4回
2021/06 訪問
たぐとは「変幻自在の玉手箱」
たぐとの鴨せいろは「お盆の上のワンダーランド」…価格は張るが、それに見合う満足感。
■鴨せいろ 1,991円(税込み)
選べる蕎麦は「更科」と「田舎」
たぐと流、2回に分けての蕎麦提供。今回は田舎蕎麦があったので、更科と田舎を選択。(日によって扱いは変わる)たぐとと言えば更科であり、勿論1種類の蕎麦を選択しても2回に分けて提供されるが、ワンダーランド感を求めるなら異種選択が私としてはオススメだ。
鴨はソテーして別皿で提供。スッキリとしたタレが絡む、ふっくらと柔らかくキメ細やかな鴨肉はまずそのままや白髪葱、柚子胡椒で美味い。そして後は1、2枚、せいろ汁に浮かべよう。更に汁がリッチな味わいに昇華。
鴨が後乗せで、たぐとらしい変化球のせいろ汁は、攻めよりもどっしりと構えて蕎麦をとシンクロするような守り型…とは言え、シャープで質の良い出汁にマロヤカな返し(醤油)そして適度な油感であり、旨味が凝縮した印象。途中軽く山椒をまぶして味変も楽しい。
数個浮くつみれもオリジナリティ。フックラとキメ細やかで、噛むと旨味の拡散と共にシュワっと溶け消えるイメージ…これも美味い。
鴨汁の他に辛汁(冷たいつゆ)も付くので、時よりそちらで味わうと…弾力のある瑞々しい更科がスッキリ心地良い。夢中で手繰っていると…頃合いを見て次の田舎蕎麦が提供された。
田舎蕎麦には別途「調合が違う辛汁」が付く。出汁が異なるようだが、こちらは濃厚は同様ながらも若干丸く穏やかなような気がした。田舎蕎麦は少し粗挽きでモッチリ、外皮の縁取りと滋味は中々豊かだったが、これはまだ発展の余地はありそうだ。
楽しみはまだまだ終わらない…大地の滋味のホクホク競演、しめじ・ナス・イモ・かぼちゃ天が素朴で楽しい。そのままで美味く、お好みで残った汁に浸しても… お腹と心はもう大満足。
さあ、美味しい余韻の締めくくり…残った汁を蕎麦湯で割って、スッキリとした出汁感を楽しもう。勿論茹でて溶け出したカリウム等の栄養も取り込める。最後は蕎麦湯そのままを味わって、舌と心はソフトランディング。
あああーーーー良かった、美味しかった!これでワンダーランドのフィナーレだ。
それにしても一つのメニューでここまでやるか???
いやいや、ここまでやるから「たぐと」なのだ。
この店の個性は道内稀な存在…今回も大満足をありがとう。
2021/06/20 更新
2020/09 訪問
「変幻自在な玉手箱」〜サプライズと喜びを提供し続ける超人気実力店。
蕎麦を手繰る(たぐる)人… だから「たぐと」
故郷岐阜にちなんだメニューも魅力的。
かれこれ7年振りの訪問。やはり強い店は強かった。いや、強過ぎる。
いつの頃からか、札を持ち入店を待つスタイルに変更されたようだが、同行の友人がシステムを理解していたのでスムーズだった。
既に多くの的確なるレビューが点在するので、今回は詳細は控え、魅力をより絞って解説する。
◯とりごぼうせいろ 1,410円
◯冷しひなた 1,380円
たぐとの魅力の一つはダイナミックな創作センス。かつて私は「変幻自在な玉手箱」と例えたように、定番からサプライズまで豊富であり、視覚的、組み合わせ的、素材的にもワクワクするメニューを揃えている。
そして創作メニューを下支えし、根源となる魅力を放つのはやはり更科蕎麦。創作が輝くのはしっかりとした基本が存在してこそ。
以前より適度な弾力と瑞々しさが特徴だったが、更に適度なザラ付きを得てパワーアップ。喉越し、噛み応え、ほのかな甘味… 実に良い存在感は、正に煌めく白糸のよう。
汁は強いボディ感のある濃い目やや辛口。太く上品な出汁感に弾ける旨味、まったりと強めの返しが、しっかりと密着するように融合。その一体感、馴染み感は強力だ。
そして更なる魅力は、お客目線のこだわりと上手なアナウンス。ベテランも関心を持つ蕎麦粉の割合や加水率、湿度の表示、創作メニューの特徴や食べ方の解説は見ていて楽しい。
