君が倒れておよそ2か月。
その間にはクリスマスや年末年始といろいろなイベントがありましたね。
大雪が降った成人の日はさすがに見舞うことはできなかったけど,職場のみんなの理解もあって毎日病室に行くことができました。
手術が終わったあと,しばらくして主治医の先生からは.呼び出しを受けて,君はもう二度と言葉を話すことはできないと言われ,リハビリ病院の転院は難しいだろうと言われました。
今の仕組みでは救急病院にいることができるのは最大2か月となっていることも初めて知りました。
その時は命がつながっただけでも良かったと思っていたので,僕はリハビリに力を入れている老人介護施設を探すことしました。
まだ若いのに介護施設とはと,正直愕然としてしまいましたが・・・でも実際に見学すると職員の方も親身になって相談に乗ってくれました。リハビリもそれなりに力を入れてくれそうです。随分老人介護施設に対する印象が変わりました。1月の半ばにはなんとか施設を見つけることができました。
1月末までに,君はもう一度手術をしなくてはいけなかったので,まずは君の手術が無事に終わることに集中することにしました。
そんな気持ちでいた最中に次男がバスケの試合で骨折をしてしまい,君が入院している病院に救急車で運ばれてきましたね。
しかも君の親友が見舞いをしている最中に・・・処置が終わって君のいる病室に突然次男が顔出しましたね。
君は病人から母親の顔となり,【あああ】と突然声を出しましたね。
周りにいた看護師の皆さんが走って主治医のところへ声が出たことを報告してくれました。
主治医の先生から,君が声を取り戻したことにより,リハビリ病院への転院の可能性が出てきましたと言われましたね。
声が出ると君と看護師の皆さんとのコミュニケーションの範囲がぐっと拡大しましたね。
病院の事務ご担当から,転院先の病院を2つ紹介されましたね。
君と同じような言葉の回復が必要なレベルの患者さんの場合,受入の可否は,病院に選択権があるということを初めて聞きましたね。
リハビリに取り組んでいる君の姿を眺めて,もしもあの時に出血さえ抑えられていればと僕は後悔ばかりしていました。
僕の希望で(というかダメもとで),自宅から少し離れているけど,リハビリには定評のある病院をひとつ追加してもらいました。
1月の終わりに君の手術も無事に終わりましたね。
経過は順調でした。リハビリ病院に受け入れてもらえれば確実に自宅に戻ることができるのではないかという期待が膨らんできました。
そして病院から仕事中の僕のところに連絡がありました。
僕が追加でお願いした病院だけが受け入れを認めてくれたとのことでした。紙一重でしたね。
そして無事に転院する日を迎えることができましたね。
君は2か月ぶりに車に乗るときに少し太陽がまぶしそうでしたね。少しだけ春を感じましたね。
自宅から少し離れた病院でのリハビリはつらいしさみしいと思うけど
僕や子供たちは君が自宅に戻ることができると信じています。