葡萄党幹事長さんのマイ★ベストレストラン 2018

日本に3軒しかないミシュラン3つ星フレンチの1軒。美を追求する資生堂グループのフラッグシップレストラン。銀座のグランメゾンでも際立った存在として、既に創業50年近い歴史を誇っている。パリの3つ星で研鑽を積み、その一つの東京支店総料理長として来日したエグゼブティブシェフ。食材そのものを光らせるシンプルでオーソドックスな料理は、最先端の調理技術を用い、クラシックをベースにした軽快な味わいのソースとのバランスが完璧。

デギュスタシオンコースは目くるめくように選び抜かれた食材が次々登場して、あたかも息つく暇も無い名舞台を見ているかのよう。今回のヴィアンドは乳飲み仔牛。まだ牧草や飼料を食べる前のブルターニュ産の仔牛は、赤と言うよりは白に近い澄んだ色合いの通りの仄かな旨みの塊。添えられた黒トリュフとブルターニュ産ホワイトアスパラガス、乳飲み仔牛の胸腺、リードボーも文句なしの味わい。

アミューズは2皿。スペシャリテの野菜のブルーテが相変わらず美味しい。ガスパチョと言うとエグゼブティブシェフが怒ると笑いながら料理の説明をする総支配人。一見ガスパチョに見えるブルーテは野菜の複雑な味わいが繊細。水蛸との組合せも絶妙。オードブルはサーモンミキュイとシャンパーニュのエミュルション、貝類と生ウニの2皿。シャンパーニュやシャルドネが止まらなくなる。

ポアソンはブルターニュ産の超特大オマールブルー。身やハサミはもとより、足の中身まで食べられる驚きの大きさ。ソースヴァンジョーヌと甲殻類らしいオマールの味わいがぴったり。ヴィアンドの仔牛に続いてフロマージュのワゴン。フランス産のフロマージュは33ヶ月熟成コンテやエポワスを始め16種類。アヴァンデセール2皿のあとにグランデセール。カフェとともに登場するフリヤンディーズのワゴンはまるでお祭りの屋台のよう。

乾杯のシャンパーニュはテタンジェ、コントドシャンパーニュの2007年ミレジメ。流石のセレクト。ワインは料理に合わせてソムリエ界の大御所であるシェフソムリエにお任せのデギュスタシオン。野菜のスープにはコンドリュー、サーモンにはジャックセロスのシャンパーニュ、最高のキャビアにこの時期だけの限定酒、黒龍の火いら寿。さらに驚くのは生ウニにシャトーデュケム、オマールブルーにコルトンシャルルマーニュ。気を失いそうになる絢爛さ。

エントランスには制服姿のドアマン。ホールからは黒服に案内され、総支配人を筆頭とする資生堂グループらしい痒いところに手の届くサービスも快適。シェフソムリエは業界で知らない人はもぐりと言われる大御所。にもかかわらず総支配人もシェフソムリエも腰が低く人懐っこい。まさに居心地満点の接客。料理の完璧さはもとより、銀座の中心にあるインテリアや吹き抜けがゴージャスなグランメゾンは、日本最高のレストランと言って良いのではないだろうか。

DINNER MENU DEGUSTATION　28000円
アミューズブーシュ
　4種類のアミューズ盛合せ
アミューズブーシュ
　スペシャリテ　トマト　パプリカ
　水蛸と野菜のブルーテ
オードブル　ブナの木で燻製した
　スコットランド産サーモンのミキュイ
　コンディマン　クレソンのクリーム
　メイクィーンポテトのクルスティヤン
　シャンパーニュのエミュルション
オードブル　温かな貝類の取合せ　サフラン風味
　フヌイユのエテュベとオイスターリーフ
　泡立てた生雲丹のブイヨン
ポアソン　オマールブルー
　ジュドクルスタッセのラケ
　プティポワのムースリーヌ
　スナップエンドウのファルシ“プランタニエール”
　ソースヴァンジョーヌ
ヴィアンド　ブルターニュ産仔牛肉のココット焼き
　ホワイトアスパラガスと黒トリュフ　クルート
　«ブレゼしたリードボー　シトロンコンフィ
　ラディッキオ» のボンボン
　マジョラム風味のジュ
パン　パンドカンパーニュ
　ミニバケット他4種類の自家製パン
フロマージュ
　フランス産フロマージュ16種類のワゴン
アヴァンデセール
　マンゴーのソルベとジュレ
アヴァンデセール
　4種類のプティフール
グランデセール　アラカルトより好みのデセール
　テーブルでフランベするクレープシュゼット
ミニャルディ
　フリヤンディーズのワゴン
カフェ　エスプレッソダブル

ミネラルウォーター　900円/1本

2007 COMTES DE CHAMPAGNE
　TAITINGER　2000円/120mlグラス

シェフシムリエ　DEGUSTATION
　19000円/120mlグラス×7杯
2016 CONDRIEU La Doriane
　E.GUIGAL
NM CHHANPAGNE Gran Cru Extra-brut
　JACQUES SELOSSE
2019 黒龍　純米大吟醸　火いら寿
　黒龍酒蔵　福井県
2011 Ygrec de Chateau d'Yquem
　CHATEAU D'YQUEM
2010 CORTON CHARLEMAGNE
　DOMAINE FAIVELEY
2000 VOSNE ROMANEE 1er Cru
　CLOS DES REAS
　Domaine Michel Gros
2003 CHATEAU HOSANNA
　POMEROL

別途消費税・サービス料12％

料理、雰囲気、サービス、ワイン、全てに最高なレベルを維持するナンバーワンフレンチ。その素晴らしさはエントランスをドアマンが開け、総支配人にお久し振りですと迎えられる瞬間から既に始まっている。日本やフランスの旬の盛りを大切にする食材の選択は、フランス人天才シェフが全て自分の目で見て判断。調理法や料理のビジュアルもオリジナリティ溢れる先進性が感動的ですらある。そしてシェフソムリエのワインサービスは文句なしに日本最高。世界中に自慢したいレストランとなっている。

黒鮑やハタの火入れも素晴らしいが、今回のヴィアンド、あか牛の火入れは特筆に価する。柔らかさは中の部分の均一さだけではなく、肉の周りの部分も旨みを逃さない焼き方にも関わらず、中の部分と同じように柔らかい。まさに天才と呼ばれるシェフの真髄。添えられた黒トリュフの香り、黒オリーブのジュのソースとの組合せも完璧。あまりの美味しさに既に満腹であることを完全に忘れてしまう。

乾杯のシャンパーニュに合わせるアミューズから恐ろしく手が込んでいる。森のようなビジュアルやガレットのような味わい、生姜の香りが京懐石のイメージとも重なる4種類のアミューズ。水蛸と夏野菜のブルーテもシャンパーニュを進める。オードブル1皿目は食材の目利きに唸らせられる最高のオマールブルーと、10種類の野菜を使った夏野菜の菜園と名付けられた美しい一皿。オードブル2皿目は千倉産の黒鮑。火入れの上手さもさることながら素材の良さも際立っている。

ポアソンはハタ。ブイヤベース風のスープはテーブルで皿に注がれる。サーブと同時に甲殻類の香りがテーブル中を包み込み、食べる前から幸せな気持になれる。ヴィアンドのあか牛が終わってからがまだまだ続く。まずはこの店のスペシャリテとも言えるワゴンのフロマージュ。アバンデセールに続いてプチフール。そのあとグランデセール。ここでカフェとフィナンシュ。しかしこれで終わらない。最後にミニャルディズのワゴン。お洒落な駄菓子屋さんが店ごとやってくる。

乾杯の泡のあとはシェフソムリエにお任せのヴァンドデギュスタシオン。今や知らない人のいないほど有名なシェフソムリエ。驚くのは出されるワインのあまりの希少さ。オマールブルーには小さなドメーヌが単独所有するバタールモンラッシェ。千倉の黒鮑にはシャンパーニュミレジメ。2009年ルイロデレールのクリスタル。ハタにはフェヴレイの再びバタールモンラッシェ。そしてとどめは牛肉にあの幻のジョルジュ、ルーミエ。息を呑むを超えて、息が止まりそうになる驚異のセレクション。

場所は銀座の中心並木通り沿い。東京メトロ銀座線、丸の内線の銀座駅から並木通りを新橋に向かって真っ直ぐ。6丁目交差点と7丁目の交差点の間。新しくなった資生堂の1階。エントランスの外にはドアマンが待ち構えている。ドアを入ると支配人や黒服の女性が出迎え。久し振りの会話とともに重厚な回り階段を下りると、そこは別世界のメインダイニング。奥の席に通されると大きな吹き抜けが地下にいることを忘れさせてくれる。

5年前にリニューアルオープンし、ミシュラン3つ星から改めての1つ星スタート。今は2つ星に昇格して3つ星となるのも時間の問題。料理の途中、食事の最後とフランス人シェフが2度ほど話をしに出てきてくれる。食材の目利き、料理のセンス、火入れの絶妙さ、天才の名を欲しいままにするシェフは、この人懐っこさでも常連の心を鷲掴みにしている。どこを取っても日本一のレストラン。この店に来るたびに、また直ぐに来たくなるのも当然かもしれない。

DINNER MENU DEGUSTATION　28000円
アミューズブーシュ　4種類のアミューズ盛合せ
アミューズブーシュ　水蛸と夏野菜のブルーテ
オードブル　オマールブルー
　夏野菜の小さな菜園　ベルガモット
　アカシアのハチミツ
　パッションフルーツのヴィネグレット
　焙煎パンプキンシードオイル
オードブル　千倉産黒鮑のエマンセ
　香味野菜と燻製うなぎのラビオリゼブラ
　山椒の香り　ターメリック風味のエキューム
　鮑の肝入りのソースサバイヨン
ポアソン　ハタのファルシ　魚のスープでポシェ
　魚介と甲殻類のソース ブイヤベース
　フヌイユのデクリネゾン
ヴィアンド　熊本産あか牛フィレ肉のロティ
　ジロル茸　そうめんかぼちゃ　黒トリュフ
　ズッキーニのムースリーヌ　ミント風味
　黒オリーブ入りのジュ
パン　自家製パンドカンパーニュ
　ミニバケット　ミルクパン　プレーンパン他
フロマージュのワゴン　フランス産フロマージュ
　30ヶ月熟成コンテ　14種類のフロマージュ
　ニューカレドニア産ハチミツ
アヴァンデセール　マスカットのソルベ
プチフール　4種類の小菓子
グランデセール　ショコラのバリエーション
　様々な味と食感で
カフェ　エスプレッソダブル
　フィナンシェ
ミニャルディズのワゴン
　3種類のドライフルーツ　数種類のキャラメル
　数種類のマシュマロ　アーモンド
　ナッツ各種　プレッツェル他色々なミニャ

NM CHAMPAGNE BRUT
　PIERRE MONCUIT　2000円/130mlグラス

SOMMELIER POUR DEGUSTATION　20000円/4杯
2011 BATARD-MONTRACHET Grand Cru
　CHATEAU DE LA MALTROYE　125mlグラス
2009 CHAMPAGNE CRISTAL
　LOUIS ROEDERER　130mlグラス
2010 BATARD-MONRACHET
　BIENVENUES GRAND CRU
　DOMAINE FAIVEREY　125mlグラス
2008 Morey=Saint=Denis CLOS DE LA BUSSIERE
　Domaine Georges Roumier　125mlグラス

白露垂珠　仕込み水　900円/720mlボトル

別途消費税・サービス料12％

資生堂の新館オープンと共についに王者が帰ってきた。新しいシェフを迎えた店の雰囲気は、スタッフ全員の意気込みを感じるような、ある意味活気さえ漂わせる。特にワインサービスは抜群の満足感。他を圧倒する華麗なるサービス。一皿一皿に合わせて料理に合うグラスワインを依頼すると、南瓜と栗にはピュリニーとムルソー、帆立貝にサンセールと再びムルソー。間に飲み比べて欲しいとレバノンワインとコンドリュー。まるでワイン会を開いているような楽しい錯覚に陥る。

ミシュラン東京創刊と共に3つ星を取り続けて、建物の建替えとともに2年半の休止。今回新たにシェフを迎えて、スタッフ一同の張り切り方は素晴らしい。料理はシャンパーニュに合わせるシェフからの一皿で、心を鷲掴みにされてしまう。フォアグラのテリーヌとトリュフのムースでシャンパーニュがスタートするとは。こんな幸せな気持ちにはなかなかなれない。

カルダモンの香る栗と南瓜。どんな女性をも魅了しそうな秋の味覚。ムルソーのための料理でもある。銚子産の金目鯛も理想的な火入れ具合で嬉しい。つぶ貝がシリアルのように楽しい食感。ソースの味わいは雲丹の塩がやや効いたパンチのあるもの。ヴィアンドは10数年振りに仕入れられたと言う出来の仔牛。仔牛にも関わらず火入れはしっかりしている。仔牛のジュによるソースはポアソンとうって替わって優しい味わい。新しいシェフの料理はクラシックとモダンが行ったり来たりする感覚。

ワインはとにかく楽しい。料理に合う最良な希少価値とも思えるボトルを、グラス用に惜しげもなく開けていく。見ていて気持ちが良いくらい。そしてああだこうだ言って飲んでいるやからには、飲み比べて欲しいと料理に別の角度から合わせる別世界のワインを持って来てくれる。各皿に最も合うワインとの無謀な依頼は、好き嫌いを考慮すればこういうやり方しかないのも確か。しかしそんな親切なレストランは他には知らない。

金目鯛に合う白ワインを難しい顔で飲み比べていると。全てを察したシェフソムリエが透明感の清々しい白をグラスで持って来てくれた。一口飲むとそれは金目鯛も驚く純米大吟醸の味わい。なぜフレンチで醸し人九平次が用意されているのか。そして仕上げはプリューレロック。もう何もいらない。このあまりの楽しさに、ただ驚く以外なくなってしまう。この店は形式に全く拘らない新グランメゾンになった。

場所は東京メトロ銀座線銀座駅と新橋駅のやや銀座寄り。外堀通りから2本入った並木通り沿い。銀座6丁目交差点と7丁目交差点の間の7丁目。資生堂新社屋の1階正面にエントランスが在る。ドアマンの笑顔が心和む。黒服の女性に迎えられてから、総支配人に見送られて店を後にするまで、高揚した気持ちを数時間と続けさせてくれるに充分な店構え。特に円形の地下2層吹き抜けの階段を降り、メインダイニングの一番奥に腰を掛け、まだ新築の香り漂う空気に触れると、その気持ちは最高潮に達する。

理想的な雰囲気のエレガントな空間で、気持ち良いくらい居心地の良いサービスに身を委ね、最高に楽しいワインサービスを受けられる。美味しい料理に合わせるワインは既に希少となっている飲み頃ぴったりのワイン。店の復活と共に、人気が復活したのも当然のことと思われる。

