6回
2022/07 訪問
築地の朝に大葉にまみれる
丸ノ内線の銀座の駅からテクリテクリと築地に向かう。のんびり歩いて20分ほど。
汗をかきかきしっかり歩いたご褒美にスパゲティーを食べることにする。時間は9時半。7時半で開店してから2時間は飲み物だけ。9時半からスパゲティーを注文できる。
そこを狙っての到着です。
入り口入った正面のカウンターの中が厨房。茹で上げた麺がざるに山盛り。野菜をひたすら刻む音がお店に響く。
厨房目近のテーブルにつきいつものように「和風スパゲティーをお願いします」と注文します。
まずはサラダがやってくる。
トマトにレタス、千切りにしたニンジン、キャベツ、それから半割り茹で卵。歯ざわりあざやか、みずみずしさに寝ぼけ眼がパチッと開くよきスターター。
厨房からはスパゲティーを炒めて仕上げる音がする。
カンカン、鍋がレンジの五徳を叩く音。
ジャジャッジャジャッと麺や具材が焼かれる音と一緒においしい匂いが漂ってくる。
じっくり時間をかけて入念に、10分ほどで料理は完成。
お待たせしましたとやってくるお皿の上にはおびただしいほどの大葉の山。
お店に響いていた何かを刻む音の正体は大葉を刻む音だったワケ。
大葉の下には刻み海苔。これまたたっぷり。焼かれて熱々のスパゲティーから噴き出す湯気と一緒に大葉や海苔の香りが湧き上がるよう。食べる前からウットリします。
細めの麺で、醤油風味のタレと一緒に炒められところどころが焦げて仕上がる。時間をかけて焼き切られているために引きしまってて噛みごたえがある。
大葉や海苔と一緒に口にやってくるからモソモソ乾いた感じがするのが独特、そしてオキニイリ。
タマネギ、しいたけ、ソーセージと具材たっぷり。タマネギはシャキシャキ感が残って甘く、マッシュルームじゃなくてしいたけってところが和風。焦げた油の香りも旨い。
途中でタバスコばしゃっと注ぎ、酸味と辛みをくわえてハフリ。麺が乾いているからでしょう…、フォークにキレイにからみつき口の中へと飛び込む感じがオゴチソウ。焼いて仕上げるスパゲティーの中でもこれが最高峰。オキニイリです…、満ち足りる。
2022/07/25 更新
2021/12 訪問
具沢山のスパゲティーってなぜだか最後に具材が残る…。
朝早く目が覚めて、いつもと違ったところを散歩しようとひさしぶりに築地に来てみた。
年末に近づいてきたこともあって街はにぎわいを取り戻し、歩いているだけでなんだか元気が出てくるようでニッコリします。
ついでに朝を「フォーシーズン」でスパゲティー。
朝の7時半にお店はオープン。人気のスパゲティーは9時半からでそれがおいしくオキニイリ。
いつも大葉をたっぷり使った和風スパゲティーを選んで食べる。
入口前の小さなカウンターの中が厨房。カウンターの上には茹でおきの麺がザルに入って置かれてる。厨房の中のご主人が仕込み仕事をしていてまな板を包丁が叩く音が軽快。心地よい。
トマトにレタス、千切りキャベツにゆで卵、ハーブの香りのイタリアンドレッシングで仕上げたサラダを食べて待ってると、ジャジャっと炒める音がしてくる。
ジャジャッジャジャッと湿った音に続いて醤油が焦げるおいしい匂い。ガコンガコンとレンジにフライパンを叩きつけつつ炊き上げる音。そして完成。
お皿の上にはこんもり大葉の山。
厨房から聞こえていたのは大葉を刻んでいた音で、刻んだばかりの大葉の香りはとても鮮やか。
目が覚める。
大葉に混じって細切りの海苔。麺は細くてはりがある。
茹でて休ませそれをじっくり油で炒める。麺が含んだ水分が焼き切られていてほどよく硬くて歯ごたえがある。
大葉や海苔が麺にからんでモサモサ乾いた感じがするのが独特で、炒めスパゲティー世界の最高峰と来るたび思う。オキニイリ。焦げた醤油の風味もおいしく、タバスコばしゃばしゃふりかけて大人味にしてパクリ。
麺に混じって具材もたくさん。シャキシャキ感を残した玉ねぎ。細切りにしたソーセージにしいたけ、それから赤唐辛子。マッシュルームじゃなくてしいたけというのが和風の証。
乾いた麺と一緒に具材をフォークで巻き取ろうとするもこれがむつかしくって、具材がどんどん残ってく。麺をもぐもぐしながら具材をおかずに食べるような感覚。ただここのスパゲティーは麺が主役で、ただただ麺だけずっとひたすら食べていたくなるほどにおいしい。
最後は大葉やウィンナ、玉ねぎがたっぷり残って野菜炒めを食べてるみたいな気持ちになった。野菜を一杯食べたつもりでお腹が満ちた…、オキニイリ。
2021/12/15 更新
2021/02 訪問
ハーフハーフがまた旨い!
