした真鱈のソース
フォアグラ リードヴォーとフォアグラのフリカッセ トピナンプールとトリュフ
ポアソン 五島列島産カサゴのポアレ その出汁で取ったブイヤベース
グラニテ リンゴのグラニテ
ヴィアンド 国産ウズラとラングスティーヌのファルシ コニャックと赤ワインのソース
自家製パン
デセール ライチと苺のアイスマカロン ショコラブランとミントのソース
14種類の香辛料のジュレで合わせたフレッシュライチ 苺 ラズベリー
カフェ マリアージュフレールの紅茶各種
プティフール カヌレ
クマの縫いぐるみが好きな妻のためのクマちゃんのチョコレートと食用花
NV CHAMPAGNE ESPRIT DE GIRAUD BRUT HENRI GIRAUD 1700円/120mlグラス
2008 ALSACE GRAND CRU RIESLING GEISBERG KIENTZLER 1500円/120mlグラス
2009 SANCERRE GERARD BOULAY 1600円/120mlグラス
2007 Vosne-Romanee AUX REAS DOMAINE A.-F.GROS 1800円/120mlグラス
別途サービス料10%
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1日数人だけに振舞われる極上料理の数々は、連夜享楽の極み。ここはワイン好きにとって天国に一番近い部屋。これまでの南麻布を後にして、12月からこの元麻布に移転して来た。広尾、六本木、麻布十番の三角地帯の真ん中。カウンター6席と個室6席と少し規模を拡張した。しかし、サービスの質を落としたくないと、1日2組、合わせて5、6人程度という方針は変えないと言う。
ワインコース 78000円/6人
アミューズ 毛蟹のプチタルト キャビア添え
オードブル 赤穂牡蠣と蛤 ホッキ貝のミキュイ 帆立のブイヨンで作った海藻ジュレ ラングスティーヌのクリームとベルガモットのエスプーマ 黄柚子風味
オードブル テットドフロマージュとラングスティーヌのポアレ ポアブロンルージュのクーリと秋トリュフ
フォアグラ 鹿児島県産筍とフォアグラのカネロニ仕立て ブルーチーズとフォアグラのソース
ポアソン クミンを塗した北海道産鮟鱇のロースト ココナッツソースと昆布蜜柑オイル
グラニテ 5種類のベリーのクラニテ 苺 ブルーベリー ラズベリー ブラックベリー 黒スグリ
ヴィアンド ペルドローのロースト モリーユ茸とコニャックのクレーム
デセール 桂花陳酒のジュレ ソルベアマンド マンゴープリン 金柑と苺
カフェ エスプレッソダブル
プチフール カヌレ クレームショコラ
NV CHAMPAGNE GRAND CRU Brut Tradition RM PIERSON-CUVELIER EARL
2010 PULIGNY-MONTRACHET "LES ENSEIGNERES” Domaine Sylvain Cholet
NV CREMANT D'ALSACE BRUT "Cuvee Manekineko” Clement KLUR
SOLERA RATAFIA DE CHAMPAGNE HENRI GIRAUD
2007 MEURSAULT DOMAINE MICHEL CAILLOT
2009 GEVREY-CHAMBERTIN "VIEILLES VIGNES Age 55” FREDERIC MAGNAEN
2002 GEVREY-CHAMBERTIN "CLOS DES ISSARTS” PREMIER CRU DOMAINE FAIVELEY
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ワインコース 70000円/5人
ワインは事前に自分で持込んで、料理をワインに合わせてもらうというコース。
アミューズ 帆立のプリン 紫雲丹と毛蟹のカクテル
オードブル 駿河湾産天然真鯛のクリュ 長崎県産地蛸と勝浦産雌貝鮑にその肝のソース ポアブルベールの香り
オードブル ローストした和牛ハツとゼストオレンジのコンフィ フォアグラのソテーとトリュフ風味コンソメジュレ
オードブル トピナンプールのクリームとラングスティーヌのポアレ スモークした黒胡椒とベーコンのエマルジョン
ポアソン アズキハタのロティ 江戸前アサリと黄柚子のナージュ
桃のグラニテ
ヴィアンド 青首鴨のロースト 生姜とエシャロットのソース
デセール 丹波産 石鎚の渋皮煮を包んだ焼きモンブランと五香粉のアイスクリーム ピスタチオソース
プチフール
カフェ マリアージュフレージュ
持込みワイン 7本/5人
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場所は南麻布の住宅街の真ん中にあるデザイナースマンション。エントランスは裏側に回ったところにあり、オートロックで部屋番号を押す時点で、特別感はトップギアに入る。最上階に上がると、ホールではうら若き美人オーナーがにこやかに迎える。玄関ドアを開けて招き入れられると、そこは東京タワーのライトアップを目の前に見渡すリビングルーム。スケルトンのインドア階段を上がると、目前に現れる寛ぎのダイニングキッチン。オープンカウンター5席だけの極上空間。テーブルセッティングは季節の設え。春夏秋冬の飾り付けに惚れぼれする。料理は素材を活かし、なお且つワインに合わせることを最優先する。季節の素材は欠かさない。日本各地、フランス各地の旬の組合せはバランス感覚の妙。ワインには北から南まで、例えばブルゴーニュにはブルゴーニュに合う、ボルドーにはボルドーに合う料理が用意される。フォアグラひとつとっても、そのアレンジは多様な切り口。カウンターでのサービスのパフォーマンスも、オーナーの美しい動きを見ているだけで楽しい。ワインはシャンパーニュ、ブルゴーニュを中心に、何でも揃っている。オーナー、シェフの2人がソムリエ資格を持っているので、ワインのセレクトは阿吽の呼吸。持込みコースもお奨め。5人貸切、料理と持込み料を含んで7万円。何本でも持ち込める気軽なコース。
持込みワインに合わせるお任せコース 70000円/5人
アミューズ 鮎のリエット コンソメのジュレとジャガイモのムース
オードブル 冷製フォアグラのカルパッチョ 杏とセロリのピューレ 長野パープル
オードブル 紫ウニ イクラ キャビア リコッタチーズ グリンピースのスープ掛け
オードブル リードヴォーとスモークしたオマール海老のポワレ グリーンアスパラガスとフォンドヴォーのソース
ポアソン 日向灘のヒラスズキの鱗焼き ツブ貝と白ウド ジュンサイの軽いソース 海葡萄のアクセント
グラニテ ミントと青りんご
ヴィアンド 2週間熟成させた北海道産の夏雌鹿のロティ フランボワーズと黒胡椒のソース
デセール 桃のコンポート ブランマンジェ トロピカルフルーツの炭酸ムース
カフェ ハーブティー
プティフール チョコレートのガナッシュ エピスのクランブルとグレープフルーツとローズマリーのコンフィ ローズのマカロン ブラックオリーブのコンフィ
Degrege2010 CHAMPAGNE BRUT NATURE Sans Ajout De Soufre DRAPPIER
2010 Alsace Grand Cru Gewurztraminer Altenberg de Bergbieten DOMAINE ROLAND SCHMITT
2002 MEURSAULT CLOS DU CROMIN JEAN LEFORT
1998 MAZOYERES-CHAMBERTIN GRAND CRU DOMAINE CAMUS PERE ET FILS
1999 ECHEZEAUX GRAND CRU LIGER BELAIR
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南麻布の閑静な住宅街の一角に、築数年のお洒落なマンション。最上階のペントハウスは、吹き抜け階段のあるスキップフロア。玄関を入るとゆったりソファーのリビングでウェイティング。吹き抜けの階段を上がると、そこはカウンター5席、極上のダイニング空間。1日5人限定の超こだわりダイニング「エクアトゥール」。本日は「葡萄党港支部新春ワイン会」。葡萄党の党首、その他党員合せて5名。エクアトゥールでの「葡萄党食べログ支部」結成式のレビューを、食べログで見た党首のリクエストによりこの店で開催。1週間前に届けて置いた持ち込みワインは、「1995 ルフレーヴ ピュリニー・モンラッシェ・レ・コンベット」、「1997 ブシャール シュバリエ・モンラッシェ」、「1987 ルモワスネ グラン・エシェゾー」、「1994 マルタン・ノブレ エシェゾー」など6本。いずれ劣らぬ最高レベルの飲み頃バックヴィンテ-ジ。さすが党首が来る時の気合いの入り方。
コースは前回同様、「持込ワインに合せたお任せコース 新春バージョン 70000円/5人
アミューズ レンズ豆とトリュフのスープ
こんなに美味しくレンズ豆を仕上げるシェフはそういない。トリュフの香りと絡み合って、シャンパーニュのための完璧な皿。いきなり素晴らしい。
オードブル 毛蟹のエフィロッシュとホッキ貝のマリネ、赤ピーマンのクーリ
ほぐした毛蟹の蟹肉とホッキ貝が交互に丸く並び、上には可愛らしい野菜にイクラとキャビア。見た目の美しさにうっとり。ホッキ貝が美味しく、あっと言う間にシャンパーニュから白ワインに交代。シュバリエ・モンラッシェからとはあまりに贅沢。
オードブル オマール海老のラビオリとそのエッセンスを使ったソース、マテ貝とともに
濃厚なオマールの味わいがラビオリの食感の中から。美味しい。オマールのソースとマテ貝が絡み合って、舌の上で踊る。合せるワインはルフレーヴの熟成プルミエ・クリュ。この世の快楽の頂点を極めた感。
ポアソン オウモンハタのロースト ドライノイリー酒とブールノワゼットの香り
これは今日一番印象に残る料理。オウモンハタってこんなに美味しいのかと驚く。初めての体験。皮はかりっと、白身は柔らかく、あっさりした味わいの中にも旨味が凝縮され、ほんのり甘みさえも感じられる。さすが刺身でも、ぷりっぷりな高級魚のオウモンハタ。ドライノイリー酒が効いているのか。こんなに狭いマンションのキッチンで、どうしたらこんなに素晴らしい火入れと味付けができるのだろう。流石と唸る。それにしても、こんなに美味しい魚。ルフレーヴ飲みながら食べるとは、バチでも当たらないと良いが。
フォアグラ スモークしたフォアグラロールキャベツとトリュフのエマンセ
今流行りの草食系に見せかけた肉食系女子の様相のフォアグラ。たっぷり黒トリュフの香りを楽しみながら、柔らかで軽い甘みのキャベツの中から絶品フォアグラが美味しい。合わせるのはロワールの生原酒のような白濁した白ワイン。こんな面白い甘口ワインが世の中にあるのだろうか。この珍しいワインにフォアグラを合せるため、わざわざ甘みを感じるキャベツで巻いたのだおうか。だとしたら凄過ぎる。
グラニテ ベルベーヌとライムのグラニテ
ヴィヤンド 穀物飼育のプレミアム仔羊のロティ ジュードアニョーとニンニクのピュレ ヴィネグレットエルブと春野菜
仔羊の肉が珍しい味わい。穀物飼育というのは肉の味を濃厚にするのだろうか。全く臭みのない仔羊。軽くニンニクを効かせた仔羊のジュで柔らかい肉が引き立つ。回りにちりばめられた春野菜も季節を感じさせてくれる。飲み頃バックヴィンテージ、グラン・エシェゾーとエシェゾーのための料理。仔羊で何の不足もない。ワインの美味しさが、何倍にも増幅された感じで、感謝、感謝。
デセール あまおうとブラックベリーのスープ仕立て 4種のベリーソルベとアプリコットの炭酸ムース
こんな素敵なデセールを、これだけワインを飲んだ後に見せられるとは。勿体ないとしかいいようがない。
カフェ マリアージュフレール ブルボンバニラ この店、お決まりのパターン。
プティフール 金柑のパスティス漬けと三河のホオズキ そして金柑で〆め。
またも素敵なワインたちに合せた完璧なマリアージュ。素晴らしい料理を小さなキッチンから次々繰り出すシェフと、うら若き美人オーナーのコンビネーション。この特別感は他では味わえないフルオーダー感覚。今宵も素敵な宴の場をありがとう。
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最近ワイン仲間になった方の誘いで、いつもの仲良し5人組みが集まった。ワインは持込。泡、白、赤2本、飲み頃を選んで2週間前に自宅からお店に宅急便で送ってある。さながら葡萄党食べログ支部の結成式。お店にも大きなセラーと奥にサブのセラーがあり、ソムリエ資格を持つ若く美しい女性オーナーが厳選したブルゴーニュ中心のワインが沢山揃っている。従ってわざわざ持ち込む必要はない。今回は幹事より、是非、葡萄党幹事長厳選のワインとこの店の料理を合わせたいとリクエストがあり、恐縮ながらワインは全て持ち込みでお願いした。
持込みワインに合せたお任せコース 70000円/5人
ワインは何本持ち込んでも構わない。今回は事前に送ってあったワインに合せた特別コースを、オーナーとシェフで演出してくれた。感謝に堪えない。まずは泡から。
2002 クリスチャン・エティエンヌ シャンパーニュ・ミレジム
NMなら、コスパ・ナンバーワン・シャンパーニュとして有名な泡。そのミレジム。しかも希少な2002年。これに合せる料理がスタート。
美食へのいざない
砂糖を一切使わない人参のスープ カカオの香り 白身魚と小海老の焼きサンドウィッチ トリュフ添え
人参とココア味の組合せでシャンパーニュ。いきなり来たという感じ。あっさりと美味しい、人参とは思えぬスープ。ちっちゃな焼きサンドもぷりっと美味しい。おまけにトリュフの香り、複雑な香りが絡み合う幸せな一瞬。
季節のアントレ
マグレ鴨のスモークで巻いたマンゴーとネセロリのプレスオマール 春野菜のサラダ バニラドレッシング
マグレ鴨とオマール海老の折り重なる味わいが素晴らしい。これで一気にシャンパーニュが無くなりますね~。この美味しいミルフィーユを乗せられたキャビアが引きたて、添えられた秋なのに春野菜の甘みがまた、たまりませんね。熟成ムルソーを開けて合わせる。ソムリエールでもあるオーナーが、素敵な手さばきでコルクを抜く。グラスの長い足も、オーナー同様に美しい。今日は酔い過ぎそう。
1985 ドメーヌ・ジャン・デュポン ムルソー・クロズリー・デ・ザリジエ
1985年のムルソーも稀少価値狙い。シナモンと蜂蜜香が熟成の極みで見せる軽い酸味。合せる料理は何か。
熟成ムルソーのためのアントレ
豚の3種の部位を使った島根産白烏賊のポアレ 万願寺唐辛子とカレー風味のカリフラワーピュレ 蛤のチップ
温かくて甘い白烏賊が美味しい。豚足や豚耳などを合せている。万願寺唐辛子の泡仕立ても面白く、添えられたジロール茸が、なんともムルソー。
フォアグラ
スモークした牡蠣とフォアグラ ジロール茸のソテー マッシュルームスープ仕立て
秋の夜長のジロール茸攻め。牡蠣とフォアグラを同時に同じ皿で食べるのも初体験。ムルソーのためのフォアグラ。 順調なワイン会、この結婚式のような皿がその象徴。続いて本日3組目のマリアージュへと。
