レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!
1位
5回
2020/09訪問 2020/09/28
南麻布に開業して11年目、元麻布に移転してからでも既に8年が経過する日本に合った日本らしいモダンフレンチ。フランス修行時代には星付きレストランからの誘いをことごとく断り、パリの地元レストランに頼まれて、あくまでもシェフであることにこだわり続けた孤高のシェフ。そんなシェフの食材への愛と、食材を丁寧に扱う和の心を感じるこの店の料理は、まさに天国に1番近いレストランの料理と言えるかもしれない。
今回のヴィアンドはラカン産のピジョンラミエ。窒息森鳩の胸、腿、首の真っ赤な色が印象的。ジビエでありながら臭みのない旨みの固まりような鳩には、この店が開業した10年前の衝撃的なシェフの日本デビューの面影を感じる。鳩の骨、肉のジュと赤ワインのソースも鳩の旨みを見事に引き立てている。伝統的なフレンチから始まり、モダン、イノベーティブ、中華、日本料理を取り入れて来たシェフの11年目の集大成は、それらの実績の全てを注ぎ込んで行き着いたモダンやイノベーティブを超えた新クラシックフレンチ。
アミューズはリドヴォ。これも開業時のスペシャリテ。フカヒレの餡かけが新しい。クラシックとイノベーティブのバランスが絶妙な味わい。美味しいところの良いとこ取りとなっている。房総千倉産の黒アワビが飛び抜けて柔らかい。アワビの旨みと椎茸の旨みの競演。牛蒡のポタージュには穴子のフリットが浮いている。これこそまさにこの10年の集大成と言える組合せ。牛蒡と穴子は相性抜群。豚足のクロケットも食感が良く素晴らしく美味しい。
開業直後のスペシャリテはウニと甲殻類のムースのカクテル仕立て。10年振りの復活が嬉しい。以前のクラシックな味わいが、回り回って全く新しい味わいに進化している。美味しさもかつての倍返し。ポアソンはカマス。豚トロとの組合せが絶妙な食感と味わい。豚の旨みで食べるあっさりした白身魚の美味しさは得も言えない。西京味噌を使うところが面白い。単なるフレンチのクラシックやモダンを超えた新しい日本フレンチの完成形。
シャンパーニュはアンリオのミレジメ。完成されたシェフの料理の露払いとしては十分に繊細な泡立ち。クラシックな造りが瓶内熟成により複雑さを増している。黒アワビや穴子、カマスにはジャンクロードラモネ、シャサーニュの人気畑、モルジョを開ける。この白ワインに合わない魚介はない。最高のピジョンラミエには最高のブルゴーニュ、ドメーヌドラロマネコンティ。今回はこの店が開業したバースデーヴィンテージ2009年のエシェゾー。天国に近付くどころか、天国まで来てしまった。
南麻布で開業して11年目にして、今や全国トップクラスの人気を誇る日本を代表するフレンチ。フランスで独自の経験を重ねたシェフが、中華や日本料理まで取り入れて完成させた完璧な日本フレンチという世界。何より食材や生産者を愛する気持が、シンプルに食材を引き立たせる料理になっているところが素晴らしい店。いつまでも若い美人オーナーマダムのコレクションとも言える、膨大なシャンパーニュとワインのストックも素晴らしい。天国に1番近いレストランは、既に天国そのものになっているように思えてならない。
お任せコース 28000円
アミューズ リドヴォ
フカヒレの餡かけ
アミューズ 黒アワビと椎茸
黒アワビの肝のジュレ
ポタージュ 牛蒡のスープ仕立て
穴子のフリット
オードブル 豚肉と豚足のクロケット
ラビゴットソース
オードブル ウニ 甲殻類のムース
コンソメのジュレ
ポアソン カマスと豚トロ
西京味噌のソース
ヴィアンド ラカン産ピジョンラミエ
赤ワインのソース
パン 自家製米粉のプレーンパン
バター
デセールに替わってフロマージュ
カフェ エスプレッソ
2008 BRUT CHAMPAGNE
Millesime
HENRIOT
26900円/750mlボトル
2015 CHASSAGNE-MONTRACHET
Premier Cru "Morgeot"
Jean-Claude RAMONET
32800円/750mlボトル
2009 ECHEZEAUX
DOMAINE DE LA ROMANEE-CONTI
時価/750mlボトル
別途消費税・サービス料10%
南麻布に開業して11年目、元麻布に移転してからでも既に8年が経過する日本に合った日本らしいモダンフレンチ。フランス修行時代には星付きレストランからの誘いをことごとく断り、パリの地元レストランに頼まれて、あくまでもシェフであることにこだわり続けた孤高のシェフ。そんなシェフの食材への愛と、食材を丁寧に扱う和の心を感じるこの店の料理は、まさに天国に1番近いレストランの料理と言えるかもしれない。
料理に寄り添うオーナーマダムのシャンパーニュとワインが素晴らしい。築地の鮪問屋のお嬢様として育ったマダムの感性が、この孤高の天才シェフを支えている。日本らしいフレンチの最先端と言えるシェフと、新たな食文化の担い手でもあるマダムによる全く新しいフレンチ。伝統的なフレンチ、モダンフレンチ、イタリアン、中華、懐石料理のエスプリを吸収し、誰も知らない領域を目指して進化してきたこの2年、いよいよこの店の天国への階段も、完成が近づきつつあるように思える。
今回のヴィアンドは北海道産の蝦夷鹿。冬の蝦夷鹿の旨みを活かす低温ローストが素晴らしい。申し分のない食材と火入れの組合せ。均一な柔らかさは、ナイフを落とすだけでしんなりと切れてしまう。シンプルにソースだけが添えられているのも、シェフの絶対的な自信の表れ。フォンドボーと鹿のジュ、赤ワインを主体とした複雑にも関わらずあっさりとした口当たりの、食材を一番とするソースも完璧な仕上がりとなっている。
アミューズから和洋中、クラシックとモダンの融合が完成に近づきつつあることを伺わせる。和を代表する旬の菊芋が滑らかなブルーテとなり、菊芋を含む野菜のオーケストラのような複雑な味わいが美味しい。オマール海老にはタラの燻製を合わせている。黒トリュフと燻製の香りのハーモニーが素晴らしい。フォアグラは軽いソテー。フカヒレと生ハムとの組合せも、フレンチ、イタリアン、中華を極めたからこその発見に基づく1つの回答と思われる。
ウニとハマグリ、フキの組合せも懐石料理のようでもあり、モダンフレンチのようでもある。ハマグリのジュは旨みが凝縮している。子持ちヤリイカはトマトのコンソメを使ったソースにぴったり。添えらた蕗味噌が和洋を一体的に味わうポイント。カサゴのフリットは薄い衣と揚げ方が絶妙。繊細な白身の味わいをそのまま活かしている。ポアソンは世界に誇る千倉の黒アワビ。ふわふわの柔らかさ。アワビの肝のソースに合わせる空豆のエスプーマも組合せの妙。
北海道産の蝦夷鹿に続いて仕上げの食事。コースの構成自体が、京懐石のコースと同じようになっていて驚く。食事はカンスイの配合率を指定したという特製麺。今回は冷たいパスタ。旬の真っ盛り、蛍烏賊と春キャベツが春の訪れをストレートに伝えている。デセールのフォンダンショラやアイスに替えて今回はデザートワイン。こともあろうに1996のシャトーデュケムを惜しみなく注ぐマダムの笑顔が、天使にも、女神にも、観音様にさえ見えてくる。
シャンパーニュはその美人マダムが、シャンパーニュオタクと言っても良いほどのコレクションを持っていて、いつ来ても楽しく味わえる。今回はヴィルマール。レコルタンマニュピランのクリュッグと呼ばれるフランスでの人気ナンバーワンシャンパーニュ。最新のミレジムは泡の勢いも繊細。シャサーニュは超有名3ドメーヌの飲み比べ。ニュイサンも2ドメーヌの対比。楽し過ぎるバリエーション。女神のようなマダムと2人で乾杯を繰り返し、2人ともかなり酔っ払ってしまった。
あらゆるジャンルの料理やあらゆる時代の潮流を吸収し、独自の解釈を加えて今までに全く無かった新しい世界を創り続ける孤高のシェフ。愛するオーナーソムリエでもある美人マダムのために、人生の全てを掛けたシェフの料理と、いつまでも若い魔女のようなマダムによるこの店の料理、ワイン、サービス、雰囲気は、まさに天国に1番近いレストラン。オープンから11年通い続けるこの店には、日本の食文化のこれからの希望が果てしなく詰まっているように思えてならない。
料理とワインのお任せコース
40000円/人
アミューズ 菊芋のブルーテ
ウナギの炭火焼き マデラ酒のソース
アミューズ オマール海老のフラン
タラの燻製 黒トリュフ
フォアグラ フォアグラのソテー
フカヒレ 生ハム
オードブル 大ハマグリ
ハマグリのジュレ 北海道産ウニ フキ
オードブル 子持ちヤリイカ
トマトとイカ墨のソース
ホワイトアスパラ グリーンアスパラ
蕗味噌 穂紫蘇
オードブル カサゴのフリット
若筍 花山椒の葉と茎
生姜の皮 木の芽
ポアソン 千倉産黒アワビのリゾット仕立て
空豆のエスプーマ アワビの肝のソース
柚子の香り
ヴィアンド 北海道産蝦夷鹿の低温火入れ
フォンドボーと赤ワインのソース
自家製パン プレーン
ミルクパン ミニバケット バター
特製麺 冷たいパスタ
カンスイの配合率を指定した麺
蛍烏賊 春キャベツ 芽葱
デセール フォンダンショコラに替えて
デザートワイン
1996 Chateau d'Yquem
カフェ エスプレッソダブル
プチフール 自家製カヌレ
2019 CHAMPAGNE BRUT
GRAND RESERVE Vilmart & Cie
120mlグラス
2011 CHASSAGNE-MONTRACHET
1er cru LES VERGERS
DOMAINE FONTAINE-GAGNARD
120mlグラス
2010 CHASSAGNE-MONTRACHET
1er cru LES CHENEVOTTES
DOMAINE JEAN-MARC PILLOT
120mlグラス
2012 CHASSAGNE-MONTRACHET
1er cru LES VERGERS
Domaine Marc Morey
120mlグラス
2011 NUITTS-SAINT-GEORGES
Premier Cru "Les Prulieers"
DOMAINE LECHENEAUT
120mlグラス
1999 NUITTS-SAINT-GEORGES
Domaine ANTNNIN RODET
120mlグラス
1996 Chateau d'Yquem
60mlグラス
南麻布に開業して10年目、元麻布に移転してからでも7年となる今や知らない人のいない、日本に合った日本らしいモダンフレンチ。開業直後の無名時代から通って10年目となる。パリで星付きレストランからの誘いをことごとく断り、現地のマダムに頼まれてあくまでもシェフであることにこだわり続けた孤高のシェフ。そんなシェフの食材への愛と、食材を丁寧に扱う日本の心を感じるこの店の料理は、まさに天国に一番近いレストランの料理と言えるかもしれない。
料理に寄り添うオーナーマダムのシャンパーニュとワインたちが素晴らしい。築地の鮪問屋のお嬢様として育ったソムリエでもあるマダムの感性が、シェフの日本フレンチを支えている。日本らしいフレンチの最高峰と言えるシェフと、新たな食文化の担い手であるマダムによる全く新しいフレンチがこの店では完成されている。にもかかわらずシェフの料理は、本場フレンチ、日本フレンチ、イタリアン、中華、和食のエスプリを吸収し、今もまだ誰も知らない領域を目指して進化し続けている。
今回のヴィアンドはルーアン鴨。食材そのものの鴨とは思えぬ凝縮された旨みと、低温調理による万遍のない柔らかさ。申し分のない食材と火入れの組合せ。シンプルにソースだけが添えられているのも、シェフの絶対的な自信の表れ。フォンドボーと鴨のジュ、赤ワインを主体とした複雑にも関わらずあっさりとした口当たりの、食材を一番とするソースも完璧な仕上がりとなっている。
アミューズは京懐石のようなスタート。トラフグの白子を葛で寄せて毛蟹の餡かけにしている。美味しさも桁違いだが、今日のコースの構成を予測できなくされた驚きが衝撃的。続くアミューズも京懐石。佐島の真蛸のふわふわな茹で加減。山葵の葉の心地良い辛さと旬の海老芋も文句無しに美味しい。ようやくフレンチらしいオマール。合わせるのは新筍とアワビ。フランスと日本の旬の競演。アメリケーヌソースとオランデースソースのダブルソースが絶妙なコンビネーション。
フォアグラに合わせる酸味の利いた赤ワインソースも上品。ふんだんに使われた黒トリュフの香りは器の蓋を閉めたままでも香ばしく上がってくる。オードブルは大ハマグリと蕗、ウニ、紫蘇の穂。再び京懐石との融合。スッポンのつくねも和の真骨頂。スッポンの背骨から取るソースと卵黄も完成された和の世界。ポアソンは皮だけカリッと仕上げられた松毬焼きを思わせるグジ、アマダイのポアレ。白味噌と白ワインのソースのバランスは、あたかも今回のコースのテーマを見るよう。
フランス産のルーアン鴨に続いて仕上げの食事。コースの構成自体が、京懐石のコースと同じようになっていて驚く。食事はカンスイの配合率を指定したという特製麺。豚肉のミンチ、ラー油、パクチーの組合せは坦々麺に近い印象。しかし白子のソースが濃厚で、今までに経験したことの無い麺となっている。デセールのフォンダンショラとマンゴーのアイス、プチフールの自家製カヌレがフレンチであることを思い出させてくれる。
シャンパーニュはオーナーソムリエのマダムが、シャンパーニュオタクと言っても良いほどのコレクションを持っていて、いつ来ても楽しく味わえる。今回はベレッシュエフィス。伝統的な造りのシャンパーニュとしてはコストパフォーマンス抜群のレアキャラ。白子や真蛸にぴったり。オマール、筍、フォアグラにはシャサーニュ。ハマグリとスッポンにグロフィエのパストゥーグラン。そしてグジにマルクモレ、ルーアン鴨にドニモルテのジュヴレ。仕上げに89のジャンマルクボワイヨ。素晴らし過ぎて笑いが止まらない。
あらゆるジャンルの料理やあらゆる時代の潮流を理解し、独自の解釈を加えて今までに全く無かった新しい食の世界を探求し続ける孤高のシェフ。愛するオーナーソムリエのマダムのために人生を掛けたシェフの料理と、いつまでも若く美しい魔女のようなマダムによるこの店の料理、ワイン、サービス、雰囲気は、まさに今の日本で一番天国に近い店。それでもなお、進化を続けるこの店には、日本の食文化のこれからの希望が果てしなく詰まっているように思えてならない。
料理とワインのお任せコース
40000円/1人
アミューズ 虎河豚白子の葛寄せ
毛蟹 葛餡掛け
アミューズ 佐島の真蛸
山葵葉 海老芋
アミューズ オマール海老
アワビ 新筍
アメリケーヌソースとオランデーズソース
キャビア
フォアグラ フォアグラのフラン
赤ワインのソース 黒トリュフ
オードブル 大ハマグリと蕗
ウニ乗せ ハマグリのジュレ 穂紫蘇
オードブル スッポンのつくね
スッポン背骨のソース 卵黄
ポアソン グジのポアレ
牛蒡と独活 菜の花
白味噌と白ワインのソース
ヴィアンド フランス産ルーアン鴨の低温火入れ
