『気になる言葉「～してもらってもいいですか？」』新潟　ケンシンさんの日記

このごろ、よく耳にする言い回しに、「～してもらって（も）いいですか？」という表現があります。
先日、初めて都バスに乗る機会がありました。プライベートでは、まず利用しないのですが、所用で、先方の指定ということで、やむなく乗ったという次第です。

途中で車椅子の方が乗ってこられました。
運転手さんが手際よく、優先座席を車椅子用に座席を直したのですが、その際に、「席、空けてもらっていいですか!?」「そちらもどいてもらっていいですか!?」と言いながら、作業をしていました。

また「～してもらっていいですか？」…少々うんざりした気分になりました。
ワンマンバスなので、アナウンスが入ります。
「危険ですので、手すりにおつかまり下さい。」
そうそう。運転手さんも、アナウンスに見習ったらいいのに…と思っていたら、運転手さんが一言、「出発します。手すりにおつかまり下さい。」
なんだ、言えるんじゃん！と思ったのですが、皆さんは、この「～してもらってもいいですか？」という表現をどう思いますか？
違和感を覚えるのは、以前はこういう言い回しがなかったからです。
この表現の、どこが変なのでしょう？

いいですか？と言う表現なので、疑問の（許可を求める）文章のようですが、実はお願いをしているのですね。依頼の文章に、疑問形を使っているからおかしいのです。
依頼文というのは、「～して下さい」となるはずなのに、「～してもらってもいいですか？」という表現がおかしい。
疑問の（許可を求める）文章には、はい、いいえの、二通りの対応があります。
「タバコをすってもいいですか？」（主語は私）→「はい、どうぞ。」「いいえ、ご遠慮下さい。」
ところが、依頼でこの表現を使われると、いいえとは言えず、すごく押しつけがましい気持ちになるのです。
「席を空けてもらっていいですか？」（主語はあなた）と言われて、「いいえ」とは言えないですよね。選択肢は、席を空けること以外にはないからです。
ここはやはり、「席を空けて下さい。」「席をお空け下さい。」と言うのが正しいのです。

今回バスに乗ったことで、一つ発見しました。「～してもらってもいいですか？」を日ごろ使っている人でも、正しい表現と使い分けていることです。もっとも本人は気がついていないのですが。
運転手が、車内放送の時、「手すりにつかまってもらっていいですか？」ではなく、「てすりにおつかまり下さい。」と、正しい言い方をしたことで気がつきました。
目の前に相手がいない場合には正しい表現に、いる場合は誤った「～してもらっていいですか？」になるようです。

言葉の遊び、仲間通しで使うのはいっこうにかまいません。わかっていて使う人は、使うべきではない時には使わないということができるからです。
間違いに気づかないで使っていると、相手の社長さんに対しても使ってしまいます。
そうすると、自分の会社にまで迷惑がかかってしまいます。
だから、正しい表現をするべきなのです。
あまりにも最近耳障りなので、このことに触れてみました。