17回
2023/10 訪問
初めての蕎麦前。
この店で「蕎麦前」を愉しむためにJRで札幌入りした。この店の後に大通りで開催中だった「新そばフェス」に行く予定もねじ込んでいたものの…
「アナゴノテンモリ アラビキソバニヘンコウデ」は私が推奨する合言葉。有難い事に私のレビューを読んで、このオーダーをするために来客される方々も今だ多いらしい。ありがとうございます。
■穴子の天もり 粗挽き蕎麦に変更 1,800円
■日本酒(大) 800円
日本酒を注いでもらい、味わいながら天ぷらの提供を待つ…日本酒に関してはビギナーなので美味しいとしか言えないが、こうして酒を味わいながら料理の提供を待つ時間も至福のひとときだ。
程なくして大好きな「穴子天ぷら」が提供される。ゴボウの天ぷらが常連サービスとの事…それ位は通う者の特権で良しだろう(笑)ありがとう。サックリ揚がった江戸前の穴子天、風味ある軽やかな衣と、旨味のしっかりとした穴子が「もうたまらんっ!やめられん!」…しっかりと満足。
酒と天ぷらが無くなる頃に蕎麦の提供を申し出た…
新そば。この店では随時複数の粉を仕入れて、最良の状態を探るが今年は苦労している様子。但し自身が納得出来る蕎麦を仕上げて提供する様は流石の職人だ。
江戸前の名店である「竹藪」出身で確固たる技量を持ち、訪問を通じてやりとりのあるご主人三浦氏だからこそ述べるが、今年(今回)の新蕎麦は美味しいものの、例年程のクォリティや味わいは感じられなかった。普段ブレの少ない職人だけに、特にそれが印象に残った蕎麦。
このレベルの職人になれば、きっとそれに気付き、しっかりと修正してくる事を願ってのレビューとする。
ほろ酔いで満足… さてと、そばフェスでも覗こうか…それにしても雪虫がスゲーな。
2023/11/01 更新
2023/03 訪問
祝・6周年。
4月で6周年おめでとうございます。侍JAPANの白井コーチシールを記念に頂きました…これはご主人が白井コーチの奥様から直接貰ったものだそうです…レア!
この店がオープンした頃にトムちゃんと円山で(閉店)ステーキを食べた後に「行ってみようぜー」と訪問し、2種の蕎麦をシェアして食べた頃が懐かしい。あれから6年か…
■もりそば 800円
今回はあらびきにあらずスタンダードな設定で。滑らかなけどモッチリとボディ感のある麺線で、派でさは無いがしっかりとじんわりと舌に響いてくる味香は、正に心空のシブイ蕎麦。
蕎麦は打ち手の性格が出ます。寡黙なご主人が打つ蕎麦はご主人そのもの。派手さは無いが、しっかりとした技量とさりげない「理論」があるのです。盛り付けや薬味の美しさもあり、名店「竹やぶ」の流れを汲む札幌屈指のハイレベルな蕎麦。
私提唱の魔法の合言葉「穴子の天もりそばあらびきそばに変更」を実践してくれるお客様もまだまだいらっしゃるようで私としても嬉しく、いつも明るい花番さんもありがとうございます‥癒されます。
目指せ10年!これからも訪問します。
2023/04/06 更新
2022/12 訪問
心晴れて、空に舞う。
【2022ゆく年くる年蕎麦レビュー大晦日SP】
●お江戸からお蝦夷へ 〜寡黙蕎麦
2022年、全てのレビューの大トリはこちら。札幌圏での年内〆蕎麦に早くから決めていた、言わば2022流れ星的「蕎麦オブザイヤー店」だ。
寡黙なご主人の三浦氏は、お江戸の名店「竹やぶ」でしっかりとした修行経験のある筋金入り職人だ。彼の蕎麦を私なりに表現するなら「安定の高品質」派手さは無いが何処か品があり、日々のブレが少ない。
さて、私が好きなメニューはズバリ今回注文したメニューだ。何度かレビューにて紹介しており、それを読み店を訪れたお客様も結構居るらしいので、私としてはレビュアー冥利に尽きると共に、ある意味でのプレッシャーを感じる。
■あなごの天もりそば(あらびきそばに変更)1,800円
蕎麦はやや粗めのオーソドックスな細切り。もっちりとした麺線で、噛めばジワリと蕎麦本来の味が滲み出る。
つゆはキリリとした返しに上品な出汁感のスッキリ中濃、どこか気品も感じる味わいだ。
穴子天はごま油ブレンドで薄衣がサックリと香ばしく、小さな蕎麦屋としても出来る限り良い穴子を仕入れているというだけあり、旨味がしっかりとある…美味しい。
思い切り持ち上げたが、今回は珍しく蕎麦に切れがあった…再度言うが珍しい。このエラーはまだまだ成長の余地があると言う事にしておこう。ね、和製タイガーウッズのような三浦さん!