フォンドボーと赤ワインのソース
自家製パン プレーン ミルク ミニバケット
バター
特製麺 カンスイの配合率を指定した麺
豚肉のミンチ 白子と辣油のソース
パクチー
デセール フォンダンショコラ
マンゴーのアイスクリーム
カフェ エスプレッソダブル
プチフール 自家製カヌレ
NM CHAMPAGNE BRUT RESERVE
Bereche & Fils
120mlグラス
2010 CHASSAGNE-MONTRACHET
1er cru LA GRANDE MONTAGNE
DOMAINE FONTAINE-GAGNARD
90mlグラス
2009 BOURGOGNE PASSETOUTGRAN
Domaine Robert GROFFIER Pere & Fils
90mlグラス
2012 CHASSAGNE-MONTRACHET
1er cru LES VERGERS
Domaine Marc Morey
90mlグラス
2011 Gevrey-Chambertin
DOMAINE DENIS MORTET
90mlグラス
1989 Pommard LA POMMARDIERD
Domaine Jean-marc BOILLOT
90mlグラス
初めてこの店を訪れてから7年目となる。南麻布からこの元麻布に移転した初日も、夏限定イタリアンを始めた初日も、いつもこの店に来ることができたのは幸運だったのかもしれない。7年前、南麻布のデザイナーズマンション最上階2層を使った1日1組限定のプライベートレストランとの出会いは衝撃的だった。全く無名でほとんど知られていなかったレストラン。しかしそれは日本に合った日本らしいフレンチ、今までずっと求めていた夢のようなフレンチとの始めての出会いだった。
パリで星付きレストランからの誘いをことごとく断り続け、現地のマダムに頼まれてあくまでもシェフであることにこだわり続けた、まさに孤高のシェフ。その料理は日本の心をパリに伝える現代の伝道師だったのかもしれない。そんなシェフのこだわりは日本的な素材への愛と、素材を丁寧に扱う日本料理の心。どの皿にもシェフの思いを感じることができるこの店の料理は、まさに天国に一番近いレストランの料理と言えるかもしれない。
その料理を支えるマダムのシャンパーニュとワインたち。築地の鮪問屋のお嬢様として育ったマダムの感性は、シェフの日本的フレンチの心の支えともなっている。日本における日本フレンチの旗手として最高峰のシェフと、日本における新たな食文化の作り手であるマダムによる全く新しいフレンチがこの店において今まさに完成されつつある。この店が日本の食文化のイノベーター、インキュベーターたらん食通たちのメッカとなっているのも当然の結果かもしれない。
今回も鳩が素晴らしく美味しかった。真っ赤な肉の色が、その素材の持つ秘められたパフォーマンスを醸し出しているラカン産のピジョンラミエ。濃厚なジビエらしい味わいを、均一で丁寧な火入れで柔らかく慈愛に満ちた仕上がりにしている。とにかくシンプルな肉の塊が、ラカンピジョンの良さを余すところなく引き出す。鳩の内臓を使ったソースも軽いスモークが完璧に効いていて、全く内臓の嫌な部分が消え去り、肉を盛り立てている。全てがバランス良くまとまり、この皿の向こうには美しさを超えて後光が差していた。
ピジョンラミエまでの8皿のアミューズ、オードブルも、どれも美しく美味しい。タラバとウニはカニ味噌がポイントとなり、黒アワビも肝との取り合わせが絶妙。イイダコとキャビアにダブルコンソメも文句の付けようがない。魚は金目にタイラ貝。まさに日本料理の世界。そして和牛とトリュフ、フカヒレとフォアグラ、虎河豚の白子にオマール海老と続く。しかしその全てがシンプルなピジョンラミエの露払いだったことを知り愕然とすることになる。
合わせるワインも凄い。シャンパーニュマニアのマダムのコレクションから、まずはこの店オリジナルシャンパーニュ。次々に食に関する新事業を立ち上げるマダムだから出来る神業。続いてもシャンパーニュ。しかもドラピエのミレジメ。2008年らしい上品な泡立ちと味わい。熟成ブルゴーニュが続くと、マダムがフランスの友人から直輸入するフロマージュに合わせてオリヴィエルフレーヴのムルソープルミエクリュ。楽しくて仕方がなくなる。
場所は元麻布の閑静な住宅街。中国大使館やブラジル公使館が並ぶ一角。東京メトロ日比谷線、都営大江戸線の六本木駅から六本木ヒルズに入り、六本木通りの反対側にあるレジデンス棟の間を抜けて行くのが一番の近道。
フランス料理と日本料理を、今最も融合させることができる、料理以外にはマダムにしか興味のない職人のなかの日本一の職人シェフと、何一つ苦労なく育った美しい新進気鋭の実業家、かつシャンパーニュマニアのマダムの織り成す奇跡的な店。この店との運命のような7年間を神に感謝するとともに、あらためてこの店が天国に一番近い店と思わざるを得ない。
料理とワインのお任せコース 35000円
アミューズ タラバ蟹とウニのフラン
タラバ蟹のカニ味噌とともに
前菜1 三陸産黒アワビ
アワビの肝のソースと米のソース
前菜2 明石産イイダコとキャビア
セリと生キクラゲ
ダブルコンソメジュレ
柚子のヴィネグレット
前菜3 伊豆産金目鯛のスモークミキュイ
タラの白子ソース 自家製カラスミ
前菜4 徳島産筍とタイラ貝
和牛の炙り 黒トリュフソース
前菜5 フカヒレとフォアグラ
自家製干し椎茸のスープ
前菜6 直火焼きした虎河豚の白子
ベアルネーズソース
オマール海老のポシェ
アメリケーヌソース
口直し ヴィシソワーズ
ホタルイカのソース
自家製カラスミの冷製パスタ
ヴィアンド ラカン産ピジョンラミエ
鳩内臓のスモークソース
アヴァンデセール キルシュのアイス
黒トリュフ 蜂蜜とポアブルジャバ
薔薇のヨーグルト
グランデセール ブルードオーベルニュ
洋梨 クルミとレーズンのプレッセ
コンフィした2種類のッグレープフルーツ
ハーブティーのソルベ
カモミールの炭酸ジュレ
フロマージュ フランス産
マダムの友人から直輸入した盛合せ
ミニャルディーズ
カフェ エスプレッソ
NM CHAMPAGNE Le Belle Bleue
Restaurant l'equateur
BLIARD-MORISET
2008 CHAMPAGNE BRUT
DRAPPIER Grande Sendree
2011 Alsace Grand Cru
Wineck Schlossberg
2014 Domaine Romaneaux-Desteyet
1995 BEAUNE
DOMAINE MICHEL GAUNOUX
1990 POMMARD VIEILLES VIGNES
COCHE-BOUILLOT
2000 Moursault 1er Cru
LES PORUZOTS Olivier Leflaive
パリのレストランでシェフをつとめたあと帰国したこのシェフの料理は、素材の選択とそれらの組合せが素晴らしい。各皿のビジュアルの完成度も際立っている。元麻布の閑静な大使館街にひっそりと佇む高級マンションにあるレストランは、お洒落と寛ぎの究極コラボレーション。若き美人オーナーと、控え目で優しいイケメンシェフは、2人揃ってソムリエ資格も持つ。シェフのフランス時代の思い入れは今のレストランの形態に続くものがある。パリの星付きレストランからの誘いをことごとく断り、自分の腕を試し、現地の評価を受けたいがために、敢えて頼まれたレストランのシェフを務めていた。そのシェフの思い入れは、最新のパリの流れを汲みつつ、あくまでオリジナリティ豊かな表現に力を入れる、この店の美しく美味しい皿の数々に丁寧に込められている。南麻布に開業して4年。この元麻布に移転してから2年が経過し、シェフの腕はますます円熟味を帯びてきている。料理のコースは、アミューズ、フォアグラ料理を含むオードブルが数皿出た後、旬の魚料理、フランスを中心としたジビエ料理のメインが続くという構成。それに持ち込みワインのコースと、素晴らしいお勧めワインをセットにしたコースが加わる。アミューズやオードブルから美しいビジュアルに感動できる。カトラリーもガラスや石の皿も素晴らしい感性で統一されていて、一分の隙も無い。
今回はフランス、ラカン産の鳩のローストがいつにも増して素晴らしい火入れと味わいだった。シェフのジビエへの思い入れは、今や巨匠の域に達している。オードブルで最高のピュレニーに合わせた大トロが感涙物だった。樽を微かに感じる艶かしいほどのピュレニーにぴったりの大トロは、ホワイトアスパラガスとグレープフルーツ、バルサミコとのアンサンブル。フォアグラのポアレが地鶏黄卵のラビオリと共鳴し、4種類の旬の貝類の競演に感動の嵐。合わせるワインが凄過ぎる。2008ミレジメのブランドノワールに始まり、エティエンヌソゼの1996熟成ピュリニー、エシュゾーにトラペの1981熟成シャンベルタン。料理も凄さを増しているが、マダムの繰り出すワインは、既に世界最高峰に届いてしまう勢いを感じる。
場所は各国の大使館がひしめく元麻布の住宅街。消防署の脇の小道を下り、突き当たりを道なりに左手に。その先の右へ曲がる突き当たりの右側、角のマンション2階に在る。1階はミシュランの星の付く日本料理店。階段を上がるとステンレスの名盤にエクアトゥ-ルと文字のみのエントランスが、料理同様に奥ゆかしい。友達のマンションに入るようにドアを開けると小じんまりしたエントランスホール。すぐにマダムが迎えに出る。入ってすぐに6人用の個室。大抵は2人客用に贅沢に使っている。オープンなL字のカウンターには、ゆったりとしたソファタイプのチェアが6席。バックバーも美しい。インテリアの絵はシェフが自ら書いている。料理、ワイン、サービス、インテリアと、全てに統一されたオーナー夫妻のセンスは他のどこの店も適わない。ゆったりしたカウンターも、2人なら2組しか取らない。3人以上なら、相変わらず1組しか取らない時が多い。とにかく何を置いてもサービスの質と顧客満足に拘っている。従って1人客は取らない。開業して4年が経過しても進化を続けるシェフの料理と、若く美しいマダムのワインサービス。心許せる家族や仲間との食事の場として、これ以上ない最高の舞台が用意されている。ここは天国に一番近いレストラン。これからも食事を心から楽しみたい人のためだけに、さらなる進化を続けて欲しい。
シェフお任せ料理とマダム秘蔵ワインのコース 30000円(時価)
アミューズ 蛍烏賊のカダイフ包み ジャガイモのエスプーマを添えて
オードブル 7時間煮た活き蛸のスモークとウニ 浅利と芹 生木耳の黄柚子ヴィネグレット添え 昆布と牛スネ肉のダブルコンソメ
オードブル 地鶏黄卵のラビオリ フォアグラのポアレ 京都山城の筍と菜の花 トリュフソース
オードブル 佐賀県産ホワイトアスパラガスと大トロ グレープフルーツとバルサミコ クミンと木の芽 クレソン マーシュのサラダ
ポアソン トコブシ ハマグリ ミル貝 タイラ貝 貝のジュと独活 ハーブの香り
ヴィアンド フランスラカン産鳩のロースト
自家製パン
フロマージュ 3種類の盛合せ
デセール 蜂蜜ヨーグルトの黒トリュフ添え バニラアイスクリームと金柑に詰めて焼いたクレームダマンド アニスショコラ添え
カフェ エスプレッソ
プチフール
2008 CHAMPAGNE BLANC de NOIRS BRUT Frederic MALETREZ 120mlグラス
NM CHAMPAGNE Cuvee no.737 JACQUESSON 750mlボトル/4人
1996 Puligny-Montrache Le Referts Domaine Etienne Sauzet 750mlボトル/4人
2007 Echezeaux DOMAINE J,CACHEUX 750mlボトル/4人
1981 CHAMBERTIN DOMAINE LOUIS TRAPET 750mlボトル/4人
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今回もビュルゴー家ルーアン鴨のロティが素晴らしい出来だった。火入れの丁寧さによる全体的な柔らかさも良いが、ソースがビュルゴー家のルーアン風とぴったり合っている。赤ワインのソースには香草を効かせ、濃厚な鴨自体の味わいをピリッと引き立てる。研究熱心なシェフの技を感じる。今回は、ホタテもマナガツオも、ルーアン鴨以上の火入れ具合に感動する。フワフワに仕上げるシェフの火入れに対する拘りは相当なもの。マダムのお奨めワインはロゼのシャンパーニュが待ち遠しい春の訪れを感じさせるセレクト。ジョバールのムルソーが素晴らしい口当たりで、ホタテとのマリアージュに涙が出る。マナガツオとルーアン鴨にはグロのヴォーヌロマネ。仕上げは昨秋早世したパトリックビーズに敬意を表して、シモンビーズのサヴィニーオーヴェルジュレス。なんと言う組合せと演出だろうと、ただただ感激する。
シェフにお任せコース 14200円 別途サービス料10%
アミューズ 温かい甲殻類のフラン
アミューズ タスマニアサーモンのマリネ 燻製ジャガイモのムース
オードブル オマール海老と活ホタテのポアレ フォンダンエシャロットとハーブのヴィネグレット
有機野菜とトリュフのサラダ添え
オードブル スープドポワソン カニ味噌とズワイガニのガレット 赤穂産牡蠣のポアレ
フォアグラ
ポアソン マナガツオの直火焼き スミイカとインゲンのソテー ソースヴィエルジュ
グラニテ ウェルベーヌ
ヴィアンド ビュルゴー家ルーアン鴨のロティ 赤ワインと香草を使ったソース
パン 4種類の自家製パン
フロマージュ 5種の盛合せ
デセール
カフェ エスプレッソダブル
プティフール カヌレ マカロン他
各皿に合せたマダムにお任せのボトル 33600円/4本 別途サービス料10%
NM CHAMPAGNE MONOPOLE ROSE TOP BRUT HEIDOSIECK
2007 Meursault "Les Grands Charrons” JOBARD-CHABLOZ
2007 Vosne-Romanee AUX REAS DOMAINE A.-F.GROS
2001 Savigny-les-Beaune Aux Vergelesses 1er CRU Simon Bize & Fils