≪今回の料理≫
MENU LES BELLES GOURMANDES　14000円　別途サービス料12％

シュフからの一皿　
　マカロンと赤ピーマンのムースの上に蕎麦の実とチョリソーとレモン　フォアグラのテリーヌ　トリュフのムース
アミューズブーシュ　南瓜と栗のブルーテ　カルダモンの泡を乗せて

パン　ミニバケット他5種類の自家製パンとバター
オードブル　新鮮な帆立貝のポアレ　カルダモン香るオレンジのシュック　セップ茸のロワイヤル　秋の味覚と共に

ポアソン　海藻バターでポッシェした金目鯛　酸味を加えたつぶ貝のシリアル　生雲丹のブイヨン
ヴィアンド　フランス産仔牛のロティ　サラダ菜と茸のブレゼ　エシャロットとビーツのコンフィ　オゼイユのピューレ

アヴァンデセール　シュークリーム　フランボワーズのタルト　チョコタルト　マカロン　青リンゴのゼリー　
グランデセール　ピスターシュとノワゼットの柔らかなクレーム　ショコラのアクセント　香ばしいプラリネのアイスクリーム

プティフール　ミニャルディーズのワゴンから
カフェ　エスプレッソダブル

ミネラルウォーター　780円

≪今回のワイン≫
NM CHAMPAGNE BLANC DE BLANCS DELAMOTTE　2500円/120mlグラス
2002 PULIGNY-MONTRACHET 1er CRU LES CHAMPS GAIN LOUIS CARILLON & FILS　4000円/120mlグラス

2012 IXSIR Altitudes WHITE　サービス/45mlグラス
2008 CONDRIEU La Doriane　サービス/45mlグラス
2007 BLANC FUME DE POUILLY PUR SANG　サービス/45mlグラス

2002 SANCERRE LUCIEN CROCHET Vendange du 19 Octobre　3000円/120mlグラス
2003 MEURSAULT LES GENEVRIERES PREMIER CRU PIERE-YVES COLIN-MOREY　4000円/120mlグラス

2012 醸し人九平次 純米大吟醸　萬乗醸造　愛知県　サービス/45mlグラス
2005 NUITS-ST-GEORGES 1er CRU Vieilles Vignes DOMAINE PRIEURE ROCH　4000円/120mlグラス

別途サービス料12％

今年で開業35周年となった丸の内の老舗グランメゾン。クラシックなフレンチが昔ながらのファンを引きつけて離さない。3万本のワインの在庫も、赤が印象的なオーセンティックなインテリアも、何より痒いところに手の届く接客も、これぞグランメゾンという手本のようなレストラン。

今は35周年記念のメニューが出されている。長年培ったノウハウの賜物たち。今回は兎肉と茸の温かいテリーヌ。フランス産のラパンの旨みが、秋らしい茸とのコンビネーションで素晴らしく美味しい。兎肉のジュのソースの軽快な味わいもさすがの仕上がり。テリーヌの滑らかな口当たりも文句なし。

初めに出される軽い味わいのオリーブマリネも、牛蒡のスープもシャンパーニュの共。オードブルはハモとサーモンのマリネ。ひよこ豆のブリニの1枚にはウニ、もう1枚にはキャビア。白ワインが進んでしまう。メインのあとはこの店のスペシャリテ、ワゴンデザート。旬のフルーツのタルトやケーキが数種類。アイスクリームやシャーベットも何種類か用意されている。

乾杯のシャンパーニュはポルロジェ。クラシックなグランメゾンにはぴったりな銘柄。ワインはヴィンテージもののボルドーが有名。昔仕入れたボトルを仕入れ値を元に販売しているため、値の上がったヴィンテージのボルドーが買い得価格で飲める。今回はブルゴーニュ。ハモにはモルジョのシャサーニュ、兎にはニュイサン。

この店のシェフソムリエが選んだワインリスト。今年のイギリスでのインターナショナルコンペティションで、日本を代表するワインリストとして入賞している。クラシックの中のクラシックなフレンチを、最高のシェフソムリエのサービスで、絶妙なマリアージュと共に堪能できる店。真っ赤なインテリアと本物の名画に囲まれて、これ以上心から寛げる店はそうはなかなかないのではないだろうか。

Menu Dejeuner B　5000円
アミューズ　オリーブマリネ
ポタージュ　牛蒡のスープ
　アーモンド入り
オードブル　ハモとサーモンのマリネ
　ひよこ豆のプリ二
　ウニやキャビアを乗せて
ヴィアンド　兎肉と茸の温かいテリーヌ
デセール　本日のワゴンデザート
　アイスクリーム　シャーベット
カフェ　エスプレッソ

CHAMPAGNE BRUT RESERVE
　Pol Roger
　2000円/120mlグラス
2010 Chassane-Montrachet
　MORGEOT 1er CRU
　Domaine Blain Gagnard
　3000円/120mlグラス
2006 NUITS-SAINT-GEORGES
　AUX THOREY 1er CRU
　DOMAINE FRANSOIS FEUILLET
　3000円/120mlグラス

別途消費税・サービス料10%

シックで落ち着いたインテリア。痒い所に手が届くサービス。伝統的な料理とワイン。じっくりフレンチを味わうなら、この店は完璧に近い。カルトメニューの豊富さも楽しいが、ランチコースの買い得感もなかなかのもの。テーブル数卓というコンパクトなレストラン。

とは言えゆったりとした配置や隣のテーブルが気にならない十分な距離がありがたい。ソムリエと気軽に楽しく話せ、ホールのスタッフも皆親切で、居心地は快適。ウエイティングのバーで待ち合わせもできる。先に飲み始めていても良い。素晴らしい雰囲気で、スタートから申し分のない気分になれる。


甲殻類の料理がスペシャリテ。今回のタラバガニの使い方も面白く、美味しい。ポーピエットは鶉を揚げたものと、タラバカニを青菜で巻いたものの2種類の対比。鶉もタラバも十分に火を入れていて、いかにもクラシックなスタイル。モダンなビジュアルとの対比も面白い。ソースも鶉のジュと添えられたフォアグラに合わせたソースの2種類。素材、調理スタイル、ビジュアル、ソースの2種類づつが、複雑な組合せを生んでいて楽しめる。

ランチのコースは素材の違いにより、5250円と8400円の2種類。客のほとんどが、いかにもマダムと言う雰囲気の2、3人連れ。1人で来ている女性客も少なくない。男性客は日比谷という場所柄ビジネスユースが多い。仕事の付き合いでの食事でも、この店ほどシャンパーニュの似合う店はない。週代わりのコースメニュー同様、シャンパーニュも毎週のように銘柄は変っていく。そしてアミューズのリエットがシャンパーニュのお供に完璧。

常連のマダムたちは決まったコースに飽き足らず、キャビアやトリュフ、フォアグラなどを追加して注文している。平日昼間のほぼ満席に近い情況は、当日予約も含めて、ほとんどがこの常連客の様相。ワゴンサービスのデセールまで、たっぷり3、4時間、のんびりと優雅な時間を過ごしている。


ワインは飲み頃のストックが素晴らしい。日本では、なかなか手に入らない希少なドメーヌも、かなりの種類ストックされている。しかしブルゴーニュより、ボルドーのヴィンテージ物のストックが素晴らしい。グラスも常に白、赤、3、4種類が用意され、面白いものに出会える。豊富なストックは、飲み頃までその出番を待っている。何なりと希望を言ってください、売るほど揃えておりますのでと、ソムリエが笑いながら話しかける。


場所は丸の内仲通り。その一番有楽町側。仲通りのエンドとなるペニンシュラホテルの東京駅寄り隣り。最も日比谷に近い有楽町と言える場所。仲通りを丸ビル裏から行くと、右手側のビルは、東京会館、帝国劇場と続き、DNタワー21の次が蚕糸会館ビル。その地下１階に在る。

オフィスビルの地階へは、スケアなエントランスサインが、ちょっと昔の喫茶店の看板のようで面白い。地下への階段にはフットライトが等間隔で並び、照度を落とした地下エントランスに向かって一歩一歩降りるたびにウキウキしてくる。

ウエイティングバー、ホール、前室、メインダイニングには、本物の名画がこれでもかと並び、コンパクトながら、これぞグランンメゾンという貫録が溢れる。凝ったモールディングやチークの造作、ブラウンレッドのカラーリングとクラシックなファブリックなど、料理同様にオーセンティック好きには堪らない設え。


ここはオーソドックスでオーセンティックな本物を求める大人の社交場。昨年、シェフが替わり、スーシェフが昇格。特に甲殻類の火入れと使い方がうまい。ヴィンテージ物のボルドーや希少なブルゴーニュを飲むなら、コストパフォーマンスも期待できる。特にランチコースの買い得感は各別。新しくなった丸の内ではない、昔からの丸の内の、数少ない良い部分が、この店にはたっぷり詰まっている。


≪今回の料理≫

ランチコース　Janvier　5250円


アミューズ　オリーブマリネ

アミューズ　鯖のリエット


オードブル　蝦夷鹿肉のコンフィ　オニオングラタンスープ仕立て

ヴィアンド　ブルターニュ産鶉と甲殻類のポーピエット　フォアグラ添え

ミニバケット　天然酵母とライ麦　他3種類のパン


デセールのワゴンサービス　リンゴのタルト他5種類　紅玉他5種類のソルベ　6種類のアイスクリーム

カフェ　エスプレッソダブル他各種


ミネラルウォーター　Evian　1260円


別途サービス料10％


≪今回のワイン≫

2000 VINTAGE CHAMPAGNE BRUT PIPER-HEIDSIECK　2100円/120mlグラス

2007 GEVREY-CHAMBERTIN 1er CRU-CRAIPILLOT Domaine CONFURON-COTETIDOT　3150円/120mlグラス


別途サービス料10％

アジアベストレストラン2020で、日本のトップとなる3位となった日本を代表するレストラン。ミシュラン2つ星を維持するイノベーティブジャパニーズは、神楽坂の老舗料亭出身のオーナー料理長が会席料理の枠を超えて作り出す、これからの世界に通じる日本料理の定番を目指しているように思えてならない。伝統的な日本料理に独創的で楽しいオリジナリティを加えた新しいトーキョー日本料理は、世界中の食通たちから常に注目される存在となっている。
今回の肉料理は豚肩肉。ふわふわに火入れした旨みたっぷりの豚肩肉には、赤、青2色の万願寺唐辛子を添えている。1度素揚げしてから焼く万願寺唐辛子は、仄かな甘さがしっかりとした輪郭を持ち、柔らかに仕上げられた豚肩肉との相性抜群。決して高価な食材ではない肉が、丁寧な火入れと食材の組合せにより最高の味わいに引き立てられていて、余計なものを使わない和食の神髄が、たったこれだけに見えるシンプルな1皿に凝縮しているようにさえ感じることができる。

お任せコースのスタートは串揚げから。今回は夏の名残りのトウモロコシ。すり身にして揚げていて甘さが素晴らしい。生湯葉にはベシャメルソースを掛け、その上にはべっ甲餡を乗せている。和と洋の良いとこ取りとなる絶妙な組合せ。スペシャリテの傳タッキーは舞茸と銀杏。もち米を詰めた手羽先を揚げる傳タッキーには、三つ葉の隠し味が効いている。ハモの湯引きも夏の名残り。旨みの塊のようなハモには出汁梅。梅の酸味を感じないほどに出汁の良い味が表に出ていてハモの旨みを引き立てている。

肉料理に続いてはスペシャリテの傳オリジナルサラダ、畑の景色。千葉で有名な無農薬野菜の農場など、とことんこだわった提携農家の野菜を厳選。ニコちゃんさながらにくり抜かれた人参も楽しいが、手間の掛かったフレンチのように野菜1つ1つをそれぞれに合った調理法で仕上げていて、全く手抜きの無いサラダが素晴らしい。椀物はアワビ。この時期は房総千倉のアワビが旬。秋ナスとの組合せが食感のハーモニーを奏でている。

スペシャリテとも言える土鍋炊込みご飯は旬の走り、ほとんど初物に近い岩手産の松茸。たっぷりと豪快に土鍋の中に入れて、目と鼻と舌の全てで秋を満喫できる。土鍋からは蓋を開けた瞬間にレストラン中に秋の香りが漂う。合わせるあおさの味噌椀も美味しい。やはりこの店の出汁は素晴らしい。醤油麹、塩麹、粕漬を使い分ける香の物も文句なし。水菓子に使うジュレが、今回はラムからコワントローに変わっている。ラムよりも優しくシャインマスカットを包んでいる。

乾杯の泡は2015年のフランチャコルタ、ミレジメ。繊細な泡立ちと上品な味わいは伝統的なシャンパーニュにも似ている。トウモロコシの仄かな甘さにぴったり。生湯葉との相性も良い。傳タッキーには阿部勘の純米大吟醸を合わせる。外国人の多いこの店では、ネイティブイングリッシュで正確に料理と日本酒のマリアージュを説明する日本酒ソムリエールがいて、世界中の食通たちに日本酒の素晴らしさを伝えることができている。

世界ベストレストランでも日本の1位を維持し続ける日本を代表するレストラン。ミシュラン2つ星の料理の評価も当然と思われるが、この店1番の特徴は食べる楽しさを満喫できること。料理長、女将を始めとしたスタッフ全員の対応が居心地満点。世界に日本料理の良さを発信する拠点であると同時に、世界中の食通たちを楽しませることが可能な店。この店が10年間で作り出したスペシャリテの数々は、やがてトーキョー日本料理の定番として世界中に知れ渡ることになると思っている。

お任せコース　17000円
先付　トウモロコシの串揚げ
前菜　生湯葉
　ベシャメルソース　べっ甲餡
油物　傳タッキー
　舞茸　銀杏　三つ葉　もち米
向付　戻りハモの湯引き
　出汁梅　山葵
鉢肴　豚肩肉
　万願寺唐辛子の赤と青
強肴　畑の景色
　ルコラステーションの野菜
椀物　アワビと秋ナスの椀物
食事　岩手産松茸の土鍋炊込みご飯
止椀　あおさの味噌椀
香の物　ナスの醤油麹漬
　紫大根の塩麹漬　胡瓜の粕漬
水菓子　シャインマスカット
　梨　カスタードクリーム
　コワントローのジュレ

お任せの日本酒ペアリング　4500円
2015 VILLA FRANCIACORTA BRUT
　Emozione　120mlグラス
阿部勘　純米大吟醸　白鶴錦
　阿部勘酒造　宮城県　90ml片口
みむろ杉　純米吟醸　渡船弐号
　今西酒造　奈良県　90ml片口
小佐衛門　大吟醸　あさひの夢
　中島醸造　岐阜県　90ml片口
信州亀鈴　純米吟醸　美山錦
　岡崎酒造　長野県　90ml片口