そして、食べる側視点の「2度に分ける蕎麦提供」はたぐとの十八番であり、尚且つ、せいろ物に辛汁(そば汁)が付く事が何よりも嬉しい。少しだけでもやはりシンプルに手繰りたい、そんな気持ちに手が届いたサービス・設定だ。
そのこだわりの数々からは、きっとご主人は蕎麦を提供するのは勿論、蕎麦を手繰る(食べる)事が大大大好きなのだろうと推測出来る。
単価が少し上がった印象を受けたが、内容、クォリティ、ボリューム、手間暇を考えれば、むしろハイコストパフォーマンス、お得感すら有りだ。
平日開店5分前到着で、すぐに着席出来たが、間もなく待ち客多数発生。やはり屈指の人気店。
今回は蕎麦をもっと好きになって欲しい友人を引き連れての手繰り。友人何度目かの訪問は、大満足の手繰りとなったようだが…
私はスパルタ。さあ、すぐに次のそば店で連食指導だ!
2020/09/04 更新
2013/11 訪問
まるで変幻自在な玉手箱!本格更科蕎麦にワクワク感溢れるメニュー構成
【2013/11】
新そばを味わいに再訪。但しこちら「たぐと」の蕎麦は更科。新そばの恩恵を解りやすく享受出来る性質ではないのだ。
しかしながら・・・
相変わらずの「完成度の高い蕎麦」は健在。熟成甘味に重点を置いた「つゆ」にも進化?だろうか、旨みが増してより良い印象。そしてこの店の醍醐味とも言える変化球蕎麦「花巻き」には脱帽の一言。質の良い鰹節がドサリと盛られたインパクト、そしてそれが出汁重視の穏やかつゆと絡み合い、茹で加減を変えてコシを保っているであろう蕎麦と、固めの海苔が渾然一体となり・・・
これは美味しい!
興味がある方には是非試してみて頂きたい「逸品メニュー」だ。
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【2012/10/8】
朝のニュースで初めて知ったのだが、本日10月8日は「蕎麦の日」らしい。当別で親子丼を食べた後に札幌へ移動、この日に蕎麦を食べずにはいられず、どこの蕎麦にしようか迷ったが、お腹がある程度満たされた状態ではスッキリとした更科が食べたいと感じ・・・よって今回は最近、スマイルさんのレビューで再度刺激を受けていた「たぐと」に決定した。
「とりごぼうせいろ 980円」
新しいメニューだろうか・・・どうしても「ゴボウ揚げ」が食べたかったので、このせいろメニューにしたのだが、やはり冷たいつゆも再度試してみたい。メニューを見渡すと、単品で「ゴボウ揚げ」の設定もあった事に気付いた・・・しまった!もりとゴボウ揚げにすれば良かった!と思ったが、提供された蕎麦には「お試し的」ではあるが、冷たいつゆが添えられ、「まずはシンプルなつゆで蕎麦を味わってみて下さい」と店員さんから説明があった。このお客目線に立った「かゆい所に手が届くサービス」は相変わらず流石だ。
冷たいつゆは、辛汁でほんのり甘味のある、「更科」に適したタイプであり、旨みが口の中にパッと広がる。そして最初はこちらのサービスの特徴とも言える「蕎麦半分」が提供された。蕎麦をより良い状態で提供したいという徹底ぶりは、やはり素晴らしい。
蕎麦は「弾力系の粘りコシ強め」。これぞ絶妙な水切りと言えるだろう「パラリとしっとり」とした状態。ザラつきのある繊細な細切り更科蕎麦は、喉越しが満点だ。噛み締めて喉を通る瞬間が最高に心地良い。風味甘味というよりは更科の王道、「喉越し」を楽しめるタイプの蕎麦なのだ。
程なくして「とりごぼう汁」が提供された。チップ状に薄く揚げられて、こんもりと盛られたゴボウは香ばしくてパリパリ。食べ進めると、どんどん汁にゴボウが馴染んで行く・・・そこに蕎麦を投入!雑味無く柔らかな鶏肉と、しんなり変化した香ばしいゴボウ、そして旨みの抽出されたシンプル系の温つゆに蕎麦が絡まって・・・バッチリ美味い!これは計算されたような「仕掛け」のようだ。更に後追い、残り半分の蕎麦が状態も良く提供された。このサービススタイルは実に良いと思う。
久しぶりの訪問だったが、評価は更にアップ。
