TAKENOKOさんが投稿した神保町 傳(東京/神保町)の口コミ詳細

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TAKENOKO (40代前半・男性・東京都) 認証済

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移転神保町 傳神保町、九段下、竹橋/創作料理

1

  • 夜の点数:4.8

    • ¥15,000~¥19,999 / 1人
      • 料理・味 4.8
      • |サービス 5.0
      • |雰囲気 4.5
      • |CP 4.5
      • |酒・ドリンク 4.0
1回目

2013/04 訪問

  • 夜の点数:4.8

    • [ 料理・味4.8
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気4.5
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.0
    ¥15,000~¥19,999
    / 1人

究極の家庭料理

【2013年4月訪問】
食べログ東京ランキングで常に上位に君臨する
ちなみに、2013年6月2日現在では3位である(註1)。


同店を訪問する以前から気になっていたことがある。
・ 店主の長谷川氏は、自らの料理を、なぜ「家庭料理」と称すのか。

写真を見ていただくとお分かりのとおり、同店の料理は、いわゆる家庭料理の域を超えている。
しかし、同店HPには以下のように綴られている(註2)

相手が喜ぶ姿を思って作る料理、それが家庭料理。
僕は毎日、来て頂ける全ての人を想い、毎日届く
食材達と一緒に、料理を仕上げていきます。

笑顔がこぼれるような家庭料理を目指して



家庭料理と称する理由を紐解くには、「傳」という名前に秘密が隠れていると、私は考える。
もう少しだけ余談を許してほしい。

なぜ、伝ではなく、傳なのか。旧字体の「傳」に、どういう意味があるのだろうか。
古代漢字研究の碩学、白川静博士が著した「字通」・「字訓」・「字統」で調べてみることにした。
(正確には、職場の部下に、国会図書館まで行って調べてもらったんですが・・笑。)


<字通:「傳」という漢字の成り立ち>
旧字は傳につくり、人と專(専)とに従う。專は、大きな袋の中に入れたものを手で打ち固めることを示し、
打ち固めたものを人が負うて運ぶことを傳という。

<字訓:「つたふ」という動詞の意味>
つたふ(下二段動詞)

此方から彼方へと、何かをつたって進むことで、「つつ」と同源の語。
つたって移動することから、

・ 以前からあるものを伝え告ぐこと
・ 空間的にも時間的にも、次々とつたえ移ること

を意味する。


もうお分かりであろう。
同氏の言葉を借りれば、家庭料理とは、相手を思った料理である。
同店で提供される料理は、店主から客へ、心からもてなしたいという思いを、傳えたい(伝えたい)というところから
自ら「家庭料理」と名乗っているのであろう。

また、筆者の推量に過ぎないが、「傳」という名前には、日本料理という連綿たる歴史を後世に伝えつつ、
新しい日本料理を自らが担い伝えていくという店主の強い思いも隠れている気がしてならない。

料理の写真を見ていただくと分かるとおり、旧態依然とした日本料理というよりは、「洋」の食材・技法をうまく取り入れてた料理だと思う。

先行レビューを見ていると、同店の料理を奇をてらっていると見做し、受け入れない方もいらっしゃるようだが、
そもそも、わが国は古より海外からの文化を巧く換骨奪胎を繰り返し文化が形成されてきたことを鑑みると、
長谷川氏が作る料理は、これで良いのではないだろうか。個人的には大好きな料理だった。


いつものように、余談が長くなってしまった。そろそろ料理の話に入ろう。
お店は、神保町駅A3出口をでて、九段下方面に進み、セブンイレブンとMUMSSの間の狭い路地を入ったところにある。
非常に分かりにくいので、GPSで確認したほうがベター。

料理に関しては、四月末に訪問した際のもの。
人口に膾炙されたとおり、店主の料理の幅の広さからか、毎回違ったものを提供くださるようなので、
参考程度に御笑覧いただきたい。


<筆者が食べたもの>
1.フォアグラ最中
一品目から非常に面白い。干し柿、いぶりがっこ、そして、フォアグラが入った最中。

2.ホワイトアスパラの寄せ豆腐
ホワイトアスパラの茎の部分の甘さを何かに活用できないかと思い、作られた一品だそう。

3.空豆の揚げ豆腐

4.名物:傳タッキー

黒米・松の実・クコの実が入っており、参鶏湯をイメージしたものだそう。
筆者は幼少時にKFCのフライドチキンを食べて、鶏肉嫌いになったのだが、
同店の傳タッキーは脂っこさはなく、とても美味しい。