別途消費税・サービス料10％

アジアベストレストラン2020で、日本のトップとなる３位となった日本を代表するレストラン。ミシュラン2つ星を維持するイノベーティブジャパニーズは、神楽坂の老舗料亭出身の大将が会席料理の枠を超えて作り出す、これからの世界に通じる日本料理の定番を目指しているように思えてならない。

お任せコースはお造りの熟成加減が素晴らしい。今回は4日間熟成のカンパチ。ほどよくねっとりとした、しかし新鮮なぷりぷり感が残る食感がベストな仕上がり。合わせるのはオリジナルな海苔。名前はご飯ですよをもじったでんですよ。笑いが絶えないこの店の秘密は恐ろしく手の込んだ事前の準備によっている。

コースのスタートは季節の前菜から。今回はえびの刷り物の唐揚げ。かりっとした表面の揚がり具合とぷりぷりの身の味わいが何とも言えず日本酒が進んでしまう。季節のの椀物は玉蜀黍と帆立。夏らしい玉蜀黍と帆立が素晴らしいバランス。スペシャリテの傳タッキーは旬の盛り、茶豆。美味しくないわけがない。穴子の天麩羅と茄子の揚げ浸しも絶妙なコンビネーション。

もう1つのスペシャリテは傳特製サラダの畑の景色。千葉でこだわりの野菜を作るファームと提携していて、この店のために作られる野菜たちが素晴らしい出来。一つ一つの野菜をそれぞれに合わせて調理していて、サラダだけでもじっくり野菜の美味しさを堪能しながら食べられる。ハモと冬瓜のお椀の旬の味わい。〆の食事は和牛の炊き込みご飯。和牛の旨みが最高に美味しい。

乾杯の泡はモンテローザ。イタリアらしい軽さが日本料理のとも。日本酒のペアリングが、全国の隠れた銘酒を探し出していて感激する。東洋美人の純米大吟醸は玉蜀黍、茶豆という夏真っ盛りの食材とぴったり。カンパチと海苔には静岡の銘酒、初亀。穴子に鳳凰美田、ハモに而今、和牛には手取川の傳別誂え純米大吟醸2019。なんと贅沢なマリアージュだろうか。

世界中のグルメや飲食関係者から今日本で最も注目されている、新しい東京の日本料理店。旬の食材を縦横無尽に駆使し、独自の仕上がりにしていて感激できる。美味しさは言うまでもなく、食べる楽しさも最大限に演出。最初から最後まで、客の笑い声が絶えない料理の数々。いつまでも日本の飲食業界を牽引しつづけるだろうパワーに、元気を貰える店となっているのは間違いない。

お任せコース　15000円
前菜　海老のすり身の唐揚げ
椀物　玉蜀黍と帆立のお椀
傳タッキー　茶豆と餅米の傳タッキー
向付　4日間熟成のカンパチ　でんですよ
強肴　穴子の天麩羅　茄子の煮浸し
サラダ　畑の景色
止魚　ハモと冬瓜の霙椀
食事　和牛の土鍋炊き込みご飯
香の物　胡瓜　茗荷　蕪
止椀　青さの味噌椀
水菓子　果物
煎茶

お任せのペアリング　5500円
NM SPUMANTE BRUT
　MONTEROSSA
　Prima Cuvee
　120ml/グラス
東洋美人　壱番纏
　純米大吟醸
　澄川酒造場　山口県
　1合片口
初亀　Blue　純米吟醸
　初亀醸造　静岡県
　1合片口
鳳凰美田　生もと仕込み　純米吟醸
　令和元年酒造年度　赤磐地区雄町
　小林酒造　栃木県
　1合片口
2019　白鶴錦　而今
　木屋正酒造　三重県
　1合片口
手取川　純米大吟醸　傳別誂え
　吉田酒造店　三重県
　1合徳利

別途消費税・サービス料10％

朝獲りの魚をその日のうちに、あたかも熟成させたように旨みを引き出す技術が素晴らしい。伝統的な京料理の技術に近いものを感じる。今回は静岡県産のヒラメ。包丁の入れ方、数時間の木箱の中での熟成が、この絶妙な旨みを産み出しているのに感激する。

海老シンジョは10年前の開業以来のスペシャリテ。今回は春の山菜に詰めて、あっさりと揚げている。海老の甘さがさりげない。揚げ出し豆腐は生湯葉を折り重ねている。出汁の軽快さ、衣の薄さ、生湯葉の生湯葉らしい味わい、全てが完成されたこの店だけの仕上がり。

スペシャリテの一つ傳タッキー。今回はズワイ蟹の身がたっぷりで、蟹と鶏ともち米のコントラストが素晴らしく美味しい。タラはミゾレ煮と酒粕椀の2通り。あっさりとした蕪に浮かぶタラと濃厚な酒粕に浮かぶタラ。柔らかで雑味のないタラの二つの顔が楽しい。

畑の景色の野菜が常に進化している。今回も新たにスイートキャベツが加わった。まるでフルーツのように甘いキャベツ。畑の景色が変わるかもしれない。食事も2種類。まずは牛丼。牛肉と野菜とご飯を別々に仕上げて最後に丼で顔を合わせる。汁ダクが美味しい。土鍋炊き込みご飯は旬の走りの筍。仄かな香りが満腹でも食欲をそそる。

乾杯はいつものフランチャコルタ。料理に合せる日本酒のデギュスタシオンが楽しい。海老シンジョと生湯葉には口当たりの良さが危険な宮城の純米大吟醸。乾杯に続き単独でも美味しい透き通るような味わい。ズワイ蟹の傳タッキーには佐賀のターコイズ、ヒラメには広島の純米吟醸、タラには鳥取の無濾過生原酒、牛丼に秋田のささにごり。料理に合せて少しづつの日本酒が楽し過ぎる。

和食を世界に通じるように考える料理長の才能が素晴らしい。今年も世界ベストレストランで日本の1位となったのは、当然の結果と思われる。客の半分以上は外国人。しかも食通ばかりが世界中から集まっている。スタッフも世界中から。和食が世界遺産となったのも、この店の努力が少なからず影響している。日本の食文化を世界に広げるため、これからも頑張って貰いたい。

お任せコース　15000円
山菜に詰めた海老シンジョ
生湯葉の揚げ出し豆腐
ズワイ蟹の傳タッキー
静岡産ヒラメの刺身　海苔
タラ　蕪と葱のミゾレ煮
畑の風景　色々な野菜のサラダ
タラ　人参　椎茸　酒粕の白味噌椀
牛丼　味噌汁　香の物
筍の土鍋炊き込みご飯
苺　竹炭のクリームチーズ　黒豆
ほうじ茶

お任せの日本酒　5000円
NM FRANCHIACORTA
　MONTE ROSSA　90mlグラス
飛龍　純米大吟醸　新澤醸造店
　宮城県　90ml片口
岩の蔵　純米吟醸50　無濾過生
　Turquoise　天山酒造
　佐賀県　90ml片口
賀茂金秀　金光酒造　純米吟醸　雄町
　広島県　90ml徳利
智則　純米吟醸　地汲み中取り
　無濾過生原酒　吉田酒造
　鳥取県　90ml片口
一白水成　ささにごり
　特別純米酒　福禄寿酒造
　秋田県　90ml片口

別途サービス料10％

食事は楽しくなければいけない。その答えを地でいくような店。2018年の世界ベストレストラン50では日本から選ばれた3つのレストランのトップ、アジア全体でも2位となっている。料理のコンセプトはトーキョー日本料理の新たなる創造。難しい表現を必要としない敷居の低い日本料理。伝統を知り尽くした上で誰でも美味しく楽しめる料理作りに、開業から10年、全力を尽くしてきた店。国内は言うまでもなく、世界中の観光客やシェフ、レストラン関係者からも高い評価を受けている。

料理はお任せコース1本。季節の旬の素材に応じた価格設定はかなり良心的。季節の前菜が2皿、造り、焼物、煮物以外にこの店オリジナル、トーキョー日本料理のスペシャリテが2皿、メインディッシュの土鍋炊き込みご飯、赤出汁、香の物と、最後の水菓子もスペシャリテ。最初から最後まで、味で楽しめ、見た目に驚き、サービスに癒される完璧な構成。料理ごとに合わせる日本酒も吟味された季節の日本酒。ペアリングブームの火付け役の店でもある。

今回の造りは口美鯛。希少価値のある旬の魚。ねっとりするまで熟成させた分厚い切り身に大満足できる。刺身の熟成はこうでなければいけない。この店の造りに付け醤油の小皿は無い。味を付けて完成させる。しかしこの口美鯛は、ほぼ4日間の熟成だけで甘味と旨みのバランスを最高に仕上げている。魚好き、刺身好きにはたまらない刺身。日本料理はトーキョー日本料理でも刺身がキーとなる。

季節の前菜は、はもかつから。京料理で敷居の高いイメージのハモを、身近なカツにすることで気軽に味わえる。前菜2皿目は生湯葉。甘い玉蜀黍のムースを合わせる。今回のスペシャリテはデンタッキー。ジョークのようでもあるが、蓋物を作らないこの店の蓋物という位置付け。箱から出す瞬間、かぶり付いて中身を知る時のわくわく感が何とも言えない。鮎も伝統的な塩焼きを、誰でも食べやすいように分解。好き嫌いのあるあのタデは、蒸しパンにされている。冬瓜の煮物も旬の味わい。

この店のスペシャリテと言えば、かつては畑の景色と呼ばれた季節野菜のサラダ。20から30種類の野菜をひとつひとつの野菜に合わせて別々に調理している。青菜は千葉に嫁入りしたオーナーシェフのお姉さんが生産したもの。茸は富士山麓の友人の山からスタッフみんなで狩ってくる。にこにこにんじんと名付けられた人参の顔は、客に応じて違う顔をしていて癒される。土に見せかけたチョコパウダーを根菜にまぶらせ、季節によっては食用アリが乗っている時もある。

オーナーシェフはトーキョー日本料理のメインディッシュは米の食事と言う。日本の米の美味しさは世界に誇れるもの。楽しいプレゼンテーションによって世界に広めたいとも言う。米は10年前の開業時より土鍋で炊き込んでいる。今回は大きな江戸前穴子をカリッと揚げた後、土鍋の米の上に投入。丁寧に混ぜ込んで穴子の旨みをご飯に浸み込ませる。巨大穴子をアナコンダと呼ぶオーナーシェフのジョークも楽しい。水菓子も手が込む。今回は夏の白雪、ヨーグルトのかき氷。

日本酒の前に乾杯の泡はフランチャコルタの1級畑。料理に合わせるペアリングの日本酒が、季節の日本酒を選んでいて嬉しい。生湯葉には東洋美人の一番纏があっさりと寄り添い、デンタッキーには滋賀の雨垂れ石を穿つ、鮎には而今、熟成鯛には美丈夫の秋あがり。サラダに七水、冬瓜に長陽、〆の穴子に縁起を担いだ開運の招き猫ラベル。美味しく、料理に合っていて、なおかつ楽しい元祖日本酒ペアリング。

場所は東京メトロ銀座線の外苑前駅とJR総武中央線の千駄ヶ谷駅の中間。かつてキラー通りと呼ばれた外苑西通り。東京オリンピック2020のメイン会場、急ピッチで進む新国立競技場の工事現場からも程近い、人気レストランが点在する食通御用達のエリア。外苑前駅の3番出口を青山通りに出て、南青山3丁目交差点、外苑西通りを右に曲がり道なりに真っ直ぐ。神宮前3丁目の信号の先、モダンな歩道橋の右手、日本建築家協会のビル1階エントランスにある店。

神楽坂の花街で生まれ育ったオーナーシェフは、物心付いた時から日本料理に触れ、伝統的な日本料理を習得した上で早くから世界に通じる東京料理、トーキョー日本料理の構築を目指してきた。神楽坂で修行後、神保町に独立して7年で世界ベストレストラン50の新人賞に輝き、世界中から客が押し寄せるようになった。オーナーシェフの口癖は早くこの店を仲間に任せ、白木のカウンターで古典料理をビシッと出す伝統的な日本料理店をやりたいというもの。そろそろ次のステップか。

お任せコース　15000円
季節の前菜　はもかつ
　塩すだち　フルールドセル
季節の前菜　生湯葉
　ピュアホワイト玉蜀黍のムース
スペシャリテ　デンタッキー
　黒米の薬膳飯蒸し詰め手羽餃子
焼物　干し鮎焼き
　うるかのパテ　たで蒸しパン
造り　こうみだいの造り
　4日間熟成した口美鯛
スペシャリテ　季節のサラダ
　にこにこにんじん　ビーツの甘酢漬け
　トマトの甘酢漬け　煮牛蒡　菊芋のチップ
　インカの目覚めのチップ
　千葉に嫁いだお姉さんが作る青菜
　ほか30種類の野菜　少量の白絞油掛け
煮物　冬瓜の椀物　
　冬瓜とカツオの出汁
食事　江戸前穴子の土鍋炊き込みご飯
　赤出汁　香の物
水菓子　夏の白雪
　白桃とココナッツのブランマンジュ
　ヨーグルトかき氷
　クリームチーズのソース

料理に合せた日本酒　3000円
NV FRANCIACORTA BRUT
　Prima Cuvee MONTE ROSSA
　90mlグラス
東洋美人　純米大吟醸　一番纏
　澄川酒造場　山口県　45ml猪口
萩乃露　特別純米　雨垂れ石を穿つ
　福井弥平商店　滋賀県　45ml猪口
而今　純米吟醸　雄町火入れ
　木屋正酒造　三重県　45ml猪口
美丈夫　純米吟醸
　純麗たまラベル　秋あがり
　浜川商店　高知県　45ml猪口
七水　純米吟醸　55
　虎屋本店　栃木県　45ml猪口
長陽福娘　吟醸酒　直汲み　山田錦
　岩崎酒造　山口県　45ml猪口
開運　純米酒　招き猫ラベル　雄山錦
　土居酒造場　静岡県　45ml猪口

別途消費税・サービス料10％

今年もミシュラン2つ星を維持した赤坂菊乃井。京都本店の心を東京に伝える料亭として、誰もが認める全てにバランスの取れた名店。京料理と言えば明石の真鯛。造りは活け〆してから丁度10時間の熟成が命と言う。獲れたてのぷりっとした食感と、熟成による旨みを両立させている。そのためには伊丹から羽田に鯛を空輸することも多いらしい。最高の食材を、最高の状態で、最高に美味しく仕上げる技が、京料理のお持て成しの神髄とも思える。

明石の天然真鯛の旨みは言うまでもないが、添えられた瀬戸内海の縞鯵も文句なしに美味しい。向付は一皿目はこの2種類の刺身を新海藻とともに。海藻の鼻をくすぐる海の香りが、対極的な2種類の刺身の旨みを盛り立てている。向付二皿目は鰹のたたき。鮪のような赤身の味わいが、甘みのある新玉葱、カイワレの軽い辛味、ポン酢ジュレの酸味と複雑に絡み合い、別次元のたたきとなっている。