1999 ドメーヌ・カミュ マゾワイエール・シャンベルタン
これは何度も飲んでる鉄板のグラン・クリュ、マゾワイエール。シャルムを名乗れる畑で敢えてマゾワイエールに拘るカミュ爺渾身のワイン。1999年も残り少なくなってきたと言われるが。
熟成赤ワインのための海の恵み
長崎産カサゴのポアレ チョリソーとキャベツ レモンと生姜のナージュ仕立て
なんと魚を合わせて来た。これは驚く。チョリソーと甘いキャベツを使うことで、赤の熟成グラン・クリュに合せたとのこと。レモンと生姜の海を泳ぐ長崎のカサゴ。
カクテル仕立ての口直し
これなら口直しなしでも、肉に行けてしまう。本日のメイン・イベントはヴォーヌ・ロマネの巨匠。
2005 ドメーヌ・プリューレ・ロック ヴォーヌ・ロマネ・レ・クルー
ドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティの共同経営者で有名な元祖自然派、プリューレ・ロック。その最もコスパの優れたレ・クルー。そして近年最良の2005年。メイン・イベントに合わせる料理は何か。その前にサブ・イベント。使うナイフを自分で選ぶ。ラギオールの6色のナイフ。好きな色を。
ヴォーヌロマネに合わせたお任せ肉料理
フランス産ピジョンラミエのロティ 赤ワインソースとネセロリのピュレ 内臓のパテ添え
フランスの山鳩。自然派ヴォーヌ・ロマネとピジョンラミエ。嬉し過ぎるマリアージュ。材料費、いったいいくら掛けたのか。内臓のパテも美味しい。これだけで飲めてしまう。
デセール
とろける焼きモンブランのキャラメリゼ サンクエピスのアイスクリーム ピスタチオクーリ
そびえるモンブランの頂上にアイスが乗っている。
カフェ マリアージュフレール ブルボンバニラ
紅茶はマリアージュフレール各種の缶の香りを楽しんで、好きな缶を選べる。楽しい演出。シェフが大好きと言うブルボンバニラで全員決定。オーナー曰く、初めて出たとのこと。
しめて4組の完璧なマリアージュ。オーナーのみならず、シェフまでソムリエ資格を持つ完璧なワインのためのレストラン。心を奪われる。また来たいと誰もが思う。素晴らしいインテリアと、ワインに合わせた最高の料理、美しいオーナーの肌理の細かい心使い、そして何より気心の知れた身内だけでのゆったりとした時間。一昔前に流行った会員制レストランのお洒落コンパクト版。このお店のコンセプトにもやられてしまった。蛇足だがオーナーと名刺交換をすると、オーナーとシェフがビックリして目を丸くしていた。何かあるのか。先日、御社の会長と社長、グループ会社の役員たちが来て、マンションの下の路上に黒塗りをずらっと並べ、運転手を待たせて食事会をしてくれた。社長夫妻はその後も来ているとのこと。こっちこそビックリ仰天。
3位
1回
2013/11訪問 2014/02/22
客への愛、素材への愛、料理そのものへの深い愛情。心優しい大将や美人若女将をはじめとしたスタッフ全員が、客を心から慈しむ愛を持っている店。季節の素材に強くこだわり、客が食事を楽しむことに全力を傾ける。その素材の選択はもとより、素材を最も活かす方法をじっくり考え、徹底して手間を掛けている。その手間を惜しまぬ弛まぬ研究と努力は、同時にサービスの形となって現れ、自然と客に伝わって、世界中からやって来る客全員を一瞬にして虜にしてしまう。
今回は北海道産の黒毛和牛。腿肉は先付で一口カツ風に仕上げられている。こんな甘みのある牛肉は食べたことがない。野菜を使った出汁に、たっぷり手間隙かけて漬けた腿肉の甘みが素晴らしい。ロース肉は〆の土鍋で炊込みご飯となる。やはり甘みのあるサーロインが、ご飯全体を仄かな甘さに引き立て、文句のない美味しさを実現している。
鰤大根と言う名の造りは新潟県佐渡産の寒鰤。3日間熟成させた鰤の旨みは最高の状態に凝縮され、食べる端から頬が蕩ける。乗せられた金色に輝く飛び子と深緑のトンブリが、柔らかく厚みのある鰤と食感のハーモニーを奏でる。ブロッコリーのスプラウトがビジュアルの楽しさだけではなく、さっぱりとした味わいで箸休めに丁度良い。
芋の熟成は難しい。しかしこの熟成海老芋の芋とは思えぬ甘さは絶品。焼かれた山口県産の鰆の火入れも、そのふわふわの柔らかさが全体に均等であることに驚きを覚える。海苔のソースと柔らかな鰆の組合せも素晴らしい。添えられた3種類のキャベツも甘さが秀でている。この店の野菜は畑での作りから丁寧さが違う。生産者と料理人の素材を慈しむ気持ちが、皿の上に溢れていて感動的。
この店の料理は常に素材の選択が季節にストレートで気持ち良い。春なら新筍、夏の鱧、鮎、玉蜀黍、秋の松茸。旬の定番をこれでもかと旬の野菜、魚に合わせてくる。しかし押し付けがましさは微塵も感じない。全ての素材があたりまえのように皿の中に存在する。手の込んだ料理も、その苦労を表に出さず、水面下で水をかくスタッフたちに伝わる技の凄みが垣間見える。
流行りの薄味も、しっかりとした素材本来の味わい、白魚の繊細さ、鱧の肉の味、玉蜀黍のそこはかとない甘みなどを損なうことなく表現している。最近の健康的な料理の典型。塩や脂をほとんど感じない日本料理。素材本来の味わいとは正にこのこと。話題の低糖質も初めから実現されていた。
大将の楽しい演出は、素晴らしいスタッフに支えられている。若く美しい女将の気遣い。大将の料理を脇で支える、やる気満々の料理人たち。ミシュラン店を目指して来る外国人観光客に、ネイティブな英語で対応するスタッフ。この店には成長に必要な心の余裕が満ち溢れている。
各皿に合わせる日本酒のセレクションも信頼が置ける。日本全国の拘りの銘酒を探し出していて、大将の日本酒好きは相当のレベル。値段に関係なく、ひたすら良い造りを目指す蔵元が揃っていて驚く。素材を追い求めて、食べる人の驚きと喜びを追求する大将は、その料理に合わせる日本酒にも驚きと楽しみを忘れない。料理と日本酒の組合せには、伝統への限りない愛を感じる。
今回は和歌山県産の純米吟醸無濾過生原酒シリーズに感動した。紀土は外国人を意識してKIDと読ませる。口当たりの良い、アルコール度の高い生酒。同じ紀州の南方は熊楠を意識した日本酒の原点に迫る日本酒。こんな楽しい飲み比べは早々出来ない。石川県の花さかゆうほや、静岡県の雅の粋など、今日来るであろう客をイメージして大将やスタッフが予め選んでいた日本酒に、この日の世界中から集まったゲストたちも感動を隠さない。
場所は地下鉄神保町の駅から出てすぐ。コンビニエンスストアの角を路地に入った先、左手。寿司屋の手前の一戸建。ごく普通の住宅にも見える落ち着いた店構え。敷地に入ると道路からは控えめに隠れた、塀の裏側がエントランス。真新しいインテリアは、今人気の日本料理店らしいクリアなウッディ感。シンプルで飾り気のない空間は、料理とお酒、サービスを楽しめる雰囲気を感じる。
トータルのパフォーマンスが非常に高い店。どの客も料理に、日本酒に、サービスに心を打たれ、大将のエンターテイメントに笑いを堪えることができない。そして会計をするとさらなる驚きが待っている。こんなに買い得価格で良いのだろうか。間違っているとしか思えない。スタッフ全員がここまで客のことを思い、客と素材と料理そのものに限りない愛を注ぎ込む店は、そうはなかなかないだろう。
≪今回の料理≫
お任せコース 大将お任せの日本酒と共に 16000円/人
一口カツ 出汁と野菜に漬けた北海道産黒毛和牛の腿肉
甘い熟成海老芋 湯葉掛け 柚子の出汁と共に
デンタッキー 黒米入り
熟成させた佐渡産寒鰤 ブロッコリーのスプラウトと卸し大根 飛び子とトンブリ
山口県産鰆焼き 海苔のソースで 縮みキャベツ 黒キャベツ 芽キャベツと共に
お姉さんの作る彩り野菜
蕪と芝海老の椀物
北海道産黒毛和牛サーロインの土鍋炊込みご飯
日向夏とクリームチーズ
≪今回のワイン≫
NM FRANCIACORTA BRUT '61 BERLUCCHI
≪今回の日本酒≫
紀土 純米吟醸 無濾過中取り原酒 Shibata's KID be fresh 平和酒造 和歌山県
南方 純米吟醸 無濾過生原酒 しぼりたて 世界一統 和歌山県
遊穂 純米吟醸 花さかゆうほ 生原酒 うすにごり 御祖酒造 石川県
国香 雅の粋 特別純米酒 国香酒造 静岡県
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≪過去のレビュー≫
今回はいつものフォアグラ最中が秋らしい栗きんとん風。そして焼き芋風の海老芋。トリュフとロックフォールの茶碗蒸しと、芋栗茸の秋尽くし。そして甲殻類好きな妻のためには毛蟹が用意されている。季節を大切にしながら、1人1人の客のために手間を惜しまないメニュー構成。感動的ですらある。
朴葉味噌焼き風の鴨のつくねも、血の滴る鯨肉の煮付けも、抜群の火入れや出汁の旨みが素晴らしい。しかし今回はいつもの西東京市で大将の姉が作る野菜が印象的だった。妻のためにピンクや紫の野菜が彩りも可愛らしく盛り付けられ、野菜ごとに違う温度で火入れされたり、揚げられたり、冷やされたりしている。手法は完全にモダンフレンチ。極めつけに人の顔をしたポテトの目がハート型になっている。
今回の日本酒はあまりの品揃えに絶句した。黒龍酒造の最上位酒、低温で長期間寝かせ自家の屋号を付けた純米大吟醸、蔵のフラッグシップとも言える石田屋を中心に、貴重な酒米、亀の尾で造る石巻の阿部勘、その純米吟醸。秋田新政が白麹で造った特別純米酒。仕上げは山形の出羽燦々を究極の22%まで精米した、まさに名前通りの穀潰し。北陸一の日本酒に続いて、東北3大日本酒と思えてしまう力の入れように驚く。
≪過去の料理≫
お任せコース 大将お任せのお酒と共に 16000円/人
最中のようなフォアグラ 胡瓜の柴漬け 栗きんとん風
海老芋の焼き芋風
トリュフの茶碗蒸し 茸スープと共に
毛蟹 出汁のジェレ掛け 蟹味噌乗せ
氷見産鰹タタキの漬け
鴨つくね 朴葉味噌焼き風 銀杏と蕎麦の松葉
西東京市でお姉さんが作る野菜のサラダ
血の滴る鯨肉の煮付け 葱と豆腐の椀物
デザート ラフランスの蜜漬け クリームチーズ ラム酒とコアントローのジュレ
秋刀魚炊き込みご飯のお握り 昔のヨーグルト風プリン
≪過去のワイン≫
NV BRUT PRIMA CUVEE MONTE ROSSA
≪過去の日本酒≫
いちのくら すず音 発泡清酒 一ノ蔵 宮城県
石田屋 大吟醸純米酒 低温長期熟成 黒龍酒造 福井県
阿部勘 純米吟醸 亀の尾 阿部勘酒造店 宮城県
亜麻猫 白麹仕込み 特別純米酒 新政酒造 秋田県
くどき上手 穀潰し 純米大吟醸 出羽燦々22%精米 亀の井酒造 山形県
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≪過去のレビュー≫
日本料理は大将とのやり取りを楽しめるカウンターが一番。特に最近評判の店の多くがこのスタイル。中でもこの店のエンターテイメント性は飛び抜けて高い。季節の素材をストレートに用いながら、丁寧に手を入れ、とことんその素材の特徴を引き出す術も心憎い。その料理、一つ一つに笑いを伴う大将や女将、スタッフ全員による仲の良い演出が楽しめる。
今回は夏の名残バージョン。いつもの傳タッキーもスパイシー。アワビを肝と海苔で合わせると、最高の気分で夏を見送れる。海葡萄も名残惜しさに拍車を掛ける。北海道産のミスジは、焼肉の夏の終わりに相応しい。ビーツソースが鮮血のごとく、モダン絵画のごとく飛び散っている。大将曰く、店のフランス研修旅行でルーブルの影響を受けてしまったせいとのこと。笑いがカウンターに広がった。そして〆の土鍋炊き込みご飯は、待ちに待った松茸。この店の松茸で、秋を迎える幸せを感じることができる。
今回も1年振りに、手取川、別誂、神保町傳に再会できた。最高の造り手が、この店のためだけのために誂える純米大吟醸、石川県の銘酒。次に会えるのは来年の晩夏となるのか。秋の次回来店まで残っていてくれると嬉しい。ワインはイタリアが好きなようだが、日本料理とイタリアワインの組合せは、個人的には難しいと思う。最近はスプマンテ以外、出なくなったのは自分だけか。
≪過去の料理≫
お任せコース 大将お任せのお酒と共に 16000円/人
無花果とチーズの豆腐
クリームコロッケ
傳タッキー 夏のスパイシーバージョン
蒸しアワビの肝と海苔のソース 海葡萄乗せ
北海道産のミスジと赤蒟蒻 ビーツのソース
西東京市でお姉さんが作る野菜のサラダ
穴子と茄子の湯葉綴じ
松茸の炊き込みご飯
香の物 赤出汁
甘味 梨と葡萄のジュレ掛け
≪過去のワイン≫
NV BRUT PRIMA CUVEE MONTE ROSSA
≪過去の日本酒≫
宝剣 限定純米吟醸 湧水仕込 宝剣酒造 広島県
豊盃 純米吟醸 豊盃米仕込 三浦酒造 青森県
阿部勘 秋あがり 純米吟醸原酒 阿部勘酒造 宮城県
白岳仙 ひやおろし 純米原酒 安本酒造 福井県
手取川 別誂 神保町傳 純米大吟醸 吉田酒造店 石川県
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≪過去のレビュー≫
スタッフ全員が、イタリア、フランスの研修旅行から帰ってきたばかり。長期休暇から店を再開させた翌日だった。この日の客全員に、土産が振舞われるところがこの店の真骨頂。36ヶ月熟成のトリュフ入りコンテが素晴らしい。サーディンやトマトまでイタリア帰りで嬉しいサプライズ。真夏といえばこの店の玉蜀黍の炊き込みご飯が頭から離れない。甘い玉蜀黍が釜の隅々まで染込んで、まさに夢にまで見る美味しさ。今回はホタテと玉蜀黍の二重奏。なんとも言えぬ極上のハーモニー。
前菜では、ジュンサイ、パッションフルーツ、バジルシード、海葡萄、プリプリ食感のオンパレードを蓮の葉の上下に、出汁のゼリーで寄せている。出汁のゼリーを溶くのは酢。夏真っ盛りに夏祭りのような皿。素晴らし過ぎる。焼き物は、鮎と鮎の肝の組合せ。これこそ日本酒の最良の伴侶。淡い苦味が半日干されて熟成感に変わり、軽く焦げた皮の香りが広がる。肝のパテとパンに合わせると、どんな日本酒でも進んでしまう。
今回の驚きは、福島県の銘醸、飛露喜。その年に1度の山田穂。日本全国に16本しか卸さない幻の名酒。誰もが喉から手が出るほど欲しい日本酒を、いとも簡単にポンと出してくる。大将の人徳から来る人脈は、恐るべきものがある。
≪過去の料理≫
お任せコース 大将お任せのお酒と共に 16000円/人
鱧カツのフィッシュ&チップス 小腹レスキューPringlesうすしお味ケース入り
神戸の知人から仕入れたジュンサイ 出汁と酢のゼリー パッションフルーツ バジルシード 海葡萄と共に
今日の夕方しめた鱸 梅肉と紫蘇の葉
半日干して焼いた鮎 鮎の肝のパテ 鮎の肝を練りこんだパンと共に
西東京市でお姉さんが作る野菜のサラダ
鰯のつみれとトマトの出汁汁 イタリア土産のサーディンとトマト
フランスみやげの36ヶ月熟成コンテ トリュフ入り
ホタテと玉蜀黍の炊き込みご飯
特製玉子焼き 香の物 赤出汁
デザートに変えて デザートワイン風自家製カクテル ウォッカに漬けた柚子で熟成させた白ワイン
≪過去のワイン≫
NV BRUT PRIMA CUVEE MONTE ROSSA
≪過去の日本酒≫
吟醸 日高見 夏吟50 氷温貯蔵 平孝酒造 宮城県
生酒 羽根屋 夏吟 富美菊酒造 富山県
吟醸 黒龍 吟十八号 黒龍酒造 福井県