【最後に】
今年一年も蕎麦喰い道を突っ走ってきたつもりですが、他のグルメも色々と楽しんだ無理の無い、充実したグルメ活動だったように思います。
蕎麦職人さんらのムーブメントを通じてより親しくなった場面あり、お会計時にコミュニケーションをとれた楽しさあり、SNSを通じたやりとりあり…職人さんと蕎麦喰いの有意義な綱引き。
そして私のレビューで後追いしてくれる老若男女のレビュアーやインスタグラマーも更に増えました。遊び心で師匠だったり神だったりと呼んでくれて‥食べログでの新弟子はのっちむさん、ソバオ.comさん。古株ならしーしし、ケイポンさん、HIRO's、ちーすけ、ににすけ氏…
来年度も良い意味でプレッシャーに感じながら、責任とプライドを持って蕎麦レビューをしていきますので付いてきて下さいね。そして全門下生の諸君、感想が異なる場合は遠慮なく表現してください。
その感想の葛藤と擦り合わせが道となり、その一歩が蕎麦シーンを盛り上げる道となる…迷わず行けよ…行けば解るさ! …1…2…3…
私は蕎麦が心から大好き ダ―———-ッ(笑)
皆様、良いお年をお迎えください。
あなごの天もりそば(あらびきそばに変更)
あなごの天もりそば(あらびきそばに変更)
あなごの天もりそば(あらびきそばに変更)
あなごの天もりそば(あらびきそばに変更)
あなごの天もりそば(あらびきそばに変更)
あなごの天もりそば(あらびきそばに変更)
あなごの天もりそば(あらびきそばに変更)
2022/12/31 更新
2022/09 訪問
一足早い秋、豊かな秋、季節を存分に愉しもう。
店主三浦氏の安定感は増すばかり。札幌でも指折りの職人さんだ。今日は秋を感じたくてフラリ…
■落葉きのこそば(冷) 1,400円
見た目からオーラ全開。秋を実感するたっぷりの落葉きのこ、風味良く厚手の海苔、しっかり辛い大根、アクセントとなる刻み葱、具材を蕎麦色にまとめる削り節…バランス感も良好だ。但し少し葱のカットは雑ね。
冷たいつゆは、ぶっかけとしては割と強めに効かせているので、そのままゴクゴク飲むには角が立つが、一体感と言うよりも具材と蕎麦を味わうには上々。蕎麦は勿論「心空カラー」。細切り繊細なルックスとは裏腹に、密度濃いドッシリ感のある力強さは心空の真骨頂だ。
むむむ…秀逸。最後は蕎麦湯を別途差し出される猪口でそのまま飲みつつ、残った汁を割る…ふふふ、美味いよ。
季節を上手に取り入れるご主人のセンスは、やはり蕎麦喰いの心を惹きつける。
2022/09/20 更新
2022/06 訪問
魔法の合言葉…穴子天とあらびきそば。
私は職人・三浦氏の存在感とその飄々とした立ち位置が好きだ。
名店「千寿竹やぶ」直系のISMをしっかりと踏襲しつつ、尚進化を遂げるものの‥‥ 決してぶれないクォリティは流石の一言。今後の札幌蕎麦シーンにおいて更に重要な存在になるだろう職人なのだ。
蕎麦は江戸前に少し蝦夷前混じり。
あらびきそばは、決して目立たぬとも、内に秘める闘志と蕎麦の力強さがしっかりと宿る。シャイなご主人同様、背中で語る蕎麦だ。
…美味い。
この日は偶然にも、私のレビューを参考に「穴子天+あらびきそば」を食べに来たという年配御夫婦に挨拶を頂き、何だか恐縮。このようなお客様はチラホラ増えているようで嬉しいものの… 「ありがたいが「忙しい時にはお待たせしてしまう…」とご主人。
…だよな。
でも、穴子天とあらびきそば
…絶品だぜ。
2022/07/01 更新
2022/04 訪問
江戸前の流儀と北海道愛。
五周年を迎えた彼の蕎麦を知るファンで満席の忙しさの中、飄々と仕事をこなす三浦氏は江戸蕎麦の名店、千寿竹やぶでしっかりと修行した蕎麦職人だ。