皐月の懐石はスタート前の祝い酒から始まる。金杯で菖蒲酒、赤飯に紅白なますと縁起物が並ぶ。先付は蛸の猪口から。長芋の羊羹に乗った佐島の蛸の柔らかさに感激。そしてこの店のスペシャリテとも言える八寸。皐月の八寸は蓋の上に菖蒲の花。蓋を開けると鯛寿司のちまきが5月らしい。鯛子の落雁に鯛肝のしぐれ煮と鯛尽しが嬉しい。蓋物は丹後のグジ。アカアマダイの蒸し物にまかれた新茶の玉露を使った茶蕎麦。出汁の味わいも素晴らしく、肌理細やかな技術に舌を巻いてしまう。

鉢肴一皿目は世界一美味しいと言われる鮭、日本では桜鱒とも言われるタスマニアンサーモン。軽い燻製の香りと味わいのバランスが最高。柔らかな鴨肉も桜チップを使い桜の花を添えた燻製。どちらも燻製のイメージが変わる上品な美味しさ。鉢肴二皿目は京都名産、大原野の筍。菊乃井のための筍畑が、大原野最高の斜面、日当たりと水はけの良いコートドールの丘の特級畑ような場所にあるとのこと。ブルゴーニュ好きには堪らない筍。外側の皮の下の方の真白な部分が素晴らしく美味しい。

山葵の効いた小夏のソルベを口直しに、強肴は伊勢海老。大きな伊勢海老を具足煮にしている。筍、菜種に花山椒をたっぷり。この時期しか手に入らない花山椒を贅沢に使い、京都丹後の香りを東京に運ぶ。伊勢海老の出汁と伊勢海老の味噌のめくるめく味わいのスパイラルに目まいさえ起きそうになる。〆の土鍋炊き込みご飯もやはり明石の真鯛。出汁の染み込んだご飯と、留椀の新キャベツすり流しの黒胡椒の相性が抜群。いつまでも日本酒を飲み続けてしまう。

日本酒は黒龍石田屋、仁左衛門を常備していることでも、最高の料理に合う最高の日本酒を揃えることのできる仕入れ力を誇っていることが分かる。さすが京料理の名店と思える。京都の老舗蔵元、松本酒造がこの店のためだけに造る菊乃井も素晴らしい。しかしやはりこの店のスペシャリテはいつでも用意されている黒龍石田屋。人気の黒龍酒造でも最も手に入りにくい銘酒。上品な味わいがこの店の料理にぴたりと寄り添う。

場所は東京メトロ千代田線の赤坂駅。赤坂通りを乃木坂駅、乃木神社に向かった赤坂5丁目交番交差点。交差点を左に曲がって直ぐの路地を左に入った左側。赤坂駅からは徒歩6分。入口からエントランスの長いアプローチが屋敷に入る感覚で気を引き締め、適度な敷居の高さを保つようになっている。カウンターの後ろはガラス張りで中庭を見ながら料理人たちと話を弾ませられる。その真ん中に恰幅の良い大将のどうどうたる立ち姿。

大将は1週間ごとに京都本店と赤坂店を往復している。カウンターに立って自ら客との会話に加わり、料理の話を色々聞かせてくれる。帰りには長いアプローチの外、道路まで見送ってくれて、その持て成しの心に感激してしまう。最高の素材を最高の状態で、手の混んだ仕事と完成されたスタイルにより生み出し、さらには心のこもった接客まで味わえる店。その最高を実現するため、季節とともに、時代とともに常に新しい世界を取り入れていくという本当の伝統を感じる店でもある。

懐石　献立　皐月　30000円
祝膳　菖蒲酒　赤飯　紅白なます
猪口　長芋羹　佐島の蛸
　山葵餡　花穂紫蘇
八寸　鯛糟寿司　油目新子南蛮漬け
　鯛子落雁　枝豆　酢取り茗荷
　鯛肝しぐれ煮　的穴子
　小芋絹かつぎ　菖蒲
向付　明石天然鯛　瀬戸内縞鯵
　山葵　新海苔
向付　鰹たたき　新玉葱
　かいわれ大根　青芽紫蘇　ポン酢ジュレ
蓋物　新茶蒸し　甘鯛
　茶蕎麦　新茶玉露　分葱　花柚子
鉢肴　桜鱒燻焼き　鴨桜焼き
鉢肴　大原野産筍焼き　山椒オイル
猪口　小夏山葵ソルベ
強肴　伊勢海老具足煮
　筍　菜種　花山椒
食事　鯛の土鍋炊き込みご飯
　木の芽
留椀　新キャベツのすり流し
　新じゃが芋　黒胡椒
水物　ミルクアイス　苺ソース
水物　黒糖シャーベット　抹茶豆腐

水芭蕉　純米吟醸　辛口　発泡にごり酒
　永井酒造　群馬県　1500円/180mlボトル
菊乃井　純米吟醸　料亭菊乃井厳選
　松本酒造　京都府　1200円/1合徳利
黒龍　石田屋　純米大吟醸
　黒龍酒造　福井県　5000円/1合徳利
江戸城開城　純米吟醸　原酒
　若松東京港醸造　東京都　1300円/1合徳利

別途消費税・サービス料

神戸牛、但馬牛の品評会で毎年チャンピオン牛を輩出する兵庫県の川岸牧場。チャンピオン牛を含む川岸牧場産のヒレ肉を常時仕入れる鉄板焼きレストラン。川岸牧場産神戸牛のシャトーブリアンが、何と言ってもこの店のスペシャリテ。帝国ホテルで腕を磨いたオーナーシェフが、熱源との距離にこだわって特注生産した鉄板と1枚板のカウンターで味わう極上のステーキは、他にはない特別な仕上がりとなっている。

今回のシャトーブリアンは特筆に価するハイクオリティ。火入れ前の赤身の美しさが文句なし。その塊を目の前で50分掛けて低温でじわじわと温めていく。すると肉の色が少しづつ、少しづつ赤身を増し、さらに細やかに入ったサシが溶けて消えていくのが分かる。見ているだけで美味しさが伝わってくる。最後に周りだけこんがり焼いた肉の柔らかさにも驚くばかり。旨みと甘味の塊となったふわふわの赤身は、最高の食材を最高の火入れで仕上げた究極のステーキ。

600g超級のブルターニュ産オマールブルーもこの店のスペシャリテ。活きたままのオマール海老のはさみは、一歩調理を間違えば大怪我をする鋭さ。青光りする背中が焼かれて赤くなる際の香りも素晴らしい。オマールブルーの上にはサマートリュフとキャビアがたっぷり。世界3大食材とも言われるオマールブルー、トリュフ、キャビアの組合せが嬉しい限り。アメリケーヌソースの香りが、添えられた北海道産のホワイトアスパラとの相性も抜群。

焼き野菜は淡路の新玉葱の甘さも、沖縄県産のヤングコーンの髭の味わいも、チーズのソースに引き立てられて美味しい。神戸牛の生ハム、プレザオラと完熟した宮崎県産マンゴーとのコンビネーションもベスト。時雨煮は川岸牧場産神戸牛、シャトーブリアンの周りの切落しを贅沢に使いサラダに乗せている。神戸牛シャトーブリアンのステーキが焼き上がるまでも、神戸牛尽くしと言うのが凄い。

若き美人マダムにお任せのワインペアリングも神戸牛に負けず劣らず感激のラインナップ。グランクリュ村のレコルタンマニピュランによる伝統的なシャンパーニュに始まり、オマールブルーには1999年のコルトンシャルルマーニュ。しかもドメーヌもののルイジャド。今やお目に掛かるだけでも貴重な存在。美味しくないはずがない。神戸牛に合わせるのはグランクリュのシャンベルタン。2004年のニコラポテルも希少価値では負けていない。

東京でいつでも川岸牧場のヒレ肉、シャトーブリアンが食べられるだけでも数少ないレストラン。しかもこだわりの鉄板で焼くオーナーシェフの腕は超一流。目の前で1時間近く掛けて火入れする最高級食材に、目で、耳で、鼻で最高の時間を感じることができる。合わせる美人マダムのワインも、これ以上ないという最高の組合せ。最後の食事に何を選ぶと聞かれれば、この店のシャトーブリアンと最高のブルゴーニュが思い浮かぶかもしれない。

オマールブルーとシャトーブリアン
お任せコース
　27000円
中むら特性コンソメスープ
のどぐろのポアレ
　ヨシキリザメのフカヒレ
　銀庵仕立て
ブルターニュ産オマールブルー
　600g超級
　サマートリュフ　キャビア
　北海道産ホワイトアスパラ
　アメリケーヌソース
　マッシュルームパウダー
焼き野菜　淡路島産新玉葱
　沖縄県産ヤングコーン
　長野県産白霊茸
　グリーンアスパラガス
　群馬県産紅芯大根　チーズソース
川岸牧場産神戸牛のプレザオラ
　宮崎県産マンゴー
　オキ・オリーブオイル
川岸牧場産神戸牛の時雨煮
　シャトーブリアンの切落し
　新鮮な野菜サラダ
川岸牧場産神戸牛
　シャトーブリアンのステーキ
ガーリックライス
　味噌汁　香の物
杏仁アイスクリーム最中
　苺のアイスクリーム
ジャスミン・プーアール茶

マダムにお任せワインペアリング
　15000円
NM CHAMPAGNE BRUT
　Chouilly GRAND CRU
　Legras & Haas
　120mlグラス
1999 CORTON-CHARLEMAGNE
　GRAND CRU
　Domaine des Heritiers
　LOUIS JADOT
　120mlグラス
2004 Chambertin
　Grand Cru
　Nicolas Potel
　120mlグラス

別途消費税・サービス料10％

神楽坂で人気沸騰中、鉄板焼きを極めたオーナーシェフと、若く美人のソムリエマダムの店。但馬牛、神戸牛のチャンピオン牛を産出する神戸川岸牧場から、毎年チャンピオン牛を仕入れる関係が築かれているのも、この店の人気の理由の一つとなっている。万遍無いサシの入ったサーロインでさえ、全く胃にもたれない火入れが特徴。そのための鉄板は熱源と鉄板の距離にこだわってシェフが特注した、他には無い設えとなっている。

神戸牛のコースと合わせて海老や蟹などの甲殻類、アワビなどの貝類の鉄板焼きや、それらの食材をフレンチや会席のように仕上げる料理の数々が素晴らしい。今回はオマールブルー。ブルターニュ産で600gを超える濃紺のオマール海老。オマールは大きいほど美味しいといわれるが、これだけの大きさの最高級オマールブルーを見たことがない。大きな左のハサミと小さな右のハサミの食べ比べもオマールならでは。ハサミの甘さが得も言えない。

コースのスタートは生ハムとマンゴーから。川岸牧場の神戸牛を使ったブレザオラと宮崎産のマンゴーは最高の組合せ。ポアソンは銚子産の金目鯛。ふわふわの火入れが文句なし。付け合わせがカイノミのタタキという贅沢さ。オシャトラキャビアをたっぷり乗せるのもシェフのこだわり。仄かな酢橘の香りが日本料理の世界を思わせる。

オマール海老はポアレの前の露払いにビスクが出される。いったいどれだけのオマールを使ったのか、その濃厚さは驚くばかり。600gの希少オマールブルーは元気に動いている。ハサミは何でも切れる強靭な力を持つとのこと。マデラソースにはオマールのジュを感じる甲殻類好きにはたまらない味わい。添えられた花ズッキーニも美味しい。

野菜は北海道から沖縄まで、この時期の一番美味しそうなブランド銘柄を揃える。白味噌と合わせているところが面白い。アワビは房州千倉産、世界に誇る巨大な黒鮑。身だけでも軽く15cm以上はある。鉄板の上でじっくりと火入れする間、ずっと身をよじって動き回っている。活きたまま切った刺身と、見事に柔らかく火入れされたアワビの食べ比べもこの店ならでは。

口替りの白ダツ、神戸牛の時雨煮と野菜サラダに続いて、川岸牧場産のサーロイン。常温でもしっとりと脂が浮き出てくる万遍のないサシの入り方が見事。シェフの火入れは完璧かつ、いくらお腹一杯まで食べても、あとあと全く胃にもたれない手品のようなステーキ。一度食べると癖になること請け合い。

食事はガーリックライスに神戸牛のヒレが乗せられてくる。これだけでも十分にもかかわらず、2杯目はヒレとフカフレを乗せて、日本料理のような出汁を掛けてくれる。利尻昆布と真昆布を合わせ、鰹本枯節を加えた本物の出汁が上品で美味しい。デセールは特製シャーベットとアイスクリーム。季節の果物を使ったシャーベットと最中アイスがスペシャリテ。

マダムが料理に合わせて選ぶワインペアリングも珠玉のラインナップ。乾杯のシャンパーニュはムタールのミレジメ。2杯目も生ハムに合わせてロゼのシャンパーニュ。金目に合わせてムルソーペリエール。オマールブルーにはコルトンシャルルマーニュ、2004年のジョルジュルーミエ。こんなワインがある神楽坂のレストランを他には知らない。アワビにエシェゾー、牛肉にはヴォーヌロマネとポマール。これだけの料理に全く負けない顔ぶれに身震いしてしまう。

こだわり抜いた神戸牛と最高の甲殻類や魚貝、全国からの野菜を揃え、それらに最も合うキャビアやトリュフ、ウニやフカヒレまで世界中から集めている。こだわりは鉄板を筆頭とする調理道具、器や1枚もののカウンター、中庭の景観まで、どこにも隙がない。ワインは美人マダムが料理にとことん合わせて探している。ここまでやれば究極と言う言葉を使っても、全く問題はないものと思われる鉄板焼きではないだろうか。

川岸牧場産神戸牛のコース
　サーロイン80g　23000円
オードブル　川岸牧場産神戸牛のブレザオラ
　宮崎県産マンゴー
ポアソン　銚子産金目鯛のポアレ
　川岸牧場産神戸牛カイノミのタタキ
　オシャトラキャビア　酢橘の香り
オマール海老焼き　＋7000円/1尾
　オマール海老のビスク
　オマール海老のポアレ
　　ブルターニュ産オマールブルー600g超
　　パルミジャーノレジャーノのリゾット
　　三浦半島青木農園産花ズッキーニ
　　マデラソースとオマールのジュのソース
野菜焼き　沖縄県産島オクラ　淡路島産玉葱
　北海道産スティックセニョール
　長野県産白霊茸　茨城県産シルクスイート
　白味噌のクリームソース
アワビ焼き　＋7000円/1個
　アワビの刺身と生ウニ　房州千倉産黒鮑15cm超
　かねますの利尻島産生ムラサキウニ
　アワビ焼き　房州千倉産黒鮑15cm超　アワビの肝
　ピエモンテ産黒トリュフ掛け　
口替り　白ダツの酢の物
冷野菜　川岸牧場産神戸牛の時雨煮
　新鮮野菜のサラダ
ヴィアンド　川岸牧場産神戸牛　サーロイン80g
食事　ガーリックライス　＋600円
　ガーリックライス　川岸牧場産神戸牛ヒレ乗せ
　味噌汁　香の物
　フカヒレと神戸牛ヒレの出汁茶漬け
デセール　中むら特製桃のシャーベット
　最中アイスクリーム　マカデミアナッツと蜂蜜

