1回
2018/10 訪問
あやめも知らぬ 恋もするかな ~なか條~
2018.10. 鮑
2018.10. 皮剥
2018.10. ナガスクジラの尾の身
2018.10. 牡丹海老
2018.10. 鰆
2018.10. 新烏賊
2018.10. 真羽太
2018.10. 黒睦
2018.10. 春子鯛
2018.10. 白川
2018.10. 〆鯖
2018.10. 鰤
2018.10. 赤身
2018.10. 中トロ
2018.10. 大トロ
2018.10. 小鰭
2018.10. いくら
2018.10. 小柱
2018.10. 赤海胆(北海道昆布森産)
2018.10. 赤海胆(鹿児島県阿久根産)
2018.10. 蝦蛄
2018.10. 車海老
2018.10. 煮蛤
2018.10. 穴子
2018.10. 干瓢巻き
2018.10. 玉 & 出汁巻玉子
記事URL:http://lovehappydays.blog54.fc2.com/blog-entry-2179.html
2018/11/29 更新
2018.10.
「最高と思った鮪は、この10年で2本だけ。1年を通しても、気に入る鮪は1本くらいです」
輝くような白木のカウンターの向こうからそう語るのは、中條 清隆さん。横浜中華街から2017年に関内へと移転し、屋号を「なか條」と改めて、鮨を握る生粋の職人堅気の親方です。中條さんは築地(現豊洲)で、その日の1番いい魚を持っていく男として有名な方であり、中でも1番の拘りを持ってらっしゃるのが鮪。そんな鮪は鮪卸問屋の雄である「やま幸」から仕入れているそうで、「やま幸」社長の山口 幸隆さんとも10年以上の付き合いがあり、お互いに認め合うほどに鮪への情熱が凄まじい方です。
予約は1ヶ月半くらい前に、思いつきで電話したらあっさりと取れました。その際に聞かれたのは、予算と内容(握りと摘みの割合)。私はやはり鮨店なので、握りをメインで食べたく、予算を3万円・摘み少量ででお願いしました。
当日。
関内駅から5分くらいの細い路地にある黒い塀、足元にぼんやりと光る灯りとたなびく白い暖簾。
「なか條」
今夜の舞台です。逆L字のカウンターに、鮨店で珍しい肘掛付きの椅子が10席と個室を完備している綺麗な店内。今回は親方の目の前に座らせていただき、酔いしれましょう。
今夜の献立
摘み
まずは大きな皿が目の前に置かれ、そこには若芽と茗荷。これが摘み用の皿みたい。
鮑
小ぶりな鮑のようですが、身はとても柔らかく、香り高い。
皮剥
すごい小さな身を浅葱に巻きつけて、供されます。肝醤油か肝ポン酢かを選ぶことが出来るみたい。
ナガスクジラの尾の身 ♡
いつも尾の身を見ると、まるで牛肉みたいと思ってしまいます。牛肉よりも上品に蕩けて甘みもあり、実に美味しい。
牡丹海老 ♡
特大のものを半生に仕上げています。牡丹海老は大抵生で供されることが多かったので、目から鱗の一品でした。
鰆 ♡
表面を軽く炙っていて、辛子醤油でいただきます。鰆のほんわりとした甘みと香ばしさも合わせて、実に美味しい。
ここから握り
新烏賊
新烏賊としては、そろそろ終わりかな?という大きさ。純粋無垢なサクサク感です。
真羽太
鮃が好きではないという親方がこの時期に使うのは、羽太。寝かせてあるみたいで、身に甘みが広がっています。
黒睦
艶めいた身は、どこかエロチック。白身ながらも脂は十分。
春子鯛 ♡
橙酢で〆て、更に黄身酢おぼろで〆て、供する前に酢橘を絞るという手の込んだ春子鯛。皮目は柔らかく、羽毛布団のような極上のフワフワ感。
白川
