葡萄党幹事長さんが投稿したラルジャン（東京/銀座）の口コミ詳細

クラシックなフレンチを極めた上で、和の食材を活かす、北欧モダンも取り入れたオリジナリティが素晴らしい店。ミシュラン3つ星、2つ星を知る支配人以下、スタッフのサービスが良い。繊細な感覚を研ぎ澄ますシェフの料理は、今の日本における日本人シェフの、トップクラスとなるレベルとなっている。

今回のヴィアンドは北海道産の仔羊。テレビ番組にも登場する白糖町の羊専門牧場で、自称羊飼いという一家が育てる希少な日本一のラム肉。まるで乳飲み仔羊のように癖のないピュアな味わいと、満遍なく柔らかな火入れ、食感が素晴らしい脂、肉を引き立てる仔羊の骨と肉のジュの控えめなソースが、完璧なバランスを構成している。肉の中に詰められた行者大蒜のアクセントも良い。添えられた根セロリとトリュフのペーストや、未成熟な苺のピクルスまで、どこまでも手が込んでいて、素晴らしく美味しい。

コースはアミューズ、京都府産の菊芋とトリュフから始まる。菊芋の皮をカリッと仕上げ、中身をペースト状にして、トリュフたっぷりとともに皮の中に詰めている。口の中で溶けていく、まるでスープのような菊芋が素晴らしい。オードブル1皿目は和歌山産、紀州うすい豆。パンナコッタにぷりぷりのうすい豆が散りばめられ、上には豆苗、うすい豆のメレンゲが乗る。

2皿目のオードブルは北海道産のボタンエビ。パセリのジュレでコーティングされ、山葵のパウダーが周りを囲んでいる。林檎スライスも軽い酸味がボタンエビの甘さとぴったり。3皿目は佐賀県産のホワイトアスパラ。ウニとウニのエスプーマに合わせている。ホワイトアスパラとウニの相性が、文句なしの美味しさ。

ポアソンは北海道網走産の釣りキンキ。はえなわ漁船で釣るキンキは、ストレスの少ない柔らかな白身となっている。スチームでじっくり蒸して、しっかりと火入れされているのに、柔らかさが素晴らしい。ハマグリと春菊とレモンのスープも、完璧な白身を引き立てている。コゴミ、ワラビ、ノビルなどの山菜や、インゲン、ペコロスと合わせるところもなかなか憎い。

北海道産酒井さんの仔羊に続いて、デセールはシェフの出身地、静岡県掛川産のブランド苺、ももちゃん。上には瞬間冷凍され、ふわふわになった世界一軽いチョコレート。そしてスペシャリテ、ミニャルディーズの３段重。最後まで楽しく、あっという間に2時間が経ってしまう。

今回のシャンパーニュはドラモット。菊芋にもうすい豆にも良く合っている。ボタンエビやウニにはコンドリュー。こんなにウニに合うワインがあることに驚く。最高のキンキにはコートドローヌ。絶妙な温度になったミュスカデは、シャルドネを超える飲みやすさ。仔羊には熟成ボルドー。今や貴重な97年があるところが銀座フレンチの真髄。

アドレス、サービス、料理、ワインの全ての素晴らしさが、銀座フレンチで今やトップクラスの人気となる理由。シェフの日本の食材への愛が溢れ、支配人以下スタッフの一生懸命さにも心が癒される店でもある。今、最もバランスが取れた、安心して身を任せられるフレンチと言える店ではないだろうか。

今回のヴィアンドは、北海道十勝ハーブ牛。低温長時間のローストは複雑な火入れで、十勝ハーブ牛の持つパフォーマンスを完璧に引き出している。食材に対する火入れの細やかさは、シェフの溢れ出る愛を感じるほど。牛肉のジュと赤ワインのソースも控えめで、モダンフレンチらしく、赤身肉そのものの味わいや旨味を引き立てている。

アミューズは鹿児島県喜界島の玉蜀黍。玉蜀黍は、シェフの師匠の出身地である喜界島の名産の一つ。仄かな甘さと玉蜀黍の香りが、乗せられた白エビやエルダーフラワー、ハーブに良く合っていて、ミレジメのシャンパーニュが止まらなくなる。

オードブルは岩手県産の石垣貝。ビーツのジュレのシートで巻いて、北欧産の白キャビアとともに。食感のコントラストが効いていて、石垣貝の旨味を、仄かなビーツの香りが包み込んでいる。極上のクーレドセランとのマリアージュも美しい。