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移転前の店では、1日1組限定で、魂のフレンチを作っていた。新店舗では、1日3組までに拡大し、しかし同じような強い思い入れのフレンチを作り続けている。また個室とカウンターに分かれ、広くなった店内を若く美しいマダムが蝶のように舞っている。やはりここは、未だ天国に一番近いレストラン。今回も旬のジビエ、夏蝦夷鹿が素晴らしい出来。素材の熟成度も理想的なら、合わせるソースが夏鹿仕様。黒胡麻に赤ワインとフランボワーズを合わせたソース。どっしりとしたジュヴレシャンベルタンに何と合うことか。感動する。ポアソンの萩の甘鯛の絶妙な火入れもさることながら、いつもながらのオードブルの美しい旋律のような流れが、今回も際立っている。アミューズは西瓜の甘みとエストラゴン、泡の淡い苦味が舌の上で3重奏を奏でる。抜群の火入れの帆立にラングスティーヌと甲殻類のギリシャバロックなソース。堪らない。フォアグラがルーアン鴨、サマートリュフと共に国旗のようにデザインされた皿。白烏賊には北海道産牛のトリッパ。もう何も言うことは無い。今回の乾杯はミレジメも2005年。真夏の夜のブランドブランは酸味がきっと効いている。西瓜のアミューズに合い過ぎて怖い。サンセール、ムルソーがオードブル、甘鯛に合わせて次々に開けられる。ルーアン鴨とフォアグラにはサヴィニーの熟成赤ワイン。しかも日本人妻を娶ったシモンビーズ。奥が深いセレクションに驚く。主役の夏鹿には熟成ジュヴレシャンベルタン。ワインと料理のマリアージュに、マダムの天才的なセンスを感じる。ワイン持込みコースは、何本持ち込んでも構わない。これまでの5人以下7万円から、6人以下7万8千円に。6人なら1人あたり1万3千円となる。移転して、バージョンアップした上に値下げとは、どこまで顧客の想像を超えるホスピタリティを目指しているのだろう。驚きとしか言いようがない。
シェフにお任せ コースA 9950円 別途サービス料10%
アミューズ 若鮎のムースと西瓜のムース エストラゴンのジュレ
オードブル ラングスティーヌとスモークした帆立のポアレ ギリシャ風ソース
オードブル ルーアン鴨とフォアグラのユール仕立て
オードブル 白烏賊と仔牛のトリッパ 肝に見立てた豚足と烏賊墨の煮込み
ポアソン 自家製塩麹に漬けた萩甘鯛 大蒜とパセリのソース サザエのガレット添え
グラニテ グレープフルーツとウォッカのグラニテ
ヴィアンド 蝦夷夏鹿のロースト 黒胡麻のソース
フロマージュ 5種の盛合せ
18ヶ月熟成コンテ フルムダンベール シャンパーニュ地方のウォッシュ他
各皿に合わせたマダムのお任せワイン
2005 CHAMPAGNE BRUT GRAND CRU MALLOL-GANTOIS 1750円/120mlグラス
2010 SANCERRE La Bourgeoise HENRI BOURGEOIS 1700円/120mlグラス
2001 Savigny-les-Beaune 1er CRU Aux Vergelesses Simon Bize & Fils 1850円/120mlグラス
2010 MEURSALT Le Limozin SYLVAIN DUSSORT 1800円/120mlグラス
1996 Gevrey-Chambertin 1er CRU "LE GORBEAUX” PHILIPPE ROSSIGNOL 時価/120mlグラス
別途サービス料10%
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今回は牛肉を使った料理のコースB。アミューズの春独活と菜の花のエスプーマが季節感たっぷり。前菜の3皿は、アスパラガス、蛍烏賊、地蛸に始まり、64℃で64分火入れした地鶏卵、オマール海老にトリュフ、フォアグラ、モリーユ茸と続く夢の共演。松笠焼きの金目鯛も素晴らしい火入れ。しかし一番はやはり牛肉。北海道みついし牛のヒレが、均一に柔らかく、温かく、しっとりと火入れされ、ネセロリと赤ワインをベースにした、複雑かつ繊細なソースに絡みつく。今回も乾杯のシャンパーニュはミレジメ。暖かな春の訪れを喜ぶようにブランドブランが用意されている。シャンパーニュの造り手もコストパフォーマンスを考えたセレクト。しかし白、赤の造り手、産地は、さらにコストパフォーマンスの優れたものを揃えていて、ブルゴーニュ好きには堪えられない。至福の時を満たす料理の数々には、至福の時を支えるブルゴーニュが欠かせない。
ディナーB スペシャル 14200円 別途サービス料10%
アミューズブーシュ 磯ツブ貝と春独活 絹サヤ豆の和え物 菜の花のエスプーマ
オードブル アスパラガスのデグネリゾン 生蛍烏賊と青柳の小柱 スモークした久里浜の地蛸 甲殻類のエマルジョン
オードブル 64℃で64分火入れした地鶏卵 自家製コンソメドゥ-ブルとトリュフのチネリ オマール海老を添えて
オードブル おやきとサンジャック フォアグラのポアレ モリーユ茸とコニャックのソース
ポアソン 下田産金目鯛の松笠焼きと赤穂の牡蠣 山菜のソース
グラニテ パンプルムースのグラニテ
ヴィアンデ 北海道産みついし牛のロティ ネセロリと赤ワインのソース
フランスとルクセンブルグから4種のパン
フロマージュ 各種盛合せ
デセール ブルボンルージュのプティポー 生姜とカルダモンのアイスクリーム
カフェ マリアージュフレールのハーブティー
プティフール カヌレ 鬼灯 クレームショコラ
2004 CHAMPAGNE BRUT BLANC DE BLANCS Nicolas Feuillatte 1本
2007 PULIGNY-MONTRACHET DOMAINE ALAIN CHAVY 1本
2009 SANCERRE Monts Damne's GERARD BOULAY 1本
2001 Savigny-les-Beaune "Aux Grands Lirds” Simon Bize & Fils 1本
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今回の新ジャガとアーティチョーク、黒トリュフのグラタンが素晴らしい。フォアグラのポアレと牡蠣のソースのコンビネーションになっている。トリュフとフォアグラを見事にマリアージュさせ、グラタンとポアレの組合せがリズミカル。ビジュアルと香り、味わい、全てに計算されつくした理想のコンビ。楽し過ぎて笑さえこぼれてしまう。阿蘇山から来た馬肉ハラミのローストも珍しい。馬肉を赤ワインと燻製にしたエシャロットソースに合わせる。今回の特別過ぎるワインとの相性を考え抜いた究極のセレクション。今回のスペシャルワインはシャトーオーゾンヌ。5大シャトーと並ぶボルドーの9大シャトー、サンテミリオンの主。どんな考え抜いたワインも、全て露払いとしてしまう。そんなワインに合わせる料理を作るシェフの腕は神技とも思える。
ワインコース 78000円/6人 税・サービス料込み ワイン持ち込みは何本でも可
アミューズ 佐賀県産ホワイトアスパラのブランマンジェ トマトとライチ
前菜 マリネしたホタテのミキュイ ハマグリと毛ガニのコンビネーション
レモングラスのジュレとコブミカンオイル 自家製生アンチョビ添え
前菜 白子のフラン 白子とオマール海老のポアレ塩漬けした鱈のソース
前菜 新ジャガとアーティチョーク 黒トリュフのグラタン モリーユ茸
フォアグラのポアレと牡蠣のソース
お魚料理 北海道産カスベのロティ ケッパーとハーブの香り
グラニテ りんごのグラニテ
お肉料理 阿蘇山から来た馬肉ハラミのロースト 赤ワインと燻製したエシャロットソース
自家製パン
デセール ブルボンバニラのプティポーとカルダモンと生姜のアイス アルマニュアック香るイチゴミルク
プティフール カヌレとクレームショコラ 金柑とラズベリーの水まんじゅう
カフェ マリアージュフレール
ワインコース 持ち込みワイン
NV CHAMPAGNE “Le DRAPPIER” Special Cuvee DRAPPIER
2009 PERNAND-VERGELESSES “LES COMBOTTES” Domaine Rapet Pere & Fils
2011 MEURSAUT “LES VIREUILS” Domaine des Hospitalieres
2010 ALSACEl GEWURZTRAMINER Domaine Paul Zinck
2007 CHAMBERTIN Grand Cru Domaine Jean Claude Belland
2008 CHATEAU LAFON ROCHET Grand Cru Classe du Medoc
スペシャルワイン
2003 CHATEAU AUSONE Saint-Emilion Premier Grand Cru Clsse “A”
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今回のリードボーとフォアグラの組合せも繊細にして大胆。トピナンプールとトリュフの香りが全身を包み、甘口のワインが喉を潤す。ジビエ料理はウズラとラングスティーヌのファルシ。軽い味付けと柔らかな火入れ、ジビエとは思えぬ、軽いながらも幾重にも複雑に重なる味わいは、グロのヴォーヌロマネに合わせての絶妙なマリアージュ。複雑さと複雑さの出会い。まさに天国への階段を昇る思い。各皿に合わせるお任せワインが素晴らしい。シャンパーニュはアンリジローのエスプリから。〆のヴォーヌロマネまで、料理とのマリアージュは完璧。文句の付けようがない。そしてワインンサービスをする若く美しいマダムの、ワインを愛する思いが伝わるトークに酔うこともできる。
コースA 9950円
アミューズ 佐賀県産ホワイトアスパラのブランマンジェ
オードブル 真鱈の白子プリン その白子とオマール海老のソテー 塩漬けした真鱈のソース
フォアグラ リードヴォーとフォアグラのフリカッセ トピナンプールとトリュフ
ポアソン 五島列島産カサゴのポアレ その出汁で取ったブイヤベース
グラニテ リンゴのグラニテ
ヴィアンド 国産ウズラとラングスティーヌのファルシ コニャックと赤ワインのソース
自家製パン
デセール ライチと苺のアイスマカロン ショコラブランとミントのソース
14種類の香辛料のジュレで合わせたフレッシュライチ 苺 ラズベリー
カフェ マリアージュフレールの紅茶各種
プティフール カヌレ
クマの縫いぐるみが好きな妻のためのクマちゃんのチョコレートと食用花
NV CHAMPAGNE ESPRIT DE GIRAUD BRUT HENRI GIRAUD 1700円/120mlグラス
2008 ALSACE GRAND CRU RIESLING GEISBERG KIENTZLER 1500円/120mlグラス
2009 SANCERRE GERARD BOULAY 1600円/120mlグラス
2007 Vosne-Romanee AUX REAS DOMAINE A.-F.GROS 1800円/120mlグラス
別途サービス料10%
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1日数人だけに振舞われる極上料理の数々は、連夜享楽の極み。ここはワイン好きにとって天国に一番近い部屋。これまでの南麻布を後にして、12月からこの元麻布に移転して来た。広尾、六本木、麻布十番の三角地帯の真ん中。カウンター6席と個室6席と少し規模を拡張した。しかし、サービスの質を落としたくないと、1日2組、合わせて5、6人程度という方針は変えないと言う。
ワインコース 78000円/6人
アミューズ 毛蟹のプチタルト キャビア添え
オードブル 赤穂牡蠣と蛤 ホッキ貝のミキュイ 帆立のブイヨンで作った海藻ジュレ ラングスティーヌのクリームとベルガモットのエスプーマ 黄柚子風味
オードブル テットドフロマージュとラングスティーヌのポアレ ポアブロンルージュのクーリと秋トリュフ
フォアグラ 鹿児島県産筍とフォアグラのカネロニ仕立て ブルーチーズとフォアグラのソース
ポアソン クミンを塗した北海道産鮟鱇のロースト ココナッツソースと昆布蜜柑オイル
グラニテ 5種類のベリーのクラニテ 苺 ブルーベリー ラズベリー ブラックベリー 黒スグリ
ヴィアンド ペルドローのロースト モリーユ茸とコニャックのクレーム
デセール 桂花陳酒のジュレ ソルベアマンド マンゴープリン 金柑と苺
カフェ エスプレッソダブル
プチフール カヌレ クレームショコラ
NV CHAMPAGNE GRAND CRU Brut Tradition RM PIERSON-CUVELIER EARL
2010 PULIGNY-MONTRACHET "LES ENSEIGNERES” Domaine Sylvain Cholet
NV CREMANT D'ALSACE BRUT "Cuvee Manekineko” Clement KLUR
SOLERA RATAFIA DE CHAMPAGNE HENRI GIRAUD
2007 MEURSAULT DOMAINE MICHEL CAILLOT
2009 GEVREY-CHAMBERTIN "VIEILLES VIGNES Age 55” FREDERIC MAGNAEN
2002 GEVREY-CHAMBERTIN "CLOS DES ISSARTS” PREMIER CRU DOMAINE FAIVELEY
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ワインコース 70000円/5人
ワインは事前に自分で持込んで、料理をワインに合わせてもらうというコース。
アミューズ 帆立のプリン 紫雲丹と毛蟹のカクテル
オードブル 駿河湾産天然真鯛のクリュ 長崎県産地蛸と勝浦産雌貝鮑にその肝のソース ポアブルベールの香り
オードブル ローストした和牛ハツとゼストオレンジのコンフィ フォアグラのソテーとトリュフ風味コンソメジュレ
オードブル トピナンプールのクリームとラングスティーヌのポアレ スモークした黒胡椒とベーコンのエマルジョン
ポアソン アズキハタのロティ 江戸前アサリと黄柚子のナージュ
桃のグラニテ
ヴィアンド 青首鴨のロースト 生姜とエシャロットのソース
デセール 丹波産 石鎚の渋皮煮を包んだ焼きモンブランと五香粉のアイスクリーム ピスタチオソース
プチフール
カフェ マリアージュフレージュ
持込みワイン 7本/5人
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場所は南麻布の住宅街の真ん中にあるデザイナースマンション。エントランスは裏側に回ったところにあり、オートロックで部屋番号を押す時点で、特別感はトップギアに入る。最上階に上がると、ホールではうら若き美人オーナーがにこやかに迎える。玄関ドアを開けて招き入れられると、そこは東京タワーのライトアップを目の前に見渡すリビングルーム。スケルトンのインドア階段を上がると、目前に現れる寛ぎのダイニングキッチン。オープンカウンター5席だけの極上空間。テーブルセッティングは季節の設え。春夏秋冬の飾り付けに惚れぼれする。料理は素材を活かし、なお且つワインに合わせることを最優先する。季節の素材は欠かさない。日本各地、フランス各地の旬の組合せはバランス感覚の妙。ワインには北から南まで、例えばブルゴーニュにはブルゴーニュに合う、ボルドーにはボルドーに合う料理が用意される。フォアグラひとつとっても、そのアレンジは多様な切り口。カウンターでのサービスのパフォーマンスも、オーナーの美しい動きを見ているだけで楽しい。ワインはシャンパーニュ、ブルゴーニュを中心に、何でも揃っている。オーナー、シェフの2人がソムリエ資格を持っているので、ワインのセレクトは阿吽の呼吸。持込みコースもお奨め。5人貸切、料理と持込み料を含んで7万円。何本でも持ち込める気軽なコース。