蕎麦激戦エリア「札幌市西区」で更科蕎麦と言えば、手打ちそば やま賀と、こちら「たぐと」が二枚看板のような気がするが、個人的にはどちらも魅力的で甲乙は付け難い。もしも音楽に例えるならば「やま賀」は伝統的で様式の定まったクラシック、そしてこちら「たぐと」は遊び心があり、アドリブも豊富なJAZZと言ったところだろうか。しかし、どちらも「しっかりとした根幹」を持った蕎麦だと言う事は間違いないだろう。
商品・空間・サービスの三拍子が揃ったこの店は「総合力で横綱級」だ。
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【2011/11】
「岩のりそば 1,000円」を頂く。
シート状の岩のりが丼全体を覆うスタイルは圧巻。その下には三葉、とろろ昆布、水菜が隠れている。ここ「たぐと」では、「冷たいもの」と「温かいもの」とでは「蕎麦の性質」を替えているようで、実際今回頂いた「温かい種物」では更科というスタイル上、風味こそさほど感じ取れなかったが、熱いつゆにも負ける事の無いコシ・食感が心地良かった。つゆは基本的に薄口(色合い含め)だが、出汁がきちんと効いており、味わいとしては繊細ながらもしっかりとした印象。主役級の岩のりも、つゆに溶け出し風味抜群。その岩のりは、食感に対して積極的に主張はするが、そば全体のバランスを損ねる事は無く、とろろ昆布・水菜を含めバランスがとれており、歯ごたえと味わいのバランスも良かった。美味しい蕎麦に今回も大満足。
そして相変わらず心地良い元気な接客と、生命感の感じられる店内は流石の一言。この辺りには「店主のポリシー」が強く感じられる。
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店名はたぐと・・・「たぐ(食べる)・と(人)は古語にある表現(某書より)」
3月に決行した蕎麦弾丸ツアーの3件目。すでにお腹は満杯であったが、人気店である「たぐと」の更科をどうしても味わいたかった。店内はレイアウト・什器・ライティングを含め、「緊張感を感じさせず落ち着ける、そして心地よい活気が感じられる」ような空間。手書きのメニューPOP等も、若々しい印象だが上手にまとめられており、眺める側をワクワクさせてくれるようなデザイン。そして興味をそそるメニューの数々・・・これらには店主のセンスと思いが強く感じられた。
メニューは基本的なものから「やや変化球的」で興味をそそられるような蕎麦まで、豊富なラインナップ。その他コロッケやお菓子等・・まさに「変幻自在な玉手箱的」メニュー構成だが、かと言って欲張り感やチグハグな印象も感じられず、店の雰囲気に良く馴染んだ印象。接客もソフトで優しい雰囲気、これもまた店の雰囲気に合っていてとても感じが良かった。
今回は、この店の基本であろう「もり・更科」をオーダー。見た目は白色要素がやや強め。早速手繰る・・・やや強めのコシは「粘り腰」ともいえる独特な雰囲気。甘味・風味ともに良く、私としては好印象。つゆは基本濃厚な「辛汁」だが、舌に馴染ませた後には甘味が程よく鼻に抜ける。この甘みに関しては好みが分かれるかも知れないが、繊細な更科蕎麦には良く合っている感じ。このつゆには出汁感も含め縦に深い・・と言うよりは、横に拡がる旨味を重視した印象を受けた。
蕎麦・店舗・接客を含めて大変満足。蕎麦というジャンルにPOPな雰囲気を・・・そしてお洒落かつ上手にそれを取り入れている様には、店主の高いセンスを感じるし、思わず試してみたくなるようなメニューも豊富。そしてその土台を支える「しっかりとした本格蕎麦」、更に蕎麦に対する真面目な姿勢・・・私としては満足度の大変高い店である。
【2013 新そば】
【2013 新そば】花巻そば
とりゴボウせいろのつけ汁
喉越し抜群!コシ強め
とりゴボウせいろ980円
シンプルな旨さ
岩のりそば 1,000円
もり(更科)
更科アップ
薬味は可愛らしく
蕎麦湯は濃厚系
不思議な落着き感
POPな雰囲気、ハマってます
センスあり!
