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昼の点数:4.2
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ツンデレパスタ屋
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2018/11/27 更新
雲を喰むがごとくの舌触り。
あ、それじゃ、雲呑か?
パスタにはおよそそぐわないように思える表現を、初めてパスタにしてみるよ。
しっかりとフォークで巻きとれるのに、軽やかでふんわり。
グルテンを無理矢理出そうとしていないのに、しなやかに繋がっている。
だからこその、この薄さ、舌触り。
何て言うのかな?エアリーな感じ?
粉気がしっかり切れているので、粉の香りに邪魔されずに、卵の甘さを味わえる。
ひゃーこれは凄いや‼︎
と内心驚嘆しつつも、そんな事をおくびにも出さずに、淡々と口に運んでは平らげてゆく。
ここは、真剣勝負のカウンター。
ん〜っと?なんでそんな事になったんだっけかな???
マイレビ様のレビューにこのお店が上がった時、絶対行こうと心に決めた。
メニューは2つの具なし生パスタだけ。
他はアルコールのみ。
恐ろしく入りにくいファサードに、当たりキツめの店主。
このクセもの感は、ゾクゾクします。
何よりボローニャやモデナを訪れた時の、あの繊細な生パスタの快感を、もう一度味わいたいという欲求が、心の底から沸きでてきて、その衝動に突き動かされた感じ。
人生2度目の茗荷谷。
長い坂を下ってクィっと右に曲がってしばらくすると、大きなガラス張りの作業場が見える。
たしかに場所はここに違いない。
けれど、飲食のほうのお店の中は外からは全く見えなくて。
あぁ、成る程入りにくいわ。
ドアを2つほど開けた先に広がっていたのは、シンプルだけど温かみのある、センスあふれる空間。
ガスコンロにはピカピカに磨かれた鍋が2つ。
微かな湯気が立ち上る。
ランチのピークからは少し外した遅めの時刻で、先客は無し。
カウンターの中にしゃがんで座っていた店主が、にこりともせずにストレートに言葉をぶつけて来た。
「パスタですか?ウチは具が入っていないパスタだけですけど、いいですか?」
おぅ、来た来た、強めのアタリ。
ここまでは、想定済みだもんね。
具無し素パスタ一本で勝負しようなんていうのは、ちょいと偏屈な職人気質な人なんだろう事は想像に難くない。
こちとら美味いパスタが食べられれば良いのであって、それ以外の事には興味が無いの。
勿論そのパスタを頂きに参りましたと返答し、晴れてカウンターの客となりました。
…唯一想定外だったのは、このアタリの強いスキンヘッドの店主が、超絶破壊力のあるイケメンだって事くらいかなぁ…
注文したのは
◆タリアテッレ
◆トルテローニ
◆白ワイン
お店の中に音楽は無くて、カウンターで店主の動く様子と湯気の揺らめき。
それを見つめながら静かに待つつもりが、意外や店主は話し続ける。
沈黙に耐えられないタイプだろうか?
う〜ん、ヤバイ…
笑うとイケメンっぷりに拍車がかかる…思わずニヤけそうで、慌てて真顔なフリをして、食べることに専念しようと心に決めた。
まず出てきたのは、タリアテッレ。
オリーブオイルと茹で湯?を茶筅でシャカシャカ乳化させ、茹で上げパスタとザザッと混ぜたら、チーズを振って胡椒をガリガリ出来上がり。
これが冒頭に繋がる一連の流れ。
日本で一般的に 生パスタとして食べられているものの、いかに無骨であることか。
何がホンモノかどうかなんてコトには興味が無いけれど、きっとこのパスタの事はずっと記憶に留めていられる。
続いて出てきたのは、ほうれん草とチーズのトルテローニ。
セージバターの風味をまとった熱々を、ひと口にほうばる。
味は限りなく穏やか。
あと塩をひと振りすれば、もっと分かりやすく美味しくなるはずなのに…ともどかしくなるような繊細なバランス。
でも、きっとこの料理のキモはそこでは無いんだ。
柔らかなフィリングと、しなやかでたおやかなパスタが、同じようなタイミングで口の中から消えて行くこと。
店主がこのひと皿にどう言う意図を持たせているのかなんて、わからない。
でも語弊を恐れずに言えば、
このひと皿は、料理として完成された美味しさを提供するものでは無い。
にも関わらず、大いなる経験値と、ココロにちょっとした温かさをもたらしてくれる。
きっとまた、茗荷谷の長い坂を下ってくることになるのだろうな。
凄腕ツンデレパスタ職人の技を味わいに。