本日のスペシャリテは、シェフの出身地、静岡県掛川のお茶とフォアグラ。鶏肉のブイヨンに長時間漬け込んだフォアグラは、余分な脂を全て落とし、上品さがこの上ないテリーヌのよう。掛川茶で包まれたフォアグラを、アンリジローのラタフィアのジュレ、ピスタチオのローストと贅沢に合わせる。

ポアソンは山口県産の白甘鯛。いわゆる京料理の高級魚、グジを松毬焼きのように火入れして、テーブルで支配人が伊勢海老のコンソメを注ぎ込む。天然の舞茸、素揚げの銀杏、百合根やミズとともに、脂の乗った柔らかな火入れの白身、グジをこれでもかと引き立てている。伊勢海老の香りが夢のよう。

2011年ミレジメのシャンパーニュで始まる、ソムリエ支配人お任せのワインペアリングが素晴らしい。石垣貝にはクーレドセラン、フォアグラにはドイツのリースリング、グジにはフェヴレのムルソーシャルム、そして十勝牛には2008年のポイヤック、シャトーポンテカネ。文句なしのオールスター軍団。仕上げは2002年瓶詰めのハイランドパーク、ボトラーズ。嬉しくて涙が出てしまう。

ミシュラン3つ星出身のソムリエ支配人と、3つ星、2つ星出身のシェフが織りなす、今までにない新しい銀座モダンフレンチ。日本が誇る食材を、フレンチの基本に日本の伝統も織り混ぜ、オリジナリティを加えた調理で、最大限に生かしている。開業わずか1年でミシュランの星を取得。銀座に新しい風を吹かせた店は、まだまだこれから進化していくものと思われる。

今回はホロホロ鷄。柔らかな火入れが完璧。肉の旨味を百パーセント閉じ込める、火入れの上手さが光っている。ホロホロ鷄のフォンと赤ワインのソースが、見た目とは違う軽さで、肉そのものの味を引き立てる。サマートリュフも上からふんだんに乗せていて、真夏の仄かな香りを漂わせている。仄かな香り、柔らかな食感、軽快な味わい、夏のフレンチはこうでなければいけない。ピノノワールが止まらなくなる。

お任せのコースはスペシャリテ、京都府産七谷鷄のアミューズ。サクサクさと中のムースとの食感のコントラストが良い。オードブル1品目は鳥取県産の猛者海老。まるで海老真薯のフレンチ版という美味しさに驚く。オードブル2品目もスペシャリテ、静岡県産の発酵マッシュルーム。真っ白なマッシュルームは、絶妙な発酵具合で、キノコのソースとの相性がぴったり。合わせるジュラと発酵キノコとの香りのマリアージュも堪らない。

ポアソンは和歌山県産のヒラメ。ポアレの火入れも文句の付けようがない。皮目のパリパリ感、白身の一体的なふわふわさ、ソースの軽さ、全てが理想的に仕上がっていて、シャルドネのためのポアレとなっている。ヴィアンドの岩手県産ホロホロ鶏に続いて、熊本県産バラのデセール。チッソガスで凍らせ、パリパリと上からかけるパフォーマンスが楽しい。

そしてこの店の最大のスペシャリテは、カフェとミニャルディーズ。なんと銀座4丁目交差点を、7階から見下ろすテラス席で、銀座通りを眺めながら愉しむことが出来る。まん丸の白い器は、ミニャルディーズの3段重。最後まで、飽きることがない。

乾杯のシャンパーニュは王道のボランジェ。銀座フレンチはこうでなこればいけない。海老にはアルザス、キノコにジュラのシャトーシャロン、2011のリコルク版。芸の細やかさに脱帽。さらにヒラメには、究極のコルトンシャルルマーニュ。ホロホロ鷄には、ドメーヌポンソのニュイサンと続く。嬉しさのあまり、一言も発することが出来なくなる。

銀座の新たなランドマークとも言えるテラスフレンチ。北欧の影響も受けつつ、日本各地の旬の食材や調理法も大切にし、全く新しいオリジナリティを発揮するシェフのフレンチでもある。カンテサンスから続く系譜、ワインとのマリアージュも素晴らしい。これほど美しく組み合わされた料理とワインは、そうそう味わうことが出来ない。銀座フレンチに新しい1ページが加わり、次なる歴史が始まったように感じる。