ひさしぶりに築地。朝早く起きて移動して、築地の街にしばし身を置く。かつてのニギワイはなくなっちゃったけど、街はしっかり動いてて元気が出るようなムードがステキ。
お腹も空いて「フォーシーズン」でスパゲティー。
朝早起きの喫茶店。9時半からスパゲティーが食べられて、それがおいしくオキニイリ。
いつも大葉がたっぷりのっかった和風スパゲティーを選んで食べる。
もう10年もそればっかりでたまには違うものを食べてみようと「ハーフハーフ」を食べることにする。
ミートソースとナポリタンが半分づつという料理で、どちらも喫茶店スパゲティーの定番中の定番同士。ワクワクしながら待ってる間、サラダを食べます。千切りキャベツにレタスににんじん、トマトといつものサラダをシャクシャク。厨房の方から麺を炒める音がジャジャッジャジャッと響いてくるのにワクワクします。
さてやってきたハーフハーフ。
ミートソースにナポリタン。
間に千切りキャベツがこんもりおかれ、大葉がパラリ。
まずは野菜を全部食べ、スパゲティーの全容を見る。
ミートソースはぽってりたっぷり。ナポリタンのサイドにはイカやエビが炒められててナポリタンの具材の玉ねぎ、ソーセージ、ピーマンなんかがこんがり焦げておいしい香りを漂わす。
粉チーズをたっぷりかけたい衝動にかられてバサバサふりかけ、フォークで麺をクルンと巻取りパクリと口に含んで食べる。
ミートソースはスパイシーでちょっと甘めでクラシック。ナポリタンは酸っぱく甘くしっかり炒めて仕上げているから香ばしくってぽってりしてる。
麺は細くてなのにザクザク、歯切れて口のすみずみに散らかっていく。茹でて一回冷やしたものを炒めているからこその歯ごたえが、ここのスパゲティーの特徴的なところ。しばらく食べないと顎が思い出して恋しくなるようなオキニイリ。
途中でタバスコ、ジャバジャバかけて大人味にして味わって、ザクザク麺に混じって玉ねぎがシャキシャキ歯切れる感じもおいしい。
そう言えば和風スパゲティーにあれほど入ってたしいたけがこれには一切使われてなくマッシュルームの姿も見ない。これならタナカくんも食べられたのに…、って思いながら食べてたら、なぜか今回も西城秀樹の「ブルースカイブルー」が流れてきた。「青空よ、ココロを伝えてよ。悲しみはあまりに大きい」というサビの部分が切なくて、ウルッと来ました、また来よう。
2021/02/19 更新
2021/01 訪問
炒めスパゲティーの最高峰。大葉とキノコとソーセージ
築地にちょっと用事があってフォーシーズン。
築地場外。ビルの二階にある朝早くから営業している喫茶店。早い時間帯は飲み物だけの営業で、9時半からはじまるスパゲティーが人気。
今日も9時半ちょっと過ぎに来たらすでに先客がいて、場外に買い出しに来た飲食店の人たちでしょう。大きな籠にどっさり食品を詰め込み床においてコーヒーを飲んでいた。
スパゲティーは20種類ほどあるかなぁ…。
スープスパゲティーの種類が充実していて、朝早くから河岸で働く人たちの冷えた体を温めために熱々スープが良かったからってことなんでしょう。
この場所ならではのたのしい工夫。
5人がけほどの小さなカウンターの中がキッチン。ご主人が仕込み仕事をしているまな板を叩く音がずっとしている。心地よい。
スパゲティーをたのむとタバスコや粉チーズ、塩に胡椒に爪楊枝とテーブルの上がにぎやかになる。
それに続いてサラダが到着。レタスにトマトに茹で卵と、通い続けてこのかたずっと同じ内容。典型的なる喫茶店のサイドサラダのしつらえで、でも野菜は新鮮。しかも冷たくパリパリ、歯触りが良い。サラダってこれでいいんだ…、って思ったりする。
ジャジャッジャジャッと厨房の方からパスタを炒める湿った音がしておいしい音がそれに続いてやってくる。
