去年の4月、被災地への派遣業務で名取へ行った。
被災者と一緒に小学校の体育館に寝て、支援物資を食べさせてもらって…、の生活を4日ほど。
水が多く使えないので水分の補給はなるべく我慢して風呂にもあまり行かず、
汗もかかないように努めた。
災害から1ヶ月以上も過ぎていたため、地元の方々はたくましくなっている。
余震も毎日、何回もくるのだが、震度3くらいでは何のリアクションもせずに食事を続ける。
小さな子どもでさえも。
そんなある日、その小学校の卒業者で、
近くのホテルのレストランに就職した人が炊き出しに来てくれた。
なんか見習いの方々を十数人ほど連れて。
作ってくれた料理は、バターライスのクリームソース添え、
サラダの何とかソースがけ、フルーツカクテル、その他など。
被災者のために来てくれたのだが、たくさん持ってきてくれたので、自分たちもいただけることに。
知ってはいるが、見たことや食べたことのないものばかりだった。
白いご飯に白いソースというのは経験がなくて少し抵抗があったが、
ご飯の炒め加減や香ばしいバターの香り、クリームソースの絶妙な塩加減に上品な深いコク、
具の、柔らかい鶏の弾力と溢れ出る旨味は、驚くほど美味しさが感じられるものだった。
ご飯を食べるというのは普通で当たり前のことであるが、何よりも重要で大事なことだ。
食材や、食べられるという幸せにはもっと感謝するべきである。
こんな事でもなければ食の大切さに気付けなかったというのは情けない話だし非常に不謹慎だが
だからこそ、この大切さをずっと忘れずにいたいと思った。
みんなで一緒に食べた料理。
たくさんの人のいろんな気持ちがいっぱい詰まっている。
今はもう、みんな仮設住宅に移っていると思うが、この料理を見て、
いろんなことを忘れないようにしたいと思った。