5.メジマグロ漬け(写真紛失)
北海道で採れた14kgのメジマグロを3日間漬けにしたもの。
それを、海苔酢でいただくのだが、ねっとりとしたメジマグロが非常に美味しかった。

6.フォアグラと蕪の味噌田楽風
黒キャベツを焼いてパリパリになったものは苦味がアクセントとなっており、
また、あやめゆきという蕪、そしてフォアグラを味噌田楽で頂くというのは非常に面白く印象に残った。

7.名物:野菜サラダ
非常に彩があふれるサラダ。
色づく前のイチゴを野菜として食べるという発想は目からうろこだった。
Vinegarの甘さと酸味が非常にアクセントになった一品。

8.名前は分からず(笑)
お椀の中で苦味と甘みが一緒に楽しめる面白い一皿。
その訳は、甘みあふれるトモサンカクの上には、餡仕立てのたけのこ、山菜がたっぷりはいっているため。

9.白エビの炊き込みご飯
これほどまでに大きな白エビを見たことがなかった。
口の中に入れると、触角が刺さって痛いくらい(笑)。

エビの香ばしさ、ご飯は旨さが染み渡っており、まさに出色の一皿といっても過言ではないだろう。

10.ココナッツムース
11.ほろ苦アイスクリーム

超常連様とご一緒ということもあり、甘味が2つ。
バニラアイスクリームの上にかかっている黒色のソースは、なんと、さとうきび。
さとうきびを焦げる直前まで煮込んだソースなのだ。

苦味の中にあふれる甘みが、絶妙。
それに、あわせて、JENGAならぬ、DENGAと明記された(笑)焼きたてクッキーをそえていただく。

<総括>
同店を訪問して、これからの日本料理はどういった道を進むのか、料理とは、食べてもらう人を喜ばすことが何よりも大切なことである
ということが、ひしひしと伝わってきた。
また、食とは、食事そのものを楽しみ、場を共有する人との時間を楽しむ場所であるということを再確認した。

季節ごとに訪問してみたい。


先行レビューを見ている限りだと、初回はカウンターで店主と語らいながら食べたほうがいいのかも知れない。
未訪の方は、是非伺ってみてほしい。


最後に、
お誘いくださったレビュアー様、ご一緒させていただいたレビュアー様に、心から感謝申し上げます。
楽しいひとときを本当にありがとうございましたーーー。
最高でした。約束したとおり、今度は僕がセッティングしますね。


2011年6月2日から始めたレビュー、奇しくも今日もまた6月2日(日本時間だと3日だと思いますが・・)。
とりあえずは、これで筆をおこうと思う。

丸2年にわたり、くだらないレビューを御笑覧いただき、本当にありがとうございましたーー。


<註>
1.1位はエクアトゥール、2位は京味である。
2.同店HP URL<http://www.jimbochoden.com/concept.html

<参考文献>
白川静編(2007)『字訓』平凡社
白川静編(1996)『字通』平凡社
白川静編(2004)『字統』平凡社(新訂)

  • ファサード

  • 暖簾をくぐると、

  • 泡で乾杯~

  • フォアグラ最中

  • 干し柿、いぶりがっこ、そして、フォアグラが入ってる

  • ホワイトアスパラの寄せ豆腐(1/3枚目)

  • 卵黄と出汁が殻に入ってる(2/3枚目)

  • お出しの入った卵黄をかけて戴く(3/3枚目)

  • 空豆の揚げ豆腐

  • 噂の傳タッキー(1/3枚目)

  • ワンピースをUp(2/3枚目)

  • 黒米・松の実・クコの実が入っており、参鶏湯をイメージしたものだそう。(3/3枚目)

  • フォアグラと蕪の味噌田楽風

  • どんどん食べていくと、皿の底には田楽味噌が~。

  • 野菜サラダ

  • なんと、イチゴまで入ってたりする

  • 甘みあふれるトモサンカクの上には、餡仕立てのたけのこ、山菜がたっぷり。

  • 白エビの炊き込みご飯

  • この白エビの炊き込みご飯が本当美味しかった。

  • ココナッツムース

  • サトウキビを焦がす直前まで煮込んで作られた苦みと甘みを含有したソースがかかったバニラアイスクリーム

  • JENGAならぬDENGA

2013/06/03 更新

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