純米吟醸 飛露喜 山田穂 廣木酒造 福島県
白岳泉 吟生 安本酒造 福井県
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≪過去のレビュー≫
春は大浅利、白魚に新筍が嬉しい。旬の盛りには、走りと名残を散りばめる。今回は鰆の生と火入れの食べ比べが素晴らしかった。うっすらと火入れされた炙りの鰆が海苔のこってりしたソースに絡み、絶妙なレア感。じっくり火入れした鰆には、菜の花や桜の春野菜が雑魚味噌と共にたっぷり乗せられている。時間をかけて丁寧に火入れした鰆は、ふっわふわに仕上がり、レアとは一味違う雑みの無いストレートな美味しさ。
≪過去の料理≫
お任せコース 大将お任せのお酒と共に 15000円/人
浜に打ち上げられた大浅利 湯葉のソース 海苔と菜の花
白魚と友人が取る富士山麓の沢の芹の掻揚げ
デンタッキー 古代米と古代人参のサムゲタン風 松の実とクコの実入り
鰆の炙り 海苔のソース
鰆焼き 菜の花や桜の春野菜 雑魚味噌
畑のようす お姉さんが中野で作る春野菜
食事 稲庭うどん 新筍と若布
デザート 日向夏とラムのジュレ
≪過去のワイン≫
NV FRANCIACORTA '61 BRUT DOCG BERLUCCHI
≪過去の日本酒≫
東鶴 特別純米 山田錦 荒走り生 東鶴酒造 佐賀県
A Brewring Abekan 阿部勘酒造店 宮城県
小左衛門 純米吟醸 信濃美山錦 おりがらみ生 中島醸造 岐阜県
刈穂 山廃純米 生原酒 番外品 刈穂酒造 秋田県
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≪過去のレビュー≫
夏の終わりなら、鮎、鱧、桃、ピュアホワイトなど、夏の名残の素材をこれでもかと散りばめ、松茸、秋茄子、新秋刀魚など秋の走りを徹底的に使う。まるで秋祭りのような心が躍る構成に、唖然とするほどの感動が伴う。
最近のトピックは大将待望のオリジナル酒の完成。2年間に及ぶ蔵元とのやり取りにより、大将にとっても客にとっても嬉しい別誂えが届いた。その名は、「特注酒 神保町 傳 別誂 大吟醸 酒魂 手取川」。石川県の銘醸、吉田酒造が品評会用に特別に造る大吟醸酒の一部を、この店のためだけに別誂えしたもの。この料理にこの酒、そしてこのサービス。天下無双の店になった。
≪過去の料理≫
お任せコース お任せのお酒とともに 14000円/人
秋茄子と穴子の餡かけ
オクラの蕾と低温で熟成させたインカの目覚めの揚げ物
北海道産新秋刀魚のジェンガ仕立て
ピュアホワイト白味噌焼き 無花果 鴨 胡麻豆腐 トースト
畑のようす 3種のビーツ トマト オクラ ルッコラ 人参 ジャガイモの似顔絵と名前のアルファベット
鮎のワタのパテ
山口県産の松茸と淡路島産の鱧のお椀
群馬の鶏そぼろご飯
デザート 白桃とマンゴーのコンポート ラム酒のジュレ
≪過去のワイン≫
NV FRANCIACORTA '61 BRUT DOCG BERLUCCH
≪過去の日本酒≫
特注酒 神保町 傳 別誂 大吟醸 酒魂 手取川 吉田酒造 石川県
陸奥八仙 特別純米 ひやおろし 八戸酒造 青森県
純米吟醸 豊盃 三浦酒造 青森県
正雪 純米吟醸 山田錦 神沢川酒造 静岡県
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≪過去のレビュー≫
例えば夏なら鱧。丁寧に仕上げてから揚げる。しかも「ハムカツ」を出してから、「鱧カツ」を出す洒落の効いた一手間。「スタッフが間違えました」と言う大将のジョークに、カウンターから笑いが絶えないこの店の神髄が伺える。入口の外の植木にスコップを刺し、コケ育成中と看板が。その日の締めはスコップに乗せ、苔に見立てたデザート。卵を乗せる朱鷺の巣に見立てた皿には、話題の朱鷺のヒナの人形が。
最近のトピックは2012年ミシュランで星を2つに増やしたこと。また直近では食べログランキンク東京総合1位となっている。
≪過去の料理≫
お任せコース お任せのお酒とともに 14800円/人
ホワイトアスパラの寄せ豆腐 卵黄と共に
枝豆豆腐 ウニと生湯葉乗せ 可愛らしい枝豆と共に
芝海老のおくらの花包み揚げ
平目と甘海老の梅肉和え
干し鮎とタデのパン 鮎のワタのパテと共に
大穴子の山椒ソース 牛蒡乗せ
畑の様子 西東京市で大将のお姉さんが作る野菜
イワシのつみれ汁 冬瓜とジュンサイ入り
大穴子の土鍋ご飯 香の物 味噌汁
朱鷺の巣に見立てた杏仁豆腐
≪過去のワイン≫
NV FRANCIACORTA '61 BRUT DOCG BERLUCCH
≪過去の日本酒≫
純米吟醸 阿部勘 石巻産 ひより 阿部勘酒造 宮城県
酒未来 純米吟醸 写楽 宮泉銘醸 福島県
特別純米 小左衛門 信濃美山錦 中島醸造 岐阜県
山形正宗 純米吟醸 雄町 斗瓶囲い 水戸部酒造 山形県
大吟醸 而今 斗瓶取り 木屋正酒造 三重県
元禄仕込 純蜜薫酒 勝山 元 大吟醸 勝山酒造 宮城県
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≪過去の料理≫
お任せコースとお酒のお任せ 15000円/1人
(カッコ内は大将のジョーク)
(最中!) フォアグラ いぶりがっこ 大将のお爺さんが作る甘夏のジャム
先付 ジュンサイの酢ゼリーがけ(新食感宣言) ジュンサイ バジルの種 柚子でといたトマト 玉子豆腐 トビッコ
小皿 鱧カツ(ハムカツ) 初めは本当にハムカツ!後から改めて鱧のカツ
凌ぎ 雲丹ご飯(料理長の頭) 紫雲丹と山葵
造里 本日の鮮魚 かます 甘海老 あさつきと茗荷 カボス
焼物 鮎トースト(アンパンマン) 鮎とパン 皮付きヤングコーン
中皿 畑の様子 西東京市で大将のお姉さんが作る野菜
煮物 大浅利の酒煮(浅利ちゃん) 三重の大浅利 日本酒と昆布出汁
食事 とうもろこしご飯(ピラフ) 3時間半火入れした宮崎牛のとも三角 とうもろこし 新玉葱
香の物
デザート ハーブとスパイスの水羊羹 バジル ミント
≪過去のワイン≫
NV Franciacorta DOCG PRIMA CUVEE BRUT MONTE ROSSA
2000 BALGERA Valtellina Superiore RISERVA Sassella
≪過去の日本酒≫
寶剱 限定涼香吟醸 宝剣酒造 広島県
陸奥 八仙 ISARIBI 特別純米無濾過生詰 八戸酒造 青森県
和らぎ水 山水 麒麟山酒造 新潟県
純米吟醸 山本 瓶燗火入れ 急速冷却 低温瓶貯蔵 山本合名 秋田県
4位
1回
2013/11訪問 2013/11/19
昨年、西新橋にオープンした京料理の店。すでにミシュランの星を獲得したまさに期待の新星と言える。出身の京味からすぐ近くにあり、駐車場の一角の小さなビルというシチュエーションもそっくりで面白い。見た目だけではなく、味わいも京料理らしい薄味と、素材の持つ本来のパフォーマンスを最大限に活かす料理の手の込み方が、京味と酷似している。京味の今や巨匠となった大将の薫陶を隅々まで受けたことが伺われる。
今回は何と言っても香住の香箱蟹が素晴らしかった。蟹と言えば香住。兵庫の誇る名産でもある。その旬の香箱蟹が漁の解禁と共に饗される。冬を迎える心の準備に欠かせない香箱蟹の蟹肉、ミソ、そして内子と外子。甲羅に燗酒を注いで甲羅酒が欲しくなる。焼き白子の表面の焼きあがりも絶妙な寸止め感。ふわふわの中身を薄い皮で包むような繊細な火入れが素晴らしい。濃厚な白子を軽快な味わいに仕上げる技。
椀物は鼈鍋。これはコラーゲンの塊。初冬の訪れと共にこの店には珍しく、しっかりした鼈鍋らしい味わいのお椀となっている。近江かぶらの蒸物は若狭のグジに、百合根と銀杏。上には大根おろしと修善寺の山葵が乗っている。これぞ京味を彷彿とさせる珠玉の一品。京味を継承するような料理で、まさに愛弟子である大将の本領発揮。
日本酒は京味と同じように天領がメイン。この大吟醸は大将の親方ではなくとも、一度飲むと虜になる。幻と言う名の幻の銘酒も美味しい。70年前に発見されたリンゴ酵母を今でも使い、年に2回だけわずかに世にでるが皇室御用達でもあり、まず目にすることはできない。理想の京料理と幻の銘酒、奇跡的な出会いに遭遇できる。
30を過ぎたばかりの息子のような大将は、腰が低く、サービスも心がこもる。数ヶ月前からは弟子も取り、1日2組しか取らない客を、1日3組に広げた。今回はいつも手伝いに入っていた父親に代わり、気風の良い大将の姉が入っていた。相変わらず、素晴らしい京料理とアットホームが心から和める店。やがて本家を抜き去る日が楽しみで仕方がない。
≪今回の料理≫
お任せコース 19800円/1人
付出の雑魚山椒
海鼠腸の飯蒸し
兵庫県香住の香箱蟹 蟹肉 ミソ 内子 外子
真鱈の焼き白子
湯葉と京水菜の炊合せ
海老芋の葛粉薄衣揚げ
淡路産鯛の造り
鼈鍋の椀物
笹鰈の一夜干し焼き
近江かぶらの蒸物 若狭のグジ 百合根 銀杏 大根おろしと修善寺の山葵
食事 花山葵 牛時雨煮 雑魚山椒 ご飯 止椀
黄粉餅
≪今回の日本酒≫
各皿に合せたお勧め 3250円/1人
天領 純米大吟醸 天領酒造 岐阜県
越乃寒梅 大吟醸 超特選 石本酒造 新潟県
北雪 大吟醸 YK35 山田錦 北雪酒造 新潟県
加賀藩 前田家御用蔵 純米吟醸 谷内屋酒造 石川県
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≪過去のレビュー≫
今回は鯛尽くしと物集女の筍が素晴らしかった。鯛は頭のみを使った潮汁に感激する。昆布出汁が鯛の頭の旨みを浮き立たせている。あっさりした汁と旨みの絶妙な取り合わせに、身体の中でこれからの食材を受け入れる体制が整っていくのが分かる。物集女の筍は日本で一番美味しいと言われる京都産の中でも、特に素晴らしい。同じ京都の長岡産とも山城産とも違い純白のビジュアルとエグ味の無い理想的な味の両立は物集女産ならでは。その物集女の筍を2時間以上掛けてじっくり焼いてくれる。最高の素材に最高の手間を掛ける最高の贅沢。誰もが日本人として生きてきて良かったと思える瞬間が、皮の焼ける香ばしさと共にカウンターにやって来る。幸せ以外の何者でもない。
鯛は中骨まで逃さず使い切る。中骨から造るジュレがほんのり美味しい。このジュレの中には大間のウニ。贅沢な2極対比。エンドウ豆の原種とも言えるウスイエンドウ。何と甘いことか。そして同じ甘さにしたウスイ豆の出汁。さっぱりと美味しい鯛尽くしに甘みを合わせる心憎さ。天婦羅もグジの甘鯛らしい白身感と、山菜の女王コシアブラ。この対極のコンビネーションも日本の美。苦味が苦くない本当に美味しいコシアブラと、さっぱり新鮮なグジは既に天婦羅の域を超越している。淡路産の鯛の造りは、素材そのものの素晴らしさ。ぷりっとした食感と、鯛の旨みの凝縮感が、日本酒を減らす早さを加速させる。アイナメのお椀も京料理らしさ満載、大満足。食事の前に炊き合せは鯛の子で〆め。食事も雑魚山椒や牛時雨煮だけではなく、花山葵が素晴らしい。これだけで御飯を食べたくなる。最後のわらび餅まで、全く気を抜くことなく、完璧な皿が出続ける。素晴らしい。
奥では手伝いの父親が皿を洗っている。同年代の息子を持つ親の身として、こんな素敵な息子がいたらどんなに良いだろうと思わせる。この店の全てに和むことができ、居心地を堪能でき、奇跡の京料理と日本酒の組合せを、心の底から楽しめる。
≪過去の料理≫
お任せコース 19800円/1人
鯛の潮汁 頭のみを使った昆布出汁
雑魚山椒
京都物集女産筍焼き
大間のウニ 鯛の中骨のジュレ
紀州産うすい豆 うすい豆の出汁
佐島産グジとコシアブラの天婦羅
淡路産鯛の造り
青森産アイナメのお椀
セキイサキ焼き
筍 桜鯛の子 蕗の炊き合せ
食事 花山葵 牛時雨煮 雑魚山椒 ご飯 止椀
わらび餅
≪過去の日本酒≫
各皿に合せたお勧め 3700円/1人
天領 純米大吟醸 天領酒造 岐阜県
加賀藩 前田家御用蔵 純米吟醸 谷内屋酒造 石川県
誠鏡 純米大吟醸 幻 中尾醸造 広島県
5位
1回
2013/03訪問 2013/03/21
予約の取れない店で名を馳せる溜池の鮨さいとう。アメリカ大使館前の一等地に、わずか7席と言う希少な空間が、予約が取れない理由でもある。しかしその匠の技は、席数以上の希少価値。特に鮪の熟成感が素晴らしい。これぞ鮨という味わい、手間暇の掛け方にも感激できる。今回は海外帰りを含むメンバーで、貸切りの食事会。世界に鮨が普及した今でも、日本に帰ったら、まずこの店の鮨が食べたくなると聞かされた。
貸切りだからこそできるそうだが、夜と同じコースを昼にお願いした。お任せのつまみは5種類。宍道湖の白魚が、ぷりぷりしていて驚く。大将は、産地直送は産地の目利き次第、築地で必ず良いものを入れてくれる仲買を知った上で、その仲買から自分で見て、その日もっとも良いものを入れるのが基本と言う。仲買を選んだ時点で、アドバンテージに大きな差が出るとも言う。未だに毎朝、自ら築地に通っていると言う。
握りは有名な鮪の熟成が秀逸。良い時期には最低3週間は熟成させると言う。あまり状態の良いとは言えないこの3月でも、10日間は寝かせている。鮪の脂が、脂っぽくないギリギリのさっぱりさで食べられる、最高の脂感を追い求めている。大トロの柔らかさも素晴らしいが、何と言っても漬けの味わいは感動できる。塩と赤酢の効いたシャリとの一体感、人肌のシャリとネタの融和、シャリの一粒一粒の独立感が凄い。
車海老の握りの、軽い甘みにも、経験したことのない美味しさを感じられる。これこそがまさに、仕入れと仕込みの集大成。目利きと手間隙の相乗効果。日本の鮨は、こうでなければいけない。
日本酒は4種類。新潟の吟醸酒、想天坊純米吟醸や、山形の銘酒、ばくれん吟醸酒など、辛口からすっきりしたものまで、誰もが美味しく飲めるバランスの取れた銘柄を用意していて嬉しい。日本酒の値付も料理同様、決して高くない。むしろコストパフォーマンスの良い銘柄を選んでいて、買い得感が高い。
場所は東京メトロ溜池山王駅から徒歩数分。アメリカ大使館正門目の前の三叉路向い側。交差点の角にある日本自転車会館の1階と、これ以上ない好立地。オフィスビルの中にあって、駐車場に入ってからガラスドアの中に入り更にその奥と、多少場所は探し難い。
店名入りの臙脂の暖簾がエントランスの目印。店内はカウンター7席だけの小じんまりした設え。白木のカウンターが店の真ん中を占め、大将を中心にした五角形の部屋が多少変わっている。
ミシュラン三ツ星を、すきやばし次郎や水谷と共に取り続ける実力は、今や押しも押されもせぬもの。銀座久兵衛、銀座かねさか出身の大将が、かねさか赤坂店として独立して6年。まだ若い大将が、星の数だけでも、すでに兄弟子の本家を抜いてしまった。周辺の再開発に伴い、この店舗での営業は今年限りとなる。噂が噂を呼び、予約はますます取り難くなっており、5ヶ月は待つとのこと。
≪今回の料理≫
夜のお任せコース 昼の貸切り対応 25000円/1人
日本酒・税・サービス料を含む
お任せのつまみ 5種
島根県産 宍道湖の白魚
北海道産 鮑と蛸
子持ちヤリ烏賊 ゲソと卵入り
長崎県産 有明の牡蠣酢
紅瞳 長崎県産赤ムツ焼き
お任せの握り 15貫
真子鰈
伊豆のシマ鯵
天草の小鰭
10日間熟成の鮪 赤身の漬け 中トロ 大トロ