マダムにお任せ
　ワインのデギュスタシオン　14800円
2009 CHAMPAGNE BRUT CUVEE DES 6 SENS
　FRANSOIS MOUTARD　120mlグラス
2007 CHAMPAGNE ROSE DE SAIGNEE
　EN BARMONT Seve
　Olivier Horiot　60mlグラス
2013 MEURSAULT PERRIER PREMIER CRU
　DOMAINE BOUCHARD　60mlグラス
2004 Corton-Charlemagne
　Domaine G.Roumier　60mlグラス
2016 Echezeaux
　DOMAINE GROS FRERE　60mlグラス
2015 VOSNE-ROMANEE Les Chalandins
　DOMAINE CAMILLE GIROUD　60mlグラス
2011 Pommard CLOS DES EPENEAUX
　Domaine Comte Armand　60mlグラス

別途消費税・サービス料10％

毎年神戸牛のチャンピオン牛を産み出す名牧場と懇意にするオーナーシェフが、中でも常に最高な部位だけを仕入れ、もっともその肉に合った、オリジナルな火入れで、素晴らしいステーキを焼き上げている。

今回は神戸、川岸牧場の最高のヒレ。シャトーブリアンの真上に当たるヒレ部分の、真ん中の部分を切り取ったもの。脂が全く見えない見たことも無い赤身。火入れの間も全く油分が染み出してこない。にもかかわらず噛み応えはふわふわの柔らかさで、肉汁をたっぷり含んだ赤身の濃厚さは、身震いするほどの美味しさ。この牛で、この部位で、この大将の火入れ技術でしか味わえない至極のステーキ。

ワインもマダムのセレクトが相変わらずの素晴らしさ。ムタールのミレジメシャンパーニュから始まり、ルフレーヴ、ソゼと最高のシャルドネの造り手が続く。ピノノワールは悶絶の組合せ。パリゾのシャンボールに〆は1989のビショー。最高の肉には最高のワインでなければいけないというマダムのこだわり。

神楽坂で予約の取れない鉄板焼きとして、今や知らない人のいない人気店。大将やマダムを初めとする、焼き担当やホール担当のスタッフも笑顔が素晴らしい居心地満点の店でもある。

お任せコース
神戸牛ヒレ 80g 23000円
白胡麻豆腐　大間産ムラサキウニ　銀餡
太刀魚のソテー
　ドイツ産ホワイトアスパラガスの含め煮
天然真鯛のポアレ　ハマグリの白ワイン蒸し
　桜海老　行者ニンニク　新ジャガイモのピュレ
　サフラン香るフェメドポアソンのオニオンスープ
季節の焼き野菜　チーズのソース
もずく酢　飛び子
神戸牛の時雨煮と新鮮野菜のサラダ
神戸牛のステーキ　川岸牧場の神戸牛
　シャトーブリアン真上部分の赤身
ガーリックライス　シャトーブリアン
　ムラサキウニ　白魚　キャビア
中村特製アイスクリーム
　マカデミアナッツのアイス　抹茶最中のアイス

ワインのデギュスタシオン
15000円/120mlグラス×6杯
2009 CHAMPAGNE BRUT MOUTARD
2103 Bourgogne DOMAINE LEFLAIVE
2015 Puligny-Montrachet Etienne Sauzet
2008 NUITS SAINT GEORGES
　LES ARGILLATS DOMAINE GUYON
2009 CHAMBOLLE-MUSIGNY
　DOMAINE P.C-PARIZOT
1989 VOSNE-ROMANE 1er CRU
　LES MALCONSORTS Domaine BICHOT
POLI PAUILLAC

別途消費税・サービス料10%


神楽坂の鉄板焼きと言えば、今や予約の取り難さでも有名となっているこの店。神戸牛の名人が作り出す和牛のシャトーブリアンを安定的に入荷するオーナーシェフの人脈もさることながら、実は牛肉以上に車海老の鉄板焼きが素晴らし過ぎるスペシャリテとなっている。

今回の車海老は福岡県産。玄界灘で揚がった25cm級のかつて見たことのないほどの巨大車海老。生きたまま鉄板の上の低温部分でじっくり火入れする。その姿はまるでランボルギーニカウンタックのガルウィングを広げた様相。殻、足、頭、背ワタごと柔らかく火入れした車海老を、一瞬で部位ごとにバラバラにする。さらに空中で背ワタを取り除き、部位ごとに調理法と温度を変え、あっという間に仕上げていく。日本でこれができるのは、今やこの店のシェフ1人しかいないと思われる。

活き大車海老の旨みと甘さは、小さいものよりずっと濃厚。しかしやはりこの店では牛肉が他にはない素晴らしさ。美味しいのはいつもの神戸牛だけではない。今回はなんと、松坂牛のチャンピオン牛。賞状が額に入って飾られている。日本一の牛の、しかも部位はシャトーブリアン。中でも刺しが最も細かいど真ん中の部分。旨みを閉じ込める焼きの技と、脂が一切染み出してこない超一流の肉の組合せはまさに日本一の鉄板焼き。美味しさに気が遠くなりそうになる。

茶碗蒸しにはモウカザメのフカヒレとズワイ蟹の銀餡掛けが合う。のどぐろのポアレと添えられた春野菜の組合せも美味しい。木の芽味噌は日本料理の味わい。活き車海老に続いて、北海道産のホタテの甘さも特筆もの。柔らかさと甘さからは、焼きの技術の素晴らしさを今さらながら感じる。ナージュ仕立てはあたかもフレンチのよう。黒トリュフを細かく刻むのがオリジナル。

焼き野菜にはクリームソースに赤ワインを使ったブールルージュ。珍しい野菜とそれぞれに合う丁寧な火入れ。フレンチ風が続いたあとに、もずく酢と飛び子というのも面白い。ガーリックライスには松坂牛チャンピオン牛の炙りが乗せられ、その上にスターレットキャビア。牛肉に一番合うキャビアというこだわり。福岡県産のふくねぎとも良く合う。

乾杯のシャンパーニュはドゥーツの08ミレジメ。初めからハートを鷲掴みにされる。のどぐろにはラトゥールジローのムルソージュヌヴリエール。そして主役の車海老には飛行機事故で亡くなって10年となる悲劇のドメーヌ、ダグノーのトップキュベ、シレックス。ホタテにピュリニー、神戸牛にジュヴレシャンベルタン、松坂牛には究極のヴォーヌロマネレスーショ。日本一の牛肉に世界トップクラスのピノノワール。そして〆にはベルタの70周年グラッパ。凄過ぎるラインナップ。

最高の国産牛を、こだわり抜いた設備で、完璧な技術を駆使し、客の目の前で仕上げていくオーナーシェフ。適度な客との緊張感がカウンターを挟んで生まれているのも良い。また車海老の食材としての質と焼きの技術は、いつまでも日本の貴重な伝統として伝承していって貰いたいもの。そしてこれだけの料理に負けないワインを合わせるソムリエであるマダムのセンスも、この店の良さとして忘れてはならない。

松坂牛のシャトーブリアンコース　24000円
　松坂牛のチャンピオン牛
　シャトーブリアン　80g
活き車海老　＋4500円

アミューズ　愛知県知多半島産原木椎茸の茶碗蒸し
　ズワイ蟹とモウカザメのフカヒレ銀餡掛け
オードブル　のどぐろのポアレ　筍の含め煮
　つぼみ菜　雪うるい　菜の花添え　木の芽味噌
スペシャリテ　福岡県産玄界灘の活き大車海老
ポアソン　北海道産活きホタテ貝のポアレ
　天然モリーユ茸のナージュ仕立て
　マデラソース　黒トリュフ掛け
温野菜　季節の焼き野菜　ブールルージュソース
　北海道産玉葱　カクレイ茸
　スティックセニョール　茨城産紅時雨大根
　シルクスイート
口替り　もずく酢　飛び子
冷野菜　神戸牛の時雨煮と新鮮野菜のサラダ
ヴィアンド　和牛ステーキ
　松坂牛チャンピオン牛のシャトーブリアン　80g
食事　特製ガーリックライス
　松坂牛チャンピオン牛シャトーブリアンの炙り
　スターレットキャビア　福岡県産ふぐねぎ乗せ
　味噌汁　香の物
デセール　特製アイスクリーム
　抹茶最中　焼き林檎

銘醸ワインの特別コース　15000円
2008 Millesime CHAMPAGNE BRUT
　Amouur de Deutz
　DEUTZ　120mlグラス
2015 MEURSAULT-GENEVRIERES
　PREMIER CRU
　Domaine Latour-Giraud　120mlグラス
2014 Pouilly Fume Silex
　Domaine Didier Daguneau
　120mlグラス
2011 PULIGNY-MONTRACHET
　VIEILLES VIGNES
　Domaine Les Chalumeuses　120mlグラス
2013 Gevrey-Chambertin Vielles Vignes
　Domaine Fourrier　120mlグラス
2014 VOSNE ROMANEE 1er CRU
　LES SUCHOTS
　DOMAINE DE L'ARLOT　120mlグラス
2017 GRAPPA RISERVA
　70ANNT ANNIVERSARIO
　Casalotto Berta　30mlグラス

別途消費税・サービス料10％

鉄板焼きを使った日本料理とフレンチの融合を目指す元祖と言える店。クリスマスコースは房総千倉の特大活き伊勢海老に、川岸牧場神戸牛と鹿児島黒牛の食べ比べ、ズワイ蟹の生湯葉出汁餡かけ、フォアグラとトリュフを使った究極のビーフシチュー。通常のコースに比べるとかなり贅沢な食材を使い、日本料理とフレンチ、鉄板焼きの融合というテーマに一つの答えを導き出している。

神戸牛の鉄板焼きステーキは今回もチャンピオン牛を産み出す川岸牧場産。食べ比べるステーキは鹿児島黒牛のフィレ。川岸牧場産神戸牛はクリスマスらしいハート型をしていて、相変わらず細かく均一に入るサシにも見とれてしまう。舌の上で適度に蕩けるところが流石の川岸牧場産。鹿児島黒牛のフィレは脂が乗っているにも関わらず赤身の美味しさが極まっている。この2種類の食べ比べはかなり贅沢。

アミューズから目と胃を鷲掴みにされる。川岸牧場産神戸牛の生ハムを紅マドンナに巻く、素晴らしい組合せと言える蜜柑の生ハム巻き。真鴨のローストには蜜柑のチャツネとキャビア。鴨とキャビアの相性が抜群。オードブルは日仏が合体したようなズワイ蟹のホワイトクリームと出汁餡かけ。生湯葉とポルチーニの組合せも、美味しさに笑いが止まらない。

ポアソンは特大活き伊勢海老。席まで飛び跳ねて来そうな活きの良さ。やはり伊勢海老は千倉が一番。大きさも、色艶も、活きの良さも抜群。ソースは伊勢海老の肝をたっぷり使い日本酒を合わせたもの。焼かれて甘さが増した刺身のような伊勢海老の身と、このソースがあればシャンパーニュを1本は軽く飲めてしまう。

ヴィアンドは神戸牛のオンパレードとステーキの食べ比べ。牛の首部分は硬く締まったあまり食べない部位。この締った肉をじっくり時間を掛けて柔らかく煮込むと素晴らしく美味しくなる。さらにフォアグラのソテー、ロマネスコ、マッシュルームを合わせ、上から細く刻んだトリュフをたっぷり掛ける。まさに至高のビーフシチュー。ステーキの前には牛肉の時雨煮のサラダ。肉、肉、肉の行進が眩いばかり。

食事はガーリックライス。伊勢海老の味噌汁とのコンビも堪らないが、2杯目のガーリックライスには牛肉を乗せ、上から出汁を掛けてくれる。この出汁茶漬けがまた素晴らしく美味しい。デセールは中むら特製アイスクリーム。今回は苺とマスカルポーネ。あまり甘くないのが有り難い。

乾杯の泡はフランソワムタールのシャンパーニュ。4百年近く前から葡萄を生産する歴史ある造り手の伝統的な味わい。マダムの厳選したデギュスタシオンは何とヴォーヌロマネ攻め。ギュイヨンの12年と14年の飲み比べが圧巻。例えるなら淑女とお嬢様による、圧倒的な気品と初々しい美しさの共演という趣きか。いつもながらマダムの舌を巻くようなセレクション。

素晴らしい技術を持つオーナーシェフが、こだわり抜いて造った設備で、最高の食材をこれでもかと投入し、たっぷり時間を掛けて調理した今回のコース。ワインも素晴らしく文句がない。それにしては価格が手頃で、クリスマスに全力を掛ける若い人たちにも食べて貰いたいと言うシェフとマダムの心意気が伝わる構成。客のほとんどは若いカップルだった。客を思う2人の思いが伝わる。

クリスマスコース　28000円
川岸牧場産　神戸牛の生ハム
　紅マドンナと共に
岐阜県産真鴨のロースト
　蜜柑のチャツネ　キャビア
ズワイガニ　ホタテ　小エビ
　ポルチーニの軽いクリーム煮
　生湯葉と出汁餡かけ
房総千倉の活き大伊勢海老
　伊勢海老の肝と日本酒のソース
川岸牧場産神戸牛ネックのビーフシチュー
　フォアグラのソテー　ロマネスコ
　マッシュルーム　黒トリュフ
神戸牛の時雨煮
　新鮮野菜のサラダ
川岸牧場産神戸牛ロースのステーキ
　鹿児島黒牛フィレのステーキ
ガーリックライス
　伊勢海老の味噌汁
牛フィレ肉を乗せたガーリックライス
　出汁茶漬け
中むら特製　苺のアイスクリーム
　マスカルポーネチーズのアイスクリーム

マダムにお任せワイン
　クリスマスデギュスタシオン　10000円
2012 CHAMPAGNE BRUT CUVEE ARBANE
　FRANSOIS MOUTARD　135mlグラス
2012 VOSNE ROMANEE
　"LES CHARMES DE MAZIERES"
　DOMAINE GUYON　120mlグラス
2014 VOSNE ROMANEE
　DOMAINE GUYON　120mlグラス
その他料理に合わせたワイン

