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夜の点数:-
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料理・味 -
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|サービス -
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|雰囲気 -
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|CP -
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|酒・ドリンク -
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昼の点数:4.7
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料理・味 4.8
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|サービス 4.5
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|雰囲気 4.5
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|CP 4.0
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|酒・ドリンク 3.9
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[ 料理・味4.8
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| サービス4.5
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| CP4.0
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| 酒・ドリンク3.9 ]
心地よき言葉にならぬ対話
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2016/03/19 更新
28年3月、二回目の訪問。
今回は握りのコースとして。
鮃
小鰭
烏賊
鮪赤身
鮪中トロ
鮪大トロ
赤貝
小柱軍艦
つぶ貝
鯵
鯖
煮鮑
雲丹軍艦
煮穴子
玉子
乾瓢
お酒は一杯目
賀茂鶴 大吟醸 gold
二、三杯目
越乃寒梅の熱燗。
これが教科書、というようなお寿司と改めて実感。上京の際には必ず寄って、一つの基準として確認し続けたいと思っております。
今回はいくらか会話できました。
以下初回レヴュー。
超がつくほどの長文になってしまったため、最初に結論を申し上げます。来て本当に良かったです。
さて、お寿司好きを自認するならば、一度は伺ってみるべきお店というのがあるかと思います。例えば、数寄屋橋の次郎様、弁天山美古寿司様、久兵衛様、人形町喜(七七七の)様、などなど私の浅い見識でも思い浮かぶ、古典と言っても良い、あるいは握りの本質を追及したお店だと考えております。当店の歴史や世界的評価は申し上げるまでもございませんが、現代の名匠のお一人でいらっしゃる当店店主の握りを頂いてみたくなり、訪問を決めた次第です。
我が身を振り返ってみるに、地方在住故の情報の少なさ、 食文化に触れる機会の少なさから、どうしても実地というよりネット等での情報収集をして予習をし、少い機会に少しでも外れを引いたという気持ちにならないようにあくせくしている程度の美味探求です。まずはお店に足を運び、悲喜こもごもを経て血肉となる経験を積むべきとは考えているのですが…。
前置き長くなって申し訳ありません。要するに、事前情報を頼りとし、それに依存しているため、当店のように写真撮影や携帯操作が憚られるお店については、どうしても情報が不足し、それに不安を覚えるという現代病にかかっていると痛感している次第です。
また、過去の記載を見るにつけ、無口で黙って雰囲気が…という記載が目をひくため、訪問するまではどんな恐ろしい店かと戦いておりました。
約一月前に電話での予約をしまして、昼の予約はスムーズに取れてホッとしました。
当日は、やや早めに着いており、周囲を散策し、5分前に到着いたしました。エレベーターで9階にあがると門戸は開け放たれており、仕込みをされているのか奥のほうから声が聞こえて参りました。声がけをすると女将さんが応対してくださいまして、若い衆の方々もご挨拶に出ていらっしゃいました。
飲み物を注文し、席に落ち着くと徐に店主がつけ場にたたれました。低く抑えた声で必要最低限の指示を若い衆に出される以外は、ほとんど無口で淡々と仕事をされているように見えておりました。
当初は威光に撃たれ、かなり緊張しておりましたが、後程思う理由により、むしろ居心地よく感じるようになりました。
店内の造作は、木を基調とした静謐な空間。神社などで感じる、自然と背筋が伸びるような、でも安心できるイメージを抱きました。
若い衆に飲み物を聞かれて、日本酒の銘柄と飲み方を確認し、まずは越乃寒梅 純米を冷たいので。
賀茂鶴大吟醸はむしろ燗向きとのことで、打ち合わせもスムーズに済みました。
酒肴
鮃刺身
蒸し鮑
イクラ
〆鯖
ここで握りにしましょうか、とのお声掛り。
酒肴は慈味深く、酒呑みのあてではなく握りのみであればどこかで組み込まれていたであろうタネ。
小肌
墨烏賊
鮪赤身
鮪中トロ
鮪大トロ
小柱軍艦
とり貝
ミル貝
車海老
鱚
鯵
穴子
玉子
(一生懸命記憶した、つもりです)
どのタネも一級のタネばかり、鮪は超一級と思われる。昨今の仕事を前に押し出す江戸前スタイルとは異なり、良い意味で目立ちすぎない王道の仕事、これが教科書と言えるのでは。
特筆すべきはやはり握りそのもの。タネに応じて握り込む硬さが異なるのを感じとれました。
歯触りを活かすタネと旨味を楽しむタネでは造形も食感も違っておりました。特に看板である鮪では赤身と大トロでは最終的な形も違いが見てとれました。赤身ははらりとさくりとほどけ、大トロはしっかりタネと噛んで脂を受けとめておりました。 皆様の書かれている一体感という概念の究極の形を体験させて頂きました。
前述のタネと相まって、食べ疲れない、体にスッと一体化するような、始めて体験するお寿司でした。
二泊三日の行程にて五軒のお寿司屋さん巡りをした寿司狂い最後のお店として訪問
時折捨てシャリが話題になっているようですが、恐らく積極的に行っているのは女性用の握りでした。その他の捨てシャリをみていても、違和感を感じさせない、淀みがなく流れるような所作に見えました。
私の他は二組の男女の海外のお客様達。どこかを過剰に待たせることなく、単身の私には気遣いがあったのか兎に角提供が早かったです。ちょうど一時間の滞在でした。
そして、話題となっている居心地。店主との間の言語的やり取りは合計3往復程度。当初はレヴューを見ていて、むしろ余計なことを喋らないほうが良いかな、程度に考えていました。私個人は黙っていても何も不便はしないタイプでもあるためですが。
しかし、食事が進む中で感じられたのは、口にする言葉以上に、店主は私のことをみてくれていたこと。視線の動きで関心の所在を確認しておられたこと、空になったお冷やの位置を無意識に僅かに指でずらしたら若い衆に替えるよう促してくれたこと、二杯目の燗酒が終わりそうなタイミングでお茶を指示してくれたこと(お酒はおしまいよ、というニュアンスもかな?)などなど。お陰で途中からは身を委ねて食事に集中することができました。下手な空気読みは不要、非言語的コミュニケーションのやり取りを堪能できました。
席を立ちながら最後に岩手から来ていたこと、美味しかったこと、ごちそうさまの言葉をお伝えしたところ、柔らかな笑顔でお返事頂き、戸を出る際に振り向くとと、しっかりと視線を会わせて笑顔のまま見送って頂きました。
最後にもう一度言います。来て本当に良かったです。