スミ烏賊
愛媛県産 車海老
鹿児島県産 真鯵
茨城県産 鹿島の煮蛤
北海道産 根室の馬糞ウニ
2種類の穴子 塩とタレ
椀物 葱味噌汁
巻物 干瓢
焼物 玉子焼き
≪今回の日本酒≫
想天坊 越後高嶺錦 純米吟醸 河忠酒造 新潟県
くどき上手 ばくれん 吟醸酒 超辛口 亀の井酒造 山形県
6位
1回
2013/03訪問 2019/01/29
京味と言えば知らない人もいない新橋の日本料理店。くろぎ、星野、ちゃわんぶなど、名だたる有名店の大将たちの出身店としても名が通る。もりかわや、と村の大将も、意外に知られていないが京味にいた。大将は、日本料理の伝統を守るためと、多くの料理本も精力的に出している。素材を大切にする日本の心と、旬の走り、盛り、名残りをリズミカルに配置。香りとビジュアルを縦横無尽に使いこなす匠の技が素晴らしい。
大女将を筆頭に若女将姉妹のサービスが肌理細やか。カウンターの後ろから客の会話を聞き、絶妙なタイミングで話し掛ける。花板を始めとした大勢の料理人たちが、小じんまりしたカウンターの向こうのオープンキッチンにひしめいている。全員がカウンターの食事の進捗に目を光らせ、料理と日本酒の減り具合に合わせ、花板のさりげない合図で次の皿が用意されていく。見ていて飽きない。
料理はお任せ料理のコースのみ。素材により、季節により、価格は1人4万円前後。秋の松茸の頃が一番値が張ると言う。冬は香箱蟹。皿数は、前菜の3種盛りに始まり、小鉢が数皿、2種類の造り、椀物、焚合せ、焼物、揚物などが季節の素材に応じて供される。〆は香の物と御飯に、最後は水菓子。
スペシャリテは、明石の鯛の造り。京料理の醍醐味を味わえる。〆の鮭のハラス御飯も、季節にもよるが必ずのように出される。皿数が多いので小食の身に完食は厳しいが、このハラス御飯は、あまりの美味しさに残した客がいないとまで言われる伝説の逸品。水菓子の葛切りも、大将自ら切り分けることで知られる。弟子である湯島の新鉄人も、この葛切りは好んで出している。
店内の写真撮影は原則禁止。大将の拘りは、実物と映像の伝わり方の違いを良しとしないことが理由と聞く。従って以前はマスコミ嫌いでもあった。最近は良く見かけるが。ミシュラン3つ星を断ったことでも、世界に名を馳せた。写真撮影を嫌うのは、映像を参考に安易に表面上の真似をする輩を嫌ってと言う話も聞いたことがある。
メモを取ることも、同じ理由で嫌われる。知りたければ、この店に食べに来て、来たら来たで、食べることに集中して欲しいと言う大将の切なる願いが伝わる。
今回の季節の素材は旬の盛り、サヨリ。旬の名残りはフキノトウに始まる春山菜。そしてこの時期の名残りの王様と言えるフクの白子に、名残りの女王マツバガニ。楽しみな旬の走りはタケノコ尽くし。旬の走りから名残りまでを、心の底から楽しめる。
名残りの松葉蟹も旨みたっぷりで最高に美味しいが、河豚の白子の焼き上がりには感動できる。表面だけがふわっとかたまり、中身はトロトロ。にも関わらずあっさりしていて、滋味深いのに嫌な濃厚さを一切感じない。造りは明石の鯛の熟成感が、旨みの凝縮という形で何とも言えず味わい深い。対して伊勢海老の刺身は新鮮そのもの。甘過ぎない口当たりが素晴らしい。この2つの造りのコントラストが絶妙でもある。
ふわふわと言う形容がぴったりの海老真薯には驚く。こんな海老真薯は食べたことがない。さりげなく乗せられたゼンマイも春を感じる旬の盛り。スペシャリテの鮭のハラス御飯の前に、走りの筍料理の仕上げ、筍御飯。細く刻まれた筍の御飯は珍しい。春を告げる香りが漂う。
有名なハラス御飯は、軽く盛られた御飯の上に、御飯より多いハラス焼きの身が細かくほぐされ、これでもかと乗っている。一番上にはカリカリに火を入れた鮭の小さい皮。思い出すだけで涎が溢れ出す抜群の美味しさ。
日本酒は冷たいものと、燗酒が1種類づつ。この店の料理に合う大将お気に入りの逸品。至高の料理に合う、しかも大将お気に入りの日本酒は、かなりニッチなところを突いていて楽しい。今回は飛騨の銘酒、拝領。岐阜の天領酒造が吊るし取りで造る大吟醸酒。希少な銘酒と言える。この店の料理に、まさにぴったりと嵌る。濃厚な大吟醸でありながら、吊るしでの造りは滑らかさを前面に押し出し、すっきりとした飲み口で嬉しい。
場所はJR新橋駅、烏森口を出て一方通行を右手の日比谷通りに向かう。日比谷通り、西新橋2丁目交差点の少し手前を左に。2本目の小道の右手、コインパーキングの敷地の手前角に在る。
地上げ途中でコインパーキングとなっているような広い敷地の角に、ポツンと1軒で建つ4階建の小振りなビル。ある意味1軒屋日本料理店。新橋側からは交差点の角に小じんまりと納まる外観。まさに静かに佇むイメージ。西新橋と言う場所柄もあってか、そんな有名な店が、こんな所にあろうとは思えぬ複雑な雰囲気を醸し出している。
暖簾をくぐると、すぐ右手が個室。正面にわずか9席のカウンター。桧の分厚い一枚板。いったいこれだけでいくら掛かったのか。良く拭き込まれたカウンターの表面は、丁寧に拭き続けられて、今では多少デコボコにさえなっている。このカウンターを中心に、常連のための空間という感覚が溢れる。2階にも個室がある。しかしやはりこの店は、カウンターが良い。料理人や大女将、若女将姉妹との会話も、美味しい料理の一部。
この店の料理を食べて、大将お気に入りの日本酒を飲み、微に入り細に入るサービスを受けると、もはやこの店が、自分の心の中の日本料理そのものの定規になってしまう。この店に比べてどうなのか、この料理に比べてどうなのか、そんなスキルを身につけたような錯覚さえ覚える。
東京を代表する京料理の店は、日本を代表する日本料理の店でもある。日本料理の伝統を後世に伝えるためにも、これからも厳しい指導で、今まで同様に多くの名料理人を輩出し続けて欲しい。誰もがそんな気持ちになる名店ではないだろうか。
≪今回の料理≫
お任せコース 40000円/1人 日本酒・税・サービス料含む
前菜 3種盛合せ
蕗の薹煮 細魚と海老の手毬鮨 氷魚の佃煮
小鉢 根芋の葛餡かけ
蛤の土手鍋
松葉蟹
河豚の白子焼き
若狭ぐじの筍鋏揚げと芹の天婦羅
造り 明石の鯛 伊勢海老
椀物 海老真薯と薇
焚合 揚げ蕨煮 鯛の子 湯葉
焼き肴 もろこ
若狭ぐじの桜餅 道明寺粉と餅米
香物 京野菜の漬物盛合せ
御飯 筍御飯
御飯 鮭のハラス御飯
水菓子 葛切り 特製黒蜜
≪今回の日本酒≫
天領 拝領 吊るし取り 大吟醸 天領酒造 岐阜県
7位
1回
2013/10訪問 2019/01/29
完璧なスタイルを確立したレストラン。今、最も料理の質、サービス、ワイン、雰囲気のバランスの取れた店と言っても過言ではない。流れるような淀みのない料理と、泡立つような気持ちの高揚を抑えられないサービスの素適な店でもある。高学歴でビジュアルも良いシェフの考えは、料理からも分かりやすく伝わる。料理をトータルな文化と捉え、全てのバランスを大切にした仕上がり。ミシュラン1つ星は評価が低過ぎるとも思わせる。
野菜、魚、肉の素材の選択と火入れ、調理の形式、仕上がったビジュアル、いずれも文句の付けようがない。柔らかく均一な火入れは、色合いに拘った盛り付けで五感を同時に責められる感覚。スペシャリテの4時間火入れした蕪は、季節によってまったく違った香りと味わいを見せる。今回は秋の蕪。バスク黒豚のジャンボンセックとブリオッシュに合わせている。
秋のお任せディナーコースは日本の秋の味覚とフレンチ手法の、あたかも究極コラボレーションを目指しているかのよう。外国人客が過半を占める最近の傾向に合わせるように、日本独特の素材が選択されている。秋刀魚のアミューズでスタートするところから驚く。蕪と並ぶスペシャリテ、アップルパイのようにシリーズは、何と松茸と車海老に、蓮根と若布。これぞ日本の香りと食感の集合体。このアップルパイの真意を英語で伝えようと、そこここのテーブルでホールスタッフが奮闘している。
オードブルには鱧。海苔の香りの甲殻類のジュをリードボーと共に。日の丸とトリコロールが舌の上で交じり合い、経験したことのない新しい美味しさを発見できる。ポアソンは戻り鰹。これはもう日本料理の世界であり、日本酒を合わせるべきでは思いたくなる。しかし合わせるのはあくまでフランスワイン。日本とフランスの融合がテーマ。見た目は鰹のタタキ、食感は全く違うフレンチの柔らかで、均一に温かい火入れの妙、味わいはシャンピニオンと黒酢でもう訳が分からない美味しさ。フォアグラには柿と紫蘇と来た。もう完全に日本料理店にいるとしか思えない。
秋と言えば脂の乗り切った蝦夷鹿なしには語れない。そしてこの店の蝦夷鹿が、ジビエの季節の始まりを告げる号砲となる。いくらなんでもこれはフレンチと思いきや、添えられたピュレは菊芋の白味噌仕立て。やっぱり日本料理になっている。もともと柔らかい蝦夷鹿のロースに、美しいほど均一で優しい火入れの脂の乗り切った蝦夷鹿。この日本のジビエの王様を、白味噌仕立てのピュレと共に。最高の融合が完成している。
今回のワインも皿ごとに合わせるデギュスタシオン。秋刀魚には2007年のブリュットミレジメ。松茸にはシェリーのように熟成したジュラの白。鱧には驚くことにピノノワールを合わせる。しかし感心するほど合っている。支配人のセレクションにただただ頷くしかない。今回一番の驚きは、戻り鰹とジュブレシャンベルタン。全く想像できなかった。
場所は地下鉄3駅、表参道、広尾、六本木からそれぞれ徒歩15分。三角地帯の中心。首都高速の高樹町インターからすぐ近く。隠れ家的名店の集まる西麻布交差点からも近い。アプローチのフットライトの列が、夢の世界へ心をいざなう。モダンな色使いの外観は、向かい側が寺院や墓地という環境を忘れさせるに十分な雰囲気。
入口には女性のサービス担当が待ち構え、到着と同時にドアが開けられる。入って右側がウェイティングスペース。コルビジェの黒レザー張りソファーが、これでもかと贅沢に並んでいる。ハーブ水のウェルカムドリンクで喉を潤し、1階メインダイニングへ。地下はキッチンと個室。1階の床は店名のレフェルヴェソンスが意味する泡模様。到る所が泡をモチーフにしたインテリアとなっている。
料理は流行りの低温長時間火入れ。魚、肉の柔らかさを全体に満遍なく残して、均一な温度に沁み渡らせる。温かいのにシャキシャキする蕪の丸ごと火入れがスペシャリテ。美味しいかどうか賛否両論あるが、季節ごとにまったく違う香りと味わいを見せる蕪が楽しめるのは面白い。烏賊や甲殻類の季節の料理も、鴨や鹿などのジビエも、常に進化したビジュアルと味わい。ソースにも凝っているが、一番は火入れと素材の組合せ。
大学卒業後にこの世界に入り、フロア担当からミシェル・ブラス・トーヤ・ジャポンで修行。ロンドンのミシュラン店でスーシェフという異色のシェフ。常に進化するシェフと至れり尽くせりのサービス陣。美しい箱、インテリア。これからの更なる進化が楽しみな店。
≪今回の料理≫
Un souhait et lumiere 願いと光 15750円/1人 別途サービス料10%
オリーブ ブラッドオレンジ味とプレーンの2種類をランダムに
アミューズ 秋刀魚 榛の実 バターナッツ南瓜を2口で
アップルパイのように NO.10
松茸 車海老 加賀蓮根 若布を3口で
オードブル 焼き鱧とリドヴォーのポアレ
海苔香る甲殻類のジュと冬瓜 ディル オリーブオイル
定点 丸ごと火入れした蕪とイタリアンパセリのエミュルション
バスク豚のジャンボンセックとブリオッシュ
ポアソン 秋の悦び 稲藁で燻した戻り鰹
クレームドシャンピニオンと鰯いしると黒酢のレデュクション 辛味大根 ジロール 紫蘇の花
秋の色 フォアグラのナチュラルとコンテ 柿 ヴァニラ アマランサスと紫蘇の葉
右と左で 金宣烏龍茶
ヴィアンド 森と命 北海道白糖町から頂いた蝦夷鹿ロース肉のロティ 無花果と赤ワインのソース
菊芋と白味噌のピュレ シャントレル茸とのこぎり草
フロマージュ 江別市のブルーチーズ シェーブル 国産ハードタイプ ジュヴレシャンベルタンの友達
アヴァンデセール 栗のブリュレのかけら ラムレーズンアイスクリーム 山葡萄のジュレ オリーブオイルの蒸しパン
〆のデセール 朴の葉のアイスクリームとブルーベリー 牛乳葛餅
カフェ エスプレッソダブル
ミニャルディーズ
Panna 1000円/1本
≪今回のワイン≫
2007 CHAMPAGNE BRUT MILLESIME Alberic DUVAT 2310円/120mlグラス
Special Degustasion 各皿に合わせたワインのデギュスタシオンコース 11550円/1人
2009 Cuvee Prestige Jean Fransois Ganevat 60mlグラス
2010 BEANE 1ER CRU LES PERRIERES DOMAINE PHILIPPE PACALET 60mlグラス
2010 Sancerre SKEVELDRA Sebastien Riffault 60mlグラス
2011 Gebrey-Chambertin Domaine CLAUDE DUGAT 60mlグラス
2005 la Paille Perdue 60mlグラス
2008 COTE ROTIE Mathilde et Yves Gangloff 60mlグラス
2003 D d:vin Chateau Lauduc 60mlグラス
2011 Cuvee Oppidum Chateau de GAURE 60mlグラス
貴醸酒 満寿泉 枡田酒造 富山県 45mlグラス
1969 MAURY Millesime MAS AMIEL 45mlグラス
別途サービス料10%
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≪過去のレビュー≫
今回の真夏の蕪料理は、イタリアンパセリとバスク黒豚との組合せ。夏の蕪もまた、この店では旬にしてしまう。しかし今回は蕪より鮎。フランス料理には天然ものより、脂のたっぷり乗った養殖ものが向いているとシェフが熱く語る。頭の後ろのふっくらした養殖鮎は、身の引き締まった天然鮎よりフランス料理にしやすいとのこと。天然ものは銀座の日本料理店で美味しい日本酒に合わせれば、フレンチではかなわないとも。なるほど説得力がある。感動的に美味しかったのは、ヴァンデ産の仔鳩の炭火焼き。鳩はやはり内臓のジュに限る。これぞザ、フレンチ。シュフの進化は素晴らしい。クラシックな素材を、クラシックなコンセプトで、最新のビジュアルと味わいに変えてしまった。出てきたワインはシャペルシャンベルタン。もう何も言うことはない。
毎回違う楽しさが溢れるのは、アップルパイに見立てた皿。子供のように、うきうきする気持ちを持って欲しいというシェフの気持ちが現れる。餡となるフォアグラや甲殻類、野菜が贅沢。大人心もうきうきする。ワインは珍しいブルゴーニュが揃う。原価率は決して買い得感はないが、もともとコストパフォーマンスの良いものを探しているので、トータルでは損を感じない。飲みたかったワインが飲める。今回は2周年記念の5種類のシャンパーニュコース。ミレジメからマグナムまで、造り手や畑だけではなく、面白いバリエーションを展開。もてなす心が嬉しい。
≪過去の料理≫
ランチコース おでかけ Une promenade 7500円/1人 別途サービス料10%
