3回
2024/04 訪問
【小田原】桜咲く 春の献立
緊張感のあるエントランス
大蛤の風味を新玉ねぎが抱き込み、蕗のとうのほろ苦さと対比される
貝と分葱のシンプルな酢味噌和え。酢の立たせが素晴らしい。
今日はハナから終いまで黒龍の冷酒
鯛の出汁に揚げのコク。仲田氏のお椀の特徴なのか。
八寸 今回も小箱に詰められた品々
桜鱒と相州牛 一皿に2種の喜び。コチラも食材の対比が楽しい。
蒸し物 飯蒸し 黒鮑
炊き合わせ 春の味覚を詰め込んだ風味豊かな炊き合わせ。鯛の子の儚い食感に陶酔する。
桜海老と筍の抱き込み。季節の炊き込みも楽しみの一つ。ここまでに〝溜まってしまう〟自分の胃袋のキャパが〝恨めしい〟
城にも、床にも桜。
2024/04/11 更新
2023/11 訪問
【小田原】新幹線という〝席料〟も惜しくない、小田原の上質。
献立〉
先付け→鮑、柿、四角マメと細筍の白ごろも掛け
お凌ぎ→すっぽんの玉寄せ
お椀→松茸と真蒸、冬瓜、オクラ 松葉柚
お造り①→甘鯛、鱗煎餅、煎り酒
お造り②→スマガツオ、山椒味噌
八寸→九絵の南蛮漬け、青菜のお浸し、あみ茸、公魚素揚げ、銀杏、しらす入り卵焼、鯖棒鮨
焼物→鰆、椎茸と葱の焼き浸し風 自家栽培レモンライム
煮物椀→聖護院蕪、身欠き鰊、黒茸、いんげんの炊合せ
強肴→白子と海老芋の揚出し、信州の茸の餡
食事→鯛と牛蒡の炊込みご飯、味噌汁、香の物
御菓子→蕨餅、フルーツと牛乳羹の和パフェ
お薄
食味〉
全ての下支えとなる、力強い〝出汁〟の上で繰り広げられる素晴らしいお料理の数々。
・先付け
四角マメ(「うりずん」)。懐石ではあまりお目に掛からない素材の意外性が楽しい。
・お凌ぎ
前日から10℃以上も低くなった寒い夜だったので「すっぽんの玉寄せ」のコク深い旨みと生姜とご主人の心遣いで温まる。
・お椀
松茸の香りも良いけれど、真蒸の力強さが素晴らしく、松茸が松葉柚と同じ、吸い口に感じる。
・お造り
甘鯛と煎り酒、スマガツオと山椒味噌。
いずれも醤油、山葵を使わせない取り合わせ。煎り酒は梅干の名産地〝小田原〟への思いのようなものを感じる。
・八寸
お料理が美味しいのは勿論の事。小さな器を納めた木箱は金沢の漆工房であつらえたものとの事。
まさに「お宝の箱」。
・焼物
早川で揚がった鰆。ふっくらと焼き上がったモノを地を張った備前に。添えられたレモンライムはご自宅で成ったモノだそう。
程よい酸味と甘味。皮まで食べられるとの事でガブリと行くと、エグ味苦味が皆無。羨ましいお庭。
・煮物椀
聖護院蕪、身欠き鰊の炊合せ。まさに京料理。
黒茸(クロカワ?)の苦味がお椀をキリッと引き締める。身欠き鰊を崩して混ぜて食べたいところをグッと抑えてお上品に。
・強肴
(何かの)白子と海老芋を薄ごろもの揚げ出しに。
現地に仕込みに赴いてチョイスされた茸の餡を掛けて。ズシリとした味わいの強肴でお料理のフィナーレ。
・お食事
鯛と牛蒡の炊き込みご飯。
土鍋を開くと、鯛の旨味を吸い込んだご飯から立ち昇る香気。
「牛蒡いるの?」なんて思っていたけれど、極かすかな〝土の香り〟が〝焼いた鯛骨の香り〟に重ねられて、拡がりを感じる炊き込みご飯。おかわり必至。
雑感〉
コロナ明けてから初の再訪。
小田原駅から小田原城のお堀を見ながら歩く事10分程度。
仄暗い路地に浮かぶミニマルな店構え。
引戸に手を延ばすと〝スッ〟と背筋が伸びる適度な緊張感の入口。
カウンター席についても凛とした内装に心ピリリ。
しかし、ホッコリとなごむ暖かい雰囲気を作り出してくださる女将さんのサーブと、ご主人も時々顔を覗かせていただきお話ししながら食事が進むと、居心地の良い空間に。
料理も器も素晴らしく、季節ごとに通いたい小田原の〝お気に入り〟。
ミニマルで洗練された構え
鮑と柿、四角マメと細筍の白ごろも掛け
松茸と真蒸、冬瓜とオクラのお椀
すっぽんの玉寄せ
甘鯛のお造り。 鱗のせんべい 煎り酒
八寸 クエ アミダケ しらす入り卵焼き ワカサギ 鯖棒鮨
鰆、椎茸と葱の焼き浸し風。自宅で栽培されているレモンライム。
聖護院蕪 身欠き鰊 黒茸の炊き合わせ
白子と海老芋の揚げ出し 信州の茸の餡
鯛と牛蒡のご飯。味噌汁と香の物。
わらび餅 和のパフェ 果物と牛乳羹
暗い路地に凛とした佇まい
カウンター席も 〝凛と凛と〟
2023/11/29 更新
桜の時期、小田原「円相」 春の献立を堪能する。
献立〉
先付け→蕗のとうの寄せ豆腐 大蛤の出汁 新玉ねぎのすり流し
お凌ぎ→赤貝と平貝の酢味噌和え 分葱
お椀→鯛の潮汁 白髪ネギ キクラゲ
お造り①→鯛昆布締め 鰯揚げ煎餅 煎り酒
お造り②→伊豆大島産本鮪だし醤油の洗い 山椒味噌
八寸→鮪の肝煮、ホタルイカ、北寄貝と雲丹のポン酢、メヒカリの唐揚げ、卵焼き、からすみ
焼物→桜鱒 相州牛 空豆 山椒味噌
蒸し物→黒鮑の飯蒸し 銀餡
煮物→炊き合わせ 小芋 筍 鯛の子 ぜんまい ふき コシアブラ
強肴→岩牡蠣の唐揚げ タラの芽
食事→桜海老と筍 グリンピースの炊き込みご飯 新生姜 味噌汁 香の物
水菓子
お薄
特記〉
先付けの「新玉ねぎのすり流し」の〝大蛤〟の豊かな香りと〝新玉ねぎ〟の強い甘み、〝蕗のとう〟のほろ苦さ。
素材の持ち味の対比で個々を互いに浮き立たせる構成は「さすが」のひと言。
お椀、八寸、蒸し物 随所に〝揚げ〟の油のコクが使われるのがご主人ならでは。
力強い出汁と相まって、料理に凝縮感が込められ、舌を通じて知覚をぎゅっと掴まれる。
〝蕗のとう〟から始まって〝桜海老〟〝筍〟〝グリンピース〟で締め括られた〝初春〜初夏〟を凝縮したような献立に敬服。
満開の小田原城の桜と〝小田原の特等席〟を満喫する。
「次は鮎の時期に」とご提案いただき、心に留める。