美しい料理のビジュアルはモダンフレンチの最先端。旬の食材のセレクトと調理、特に火入れの技術はクラシックフレンチを極めている。そしてクラシックをベースにして日本らしさを加えたソースがオリジナル。モダンとクラシックを絶妙に調和させた仕上がりはまさに秀逸と言う言葉が似合っている。

今回のポアソン、舌平目とホタテムースのパイ包み焼きが素晴らしい。全体的な造詣の美しさは言うまでもなく、パイやそら豆など構成する1つ1つの要素が美しい。さくっとした食感や食材の香り、舌平目とホタテの味の調和、主役を引き立てるソースの組合せが文句なし。パセリを使ったブールブランとそら豆に挟まれ、ホタテに包まれた舌平目のシンプルな旨みが最高の味わいとなっている。

ランチコースは2種類のアミューズから始まる。1皿目はアオリイカ。和歌山の魚店との信頼関係が厚く、和歌山経由で全国の旬の魚も仕入れられほど。今回は甘さが抜群な和歌山県産。スモークされたキャビアとの相性が良い。2皿目は京都七谷鶏のレバーペースト。キノコのサブレであっさりとレバーが食べられる。

オードブルがスペシャリテの発酵マッシュルーム。シェフがミシュランの星を取った時からのスペシャリテ。フレッシュからロースト、スープまで、発酵させて旨みを凝縮させたマッシュルームの3変化が楽しめる。マッシュルーム好きには堪らない。美しいポアソンに続いてヴィアンドは京鴨。カシスのシートに包まれ、ビーツのジュレとともにポルトソースが美味しい。見た目のモダンさとしっかりした味付けというクラシックの基本がベース。一貫したコンセプトが憎い。

乾杯のシャンパーニュは春らしいロゼ。ポメリーというところも春らしいセレクトか。魚にはシャサーニュモンラッシェ。造り手も王道中の王道。聞かなければモンラッシェクラスの滑らかな口当たり。村名クラスとは思えない流石のセレクト。舌平目を引き立てる。京鴨にはジュヴレシャンベルタン。濃厚なベリーを仄かに感じるジュヴレと鴨の組合せも王道。デセールとソーテルヌまで完璧なワインのマリアージュが続く。

美しいビジュアルと食材に合った火入れ、食材を引き立てるソース。クラシックをベースに最新のモダンさをオリジナリティ豊かに加えるバランス抜群のフレンチ。3つ星の系譜を継ぐサービスの完璧さも素晴らしい。ソムリエ支配人によるワインのセレクトは王道を知り尽くしている。何より銀座4丁目交差点を見下ろすテラスからの景観が日本一。この店が星を取るのも予約が取り難くなるのも時間の問題と言える。

Lunch　7700円
アミューズ
　和歌山県産アオリイカ
　スモークキャビア
アミューズ
　京都府産七谷鶏のレバーペースト
　キノコのサブレ　カシスのパウダー
オードブル
　静岡県産マッシュルームの3段活用
　発酵マッシュルーム　フレッシュとソテー
　マッシュルームスープ　ポーチドエッグ
ポアソン
　和歌山県産舌平目　ホタテのムース
　パイ包み焼き　そら豆
　ウイキョウのピュレ
　パセリのブールブランソース
ヴィアンド
　京都府産京鴨　ビーツのジュレ
　カシスのシート　ポルトソース
　アーティーチョーク　ペコロス
パン
　自家製ライ麦パン
　ヨーグルトバター
　自家製フレッシュバター
デセール
　静岡県産ヨモギ
　ヨーグルトのアイスクリーム
　フレッシュバターのパウダー
　日向夏のピュレ
カフェ
　エスプレッソダブル
ミニャルディーズ
　3段重

NM CHAMPAGNE Brut Rose
　POMMERY
　1400円/120mlグラス
2014 CHASSAGNE-MONTRACHET
　MICHEL COUTOUX
　2200円/120mlグラス
2013 GEVREY CHAMBERTIN
　Domaine Taupenot-Merme
　2420円/120mlグラス
1997 CHATEAU COUTET
　SAUTERNUS-BARSAC
　PREMIER CRU CLASSE
　サービス/60mlグラス

別途サービス料10％