5回
2018/10 訪問
訪問する度に感動 卓越した技と業が生み出す至高の十割蕎麦&蕎麦前
今年1月以来久々、昼時一人で訪問しました。
○ 天婦羅せいろ 2300円
○ 牛タンつくね 800円
○ 日本酒ひやおろし(出雲市) 1550円
「無窮天穏 山陰吟醸 生酛造り」
○ 蕎麦焼酎蕎麦湯割り
「伊那の勘太郎」(長野県) 770円
この日の蕎麦前スタートは島根県出雲市秋の冷やおろし「無窮天穏 山陰吟醸 生酛造り」、ぐい呑みを鼻に近づけただけで花の香りにも似た麹の香り強く漂います。一口含めば日本酒度+6とは思えない甘栗のような厚みのある旨み感じられますが、切れ鋭く後味はやはり辛口に感じるという何とも贅沢な日本酒、旨いです。
蕎麦焼酎は今回も長野県「伊那の勘太郎」の蕎麦湯割り、蕎麦湯はその都度小鍋で蕎麦粉と釜湯を合わせて作る丁寧さ、そんな蕎麦焼酎が美味しくない訳がありません。いつもながらこれも別嬪です。
あてはまたしても「牛タンつくね」を注文、牛タンつくねはあちこちの店にもありますが、此処「縁」でしか味わうことができない別格牛タンつくねですから、ついつい毎回注文してしまいます。
そのままで、酢橘を絞って、卵の黄身、胡麻油とそれぞれの味を楽しみました。ここでも酢橘の種を一つずつ丁寧に箸で取り出す仕事、全ての仕事に共通しますが、妥協を許さない仕事ぶりは見ていていつも感動します。
さて、今回初めて天ぷらせいろを注文しました。天ぷらの油切りは今まで何度も見てきましたが菜箸で摘まんで15回から25回、天ぷらタネを一つずつ種類によって回数を変えながら縦に振り続けます。しっかり油が切れた天ぷらはどれもサクサク、カラッと揚がり天ぷら専門店にも引けを取ることありません。いや、むしろ縁さんを超える天ぷら専門店の方が少ないかも?
この日の玄蕎麦は千葉県成田市産、キタワセの夏新蕎麦でした。昨年の秋に頂いた信濃一号秋新蕎麦には香り甘みともに負けますが、ここは喉越しと歯ごたえ勝負の微粉十割打ち、気になりません。
それよりも夏新のキタワセらしく緑色っぽいところが爽やかに感じます。いつもながら水切り具合もベスト、思わず「旨い!」と叫んでしまう微粉打ち十割蕎麦でした。
PS
初回訪問時から大将の体調都合によりお客さんの人数調整のため予約原則でありましたが、少し前からさらに完全予約制となりました。
また、蕎麦だけの注文は不可、蕎麦以外に1品注文必用になった旨、予約時に伺いました。昼・夜の部ともそれぞれ3組6名程度のお客さんの数からして、商売人では無い素人の小生でもその辺の事情は理解できます。もとから蕎麦前付きで訪問する小生には変わらないことでありますが、予約される方はその点ご注意ください。
せいろ 十割細切り
辛汁と蕎麦湯
蕎麦湯
天せいろ 天婦羅
天ぷらは塩で
牛タンつくね
黄身をからませ胡麻油垂らすとまた新たな味覚
お通し
これは間違いなく旨い!
むきゅう てんおん
内観
伊那の勘太郎蕎麦湯割り
メニュー(蕎麦前)
外観
2018/10/09 更新
2018/01 訪問
本鰹一番出汁の甘汁 かけ蕎麦も絶品
1月中旬、名古屋出張後に多治見の知人と池下駅にて待ち合わせ、自身3回目の訪問となりました。
当店使用する玄蕎麦は信濃一号、長野県で最も多く栽培される品種でありますが八ヶ岳山麓産は特に品質が良いとの評判で、全国の有名蕎麦店で重宝されています。
その信濃一号の玄蕎麦を店舗の石臼にて玄挽きし、小麦粉等の割無しで打った十割蕎麦は微粉ながら香り立ちます。硬すぎず適度に締まり歯ごたえしっかり感じると同時に、喉越しも滑らかな絶品蕎麦切りです。
冷たいせいろで頂けばその滑らかな喉越しときりっと締まった歯ごたえが愉しめること言うまでもありませんが、温かい甘汁のかけ蕎麦もまた絶品であります。
蕎麦切りに関しては当店のような微粉細打ちから超粗びき太打ち等様々な蕎麦切りがあり、それぞれ好み分かれるところではありますが、甘汁に関してはどんな蕎麦切りでも土俵は同じです。
当店の甘汁は、出汁の旨みと返しの塩梅そして香り全てが超抜群、小生が食べてきたかけ蕎麦の中では今のところ不動のNO.1です。
また甘汁用の出汁は、本枯節と荒節2種類の本鰹節の一番出汁を使用しているのが大きな特徴かと思われます。関東では二番出汁に宗田鰹やその他の混合節を合わせる店がよく見られます。超粗びき十割で有名な滋賀県の名店では一番出汁ながら本枯節と宗田鰹節を合わせていますが、本鰹だけの甘汁は全国広しと言えどどれだけあるのでしょうか?
