2回
2016/06 訪問
魚に唐揚げ、ロール寿司までおいしい居酒屋
ひさしぶりにあの店に行ってみようと電話をかけた。
人気のお店で、行こうと思ったその日になかなか予約が取れない繁盛店。
今日は朝から天気予報が、夕方からは大雨だからと脅迫めいた予告をしてた。それででしょうか。
運の良いことにあいてますとウレシイ答え。
それでいそいそやってくる。
西武線の新宿駅の向かい側。ビルの三階にある「のだぴん」という魚のおいしい居酒屋で、二年ぶりかなぁ…、本当にかなりのひさしぶり。
にもかかわらずお店の人は、おひさしぶりです…、元気でした?って聞いてくれる。
そればかりか、ちょっと待ってネって奥に入ってゴソゴソしてたと思ったら、焼酎のボトルをもって戻ってきます。
なんてウレシイ…、まだ流れずに残ってたんだと思ってニッコリ。
冷たい緑茶をもらって割って飲みます。ボトルの中を覗いてみると、瓶の3分の1ほどがまだ残ってて、こりゃ、これを全部飲んで新しいボトルを今日は入れて帰らなくちゃならないなぁ…、と、モティベーションがたのしくあがる(笑)。さぁ、飲もう!
岩牡蠣をまずもらいます。
ドッシリとした大きな岩牡蠣。
このドッシリを殻ごと手に取り持ち上げて、唇をつけ、スルンと口に滑らせて、口いっぱいに頬張り含むのもたのしい。
ココはそれをあらかじめ。
一口大に食べやすいよう切り分けて殻に戻して出してくれる。
もみじおろしをタップリ添えて、ポン酢をちょっとかけ回し、箸でつまんで気軽にどうぞ…、という趣向。
箸でつまんで一切れずつ。
口に運んで酒を飲む。飲兵衛にはこの食べ方の方がいいやとニッコリします。
旬の魚が多彩に揃い、中でも気になるネタを2種類。
ひとつは赤貝。分厚くゴリゴリした食感で、噛むとトロリとまるで昆布を口に含んだような粘りと旨みを感じる。
それから〆鯖。これも分厚い。キラキラ光ってうつくしく、食べると浅い〆具合。
まだなまなましく、表面だけがカチッと固くて歯ごたえが良い。いやはやおいしい。美味しくって笑っちゃう。
魚の料理をもう一つ。これだけ鯖が美味しい店です。
アジのフライもおいしかろうと、たのんでみると想像以上にこれもおいしい。
おそらく刺し身で食べられる鮮度抜群のアジなんでしょう。ふっくらとして香りが甘い。カサカサパン粉の衣もおいしく口の中が魚の旨みで満たされる。
本格的で伝統的な居酒屋料理が揃う中、遊び心のある料理も沢山あって、それらをあれこれ。
イカホーレンバターという呪文のような名前の料理。イカとほうれん草をバターでいためて醤油で風味をつけただけ。なのに食感異なるイカとほうれん草をバターが見事に仲をとりもちおいしくさせる。
鳥の唐揚げは大きな筒状。タレにじっくり漬け込んで、芯の部分はふっくらやわらか。ところが歯ざわりがっしりしてて、カサカサとした表面軽やか、オモシロイ。バリバリ噛んで顎を思う存分たのしませつつ味わい、食べる。
エビのかき揚げはたまねぎタップリ。その玉ねぎの甘さと衣が相性よくて、抹茶塩で食べるとお酒がおいしく感じる。
天ぷらってお行儀のよい料理に感じる。ところがかき揚げって、酒の肴にも麺のお供にもなる自由でたのしい料理なんだって思って食べる。オキニイリ。
もともと先代が寿司屋さんとしてスタートさせたお店で今でも、お店の奥には寿司カウンター。
本格的な握りもしっかりたのしめる。
ただ、酒の肴には握りよりもロール寿司。いろんな種類のロールがあって中でもドラゴンロールというのがオキニイリ。
キュウリと穴子を芯にして、まわりをアボカドで包んだロール。ちょうど一口大の大きさで、口に入れるとトロリととろける。アボカドも穴子もみんなシャリと一緒にとろけて最後にキュウリがカリッと食感くれる。
ニコニコしながらパクパク食べて、目標通り古いボトルは空っぽになる。新たなボトルにサインして、また来なくちゃネ…、とよい言い訳にして帰る。
2020/03/15 更新
5人になりました。
いつもは大抵、2、3人でくるのだけれど、人数が多いとそれだけ沢山の料理を楽しむことができるのが居酒屋という店のうれしいところ。
さぁ、何を食べてやるかと思案する。
まずは馬刺し。
霜のほどよくふった赤身の馬肉。
おろしニンニクに甘い馬刺し用の出汁醤油。
それからかき揚げ。
むきえびと玉ねぎで作った分厚い仕上がりで、抹茶塩で食べる趣向。油と塩って口の中でそのまま旨味と甘みに変わる。
熱の入った玉ねぎの甘さも手伝い、なんだか気持ちも甘くなる。
ボトルを預けておりました。