別途消費税・サービス料10%

開業して7周年を迎える神楽坂の名店。オーナーシェフは帝国ホテルで長年、鉄板焼きやフレンチのレストランを支え、同じ帝国ホテル出身の若く美しいマダムと2人で独立。今や予約の取り難い神楽坂人気店の一角を占めるまでになっている。その日その日の一番良い肉を仕入れることができる、関西を中心とした全国のブランド牛生産者との繋がりが素晴らしい。鉄板焼きは焼きの腕と仕入れ力が命。仕入れルートにも帝国ホテル時代からの真面目なシェフの実力が発揮されている店。

今回はチャンピオン牛の特選コースがお勧め。年に1回、神戸牛、但馬牛など兵庫県内の肉牛が一同に集まるコンテストで、2018年最優秀賞を受賞した1年に一度しか食べられない1頭だけの希少牛。今年の栄冠はこの店が懇意にする川岸牧場の牛に輝き、今回はその最優秀賞受賞牛のサーロインがメニューにオンリスト。シェフのとにかくお勧めという言葉に迷わず注文した。

焼き始める前に、最優秀賞のトロフィー、賞状を見せてくれる。サーロインの肉質は美しく入ったサシを見ているだけで感激できる。シェフの肉汁と肉の旨みを閉じ込める丁寧な焼きの素晴らしい技術も相変わらず。表面の数ミリだけが白くなった、見た目はほとんど生でも均一に火入れされたサーロイン。舌の上に乗せただけで蕩けていく食感と極上の甘み、旨みによるめくるめく夢の世界に招かれる。グロのヴォーヌロマネとの組合せは、もうこの世のものとは思えぬ幸福感。

先付は北海道の夏の名物、仄かな甘みが理想的な玉蜀黍ショコラホワイト。魚の鉄板焼きは2種類。初めに皮目をぱりっと火入れした太刀魚。白身が柔らかくて旨みたっぷり。賀茂茄子とともに蕎麦汁仕立てが美味しい。江戸前のスズキはモウカザメのフカヒレ、青梗菜とともに贅沢なトリオ。フォンドボーと合う。焼き野菜はトキイロヒラタケが珍しい。濃厚な舞茸のようなトキイロヒラタケが、コリンキーや白茄子など旬の夏野菜と鉄板焼きにぴったりな味わい。

焼き野菜のあとはフレッシュな野菜。神戸牛を時雨煮としてサラダの上に乗せている。青菜に巻いて焼肉を食べる感覚に近い。ステーキの前にフレッシュな青菜の食感と牛時雨煮の柔らかい味わいが露払いとなる。サーロインのあとの食事はガーリックライスが美味しい。鉄板の上を縦横無尽に米が舞い、シェフのヘラさばきが楽しめる。デザートは中村特製のアイスクリーム。アールグレイのアイスクリームがスペシャリテ。今回は蜂蜜とマカデミアナッツも美味しい。

若く美人のソムリエであるマダムが選ぶワインが素晴らしい。ワインの在庫もなかなかだが、グラスでマダムに任せるペアリングもお勧め。乾杯のシャンパーニュはエルネスティーヌドソー。歴史ある小さな造り手。かなりマニアックなマダムのセレクトが楽しい。太刀魚には王道のブルゴーニュ。スズキにはさらに濃厚なピュリニーモンラッシェ。夏野菜にシャンボール、神戸牛にヴォーヌロマネ、さらにチャンピオン牛にはミシェルグロ。三冠王を連続して取ってしまったような気分。

場所は神楽坂の中心とも言える坂上から坂下に下る毘沙門天と飯田橋の間。毘沙門天からは飯田橋に向かって右側となる見番横丁。以前は置屋街であった今でも置屋組合の残る路地を入る。突き当りを道なりに右に曲がった右側のビル。テラス席のあるフランス人の多いビストロの斜め向かい側。ビルの階段かエレベーターを地下に降りた店。入り口を入ると真ん中にL字型のカウンター。左手奥に中庭があって地下とは思えぬ趣がある。

牛肉の仕入れと鉄板焼きの技術という強力な肝を押さえ、特殊なノウハウによる鉄板や熱源のオリジナルな納まりなど、調理機器の工夫も素晴らしい。樹齢2百数十年の1枚板カウンターや手造りの木製家具など、インテリアへのこだわりもシェフとマダムの店や客への思い入れを感じる。何より若くて美人、明るいマダムのソムリエとしてのスキルも十分。イケメンスタッフたちの対応も申し分なく、神楽坂の名店と呼ばれ予約が取り難くなっているのも当然と思われる。

最優秀賞受賞神戸牛の特選コース　23500円
冷製ショコラホワイトのコーンスープ
太刀魚の鉄板焼き　賀茂茄子の含め煮
　大根おろしの蕎麦汁仕立て
スズキの鉄板焼き　モウカザメのフカヒレ
　マイクロトマト　マイクロリーフ
　青梗菜　フォンドヴォーと共に
季節の焼き野菜
　トキイロヒラタケ　コリンキー
　白茄子　ズッキーニ　玉葱
　赤ワインのクリームソース
もずく酢　オクラ　梅肉と共に
神戸牛の時雨煮　新鮮な野菜サラダ
川岸牧場産神戸牛ステーキ
　第29回加古川市共励会最優秀賞受賞牛
　サーロイン　80g
ガーリックライス　＋600円
　味噌汁　香の物
中村特製
　蜂蜜とマカデミアナッツのアイスクリーム
　アールグレイのアイスクリーム

NM CHAMPAGNE BRUT
　CUVEE L'ETERNITE
　ERNESTINE DOUSSOT
　1600円/120mlグラス

ワインペアリング　6500円
2015 BOURGOGNE CHARDONNAY
　Domaine Buison Batrault
　120mlグラス
2015 PULIGNY-MONTRACHET
　Domaine VINCENT PRUNIER
　120mlグラス
2001 CHANBOLLE-MUSIGNY
　1er CRU LES BAUDES
　MAISON ROCHE DE BELLENE
　120mlグラス
2012 VOSNE ROMANEE
　LES CHARMES DE MAZIERES
　DOMAINE GUYON
　60mlグラス
2015 VOSNE ROMANEE
　1er CLOS DES REAS
　Domaine Michel Gros
　60mlグラス

別途消費税・サービス料10％

帝国ホテルの嘉門やレセゾンを20年以上務めたシェフが7年前に独立し、ソムリエのマダムと供に開いた神楽坂の鉄板焼き。出汁を活かしたソースを使いこなし、日本料理とフレンチの良いとこ取りをしたような料理の数々に感激することができる。欧州や国内の旬な素材へのこだわり、特別に作らせたという厚さ35mmの鉄板にぴたりと添わせた熱源を使う独特の火入れ、日本料理のような出汁を活かしたフレンチのようなソース。その全てにシェフの思い入れを感じることができる店。

鉄板焼きの肉は国内のブランド牛をその日、その日の最高な状態で取り揃えている。部位もシャトーブリアンやサーロインなど様々。量も客の要望に応じて選択できるようになっているのが有難い。今回はシャトーブリアン、佐賀牛のA5ランク。赤身に入った刺しの肌理細かさが素晴らしい。大きな塊で表面を6面全て数mmだけ色が変わる程度にじっくり火入れする。シャトーブリアンの旨みたっぷりな赤身の味わいが柔らかく閉じ込められ、視覚、臭覚、聴覚、味覚の全てを満足させて貰える。

アミューズは水雲丹を乗せた白胡麻豆腐の先付。出汁で味わう白胡麻豆腐が京料理のようでもある。オードブルはロワール産のホワイトアスパラガス。シャキシャキの食感が残ったままふわっと焼き上げられている。うずらのポーチドエッグとパルマ産の生ハムが贅沢に使われ、ソースはホワイトアスパラの皮を使ったフォンドボー。上からシェフがイタリア産のサマートリュフをスライスして掛けるカウンターでのパフォーマンス。

ポアソンは若狭のグジ。カリッとした皮とふわふわな白身がグジを完璧に引き立てている。添えられた卵と味噌の組合せ、白玉味噌とも合う。賀茂茄子や万願寺、白髪葱や酢橘などの野菜もただの脇役ではない。野菜焼きの白霊茸や新玉葱も出汁が浸み込んで美味しい。シェフの油やバターを一切使わない料理には、ここに至って感動すら覚える。口直しにトマトのコンソメを使ったトマト。そして牛鉄板焼きの前に牛時雨煮が出される。メインの前に赤ワインが進んでしまう。

〆はコースの白飯に替えてガーリックライスを選ぶことができる。鉄板の上を縦横無尽に米粒が舞う姿は鉄板焼きの醍醐味。やはり油やバターは使わない。肉の脂と出汁、おろし大蒜の香りが仄かに漂う。お腹がいっぱいでもガーリックライスを頼んでしまう。味噌汁、香の物に続いて水菓子はアイスクリーム。ストロベリーとバニラの2種類。バニラのアイスにはナッツが入っている。

乾杯の泡はソムリエであるマダムが選ぶ季節、季節のこだわりシャンパーニュ。急に暑さが堪えるようになった今はブランドブラン。冷たく冷やしたシャルドネが乾いた喉に染み渡る。ワインはこだわりの料理に合わせるマダムにお任せペアリングがお勧め。今回はシャンパーニュに続く白がピュイィフュメ。これもやや冷やし目がホワイトアスパラにマリアージュ。神戸牛の時雨煮には北イタリアの濃厚な赤。そしてシャトーブリアンにはダニエルリオンのニュイサンジョルジュが文句なし。

場所は神楽坂の中心とも言える坂上から坂下に下る毘沙門天と飯田橋の間。毘沙門天からは飯田橋に向かって右側となる見番横丁。以前は置屋街であった今でも置屋組合の残る路地を入る。突き当りを道なりに右に曲がった右側のビル。テラス席のあるフランス人の多いビストロの斜め向かい側。ビルの階段かエレベーターを地下に降りた店。入り口を入ると真ん中にL字型のカウンター。左手奥に中庭があって地下とは思えぬ趣がある。

樹齢2百数十年と言う1枚板のカウンターやこだわりの構造を持つ鉄板、手作りの柔らかな木製チェアなど、料理やワインだけではなく、店に関わる全てに徹底したこだわりを感じる。これだけの手間隙を掛けてなお、まだまだと謙遜するシェフやマダムの客に対する腰の低さにも頭が下がる。こんなに居心地の良い店は神楽坂に限らず、日本中探してもそうはないかもしれない。地下でありながら天にも昇るような気持ち良さでシェフとマダムに見送られ、店をあとにすることができる。

特選コース　シャトーブリアン　14000円
白胡麻豆腐　函館産水雲丹　山葵　和出汁餡
フランスロワール産ホワイトアスパラガスの鉄板焼
　パルマ産生ハム　うずらのポーチドエッグ
　パルミジャーノレッジャーノ
　イタリア産サマートリュフ掛け
　ホワイトアスパラの皮を使ったフォンドヴォー
若狭産グジの鉄板焼　京都産賀茂茄子の含め煮
　万願寺唐辛子　白髪葱　酢橘　白玉味噌
野菜の鉄板焼き　白霊茸　新玉葱
　紅芯大根　ヤングコーン　薩摩芋　特製ソース
トマト　茗荷　メカブ　トマトのコンソメ
神戸牛の時雨煮
シャトーブリアンの鉄板焼き
　佐賀牛　A5ランク
ガーリックライス　＋600円
　味噌汁　香の物
バニラのアイスクリーム　苺のアイスクリーム

NM Champagne BLANC DE BLANCS
　Etienne CALSAC L'echappee Belle
　1600円/120mlグラス

ワインペアリング　4000円
2016 POUILLLY-FUME LES CHAILLOUX
　DOMAINE Chatelair　120mlグラス
2008 Ronco delle Ginestre
　CASTELL UCCIO　120mlグラス
2006 NUITS-ST-GEORGES
　LES TERRES BLANCHES
　DOMAINE DANIEL RION　120mlグラス

別途消費税・サービス料10％

中国飯店グループのフラッグシップ店。ミシュランの星を維持する貴重な中華料理店でもある。上海料理や広東料理、北京料理の良いとこ取りをしたような日本人に合う料理の数々。中でも北京ダックは日本一という呼び声が高い。日本人受けする中国各地の料理の融合もさることながら、店の雰囲気やサービスもグループ内でピカイチ。古琴など中国楽器の生演奏もインテリアのエレガントでクラシカルな雰囲気に合っている。

スペシャリテの北京ダックはコース以外にアラカルトでも注文できる。大きさは1羽から、ハーフサイズ、クオーターサイズと3種類。2人ならクオーターサイズで1本づつ食べられる。長めサイズの餅皮、カオヤーピン。中の北京ダックがカリカリかつ1周丸々餅皮と共に巻かれていて驚く。大きな皮でも薄くカリカリで食べやすい。こんな大きな切り方の豪華北京ダックは早々見られない。店内では中国からこのために来ている北京ダック職人が、最後の仕上げをするパフォーマンスが人気。

休日ランチには飲茶のコースがある。このコースに北京ダックを追加するのがお勧め。コースの前に中国茶を3種類から選べる。今回は菊の花のジャスミン茶。コースの前菜はオーソドックスな3種類。叉焼は柔らかく軽い味わいが美味しい。クラゲはコリコリ。胡瓜は上に載った帆立のXO醤が、あたかも旨みの塊の様で素晴らしく美味しい。

メインの点心は5種類。香港風の揚げ物2種と蒸し物3種。いずれも香港らしい海老が中心。蒸し餃子には小海老がぎゅうぎゅうに詰まっている。もちもちの焼売も美味しい。春巻きにはぷりぷりの芝海老が1匹そのまま入っている。柔らかいタロイモのカリッと揚げられた中国風コロッケも食感が楽しい。炒め物は剣先烏賊と万願寺唐辛子の海老味噌炒め。食事は鶏肉とピータンのお粥。最後に中国花茶とデザート。お腹も気持ちも十二分に満ち足りた気分になれる。

乾杯の泡はグラスのシャンパーニュのコストパフォーマンスが素晴らしい。グランクリュ村の小さな農家が造る掘り出し物のブランドブラン。真夏の広東料理にぴったりの味わい。ワインはイタリアが中心。ピノビアンコはややフルーティで軽い味わいが油の料理に寄り添う。中国酒は紹興酒の花彫酒。3年、5年ほか、さすがの中国飯店グループ、古酒も豊富に揃えている。広東と上海を足して割ったような軽快な味わいの料理には、シャンパーニュが一番合っているかもしれない。

場所は東京メトロ南北線、都営大江戸線の麻布十番駅。新一の橋交差点を麻布台に渡った6番出口に出る。出口目の前の新一の橋交差点を麻布台方面に左に曲がった直ぐ先、左側の通り沿いのビル1階。出口からは徒歩2分の至近。インテリアは照度を落としたシックで重厚な装い。店のテイストはパレスホテルの姉妹店とも似ている。入り口脇では中国の古琴が生演奏され、真ん中のカウンターでは北京ダック職人による北京ダックの解体皮むきパフォーマンス。