アミューズブーシュ 本マグロ ウニ 紅芯大根 日向夏のグラス
ポアソン 鮎をその澄んだジュと自家製うるかのガストリック 山椒のオイル
マンゴー ラディッシュ パンプルネルと共に
蕪料理 丸ごと火入れした蕪とイタリアンパセリのエミュルション
バスク産黒豚のジャンボンセックとブリオッシュ
フォアグラ料理 フォアグラのナチュラル
加賀太胡瓜とメロン 茗荷 レーズンのチャツネと丁字 金蓮花の葉と花
ヴィアンド フランスヴァンテ産の仔鳩炭火焼ロティとその内臓のジュ
エンドウ豆のピュレとスナップエンドウ 新玉葱 清見のマルムラ―ドとかたばみの葉
パン プティバケットと泡の乗ったバター
デセール ビングチェリーの赤ワインマリネとトンカ豆のムース
コーヒーのアイスクリームとピスタチオのブリニ オレンジのクリーム
ミニャルディ おしゃべりのひととき 焼き菓子 マカロン ショコラ チュイル
カフェ エスプレッソダブル
≪過去のワイン≫
料理に合わせるお任せグラスワイン 12000円/1人 別途サービス料10%
NM CHAMPAGNE GRAND CRU RENAISSANCE FLEURON a OGER 120mlグラス
2011 BEAU PAYSAGE la montagne TSUGANE 120mlグラス
NV Evidence Les Cailloux Le Paradis 120mlグラス
2003 VIN D'ALSACE BINNER Audrey et Christian 120mlグラス
2207 CHAPELLE-CHAMBERTIN Grand cru Domaine Rossignol -Trapet 120mlグラス
2011 Yves Cuilliere Russilliere CVILLERON 60mlグラス
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≪過去のレビュー≫
今回のような、鴨と手長海老、フォアグラを1つの塊に合わせるような、素材の組合せの妙にもいちいち感心させられる。
≪過去の料理≫
ランチコース en chemin より道 4800円 別途サービス料10%
アミューズブッシュ マッシュルームと椎茸のムース 4時間煮込んだ鮑 昆布出汁のエスプーマ カボスのグラニテ
西と東が~真鯵と北海道新十津川町のトマトをクリュで フェンネルと香る草花
丸ごと火入れした蕪とイタリアンパセリのエミュルション ハモンイベリコ&ブリオッシュ
アップルパイの様に#5~
フランスシャラン産鴨肉のラグー&打木赤皮甘栗南瓜とヴァニラ・手長海老・フォアグラ・ズッキーニ・エストランゴンのジュを泡立て
ホウズキ・茄子・南瓜・牛蒡・トマトのサラダと共に
2種類のパンと泡の乗ったバター 小さなバケット他
アボガドのムース オレンジとシャルトリューズジョーヌのジュレ ショコラノワール ピモンデスプレッド
カフェ ハーブティー 青い1杯目と茶色い2杯目
おしゃべりのひととき 黒胡麻のマカロン ナツメヤシの生八橋 メロンジュース入り薄皮 パチパチチョコ
ミネラルウォーター Panna 1000円/1本
≪過去のワイン≫
開業2周年記念 5種類のシャンパーニュコース 9450円/120mlグラス×5杯 別途サービス料10%
NV CHAMPAGNE BRUT CUVEE INTENSE LENOBLE
NV CHAMPAGNE GRAND CRU BRUT BLANC DE BLANCS Pierre Callot
NV CHAMPAGNE BRUT Sainte-Anne CHARTOGNE-TAILLET
2000 MILLESIME CAMPAGNE SEC SUBLIME RESERVE Philipponnat
NV CHAMPAGNE Grand Siede 1.5L BRUT Laurent-Perrier
1996 CLOS DE LA Coulee de Serrant 2100円/120mlグラス
2008 CHATEAU QUINAULT L'Enclos 1470円/120mlグラス
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≪過去のレビュー≫
西麻布と南青山の境界、お寺の裏通りに、美しいガラスと照明のファサードが現れる。開業1年でミシュランの星を獲得した天才シェフの店。インテリアも空間自体も非の打ちどころのない完璧さ。サービスの気さくさがこれ以上ない心地良さの店「レフェルヴェソンス」。こんな店は他にない。本日は友人の誕生会。6人のパーティーの予定が3人に急用ができてしまい全部で3人になってしまった。マネージャー、ソムリエ、シェフを初めとするスタッフが代わる代わる顔を出してくれるので、寂しさなど全く感じない、とっても盛り上がった誕生会ができた。「レフェルヴェソンス」の意味は「泡」のこと。床のカーペットの模様も泡模様。料理も泡を意識した食材、調理法が多く、「泡を楽しむレストラン」がコンセプトのようにも思える。店のコンセプトに合わせ、泡からのスタート。
≪過去のワインと料理≫
NM シャンパーニュ・プルミエール・キュベ ブルーノ・パイヤール 2079円/120mlグラス (価格は税・サービス料10%を含む/以下全て同様)先日、妻の誕生会をしたばかりの「ガストロノミー・ジョエル・ロブション」と同じ泡。パイヤールが続いている。ミレジムでなくてもいい感じ。仕入れ値は1本4千円くらい。グラスで原価率3割は安くはない。まあ、普通か。ミレジムと違ってNMにはムニエが少々入っている。シャルドネが少ない分、まだ真冬には向いている。始めに店から勝負を挑まれる。
アミューズ オリーブマリネ
マネージャーの説明、「オリーブはオレンジの味わいのものと、普通のものが1つずつ。ただし皆さんのをまとめてあるので、両方普通になる方も、1つずつの方も、両方オレンジ味の方も出る可能性がある。見た目が全く同じなので、運試しとなっている」とのこと。結果は、自分1人、両方普通。原価率などせこい事を気にしている心がけのせいかもしれない。これがほんとのアミューズ。誕生会らしくてとっても楽しい。
ディナーはお任せコースの1種類のみ。 願いと光 17325円
アミューズブーシュ 北の海から~
ツブ貝、生海苔、デコポンとフェンネルを2口で
グラスの下にも泡が入っている。料理も泡仕立て。何から何までレフェルヴェソンス。デコポンは-296℃の絶対零度、窒素ガスで瞬間冷凍。冷たい。
オードブル アップルパイ#2~ 手長海老、ほうれん草、フォアグラ、アーモンド
黒い盆の上にはシェフからのメッセージ。「こどもの日の思い出」。まだ若いシェフのこどもの日は、あのハンバーガーチェーンのアップルパイが脳裏に淡い思い出として残っている。ほとんど同じ、あの赤いケースで乗っていて、同じように端を開いて取り出す。すると中身はアップル味ではなく、手長海老とほうれん草。これはワインにも合う。アツアツをフーフー言いながら食べるのは、やはりあの店を思い出す。でも欲しいのはシェイクではなく白ワイン。
ワインは「デギュスタシオン・ド・ヴァン(3850円/90ml×4杯)]」。本当は、120mlが3杯ですが、皿に合わせて少しづつと我侭を言うと、嫌な顔一つせずに変えてくれる。何とフレキシブルな対応か。それではまずは白ワインから。
2008 ドメーヌ・ジャン・ラトゥーユ・ラビーユ ムルソー・クロ・レ・メ・シャヴォー
創業230年、ムルソーの老舗。ビオに近い生産者で知る人ぞ知るという低収量生産者。もう今日はこれでワインのストーリーが見える。知らないところ攻め。かなり嬉しい。ムルソーらしいほんのり蜜の香り。樽はあまり効いていない、すっきりムルソー。相当マニアックな畑。アップルパイ形状の手長海老に合う。
パン 小さなバケットともう1種類 バターにも泡を乗せたレフェル仕様。
オードブル 雪のように~ 甲イカと百日舞茸のポアレ、ピュレとクリュのカリフラワー、ブリーをレフェルヴェソンスに
兵庫県産の甲イカがめっちゃ美味しい。ブリーでできた泡、これでもかの泡、泡攻撃が続く。カリフラワーとイカが合うのも初体験。
2009 エーデルワイン 五月長根葡萄園・リースリング・リオン
これは美味しい。イカとカリフラワーと、国産リースリング。日本のワインも特に白はいけるようになった。これはエーデルワインのフラッグシップ。五月長根葡萄園はリースリング・リオンもかなりのハイレベル。仕入れ値、1本2千円]くらいのものか。
オードブル 丸ごと火入れした蕪とイタリアンパセリのエミュルソン、ハモンイベリコとブリオッシュ
この店のスペシャリテは蕪料理。千葉県東庄町産の蕪を使っているので親しみも一入。なんと4時間7分かけて低温でゆっくり火入れしたそう。蕪に4時間。白金あたりの3つ星フレンチの肉料理でも3時間ですよ。柔らかく温かいのに、蕪のシャキシャキ感が残っている手品のような料理に感激。ここに来たらやはり蕪。
2008 ドメーヌ・デ・ソーマド シャトーヌフ・デュ・パプ
やはり超レアで来た。シャトーヌフの白自体が珍しい。しかも見たことも聞いたこともないドメーヌ。シャトーヌフの白がこれほど美味しいとは思いもかけない。蕪とイベリコの共演を脇から盛り上げる。仕入れ値は5千円クラスか。恐るべき謎のワイン。グルナッシュブランかクレレットの香りが南の白の印象をほんのり見せているが、味わいはボルドーの白に近い。ポアソンのアンコウにもぴったり合っていて驚く。
ポアソン 黒の世界から~ 青森大間から来たアンコウをノワゼットで焼いて
黒大根のピュレとクリュ、黒キャベツと黒オリーブ、ヴィネーグルレデュイ
久し振りのアンコウは柔らかくてフラットな味わいで、絶妙な火入れとサービスされるタイミングがピッタリ。写真なんか撮ってる場合じゃない。黒大根のピュレとクリュは深海のイメージ。深海の底をゆったりと泳ぐアンコウ。深層水はシャトーヌフ。そしてやはり両サイドにレフェルベソンズ、泡、泡、泡。
フォアグラ ふるさと~ フォアグラのナチュラルと極寒純米酒、干し柿、田芹、アカザの実
ピュアな味わいでしっとりした舌触りのフォアグラが美味しい。そしてまたもレフェルベソンス。今度の泡は純米酒を煮詰めて作った泡。胃に沁みる。
グラニテに替えて 右と左で~ 金宣烏龍茶
またしても驚きのマジック。何の仕切りもないのに、カップの真ん中から左右きっちり半分、烏龍茶の温度が違う。右側半分は温かく、左側半分は冷たい。いったいどうなってるのか。
2004 ドメーヌ・ラ・サフレーヌ バンドール
鹿に合わせてバンドール。やっぱりジビエには南の赤なのか。しかしこれはまたマイルドなバンドール。強さは微塵も感じない。ちなみにやっぱり見たこともない造り手。南仏プロヴァンスのバンドール。ムールヴェードル主体のAOCは唯一バンドールだけ。2004年はバンドールの当たり年。このまろやかさは樹齢の古さか、造り手の特徴か。それにしてもジビエに合わせる南のワインを、これほど繊細なもので攻めてくるとは驚く。
ヴィヤンド 北海道白糠町の鹿、鞍下肉とそのジュ、白人参のピュレ、アジャン産プルノーと胡麻、芽キャベツ、ノコギリソウ
なんと柔らかく、鹿肉の旨みを凝縮させた美しい火入れか。まさに完璧な鹿。白人参味も良いが、マダガスカル産の胡麻が効いている。添えられた芽キャベツが森の泡に見えてしまう。催眠術に掛かったような感覚。
フロマージュ 厳選チーズ
シェーブル他3種。超熟成でスモーキー。大好きな味。ディジェスティフに行ってしまう。
ディジェスティフ カルヴァドス ポム・ド・イヴ 1980円/60mlグラス
ディジェスティフのワゴンも色々揃っていて迷う。ポム・ド・イヴがあるのにも驚く。イングリット・バーグマンの凱旋門で有名になったリンゴのブランデー。素晴らしい演出。
デセール 壊したいスノーマン~ 苺とムースバナーヌ
バニラアイス、アーモンドとココナッツ、マルガリータのジュレと野生ミントの泡、黒オリーブ
雪の泡に囲まれた雪だるま。子供に帰って壊すと、中からはビックリのものが。
デセール :軽快なモンブラン
モンブランと言っても、実は飲物だった。
カフェ ハーブティー 青い1杯目と茶色い2杯目
またまたマジック・スペクタル。同じポットに入ったハーブティー。始めの1杯と、お代わりの2杯目で色が全く違う。いったいどういう手品なのか。
:ミニャルディーズ
チューブでお皿に落書きをする。童心に帰るアミューズでスタートし、童心に帰るミニャでラスト。:一貫したストーリー性を感じる。どうせ正体はバレバレなので、皿には葡萄の絵を描いた。ミニャの口の中でプチプチ破裂する昔懐かしい駄菓子風チョコが楽しい。お土産ミニャまで付いてくる。プチプチチョコ。
ファサード、エントランスの美しさに目を引かれ、ウエイティング・ルームのコルビジェのソファーに心弾ませ、美しいダイニングルームに心を鷲掴みされ、天才シェフの美味しいお料理と楽しすぎる演出、気心が知れたような:寛ぎのサービスに心を奪われた。そして何より聞いたことのないワインたちとの未知との遭遇。素敵な料理たちとのマジックのようなマリアージュ。まさに完璧なレストランに出会ってしまった。脱帽。人生、長く生きてみるもの。
8位
1回
2013/07訪問 2013/07/07
今風の軽い味わいを伝統的な日本料理に取り入れる先駆者。石かわグループ3店舗の中では、石かわよりも洗練さを感じる。洒落たシンプルモダンのインテリアや、垢抜けた着物姿の女性スタッフのサービスも、料理同様に軽さと伝統のバランスが素晴らしい。ミシュランは石かわに3つ星、此の店に2つ星を付けてはいるが、伝統を守ることに重きを置く石かわに対して、この店にはより新しさ、オリジナリティを感じる。
コースの構成は、先物、揚げ物、しのぎ、お椀と続くオーソドックスな日本料理。造りや焼物、煮物は言うまでも無く、全ての皿に季節感を織り込むことを重視している。旬の走りのみを追い求めず、盛りのみにも拘らない。鮎、鯵、金目、太刀魚、穴子に甘鯛と、夏なら夏の走り、盛り、名残をこれでもかと散りばめる。野菜や肉にも素材の選択に気を使うが、この魚の流れだけでも感激できる。まさにバランスの素材選択。
今回の稚鮎の天婦羅には、技の凄ささえ感じる。苦味の強い新鮮な稚鮎を、揚げた後に笹の葉で燻し、濃厚な香りとぶつけ合う。八角の塩と合わせると複雑な初夏の味わいが高度に完成されていく。きんと冷やした美味しい日本酒が心底欲しくなる。
造りの金目の炙りは、出汁のジェレの海に泳いでいる。かなり大胆に酸味を効かせたジュレと、しっかりした味わいの金目の組合せが、伝統を超える美味しさ。ある意味これは、従来の日本料理ではない。太刀魚と新玉葱の焼物が、さらに一歩進んでいる。鰹と昆布の出汁に一晩漬けたトリュフのクリームスープ。もはやこうなるとフレンチの近い。
シャンパーニュは季節の料理に合わせ変えている。夏はレコルタンマニピュランでは日本でも名を馳せるシャルトーニュタイユ。シャルドネ主体の夏らしいキリッとした口当たりと軽い中にもクラシックな味わい。セレクトのセンスが光る。日本酒は東洋美人や貴と山口県産が並ぶ。日高見などの東北を代表する銘柄も揃えていて嬉しい。