彼の打つ、江戸前の基本に沿う蕎麦は何時も安定。まだ40代半ばの年齢ながら、燻銀のような渋みも放ち始めている。そして太白胡麻油をブレンドし揚げる天ぷらも魅力のひとつ。
ふらり立ち寄ったこの日のあらびきそばは東神楽産。手繰った際に感じる、じわりと深い蕎麦の味香りには奥行きと重厚感さえ感じる。キリリと濃い江戸前つゆと合わせて幸せ気分。
「色々な考えはあるが、自分は北海道産の蕎麦粉に拘りたい。北海道の水との親和性も良いでしょうしね」
自信があり凛とした表情でしっかりと答えてくれた。私はそれにも納得。
北海道外からやってきた蕎麦職人が、北海道に拘ってくれる事には嬉しい限り。益々目が離せない存在だ。
2022/04/22 更新
2021/12 訪問
伝統と進化 〜ぶれない一本筋
年の暮れ、私は例年だと北海道蕎麦リスペクトとして何処かの東家で「蕎麦納め」をしているのだが、今年は仕事の日程もあり趣向を替えて三店舗を定め、大トリは今年大好きなメニューに出会えたこの店に決めた。
28日のお昼は、この店の美味さを知る蕎麦喰い達で満席の盛況ぶりだ。
◆穴子の天もりそば あらびきそばに変更 1,700円
素材にしっかりと拘るご主人オススメの穴子天は盤石の美味しさ。胡麻油フワリの薄衣はサクッと軽やか、穴子はほくほくで旨味充分。塩で良し、旨い天つゆに潜らせても良しで、早くも幸せ気分。
今回は何よりも蕎麦が衝撃的。ご主人も納得の今年度産キタノマシュウの粗挽き蕎麦は逞しい質感で、色味や香りは新そば感を維持しつつ、豊かな熟成感が加わって強い味香。もうヤバい位に美味しくて感動。キリリとした輪郭の江戸前辛口つゆとの相性も抜群。各々の盛り付けもバッチリ。
実 に 素 晴 ら し い !
シャイなご主人が打つ粗挽き蕎麦は、江戸前の老舗名店「千寿 竹やぶ」で修行の基礎がしっかり、そして努力とセンスで更に進化していると思われる。そしてこちらの蕎麦はいつもブレが少なく一本筋が通る印象。それは確固たる技量の証とも言えるだろう。
1〜2月の熟成期は断然オススメ。穴子が苦手でなければ是非、流れ星オススメのオーダー「穴子の天もりそば〜あらびきそばに変更で」をお試し頂きたい。
私がお昼の最初客。ご主人と少しだけ蕎麦談義をして、今年も良い締めくくりとなりました。
※尚、蕎麦粉は2種の産地でローテーションしています。
穴子の天もりそば あらびきそばに変更
穴子の天もりそば あらびきそばに変更
あらびきそば
穴子の天もりそば あらびきそばに変更
今回はキタノマシュウ
穴子の天もりそば あらびきそばに変更
穴子の天もりそば あらびきそばに変更
美味い。
穴子の天もりそば あらびきそばに変更
蕎麦湯
2021/12/31 更新
2021/11 訪問
素晴らしき新そば。
とある蕎麦情報局から「沼田産が良いので是非訪問を」とメッセージが入ったので、ほう…とタイミングを見て訪問。
おっと、この日はキタノマシュウ…ご主人に聞けば、今は常時複数の蕎麦粉を扱い使い分けているとの事。なるほど、それも良い蕎麦を提供するための工夫と言えよう。
■あらびきそば 800円 キタノマシュウ新そば
おおお、この青々しい色味は今年一番だ。テンションが上がる。もっちりとして心地よい弾力のコシ、青さと香ばしさが混在する香り強く、後味には自然な蕎麦本来の甘味がジワリとリフレインする幸せ。
ご主人曰く、今季のキタノマシュウのクォリティには驚いた… それは私も同感であり、合わせて富良野美瑛産にも好印象を持っている。