持込みワインに合わせるお任せコース 70000円/5人
アミューズ 鮎のリエット コンソメのジュレとジャガイモのムース
オードブル 冷製フォアグラのカルパッチョ 杏とセロリのピューレ 長野パープル
オードブル 紫ウニ イクラ キャビア リコッタチーズ グリンピースのスープ掛け
オードブル リードヴォーとスモークしたオマール海老のポワレ グリーンアスパラガスとフォンドヴォーのソース
ポアソン 日向灘のヒラスズキの鱗焼き ツブ貝と白ウド ジュンサイの軽いソース 海葡萄のアクセント
グラニテ ミントと青りんご
ヴィアンド 2週間熟成させた北海道産の夏雌鹿のロティ フランボワーズと黒胡椒のソース
デセール 桃のコンポート ブランマンジェ トロピカルフルーツの炭酸ムース
カフェ ハーブティー
プティフール チョコレートのガナッシュ エピスのクランブルとグレープフルーツとローズマリーのコンフィ ローズのマカロン ブラックオリーブのコンフィ
Degrege2010 CHAMPAGNE BRUT NATURE Sans Ajout De Soufre DRAPPIER
2010 Alsace Grand Cru Gewurztraminer Altenberg de Bergbieten DOMAINE ROLAND SCHMITT
2002 MEURSAULT CLOS DU CROMIN JEAN LEFORT
1998 MAZOYERES-CHAMBERTIN GRAND CRU DOMAINE CAMUS PERE ET FILS
1999 ECHEZEAUX GRAND CRU LIGER BELAIR
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南麻布の閑静な住宅街の一角に、築数年のお洒落なマンション。最上階のペントハウスは、吹き抜け階段のあるスキップフロア。玄関を入るとゆったりソファーのリビングでウェイティング。吹き抜けの階段を上がると、そこはカウンター5席、極上のダイニング空間。1日5人限定の超こだわりダイニング「エクアトゥール」。本日は「葡萄党港支部新春ワイン会」。葡萄党の党首、その他党員合せて5名。エクアトゥールでの「葡萄党食べログ支部」結成式のレビューを、食べログで見た党首のリクエストによりこの店で開催。1週間前に届けて置いた持ち込みワインは、「1995 ルフレーヴ ピュリニー・モンラッシェ・レ・コンベット」、「1997 ブシャール シュバリエ・モンラッシェ」、「1987 ルモワスネ グラン・エシェゾー」、「1994 マルタン・ノブレ エシェゾー」など6本。いずれ劣らぬ最高レベルの飲み頃バックヴィンテ-ジ。さすが党首が来る時の気合いの入り方。
コースは前回同様、「持込ワインに合せたお任せコース 新春バージョン 70000円/5人
アミューズ レンズ豆とトリュフのスープ
こんなに美味しくレンズ豆を仕上げるシェフはそういない。トリュフの香りと絡み合って、シャンパーニュのための完璧な皿。いきなり素晴らしい。
オードブル 毛蟹のエフィロッシュとホッキ貝のマリネ、赤ピーマンのクーリ
ほぐした毛蟹の蟹肉とホッキ貝が交互に丸く並び、上には可愛らしい野菜にイクラとキャビア。見た目の美しさにうっとり。ホッキ貝が美味しく、あっと言う間にシャンパーニュから白ワインに交代。シュバリエ・モンラッシェからとはあまりに贅沢。
オードブル オマール海老のラビオリとそのエッセンスを使ったソース、マテ貝とともに
濃厚なオマールの味わいがラビオリの食感の中から。美味しい。オマールのソースとマテ貝が絡み合って、舌の上で踊る。合せるワインはルフレーヴの熟成プルミエ・クリュ。この世の快楽の頂点を極めた感。
ポアソン オウモンハタのロースト ドライノイリー酒とブールノワゼットの香り
これは今日一番印象に残る料理。オウモンハタってこんなに美味しいのかと驚く。初めての体験。皮はかりっと、白身は柔らかく、あっさりした味わいの中にも旨味が凝縮され、ほんのり甘みさえも感じられる。さすが刺身でも、ぷりっぷりな高級魚のオウモンハタ。ドライノイリー酒が効いているのか。こんなに狭いマンションのキッチンで、どうしたらこんなに素晴らしい火入れと味付けができるのだろう。流石と唸る。それにしても、こんなに美味しい魚。ルフレーヴ飲みながら食べるとは、バチでも当たらないと良いが。
フォアグラ スモークしたフォアグラロールキャベツとトリュフのエマンセ
今流行りの草食系に見せかけた肉食系女子の様相のフォアグラ。たっぷり黒トリュフの香りを楽しみながら、柔らかで軽い甘みのキャベツの中から絶品フォアグラが美味しい。合わせるのはロワールの生原酒のような白濁した白ワイン。こんな面白い甘口ワインが世の中にあるのだろうか。この珍しいワインにフォアグラを合せるため、わざわざ甘みを感じるキャベツで巻いたのだおうか。だとしたら凄過ぎる。
グラニテ ベルベーヌとライムのグラニテ
ヴィヤンド 穀物飼育のプレミアム仔羊のロティ ジュードアニョーとニンニクのピュレ ヴィネグレットエルブと春野菜
仔羊の肉が珍しい味わい。穀物飼育というのは肉の味を濃厚にするのだろうか。全く臭みのない仔羊。軽くニンニクを効かせた仔羊のジュで柔らかい肉が引き立つ。回りにちりばめられた春野菜も季節を感じさせてくれる。飲み頃バックヴィンテージ、グラン・エシェゾーとエシェゾーのための料理。仔羊で何の不足もない。ワインの美味しさが、何倍にも増幅された感じで、感謝、感謝。
デセール あまおうとブラックベリーのスープ仕立て 4種のベリーソルベとアプリコットの炭酸ムース
こんな素敵なデセールを、これだけワインを飲んだ後に見せられるとは。勿体ないとしかいいようがない。
カフェ マリアージュフレール ブルボンバニラ この店、お決まりのパターン。
プティフール 金柑のパスティス漬けと三河のホオズキ そして金柑で〆め。
またも素敵なワインたちに合せた完璧なマリアージュ。素晴らしい料理を小さなキッチンから次々繰り出すシェフと、うら若き美人オーナーのコンビネーション。この特別感は他では味わえないフルオーダー感覚。今宵も素敵な宴の場をありがとう。
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最近ワイン仲間になった方の誘いで、いつもの仲良し5人組みが集まった。ワインは持込。泡、白、赤2本、飲み頃を選んで2週間前に自宅からお店に宅急便で送ってある。さながら葡萄党食べログ支部の結成式。お店にも大きなセラーと奥にサブのセラーがあり、ソムリエ資格を持つ若く美しい女性オーナーが厳選したブルゴーニュ中心のワインが沢山揃っている。従ってわざわざ持ち込む必要はない。今回は幹事より、是非、葡萄党幹事長厳選のワインとこの店の料理を合わせたいとリクエストがあり、恐縮ながらワインは全て持ち込みでお願いした。
持込みワインに合せたお任せコース 70000円/5人
ワインは何本持ち込んでも構わない。今回は事前に送ってあったワインに合せた特別コースを、オーナーとシェフで演出してくれた。感謝に堪えない。まずは泡から。
2002 クリスチャン・エティエンヌ シャンパーニュ・ミレジム
NMなら、コスパ・ナンバーワン・シャンパーニュとして有名な泡。そのミレジム。しかも希少な2002年。これに合せる料理がスタート。
美食へのいざない
砂糖を一切使わない人参のスープ カカオの香り 白身魚と小海老の焼きサンドウィッチ トリュフ添え
人参とココア味の組合せでシャンパーニュ。いきなり来たという感じ。あっさりと美味しい、人参とは思えぬスープ。ちっちゃな焼きサンドもぷりっと美味しい。おまけにトリュフの香り、複雑な香りが絡み合う幸せな一瞬。
季節のアントレ
マグレ鴨のスモークで巻いたマンゴーとネセロリのプレスオマール 春野菜のサラダ バニラドレッシング
マグレ鴨とオマール海老の折り重なる味わいが素晴らしい。これで一気にシャンパーニュが無くなりますね~。この美味しいミルフィーユを乗せられたキャビアが引きたて、添えられた秋なのに春野菜の甘みがまた、たまりませんね。熟成ムルソーを開けて合わせる。ソムリエールでもあるオーナーが、素敵な手さばきでコルクを抜く。グラスの長い足も、オーナー同様に美しい。今日は酔い過ぎそう。
1985 ドメーヌ・ジャン・デュポン ムルソー・クロズリー・デ・ザリジエ
1985年のムルソーも稀少価値狙い。シナモンと蜂蜜香が熟成の極みで見せる軽い酸味。合せる料理は何か。
熟成ムルソーのためのアントレ
豚の3種の部位を使った島根産白烏賊のポアレ 万願寺唐辛子とカレー風味のカリフラワーピュレ 蛤のチップ
温かくて甘い白烏賊が美味しい。豚足や豚耳などを合せている。万願寺唐辛子の泡仕立ても面白く、添えられたジロール茸が、なんともムルソー。
フォアグラ
スモークした牡蠣とフォアグラ ジロール茸のソテー マッシュルームスープ仕立て
秋の夜長のジロール茸攻め。牡蠣とフォアグラを同時に同じ皿で食べるのも初体験。ムルソーのためのフォアグラ。 順調なワイン会、この結婚式のような皿がその象徴。続いて本日3組目のマリアージュへと。
1999 ドメーヌ・カミュ マゾワイエール・シャンベルタン
これは何度も飲んでる鉄板のグラン・クリュ、マゾワイエール。シャルムを名乗れる畑で敢えてマゾワイエールに拘るカミュ爺渾身のワイン。1999年も残り少なくなってきたと言われるが。
熟成赤ワインのための海の恵み
長崎産カサゴのポアレ チョリソーとキャベツ レモンと生姜のナージュ仕立て
なんと魚を合わせて来た。これは驚く。チョリソーと甘いキャベツを使うことで、赤の熟成グラン・クリュに合せたとのこと。レモンと生姜の海を泳ぐ長崎のカサゴ。
カクテル仕立ての口直し
これなら口直しなしでも、肉に行けてしまう。本日のメイン・イベントはヴォーヌ・ロマネの巨匠。
2005 ドメーヌ・プリューレ・ロック ヴォーヌ・ロマネ・レ・クルー
ドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティの共同経営者で有名な元祖自然派、プリューレ・ロック。その最もコスパの優れたレ・クルー。そして近年最良の2005年。メイン・イベントに合わせる料理は何か。その前にサブ・イベント。使うナイフを自分で選ぶ。ラギオールの6色のナイフ。好きな色を。
ヴォーヌロマネに合わせたお任せ肉料理
フランス産ピジョンラミエのロティ 赤ワインソースとネセロリのピュレ 内臓のパテ添え
フランスの山鳩。自然派ヴォーヌ・ロマネとピジョンラミエ。嬉し過ぎるマリアージュ。材料費、いったいいくら掛けたのか。内臓のパテも美味しい。これだけで飲めてしまう。
デセール
とろける焼きモンブランのキャラメリゼ サンクエピスのアイスクリーム ピスタチオクーリ
そびえるモンブランの頂上にアイスが乗っている。
カフェ マリアージュフレール ブルボンバニラ
紅茶はマリアージュフレール各種の缶の香りを楽しんで、好きな缶を選べる。楽しい演出。シェフが大好きと言うブルボンバニラで全員決定。オーナー曰く、初めて出たとのこと。
しめて4組の完璧なマリアージュ。オーナーのみならず、シェフまでソムリエ資格を持つ完璧なワインのためのレストラン。心を奪われる。また来たいと誰もが思う。素晴らしいインテリアと、ワインに合わせた最高の料理、美しいオーナーの肌理の細かい心使い、そして何より気心の知れた身内だけでのゆったりとした時間。一昔前に流行った会員制レストランのお洒落コンパクト版。このお店のコンセプトにもやられてしまった。蛇足だがオーナーと名刺交換をすると、オーナーとシェフがビックリして目を丸くしていた。何かあるのか。先日、御社の会長と社長、グループ会社の役員たちが来て、マンションの下の路上に黒塗りをずらっと並べ、運転手を待たせて食事会をしてくれた。社長夫妻はその後も来ているとのこと。こっちこそビックリ仰天。
2位
2回
2017/11訪問 2017/11/27
今や神楽坂フレンチの代名詞となっているシェフの店。日本のフレンチを牽引してきたベテランシェフの中では若手だったシェフも、そろそろ名実ともにベテランの大物シェフ筆頭クラスとなっている。アスリートのように料理と真摯に向き合うシェフの料理は微塵の隙もない完成度。じっくり時間を掛けて丁寧に丁寧に作られた料理の数々は、ブルゴーニュやボルドーのワインと共に、じっくりと時間を掛けて味わいたい。
今回のヴィアンドはシェフ得意のジビエではなく仔羊。北海道の茶路からこのシンタマを取るために1頭丸ごと仕入れたとのこと。シンタマの中心、シンシンが柔らかく、目に見えないくらいのうっすらとしたサシと赤身部分のバランスが素晴らしい。このシンシンのために買った1頭の肉をふんだんに使った羊肉のジュのソースも素材の味わいを引き出している。こんなに美味しい仔羊にはそうは巡り合うことはできない。
お任せコースはトマトのコンソメジュレから始まる。どれだけ手間を掛けたのかというような透き通るトマトコンソメ。これだけで満足できてしまう。細かく切られた野菜がラタトゥイユとなっている。オードブル1皿目はサーモンの燻製。軽い桜チップの香りがシャルドネを飲みたくさせる。マナガツオの西京焼きは西京味噌とコリアンダーのバランスが驚きのコンビネーション。ブールブランソースはシェフの真骨頂でもある。
大仙鶏のガランティーヌの表面は紅葉から取ったコラーゲンで覆われている。さっぱりした鶏肉と紅葉にはキャビアがワンポイント。添えられたスティックセニョールのほろ苦さも良く合っている。ポアソンのオマール海老にはオマールの殻の香り漂うソースが美味しく絡む。添えられた半熟玉子はシェフの長年のノウハウである63.5℃90分の火入れ。これが最高の半熟玉子の条件らしい。アヴァンデセールのメロン、グランデセールのショコラとブラックチェリーまで息をも付かせぬ完全無欠の構成。
乾杯のシャンパーニュはダニエルデュモン。クラシックなシャンパーニュらしい造りが、基本のしっかりとしたオリジナルフレンチにぴったり。桜チップの燻製にはアンリブルジョワのサンセール。西京焼きにはサヴィニーのピノノワール。軽い赤が何とマナガツオと合うことか。そしてオマール海老にシモンビーズのサヴィニー、シャルドネ。〆の赤はシンタマのシンシンに2002年のサンテミリオン。熟成したタンニンの具合がシンシンに染み渡るマリアージュ。
場所は都営大江戸線の牛込神楽坂駅。大久保通りの一番新宿寄りに出て新宿方面へ歩いて直ぐの牛込北町交差点。信号を左へ曲がり細工町と納戸町の間、2本目の路地を右に入る。古くからの神楽坂の住宅街にある中学校の手前右手に静かに佇んでいる。1階がオープンキッチン。カウンターの中からはシェフが微笑んで会釈してくれる。こんなに人懐っこい、優しいシェフであったかと驚く腰の低さ。2階がメインダイニング。比較的コンパクトな白い空間が流行のフレンチの元祖らしい雰囲気。