中国料理でミシュランの星を取り続ける貴重な店は、広東、上海、香港、北京の味わいを融合させて、日本人に合うバランス感覚抜群の味を完成させている。洒落たインテリアやサービス、小慣れた価格のシャンパーニュ、北京ダックの素晴らしい味わいと愉しいパフォーマンス。中国楽器の生演奏を聞きながら、中国で高級店に行ったような錯覚に浸れる素晴らしい店となっている。

飲茶コース　3800円
中国茶　3種類の中国茶から選択
　菊の花とジャスミン茶
前菜3種盛合せ
　叉焼　クラゲ　胡瓜と帆立のXO醤
香港風揚げと蒸しの点心5種
　揚物　タロイモ揚げ　海老春巻き
　蒸物　海老蒸し餃子
　　ニラと海老の蒸し餃子　餅米シュウマイ
剣先烏賊と万願寺唐辛子の海老味噌炒め
鶏肉とピータンのお粥
　薬味3種　ザーサイ
デザート　4種類から選択
　杏仁豆腐
中国花茶
小菓子

アラカルト
北京ダック　富麗華オリジナル
　2750円/ 1/4羽

NM CHAMPAGNE BRUT GRAND CRU
　GUY CHARLEMANE　2000円/120mlグラス
2014 PINOT BIANCO ALOIS LAGEDER
　1500円/130mlグラス

紹興酒　塔牌陳三年花彫酒
　1600円/250ml徳利

別途消費税

フレンチ激戦区の白金に開業して3か月。フランスブルゴーニュで有名な3つ星レストランのパリ支店シェフや、パリの3つ星でスーシェフを歴任した若き日本人イケメンシェフの店。カウンター数席とテーブル1卓というコンパクトな空間で繰り広げられる天才シェフの美しく美味しい料理と、西麻布の2つ星フレンチ元支配人によるワインサービスが評判を呼び、雑誌やTVの取材が殺到、あっという間に予約の取り難い店となってしまった。

今回も満席。お任せコース1本のスペシャリテはウズラ。伝統的なフォアグラ詰めの進化形。ウズラの中にはぷりぷりの車海老。車海老を豚肉で包んでウズラのファルシとしている。ウズラのあっさりした味わいと車海老の甲殻系旨み、シンプルな豚肉の味わいが舌の上で美味しさのスパイラルを描いていく。パクチーのソースが全く自己主張せずに素材の味の引き立て役に徹しているのも素晴らしい。

アミューズは5皿。まずは口の中で弾けるパッションフルーツとマンゴーのボールから。前回は深紅の薔薇の花びらに乗っていたが、今回は黄色い薔薇の花びらの上。2皿目の葉脈の肌理細やかな形状を象ったチュイル。ジャガイモにニンニクを練り込みグレイッシュな見た目に変わっている。しかも中のリエットは秋刀魚。9月は秋らしい味わい。フィッシュアンドチップスも相変わらずボルディエソースが美味しい。

真っ赤なビーツをシャリ替わりにしたカラフトマスの寿司風もマスとビーツが美味しい。アミューズ最後は鶏つくね風。アボカドをラインのように巻き、ソースはバナナ味。鶏肉が驚くほど柔らかく火入れされ、こんなに美味しいつくねがあったら大人気の焼き鳥店になること請け合い。オードブルは3皿。初めにリドヴォー。この火入れも素晴らしい。ジャガイモフリットのリングに巻かれている。トリュフとサントモールのソースも軽快。

続くカツオのセヴィーチェも戻り鰹の旨みたっぷり。2種類のジュレを可愛いボールにしていて楽しい。オードブル3皿目はスペシャリテの温泉卵。トリュフで作られた真っ黒な殻とトリュフとコーヒーのエスプーマから上がる香りも秋の味覚。ポアソンはスズキ。炭焼きのためのシェフオリジナル釜が、白身の魚をふわふわに仕上げて旨味を逃さない。海老香るソースビスクもバターを使わない水のフレンチの真髄。そして最後もスペシャリテ、フリュレという名のチョコのボール。

乾杯のシャンパーニュはボランジェ。5種類もあるアミューズに合わせ、クラシックで泡の細やかな軽い飲み口。オードブルやメインにはそれぞれの皿に合わせて、少しづつ、支配人によるヴァンドデギュスタシオン。ブルゴーニュを中心に、白、ロゼ、赤、そして国産ビオ。料理とのマリアージュ、豊富なバリエーション、楽しい新発見を同時に満たす支配人の離れ業。

場所は東京メトロ南北線、都営三田線の白金高輪駅。改札口を出て右手の通路を反対方向に真っ直ぐ。プラチナタワーとアエルシティの間のサンクンガーデンからエスカレーターを上がり、タワーマンションと公園の間の小道を抜けた突き当たり。横断歩道の信号を渡った正面にある。地上に出てから徒歩3分。カウンター数席の奥にテーブル席。シェフとの距離が近いので調理の様子が手に取るように分かる。厚く塗り重ねられた壁や造り込まれた内装にもこだわりを感じる。

華麗な経歴、自信に溢れた料理の数々、若さとイケメンという見た目のシェフ。豊富な経験を持つワインに精通したシェフと同世代のソムリエ支配人。シェフの繰り出す素材そのものを活かした、水の料理人ベルナールロワゾーを継承する美しい見た目の料理。そしてそれらをワインサービスで支える支配人との絶妙なコンビネーション。最前列、かぶりつきでこの舞台を体験できるプラチナタワーの裏の希少なカウンター席は、既にプラチナチケットとなってしまっている。

お任せコース　8500円
アミューズ　パッションフルーツとマンゴー
アミューズ　秋刀魚のリエット
　ジャガイモとニンニクのチュイル
アミューズ　フィッシュ＆チップス
　サーモンとジャガイモ　ボルディエソース
アミューズ　ビーツ寿司
　カラフトマス
アミューズ　鶏つくね
　アボカド　バナナのソース
オードブル　リドヴォーのソテー
　ジャガイモのフリット
　トリュフ香るソース　サントモール
オードブル　カツオのセビーチェ
　2種類のジュレボール
オードブル　トリュフと温泉玉子
　茸とコーヒーのエスプーマ　トリュフの殻
パン　柑橘の酵母で作った自家製パン
　ボルディエソース
ポアソン　スズキの炭火蒸焼き
　ソースビスク
ヴィアンド　ウズラのファルシ
　車海老と豚肉詰め
　ウズラのジュとパクチーのソース
デセール　スペシャリテ　3種類のフリュレから
　COCO ココナッツとハルカのクリーム
　鹿児島県宝島産のバナナ

NM CHAMPAGNE BRUT BOLLINGER
　1600円/120mlグラス

VIN DE DEGUSTATION　5000円
2016 L'ailleurs
　Anne & Jean-François Ganevat
　60mlグラス
2017 PINOT NOIR Rose
　KIMURA VINEYARD
　北海道中央葡萄酒　60mlグラス
2016 Vin Coeur Vin Cul Rouge
　Pierre Olivier Bonhomme　60mlグラス
2014 NUITS-SAINT-GEORGES
　LES VALLEROTS
　DOMAINE Machard de Gramont
　60mlグラス
2016 Kisvin KOSHU RESERVE
　キスヴィンワイナリー　60mlグラス
2014 Kogyoku Dessert
　アズミノワイナリー　60mlグラス

別途消費税
白金フレンチのニューカマー。シェフはパリの名店で有名シェフに才能を認められ、ブルゴーニュの3つ星フレンチのパリ店シェフ、パリのフォーシーズン内3つ星フレンチでスーシェフを歴任した天才、若きイケメン日本人。昨年帰国して今年6月にこの店を開業。レストランはディナーのみの営業で、昼間はサロンドテとなっている。ディナーのコースはお任せコース1本。他にないオリジナルな旬の食材の組合せと美しい料理のビジュアルが素晴らしい。

ヴィアンドはウズラのファルシ。中身は車海老がぷりっと丸々豚肉に包まれている。あっさりかつ旨みしっかりのウズラ、車海老、豚肉の複雑な味わいが舌の上でぐるぐると回る。シェフオリジナルの炭火蒸し焼き窯が、旨みを逃がさない調理の秘訣。世界中の料理を研究するシェフの料理の極め付きがここにある。シンプルなウズラのジュのソースも軽快で美味しい。まさに新しい味わいが完成されている。

アミューズが初めに3皿。いずれもシャンパーニュとのマリアージュは完璧。陶器の箱の蓋を開けると真紅の薔薇の花びらと葉が敷かれ、その上にはパッションフルーツとマンゴーの小さなボール。一口で食べると口の中で弾ける。サーモンのリエットは葉脈の形をしたジャガイモのチュイルに挟まれていて美味しい。フィッシュ＆チップスという名のジャガイモとサーモンには、素晴らしく美味しいボルディエソースが付いている。

オードブルは4皿。パッションフルーツのグラタンには仔羊の肉が隠れていて愉しい食感と味わい。静岡牛とアオリイカはそれぞれ炭火焼にされて合わされている。肉の甘さとイカの甘さのコンビネーション。パイナップルを挟んだホタテ貝柱も複雑な甘さが美味しい。2種類のソースでの食べ比べも面白い。トリュフで作った殻に入れられた卵はあたかも温泉玉子。トリュフとコーヒーのエスプーマと玉子が良く合っている。

ポアソンはマナガツオ。ソースピストゥーはバジルに替わってパセリを使い、優しい味に仕上がっている。口直しはグラニテに替わり一口アミューズが再び。今度は河内晩柑やライチ。ウズラや車海老への露払いが口の中で弾ける。デセールがこの店のシェフオリジナルのスペシャリテ。フリュレと名付けられた果実の形をしたチョコのボール。今回は桃のフリュレ。中身は苺と喜界島パインの果肉とヨーグルトジェラート。回りの桃の形を作るチョコも甘くなくて美味しい。

乾杯のシャンパーニュはボランジェ。ワインは支配人にお任せのヴァンドデギュスタシオン。シェフソムリエ兼支配人は西麻布の2つ星フレンチ元シュフソムリエ兼支配人。広尾の星付きフレンチの支配人を経て、この店を立ち上げることになった。パリで認められた天才シェフと同世代の最強コンビとなっている。牛と烏賊にはゲヴュルツトラミネルのオレンジワイン、ホタテに樹齢75年のシュナンブラン、ウズラと車海老のファルシには白赤両方のブルゴーニュを合わせる。

場所は東京メトロ南北線、都営三田線の白金高輪駅。プラチナタワー側の4番出口を上がり、プラチナタワーとアエルシティの間を裏側の住宅街方面に抜けて公園の脇を通ると、信号を渡った正面がこの店。ほぼ全面ガラス張りのファサードがレストランらしくない。インテリアは大理石のカウンターが映えるシンプルモダン。何重にも塗り重ねた壁の丁寧な仕上に赤い小窓がアクセントとなって楽しい空間を演出している。

パリで認められた若き天才シェフと、素晴らしい経歴のシェフソムリエ兼支配人による新しいフレンチ。料理の新しさもワインのセレクトも素晴らしいが、2人の目指す気軽なレストランには、これからの日本に必要な真のガストロノミーを感じさせて貰うことができる。白金という新旧の住民が交錯する再開発エリアだからこそ、この新しい形態のフレンチが幅広い客層に受け入れられる可能性は高い。今後の展開が楽しみとなっている。

お任せコース　8500円
アミューズ　パッションフルーツとマンゴー
アミューズ　サーモンのリエット
　ジャガイモのチュイル
アミューズ　サーモンとジャガイモ
　フィッシュ＆チップス
　ボルディエソース
パン　柑橘の酵母で作った自家製パン
　ボルディエソース
オードブル　仔羊のグラタン
　パッションフルーツ　キャビア乗せ
オードブル　静岡牛とアオリイカのグリル
　アミエビのソース　ジャガイモのカダイフ
オードブル　ホタテと喜界島パインのサンド
　ソースヴァンジョーヌとベルベールオイル
オードブル　トリュフと温泉玉子
　茸とコーヒーのエスプーマ　トリュフの殻
ポアソン　マナガツオの炭火蒸焼き
　アサリのブイヨンとパセリのソースピストゥー
　茸とパプリカのシェリービネガー漬け
グラニテ　ライチと薔薇
　フランボワーズで包んだ河内晩柑
　バニラ　フロマージュブラン
ヴィアンド　ウズラのファルシ
　車海老と豚肉詰め
　ウズラのジュとパクチーのソース
デセール　スペシャリテ　3種類のフリュレから
　桃のフリュレ　苺と喜界島パイン
プチフール　2種類のキャラメル

NM CHAMPAGNE BRUT BOLLINGER
　1600円/120mlグラス

VIN DE DEGUSTATION　6000円
2016 Vignoble du Rêveur ARTISAN
　60mlグラス
2011 La Grapperie La Diablesse
　V.V.　60mlグラス
2016 Patapon Rouge
　Domaine le Briseau　60mlグラス
2016 VIOGNIER Domaine de Cabriac
　60mlグラス
2014 PERNAND-VERGELESSES
　DOMAINE FOLLIN-ARBELET　60mlグラス
2006 ALOXE-CORTON
　1er CRU CLOS DU CHAPITRE
　DOMAINE FOLLIN-ARBELET　60mlグラス
2008 PINOT GERIS
　DOMAINE MARCEL DEISS　60mlグラス

別途消費税

赤坂菊乃井、神楽坂石かわ出身の料理長による素晴らしい京料理。上品で丁寧にひいた出汁により、どの皿も繊細に仕上られていて文句なしに美味しい。品数が豊富なうえに、一皿に乗る料理の食材がハーモニーを奏でるように複雑に重ねられている。小さ目なポーションだからこそ感じる完成された高度な技術。

今回の向付の真鯛の鮮度と熟成感のバランス感が絶妙。料理長が修業した赤坂の本家より美味しいかもしれない。自家製のカラスミも、ほぼ生とも言える最も作りたてに近い食感と軽快な味わいが素晴らしい。真鯛と生カラスミという組合せが完璧にシンクロしている。

先付から感動的な美味しさ。プリッと膨らんだ旬の盛りのハマグリは薄衣でカリっとフリットに。同じ旬のタラの芽は天婦羅にして食べ比べ。春真っ只中に放り込まれた心境となる。タイラ貝とアスパラの組合せも美味しい。シンジョはワタリガニ。生海苔が絡んで海の香りに包まれる。桜鱒は皮だけ剥がしてカリカリに焼き、どんな皮嫌いでも美味しく感じるように仕上っている。

