『食に関する、食育のフォーラムで、小野五六(おのごろう)の講演を聴いて来ました。』新潟 ケンシンさんの日記

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新潟 ケンシン (男性・新潟県) 認証済

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10月のそば祭りで、十日町市を訪れた際、ある人の講演があるという情報をキャッチ。
その人の名は、小野五六(おのごろう)。日時は11月22日(土)という事でした。
新潟県内は11月19日の夜から雪が降り、(市と名のつく所では)世界一の豪雪地帯への車での移動はためらわれたのですが、天気も悪くなかったので、一路十日町へ…

心配された雪も、路肩や広場に若干積もっている程度で、消えてしまったため、事なきを得ました。今回のフォーラムは、JA十日町主催の食のフォーラムの一環という事で、ある有名人の講演が目玉でした。その人の名は、小野五六(おのごろう)???誰?

実は、芸名を言えば誰でも知っています。その人の名は?桂米助師匠、またの名をヨネスケといいます。小野五六とは、「突撃!隣の晩御飯」でその名を馳せた、ヨネスケその人でありました。(爆)

講演内容は90分間で、食の話題から本職の落語の裏話まで、さすが噺家、全く人を飽きさせません。「ヨネスケです。こんな顔しています。よろしかったら手に取って…」いきなり会場は笑いにつつまれ、和やかな雰囲気に…
今回発見したのは、ヨネスケ師匠の考え方に、非常に共感を覚えた事でした。
根本は日本の文化を大切に、そのためには、親から子、またその子へと、大切なものを伝えていく事の必要性をうったえていた事です。
【食に関する事】
突撃された奥さんの10人中9人が言う台詞が、「んもう~!昨日来てくれたらよかったのにぃ!」だそうです。(笑)

全国津々浦々まわりにまわって、5000軒訪問したそうですが、晩御飯にパンを食べていたお宅は、たった3軒だったとか。「みなさん!評論家の言う事を鵜呑みにしちゃあいけませんよ!日本人はお米を食べなくなったってぇなぁうそですから!」実際に5000軒訪問した人の言葉には得力があります。「ただね、昔はおかずがないから、ご飯をたくさん食べて、空腹をしのぐしかなかったんですが、今はハンバーグだぁ何だって、おかずがいっっぱいある。」
東農大の教授と話した時には、食には、人類が地球上に登場する以前から存在していたものが、体には良いとおそわったそうです。すなわち、野菜や魚ですね。肉に関しては、DNAの関係や何かで、人体に良からぬ影響を与える可能性が否定出来ないのだそうです。

【日本の食文化は世界一、他の文化は低い】
「日本の食文化は世界一ですよ!フランス料理?あんなものぁ、ソースで食わせる食文化です!中華料理?いためるだけじゃないですか?日本料理は、例えば魚なら、まず刺身(生)で焼いて、煮て、蒸して、干して…5通りも6通りも食べ方があるんですよ!」さらに、「今であれば、紅葉をあしらってみたり(目で食べる!)、うつわで味わってみたり、これほど豊かな食文化を持った国は他にはありません!ただねぇ…」ここから、他の文化論へと話は移ります。

特に戦争に負けてから、なんでも欧米のものが良いという事になり、日本の文化をどんどん捨てている今の日本の現状を憂いてこんな事を…「ゴッホがスランプに陥った時に、彼を救ったのが、葛飾北斎の浮世絵だったんですよ!日本人は浮世絵をどんどん処分したり、外国人に二束三文で売っぱらったり、今ではどうですか?アメリカのボストン美術館から(大金払って)借りて、東京江戸博物館で展示しているんです。こんなバカな事がありますか?」
ヨネスケ師匠、相当ボルテージが上がって参りましたナ!(笑)

【落語と日本文化】
「便利になるのはけっこうなんですがねぇ…このごろは、落語も出来ない(伝わらない)ものが増えて来ました。長屋の花見なんざあ良い例です。お茶を薄めて酒の代わり、たくあんを玉子焼き代わり…ところが今では酒や玉子の方が安く手に入り、落語になりません。真打(しんうち)ってぇ言葉もね、電気がない時代に大きなロウソクを2本立てて、最後に登場した真打が、ロウソクの芯を打った(断ち切った)事から来ているんです。トリってぇ言葉も、最後に登場した噺家が、入場料金をぜぇ~んぶとって、下のものに配った事から来ているんですよ!」

で、師匠も、知らない事を嘆いているのではなく、知っている人が、次世代に伝えて行かない事が問題だとおっしゃっているのです。この点は、私も深く賛同するものです。歴史を学ぶ事の重要性に触れているわけで、誰かが伝えなければ、文化なんて、あっという間にすたれてしまいます。

非常に有益な講演でした。
「今はこういう時代なんだから、おじいちゃんの言う事は古いよ!」と、若い世代は言いがちですが、理解を示し、大切なものは守って行く事が、何よりも大事だという事を、痛切に感じております。







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