この日の蕎麦は「存在感が際立つスター蕎麦」…確固たる技量に裏付けされた燻銀の蕎麦に、キラリと光る装飾が加えられたような…そんな特別感が得られた。
2021/11/19 更新
2021/09 訪問
愛しき穴子天。
カウンター右端のほうに陣取れば、シュワ―っと揚がる軽やかな音が聞こえてワクワクする。そう、今大のお気に入りである穴子天の話。
こちら、東京の老舗名店「竹やぶ」で修行を積んだご主人が黙々と厨房で踊る蕎麦屋。私が思うにブレの少ない店です。勿論蕎麦は繊細なもの…日々若干の変化は付き物ですが、その振れ幅が少ないのは技量、そう修行の賜物なのでしょう。
■穴子の天もりそば 1,600円
9月下旬は黒松内の新そば。青々しさよりも滋味深い蕎麦の味の鮮度と縁取りが特徴。良く繋がり、喉ごしの良さも良好な蕎麦、新そばのインパクトは控えめながら完成度は高いです。
そして蕎麦屋の穴子天! …実はこの日、自分自身の誕生日でしたので、顔見知りとなったご主人にその事を伝えたところ、天ぷらがプチグレードアップしていました。普段は寡黙ですがユーモアセンスとおもてなしの姿勢があるご主人です。
サクリ!ホクホク、ジュワー‥‥
早速齧り付くと、薄衣が軽やかでゴマ油の風味も淡く立つ、穴子の旨味満点の江戸前天婦羅で幸せ気分。これ、これです。そのままで、そして加減と出汁感も良好なおろしたっぷり天つゆで… 顔が自然と綻ぶ美味しさがここにあり。
蝦夷で感じる江戸前気分。
ブレない魅力がここにあります。
2021/10/31 更新
2021/09 訪問
新そばに寄りそう、穴子天の魅力一閃!
道内産新そばの登場だ。思えば2年前は常連さんと店主の会話に聞き耳を立て、学習と称して新そば訪問、そして今回は友人である蕎麦小町さんから勧められて早速。この店は例年新そばが早い。
聞けば、例年だと摩周産新そばを使用しているが今年は遅いらしく、今年は現時点で仕入れられる奈川在来種を採用したとの事。
■穴子の天もりそば(あらびきそばに変更) 1,700円
ストーリー… 淡麗なる香ばしさ静かに薫り、手繰れば奈川在来種らしい後追いの甘味の余韻長し。押せ押せの新そば感は控えめながら、新たる生命感がしっかりと感じられる蕎麦。キリリと濃厚な江戸前汁との共演もまた「雅」。但し今年の北海道産新そばはもしかすると全般的に押しは控えめなのかも。
そして今回は穴子天の上手さに目を丸くする…これは責任もって美味い。箸で切った見た目からオーラあり。素材の味わいが活きる薄衣は軽やかでサクリッ、そしてフックラの身を噛めば、パッと口の中に質の良い旨味の花が咲く。加減の良い天つゆとの相性も最高で、椎茸他の野菜も素材の魅力が活きており美味い。
新そばの魅力に全く劣らない、ご主人自慢の江戸前穴子天の魅力… 蕎麦屋の穴子天としては私的にかなりの上位、これは是非オススメしたい一品だ。もうレベルが違う。
この店は初訪問から好印象。そのブレのないしっかりとした調理感は、名だたる江戸前老舗屋号での修行で得た宝物。私は今後もブレずに突き進む事を願いながら、もっともっとこの店の魅力を感じてみたい。
嗚呼、やっぱり蕎麦って素晴らしい。
2021/10/13 更新
2021/09 訪問
花をまき、蝦夷に咲かせる江戸の粋。
花巻蕎麦は江戸時代に考案されたとされる食べ方で、かけそばに浅草海苔をもみ散らした蕎麦だ。
今やそのスタイルも色々だが、私は香り立つ最初の華やかさから徐々に汁に海苔が溶け出して、最後は蕎麦に絡みつき渾然一体となっていく、儚さのストーリーがある花巻が好きだ。その際は蓋が乗っていれば更に粋。
■花まきそば 1,000円