場所は地下鉄東西線、飯田橋駅B3出口を出て、神楽坂下から早稲田通りを登り、2つ目の路地を左に入ったすぐ先。右手に見える。黒い竹張りの外壁は、昔の料亭街にある風情を今風にモダンアレンジした設え。石張りの床が続くアプローチには、格子窓から洩れる明かりと地袋風のニッチの間接照明が気持ちを高ぶらさせる。エントランス脇の箱庭の前の陶製の狛犬が、急く気持ちを落ち着かせてくれる。
この店はあらゆる意味で、今や神楽坂における日本料理の頂点、模範、尺度となっている。
≪今回の料理≫
おまかせコース 13000円
先付 今朝上げた生白湯葉 長芋とトンブリ 生雲丹
揚物 稚鮎とヤングコーン 笹の葉で燻した天婦羅 八角塩
凌ぎ 鯵飯蒸し 海苔酢 眼葱
椀物 バイ貝と白胡麻を練った豆腐 花山椒
造り 金目鯛の炙り 酸味の効きいた出汁のジュレ
焼物 太刀魚と新玉葱の炭火焼き トリュフソース
冷物 牛タン 車海老 白芋茎
煮物 穴子 水蓮菜 蕪
食事 甘鯛 碓井豆 炊き込みご飯 味噌汁 香の物
デザート 黒豆 抹茶ムース ラム酒シャーベット カラメルソース
≪今回のワイン≫
NM CHAMPAGNE BRUT Sainte-Anne CHARTOGNE-TAILLET 7800円/1本
≪今回の日本酒≫
超辛口純米酒 日高見 平孝酒造 宮城県 1260円/1合
純米吟醸 東洋美人 澄川酒造場 山口県 1460円/1合
長州の純米酒 貴 原田酒舗 山口県 1260円/1合
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≪過去のレビュー≫
カウンターで料理長とのやり取りを楽しむ、今流行の日本料理店のスタイル。「石かわ」からの流れは当分止まりそうもない。その石かわに最も近いと思われる店。料理長は石かわ創業メンバーで一番弟子。季節の素材を組合せ、ビジュアルも大切にした楽しい日本料理。香りと食感に季節の記憶を留め、旬の走りから名残まで散りばめた素材の組合せと美しい皿は、右脳と左脳を同時に働かせる魅力を持つ。シャンパーニュに合う先付けから、濃厚な日本酒に合う肴の数々。ミシュラン2つ星の日本料理に文句の付けようはない。
白を基調としたインテリアと艶消しのクリアなカウンターはまさに和モダンの骨頂。料理長のセンスを伺わせる。7席のカウンターはいつも常連で満席。この店の楽しさは、やはり料理長と話しながら酒と肴を楽しむカウンターにこそある。
料理はお任せコース、13000円と15000円。季節の彩り豊かな皿の数々と食事、デザート。真夏の素材の構成は紫雲丹、若鮎、金目鯛、サマートリュフ、ジュンサイ、冬瓜、トウモロコシなどの組合せ。とにかくビジュアルが美しい。緑豊かな蓮の葉に乗った雲丹の殻。神楽坂の夏祭りに合わせ、蓮の葉商いに掛けた演出もアミューズを越えたインタレストが溢れる。スダチのジュレには紫雲丹が長芋、飛子、湯葉と絡み、混ぜ合わせた食感と味わいは、複雑にして爽やか。まさに蓮の葉に乗るに相応しい極上の仕上がり。
若鮎を薄く割いて揚げたかき揚げは斬新。鯵のたたきの寿司は餅米との食感のコントラストが秀逸。香ばしく焼かれた金目鯛には、サマートリュフが掛かる。房総沖の珠玉の魚にピエモンテの至宝を組合せる妙。梅香る鰻ご飯に至っては、神楽坂の粋の極み、江戸モダン。
シャンパーニュはレコルタン・マニュピュラン、ジョゼ・ミシェルを置いている。長熟ピノ・ムニエの雄。コストパフォーマンスが素晴らしい造り手。ワインに精通していることを伺わせるセレクション。スダチのジュレが絡む紫雲丹に合う。
各皿に合わせたお任せの日本酒には、日高見や田酒が出される。津波で甚大な被害にあった石巻や地震の被害を受けた青森の蔵元。日本人の思いやりの心を思い出させてくれる。
この店には江戸モダンのエッセンスが溢れている。洒落と理性を併せ持つ料理と演出の数々。インターナショナルな素材のセレクトやビジュアル。明るく動きの良いスタッフに囲まれて、美味しさを超えた感動を分けて貰える。「石かわ」、「虎白」、「蓮」の3店舗を経営するこのグループは、今や神楽坂自体を支えていると言っても過言ではない。
≪過去の料理≫
お任せコース 13000円
先付 紫雲丹の殻雲丹 湯葉 酢橘のジュレ 長芋 飛び魚の子
油物 若鮎のかき揚げ 昆布に漬けた塩 炭火で焼いた肝の裏濾
鯵寿司 鯵のタタキ 土佐酢の餅米 海苔のソース
椀物 穴子のシンジョ 白髪葱 芋茎
向付 フッコの2種類の梅浸し 鰹と昆布の出汁
鉢肴 金目鯛と胡麻豆腐 サマートリュフ掛け 醤油のソース
強肴 桃と毛蟹 ジュンサイ 焼きトウモロコシ 柚子の香り
止肴 車海老 夏野菜 赤万願寺唐辛子 冬瓜 インゲン
味噌漬け豆腐
食事 鰻ご飯 赤出汁
香物 山芋 昆布 牛蒡
水菓子 桃のシャーベット ラムムース マンゴー
≪過去のワイン≫
NV CHAMPAGNE BRUT Tradition JOSE MICHEL & FILS 8400円/1本
≪過去の日本酒≫
純米吟醸 日高見 平孝酒造 宮城県 1260円/1合徳利
特別純米 田酒 西田酒造店 青森県 1365円/1合徳利
9位
2回
2018/10訪問 2018/12/10
今年で開業35周年となった丸の内の老舗グランメゾン。クラシックなフレンチが昔ながらのファンを引きつけて離さない。3万本のワインの在庫も、赤が印象的なオーセンティックなインテリアも、何より痒いところに手の届く接客も、これぞグランメゾンという手本のようなレストラン。
今は35周年記念のメニューが出されている。長年培ったノウハウの賜物たち。今回は兎肉と茸の温かいテリーヌ。フランス産のラパンの旨みが、秋らしい茸とのコンビネーションで素晴らしく美味しい。兎肉のジュのソースの軽快な味わいもさすがの仕上がり。テリーヌの滑らかな口当たりも文句なし。
初めに出される軽い味わいのオリーブマリネも、牛蒡のスープもシャンパーニュの共。オードブルはハモとサーモンのマリネ。ひよこ豆のブリニの1枚にはウニ、もう1枚にはキャビア。白ワインが進んでしまう。メインのあとはこの店のスペシャリテ、ワゴンデザート。旬のフルーツのタルトやケーキが数種類。アイスクリームやシャーベットも何種類か用意されている。
乾杯のシャンパーニュはポルロジェ。クラシックなグランメゾンにはぴったりな銘柄。ワインはヴィンテージもののボルドーが有名。昔仕入れたボトルを仕入れ値を元に販売しているため、値の上がったヴィンテージのボルドーが買い得価格で飲める。今回はブルゴーニュ。ハモにはモルジョのシャサーニュ、兎にはニュイサン。
この店のシェフソムリエが選んだワインリスト。今年のイギリスでのインターナショナルコンペティションで、日本を代表するワインリストとして入賞している。クラシックの中のクラシックなフレンチを、最高のシェフソムリエのサービスで、絶妙なマリアージュと共に堪能できる店。真っ赤なインテリアと本物の名画に囲まれて、これ以上心から寛げる店はそうはなかなかないのではないだろうか。
Menu Dejeuner B 5000円
アミューズ オリーブマリネ
ポタージュ 牛蒡のスープ
アーモンド入り
オードブル ハモとサーモンのマリネ
ひよこ豆のプリ二
ウニやキャビアを乗せて
ヴィアンド 兎肉と茸の温かいテリーヌ
デセール 本日のワゴンデザート
アイスクリーム シャーベット
カフェ エスプレッソ
CHAMPAGNE BRUT RESERVE
Pol Roger
2000円/120mlグラス
2010 Chassane-Montrachet
MORGEOT 1er CRU
Domaine Blain Gagnard
3000円/120mlグラス
2006 NUITS-SAINT-GEORGES
AUX THOREY 1er CRU
DOMAINE FRANSOIS FEUILLET
3000円/120mlグラス
別途消費税・サービス料10%
シックで落ち着いたインテリア。痒い所に手が届くサービス。伝統的な料理とワイン。じっくりフレンチを味わうなら、この店は完璧に近い。カルトメニューの豊富さも楽しいが、ランチコースの買い得感もなかなかのもの。テーブル数卓というコンパクトなレストラン。
とは言えゆったりとした配置や隣のテーブルが気にならない十分な距離がありがたい。ソムリエと気軽に楽しく話せ、ホールのスタッフも皆親切で、居心地は快適。ウエイティングのバーで待ち合わせもできる。先に飲み始めていても良い。素晴らしい雰囲気で、スタートから申し分のない気分になれる。
甲殻類の料理がスペシャリテ。今回のタラバガニの使い方も面白く、美味しい。ポーピエットは鶉を揚げたものと、タラバカニを青菜で巻いたものの2種類の対比。鶉もタラバも十分に火を入れていて、いかにもクラシックなスタイル。モダンなビジュアルとの対比も面白い。ソースも鶉のジュと添えられたフォアグラに合わせたソースの2種類。素材、調理スタイル、ビジュアル、ソースの2種類づつが、複雑な組合せを生んでいて楽しめる。
ランチのコースは素材の違いにより、5250円と8400円の2種類。客のほとんどが、いかにもマダムと言う雰囲気の2、3人連れ。1人で来ている女性客も少なくない。男性客は日比谷という場所柄ビジネスユースが多い。仕事の付き合いでの食事でも、この店ほどシャンパーニュの似合う店はない。週代わりのコースメニュー同様、シャンパーニュも毎週のように銘柄は変っていく。そしてアミューズのリエットがシャンパーニュのお供に完璧。
常連のマダムたちは決まったコースに飽き足らず、キャビアやトリュフ、フォアグラなどを追加して注文している。平日昼間のほぼ満席に近い情況は、当日予約も含めて、ほとんどがこの常連客の様相。ワゴンサービスのデセールまで、たっぷり3、4時間、のんびりと優雅な時間を過ごしている。
ワインは飲み頃のストックが素晴らしい。日本では、なかなか手に入らない希少なドメーヌも、かなりの種類ストックされている。しかしブルゴーニュより、ボルドーのヴィンテージ物のストックが素晴らしい。グラスも常に白、赤、3、4種類が用意され、面白いものに出会える。豊富なストックは、飲み頃までその出番を待っている。何なりと希望を言ってください、売るほど揃えておりますのでと、ソムリエが笑いながら話しかける。
場所は丸の内仲通り。その一番有楽町側。仲通りのエンドとなるペニンシュラホテルの東京駅寄り隣り。最も日比谷に近い有楽町と言える場所。仲通りを丸ビル裏から行くと、右手側のビルは、東京会館、帝国劇場と続き、DNタワー21の次が蚕糸会館ビル。その地下1階に在る。
オフィスビルの地階へは、スケアなエントランスサインが、ちょっと昔の喫茶店の看板のようで面白い。地下への階段にはフットライトが等間隔で並び、照度を落とした地下エントランスに向かって一歩一歩降りるたびにウキウキしてくる。
ウエイティングバー、ホール、前室、メインダイニングには、本物の名画がこれでもかと並び、コンパクトながら、これぞグランンメゾンという貫録が溢れる。凝ったモールディングやチークの造作、ブラウンレッドのカラーリングとクラシックなファブリックなど、料理同様にオーセンティック好きには堪らない設え。
ここはオーソドックスでオーセンティックな本物を求める大人の社交場。昨年、シェフが替わり、スーシェフが昇格。特に甲殻類の火入れと使い方がうまい。ヴィンテージ物のボルドーや希少なブルゴーニュを飲むなら、コストパフォーマンスも期待できる。特にランチコースの買い得感は各別。新しくなった丸の内ではない、昔からの丸の内の、数少ない良い部分が、この店にはたっぷり詰まっている。
≪今回の料理≫
ランチコース Janvier 5250円
アミューズ オリーブマリネ
アミューズ 鯖のリエット
オードブル 蝦夷鹿肉のコンフィ オニオングラタンスープ仕立て
ヴィアンド ブルターニュ産鶉と甲殻類のポーピエット フォアグラ添え
ミニバケット 天然酵母とライ麦 他3種類のパン
デセールのワゴンサービス リンゴのタルト他5種類 紅玉他5種類のソルベ 6種類のアイスクリーム
カフェ エスプレッソダブル他各種
ミネラルウォーター Evian 1260円
別途サービス料10%
≪今回のワイン≫
2000 VINTAGE CHAMPAGNE BRUT PIPER-HEIDSIECK 2100円/120mlグラス
2007 GEVREY-CHAMBERTIN 1er CRU-CRAIPILLOT Domaine CONFURON-COTETIDOT 3150円/120mlグラス
別途サービス料10%
10位
5回
2020/11訪問 2020/11/05
飽きることのない店とは、まさにこの店のためにある言葉ではないだろうか。江戸前寿司の銀座名店から独立した先代からこの店を引き継いだ大将が、生産者との絆により独自に築いた仕入れルートが素晴らしい。北海道から九州まで、特に日本海側、北陸の生産者との信頼関係で手に入る蟹や海老は、豊洲からでは入手出来ない希少種ばかり。日本酒も超希少酒を独自のルートで仕入れられるため、この店の魚と日本酒の組合せは、宝くじ並みの希少さを持つことになる。
今回は能登湾から直送された活きボタン海老が素晴らしかった。目の前でピクピク動く巨大ボタン海老を身だけではなく味噌まで綺麗に取り出して握りにしている。驚くほど濃厚な旨みと甘みが両方同じように舌から喉に伝わり、さっきまでピクピクしていた身のプリプリ感も感動的。軽く赤酢を使った赤シャリと濃厚巨大ボタン海老との相性も文句なし。こんなに美味しい北陸の海老が食べられる驚きと嬉しさは言葉にならない。
季節の先付は丹波の黒豆。これぞ究極の枝豆。イクラ、ポン酢、出汁の組合せに浮かぶタラの白子も日本酒を加速する。白子を食べた後の出汁に赤シャリを沈めて凌ぎに。つまみは今や高級魚の秋刀魚から。刺身、炙り、腸の食べ比べが楽しい。4週間熟成させたブリの大トロは柔らかな食感で今までにない美味しさ。〆鯖の脂の乗りも理想的。ウニとイクラ、カワハギと肝の相性が抜群。万寿貝の甘さに日本酒が止まらなくなる。
スペシャリテは自家製カラスミ。ブランデーに漬けたカラスミと大吟醸酒に漬けたカラスミの食べ比べが、この店では欠かせない。ブランデーがカラスミをより濃厚にしている。仙鳳趾の牡蠣には牡蠣の刻みを乗せている。大量の蟹を煮詰めた蟹味噌もスペシャリテの一つ。どのつまみも日本酒とのマリアージュが完璧となっている。
にぎりは赤酢を軽く使った赤シャリを少なめな量でふわっと握っている。ネタを最大限に活かす控えめなシャリが良い。今回は鮟肝から。上に乗せられたいぶりがっこのスライスと鮟肝との、食感や味わいのコントラストが印象的。サンタバーバラ産のウニが別次元の美味しさ。昆布を獲らない西海岸で大量の昆布を食べ放題で育ったウニの美味しさには驚く。ネギトロは芽葱を本マグロのカマ下トロで巻いている。贅沢過ぎて無言となる。大和芋を使った玉子焼きもスペシャリテとなっている。〆の香箱蟹の味噌椀まで、一切手抜きのないネタのオンパレード。
乾杯の泡は日本酒のスパークリング。群馬で水芭蕉を造る蔵元が、シャンパーニュの製造法に忠実に従い瓶内2次発酵させた日本酒。国産シャンパーニュと呼んでも良いほど、米というより葡萄の味わいに限りなく近い日本酒。至高のつまみとにぎりに合わせる日本酒は究極の純米大吟醸。静岡の銘醸が2年熟成させて造るフラッグシップ、亀。この日本酒を超える日本酒にはなかなか巡り合えない。
