この口コミは、サカキシンイチロウさんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。
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夜の点数:4.5
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¥10,000~¥14,999 / 1人
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料理・味 4.5
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|サービス 4.5
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|雰囲気 4.5
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|CP 4.0
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|酒・ドリンク 4.5
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[ 料理・味4.5
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| サービス4.5
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| 雰囲気4.5
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| 酒・ドリンク4.5 ]
クチーナヒラタのしあわせな名残
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2020/04/02 更新
「ちいさな台所ひらた」という店。クッチーナヒラタというかつて通いつめたイタリアンレストランのシェフとマダムが引退されて、数年のんびりされたのち、開業した店。クチーナヒラタを翻訳すれば「ひらたの台所」ですから、その小さい版。
表に看板を出さぬ目立たぬ入り口を、開けるとこじんまりしたやさしい空間。
マダムも元気に、ニッコリ、やさしくおでむかえ。
泡を飲みつつ互いに近況報告しながら、アミューズがわりの冷たいスープ。
季節の野菜、そら豆のザラッと細かな繊維が喉をなでまわし、オリーブオイルの明るい香りとシブレットの青い香りが鼻から抜ける。お腹の入り口やさしくそっとノックするたのしいひと品。
今日の前菜のおいしいところの盛合せ。
ブリンと食感たくましい鯛の切り身のカルパッチョ。細かく刻んだエシャロットに明るい酸味がキリッと旨い。
アオリイカのネットリ感をたのしむ料理は、ずっと昔からココの自慢の料理のひとつ。ウリやワラビをローストし、軽くマリネしたものは目にうつくしき春の装い。
中でも、生ハムいちじくのおいしいコトに舌を巻きます。
生ハムもおいしいのだけど、いちじくの香り豊かで味わい濃厚なコトにウットリ。
店はかわっても、昔ながらがずっとこうして守られる。ステキなことです。
温かい前菜料理も昔ながらのスペシャリテ。
ホタテのザックリ切り分けて、マッシュルームやトマトと一緒にオリーブオイルで煮込んだ料理。
グツグツ、沸騰しながらやってくるのをフーフーさましてハフっと食べる。
口に広がるオリーブオイルの風味のあとから、貝の旨みが顔をのぞかせトマトの酸味がキリッと味をひきしめる。
お腹の中があったまり、冷たい白がおいしくて会話も進む。
パスタがきます。
春から夏にかけてひらたで食べたくなるのが「青唐辛子のスパゲティー」。
具材は刻んだ青唐辛子と、あさつきだけというシンプルさ。オリーブオイルでドレスされ、刻んだ具材がキレイにパスタにからみつく。
突き抜けるような青唐辛子の辛さとともに、あさつきの香りとクシュッと奥歯で潰れる食感がとてもたのしく、あっという間にお腹の中に収まり終わる。
それに続いてカラスミのパスタ。
断面四角いタリオリーニに、カラスミがからんで口の中でバッサリ、歯切れて散らかる。強い旨みに負けぬパスタの、ザクザク歯切れて奥歯の周りであばれる食感。そしてネットリ、カラスミが最後にとろけて消えていく。もう終わりか…、ってさみしくなるようなオゴチソウ。
パッパルデッレのクニュクニュ感と、粗切りにした牛肉のラグーがクチュッと奥歯で潰れる食感が肉感的なるパスタでお腹が次の料理の準備をします。
さてメインディッシュがやってくる。
前のお店ではやってなかった牛頬肉の煮込みはいかが…、と薦められてたのんでみたら、こりゃすばらしい。
ナイフをあてて切るとネットリ、ゼラチン質が糸をひき、その断面は肉の繊維が立ち上がるほど。口に含めばムチュっと潰れて、繊維がほろりとちらかっていく。散り散りになってしまうかと思うと脂がそれをひきとめて、ムッチリとろけて肉の旨みをしっかり吐き出し消えていく。
塩で仕上げたオッソブッコや、牛ヒレ肉をミラノ風に仕上げたカツレツ。トマトで煮込んだトリッパとみんなで違う料理をたのみ、お皿をまわしてそれぞれ楽しむ。
そしてデザート。グラッパとヨーグルトで作った大人仕様のソルベを味わい、マダムと昔話に花を咲かせるシアワセ。
それにしてもこのお店。若い人たちが一生懸命、学び働く、まるで学校みたいな空間。ひらた流の料理のあり方。おもてなしのスタイルを次の世代につなぐコト。
ここでの経験を活かしつつ、いつか食べられるようにしてあげるコト。
だから歳をとってもお店をやめず、みんなと一緒に働くの。来ていただけるお客様にも元気を頂戴できるしネ…、と。これが人と人との関係性で出来上がっている飲食店に従事すること…、って思ったりした。ボクもまだまだがんばろう!