ミシェラン東京初版以来、2つ星を取り続けるシェフの実力は誰もが認めるもの。日本の食材を愛し、客に寄り添い、喜んでくれる客のためにオリジナルなフレンチを追及する徹底した姿勢に感動できる。合わせるワインはシャンパーニュ、ブルゴーニュ、ボルドーを厳選。料理とワインのコストパフォーマンスは他の店にはない驚異のレベルを実現している。神楽坂という伝統と新しさ、日本とフランスが同居する地で、いつまでもトップを走り続けて欲しいと願わずにはいられない店となっている。
シェフのお任せコース 15000円
アミューズ トマトのコンソメジュレ
ラタトゥイユとトマトのエスプーマ
オードブル 北海道産サーモン
桜チップの燻製 ビーツソース ディル
ホワイトクリームチーズのパンナコッタ
オードブル 山口県産マナガツオの西京焼き
茄子 味噌とコリアンダーのブールブラン
オードブル 大山鶏のガランティーヌ
紅葉のコラーゲン キャビア
スティックセニョール ニンジン
ニンニクのピュレ敷き
ポアソン オマール海老とサマートリュフ
63.5℃で90分の半熟玉子
オマール海老の殻と身のソース
ヴィアンド 北海道白糖町茶路産仔羊
1頭買いのシンタマ アンディーブのソテー
フランス産ジャガイモ ラットのピュレ
アヴァンデセール ヨーグルトのソルベ
メロンとメロンソーダ
グランデセール ショコラムース
ブラックチェリー
カフェ エスプレッソ
プティフール フロランタン メレンゲ
NM CHAMPAGNE BRUT Daniel Dumont
1380円/120mlグラス
2014 SANCERRE La Bourgeoise
HENRI BOURGEOIS 1280円/120mlグラス
2007 Savigny-les-Beaune 1er Cru
Aux Serpentieres Jean Michel GIBOULOT
1400円/120mlグラス
2014 Savigny-les-Beaune Simon Bize
1280円/120mlグラス
2002 Chateau Soutard SAINT-EMILION
1400円/120mlグラス
別途消費税・サービス料10%
神楽坂に開業して今年で20周年を迎えた老舗中の老舗。フレンチ激戦区でトップの座を守り続け、ミシュランの星を維持し続ける王道フレンチ。シェフのこだわりは、クラシックとはあくまで進化し続けることにあると最近マスコミでも語っていた。店の小屋裏部屋に寝泊りし、家に帰る時間を惜しんで料理のことだけを考え続けるシェフ。今や神楽坂に留まらず、東京、日本のフレンチを支える存在と言っても過言ではない。料理はどれもクラシックの範疇にありながら、どこか新しさが漂う他に無い仕上がり。素材のパフォーマンスを最大限に活かしつつ、少しづつ進化し続けることにこだわった、シェフの思いを楽しめる店となっている。
今回はフランス産、仔鳩のロティが素晴らしかった。赤身を帯びた胸肉の柔らかさと、鳩らしくない肉そのものの濃厚でしっかりとした味わいの組合せ。まさに素材が活かされた典型パターン。首や腿肉との食べ比べも楽しく、鳩肉のジュのソースが堪らなく美味しい。合わせるピノノワールの雄、マゾワイエールシャンベルタンと奏でる協奏曲は、心を芯から振るわせる料理の力を感じさせてくれる。
夏らしいガスパチョからのスタートも楽しい。甘みのあるトマトの味わいが季節感を漂わせる。軽い酸味漂うシャンパーニュに合うことこの上ない。白ワインに合わせるのは、ぷりっとしたツブ貝。冬瓜との組合せが夏らしさを演出し、白ワイン煮のしみじみとした味わいが、どんなワインにでも合いそうな軽快な仕上がりで素晴らしい。
セップ茸は初物。もう秋の香りを漂わせる。まるで日本料理のような旬の走り、盛り、名残りの競演。これぞ日本の心を持ったフレンチの真髄。トリップのガランティーヌは始めて見る代物。あっさりした味わいと、ぷりぷりの食感のコントラストが見事に共鳴する。淡路産のグジもクラシックとは言え、その火入れは完璧に近いふわふわ感。流行の焼き加減をいかにも簡単にこなしているように見える。豆のソースの緑色が鮮やか。
ワインは在庫の幅広さが20年間の歴史を垣間見せている。高評価で有名なジョスマイヤーが日本向けに造る蓮と言う名のワイン。言われなければシャルドネと勘違いする芳醇な香りと滑らかな舌触り。アルザスのピノグリとはとても思えない面白さ。最後の鳩にはマゾワイエールシャンベルタン。嬉し過ぎて言葉も出ない。料理に合わせ次々に最高のマリアージュを演出するシェフソムリエ兼メートルドテルが、笑顔の可愛らしい女性であることにも驚かされる。
場所は都営大江戸線の牛込神楽坂駅。大久保通りの一番新宿寄りに出て新宿方面へ歩いて1分。牛込北町の信号を左へ曲がり、細工町と納戸町の間、2本目の路地を右に入る昔からの神楽坂の住宅街。交差点からさらに1分。牛込第3中学校の手前、右手に在る1戸建フレンチ。女性スタッフがドアを開けて向かい入れてくれる。1階はオープンキッチン。シェフが微笑んで会釈する。こんなに人懐っこい、優しいシェフであったかと驚く腰の低さ。2階がメインダイニング。比較的コンパクトな白い空間が流行のフレンチの元祖であることを匂わせている。
コースはお任せの1本のみと言う潔さとこだわりが素晴らしい。3年前からは東日本大震災の復興のために一部の土曜日のみランチを始め、売上から義援金を送り続けているシェフ。7年連続でミシュランの2つ星を取り続ける実力と評価の背景には、国を思い、人を思うシェフの、見た目からはちょっと想像できない優しい心を感じることができる。シェフと心を一つにするスタッフたちを含め、日本におけるあるべきフレンチの姿を一生懸命追い続ける店。食事をすると、心が洗われ癒される店でもある。
≪今回の料理≫
シェフお任せコース 12960円 別途サービス料10%
アミューズ ガスパチョ
オードブル ツブ貝と冬瓜の白ワイン煮込み サマートリュフ
オードブル セップ茸のソテー 生クリームのエスプーマ仕立て
オードブル トリップのガランティーヌ
ポアソン 淡路産グジのポワレ エンドウマメのソース
ヴィアンド フランス産仔鳩のロティ 胸肉 首 腿肉
パン ミニバケットとプレーンパン
アヴァンデセール 無花果のコンポート
グランデセール チョコレートアイスクリーム
プチフール 5種類のミニャルデューズ
カフェ エスプレッソダブル
フロマージュ
ACQUA PARADISO 1000円/1本
≪今回のワイン≫
NM CHAMPAGNE BRUT Daniel Dumont 1490円/90mlグラス
2011 Fleur de Lotus ALSACE 蓮 JOSMEYER 1280円/120mlグラス
2009 Beaune Clos Des Monsniered CHATEAU DE LA VELLE 1280円/120mlグラス
2012 La Lune La Ferme de la Sansonniere 1280円/120mlグラス
2010 Chablis Premier Cru FOURCHAUME CHATEAU DE MALIGNY 1280円/120mlグラス
2011 CHEVERN Y Les Ardilles Herve VILLEMADE 1400円/120mlグラス
2001 MAZOYERES-CHAMBERTIN GRAND CRU CAMUS PERE & FILS 1400円/120mlグラス
別途サービス料10%
3位
2回
2021/10訪問 2021/10/10
創業47年となる銀座の老舗グランメゾン。かつては銀座の3大フレンチと呼ばれていた。新装して6年、シェフも既に8人目に代わっている。伝統的なクラシックフレンチの完成された皿の数々には、厳選された食材のパフォーマンスを引き出す、しっかりとした火入れとソースが代々のシェフに引き継がれていて、歴史を感じる味わいが素晴らしい。
8代目シェフが就任して1年。クラシックフレンチの手本となるような火入れ、ソース、ビジュアルが、歴代シェフの中でも最もこの店にあっているかもしれない。特に食材と食材、食材とソースの組合せには、シェフの素晴らしいオリジナリティを感じる。老舗中の老舗にあって今なお進化の可能性を感じる料理の数々に、感心せざるを得ない店となっている。
今回は北海道産の黒毛和牛とジャンボマッシュルームの組合せ。牛フィレ肉が中までしっかり火入れされているにもかかわらず、全体が満遍なく柔らかいクラシックの王道的仕上がり。ソースシャスールは何とシェフのオリジナルで、この店の肉料理のスペシャリテとも言える。シャンピニオンがたっぷりと使われ、秋らしい味わいが黒毛和牛の旨味とシンクロし、文句なしの美味しさとなっている。ソースシャスールとジャンボマッシュルームの組合せも、当然のように素晴らしい。
デジュネのコースは蟹尽くしのアミューズから始まる。北海道の毛ガニとズワイガニの組合せに、初めから笑みが零れてしまう。ズワイガニのクロケットは、究極の蟹クリームコロッケ。お代わりが欲しい。勝浦産の戻り鰹の脂の乗りは、アボカド、グレープフルーツ、チョリソやアンチョビなどとの食材の組合せにより、違和感の全くないフレンチに消化されている。和の雰囲気を出さずに、鰹の旨味だけを引き出す妙に驚く。
真鱈と広島産牡蠣の組合せも良かった。あっさりした白身魚と牡蠣の味わいが好対照で、どちらにも合うジャガイモのピュレやほうれん草のセレクトも完璧な組合せではないだろうか。フォンドポアソンと白ワインのデュグレレ風ソースが、牡蠣と合っていて感心。やはり食材の組合せは、食材そのものの味わいを引き立てる最大の技であることが分かる。デセールの後にはお待ちかねのミニャルディーズワゴン、宝石箱の登場となる。この店は最後まで楽しい、レストランのディズニーランド。
乾杯の泡はシャンパーニュの老舗、フィリポナが、レカンブランドをエチケットに配したこの店のオリジナル。伝統的なフレンチには伝統的な造りのシャンパーニュが良く似合っている。バランスの取れた味わいが、蟹尽くしのアミューズと完璧にマリアージュ。ワインペアリングは脂の乗った戻り鰹にイタリアのロゼ、真鱈にピュレニーモンラッシェ、牛ヒレにオーストラリアのカベルネソーヴィニヨン。ワインもクラシックらしい王道セレクション。ピュレニーが素晴らしく真鱈に合う。
半世紀に及ぶ歴史を銀座に築く、名実ともに日本を代表するフレンチレストラン。シェフが代わり、ソムリエが若返りを果たしても、店の伝統は引き継ぎ続けられている。銀座に新しい注目フレンチが次々にオープンしても、この店の立ち位置には一切揺るぎがない。明治の初めに日本で始まった150年に及ぶ日本のフレンチの、今現在の教科書的存在として、多くのフレンチファン、ワインファンを喜ばし続ける店は、それでもなおゆっくりと確実に進化を続けていて嬉しい限りではないだろうか。
デジュネ 牛ヒレのスペシャル
10000円
アミューズ
毛ガニのジュレ ズワイガニのムース
カリフラワー
ズワイガニのクロケット
オードブル
勝浦産戻り鰹とフロマージュのテリーヌ
アボカドのクーリ
グレープフルーツのマルムラード
チョリソとアンチョビのソース
ポアソン
真鱈のロティ
ジャガイモのなめらかなピュレ
広島産牡蠣とほうれん草のデュグレレ風
ヴィアンド
北海道産黒毛和牛フィレ肉のポアレ
アマレット風味の南瓜
フランス産秋トリュフ
ジャンボマッシュルーム ソースシャスール
パン
ライ麦パン ミニバケット バター
デセール
タルトタタン 生姜のアイスクリーム
カフェ
エスプレッソダブル
ミニャルディーズ
プチフールの宝石箱より
ミネラルウォーター
奥会津 1500円/1本
NM CHAMPAGNE
Royale Reserve Brut
PHILIPPONNAT
レカンオリジナル
2800円/120mlグラス
ワインペアリング
6000円/90mlグラス×3杯
2019 ETNA ROSATO
TENUTA DELLE TERRE NERE
2017 Puligny-Montrachet
DOMAINE de MONTILLE
2015 MARGARET RIVER
LEEUWIN ESTATE
別途サービズ料10%
創業43年となる銀座を代表するグランメゾン。ビルの建て替えが終わり、2年半振りに再開したフレンチの中のフレンチ。やはり老舗には他にない風格と落ち着きがある。以前のアールデコ調のインテリアは、現代風のベージュを基調にしたクラシックモダンに変わった。そして何よりシェフの料理が以前から大きく進化している。
素材を活かす火入れやソースが、ただクラシックからモダンに移行しただけではなく、素材に寄り添うオリジナルな愛を感じる。シェフに聞くと、2年半の間、全国のレストランとコラボレーションしながら、各地の生産者を季節毎に訪ねることができ、本来の素材の活かし方に気が付いたとのこと。特にソースの味わいにそれがはっきりと出ている。
今回はヴィアンドの仔鳩が素晴らしかった。皮に巻かれた赤身の濃厚な鳩肉とキャベツの甘い味わい。一緒に巻かれたフォアグラとの間に厚手のトリュフが挟まれている。香りと食感と複雑な味わいが、柔らかな火入れと共に目眩く官能の世界を描く。そして何と言ってもソース。ただ軽めと言うのではなく、まさに素材を活かす完璧な脇役。小鳩のジュとブランデーの煮詰め方が絶妙の一言。
乾杯のシャンパーニュに合わせるアミューズは、ツナのムース。上に乗せられた小さなクルトンやウズラの玉子、野菜たちはあたかもニース風サラダを思わせる凝りよう。ふわふわのスクランブルエッグに乗せられたたっぷりの雲丹。甲殻類の泡のスープが素晴らしく美味しい。グルヌイユのフリットは食用蛙のフライ。ビジュアルが美しく、テーブルで掛けるロックフォールとハーブのソースのパフォーマンスも愉しい。
柔らかく火入れされたリドボーのソテーとヴァンジョーヌソースの組み合わせは、身の軽さと煮詰められたジュラの濃厚さのコントラストに感激できる。夏の日本の旬の代名詞、ハモはホタテ貝のすり身に包まれ、フレッシュマッシュルームが乗せられている。ビジュアルも美しいが、やはりヴァンブランソースとの相性が良い。
季節のフルーツによるデセールは、オレンジを使ったクレープシュゼット。薄暗くライトダウンしたメインダイニングに、オレンジの香りとブランデーの火の色が眩く輝く。ワゴンデセールは数種類のフルーツのワゴンとオペラなどのケーキのワゴンの2台がテーブルを囲む。
カフェは8種類のハーブティーから香りを確認しながら選ぶことができる。そして以前からこの店の名物とも言える宝石箱のプチフール。引き出し最上段となるゼリーの段は煌びやかにライトアップされ、バージョンアップしていて面白い。引き出しも前だけではなく横に付いていて、チョコレートや小菓子の種類も豊富。