当店は、「せいろ」と「かけ」は同額設定になっていますが、出汁の使用量からして「かけ」の方がよりにコストがかかっています。これだけ贅沢な甘汁使用であれば、普通は「かけ」のほうが割高になるところですが、同額とは嬉しい限りです。
日本酒の品揃え銘柄入れ替えも素晴らしく、季節と料理に合わせた日本酒が揃い、今回3回目になりますが毎回飽きることがありません。
美味しいお酒と肴で蕎麦前、〆に絶品の蕎麦切り、幸せだなあ~ ご馳走様でした。
かけ蕎麦
せいろ蕎麦
辛汁と削りたての本枯節
突き出し
牛タンつくね
焼き椎茸
厚揚げ豆腐
高知県「久礼」純米初しぼり
福岡県「奈良萬」純米瓶火入
奈良県「みむろ杉」 特別純米 辛口 露葉風 無濾過生原酒 29BY
内観1
内観2
2018/02/05 更新
2017/12 訪問
丁寧な仕事、極上蕎麦切り、洗練された蕎麦前、全てに感動
この日も相方仕事で都合つかず残念?ながら3週前に続いての一人訪問です。
前回頂いた微粉十割蕎麦切りの歯ごたえと辛汁が恋しくなり再訪問しました。
<蕎麦前 酒編>
〇 日本酒 日輪田 山廃純米(宮崎)
〇 蕎麦焼酎 伊那の勘太郎(長野)
吉兆雲海(宮崎)
<蕎麦前 あて編>
〇 牛たんつくね
〇 胡瓜の酒粕漬
<蕎麦切り>
〇 せいろ
写真取り損なった水切り、目の粗い深竹笊で丁寧にかつ素早く蕎麦切りを数本ずつ摘まみながら水を切り、蒸篭に盛り付ける仕事は、見ていて惚れ惚れします。
本日の蕎麦切りは先日よりもさらに麺線整って見えます。先回と同じ長野県八ヶ岳山麓産信濃一号玄蕎麦使用です。
その十割微粉の特徴を最大限に生かした抜群の歯ごたえは変わらず、香りは今日の方が立っているように感じました。
蕎麦前まずは「牛たんつくね」あてにして宮崎の「日輪田」をぬる燗で、辛口ながら米の旨みと香りが強く鼻から香りが抜けていきます。飲み進めていくうちにどんどん旨みが増していく酒ですが、冷めると香り弱くなり酸味が主張してくるタイプ、大将お勧めの通り、これはぬる燗がベストです。
牛たんつくねは弾力があります。牛タンの風味はもちろんありますが動物系よりも魚介寄りの旨みを強く感じます。練り物のタネが気になりました。
日本酒がなくなったところで蕎麦焼酎を蕎麦湯割りにて頂きました。長野県の「伊那の勘太郎」は旨みと香りが良いです。宮崎の雲海と飲み比べましたが、初めて頂いた伊那の勘太郎に軍配上げます。
前回、せいろに続きかけ蕎麦まで頂き、お預けだった「極上辛汁あてにして一杯」、蕎麦焼酎2種蕎麦湯割りを飲み比べしながら堪能できました。
途中注文した胡瓜の酒粕漬と沖縄の塩、削りたての本枯節、安曇野のわさびに刻み葱、辛汁合わせて全6品の豪華なあてで勘太郎をお代わり、贅沢な蕎麦後?を楽しみました(笑)
今回も素晴らしい蕎麦切り、蕎麦前、蕎麦後? ご馳走様でした。
八ヶ岳産信濃一号は、微粉ながら香り立ち歯ごたえ抜群、喉越し良し!