牛肉は熊本県産の肌理細やかなサシの部分を、絶妙な火入れで柔らかく炙っている。花山葵と菜の花との相性も抜群。口直しのお椀には春の食材が勢揃い。鰆、ウルイ、ハマボウフウ、三つ葉、葱が、軽い出汁と素晴らしい香りと味わい。食事はホタルイカとウドのキンピラを炊き込みご飯としている。まさに冬を送って春爛漫を迎える気分。

乾杯のシャンパーニュは2018年のミレジメ。京料理に寄り添う繊細な泡とクラシックな造りが嬉しい。料理に合せる日本酒のバリエーションは、相変わらずレアで貴重な品種がずらりと並ぶ。しかも単独で飲んでも美味しくないものが1品もないところが驚異的。さらにそれぞれ客の好みに合わせ、料理とのマリアージュを良く考えて組合せている。

日本酒や酒器、食器に精通する店主と京料理を極める料理長による、京料理とシャンパーニュや日本酒が完璧にマリアージュする懐石料理の店。店主も料理長も神楽坂に縁が深く、常連客も圧倒的に神楽坂通であり、食通で鳴らす神楽坂の住人も数多く通っている。ある意味、神楽坂通による、神楽坂通のための、神楽坂の店とも言える店となっている。

お任せコース　10000円/9品
先付　ハマグリのフリット　タラの芽の天婦羅
前菜　タイラ貝　グリーンアスパラガス
　黄身酢　木の芽のジュレ
椀物　ワタリガニのシンジョ　蕪　生海苔
向付　明石の真鯛　自家製カラスミ
鉢肴　桜鱒　皮揚げ　焼き胡麻豆腐　蕗味噌乗せ
強肴　熊本県産牛肉の炙り　花山葵　菜の花
止肴　鰆　ウルイ　ハマボウフウ　三つ葉　葱
食事　キンピラの炊込みご飯
　ホタルイカ　ウド　味噌汁　香の物
水菓子　イチゴ　甘夏　小豆
　イチゴのアイスクリーム

料理に合せるお任せコース　5000円
2018 CHAMPAGNE BRUT ZERO
　Grand Cru VARNIER FANNIERE
　120mlグラス
各皿に合せる日本酒　90ml×9種類
喜久酔　純米大吟醸　松下米
　青島酒造　静岡県
松の司　純米大吟醸　陶酔
　松瀬酒造　滋賀県
天頂　無窮天穏　出雲杜氏
　板倉酒造　島根県
早瀬浦　純米滓酒　浦底
　三宅彦右衛門酒造　福井県
大地　旭菊　特別純米
　旭菊酒造　福岡県
王禄　純米吟醸　限定山田五十生原酒
　王禄酒造　島根県
2016 OKUYOKAWA BLUE
　奥吉川　特別純米　生酛原酒
　本田商店　兵庫県
神雷　特別純米酒　八反錦
　三輪酒造　広島県
旭日　麹39　サンキュー
　旭日酒造　島根県

別途消費税・サービス料10％

出汁を活かした京料理が素晴らしく美味しい。赤坂菊乃井出身の料理長による料理の数々は、菊乃井以上に出汁の塩梅が絶妙で感心する。炭火による火入れは香りの良さもさることながら、中身の柔らかさが完璧。柚子味噌や餡かけ、梅おろしなどの脇役の活躍にも目を見張るものがある。

淡路島のサワラは皮目のカリカリ感と炭火の香ばしさが素晴らしい。本格的な京料理と言える仕上がり。添えられた梅おろしも上品に寄り添っていて、炭火と梅の香り、サワラの白身の柔らかで旨みたっぷりの味わいと仄かな梅の酸味が抜群の組合せとなっている。

8品のコースは海老芋から。一度揚げてから炭火焼にしている。柚子味噌との相性がぴったり。2品目は白子。真鱈の白子のあっさりした濃厚さが日本酒を進める。添えられた蓮根の軽い揚がり具合も申し分ない。白菜のすり流しに浮く生麩。シンプルなお椀は優しい味わい。

向付けは京料理に欠かせない真鯛。鮟肝ポン酢との組合せも日本酒好きには堪らない。真鯛の熟成よりも鮮度を重視した食感もまさに京料理の真髄。サワラに続いて酢の物は松葉蟹。土佐酢のジュレが掛けられた蟹の身と蟹味噌は、酢の物と呼ぶのもためらわれる上品さ。止め椀は猪。鳥取県産の猪は聞かなければ高級ブランド豚の美味しさ。料理の丁寧さが伝わる。

合せる日本酒が素晴らしい。海老芋には奈良の純米大吟醸。微発泡の無濾過生原酒は乾杯に打ってつけ。白子には石川の生もと。白菜に山形の詳細未開示の日本酒。香りや味わい、料理との組合せに加え、面白さも追及している。選ばれた全ての日本酒が、かなりこだわって探し出されている。楽しくて仕方がない。

日本酒を選ぶ主人は、神楽坂の旧ふしきの立ち上げメンバー。閉店した月よみ庵、今のふしきのと3店舗に立ち上げメンバーが分かれ、同じ神楽坂で活躍してきた。料理長も神楽坂の3つ星日本料理店にいたことがあるほど神楽坂通が集まってできた店。常連客も神楽坂通が集まっていて、神楽坂の、神楽坂通による、神楽坂通のための店となっている。

お任せコース　8000円/8品
揚げ海老芋の炭火焼き
　柚子味噌掛け　銀杏添え
真鱈の白子　揚げ蓮根
　出汁餡かけ
白菜のすり流し
　生麩揚げ
大分県産真鯛の刺身
　鮟肝のポン酢漬け
淡路島産サワラの炭火焼き
　梅おろし添え
松葉蟹の酢の物　蟹味噌乗せ
　土佐酢のジュレ　茗荷
鳥取県産猪の椀物
　蕪と九条葱
沖縄の伝統菓子
　冬瓜の甘露煮　煎茶

料理に合せた日本酒
　お任せコース　5000円/90ml×7種類
篠峯　純米大吟醸　伊勢錦　Blanc
　無濾過生原酒　29BY
　千代酒造　奈良県
五凛　生もと純米吟醸　GoRIN
　車多酒造　石川県
鯉川　特別純米　新酒
　鯉川酒造　山形県
悦　凱陣　純米酒　丸尾神力
　平成28年酒造年度仕込み
　丸尾本店　香川県
王禄 渓　純米吟醸　本生
　王禄酒造　島根県
松の司　純米大吟醸　H29BY
　松瀬酒造　滋賀県
天青　特別純米　吟望　防空壕貯蔵
　熊澤酒造　神奈川県

2017年宮城版で東北初のミシュラン1つ星を獲得したフレンチ。パリのミシュラン3つ星で修行したオーナーシェフが、隈研吾設計のインテリアで、イノベーティブなフレンチに挑戦している。開業7年目となり、仙台、宮城での人気に留まらず、今や東北を代表するフレンチと言っても過言ではない人気となっている。食材は地元宮城や三陸、東北のものへのこだわりを感じる。メニューはお任せコースのみ。デジュネはポアソン、ヴィアンド両方かポアソンのみの2コースから選ぶことができる。

今回はポアソンのみのコース。金目鯛の火入れが素晴らしい。低温調理で白身の生の食感と旨みを閉じ込めたまま、皮目だけを高温でパリパリにしている。焼き魚と刺身の良いとこ取り。軽快な仕上がりのアンチョビソースと2日間、塩とともに熟成させた旨みたっぷりの金目鯛の身が良く合っていて、熟成した濃厚メルキュレが進んでしまう。この時間を掛けた熟成と丁寧な火入れがシェフの真骨頂らしい。

アミューズは三陸産のさくら牡蠣から。小振りな身からは濃縮されたミルキーさ加減が三陸の復活を伝えている。ボタン海老のパートフィロのカリッとした食感が良い。オードブルはホタテとウニ。ホタテの火入れは表面のみ。ここでもシェフは生の旨みを大切にしている。ホタテとウニの塩を感じる甘さのハーモニーが、見た目の美しさ以上に美味しい。スペシャリテは玉葱。1枚1枚を丁寧に焼いていて、玉葱を外から1枚1枚剥がしながら中まで浸み込んだ味わいを楽しめる。

ワインの品揃えも文句がない。三陸産魚介を中心とした各皿に合わせるのは熟成ブルゴーニュ。ホタテやウニにはブルゴーニュオーコートドボーヌの銘醸、ジャイエジル。2006年は既に濃厚な飴色になり始めている。やや樽を効かせた香りがホタテの甘さに寄り添う。金目鯛にはコートシャロネーズで一番のメルキュレ。そのメルキュレで一番人気のシャトードシャミレイ。しかもヴィンテージは2004年。仙台にはまだこんなワインが残っている。

場所は仙台市の中心、青葉通りと中央通り商店街の間。JR東北本線、常磐線、東北新幹線の仙台駅。表口となる西口をペデストリアンデッキに出て、青葉通りの右側に降りる。五番町通りを渡った次の路地を中央通りに向かい右に入った直ぐの左側にある。最寄り駅は地下鉄東西線、南北線、JR仙石線の青葉通駅。地上に出て徒歩1分。建物はペンシル型の雑居ビル。しかしインテリアは隈研吾らしいパイプに囲まれた異空間。

イタリア、フランスの有名店で数年間修行を積んだシェフの料理は、モダンフレンチの基本、中でも料理に対する姿勢を頑なに守りながら、最も大切と思われる食材への愛を感じる仕上がりとなっている。料理の見た目の美しさは言うまでもないが、地元の食材や生産者へのこだわり、食材のパフォーマンスを最大限に引き出す工夫、なにより食べる人を思う真剣さが伝わる皿の一つ一つに、ここが仙台であることすら忘れてしまうほど感激できる店となっている。

menu dejeuner　4320円
アミューズ　三陸産さくら牡蠣
　58℃で25分火入れした牡蠣
　白醤油とミリン　バジル
アミューズ　ボタン海老のパートフィロ
　パプリカ
オードブル　ホタテとウニ
　魚介煮汁のソース
　表面だけ火入れしたホタテ
　シブーストと茄子　蕎麦米
パン　ライ麦の自家製カンパーニュ
スペシャリテ　2時間30分火入れした玉葱
　ポルチーニとタイム
ポアソン　金目鯛　アンチョビソース
　塩漬けで2日間熟成させて金目鯛
　皮目だけ高温でパリパリに火入れした低温調理
アバンデセール　出来立てのほうじ茶アイス
　エスプレッソとキャラメルのエスプーマ
グランデセール　フリュイとマカロン
　メロン　梨　蜜柑
　柚子のマカロン
エスプレッソダブル

NM CHAMPAGNE BRUT RESERVE
　TAITTINGER　1700円/120mlグラス
2006 Bouregogne Hautes Cotes de Beaune
　JAYER-GILLES　1500円/120mlグラス
2004 MERCUREY BLANC
　Chateau de Chamirey
　1300円/120mlグラス

地元富山の食材に徹底的にこだわっている。食材のパフォーマンスを最大限に引き出す技には、オーナーシェフの富山への愛以外の何物をも感じ得ない。料理の美しいビジュアルも素晴らしい。食材を重視し、食材の良さを活かす出汁の使い方が、あたかも日本料理のようなフュージョン系フレンチ。富山と言えば富山湾の魚介しか知らない身には、衝撃的な店となっている。

今回のヴィアンドは地元で獲れた仔猪。いわゆるウリ坊の肉は雑味がなく、その柔らかさがいかにも乳呑み子らしくて素晴らしく美味しい。肉のジュを使った軽快なソースも全くこのピュアな味わいを損なわない。添えられた珍しい茸と茸のピュレもウリ坊を引き立てている。

アミューズは地元富山の紅ズワイ蟹から始まる。シャンパーニュに合わせるグジュールにも黒部の山羊乳。地元名産の最中の皮の中にパテ。富山湾のゲンゲは秋の装いで。オードブルは四方のハモと氷見のアオリイカ。続いてスペシャリテが2皿。始めに婦中の鶏スープに浮かぶ卵。婦中の卵は雌鶏が初めて生んだヴァージンエッグというこだわり。

2皿目は見た目に驚かされるレヴォ鶏と名付けられた生後45日目の若鶏の足。地元産にどこまでもこだわっている。ポアソンはグジ。生地のアマダイ。白身を最大限に活かしたふわふわの火入れ。白ワインが進んでしまう。富山湾の海老と甲殻類のソースとの相性も抜群。アヴァンデセールは高岡のアロエ。グランデセールには朝日町名物のバタバタ茶を使っている。

乾杯のシャパーニュは伝統的な造りのパニエ。意外とレアでコストパフォーマンスは抜群。ハウスワインは白がミュスカデ、赤がピノノワール。グラスワインも気軽な銘柄を揃えていて好感が持てる。

富山駅からタクシーで40分という川沿いに佇む日本とは思えぬ本格的なリゾート。そのホテルのフレンチレストランから独立したオーナーシェフの店。店はホテルの場所と内装をそのまま引き継ぎ、経営上分離独立したとのこと。地元富山各地の自慢の食材に徹底的にこだわり、その食材を最大限に活かすことに並々ならぬ地元愛を感じる。今や富山観光の目玉と言っても過言ではないのではないだろうか。

プロローグ
　富山湾産紅ズワイ蟹の蟹味噌
　黒部産ヤギ乳のグジュール
　黒胡麻の最中の皮　鯖のパテ
　富山湾のゲンゲ　山椒
　赤ビーツのメレンゲ　雛鶏のパテ
軽く火を入れた四方産ハモ
　赤玉葱と蚕紗
　白ヨーグルトと葉野菜のソース
　香味野菜のバリグールソース
氷見産アオリイカ　エンペラとゲソ
　イカの身と胡瓜
　貝のジュのエスプーマ
婦中産ヴァージンエッグ
　鶏出汁のスープ
　黒部産ヤギ乳のチーズ
スペシャリテ　レヴォ鶏
　地元契約養鶏場産生後45日の足付き
生地産アマダイ　富山湾の海老
　地物舞茸とオクラ　ジャガイモのピュレ
　甲殻類の出汁のソース
　コリアンダーとセリフィーユ
大山町産仔猪　カラス茸　風船茸　舞茸
　キノコのピュレ　アマナガ唐辛子
自家製パン　黒部産コシヒカリの米粉パン
　全粒粉のパン
高岡産アロエのグラニテ
　アロエの果肉とキウイのシャーベット
　キウイの果肉とエスプーマ
朝日町産バタバタ茶
　4種類のアイスクリーム
　ブランマンジェとエスプーマ
　チュイールと粉末
エスプレッソダブル

NM CHAMPAGNE BRUT
　PANNIER Selection
　PANNIER　1980円/120mlグラス
2016 MUSCADET SEVREET MAINE
　SUR LIE DOMAINE LA BAZILLERE
　880円/120mlグラス
2017 Eco BALANCE PINOT NOIR
　EMILIANA　880円/120mlグラス

別途消費税・サービス料10％