麦焼酎で、それを冷たい抹茶で割ってグビグビ飲みます。
ボトルをキープする習慣がほとんどなくて、それでも数軒。お店の人と気持ちをそのままつなげていたいと思うお店にお酒の瓶を置いて帰っているわけです。
こういう習慣。フランス料理とかイタリア料理のお店でしようと思ったら、ワインをひとケース買っちゃうね…、って豪気な行動をとらなきゃいけない。和食のお店や中国料理のお店は本当に安上がり(笑)。
さてさて刺身の盛り合わせ。大きな鉢の中にギッシリ氷をつめて、上にキレイに刺身が並ぶ。
赤からピンクへのグラデーションも鮮やかなマグロの中トロ。赤身にサーモン。
コハダにヒラメ。ヒラメはしっかりエンガワ付きで、アワビの殻の中に入ったアワビの切り身は肝がついてる。
関東にして珍しい、ゴリゴリ歯ごたえのあるハマチにウットリ。魚はどれも脂がのってて、醤油煮つけるとキラリと脂が水面に揺れる。男性は全員40オーバーというおじさんたちで、さすがに刺身がおいしく感じるお年ごろ。テーブルの上にドンッと置かれた途端に歓声あがったほどで、酒の肴にグイグイ食べる。
中でもキレイでびっくりしたのがサンマでござんす。
考えてみれば初モノで、その脂ののっていてトロリとろける食感に、軽い酸味を帯びた味わう。強い旨味にニッコリします。サンマの中骨で作ってみましたという揚げびたし。高温でサクッと揚げた中骨はポン酢にひたしてサクサクおいしい。
同じサンマを塩焼きにする。
旬の秋刀魚は焼くに限るってしみじみ思う。
自分の脂で揚がったように仕上がった皮がチリチリ、ちりめん模様になっている。それがキラキラ、まず美しい。
焦げた香りもあまやかで、鼻をくすぐる。
解体します。
頭をもいで背骨にそって箸を入れ、パカッと割ってお皿に移す。しっぽをもってそっと持ち上げ骨を外してあとはハフハフ食べるだけ。
シットリしていて、舌にのせるとジュワリ、おいしい脂がとろける。
噛むとキチキチ、奥歯で潰れてときおり小骨が刺さる感じもオゴチソウ。
新鮮なサンマだったんでしょう…、肝が渋くてまた旨い。
厳しい夏を過ごして秋においしくなっていくモノは、みんなどこかに渋みや苦味、エグみをもってて、生きぬいたって生命力を感じるおいしさ。
野菜を食べなきゃ…、って海鮮サラダ。
刺身の端材をたっぷり、ごま風味のドレッシングとあえて野菜の上にドサッとのっける。
イカにタコ、サーモンにタイ、赤身のマグロと、端材といえどもそのまま刺身として食べられる、立派な切り身を野菜を一緒にムシャムシャ食べる。醤油と山葵で食べるのとまるで違った味わい、風味になるのがたのしい。
脂の強い魚がドレッシングの油と一緒になると案外、さっぱりするのがオモシロイ。
刺身や生の魚を食べてると、不思議と食べたくなるのが揚げ物。ココの鶏の唐揚げは味を染み込ませた鶏胸肉を筒状に丸めて揚げる。ザクザク歯切れて、口の中で揚がった表面が崩れてなかからシットリとした肉が出てくる。
唐揚げ食べると、気持ちが明るく元気になります。
イワシの南蛮酢漬けもふっくら旨い。オモシロイなぁ…、と思ったのが、椎茸のたたきという料理で、干ししいたけを戻さず粉をはたいてこんがり揚げる。ザクザクするんです。きのこというより分厚いベーコンを揚げて食べてるみたいな食感で、なんだか感心。オモシロイ。
もともとすし屋さんをやっていた家族がはじめたお店。
お店の場所を何度か変えて、今ではすっかり居酒屋として人気をとった。
けれど今でもお店の奥に寿司カンターがしつらえられてて、そこで先代のご主人が寿司を握ってくれるのですね。
握り寿司も充実してるけど、ロールが名物。
握りはなるべく早く食べなきゃおいしくなくなる。
ロールはその点、時間がたっても品質があまり変わらず、お酒のあてにも便利な料理。
それで今日もそれを2種類。
ひとつは鯖ガリロール。芯の部分に刻んだガリのマヨネーズ和えと大葉を置いて、上に生鯖をおいて仕上げる。
ガリマヨネーズが鯖の癖をおだやかにして、さっぱりおいしい。サイドに鉄火巻が一本サービス。中にわさびがタップリ入った「激辛当たり」が一個あり、誰が引くかがおたのしみ。なんと今日は当たりが2つ。二人悶絶、みんなで笑う。
アボカドと穴子で作ったドラゴンロールは、甘くてネットリ。口の中がトロトロになるオキニイリ。
ほうとうをパスタに見立てて、ウニといくらで作った料理。ネットリとしたほうとうをウニのソースが一層ネットリ。日本料理の間にこういう料理があると、満足以上の満足もらえる。たのしい夜です、また来よう。