2回
2021/12 訪問
東京でフグを堪能できるなんて。
下関や北九州では「ふく料理」、関西では「テッポウ料理」と呼ばれ、関東には戦後になって入ってきたとされる「ふぐ料理」。恥ずかしながら当方今まであまりきちっとしたふぐ料理を食べた経験が少なく、大手和食チェーン店で食べたものや、どこかの宴会で供されたもの、大阪で旨いからと誘われて食した安いポン酢の味しか印象に残らなかったようなものばかり。
そんな人間がレビューするのもはばかれるがこちらのお店は特筆するものとなった。
昭和初期に建築された瀟洒なビルに3軒の飲食店が軒を並べ、その右端にある。どの店も繁盛している様子。夜の活気が戻ったかの賑わいに気持ちが高揚する。
1階はモダンなカウンターだけでどの角度からも「ふぐ料理」の雰囲気が感じられない。すでに3名ほどカウンターで酒を楽しみふぐの唐揚げをかじっていた。この日は4名で予約していたので2階の半個室に。きっちり感染対策の間仕切りが施されていて、窓も開けてあって換気も十分。
オーダーは焼きふぐコース(\9,900税込み)
・先ずは日替わり先付け
いわゆる皮の部分をいただくてっぴと呼ばれるもの。歯ごたえ良く期待感が高まる。
・・ひれ酒 店内を暗くして炎のひれ酒を堪能。足し酒は3回までイケる。
・熟成てっさ(タレは2種・一つはあん肝のタレ)
熟成されたてっさは肉厚で口に入れて一噛みで驚かされる。
・こだわりの逸品(真子のピッツア)
真子はふぐの卵巣、しかしみごとにピッツアとして勝負できている。ふぐ料理のお店で。
・焼きふぐ3種の部位(塩だれ)
言葉に表せないほどの感激。焼きふぐってこんなに美味しいものとは。火加減の調節などお店の方が焼いてくださったから美味しいのであることは付け加えておきます。
・焼きふぐ2種の部位(醤油だれ)
塩だれで充分かと思ったら、やはり醤油だれは趣が異なる別物。ウマイッ。
・サクサクの唐揚げ(付け合わせの銀杏がオシャレ)
当然のように骨が気になるはずが、きちっと処理されているので骨はあるが食べやすい。何よりもサクサク具合も抜群で、揚がり方が秀逸。
・たまごの雑炊
雑炊のためにきちっとお出汁を取って待機してくれた様だ。
・デザート
美味しい余韻を静かに閉じてくれるアイス
きっと何人もの先達が命を落としてでも食べたくなる逸品だとは聞いていたが、その意味を理解できたような気がした。それでも先達には感謝しきれないほどの感動する夜を楽しめた。
2021/12/13 更新
新富町と銀座一丁目、宝町と東銀座のそれぞれの中間に位置する昭和なビルの一角にあるこちらのフグ料理店。今回の訪問で4回目となる。もちろん、味もさることながら、価格と雰囲気、お店の方の程よい接し方など、どれもちょうどいい塩梅で、仕事でお世話になった方などを気軽にご一緒するのに重宝するお店だ。
入ってすぐのカウンターには外国の素敵な女性とネイティブな英語を流暢に話される日本人の女性が慣れた手つきでてっさを口に運んでいた。入って数秒でこの店の空気がタダものでないことを感じられる。
この日は3名で予約をしていたので2階の半個室に。奥の席では外国人ビジネスマンを接待されているビジネス戦士の日本人。そして我々だけ。この他3階にも席のご用意はあるようだが、総じてさほど大きな店ではないが、会話もしやすい距離感やお店のスタッフの方達の目が届くスペースが程よいお店だ。
オーダーは焼きふぐコース 9,900円(税込み)
・日替わり先付け
いわゆる皮の部分をいただくてっぴ。コリコリとした歯ごたえがクセになるフグ導入編と言った感じ。
・ひれ酒 店内を暗くして青い炎と共に流れ落ちるひれ酒を堪能。
・熟成てっさ(タレは2種)
熟成されたてっさは肉厚で、薬味を少しづつ巻いて口に入れる。一口で肉厚なことに驚く。
・こだわりの逸品(真子のピッツア)
ふぐの卵巣、しかしみごとにピッツアとして体をなす。
・焼きふぐ3種の部位(塩だれ)
先に大皿に並べられた生の状態を客に見せてくれる。で、お店の方が順にグリルで焼いて下さる。塩はネギの薬味を少し乗せて一口で。焼きふぐってこんなに美味しいものと改めて感動。
・焼きふぐ2種の部位(醤油だれ)
やはり醤油だれは趣が異なる別物で、焼き上がったら少量の山葵をつけて口に運ぶ。本当にウマイッ!
・サクサクの唐揚げ(付け合わせのそら豆が粋)
フグの唐揚げは鶏カラに近い気もするがここで再確認。全く異なる。当然のように骨は気になるが、何よりもサクサク具合と身の食感。これはフグ出ないと味わえないもので抜群、揚がり方も秀逸。
・焼き白子(コース外)¥2,750
・白子の揚げ出し(コース外) ¥2,200
どちらもせっかくのお勧めだったのでオーダー。豆腐のようなブッラータチーズのような不思議な食べ物。焼き白子は香ばしく、揚げ出しは餡の出汁が美味い。
・たまごの雑炊
雑炊のためにきちっとお出汁を取って待機してくれた様だ。
・デザート
美味しい余韻を静かに収めてくれるアイス
フグをいただくと毎回思うのが、相当数の先人が命を落としてでも引き継がれた調理技術。そうした継承があってこその楽しい夕食なのだから感謝してもしきれない。
今夜もご馳走様でした。