10分ほども経ちましたか…、スパゲティーが湯気と一緒に運ばれてくる。ここで必ずたのむ「和風スパゲティー」。炒めスパゲティー世界の最高峰とボクはずっと思って愛でてるオキニイリ。
表面ほぼ大葉です。
これだけの大葉を毎日毎日、千切りし続けてるんだと思うと、もうそれだけでおいしく感じる。
炒めて仕上げたスパゲティーの上にふっくら山盛り。
刻んだ海苔も麺が吐き出す蒸気に蒸され、青い香りが食欲さそう。
麺は細くて張りがある。
アルデンテというより麺全体がほどよく硬くて歯ごたえがある。
炒められて水分を吐き出し仕上がるから乾いた食感。そこに大葉が追い討ちかけて、口の中がモサモサしてくる。
そのモサモサがおいしんですネ。無性に恋しくなったりします。
食べ続けると具材がゴロゴロ転がしだしてくる。ウィンナさんにしいたけ、玉ねぎ、ピーマンと本当にゴロゴロ。タバスコをビシャビシャたっぷりかけて辛味と酸味を足して、ヒーハーしながら食べていく。
ただゴロゴロの具材をフォークで麺と一緒にからめとるのはなかなか難儀で、具材が最後にかならず残る。そうならないよう注意しながら食べたのに、先に麺がほとんどなくなり、大葉やウィンナ、玉ねぎがたっぷり残ってまるで野菜炒めを食べてみたいな気持ちになった。野菜を一杯食べたつもりで腹、満ちる。
お供にたのんだアイスティーのグラスに一本、チョコポッキーが入っているのが粋なもてなし。昭和的。
昭和と言えばBGMがいつも昭和でココロに残る。今日はスパゲティーを食べはじめたところで黄昏のビギンを歌うちあきなおみの声が流れてきて、西城秀樹のブルースカイブルーにつながってった。しみるなぁ…、ちょっとしんみり。席を立つ。
2021/01/18 更新
2020/07 訪問
当代ナンバーワンの炒めスパゲッティ
築地に来てみる。
友人にあってちょっと話をし、せっかくだからフォーシーズンっていうスパゲティーの専門店にくる。
場外市場の中でも静かな通りに面したビルの二階。
コーヒー&スパゲティーって書かれた看板がくるくる回って出迎える。朝早くからやっていてけれど朝は飲み物だけの喫茶店。9時半からはスパゲティーが注文できるというのがなかなか築地的。
築地の朝は早起きで、だからランチタイムが10時前にははじまっちゃう…、ってことなんでしょう。
今日のお店は静かです。入口前にカウンター。中に厨房。大きな窓をながめるようにテーブル4つ。
厨房の中ではスパゲティーの下ごしらえが粛々と行われてる。
茹で上げた麺をざるにとり、冷ましておいたのをドサッと大量にカウンターの上に置き、野菜をひたすら刻む音。
「和風スパゲティーをお願いします」といつもの注文。タバスコに塩、粉チーズ。胡椒に楊枝の入った器がずらりと並び、そこにサラダがやってくる。
トマトにレタス、千切りにしたニンジン、それから切った茹で卵。ちょっと甘めでけれどシャキッと酸味の強いドレッシングをかけたサラダで、みずみずしさに目が覚めてお腹の入り口がパカンっと開くような味わい。
厨房の方からは、ずっとひたすら鍋を振る音。
ガシガシガンガン、レンジの上を鍋が軽く叩きつけられジャジャッジャジャッと麺や具材が焼かれる音が混じって聞こえる。ときおりジューッと水が爆ぜるような音もしてきて、そのたび、おいしい匂いが強まる。何かが焦げるような音。こうばしい香りがおいかけやってきて、ずっとジャジャっと10分近く。
おまたせしました…、と料理が到着。お皿の上にはおびただしい量の大葉と海苔。これがここの和風スパ。
麺がすっかり隠れてしまうほどの大葉はほぼ生。
どかすと下にはスパゲティー。
細めの麺で、醤油のタレで煽られていてこんがりとした色がついてる。
