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1回
昼の点数:4.2
2015/05 訪問
昼の点数:4.2
年間100食:うなぎマーケッター訪問記<鰻家:日本最高レベルの焼き職人>
2015/05/28 更新
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新森古市の名店だったうりずんが閉店し、西中島南方にリニューアルオープンした鰻屋が鰻家だ。開店から1年ほどが経って、ようやくお邪魔する機会に恵まれた。予約を受けていないということで11時の開店と同時に入ろうと思い、5分前に到着。すでに3組6名が待っていた。カウンターが10席ほどの小さい店というのはうりずん時代より数席増えたレベルで大差ないが、店内は驚くほど小ぎれいになっていた。質の良い小料理屋かという雰囲気だ。働いていたのは以前と同じく店主とおばちゃん。
注文したのは鰻重(上)。鰻重、う巻き、肝吸い、お新香のセットで3670円だ。うりずん時と変わらず、鰻重(並)は(上)からう巻きをなくしたもの、(特上)は(上)に八幡巻と京水菜のみぞれ和えが付いているというものだ。その他にうな丼もある。鰻重は鰻1尾を使うが、うな丼は半尾。システムは以前とほとんど変わっていない。ちなみに一品料理は14時以降の注文になるので、白焼き、活鰻の湯引き、鰻のてんぷら、鰻の西京漬けなどは注文できなかった。また鰻棒寿司は要予約だ。
注文してから10分ほどでう巻きが提供される。これはあらかじめ鰻の蒲焼を刻んだものを使っておばちゃんが卵部分を担当する。提供されたう巻は熱々で気をつけて食べないといけない。提供される時に店主から「あたたかいうちに食べてください」と言われる。一口食べると、卵の素朴な味わいにほのかに鰻が香り、鰻の蒲焼の味が小さいながらもアクセントで効いてくる。どこか家庭的でホッとする味わいだ。
う巻きが作られている間、店主は鰻を割き、紀州備長炭の炭火で焼く。入店直後には無臭の店内も、炭で焼かれていくうちに徐々に香ばしい香りが増してくる。入念に焼かれた後、たれにくぐらせ再び焼く。こうして約30分弱で鰻重が完成し、提供される。
鰻には関東風と関西風の調理法がある。どちらが好みかは人によるが、以前のうりずんは関西風の中では日本で三本の指に入る名店だと思っていた。鰻家に変わり、期待は否が応でもある。客観的に評価をしなければと、冷静になるよう自分に言い聞かせつつ、提供された鰻重の蓋を開ける。見た目は以前と変わらない。美しいタレの照りとご飯の上に小分けに切られた蒲焼がぎっしり敷き詰められている。蒲焼の皮を見ると、うりずんの時と同様、かなりしっかり焦げ目がつくほど焼かれている。
橋を入れてみると、割合すんなりと切れる。関東風の蒸された鰻とは異なるので、ふわっと切れる感覚ではないが、サクッと切れる感覚はある。一口食べてみると、この味だとうりずんを思い出した。辛さはあるものの、それ以上に強い甘めのタレがしっかりと鰻に染み込んで焼かれている。焼かれているので、見た目には脂の厚みはそれほどでもないが、口に入れてみるとその味わいがとても良い。ふっくらではないが、脂がやわらかく甘い。言い換えれば、脂の旨味が凝縮されている印象だ。タレの甘さではなく、脂の甘さを楽しむことができる。
そして鰻家の最大の持ち味は皮にあると私は感じている。パリパリした皮からは鰻の旨味と滋味が強烈に感じられる。毎年100軒ほどの鰻屋を食べ歩くが、皮の美味しさや調理法だけで言えば日本一と言っても良いほどだ。食べているうちに、だんだんと体が熱くなる。まさに鰻が持つ力をいただいているという感覚になるほどだ。鰻はパワーをあたえてくれる生き物だが、鰻家はそのパワーを余すことなく引き出すことが本当に上手なのだと感じる。
ご飯はやや固めの状態で多くもなく少なくもない量でお重に入っている。タレはご飯に少しかかっている状態だ。蒲焼の味にパンチがある分、ご飯のシンプルさと多すぎない量がちょうど良く、鰻の美味しさを引き立てている。
ただ、もっとタレが欲しいという人のためだろうか、テーブル上には山椒と並んで鰻のタレが置いてある。私には不要だし、できれば使わない方が良いと思うが、味覚は人それぞれなので使われる方は使えば良いだろう。
肝吸いには三つ葉が大量に入っている。大きめの肝が入っており、味は若干の肝らしい苦みとまったりとした味わいが楽しめる。
鰻重を食べ終わる頃になると、身体中から汗が出てきているせいか、ボリュームが多いなと感じる。その一方で、あと何口で終わってしまうという気持ちになり、丁寧に鰻重をいただこうという気持ちにもなった。うりずんの時と同様、堅焼きの鰻が好きな人には鰻家は間違いなくおすすめ出来る名店だ。ただ、関東風のふんわりとした鰻の身が好きな人には必ずしもおすすめではない。甘めの強いタレや堅焼きされた皮と身は、食べる人の好みに大きく依存する部分があるのも事実だ。
最後に、鰻家は決して愛想の良い店ではない。またうりずんの時同様、決してわかりやすい場所に店はない。そしてカウンター席が10席程度とうりずんの時と席数も大して変わらない。また投稿のための写真撮影は禁止だ。店主と話をしていないが、私なりに考えた。これらは鰻をベストな状態で食べてもらいたいという店主のこだわりなのだ。開店と同時に鰻を割くのも、席数が少ないのも、写真撮影が禁止なのも、店が繁華街に無いのも、熱々のうちに食べて欲しいと伝えるのも、すべては鰻を美味しく食べて欲しいという店主のこだわりなのだ。愛想は決してよく無いが、サービスが悪いということではない。お茶が切れればすぐに入れてくれる。そして、私が「1枚だけ写真を撮影して良いか」と聞くと、店主は許可してくれた。ここで感じたのも、店主は写真撮影自体が嫌なのではなく、行き過ぎた写真撮影によって料理がベストな食べ頃を逃すことが嫌なのだろうということだ。すべてはこだわりなのだ。写真は撮影させていただいたが、「投稿のための写真撮影はご遠慮ください」と書かれていたので、今回撮影した写真はあえてアップしないことをご了承いただきたい。ただ、基本的にはうりずんの時と変わらないので、そちらを参考にしていただきたい。
リピートの可能性:
うりずんから鰻家と名前も場所も変わっても、関西風の堅焼きの鰻の名店は健在だ。自分の理想を描き、そこに向かって鰻職人の道を極めようとする店主。その姿勢には心から応援したい。現状でも日本のトップ10に入る名店だが、この先、店主の理想がどのような形になっていくのか。本当に楽しみでならない。ぜひオンリーワンの道を突き詰め続けて欲しい。
もちろん今後もリピートしていきたい大阪の名店だ。
関連リンク:鰻家うりずんのレビュー
http://tabelog.com/osaka/A2701/A270305/27006640/dtlrvwlst/5934125/