綺麗に咲いた磯の花。ふうわりと立つ香りに心奪われつつも、麺を延ばすまいと急いで箸で手繰る。蕎麦は少し柔らかくなるが大地の味をしっかりと感じる。そして大海原である熱い甘汁は、出汁感穏やかで返しも上品ながら不満を感じさせない絶妙な加減。ゆえに磯の香りや蕎麦の味わいを引き立たせる。そして徐々に溶け出す海苔と絡んだ蕎麦と汁が渾然一体となる幸せ。
しっかりと感じた18分のストーリーと江戸前風情、貴方も如何でしょうか。
嗚呼、やっぱり蕎麦って素晴らしい。
2021/09/12 更新
2021/07 訪問
涼むより感じ取る夏… すだちそば。
冷たい汁を絡めて手繰る「ぶっかけ」と共に、徐々に市民権を得てきているのは「冷かけ」スタイル。そう、冷たい汁がなみなみに盛られた蕎麦だ。そして見た目も華やかな「すだちそば」は、東京のある店が発祥と言われており、比較的最近のものらしい。しかし良いものは瞬く間に広まるもので、今では多くの店が夏の風物詩として「すだちそば」を提供するようになった。
■すだちそば 1,000円
東京の名店「竹やぶ」で修行したご主人が作る「すだちそば」…まずは華やかな見た目ながら、どっしりと貫禄のあるオーラが満点、これは明らかなるセンス。汁は落ち着いた出汁に優しい返し、ごくごくと飲める加減と冷たさが心地良く、すだちの香りと時々噛んだ時の酸味が爽快だ。そしてより細く感じる蕎麦は、冷や汁と絡むとより甘味が感じやすいのか、くっきりと輪郭のある蕎麦の味わいが印象的だった。
…これはかなり美味しい。そして暑い夏に圧倒的なおすすめ。
うん、蕎麦ってやっぱり最高だ。
2021/07/04 更新
2021/04 訪問
既に備わる哀愁。
雑誌「蕎麦春秋」を読みながら提供を待ちましょう…
お、毎度カウンターから眺められる、ご主人が背中を少し丸めながら、笊に蕎麦を伸ばしていく水切り工程が好きだな。
今日は久しぶりに基本の「もり」をオーダー。ん?聞き耳を立てれば、今日の蕎麦は「摩周産」のようだぞ、楽しみだ。
ふふふ、やはり基本に忠実で、歴史背景も背中に背負ったような並粉蕎麦。言わばステレオタイプであり、その範囲の中で個性や表現したい事を蕎麦に注ぐ事は難しいだろうが、しっかりとそれが出来ているのが「心空の蕎麦」なのだろう。
水切り具合良し、これぞコシと言える穏やかな弾力良し、噛みしめて広がる甘味良し。そして汁はムチムチの返し(醤油)で甘さ控えめの北海道的辛口仕様、この汁の完成度にも要注目。
今回のクォリティには脱帽。時期折々で粉の力を蕎麦に纏う事が出来れば、スタンダードな並粉蕎麦のほうが満足度が高いのかも。
基本に忠実の中に光る個性。この感覚は、30年前に食べて感銘を受けた「正直庵」に似ているな。勿論蕎麦は異なるがね。もし言うならば「哀愁すら漂う蕎麦」。
見たところご主人は、職人の世界で言えばまだ若そう。現時点でこの蕎麦があるのなら… 未来の楽しみ、いやいや「札幌の今蕎麦」から目が離せないな。
2021/04/26 更新
2019/09 訪問
新そばは「凄く香る蕎麦」
9月初旬、新そばと思い込み訪問も提供は来週からとの事。粗挽きそばを頂いたのだが、一週間後にどうしても新そばを試して見たくて再訪問、自分自身の勉強の意味をこめて再度同じメニューとした。画像を含めて少々解り辛いが、比較対象レビューとさせて頂く。
■(新そば直前)あらびきそば 800円(税込み)
温度はぬるくホニャリとした食感、水切りはややタイト。その温度に関しては粗挽き蕎麦としてならアリとも言えるが、繋がり重視か、やや平打ち気味は個人的に好みになれない蕎麦。風味甘味も特に感じない…時期が悪かったのだろうか、元々の美味さを知っているだけに今回は肩透かし。
