3回
2020/09 訪問
洗練
本当に磨きに磨かれたバー
無駄がなく、かつ必要なものは全てある。
いつ行っても、楽しく、程よい緊張感で飲ませてくれる。
;----------------
田中さんの顔を見に、寄ったが。もともと、スゴイ方だな、とは思っていたが。最近は本当に凄みが増した。
サービスは優しく、かつ丁寧なのだけど。場が完全に田中さんの世界になっていて。お客さんをその共有空間で遊ばせている感じ。場が荒れることがないので、安心してお酒とお話を楽しめる。
;----------------
私がもっとも愛するバー。
初めて入ったのは大学生の頃だったので、もう10年以上になる。
残念なのは仕事場および自宅とまったく方向が逆であるため、毎度わざわざ行く。
それだけの価値のあるバー。
店のつくりは究極的にシンプル。
すべてが「ない」つくり。
つまり...、メニューがなく、色がなく、音がない
この店はバー(田中さんいわくの酒場)なので、フードがない。それと同時にメニューがない。
初めて入ったときは、正面に立った田中さんが「さて...」という言葉に、なんと答えれば良いのかわからなかった。
今はこの「さて...」が、心地よく聞こえるから不思議。
※たがね、という越後製菓のおせんべいが、お通し提供され、これがフードのすべて。
もともと喫茶店だったところを射抜きで借りた際に、田中さん本人が黒のペンキを買ってきて、塗ったため
店内は黒一色。ただし、ライトがバックバーを照らして、その反射が黒一色にまばゆくひかり、俗世間を忘れさせてくれる。
※今はカウンターなど業者が塗りなおす際に5層(だったかな?)でしっかり塗っているため非常に綺麗な黒をしている。
バーに良くある音楽がなく、田中さんとスタッフの大滝君あるいは山本さんのおしゃべりが、空間を程よい
状態に保ってくれる。
お勧めは、カクテルすべて。
基本、田中さんはオリジナルを作らない。
自分の状態(食前、食後 お酒の強い、弱い 味の好み 好きなベース)を適当に田中さんと雑談しながら話すと
適当(程よいという意味)な飲み物を出してくれる。
※田中さんのカクテルに関する知識は非常に高く、特に古典など相当勉強されているものと思われる。
田中さんの雑談は超一流で、どのような話題にもついてくる。
また味覚(レストランやバーなどなど)の話題に関しては、非常に博識で、同時に独自の理論を展開してくれる。
田中語録は相当数を記憶しているが、ここで書いても長くなるだけなので書かない。
が、ひとつだけ...
良いバーは「良いお店」と「良いバーテンダー」そして「良い客」があってつくりだされるもの。
付記
バーは嗜好品です。
究極的に好みの世界ですから、人が良いと言ったバーが決して皆さんに合うものではありません。
個性的であればあるほど、特定の顧客からは愛されるものです。
ぜひ色々なバーをめぐられて、自分の「究極」を探し当てていただければ、と願うものです。
2020/10/28 更新
年末の挨拶に訪問。
変わらない雰囲気、穏やかな空間、それでもバーらしい凛とした空気が流れる。
音楽もない空間で、田中さんとお客さんの会話をBGMに、ゆっくりと上質なカクテルを味わう至福のとき。