左の鞍掛前(長野県)は珍しい
牛たんつくね 弾力有ります。ごま油が意外に合いました。燗酒用の厚い盃は備前焼
辛すぎず甘すぎず、焼酎に合います。
せいろのセット
信楽焼きの片口は、日輪田(宮崎)のぬる燗
蕎麦焼酎蕎麦湯割りセット
蕎麦湯とともに削りたての本枯節
焼酎のあて全6品
長野県伊那の勘太郎と宮崎県吉兆雲海の蕎麦湯割り
丁寧な仕事
長野県安曇野の山葵芋
蕎麦茹で大釜へ投入
蕎麦茹で上げ
蕎麦水洗い
メニュー1 日本酒
メニュー2 あて
メニュー3 焼酎その他
メニュー4 蕎麦
こういう訳でした
2017/12/10 更新
2017/11 訪問
名古屋『蕎麦』三英傑 蕎麦と和食を繋ぐ「縁」は大取に相応しかった
11月も中旬、そろそろこちらも本州秋の「新蕎麦」が入っているかな?
そば百名店選抜名古屋三英傑、端境期に力量発揮の粗挽き信長に例えて「一心」、夏新の常陸秋蕎麦は秀吉に例えて「江月」、そば百名店愛知県選抜の2店訪問から繋ぎ、新蕎麦で試したかった微粉十割、待ちに待った家康の心境で「縁」を訪問しました。
結論先に・・・蕎麦切りは勿論、蕎麦前の日本酒とそのあて、料理の技術は蕎麦専門店では突き抜けてます。
というより、蕎麦除いたら和食・割烹部門でも百味店入りは当然と思える技と味に一目惚れ!
前日夜、閉店間近に電話で問い合わせたところ・・・
SG: 「本州の新蕎麦入ってますか?」
女将: 『はい、11月初めから入ってます』
SG : 「何処の新蕎麦ですか?」
女将: 『長野県は八ヶ岳山麓です』
SG : 「ならば、信濃一号ですね?」
女将: 『はっ・・・はい、そうだと思います』
八ヶ岳山麓で栽培している蕎麦なら福島在来がルーツの選抜固定「信濃一号」で正解です。
この地域にそれ以外の蕎麦種があればそれは大変危険なことで、他種と交雑すれば「信濃一号」が台無しになってしまいます。過去貴重な在来種がどれだけそういう目に遭ってきたことか・・・
それはさておき、前日に予約電話を入れたところ昼の12:00なら1名OKとのこと有難かったです。
相方休日出勤、ならばと公共交通機関利用で蕎麦前から愉しんできました(^^♪
〇 三河赤鶏笹身と自家製わさび漬 1000円
〇 「天穏」(島根)特別純米酒 佐香錦 1200円
〇 「鷹勇」(鳥取)辛口純米酒 980円
〇 せいろ蕎麦(長野八ヶ岳山麓:信濃一号 秋新蕎麦) 1000円
〇 かけ蕎麦(同上) 1000円
サービスの口取りから仰天です(@_@) ここは高級割烹料理店?と間違えてしまう程の丁寧な仕事と酒のあてにドンピシャの味付け塩梅です。(写真参照してください)
蕎麦前あてに注文した「三河赤鶏の笹身」そのまま一切れ頂くとほんのり塩味感じます。また、鯛や平目の昆布締めに似たねっとりした食感あり、昆布締めでは無いので昆布香りませんが鶏の味が濃厚ですこぶるウンマイんです!これは低温で1~2日寝かせないと出ない味、そう思いすかさず質問♬
「下味ついてますよね?軽く塩ふって低温で寝かせてますか?」・・・
「2~3日寝かせないとこの味は出せないでしょう?」と逆質問されました(*_*;
蕎麦前に辛口系でご店主お勧めの島根県の「天穏」頂きました。一口目、辛いというより水の様にさらっと感じ、後に麹の香りが残ります。不思議なことに二口、三口と進めるうちに切れ味はあるもののフルーティーな香りと麹の旨みが増してくる初体験(@_@)は旨いです!
脂身無い鶏笹身とは相性抜群です。
天穏もう1回と思いましたが、少々重くても良いのでこれと似た辛口系を所望したところ、ご店主奥から未開封の一升瓶を持ってこられたのが鳥取県の「鷹勇」です。
冷蔵していないこともありましたが、天穏よりもやや重く感じます。しかしこちらは麹の旨み濃いのですが後味曳かないすっきりさは天穏を上回ります。ぬる燗がべストの日本酒に思えました。
鶏ならモモ肉、刺身ならトロやブリ脂の乗った魚にベターマッチかな?