汁はシャープな旨味に生かえし感のある融合感、のちほのかに苦味。濃厚でやや辛口寄り。個人的にはもう少し洗練されると嬉しい。薬味は本格派の蕎麦に対しやや平凡。蕎麦湯は白濁の釜湯だった。
■(新そば)あらびきそば 800円(税込み)
まずは青々しい色が違う。そして何か意図があるのだろうか、微妙な変化ながら、平打ちから少しスタンダード系に変化している。今回の水切りは適度、温度はぬるい、ホニャリとしたコシは心地よいモッチリ感に変化した。蕎麦自体に瑞々しさあり。
なにより「香りがスゴイ!」 蕎麦自体の香りが湯気のように発散する訳では無いが、口に含みズルズル―っと手繰った時に、鼻腔を抜ける香りが素晴らしいのだ。これは正に新そばの醍醐味!是非皆さまにも試して頂きたい。そして噛んで、蕎麦の粗挽き感が口の中で解けて広がる甘味も上々だ。
ちなみに当然ではあるが、汁(つゆ)や薬味、釜湯は前回と同じだった。
こちらは私が勝手に思う、若手注目店。江戸前の流れを汲み、おそらくは研究熱心であろうご主人が
提供する蕎麦は、蕎麦前を含めてハイセンス。但し、ワンオペなので混雑時は料理の提供に時間がかかる事がある。その辺りは今後乗り越えるべき課題だろうか。
新そばもタイプ的には、違いの振れ幅が少ないタイプもあり、優劣は簡単には判断出来ないが、ここの蕎麦はその魅力はキッチリと引き出されていた。
2021/10/31 更新
2017/05 訪問
既に輝く期待の新星
明るく清潔、シンプルだけど今風な空間。お江戸の老舗「千寿竹やぶ」での修行経験があるという、若手ご主人が一人で切り盛りしているオープン間もない本格派蕎麦屋。
メニューは精鋭シンプル派だが、うどんもあり・・・~ん?これは必要なのかな・・?蕎麦前は要所をおさえているね。甘味もあります。期待ワクワク。
「もりそば」 700円
「あらびきそば」 800円
もりそばは、オーソドックスかつ王道を行く並粉蕎麦。プリシコの程よいコシで、風味甘味もさりげなく効く「手打ちの優等生スタイル」。
あらびきそばは最近人気のスタイルで、こちらは「もりそば」同様細め。しっとりとした食感で、何よりも風味、特に甘味が素晴らしい旨い蕎麦。インパクト大です。
つゆは江戸前系辛汁。すっきりメリハリの効いた主張するかえしに、濃厚にとられた穏やか出汁が支える、蕎麦に負けず劣らずの魅力的な味わい。
薬味は、山葵良し、葱は蕎麦や汁と比較すれば要努力かな。方向性は良いが若干雑。蕎麦湯は白濁とろり、粉混ぜかは記憶が飛んでしまった。
うーん、自分好みのスタイルかつ、ポテンシャルの高い蕎麦、そして旨い汁。新店ならではのオペレーションにおける「ぎこちなさ」がとれると、更に魅力が開花するだろう。江戸前派や喉越し重視派、そして種物には「もりそば」を、インパクト重視派や、蕎麦をそれほど食べていない方々には、まずは「あらびきそば」をオススメしたい。蕎麦が更に好きになること必至。
2021/12/30 更新
秋のメニュー落葉きのこ蕎麦、こちらでは数年ぶりに頂く。
●落葉蕎麦 1,600円
器面にびっしり鮮やかに盛り付けられた具材にテンションが上がる。たっぷりの艶めいた落葉きのこが秋を感じさせる。
落葉蕎麦は冷たいスタイル。店主三浦氏の打つ蕎麦は安定。しっかり逞しいコシにザラついた食感でつゆ絡みも良い。
つゆは優しい塩梅でレンゲで飲める。前回は塩気の角を感じたが今回はジャスト。しっかり辛い大根を崩しながら手繰れば味わいのコントラストを愉しむ事が出来る。
種(具材)、蕎麦、つゆのバランス感に秀でた魅惑の秋メニューである。