乾杯の泡はレカンオリジナルシャンパーニュ。しかも夏用にはブランドブランのマグナムボトルからグラスが用意されている。ワインは料理に合わせたペアリングがお勧め。グルヌイユの軽い身の味わいにはしっかりしたアルザスのピノグリ。リドボーのヴァンジョーヌソースには同じジュラの07シャトーシャロン。ハモ、ホタテ、マッシュルームにシャサーニュのモルジョ。そして仔鳩のコニャックソースにピロミノのニュイサン、プルミエクリュ。文句なしに楽しめる。
場所は東京メトロ銀座線、日比谷線の銀座駅。銀座の中心、4丁目交差点の和光の並び、三越の向かい側、ミキモトビルの地下にある。1階エントランスのカウンターからスタッフが出迎え、まずはエレベーターで地下2階のウェイティングルームへ。奥にあるバーとともに真紅のインテリアは建て替え前のアールデコ調をそっくり再現。ガラスドアやインテリアのミラーも、解体前に取り外し保存していたものを再び戻して取り付けている。
アペリティフのあとは再びエレベーターでメインダイニングのある地下1階に上がる。メインダイニングはウェイティングルームとはうって変わり、ベージュを基調に落ち着いたモダンクラシック。ウェイティングルームにかつてのシャンデリアを移設し、メインダイニングにはシャンデリアに変わってたくさんのガラス球。モダンな空間を演出している。
今は撤退したマキシムドパリ、建て替えから復活したロオジエと並ぶ、銀座3大老舗グランメゾン。2年半の眠りから覚め、今また新しい形で銀座に光り輝く存在としてみごとな復活を果たした。素材を活かすクラシックから一歩踏み出したソースの味わいと、クラシックでありながらも今風の柔らかい火入れ。美しいビジュアルもモダンを取り入れたクラシック。
支配人、シェフソムリエを筆頭としたチームのサービスも居心地がすこぶる良い。立地、インテリア、サービス、料理、ワインの全てにおいて高いレベルでバランスした素晴らしい店。50年近い歴史を活かし、銀座、東京、日本を代表するグランメゾンとして新しく生まれ変わった老舗の中の老舗。これからの50年どう進化していくのか、またひとつ楽しみが増えた気がする。
Diner A 22000円
アミューズブーシュ ツナのムース トマトソース
ニース風サラダをイメージしたクルトンやウズラ
オードブル 雲丹卵 甲殻類の泡のスープ
ふわふわのスクランブルエッグ
4種類のパン 東銀座ブーランジェリーレカン製
ミニバケット ミルクパン
バジル カンパーニュ
オードブル グルヌイユのフリット
ロックフォールチーズとハーブのソース 枝豆
オードブル リドヴォーのソテーとムースロン
ヴァンジョーヌソース
グリンピース 色々な茸と紫キャベツ
ポアソン ハモとホタテのクネル
フレッシュマッシュルームのデュクセル
ヴァンブランソースのグラティネ ほうれん草
ヴィアンド 仔鳩とキャベツ
フォアグラとトリュフのクレピネット
仔鳩のジュとコニャックのソース
空豆とモロッコインゲン豆
デセールドセゾン
クレープシュゼット
アマゾンカカオのコンペティション
ワゴンのデセール
白桃のコンポート マンゴーのズコット
オペラ ほか
カフェ 8種類のハーブティー ほか
宝石箱のプチフール
マカロン フィナンシェ オレンジピール ほか
上段のゼリーがライトアップ
バーのアミューズ
3種類の小さなつまみ
チーズを練りこんだシュー
小さいパテドカンパーニュ
マカロン
バーのアペリティフ
SHERRY FINO 1000円/120mlグラス
NM CHAMPAGNE EXTRA BRUT L'ecrin
GRAND CRU BLANC DE BLANCS
2500円/120mlグラス
ワインペアリング 10000円/120mlグラス×4杯
2012 Alsace La Cuvee de l'Oncle
L'eon Pinot Gris
2007 CHATEAU-CHALON
DOMAINE HENRI MAIRE
2011 CHASSAGNE-MONTRACHE MORGEOT
VINCENT GIRARDIN
2012 NUITS-SAINT-GEORGES
LES MURGERS DES CRAS
DOMAINE PERROT-MINOT
別途消費税・サービス料10%
4位
1回
2017/12訪問 2017/12/26
新丸ビルでミシュランの星を維持していたオーグードゥジュールヌーヴルエールのシェフが、代官山のルジュードラシェットの後をリニューアルして、新たに生まれ変わったモダンフレンチをスタートさせた。新丸ビル時代からはかなり進化した、まさに生まれ変わったモダンフレンチに、この移転が大成功だったことを伺わせる香りが漂っている。素材のトレーサビリティには以前の通りかなりのこだわりを持つ。ややクラシカルだった料理全体が、何かによって自由に解き放たれたごとき雰囲気が良い。
今回は旬の蝦夷鹿。真冬を迎える前の最も旨みを赤身に蓄えたジビエ。蝦夷鹿の柔らかい赤身の中心となるロースを、さらに柔らかく仕上げる火入れが素晴らしい。低温でじっくり時間を掛けるノウハウはシェフのオリジナル。合わせるソースも赤ワインが裏に隠れるギリギリの鹿肉のジュとのコンビネーション。添えられた林檎と黄色人参のシンプルかつ見事な鹿肉との組合せに絶句する。まさに火入れの魔術師の本領発揮。
お任せコースは牛蒡のスープから始まる。北海道三野農園産の野菜にこだわるシェフの優しい味わいの一皿。マッシュルームのフランが真ん中にしっとりと座り、上に掛けられた牛蒡パウダーからの香りが鼻をくすぐる。オードブルの一皿目は熟成されて、旨みが溜まった極上の石巻産ヒラマサ。そのままでも十分美味しそうなのに、軽く表面のみを藁焼きとすることで、仄かな藁の香りが素晴らしい。合わせるビーツも美味しいが、わざわざ燻製にしたフロマージュブランとの3重層に涙が出るほど感激する。
オードブル2皿目は蕪と大麦のリゾット。下に敷かれたロメインレタスがしなやかなのにシャキシャキしている。複雑な食感とフレッシュな美味しさ。このテクニックが憎い。今治産真鯛のポアレも火入れに脱帽。高温かつ一瞬で加熱することで、皮目はパリパリ。内側はほとんど生の白身で、外側から内側に向けた火入れのグラデュエーションのように、食感と味わいの協奏曲を織り成している。これこそシェフの秘儀ではないだろうか。野菜のブレゼやソースとの相性も抜群。
自家製パンの甘さも驚き。ワインだけでパンが止まらなくなる美味しさ。デセールの手の込み方も申し分ない。今回はティラミス。しかし使うチーズがリコッタという懲り方。添えられたトリュフのアイスクリームと良く合う。珈琲、紅茶も種類が豊富で、ハーブティーは香りを確認しながら銘柄を選べる。3種類のプティフールまで飽きることなく、あっという間に時間が進んでしまう。
乾杯のシャンパーニュはピエールパイアールのエクストラブリュット、グランクリュ村の葡萄。クラシカルな造りでありながら口当たりが爽やか。泡も繊細でスタートから満足してしてしまう。何よりアミューズの牛蒡ともマリアージュが完璧に近い。ヒラマサと真鯛にはフランソワカリヨン。ACブルゴーニュで申し訳ありませんと言うソムリエの意に反し、ほとんどピュレニーと言っても分からない出来に感心。蝦夷鹿にはフローランガローデのモンテリープルミエクリュ。2011年が鹿肉の供。
場所は東急東横線の代官山駅。渋谷から1駅の40年前からの古い低層マンション街。恵比寿駅に向かって下る坂の途中、右に曲がるカーブの左側にある。R曲面の縦格子がアクセントとなる建物の2階。代官山駅からは徒歩5分。坂の下、東京メトロ日比谷線、恵比寿駅からも徒歩7分程度の距離。以前の店は一度スケルトンに戻し、ゼロから内装をやり直している。以前より少し広めの個室が2室。メインダイニングには2人テーブルが6卓、12席となっている。
新丸ビルという異色の地でミシュランの星を維持してきたシェフの、代官山での新境地が素晴らしい店。トレーサビリティにこだわる素材の目利きが信頼できる。7年間フランスで修行したシェフの本領は抜群の火入れ。他とは比べられないオリジナリティを感じる。ややクラシカルだったビジュアルやソースは代官山に来て、解き放たれたように変わっている。万人受けを狙わざるを得ない新丸ビルから自由になったシェフの、代官山でのこれからの進化が楽しみな店となっている。
デジュネのお任せコース 4800円
アミューズ 北海道三野農園産牛蒡のスープ
マッシュルームのフラン 牛蒡のパウダー
オードブル 石巻産ヒラマサの藁焼き
ビーツのコンフィ
フロマージュブラン 桜チップの燻製
ビーツのソース ビーツのパウダー
オードブル 北海道三野農園産蕪のリゾット
ロメインレタス 大麦 濃厚チーズ
ポアソン
高温で一気に火入れした今治産真鯛のポアレ
川内人参と彩り野菜のブレゼ
ヴィアンド 蝦夷鹿ロースのロースト
鹿肉のジュと赤ワインのソース
林檎のキャラメリゼと黄色い人参
自家製パン
デセール リコッタリーズのティラミス
トリュフのアイスクリーム
チョコのクレームブリュレ
キャラメルのチュイル
カフェ エスプレッソダブル
プチフール フィナンシェ
アプリコットのゼリー 黒糖と丹波産黄粉
NM CHAMPAGNE EXTRA-BRUT
LES PARCELLES BOUZY GRAND CRU
PIERRE PAILLARD 1700円/120mlグラス
2014 BOURGOGNE CHARDONNEY
Francois Carillon 1400円/120ml
2011 Monthelie 1er CRU "Les Riottes"
DOMAINE FLORENT GARAUDET
1400円/120mlグラス
別途消費税
5位
1回
2017/08訪問 2017/08/28
白金プラチナストリート入り口近くにあるミシュラン星付きのフレンチ。エントランスが建物奥の階段から2階に上がる目立たないアプローチであることから、隠れ家フレンチとも言われている。シェフは六本木にあるロングカウンターで有名な2つ星フレンチの、カウンターの中で一際目立っていたことでも知られている。マネージャー、ソムリエールを初めとするサービスも、痒い所に手の届くような素晴らしい店。
今回のヴィアンドはジビエ。ランド産の山鳩、ピジョンラミエのローストがスペシャリテの一つでもある。鳩肉は赤黒い胸肉の深い旨みの味わいが素晴らしい。胸、肩、手羽元、ササミと1匹丸ごと使っている。オーソドックスに心臓などの内臓も添え、鳩のジュの軽いソースも、山鳩そのものの味わいを前面に押し出す技。ビジュアルも美しい。添えられた夏野菜は獅子唐、ズッキーニ、パプリカ、茄子。グリル椎茸の香りが香ばしく、ジビエに華を添える。
シャンパーニュには定番のグジュール。グジュールは中に白レバーのムースリーヌ。ブラッドオレンジも使う手の込み方。アミューズ2皿目は旬の名残り、稚鮎。黒ビールでフリットにして軽い苦味を仄かな苦味で包む。胡瓜のソースが川の流れを表すビジュアル。オードブルは焼き茄子と水茄子。夏の味覚に生ウニを添える。コンソメジュレと生ウニに茄子を合わせるオリジナリティ。
ヴィアンドの前にゴールドラッシュの冷製スープ。ゴールドラッシュ以外に何も加えない自然の甘さにうっとりできる。スープの中には焼いたゴールドラッシュが浮かび、その食感も楽しめる。揚げたゴールドラッシュの髭も美味しい。スープ、焼いたコーン、髭の三位一体が、香り、味わい、食感の三位一体と同化する嬉しい美味しさ。ルクセンブルグで粉から成型までを施して取り寄せ、この店で焼き上げたばかりのバケットもスペシャリテ。
デセールは白桃のデグリネゾン。上からヨーグルトのバシュランで包み込み、クロゼイユ、赤スグリをジュレにして、3つの味わいを渾然一体にしている。カフェにエスプレッソをダブルで頼むと、当店は馬鹿正直なものでとにこやかにエスプレッソのカップ2つが並んで運ばれてくる。エスプレッソはこのカップで飲むのが一番とこだわっているらしい。
乾杯のシャンパーニュもこの店自慢の真夏のスペシャリテ。マイナス4℃で凍る直前、限界液体とも言える温度に冷やされたシャンパーニュ。真夏らしく、ほとんどブランドブランに近いセパージュのクラシカルな泡、ブルーノパイヤールのプルミエ。ワインは料理に合わせたワインペアリングのハーフグラスコースがお勧め。鮎に甲州、茄子にシャルドネ、山鳩にマニャンのシャンボールミュジニーを合わせる。この店のソムリエールもシェフやマネージャーに劣らず只者ではない。
場所は白金プラチナストリート。東京メトロ南北線、都営三田線の白金台駅。目黒通り、目黒駅寄りの1番出口を出て直ぐ。目黒通り沿いにプラチナストリートに向かい、信号をストリート沿いの右に曲がって最初の路地を左に入った左側ビルの2階にある。駅の出口からは徒歩2分の距離。まさにプラチナストリート入り口の店。
ミシュランの星は間違いなくシェフの実力と思える、基本に忠実な技と、なおかつ今風の味わい。素材の選択もオーソドックスでありながら、料理には一工夫、二工夫加えるオリジナリティがそこここに光っている。どっしりとした落ち着きと人懐っこい笑顔を兼ね備えるシェフの背中は、まだまだ伸び続けそうなオーラに包まれていた。これからの進化も楽しみな白金ナンバーワンフレンチと言っても、決して過言ではないのではないだろうか。
MENU NATURE 4650円
ピジョンラミエ +1800円
アミューズ
グジュール 白レバーのムース
ブラッドオレンジのコンフィチュール
アミューズ
稚鮎の黒ビールフリット
胡瓜とマスターゾ添え
川の流れの胡瓜ソース
オードブル
焼き茄子のムースリーヌ
水茄子のタルタルと北海道産生ウニ添え
島根県産匹見山葵とスダチのラペ
ポタージュ
山梨県産ゴールドラッシュの冷製スープ
玉蜀黍のグリエ乗せ
ヴィアンド
フランスランド産ピジョンラミエのロースト
椎茸と夏野菜のグリエ
ブラックオリーブのタプナード乗せ
パン ルクセンブルグ産自家焼きのバケット
デセール
白桃のデグリネゾン
クロゼイユのジュレ添え
ヨーグルトのバシュラン
カフェ エスプレッソダブル
プチフール
パートドフリュイ レモンのマドレーヌ
NM CHAMPAGNE BRUT PREMIERE CUVEE
BRUNO PAILLARD 1800円/120mlグラス
ワインペアリングコース 3900円
ARVGA BRANCA CLARZA
DISTINCTAMENTE 勝沼醸造 60mlグラス
2015 BOURGOGNE Chardonnay
DOMAINE DE LA Verpaille 60mlグラス
2014 CHAMBOLLE-MUSIGNY V.V
FREDERIC MAGNIEN 60mlグラス
別途サービス料10%
6位
1回
2017/05訪問 2017/05/19
日本で2店しかない3つ星フレンチ、カンテサンスのマネージャーが独立してオーナーとなった店。シェフは世界最速でミシュランの星を獲得したことで有名なティルプスの2代目シェフ。サービスもソムリエも名店出身と言う素晴らしい布陣のフレンチが、隠れ家レストラン地帯、西麻布にオープンした。料理はシェフ独特と言える軽快な創作モダンフレンチ。見て、聞いて、食べて楽しい気軽なディナーショーとでも表現できる構成。