都内では見たことがないような北陸の海老や、なかなか手に入らない日本海の蟹など、大将が開拓した独自の入手ルートを使い、活きたままや朝獲りの希少品種を揃える究極の寿司店。手間暇惜しまぬ生真面目な大将に料理されると、それらが文句なしに至高の寿司と言えるレベルに昇華されていく。合わせる泡も全国からの日本酒も、至高と言える希少な銘醸の旬な品種がずらりと並ぶ。全国の食通たちが常連となって通うのも当然と思える寿司店ではないだろうか。
お任せコース
先付 丹波の黒豆
前菜 タラの白子 イクラと出汁
凌ぎ イクラと出汁 赤シャリ
つまみ
秋刀魚
炙り秋刀魚
秋刀魚の腸
ブリの大トロ 4週間熟成
炙り〆鯖
イクラ バフンウニ
カワハギの肝
カワハギ
万寿貝
カラスミ
ブランデー漬け 大吟醸漬け
仙鳳趾産の牡蠣
蟹味噌
にぎり
鮟肝 いぶりがっこ 赤シャリ
サンタバーバラ産のウニ 赤シャリ
ネギトロ 本マグロのカマ下トロ
能登湾産のボタン海老 赤シャリ
玉子焼き 大和芋 出汁
椀物 香箱蟹の味噌椀
煎茶
お任せの日本酒
2020 Mizubasho Floral Sparkling
Kawaba Village
永井酒造 群馬県
亀 純米大吟醸 2年熟成
初亀醸造 静岡県
飽きることのない店とは、まさにこの店のためにある言葉ではないだろうか。江戸前寿司の銀座名店から独立した先代からこの店を引き継いだ大将が、生産者との絆により独自に築いた仕入れルートが素晴らしい。北海道から九州まで、特に日本海側、北陸の生産者との信頼関係で手に入る蟹や海老は、豊洲からでは入手出来ない希少種ばかり。日本酒も超希少酒を独自のルートで仕入れられるため、この店の魚と日本酒の組合せは、宝くじ並みの希少さを持つことになる。
冬の名残りとなる赤ムツは脂の乗りが1年で最もバランスが良い。ノドグロらしい蕩けるような脂とはまた違う、魚の白身本来の奥深い美味しさがある。軽い藁焼きの炙りが香ばしさを何倍にもしていて嬉しい。至高の大吟醸が止まらなくなる。先付は真鱈の白子。贅沢に裏濾しされたウニにぷちぷちの食感の白子が浮いている。そのウニの裏濾しに赤シャリを足す凌ぎも楽しく美味しい。
つまみは五島列島の鯖から。そのままでも身の締まった鯖は棒寿司も美味しい。カラスミはこの店のスペシャリテの1つ。ブランデー漬けと大吟醸漬けの2種類のカラスミが日本酒の共。三陸の黒アワビは日本酒と水で4時間煮込んでふわふわになっている。鮑の上にはウニ、その上にキャビアがたっぷり。これぞ3種の神器。カワハギは肝醤油で。天草のクエはイカ墨塩と。ミル貝の甘さも飛び抜けている。北陸、能登の白海老、鬼海老、香箱蟹はこの10年、この店の3大甲殻類の地位を維持。相変わらず美味しい。
焼き物は能登の天然ウナギが珍しい。大きな身は冬を旬とする天然ウナギらしい脂の乗り。備長炭でじっくり火入れされ、ウナギ本来の旨みと脂がバランス良く仕上がり、香りも素晴らしい。握りは今期最後の松葉蟹。蟹味噌で名残りの名残りを堪能。イクラとウニには脂の乗った大トロのような鮪中落ち。とろとろ、ぷちぷちの3重奏にテンションはマックスとなる。握りの〆めは鮟肝。鮟鱇と赤シャリが良く馴染んでいる。
日本酒は日本の最高峰を譲らない亀。大吟醸の熟成古酒は、いまや古酒とは言えない新しい日本のスタンダード。氷温で3年熟成させた日本酒らしい日本酒は、今から40年以上前に日本で始めて1万円を超えた日本酒として有名。しかしかつては年に数百本しか流通しなかったため、手に入ることさえ奇跡的だった。今でもなかなか出会えない。今回はたまたま仕入れられたとのこと。惜しみなく出してくれる大将の心意気が嬉しい。
旬の走り、盛り、名残りを全国の生産者から直接仕入れることができる信頼関係が素晴らしい。つまみは遮らなければいつまでも出続けるのではと思えるくらい、常に豊富にネタを用意している。赤酢を使う握りは、ネタを邪魔しない控えめなポーションと柔らかな握り具合が嬉しい。何より全国の超人気蔵元から、旬の希少な銘柄を集める日本酒のバリエーションが凄い。この希少なネタと希少な日本酒の天文学的な確率の組合せを求め、全国から食通が通い詰めるのも当然の結果と思われる。
お任せコース
先付
真鱈の白子 ウニの裏濾し
凌ぎ
ウニの裏濾し 赤シャリ
つまみ
五島列島のサバ
サバの棒寿司
山芋 ポン酢 若布
カラスミ 自家製
ブランデー漬け 大吟醸漬け
アワビ ウニ キャビア
日本酒と水で4時間炊いた鮑
カワハギの肝醤油
カワハギ
天草のクエ イカ墨塩
ミル貝
能登の白海老 鬼海老
香箱蟹
鉢肴
能登の天然ウナギ
備長炭の炭火焼き
ノドグロ炙り 藁焼き
握り
松葉蟹
松葉蟹の蟹味噌
イクラ ウニ
鮪中落ち 赤シャリ
鮟肝 赤シャリ
椀物 香箱蟹の味噌汁
大将にお任せの日本酒
亀 純米大吟醸
初亀醸造 静岡県
而今 特別純米
にごりざけ生 2019BY
木屋正酒造 三重県
新政 S-Type No.6
新政酒造 秋田県
蟹、海老など甲殻類の希少種を、独自ルートと方法により日本海側から仕入れることにかけて東日本一と言える寿司店。産直の生産先とは、日本海側に限らず北海道から九州まで強固な繋がりを持っている。昔懐かしい店構えは、銀座の老舗で修業した先代からの大切な伝統を受け継ぐもの。2代目大将が10数年前に跡を継いでからは、さらに食材の組合せやプレゼンテーションに素晴らしいオリジナリティを発揮している。
今回は赤ウニが素晴らしかった。いままで見たこともないような巨大な赤ウニ。アメリカ、サンタバーバラ名産の赤ウニは、大きさも驚きなら濃厚な旨みとぷりぷりの食感も始めての体験。つまみとにぎりの両方で味わう今までになかった赤ウニ。小振りで濃縮された味の国産赤ウニを、そのまま大きさだけ大きくしたような味わいが不思議でもある。
お任せコースはイワシ巻きから始まる。この時期のイワシの脂の乗りが素晴らしい。黒モズクは今の時期だけしかない貴重な能登の隠れた名産。細くて真っ黒、シャキシャキの食感が美味しい。イクラの下には鮪中落ち。赤酢のシャリと良く馴染んでいる。ワタリガニは身も味噌も量が多くて意外。贅沢な味わい。飯岡産の岩牡蠣は旬の名残り。恐らく今年は今日の仕入れが最後とのこと。
この店のスペシャリテとも言える旬の食材の食べ比べが楽しい。まずは海老から。今回は北海シマエビと北海道産オニエビ。何れもこの時期と秋の短い間しか獲れない幻の海老と言われている。とろっとした北海シマエビと、別名イバラモエビ、ゴジラエビとも言われるオニエビのややあっさりした味わいの対比が美味しく楽しい。赤ムツと黒ムツの食べ比べも贅の極み。
天草産黒アワビと対馬産赤ウニはキャビアとともに。嬉し過ぎて何を食べているのか忘れてしまう。山形県産のだだ茶豆は尾浦ブランド。世界で一番甘い枝豆。ズワイガニの味噌を日本酒でたっぷりと煮詰めた蟹味噌が素晴らしい濃厚さで、日本酒が止まらなくなる。藁焼きは石垣貝、穴子、シマアジ。何れも藁による燻製のような香りが堪らない。ミル貝とイカスミ塩も良く合っている。サンタバーバラ産の赤ウニは、つまみとにぎりの食べ比べ。
にぎりは赤酢でシャリは小さ目。ふわっとしたシャリのにぎり具合が理想的。これぞ日本のにぎり。呼子の子烏賊がまさに旬。1匹の子烏賊を丸々にぎりにしていて、ぷりぷりの食感で甘さが濃厚。隣の外国人客たちに大将がベビースキッドなどと説明すると、皆大喜びしている。穴子のにぎりは煮穴子と焼き穴子の食べ比べ。何れ劣らぬ美味しさ。〆はワタリガニのお椀。ワタリガニの味噌の濃厚さが贅沢で美味しい。
日本酒がこの店のスペシャリテでもある。一般的には手に入らない、独自ル-ト、販売店限定品、蔵元直送限定酒など、銘醸と言われる希少価値の高い日本酒が驚くほど揃っている。今回も静岡の秘蔵純米大吟醸、超限定品の亀から。これだけでも十分満足。同じ静岡の磯自慢は限定の中取り純米大吟醸。岐阜の渡辺酒造は限定Wプラチナム、而今も2017限定大吟醸。
つまみは無限と思われほど出され続け、どれも貴重で希少で日本の旬の走り、盛り、名残りを代表する産直食材。にぎりはシャリが小さ目で絶妙な柔らかさと赤酢の効き具合。食べ比べなどのプレゼンテーションも楽しくてしょうがない。さらに日本酒が驚くような希少種かつ豊富な品揃え。客も全世界から評判を聞いてやってくる。今回のカウンターも外国人と都内、全国からの客のみだった。今や千葉の至宝、千葉県一の人気レストランと言われるのも、当然と思われる店となっている。
お任せコース
つまみ
イワシ巻き
黒モズク
イクラとマグロ中落ち
ワタリガニ蒸し
房総飯岡産岩牡蠣 若布と共に
食べ比べ
北海道産シマエビとオニエビ
赤ムツと黒ムツ
つまみ
だだ茶豆 山形県産尾浦
天草産黒アワビ 対馬産赤ウニ キャビア
蟹味噌 日本酒で煮詰めたズワイ蟹味噌
焼き物
石垣貝の藁焼き
対馬産穴子の白焼き キャビア
シマアジの藁焼き
つまみ
ミル貝 イカスミ塩
サンタバーバラ産赤ウニ
ガリ
生姜の甘辛煮
にぎり
呼子のスミイカ 子烏賊
サンタバーバラ産赤ウニ
対馬産穴子 煮穴子と焼き穴子
留椀
ワタリガニのお椀
お任せの日本酒ペアリング
亀 秘蔵純米大吟醸
初亀醸造 静岡県
磯自慢 中取り大吟醸純米
磯自慢酒蔵 静岡県
W ダブリュー プラチナム
特等山田錦35 無濾過生原酒
限定 特約店販売品
渡辺酒造店 岐阜県
而今 大吟醸 JIKON 2017
木屋正酒造 三重県
鮨店にあって鮨店ではない店。この老舗鮨店の2代目大将は、初めから鮨店らしさを目指してはいない。銀座の名店出身で伝統的な江戸前だった先代の跡を継いでから、修業時代に自ら築いた人脈により東日本では誰にもできなかった日本海の足の早い甲殻類の仕入れを実現した上で、旬の食材の組合せやプレゼンテーションに素晴らしいオリジナリティを発揮している。
加賀や能登、越中の海の幸を親しい地元の生産者から直送する独自ルートと搬送方法を確立したため、ガス海老やゴジラ海老、鬼海老などの東日本では目にすることのない海老、松葉蟹や香箱蟹は言うまでもなく黄金蟹などの超希少種の蟹が、大将のドヤ顔とともに旬の走り、盛り、名残りで楽しめる。
先代同様に銀座で修業した2代目大将の握りは、マグロの赤身が素晴らしい。ネタの良さはもとより、軽く漬けにされた旨味たっぷりの赤身が、赤酢で小振りにほろっと握られたシャリを覆うように乗っている。口の中で柔らかな赤身とほろほろのシャリが、軽快な味わいの赤酢とともに小躍りする。握りはこうでなくてはいけない。
赤ウニのぷりぷりな食感もいつもながら堪らない。大振りなノレソレもこの店のスペシャリテ。初めから日本酒のピッチが上がってしまう。今回の蟹は青森の雌の毛蟹。北海道産が禁漁になると、産卵直前の一番美味しい雌を青森から仕入れる。日本海の仕入れルートはこの店の右に出る店を知らない。毛蟹の蟹味噌はスプーンに山盛り。日本酒が止まらなくなる。
自家製のカラスミもスペシャリテ。大吟醸に漬けたカラスミとブランデーに漬けたカラスミの食べ比べが贅沢の極み。今回の海老は富山のガス海老と鬼海老。大振りなのに甘さと旨みのバランスが素晴らしく、どちらも同じくらい美味しい。炙りは寒鰆、煮物はノドグロ、トラフグの白子の焼き物の濃厚さが堪らない味わい。やはり鮨店というより日本料理の店。
握りは赤身に続いて墨烏賊。ねっとりと甘い烏賊にシャリは白酢。ネタに合せたシャリの使い分けが絶妙。鮟肝の握りは小皿で出される。赤ウニは5切れを大トロとともに海苔に巻いて手のひらに乗せられる。大きな赤貝も甘くて美味しい。小肌も新子から少し成長した絶妙な大きさ。ミルフィーユのように重ねられた卵焼きもスペシャリテのひとつ。〆は毛蟹の止椀。
日本酒は食材同様、全国から本当に美味しい希少種だけを徹底的に集めていている。福井の黒龍や山形の十四代などの季節限定酒や鑑評会出店酒を食材同様に独自ルートで仕入れる。今回は黒龍酒造の大吟醸、龍ファイナルファンタジーブレイブエクスヴィアス。龍よりやや飲みやすい。そして初亀醸造の5年古酒、亀大吟醸。これに勝る日本酒を知らない。
海老、蟹にこだわった鮨店とは思えぬ鮨店。大将の生き甲斐はカウンターに座った客の驚く姿と美味しいという笑顔。先代から店を引き継いだ10年前、このネタの希少価値と旬の食材の贅沢な組合せ、日本料理のような見た目と握りの技術、そして徹底的にこだわった日本酒を分かってくれる客がいないと、閉店を考えたこともあったとのこと。全国、全世界から客が集まり、驚いて喜んで帰るようになった今、大将の目には次の目標が見えているに違いない。
お任せコ-ス 24000円 日本酒を含む
つまみ
赤ウニ ノレソレ
青森県産毛蟹の雌 蟹味噌
カラスミ 大吟醸漬け ブランデー漬け
富山湾のガス海老 鬼海老
寒鰆の炙り
ノドグロの煮物
トラフグ白子の焼き物
握り
鮪赤身 墨烏賊 鮟肝
赤ウニと大トロ
赤貝 小肌
玉子焼き
毛蟹の味噌汁 香の物
龍 大吟醸 ファイナルファンタジー
ブレイブエクスヴィアス
黒龍酒造 福井県
亀 大吟醸 5年古酒
初亀醸造 静岡県
寿司と言うより日本料理と言ったほうが似合う、大将お任せのコースが素晴らしい。先代から引き継いでからでも、すでに15年が経つ千葉の老舗。道場と言う昔の千葉を知る身には邸宅街だった地に、ずっと以前から佇んでいる店。加賀、能登、富山湾をはじめ、北海道から九州まで、全国の契約先から新鮮魚介を仕入れる。特に金沢市場からは、毎回定期的に買い付けている。
今回は加賀、能登の名物、加能蟹の身と味噌を、石川県産の香箱蟹の甲羅で香箱蟹の内子、外子と共にと言う超絶ハイブリットな蟹を堪能した。極め付けはこの甲羅で飲む純米大吟醸、獺祭の燗酒専用酒、温め酒。文句の付けようがない。真鱈の炙りに掛けられた自家製のカラスミは大吟醸酒に漬けて熟成させたもの。塩気を感じない濃厚な味わいはカラスミの本当の美味しさを噛み締められる。福井県産のシラサ海老も美味しい海老の代表。甘みを感じる旬の海老は、七尾では真海老、石川県ではガス海老とも呼ばれる希少種。まさに海老の貴公子。
合わせる日本酒は、真っ青な瓶が世界レベルの日本酒、常きげん純米大吟醸、キッスオブファイヤー。きりっとした乾杯用にぴったりの味わい。而今のにごり酒も口当たりが海鮮向きで、初亀の極35も辛口の極み。十四代は七垂二十貫の新酒と1年店で瓶熟させてものの飲み比べ。贅沢の極みの蟹、海老には、贅沢の極みの日本酒。これで仕上げが獺祭の燗酒専用大吟醸による甲羅酒というのだから笑いが止まらなくなる。
場所は森田健作の住む千葉県知事公舎や大地主の邸宅もある道場の地。昔は料亭街もあった。最近は大手デベロッパーの高級マンションも並ぶ。その道場の今は普通の住宅街となった通り沿いに、静かに普通に佇む。JR千葉駅からタクシーでしか来れない。千円程度のタクシー代は、千葉の人気イタリアン、アルベロに比べれば、かなり駅に近いと言えなくもない。
千葉では唯一となった40年の歴史を誇る老舗料亭、花長の並びとなる。住宅街の交差点の角にある店。外観はごく普通の特徴のない寿司店。看板には剣菱とあり、先代のころの名残を残している。まさかこの店構えから、あの料理の数々や日本酒の品揃えを想像することは誰にもできないだろう。インテリアも普通の割烹風。だからこその歴史を覚える。カウンター10席は、日本海の荒波さえ見せるあたかも小劇場となる。奥には30席程度の広間があり、間仕切りで分割して宴会用の座敷として使っている。