さてさて、真打の蕎麦切りです。まずは冷たい「せいろ蕎麦」注文しました。
「蕎麦修業経験なく、和食出身です」と明言されるご店主ながら、八ヶ岳山麓産の秋新蕎麦:信濃一号を使用した十割蕎麦切りはなかなかの出来でしたよ~
ほぼ正角の蕎麦切りは一寸25本~30本の極細切り、所々太めも見られるのは修業無いと仰る所以かもしれませんが、ほぼ麺線整った蕎麦切りは十割ながら表面ツルツル喉越し良いです。
秋新の信濃一号、微粉のため粗挽きほど香り強烈ではありませんが、高音域の香り新蕎麦らしく漂い蕎麦本来の旨みも濃く感じます。そのままの次は沖縄の塩を所望し頂くと甘味が倍増しました。
辛汁は圧巻\(◎o◎)/! これは旨い!これだけで酒のあてになります。
酸味僅かに感じるは「本枯節」、ほんのり薫る燻製香は「本鰹荒節」で、きりっと辛口ではありますがマイルドな口当たりは返しの寝かせが十分な証拠でしょう。
別仕立てのトロトロ蕎麦湯も旨いですね~目の前でおろして頂いた信州安曇野産の山葵芋、ここで本領発揮です。焼酎で割りたいところですが次の「かけ蕎麦」あったのでやめときました(笑)
〆はかけ蕎麦、せいろよりも麺の切り幅にばらつきが見られますがたまたまかな?細い麺は確実に一寸30本レベルです。それでもなかなか切れません。甘汁は辛汁と同じ返し使用に思えましたが、これも本鰹2種の一番出汁でしっかり割った贅沢な甘汁です。返しの割合少な目で関西の方でもきっとお口に合うでしょう(^^♪の塩梅・・・で、気が付けば甘汁も完飲でした。
幸せだなあ~ 次回は相方と一緒に来ますと明言してきました。ご馳走様でした。
せいろ(信濃一号 十割)
かけ(信濃一号 十割)
酒の口取りサービス 玉葱スライス・蛸柔煮・赤かぶ酢漬け 和の職人?仕事丁寧です
秀逸! これ食べれば分かる和食の技:熟成鶏笹身
島根「天穏」に続き、蕎麦前2杯目は鳥取の名酒
沖縄の塩は蕎麦の甘味を引き出します。
別仕立てのトロトロ蕎麦湯
削りたての本枯節は→
蕎麦湯へのサービス→
さらに鰹香立ちます。
かなり細い十割ですがなかなか切れません(@_@)
メニュー1
メニュー2
内観
外観1
外観2
2017/11/20 更新
5回目にして初めて相方を連れて訪問しました。
まずは、山形正宗夏の純米と洌:雄町夏生で蕎麦前から・・・
・鯨刺し身
・焼きもの三種(厚揚げ、牛タンつくね、薩摩揚)
・三河赤鶏笹身と自家製わさび漬
鯨の刺し身(赤身)は筋が無くモチモチ、全く臭いません。この日は大好物の牛タン単品は無く焼きもの三種注文、低温熟成された三河赤鶏笹身はモッチリ・ねっとり、笹身なのに胸肉以上に鶏のうま味を感じました。
続いて相方は天ぷらせいろ、私は蕎麦焼酎「伊那の勘太郎」蕎麦湯割りで追い酒の後、かけ蕎麦を頂きました。
天ぷらはもう書かなくても良いでしょう、相変わらず天婦羅専門店に勝るとも劣らない極上天ぷらでした。
せいろ・かけ共に同じ極細の十割蕎麦切りを使用。この日は八ヶ岳山麓産「信濃1号」を微粉挽き、一寸30本程度の極細正角切りは、ぎゅっと締まった蕎麦本来の歯ごたえあり同時に極細故に喉越しも抜群です。
二八のように小麦繋ぎを使用していませんから小麦が造るグルテンの「コシ」は勿論ありません。
また、微粉挽きですから蕎麦本来の香りは当然粗挽きには敵いませんが、二八のような喉越しとキュッとしまった十割だからこそ出来る蕎麦本来の歯ごたえ食感を愉しむことができます。
さらに昆布を使わない、本鰹としっかり寝かせた返しで作った辛汁で啜る蕎麦も当店微粉打ちの魅力の一つであります。
もし、この微粉極細に香り・旨味を求めるならむしろ「かけ」の方かもしれません。本枯節と本鰹荒節の一番出汁を使用した至高の甘汁に悠然と泳ぐ蕎麦切りは、30秒程経過した頃が一番の食べ頃になります。せいろに近い締まった歯ごたえからやや緩んだ丁度その時、蕎麦本来の香りと舌に張り付く蕎麦粉の旨みを感じることができます。
粗挽きはさて置いて、微粉十割なら今のところ東海地区では「縁」さんの右に出る店を私は知りません。相方も大満足、ご馳走様でした。