お任せコース1本勝負は、オーナーの自分が通いたくなる店というこの店のコンセプトでもある、コストパフォーマンス実現の最も重要な手段でもある。スペシャリテの一つは最初に出されるアミューズの竹炭コロッケと最後のプチフールで出されるチョコレート菓子が、どちらも同じ真っ黒な石ころの中に置かれている小皿。この店の遊び心を表している。そしてもう一つのスペシャリテはパン。シェフが修行先だった北米の星付きレストランから譲り受けた酵母を使った、密度の濃い変り種。
今回のヴィアンドは牛肉のシンシン。焼肉でも稀少な最高級部位。柔らかい赤身にかすかな刺しが入り、旨みたっぷりな国産牛の赤身の一番美味しい部分とも言える食感と味わい。火入れの絶妙さがシェフの素晴らしい腕を覗かせている。ピスタチオのソースにヨモギを合わせているところが和洋の融合。センスの良さに感心できる。
旬の筍はソテーにして香りを漂わせ、カマンベールチーズとのコンビネーション。旨み溢れる鳥貝は甘さが嬉しい新玉ねぎのスープに沈んでいる。ディルのオイルとの組み合わせも美味しい。カタクリの花やシドケ、ウコギなど、日本の山を思い浮かばせる山菜もリードボーの添え物として光っている。柔らかなリードボーのフリットとの相性も良い。オランダ産のホワイトアスパラガスには新しい解釈のオランデーズソース。卵の使い方も徹底したこだわり。卵黄を塩水に漬け、乾燥させ、刻んでいる。
ポアソンは山口県萩産の寒鰤。火入れの見事さは元より、新若布や春キャベツ、蕗の薹という、まさに旬を感じる素材との組み合わせが絶妙。密度のある食べ過ぎ注意のパンが、ホエーバターと共に否が応でも進んでしまう。牛肉の後にはミモレットチーズのスープ。クルトンというにはあまりにも手の込んだトッピングと共に、怒涛のようにコースの締めくくりに向かって行く。
デセールは口の中に入った瞬間に溶けてなくなる凍らせたロイヤルミルクティーと、初亀醸造の吟醸酒をその場で掛ける米のアイスクリーム。最後まで楽しくてしかたがない。コーヒーへのこだわりも凄い。厳選した豆を自分達で焙煎し、ドリップも豆の量、お湯の温度、掛ける時間など、徹底的に試行を重ねて編み出した最高の味わいとのこと。そこまで聞かされては、コーヒー以外をオーダーできなくなる。
ワインはオーナーこだわりのコストパフォーマンスを考慮した嬉しいセレクト。従って乾杯のシャンパーニュも掘り出し物。エティエンヌルフェーヴェルを得意げに出してくれるオーナーに敬意を感じる。シャンパーニュでアイより良質とも言えるピノノワールの特級産地で造るこれ以上無いコストパフォーマンス抜群のシャンパーニュ。まさに春にぴったりのシャンパーニュ。ワインは皿ごとに合わせるペアリングがお奨め。次のワインを待つのが、楽しくて仕方がなくなる。
場所は西麻布交差点と高樹町交差点の間。最寄は東京メトロ千代田線の乃木坂駅。国立美術顔側の出口を出て西麻布交差点に向かい、交差点を右に曲がって数分歩いた右側のマンションの半地下1階にある。乃木坂駅からはゆっくり歩いて15分。シンプルなアプローチとウッディなエントランス。ドアを開けると、あっさりとクリアな北欧インテリア。照度を落として、落ち着いた空間としている。一番奥がオープンキッチンとカウンター数席。ダイニングは奥が丸テーブルで手前がスケアなテーブル席。
西麻布の隠れ家地帯に気軽に訪れられる、ワインを飲むためのフレンチが現れた。それは最高のフレンチやワインサービスを極めたオーナー、シェフ、スタッフたちが自分達が行きたい店というコンセプトで造り、その通りの空気で溢れた、楽しく、美味しく、気兼ねしない店。オープンして5ヶ月、すでに海外からの客も多く訪れ、予約が取り難くなってしまっているが、季節ごとに旬を楽しみに来たい、隠れ家のようであって自宅のようでもある寛いだ空間となっている。
お任せコース 12000円
石ころと竹炭のコロッケ
筍のソテー
カマンベールチーズのクッキーとパウダー
紫蘇の花
鳥貝と新玉ねぎのスープ
自家製ディルのオイル
春の山菜
カタクリとカタリの花 シドケ ウコギ
リードボーのフリット カラスミのソース
オランダ産ホワイトアスパラガスとウド
オランデーズソースの再構築
酸の効いたソースに塩水に漬けて乾燥させ刻んだ卵黄掛け
ホエーのバター サンフランシスコから持ち帰った酵母を使ったパン
山口県萩の寒鰤
新若命と春キャベツ 春キャベツのソース
蕗の薹のピュレ 若命のパウダー
牛肉のシンシン
ヨモギとピスタチオ ピスタチオのソース
ミモレットチーズのスープとクルトン
冷たすぎるロイヤルミルクティー
マンゴー
米のアイスクリーム
初亀酒造 富三 純米吟醸 オーガニック
こだわりの自家焙煎ドリップコーヒー
石ころとプチフール
NM CHAMPAGNE GRAND CRU BRUT
Etienne Lefevre 1800円/120mlグラス
ワインペアリングコース 6000円
Cassis Blanc de Blancs
DOMAINE PATERNO 90mlグラス
2015 Cigalus GERARD BERTRAND
90mlグラス
2013 TATEDOG CHARDONNEY
WISNER VINYARD 90mlグラス
CAVENNIERES-ROCHE
DOMAINE AUX MOINES 90mlグラス
2013 CROZES-HERMITAGE
ALAIN GRAILLOT 120mlグラス
別途消費税・サービス料10%
7位
1回
2017/09訪問 2017/09/30
日本橋の袂から直ぐ近くにある、日本的な要素を取り入れ、素材を大切にするモダンフレンチ。ランチ、ディナーともお任せコース1本とすることで、素晴らしいコストパフォーマンスを実現している。静かな雰囲気のシェフの手の込んだ皿の数々は、クラシックをベースにオリジナリティに富んだ美しいビジュアルの料理。それはまさに素材をデザインするという言葉が似合う料理でもある。
今回はスペイン産鴨肉のロースト。濃厚な鴨肉のジュとポルトワインのソースに山椒の風味を加えている。クラシカルな味わいと和のコラボレーション。まったりとしたジビエとそのソースを山椒がぴりりと締めている。それはフレンチと日本料理の良いとこ取りを目指す新しい味わい。添えられたブータンノワールも、テリーヌ型で固められてからクロケットに揚げられ、中がフワっとした食感で美味しい。
アミューズは新種の葡萄、必ず一口で食べるようにと紹介される。言われた通り口の中に放り込むと、カカオバターのコーティングの中からはガスパチョが溢れ出る。まさに楽しいアミューズ。シャンパーニュにも合う。続いて紙に包まれたファーブルトン。上にはシラスが乗っている。どこまでも日本を感じさせる演出と味わい。ビスクは北海道産のサンマ。メイプルシロップと組合せ、青魚らしさが微塵もない。
オードブルは茄子とスズキ。ムースとタルタルにフロマージュブラン、その上にナスタチウムとクルトン。ビジュアル、食感、味わいのリズムに高揚する。ポアソンは金目鯛のポアレ。松毬焼きのように鱗をカリカリに焼き、白身はふわふわにしている。まさに日本料理の世界。モンサンミシェルのムール貝のジュのソースには、ムール貝そのものも浮いている。添えられた泡はタイの柑橘、バイマックル。軽い酸味が良い香り。
自家製のプレーンパンには、南高梅を練り込んだバターを添えている。アヴァンデセールのブランマンジェは韃靼蕎麦茶。塩のアイスクリームとオリーブオイルの組合せは、ゲランド産の塩とプロヴァンス産の早摘みオリーブというシンプルな中でも素材に徹底的にこだわる、アスリートのようなシェフの心意気の一品。御殿山の3つ星フレンチに似ている。
乾杯のシャンパーニュはシャンシーラ。この時点で心を鷲掴みにされてしまう。一番新しいグランクリュ村にありながら、シャルドネ中心に歴史ある小さな葡萄農家が村の協同組合と造る希少でコストパフォーマンス抜群のシャンパーニュ。ブランドブランでありながら酸味がそこはかとなく優しい、夏の名残を惜しむに十分な味わい。
そしてお任せのグラスワインが、サンマとスズキにサンセール、金目鯛にムルソー、鴨肉にモレサンドニと続く。シャンパーニュとブルゴーニュを愛する客には堪らない、料理に合わせるお任せワインのコース。ハーフや90mlグラスではなく、1杯1杯たっぷりと注いでくれる上、素晴らしいを連発しているとサービスで注ぎ足してまでくれた。
場所は東京メトロ半蔵門線、銀座線の三越前駅。日本橋駅やJR総武快速線の新日本橋からも近い。最寄りの三越前駅をコレド室町側のA1日本橋口に出て日本橋に向かい、袂の交差点の1本手前の路地を左に入り、2つ目の路地の手前、右側にエントランスドアがある。駅からは徒歩3分。ドアを開けると地下への階段。それは地下に向かう階段でありながら、ステアウェイトゥヘヴンに思えてくる。
日本とフランスの旬の味覚にこだわり、日本とフランスの伝統的手法にも寄り添う。素材を大切に丁寧に扱う、見た目にも美しいモダンフレンチ。無口でシャイに見えるシェフが、ストイックなアスリートのように繰り出す皿の数々と、それに合わせるクラシカルなワインたち。こんな店こそまさに、日本橋フレンチと言うに相応しい店ではないだろうか。
お任せコース 5000円
アミューズ
葡萄とビーツのガスパチョ
カカオバターのコーティング
マイクロパクチー 葡萄の葉
アミューズ
ファーブルトン
シラスとラクレットチーズ
ポタージュ
北海道産秋刀魚のビスク
メイプルシロップのムース
八角のパウダー
オードブル
茄子のムース スズキのタルタル
フロマージュブランのムース
ナスタチウムとクルトン
ポアソン
金目鯛のポアレ松毬焼き風
モンサンミシェルのムール貝
ジャガイモ 白菜 シブレット
ムール貝のジュのソース
タイの柑橘バイマックルの泡
ヴィアンド
スペイン産鴨胸肉のロースト
山椒の風味とポルトワインのソース
赤キャベツと黒ニンニクのジュレ
ブータンノワールテリーヌのクロケット
マッシュルームと赤キャベツのマリネ
プレーンパン
無塩バターと南高梅を練り込んだバター
アヴァンデセール
韃靼蕎麦茶のブランマンジュ
ゲランド塩のアイスクリーム
プロヴァンス産早摘みオリーブオイル
グランデセール
カカオとオレンジ
柑橘と味噌 カカコのチュイール
プチフール フィナンシェ
カフェ エスプレッソダブル
NM CHAMPAGNE BRUT BLANC de BLANCS
Chinchilla 1500円/130mlグラス
2015 SANCERRE Les Baronnes
HENRI BOURGEOIS 1300円/120mlグラス
2015 MEURSAULT VIEUX CLOS
DU CHATEAU DE CITEAUX
Philippe BOUZEREAU 1500円/120mlグラス
2014 MOREY-SAINT-DENIS CLOS SOLON
CHRISTOPHE BRYCZEK 1500円/120mlグラス
別途消費税・サービス料10%
8位
1回
2017/05訪問 2017/05/29
南仏プロヴァンス地方出身のフランス人オーナーシェフの店。京都で仕事を始めて16年。京都御所の直ぐ隣とも言える場所にこの店を開いてからも既に3年目となる。オーソドックスな南仏のクラシカルフレンチと京の食材、京料理の伝統を融合させたイノベーティブ。京の古い町家をそのまま使った店の素敵な雰囲気と、美しい料理のビジュアル、日仏良いとこ取りの素晴らしい味わい、人懐っこいシェフの対応と美人マダムのサービス、そしてこの料理に合わせるワインの数々。全てが出来過ぎとも言える理想の京フレンチ。
ふき味噌のソースが独創的。ヴィアンドのバスク豚を塩漬けにして、低温で36時間火入れ。柔らかな肉と日本的なソースの組み合わせが美味。京の春キャベツやアルザス風ニョッキと豆乳のソースも合っている。アミューズから美しいビジュアル。国産酢でマリネした琵琶マスに菜の花を塗している。カリっと焼かれたマスの皮と柔らかい身、菜の花がリズミカル。山椒のドレッシングも面白い。
スペシャリテはシェフが都内で監修するフレンチでもスペシャリテとするフォアグラのコンフィ。回りを奈良漬けで巻いている。奈良漬けも京の名店のもの。その濃い味わいがフォアグラの味わいを軽やかにする不思議な皿。オレンジやマンゴーなど南国フルーツのソースとの3重奏が脳裏に焼きつく印象。レンズ豆のスープに入った蛍烏賊も忘れられない味。京都静原産の椎茸とモンゴウイカ、豚足、京野菜とスルメイカと、素材をまるで魔法使いのように絶妙に組み合わせていく。
ポアソンの火入れも上手い。カリカリの皮とフワッとした真鯛白身のすばらしい焼き上がり。卵黄を使った焦がしバターのオーソドックスなソースにもブラッドオレンジを効かせて、あっさりした真鯛の味わいに寄り添う新たな美味しさ。デセールも地元上賀茂のイチゴに、ライムのムース、柚子のアイスクリームと最後まで柑橘の香りに貫かれ、初夏の訪れを感じる流れになっている。
乾杯用にシャンパーニュは2種類。好みに応じて選ぶことができる。シャンパーニュも白、赤のワインもクラシックな造りから流行りの自然派まで自由奔放な品揃え。フォアグラに宮城の銘酒、勝山の限定酒まで合わせてくる。勝山の限定酒は蔵元がこの店のスペシャリテのために造ったとも言えるフォアグラにぴったりと合う不思議な日本酒。フランス人オーナーは、老舗蔵元にまで影響を与える何かを持っているのかもしれない。
ワインはそれぞれの皿に合わせるワインペアリングがお奨め。他にない料理には、シェフや美人マダムが厳選して合わせたワインを飲んだ方が面白い。ブラッドオレンジソースの真鯛にはサンロマンのシャルドネVV。ふき味噌ソースのバスク豚にはサヴィニーレボーヌの07ピノノワール。ワインだけでも楽しいが、この不思議な料理たちとの相性も抜群。シェフとマダムのワイン好きが良く伝わってくる。
場所は京都御所の直ぐ近く。京都御所の脇となる丸太町通りと柳馬場通りの交差点。京町家の残る柳馬場通り沿い、御所の交差点から2、3軒入った町家。エントランスを入ると京町家らしい中庭となっていて、建物の中の様子が伺える。古い木造の良さをそのまま残したインテリアの雰囲気も抜群。カウンターからはシェフやスタッフの動きの素早さにも見とれてしまう。
プロヴァンスで料理人の子として生まれ、ニースで修業をスタート。パリの3つ星などを経て、京都で料理人を16年続けるオーナーシェフの店。明るく楽しいシェフと美人の日本人マダムという鴛鴦夫婦の店は、料理もワインも楽しくて仕方がない。地元京都やフランス産の食材、クラシックなフレンチと伝統的な京料理、クラシックな造りのワインと自然派ワインや日本酒、そんな正反対にも思える組合せをあっさりと自然に仕上げるシェフの料理こそ、日仏文化融合の象徴と言っても差し支えないように思える。