大葉と海苔で蓋され麺は熱々で、麺が吐き出す大量の蒸気で蒸されて大葉の香りが立ち上がる。
大量の大葉に圧倒されてしまうけど、他の具材も案外たっぷり。
シャキシャキ感を残した玉ねぎ。細めのソーセージにしいたけ、それから赤唐辛子。
マッシュルームじゃなくてしいたけというのがなんとも和風。
沢山パスタの間にまじり込んでいるはずなのに、フォークで麺をクルンとまとめて持ち上げると具材がみんな取り残される。
とはいえこのスパゲティーは麺が主役で、ただただ麺だけをずっとひたすら食べていたくなるほどにおいしい。
時間をかけて焼き切られているから、麺の噛みごたえがよく、大葉のモサモサした食感と一緒になると口の中の水分を一切合切もってきそうな感じが独特。
味はやさしい。麺そのものに下味が入ってないから醤油の風味に自然な甘み、油の旨味でまとまった味。途中でちょっと塩をパラリ。途端に油の甘みが引き立つ。タバスコばしゃっとたっぷり注ぐと、辛味と一緒にタバスコならでは酸味が醤油の風味にくっきりとした輪郭作る。
ただただひたすら無心に食べる。麺がどんどん少なくなって取り残された具材をおかずのように食べ、再び麺をハフハフ食べる。あっという間にキレイに完食。
焼いて仕上げるスパゲティーの、ここのこれがボクにとっては最高峰。オキニイリです、おゴチソウ。
2020/07/10 更新
昨夜、ベッドの中で「フォーシーズン」の和風スパゲティを食べたいなぁ…、って思った。
起きてもまだそのことが頭の中に居座って、バスに揺られて築地まで来た。今日の皇居もうつくしく築地の町は外人だらけ。
お店に入って和風スパゲティを注文してお水をゴクリ。
桜田淳子の「一七の夏」が流れてた。ボクがたしか高校に入った年の曲。流行った頃はいい曲だなんて思わなかったけど、今になってみれば当時のことを思い出せて感慨深い。
1970年代って日本の歌謡曲の黄金期だなぁ…、ってしみじみ思う。新しい人、新しいコトが次々生まれてそれが消費され尽くすのでなく次の時代にしっかり何かを残してつながったそういう時代。ユーミンがそんな時代の象徴のひとつだったなぁ…、って思っていたら「卒業写真」が流れてきた。
ボクは松山の高校を2年の途中で転校した。
卒業アルバムはもらえなかった。
でも最後の日に、クラスのみんなが卒業写真を歌ってくれたのネ。
ボクのように卒業せずに終わった人たちのためにと、入学30周年記念イベントをしてくれたりしてネ。
今でもそのときの友人たちとの付き合いはある。
ありがたい。
サラダをムシャムシャ。それにしてもここのサラダは千切りのにんじんがいつも空に向かって手を伸ばしているように見えるのが切なくステキ。
ずっと厨房の中ではガコンガコンと鍋が五徳を打ち付ける音。麺や具材が焼ける音においしい香りがやってきて、サラダを食べ終わるタイミングでスパゲティがやってくる。
大葉がたっぷり、まるでスパゲティの上に芝生が生えたかのような姿が独特。焦げた醤油の香りに混じって大葉のさわやかな香りがふわっと立ち上がる。
麺はこんがり焼かれててところどころが焦げている。水分を吐き出した麺はかわいてゴツゴツ奥歯を叩く不思議な食感。硬くて、歯切れて粘らず散らかる感じがオキニイリ。
大葉に混じって切り海苔たっぷり。ソーセージに玉ねぎ、ピーマン、椎茸と具材がどれもしっかり焼かれて香ばしく、マッシュルームじゃなくて椎茸というところが焼きそば的で和風な感じ。オモシロイ。
スパゲティって最後に具材が残っちゃうんだよなぁ…、なんて思いながら食べ進めてたら「表参道軟派ストリート」が流れてきました。水谷豊の臭い演技はこの昔から相棒の今に至るまで揺るぎないものなんだなぁ…、って苦笑いして席を立つ。