大将は、仙鳳祉を出しても「この小振りでミルキーな牡蠣が美味しい」と答えてくれる客がめっきり減ってしまったと嘆く。お勧めは大将お任せコース。1万円以上のコースを頼めば、かなり満足できる北陸を中心にした新鮮魚介のオンパレードを期待できる。これだけの料理の質、素材の豊富さ、新鮮さ、話題性。そして何より日本酒の素晴らしいとしか言いようのない品揃え。この店は千葉一番の日本料理店と言っても過言ではない。洋のアルベロ、和の寿司栄。今更ながら千葉には2大看板があると言いたくなる。
≪今回の料理≫
大将にお任せコース 19000円/1人 日本酒を含む
つまみ 〆鯖の海苔巻き
つまみ 昆布森産の赤雲丹
焼物 北海道網走産の一本釣りキンキ
蒸物 蒸しアワビ
造り 氷に一日漬けた青森県産の熟成平目
造り カワハギ その肝と共に
つまみ 雲丹と醤油の泡に溺れる鬼海老
つまみ 雲丹と醤油の泡にライスボール
焼物 北海道産真鱈の炙り 大吟醸に漬けた自家製カラスミ掛け
つまみ 加能蟹の身と味噌 香箱蟹の内子と外子 超絶ハイブリット
握り 鬼海老とイクラご飯
握り 鮟肝の飴煮ご飯 和歌山県産の山椒掛け
つまみ 熟成蟹味噌と自家製のバチコ
大吟醸酒で漬けた自家製カラスミ ブランデーで漬けた自家製カラスミ
握り アオリ烏賊の握り
握り 帆立と雲丹ご飯の握り
握り シラサ海老の握り
千葉県銚子産金目鯛の椀物
≪今回の日本酒≫
大将にお任せコース
KISS of FIRE 常きげん 純米大吟醸 鹿野酒造 石川県
初亀 大吟醸 極 三十五 初亀醸造 静岡県
而今 にごりざけ 特別純米 木屋正酒造 三重県
十四代 七垂二十貫 愛山 高木酒造 山形県 新酒
十四代 七垂二十貫 愛山 高木酒造 山形県 店で1年瓶内熟成
獺祭 温め酒50 燗酒専用 純米大吟醸 旭酒造 山口県
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≪過去のレビュー≫
今回は金沢の香箱蟹が解禁になる1ヶ月も前に、新潟港から初物の香箱蟹を仕入れていた。客の驚く顔が大将の喜びでもある。新潟の早生の香箱蟹も金沢に負けず劣らず美味しい。しかもまだ首都圏では誰も食べていないであろう内に食べられる優越感は一入。大将に感謝。大将のスペシャリテは数限りないが、今回のお披露目はカマ下の5枚重ね。カマ下のトロは、それだけでも十分美味しい貴重な部位にも拘らず、わざわざそれを5枚重ねにして、究極の脂の乗ったトロを味わえる。こんな食べ方があるのかと驚かされる。
ウニと言えば此処と言う全国有名3種の食べ比べに、苫小牧産水蛸とホッキ貝の食べ比べ、さらに同じ北海道産、脂の乗り切った旬の盛り大黒秋刀魚の造りと炙りの食べ比べと楽しくて仕方がなくなるような組合せで、次から次へと奥の手が繰り出される。ヤマメの希少な黄金色に輝く卵が乗った馬糞ウニとガス海老が、シャリの代わりに中落ちの上にどんと座っている。まるで宝物を乗せる絢爛な座布団のように。素晴らし過ぎて呆れてしまう。
合わせる日本酒も驚きの連続。十四代は希少な諸白からスタートする。これだけでも本日の料金全てではと思わせる。茨城県の来福は、98%を削ぎ落とす究極の8%精米。大吟醸もここまでいくと呆れて物も言えない。究極のトロと究極の大吟醸。磯自慢は2012年の中取り純米大吟醸。シリアルナンバーが光っている。これだけの日本酒は早々お目にかかれない。この店は日本料理と日本酒で、至高のメニューを探っているのだろうか。
≪過去の料理≫
大将にお任せコース 19500円/1人 日本酒を含む
酢物 河豚の白子
つまみ ウニ3種の食べ比べ
北海道根室の馬糞ウニ 淡路島由良港の紫ウニ 福岡県産赤ウニ
握り 金沢より1ヶ月早く解禁となる新潟産の香箱蟹 蟹肉 内子 外子 ミソ
つまみ 北海道苫小牧の水蛸
つまみ 北海道苫小牧のホッキ貝の炙り
つまみ 白浜産鮑 ウニと鮑の肝のタレと共に
巻物 鮑巻き
つまみ ガス海老 海老の内子とミソと共に
つまみ 北海道産大黒秋刀魚
つまみ 北海道産大黒秋刀魚の炙り
握り 五島列島産鯖の棒寿司
握り 能登産の毛蟹
つまみ カワハギとカワハギの肝
握り カマ下のトロ 5枚重ね
つまみ 仙鳳跡産生牡蠣
つまみ イクラの醤油漬け
握り ノドグロ
握り ノドグロの炙り キャビア乗せ
黄身白身を交互に重ねた玉子焼き
つまみ ヤマメの卵 北海道根室の馬糞ウニ ガス海老 シャリの代わりの中落ち
椀物 花咲蟹の味噌汁
果物 鬼灯
≪過去の日本酒≫
大将にお任せコース
十四代 極上 諸白 純米大吟醸 高木酒造 山形県
来福 純米大吟醸 超精米 8%究極精米 来福酒造 茨木県
磯自慢 大吟醸 山田錦 水饗華 磯自慢酒造 静岡県
初亀 酒門 低温貯蔵熟成酒 富士山 吟醸 初亀醸造 静岡県
2012 磯自慢 中取り 純米大吟醸35 NO.0286 磯自慢酒造 静岡県
満寿泉 貴醸酒 枡田酒造 富山県
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≪過去のレビュー≫
今回は青森の市場から仕入れたトゲグリ蟹、能登の黄金蟹、能登の大毛蟹の蟹三昧がいずれ劣らず素晴らしかった。濃厚な味噌と内子、蟹肉が脳裏にこびりついて離れないトゲグリ蟹。こんなに美味しい蟹はそうそうない。本来は春が旬の盛りとなる、春蟹とも呼ばれる青森の希少蟹、トゲグリ蟹。この店のために今日まで特別に残して貰っていたもの。究極の旬の名残り。甲羅に盛られて1人1杯。申し訳ないくらいの贅沢さ。
紅ズワイと本ズワイの交配種、黄金蟹。能登沖で取れるズワイの4千杯に1杯しかいない奇跡の蟹。蟹肉、味噌、内子を絡めて握りに。シャリが見えない蟹の大盛り。素晴らし過ぎる。握りの〆は能登産の大毛蟹。止め椀には最初に戻ってトゲグリ蟹の味噌汁。誰もが無言になるほどの豪華絢爛な蟹祭り。
前菜の蒸しウニと車海老の出汁寄せも美しい。玉子の殻に丁寧に詰めて固めた出汁には、ウニと車海老がギュウギュウに。地味で時間のかかる丁寧な仕事。とにかく美味しい。造りは、一本釣りの関鯛がプリプリで極上。富山海老、オニ海老、白魚の富山湾3兄弟も申し分の無い味わい。トリ貝もプリッと滋味深い。
真河豚の白子にはキャビアがたっぷり乗っている。こんな握りは反則。文句の付けようがない。アワビとアワビの歯も美味しい。1杯に2個しかないアワビの歯。コリっとしていてこれだけでも美味。前菜に始まり、造り、握り、焼き、お椀と、何度訪れても驚きを禁じ得ない千葉県最高のお任せコース。まさに感服。
今回は冬の甲殻類のエース、香箱蟹に驚かされた。解禁まで1ヶ月早い。しかし密漁でも冷凍でもない。れっきとした初物。金沢より1ヶ月早く香箱蟹が解禁される新潟から取り寄せたとのこと。いつもながら大将の客をもてなす心意気に感激する。日本全国のウニの食べ比べも面白い。根室由良港の馬糞ウニ、淡路島の紫ウニ、福岡産の赤ウニ。楽し過ぎる演出と、美味しい味わい。日本酒が進まないはずもない。
日本酒も料理に負けない超豪華なお任せコース。田酒の純米吟醸から斗瓶囲い、新作初披露目の希少大吟醸までが露払い。南部美人の品評会仕様そのものを、愛山、山田錦と順番に栓を開けて行く。更に鳳凰美田のワイン酵母2012年を開け、〆には十四代の3大希少銘柄の飲み比べ。いずれも仕入れ値で、一升1万円をくだらない貴重な銘酒。こんな店は日本中探しても無い。
≪過去の料理≫
大将お任せコース 10000円
前菜 蒸しウニ 車海老 オクラ 玉子の殻に入れた昆布と鰹の出汁寄せ
青森県産 トゲグリ蟹 蟹肉 味噌 内子
1本釣りの関鯛 造り 海葡萄
富山海老 造りと炙り 海老の味噌と内子の醤油
富山湾産 オニ海老 オニ海老の卵 造り
富山湾産 白魚 握り 鳴門の若芽
塩イクラの塩抜き トロ 葱 握り
トリ貝 造り
山陰産 紅ズワイ蟹の自家製蟹味噌
富山湾産 オニ海老 焼き物
真河豚の白子 キャビア乗せ 握り
アワビとアワビの歯 造り
アワビの肝
中トロ 葱巻き
能登産 黄金蟹
能登産 黄金蟹 味噌の握り
能登産 大毛蟹
青森県産 トゲグリ蟹 お椀
≪過去の日本酒≫
大将お任せコースに合わせた日本酒コース 時価
特別純米酒 田酒 西田酒造店 青森県
純米大吟醸 斗瓶囲い 田酒 西田酒造店 青森県
大吟醸 善知鳥 うとう 田酒 西田酒造店 青森県
純米吟醸 無濾過 斗瓶囲い雫酒 限定品 上-4 愛山米 南部美人 岩手県
純米吟醸 無濾過 斗瓶囲い雫酒 限定品 上-3 山田錦 南部美人 岩手県
2012 鳳凰美田 ワイン酵母 小林酒造 栃木県
十四代 七垂二十貫 純米大吟醸 愛山 高木酒造 山形県
十四代 七垂二十貫 大吟醸 双紅 高木酒造 山形県
十四代 中取り 大吟醸 播州愛山 高木酒造 山形県
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≪過去のレビュー≫
金沢市場の問屋とは長い間、特別の付き合いがある。香箱蟹は1月5日の禁漁日前日に0℃の環境で仮死状態にして、この時期まで熟成させたものを空輸する。旬の香箱蟹も美味しいが、この仮死状態で熟成が進んだ香箱蟹は、未だ味わったことがなかった濃厚さで驚く。
香箱蟹に限らず、冬の日本海、旬の甲殻類が素晴らしい。今回の金沢沖の深海が産地となる4大海老の揃い踏みには、ただ脱帽するしかない。鬼の形相をした別名ゴジラ海老とも呼ばれる鬼海老、獅子の頭のような獅子海老、金沢名物ガス海老に甘海老でも有名な南蛮海老。一度にこの4つを食べられる店は金沢にもそうはない。この店のカウンターでは、日本海の荒波の光景が見える。
握りはシャリの小さい柔らか目の仕上がりで、今はやりのもの。創業165年の銀座すし栄で修行した先代の技と、現在の都内の人気店を修行して歩いた2代目の技が融合して、新しいオリジナリティを醸し出している。特に塩と山葵だけで食べる造りや握りが美味しい。富山湾の海老の造りは、内子と味噌をあらかじめ取り出し、それに身をつけて食べさせる。これも海老の甘さと内子と味噌の濃厚さを時間差で味わう技。感動する。
合わせる日本酒は奇跡的な品揃え。日本酒専用の冷蔵庫には、石田屋、仁左衛門、しずく、三十八号など、北陸を代表する福井県の銘酒、黒龍酒造の限定品たちが素知らぬ顔をして並んでいる。福島県の人気断トツ1位、飛露喜に至っては無濾過生原酒に始まり、純米、吟醸、大吟醸と、ほぼ全種類が揃っている。
今回は初亀醸造の誇る瓢月と、初代の名を冠した富蔵の飲み比べ。感動のあまり涙が出る。更に、醸し人九平次の大吟醸や、十四代の槽垂れと言う、まず手に入らない希少な日本酒が出てきた。いったいどうやって手に入れるのか。食材同様、底知れない仕入れ力を持っている。最後の締めは墨廼江の純米大吟醸600-K。何も言う事がなくなった。
≪過去の料理≫
大将お任せコース 10000円
鰻の稚魚
南蛮海老 金沢産 別名北国赤海老
獅子海老 金沢産 別名ガタ海老 卵と共に
ガス海老 金沢産
鬼海老 金沢産 別名茨藻海老 北海道名ゴジラ海老
香箱蟹 1月5日禁漁日前日から金沢市場の問屋で0℃の仮死状態になっていた香箱蟹
〆鯖
輪島沖産のどぐろ 刺身
輪島沖産のどぐろ 炙り
毛蟹
ミル貝 貝の根元
厚切り海鼠の酢の物 海苔と共に
網走産釣りキンキ
鮪の砂ずり ワラ炙り
中トロ ワラ炙り
鮟肝の飴煮
苫小牧産天然帆立 刺身
苫小牧産天然帆立 卵巣
このこ ナマコの卵巣 ばちこの元
自家製ばちこ このこを重ね合わせ2週間陰干しいた特製ばちこ
黄身白身を交互に重ねた玉子焼きと芝海老の卵を入れた玉子焼き
2時間煮込んだ自家製蟹味噌
鬼灯
香箱蟹のお椀
≪過去の日本酒≫
大将お任せコースに合わせた日本酒コース 時価
初亀 瓢月 極吟醸 初亀醸造 静岡県 180ml
初亀 富蔵 純米吟醸 Organic 初亀醸造 静岡県 180ml
2011 醸し人九平次 純米大吟醸 human 山田錦 萬乗醸造 愛知県 180ml
十四代 槽垂れ 純米吟醸 原酒 本生酒 高木酒造 山形県 180ml
墨廼江 大吟醸 600-K 墨廼江酒造 宮城県 180ml
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≪過去のレビュー≫
この時期の香箱蟹尽くしには、あまりの嬉しさに涙が出る。そして合わせる日本酒がまた、語り尽くせぬ絶品。香箱蟹に限らず、富山湾の白海老、甘海老も堪能できる。外子、内子、濃厚な味噌、そして甘い身、4種類の味わいを如何なく甲羅に溢れさせる香箱蟹。香箱蟹がひしめくザルが乗るカウンターを前に、驚いたことに香箱蟹の造り、香箱蟹の握り、香箱蟹の椀物が次々繰り出される。ここが千葉であることを心の底から忘れ、加賀の日本海の荒波が眼前の情景として浮かんでくる。
日本酒の品揃えは驚異的。今回の東洋美人のテロワールシリーズも感動できる。ブルゴーニュのドメーヌを意識し、酒米のキュベを限定した日本酒。611なら611番地、437なら437番地の田んぼからできる山田錦のみを使い醸造する。同じ年、同じ山田錦、同じ精米歩合にも関わらず、全て味わいが違う。これが日本のテロワール。
≪過去の料理≫
大将お任せコース 10000円
北海道産真鱈の白子の酢の物
富山湾のミズ蛸
トロ金目鯛 山椒巻き
富山産ノドグロ
富山産ノドグロの炙り
富山海老 内子と味噌のタレ
富山海老の炙り
五島列島の〆サバ造りと焼きサバ
タイラギ貝 鮎の卵 キャビア 山葵乗せ
富山湾のガス海老
香箱蟹 内子 外子 味噌 身
香箱蟹の味噌を煮込んだ自家製蟹味噌
4種類のカラスミ 自家製カラスミの大吟醸漬とブランデー漬 カラスミ炙りの大吟醸漬とブランデー漬
富山湾のカワハギ 肝醤油
北海道仙鳳祉産の馬糞ウニの握り
富山湾のノドクロ炙りの握り
赤貝の握り
伊東の黄金イクラ 富山湾の白海老 北海道の馬糞ウニ トロ中落ちの握り
鯖の棒寿司
香箱蟹 内子 外子 味噌の握り
中トロ 芽葱巻き
芝海老ソボロの軍艦
黄身と白身を交互に重ねた玉子焼き
香箱蟹の味噌汁
胡桃入り羊羹
≪過去の日本酒≫
大将お任せコースに合わせた日本酒コース 時価
飛露喜 特別純米 かすみ酒 廣木酒造 福島県
飛露喜 特別純米 生詰 廣木酒造 福島県
飛露喜 純米吟醸 生詰 廣木酒造 福島県
東洋美人 純米吟醸 611 済川酒造場 山口県
東洋美人 純米吟醸 437 済川酒造場 山口県
東洋美人 純米吟醸 372 済川酒造場 山口県
鳳凰美田 Black Phoenix 純米吟醸 愛山米 小林酒造 栃木県
フレンチ中心の2012年から、2013年は日本料理、寿司にまで範囲を広げている。塩分制限を主治医から正式に解除され、思う存分、日本の宝、日本料理を堪能できた。中でも京味と、京味の大将が最も可愛がった若手ナンバーワン、星野の食べ比べが印象深い。星野の若々しさ、一生懸命さ、これからの未来に、完成された京味の料理は、全く別の次元の神々しさ。元々、比較するような話ではなかったと思う。星野以外では、いつも神保町傳と神楽坂虎白。この2店は相変わらずの素晴らしさ。フレンチはエクアトゥール、レフェルヴェソンスさえあれば幸せな人生と思える。今回はアピシウスのワインサービスも良かった。日本料理、フレンチ以外では、なんと言っても、かわむらのステーキの凄さに圧倒された。寿司では、さいとう。千葉の寿司栄も敢闘賞。