お任せコース 10800円
アミューズ
琵琶マスと菜の花
国産酢を使ったマリネ
カリっとお焼いたマスの皮
山椒のフレンチドレッシング
フォアグラ
フォアグラのコンフィ 奈良漬け巻き
南国フルーツ4種のソース
ポタージュ
レンズ豆のスープ
スモークした蛍烏賊とモンべリア
サワークリーム添え
オードブル
京都静原の椎茸とモンゴウイカ
トンソクのミンチ
筍 筑紫 こごみ 九条葱大原と静原の京野菜
スルメイカと野菜のスープ掛け
ポアソン
蒸して皮だけ焦がした真鯛
卵黄と焦がしバター
ブラッドオレンジのソース
福岡アスパラと大原クレソン
ヴィアンド
バスク豚ロースのロースト
ふき味噌のソース
36時間火入れしたバスク豚の塩漬け
春キャベツ アルザスのニョッキ
豆乳のソース
デセール
ライムのムース
柚子のアイスクリーム
上賀茂のイチゴ
カフェ コーヒー
プチフール
NM CHAMPAGNE BRUT NATURE
FREDERIC TORCHET 1980円/120mlグラス
ワインペアリング
8500円/120mlグラス×6杯
2014 SAINT-BRIS FREDERIC TORCHET
KATSUYAMA GEN 元 勝山
NV Pas a pas JEROME JOURET
NV LES TERRES PROMISES Analepse
2014 SAINT-ROMAIN V.V.
Domaine de Bellene
2007 Savigny-les-Beaune
Domaine FRANCOIS GAY
別途消費税
9位
3回
2022/07訪問 2022/07/05
開業翌年からミシュランの星を8年連続で取り続ける、京懐石の流れを汲む東京日本料理の名店。枕崎の本枯節と利尻昆布の合わせ出汁が理想的な味わいで、旬の盛りにこだわる日本を代表する食材のパフォーマンスを、最大限に引き出す大将の技が素晴らしい。
今回は境港の本鮪と大分のイサキ。夏の旬と言えば日本海の黒マグロ。特に鳥取県境港の本鮪が最高。旨味を満遍なく蓄える赤身の上品さは、夏らしさが溢れ出ていて感激する。まさに夏の王様と言える素晴らしい美味しさ。そして大分県豊後水道で一本釣りされたイサキも、あっさりした味わいと絶妙に寝かせた熟成食感が夏の女王。これぞこの店の本領発揮と言える、日本を代表する旬の盛りの競演ではないだろうか。
お任せコースは大将からの盃から始まる。今回は白神山地の水から出した利尻の昆布出汁。身体の芯から涼しくなる気がする大将の心遣いが嬉しい。先付は江戸前のふっこ。大葉と茗荷を合わせ、アライにしているところが夏らしい。
八寸はさっぱりした白瓜の雷干しに、甘みが文句なしのフルーツコーンかき揚げ。伊勢崎産べっこう玉子の鬼灯作りの濃厚さが、考え抜かれた真夏の競演のアクセントになっている。対馬の夏穴子も素晴らしい味わい。天草のハモは皮を胡麻味噌酢とともに。大葉鰯の博多押しもあっさりした美味しさが上品。まさに真夏の祭典、オールスターゲーム。
椀物の前には大将がカンナで削った本枯節を、削りたてで味見させてくれる。京料理店で良く見るパフォーマンスは、この店の大将が元祖。一番出汁の味見も楽しい。椀物は山科の焼き茄子が美味しい。巻き海老と天草ハモの素麺との食感のハーモニーと、理想的な出汁の組合せが贅沢の極み。
向付に続く鉢肴は長良川の天然鮎。時間をかけてじっくり備長炭で火入した天然の鮎は、苦味さえ感じない旨味の塊となっている。強肴は帆立の信田巻きとタコの柔らか煮、冬瓜、甘栗南京、オクラ、フルーツトマトなどの夏野菜を煮物にしている。冷たく冷やした出汁のジュレとのコンビネーションが良い。
食事はスッポンの土鍋炊き込みご飯。たっぷりの芽ネギが効いている。自家製掬い豆腐の赤出汁との相性も良い。沢庵と大葉を刻んだ香の物も、この店のスペシャリテに加えたい美味しさ。桃のパンナコッタに抹茶アイスの最中、葛切り、煎茶まで、飽きることのない真夏のオンパレード。
乾杯のシャンパーニュはブルーノパイアールという凝りようが良い。日本酒は大将の地元神奈川の隆の限定酒が一通り揃っていて驚く。あっさりした先付や八寸には宗玄、締めには令和元年の悦凱陣。旬の本鮪や天然鮎には、隆のこの店オリジナルラベル。さすがの味わいとマリアージュに脱帽。
旬の盛りと日本を代表する産地にこだわる大将の料理は、一皿一皿に考え抜かれた思いがこもっていて、次々に感動を味わえる。京懐石のもてなしの心が伝わる、文句なしに素晴らしい店。和装の似合う女将も甲斐甲斐しい。ミシュランの星を取り続ける大将に、驕りは一切感じられず、居心地の良さは表参道一の店と言えるのではないだろうか。
本格的な京懐石の流れを汲む、表参道で一番人気の日本料理店。開業翌年から4年連続でミシュランの星を取り続ける大将は、利尻昆布に本枯節を加える丁寧に引いた出汁の味わいを縦横無尽意に操る技巧派。見た目の美しさや愉しい演出も、料理を楽しむと言う本質を知る大将らしさ。和装の女優かモデルのように若く美しい女将の優しい接客とともに、文句なしの素晴らしい店となっている。
今回は大将の魚の目利きに改めて感心。向付の青森県産ヒラメの美味しさが感動的ですらあった。素材の目利きは勿論、熟成感とそれにより引き出された旨みが究極のレベル。ただただ美味しいとしか言いようがない。薄造りでありながら噛み応えも十分。ヒラメとは思えぬ出来に無言となってしまう。添えられたビーツ、胡瓜、葱、穂紫蘇、芽葱も、ヒラメの1枚1枚を色々な楽しみ方で味わえるよう厳選されたもの。これ一皿で満足してしまう。
先付は兵庫県産の香箱蟹。そろそろ旬の名残となる香箱を柚子の皮で包んでいる。この柚子の皮が柔らかくて酸味を感じないほどの驚く美味しさ。八寸は百合根に菊菜、なまこにたらこと日本酒が進んでしまう。さっきまでカウンターの目の前の水槽で泳いでいた本モロコが炭火焼になっている。美味しさと愉しさがいっぺんにやって来た感じ。北海道産の白子は堀川牛蒡と合わせる。濃厚な白子とあっさりした牛蒡のコントラストにうきうきする。
鉢肴はこの時期一番美味しい佐渡の寒鰤。じっくり備長炭で火入れした寒鰤は全体がほろっと柔らかく、旨みもたっぷりで嬉しい。穴子は黄身揚げ。浜名湖の鰻はかぶら蒸しと合わせる。盆と正月が同時に来たような食べ比べに笑いが止まらなくなる。油物はイトヨリダイと獅子唐。この白身の柔らかさも素晴らしい。合鴨と九条葱の土鍋炊き込みご飯の後に、水菓子は紫芋や和三盆に加え今回は苺のサンタクロース。京懐石のクリスマスバージョンとは最後まで楽しませてくれる。
乾杯のシャンパーニュはダミアンウーゴのブランドブラン。年間7万本しか造らないレコルタンマニュピュランが特級村の葡萄で造るシャンパーニュ。冬にブランドブランを出す店が多くなったような気がするが、それだけ今まで日本では珍しかった造り手が入ってくるようになった証か。日本酒は大将の故郷、丹沢の隆や石川の玄宗などの吟醸、大吟醸、無濾過生原酒をラインナップ。今回は悦凱陣の赤磐雄町が最高のヒラメとマリアージュする素晴らしい味わいだった。
場所は東京メトロ銀座線、半蔵門線、千代田線の表参道駅。B2出口を出て歩道を渋谷方面に歩いて2本目。青山学院の手前、骨董通り入り口の信号。真新しい紀伊国屋ビルの先を右の路地に入り、さらに2本目の路地に突き当たる左手前、コーナーのビルの地下にある。駅からは徒歩5分の距離。北青山三丁目という青山の中心地。カウンター数席と個室が2室。白木のカウンターが映えるクリアなインテリアが落ち着く。
まだミシュランの星も付かない開業間もない頃から、必ず予約の取り難い人気店になると思われた店。案の定、あっという間にミシュランの星を取り、2度産休で離れた女将も再び復帰して、店は磐石の態勢となっている。ほんの少しだけ価格を改定してからは、素材の目利きもますます絶好調。季節や素材に応じた出汁の味わいは既に円熟の領域に近付き、青山の京懐石と言えばこの店と言うのが当たり前になるのも今や時間の問題と思われる。
お任せコース 15000円
先付 兵庫県産香箱蟹の飯蒸し
網掛け柚子包み
八寸 百合根の梅肉和え
菊菜とアーモンドの白和え
秋田県産なまこ
本モロコの炭火焼 たらこ
椀物 北海道産真鱈の白子 堀川牛蒡
向付 青森県産ヒラメの薄造り
ビーツ 胡瓜 葱 穂紫蘇と芽葱
鉢肴 佐渡の寒鰤
安穏芋 蕪の煎餅 蓮酢
強肴 穴子の黄身揚げ
菊芋の茹で蒸し 大根の葉
止肴 かぶら蒸し 浜名湖の鰻
油物 イトヨリダイと獅子唐の唐揚げ
食事 合鴨と九条葱の土鍋炊き込みご飯
香の物 赤出汁
水菓子 紫芋のプリン
キャラメルのアイスクリーム
和三盆のカステラ リンゴ
苺のサンタクロース
お薄
NM CHAMPAGNE BRUT Blanc de Blancs
DAMIEN HUGOT 1700円/120mlグラス
隆 山田錦 純米大吟醸 無濾過生原酒
川西屋酒造店 神奈川県 1800円/1合徳利
宗玄 純米吟醸 無濾過生原酒
玄宗酒造 石川県 1600円/1合徳利
悦凱陣 純米吟醸 赤磐雄町 無濾過生原酒
丸尾酒造 香川県 2000円/1合徳利
奥播磨 29号 袋絞り 無濾過生原酒
下村酒造店 兵庫県 1400円/1合徳利
別途消費税
昨年の夏に開業したばかり、洒落た日本料理で人気の店。若き大将はミシュランの星が付く新宿の茶懐石、六本木の料亭、麻布十番の割烹で腕を磨いた。美人若女将との素敵なコンビネーションにも癒される。京風の食材や味付けに、オーソドックスな会席料理の構成が抜群の安定感を醸している。出汁を大切にする日本料理の基本に忠実な皿の数々に、出身地である神奈川の日本酒を合わせる。白ワインや鴨肉を使うセンスも素晴らしい。土鍋炊込みご飯まで、じっくりと日本酒三昧に身を任せることができる店。
今回は巻海老の油〆めが秀逸だった。もともと海老でありながら脂の乗りが良い鹿児島県産の巻海老を、油で〆ることで海老の全身に柔らかい仄かな甘みを閉じ込めている。さっぱりと旨みだけを感じる境港の小豆ハタとの組み合わせも素晴らしい。小豆ハタは食事の土鍋炊き込みご飯では、香ばしい焼き上がりで炊き込まれる。この脂の乗りと造りの軽快なコントラストも感動的ですらある。造りに添えられた、胡瓜の花、葉、小さな実が可愛らしい。
青梅の蜜煮の甘さも、白ワインのジュレであっさりと仕上げられ、日本酒の伴に丁度良い。6種類のつまみが少しづつ乗る八寸も、これだけで暫くは日本酒が楽しめる。さっぱりとしたうるかや雷干しと、香ばしい鱧寿司や玉蜀黍との組合せも流石と思わせる。出汁の効いた穴子と冬瓜の椀物にも、焼き穴子の香ばしさでうっとりとする。香りと出汁の料理はまさに日本の伝統の心。本当に美味しく楽しい。カマスの火入れも完璧。これでもかと言う香ばしさと、白身の万遍ない柔らかさに隙はない。
日本酒は大将の出身である神奈川県の隆がメイン。この時期の限定品から、無濾過生原酒、吟醸、大吟醸を取り揃えている。その他にも東北から北陸、西日本まで、大将の好みで広範囲なセレクション。メニューにない本日のお勧めもいくつか用意されていて、大将や女将との日本酒談義も楽しい。
場所は北青山3丁目。東京メトロ銀座線、半蔵門線、千代田線の表参道駅。B2出口を出て歩道を渋谷方面に歩いて2本目。青山学院の手前、骨董通り入り口の信号。真新しい紀伊国屋ビルの先を右の路地に入り、さらに2本目の路地に突き当たる左手前、コーナーのビルの地下に在る。白木のカウンターが映えるクリアなインテリアが落ち着く。
日本料理を極めるような修業を積んだ大将の料理は、出汁と香りを大切にすると言う基本に忠実で安定感抜群。どの料理も季節感を感じられて美味しい。料理同様、季節感と生原酒に拘った日本酒のセレクトも充分楽しめる。何より、大将と女将の人柄が素晴らしい。カウンターでの会話は、どんな客でもあたかも昔から知っていたような寛いだ空間を作り出している。若く美人でありながら全く奢りを感じない控えめなこの女将がいる限り、スタッフ総勢7人を率いる若き大将の料理は、まだまだ美味しく進化し続けるものと思わせられる。
≪今回の料理≫
お任せコース 12000円 別途消費税
先付 青梅の白ワイン蜜煮 白ワインのジュレ
八寸 鮎のうるか 白瓜の雷干し キスの風干し 新蓮根の小豆煮 鱧寿司 玉蜀黍
椀物 対馬の焼き穴子 冬瓜
向付 境港産小豆ハタの造り 鹿児島県産巻海老の油〆め 花胡瓜 胡瓜の葉と小さな実
鉢肴 大分県産カマスの焼物 木の芽酢
強肴 白ダツと小柱の煮物 東京都産の湯葉掛け
止肴 フルーツトマトの擂り流し 秋田県産新蓴菜
肉料理 鴨肉と加茂茄子田楽
食事 小豆ハタの土鍋炊込みご飯 香の物
止椀 茗荷の味噌汁
水菓子 マンゴープリンと黄粉のアイスクリーム キウイの葛切り
≪今回の日本酒≫
悦凱陣 純米吟醸 無濾過生原酒 阿州 山田錦 丸尾酒造 香川県 1600円/1合徳利
隆 純米大吟醸 播州 山田錦 川西屋酒造店 神奈川県 1800円/1合徳利
隆 純米吟醸 足柄若水 無濾過生原酒 川西屋酒造店 神奈川県 1000円/1合徳利
宗玄 純米大吟醸 宗玄酒造 石川県 1600円/1合徳利
宗玄 八反錦ひやおろし 無濾過生原酒 宗玄酒造 石川県 1000円/1合徳利
奥播磨 29号袋絞り 無濾過生原酒 下村酒造店 兵庫県 1400円/1合徳利
別途消費税
10位
1回
2017/09訪問 2017/09/15
広尾と麻布十番の間、南麻布に開業したガストロノミックなヌーベルシノワ。高級住宅地の真ん中にある一戸建は、見るからに客を選ぶ雰囲気を醸している。西麻布の四川料理の名店で10年、六本木の世界的に有名な日本料理の名店に5年と、シェフの経歴がこの店の料理にただならぬ期待を抱かせる。日本料理で得た中国にはない炭火焼きの技術が、感動的なオリジナリティを発揮する店。
料理はお任せコース1本のみ。食材に応じて価格は多少変動する。従って料理に合わせるアルコールペアリングのお任せコースも、料理に応じて選択される種類が変わり、価格も料理次第となっている。フカヒレの姿煮が驚くほど美味しい。使用されるアオザメがジンベイザメに次ぐ高級食材ということよりも、純粋に白湯だけを使ったスープの味がかつて経験したことのないしっかりとした、しかも素晴らしい味わい。
前菜の前に緑茶のオイルを垂らした茶油の素麺から始まる。身体に優しい薬膳のよう。衣笠茸に詰められた毛蟹も美味しい。チャーシューも均一に味が染み渡り、その柔らかさと共に感激の一品。クラゲは盛り付けも美しく、春巻きまでの前菜が、中華料理の王道前菜でありながら、まるでフレンチのような別のジャンルの食事をしているような錯覚に陥る。
キジの肉があっさりとしていながら味わい深い。キジの旨みたっぶりのスープ。白キクラゲの食感、杏仁の香りと絶妙な三重奏。朝鮮唐辛子をたっぷりと使った大和豚の四川炒めがシェフの真骨頂。無花果と梅肉で口直しのあとは極上のフカヒレ姿煮に続いてスジアラ。ふわふわの白身の火入れと、カリカリの皮の焼き加減が日本料理を彷彿とさせる。
味の引き締まった小ぶりな広東白菜の仄かな甘さが美味しい。この店のスペシャリテでもある、肉の炭火焼きの露払いには持ってこいの味わい。今回の炭火焼きはラム。ラムらしくないさっぱりとした美味しさが、肉質の良さと丁寧な炭火での火入れを伝えている。仕上げは冷やし担々麺。ココナッツとマンゴーの後の二つの温度の杏仁豆腐もこの店のスペシャリテ。
乾杯のシャンパーニュは夏の名残りらしいブランドブラン。グラングリュ畑の上品な泡。料理に合わせるペアリングのアルコールコースは世界中のワインや日本酒、紹興酒とあらゆるものが次々に出てきて楽しい。毛蟹に合わせるブルゴーニュのシャルドネからスタート。クラゲにトカイ、チャーシューにイタリアの白、春巻きにリースリングという組合せが合っていて面白い。
キジには何と日本酒、純米吟醸。そして四川風にはランブルスコという選択。最高のフカヒレには壷入りの紹興貴酒15年。日本料理のようなスジアラにはスペインの白、仄かに甘い広東白菜にカリフォルニアの白。スペシャリテ、炭火焼きのラムにヌフドゥパフを合わせる。そして最後は冷やし担々麺にニュージーランドの白。何が出てくるか楽しみで面白過ぎる。
場所は広尾と麻布十番の間、広尾寄りの有栖川記念公園の並びとなる南麻布7丁目。東京メトロ日比谷線、広尾駅を中目黒側に出て、広尾商店街とは反対側、有栖川記念公園手前の脇道をひたすら上がって行く。麻布運動場との交差点を右に曲がり、西麻布方面に下った右側にある一戸建。高級住宅地にある一戸建住宅のよう。広尾駅からは上り坂をゆっくり歩いて15分。
中華料理とは思えないフレンチのようなビジュアル。出汁の味わいはまるで日本料理を思わせる。素材のベースとなる選択や構成は伝統的に日本に根付いた中華料理。一皿一皿に合わせるアルコールは世界中から。シックなインテリアや丁寧なサービスと合わせ、今までにないトータルなコンセプトが、この店の醸すガストロノミックな雰囲気の理由かもしれない。
お任せコース 18000円
茶油素麺
毛蟹を衣笠茸に詰めて
クラゲ
チャーシュー
車海老真丈の春巻き
キジの極上スープ 白キクラゲと杏仁の香り
大和豚の四川香り炒め
無花果と梅肉
青鮫のフカヒレ姿煮
フカヒレ姿煮スープのリゾット
スジアラの焼き物 葱と生姜
千葉中台菜園 広東白菜の腐乳炒め
ラムの炭火焼き クミンの香り
冷やし担々麺
ココナッツとマンゴー
杏仁豆腐 二つの温度で
NM CHAMPAGNE BRUT CUVEE de RESERVE
Pierre Peters 1600円/120mlグラス
アルコールペアリング 10000円/11種
2016 SANCERRE LE MANOIR
Alphonse Mellot 60mlグラス
2011 TOKAJI SZAMORODNI 60mlグラス
Kofererhof WEINGUT Kerner 60mlグラス
2014 ANDLAU RIESLING
MARC KREYDENWEISS 60mlグラス
月山 きもと 純米吟醸 MIZUKI
吉田酒造 島根県 60mlグラス
2015 Sottobosco Vendemmia
Ca'de Noci 60mlグラス
紹興 大越貴酒 15年 永昌源 60mlグラス
2015 Leirana Albarino 60mlグラス
BIRICHINO MALVASIA BIANCA 60mlグラス
2013 CHATEAUNEUF-DU-PAPF Reserve
ROGER SABON 60mlグラス
2014 LOVEBLOCK Sauvignon Blanco
Marlborough 60mlグラス
別途消費税・サービス料10%
シェフの円熟味を感じるまでとなってきた元麻布のフレンチ、エクアトゥール。素材へのこだわり、絶妙な火入れ、丁寧でオリジナリテュ豊かなソースは相変わらずの完成度。円熟味と言えば完成度の高さでは神楽坂のルマンジュトゥー。ジビエの扱いを含め、もはら教科書と言っても良いフレンチ。クラシカルの代表は復活した銀座レカン。2年半の建替え工事中のシェフの進化には驚きを覚えた。シェフ交代による今後にも注目。モダンフレンチなら代官山のレクテ。ミシュランの星を維持して来た新丸ビルから移転し、シェフの変化が良い方向に大きく起きた。これからの更なる進化が楽しみな店。モダンフレンチのミシュランと言えば白金台のジョンティアッシュ。今風のあるい味わいの代表格。ミシュラン3つ星、カンテサンスから独立した元支配人がオーナーとなる西麻布の隠れ家フレンチ、クローニーも期待通りの愉しい店。日本橋のラペも人気に違わぬ美味しさだった。地方では京都のステファンパンテル。フランス人シェフによる日本のフレンチが素晴らしい。フレンチ以外では日本料理と中華料理。表参道の太月は京懐石をベースに東京料理と言えるものを完成させている。新しく広尾にオープンした茶禅華も懐石料理のような、ある意味日本の新しい中華料理。どの店もこれからも変わり続ける可能性が際立つ、2017年の全体的な印象だった。