2014/01/22 更新
店主である田口氏は、蕎麦を打てない職業病的なケガをおおい、手術を乗り越えて再び厨房に立った。当初は蕎麦の提供を辞め、食事メニューでの営業であったが、やはり蕎麦への情熱は冷めなかったのだろう…発想の転換でメニュー限定ながら蕎麦の提供を再開している。そして蕎麦が切れた時間帯には様々な食事メニューも充実させる。
同氏のfacebookには蕎麦に…そして料理に対する情熱がしっかりと書き込まれており、私はそれに感銘を覚えている。今も大変な人気店だが、10:30から営業しているので、出来ればその時間に訪れるとストレスは少ない。ちなみにただ待つのでは無く、店に入り記入と札の選択が必要なのでご注意を。
改めて「たぐと」は素晴らしい。facebookで新そばの田舎を今年も始めたとの情報を得て早速の訪問だ。尚田舎蕎麦は数量限定にて2月頃まで販売予定との事。店に入れ「たぐと」らしい丁寧で親切な接客スタイルが健在だ。
■せいろ 更科と田舎のハーフ 979円
たぐとの十八番、ハーフを2回に分けての提供だ。最初は定番中の至宝・更科から。たぐとらしい透明感と艶のある白糸は、逞しい弾力とキリリとした冷〆で「欲しがる心と乾いた喉」を一瞬で潤し虜にする。たぐとは水切りがややウェットに感じていたが、昨今は実にセンターな加減で心地よい。
つゆは驚きと拘りを感じる2種類提供で、スタッフがしっかりと説明してくれる徹底ぶり。味わいは蕎麦におけるセオリー通りで、更科用は強く深い塩梅、どっしりとした出汁よりも濃厚な返しが主張してくる。更科を半分ほど浸けてヒュッと啜れば最も幸せ値がMAX。つゆの味わいと更科の上品な甘味、そして爽快な喉越しをご堪能あれ。
そして驚きは、たまたまかもしれないが、最後の更科が胃袋に落ちた瞬間にドンピシャな田舎蕎麦の提供。これも長年で培ったノウハウがバックボーンとなる驚きのサービスだ。但しfacebook画像で見られた白星は感じない…試行錯誤の結果だろうか。
中細の粗挽きである田舎蕎麦は、繋ぎが0.1割という事で、ほぼほぼ10割。良く繋がっておりテクスチャーもワクワクな設定だ。
新そばの主張こそ穏やかというか、煌びやかさこそ無いが香りが優秀で、噛みしめれば粗挽き田舎蕎麦特有の「縁取りのある滋味からの深い甘味」が感じ取れる。田舎蕎麦用のつゆは、荒節がまったりと主張しつつ穏やかな返しがバランス良く主張して後味にほんのりとした甘さが追う、まさに田舎向けのアプローチ。この蕎麦とつゆの絶妙な均衡点の持って行き方も店主のセンスに違いない。
改めて感じた「たぐと」の蕎麦のクォリティとサービスの一生懸命さ。
‥‥素晴らしい。
この店に関しては、そのランキングにも至極納得である。