銀座でもなかなか出逢くことが少ない白身の中でもピカイチの高級魚の白甘鯛。焼いてよし、蒸してよし、握ってもよしの脂も甘みも上品な味わいです。
〆鯖 ♡
鮨店の〆鯖は鉄板の美味しさがありますが、これは別格の美味しさ。口の中で、一気に目覚めるような鯖の旨味が堪りません。
鰤 ♡
北海道羅臼産。煮切りを弾くような脂は、温度が高いシャリと共に口の中で混ざり合い、瞬時に溶けます。
赤身 ♡
鮪の卸問屋の老舗「やま幸」から仕入れているもので、今回は青森県三厩産の釣り。握りに入る前から切りつけて、乾燥防止の透明なフイルムで包み、温度を上げます。
シャリも鮪には赤酢を効かせたパンチのあるものに変え、握られます。その食感はゼリーのようで、口溶けは中トロと分別が付きづらいほどに優雅。
中トロ ♡
甘みのある脂が口の中を駆け抜けて、香りのみを残していくよう。
大トロ ♡
分かりやすい脂の口溶け。鮪のジュースを味わっているような感じです。シャリとの相性もこの大トロが1番合っていると感じました。
これでも「ウチの鮪としては、さほど…。それでも他店よりはいいけど、味が薄いんだよね」と仰る。中條さんが気に入る鮪は、一体どんな味わいなのだろう?
小鰭
これだけ肉厚な小鰭は、なかなか出逢えません。ジューシーというよりは、きりりと次の種の為に整える感じ。
いくら
ルビーのような輝きのいくら。心地よく口の中で弾け飛び、卵かけご飯のような味わいが広がります。
小柱 ♡
見たことないくらいの大星。香りと食感が素晴らしい!
赤海胆
北海道昆布森産。口に入れると、まるでジュースのように一瞬でとけ、昆布のような旨味が広がります。
赤海胆 ♡
赤海胆の食べ比べ。こちらは鹿児島県阿久根産のもので、味わいも全く異なります。こちらは旨味の爆弾のような感じ。私が好きなのはこっちかな。
蝦蛄 ♡
ここまで大きくて、綺麗なものは見たことがないです。蝦蛄から旨味が溢れてきます。蝦蛄好きとしては、堪りません。
車海老
これもまた特大の車海老。最近は主流になってきている半生ではなくて、確りと火を通してたもの。これは個人的にあまり好みではなかったかな。
煮蛤
確りと漬け込んでいるようで、噛めば噛むほどに味が増すような煮蛤。
穴子
穴子自体はトロトロで、舌に絡みつくような感じでとても好みな仕上がり。なのですが、煮ツメが辛い。個人的にはもっと甘い方がいいな。
干瓢巻き
クラシックな仕上がりで、これは好み。
玉 & 出汁巻玉子
玉は2種あるようで、右はふんわりとした芝海老が入ったもの。左は〆の玉としては、鮨店では珍しい?出汁巻玉子。
ほぼ貸し切り状態ということもありますが、かなりいいテンポで供していただきました。関内の色々なお店からは「美味しいけど、高い」という話ばかりを聞いていましたが、それは横浜という土地柄を踏まえてのこと。確かに客単価3万オーバーのお店は、横浜ではなかなかないと思います。その中での3万オーバーの鮨店というのは、確かに高い。でも内容から見ると、銀座で同じものを食べたら一体いくらかかるの?という素材の数々。親方に同じ事を言ったら、銀座だとだいたい1.7倍くらいはするそうです。それを考えると、決して高くはありません。
よくシャリを小さめにとお願いされることもあるそうですが、親方は断っているそう。それはこの鮨でお腹いっぱいにしてもらいたいからという思いが込められています。
親方の写真はNGとのことで撮りませんでした。ドスの効いた声と一見怖そうな親方ですが、聞けば色々と教えて下さる方なので会話してみて下さい。間違えなく、味とCPは銀座をも超えるお店です。
親方、ご馳走さまでした。また宜しくお願い致します。28250