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昼の点数:4.2
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~¥999 / 1人
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料理・味 3.4
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|サービス 4.2
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|雰囲気 4.2
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|CP 4.2
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|酒・ドリンク -
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[ 料理・味3.4
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| サービス4.2
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| 雰囲気4.2
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| CP4.2
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| 酒・ドリンク- ]
本木の目が点モーニング
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外観
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外観
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モーニングサービス
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味噌汁
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永遠なる少女
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2011/04/13 更新
足立区本木2丁目。「モーニング モーニング♪興野(おきの)朝だよ♪モーニング モーニング♪」と口ずさみながら、私は興野の街の中心部をうきうき気分で歩いていた。3年B組新八先生で主役も務めた、岸田智史の「きみの朝」の替え歌。春の陽気に誘われて、決して頭がおかしくなったのではない。お目当ての店への期待感の表われ。とんかつはるに続いて訪ねる予定の喫茶店、その名もサニー。店主の愛用車が、日産サニーだから命名したのかどうかは、ほんの少し気になるところ。
すでに住居表示は本木に変わり、くだんの青い庇が見えてきた。すっかりと黄ばんでしまったコカコーラのロゴ入り看板には、モーニングサービスとランチの告知が書かれた貼り紙。なんとビックリ!モーニングサービスは、朝9時半から午後3時。ランチタイムを通り越し、3時のおやつの時間に手が届く。さらに驚くことなかれ、モーニングには味噌汁つき。昨日この辺りを散策していたら、偶然この看板に目が留まり、ガクガクと膝が笑ってしまいそうな衝撃を受けた店。鉄は冷める前に打てということで、すぐにこの地に戻って来ることを決意した。昨日のアゼリヤといい、この界隈のモーニングには一般常識が通用しないのだろうか。こちらの店、スナック&喫茶と庇には書かれていて、しかも店内が見通せるわけでもない。一見すると非常に入りづらい雰囲気をかもし出す。ただ店の前にはママチャリが4台。地元の奥様連中がランチを愉しんでいるに違いない。時間はすでに13時近く。先ほど敢えて素通りしたのは、しっかり午後に入った時間帯でも、モーニングセットを食すことが果たして可能なのかどうか確かめるため。いまの時間帯としては十分だといえる。期待に胸を膨らませながら、入店。
扉を開けると入店を知らせるベルの音。右手に少し進むと薄暗い店内では、右手に並べられたベージュのビロード地ソファーに、70才は超えていそうなご婦人たちが大きな声で井戸端会議。合わせて、女性客5名。ソファーの向かいは、同色素材の丸型スツールが並んでいる。見た目の印象は、設えも含めて街場のスナックそのものだ。皆さんでソファー席は占拠しているため、右手のカウンター席へと向かう。バーチェアに腰掛けると、カウンター内には黒いセーター姿と赤いチェックのシャツを着たいずれも60台の女性二人。お互い顔が似ていないので、姉妹ではないのかもしれない。
こちらに視線を向けた黒いセーターの女性に、モーニングサービスはまだやっていますか?と聞いてい見る。「はい、まだ大丈夫ですよ」と事も無げな表情。その言葉にほっとしつつ、ホットの紅茶で頼んだ。二人の役割をしばらく眺めていると、チェックシャツにチノパン姿のメガネをかけた女性が主に接客をこなしているようだ。どうでもいいことだが、男性が着た方が似合うようなスタイル。なんだか自分で選んだというよりも着させてもらったような雰囲気。ドン小西流に言わなくても、似合っていない。それにしても、私を除いて全員が年配女性の異空間。いやまるで一足早く姥桜でお花見気分というべきか。これが20代前半のキャピキャピした可愛い女性ばかりなら、どんなによかったことだろう。それこそこの場所は、キャバクラやガールズバーとなってしまうが、陸の孤島ともいうべきこの地では高望みもいいところ。
新聞はないのかと思って、入り口そばのラックに向かうが、置かれていない。その一連の動作を見ていたのか、チェックシャツの女性は、客の一人の手元に置かれていたスポーツ新聞を指差し、「そちらもう読み終わりました?」といいながら、私のために持ってきてくれた。お洒落には疎いかもしれないが、気が利くやさしい人だ。
それにしてもソファー席のご婦人たちは、皆さん随分と口調に強い訛りがあるようだ。特に会話の中心にいる女性だけなのかもしれないが、声も一番大きいので全員が東北出身のように見えてくる。完全にこの喫茶店は地元の社交場と化している。特に聞き耳を立てていた訳ではないけれど、ひとりは福島県いわき市の出身らしく、大震災による原発問題に対する地元に及ぼす影響を事細かに話していた。「もうあそこにゃ~住めないよう」、と訛りのせいなのかそれとも快活なキャラクターのせいなのか、不思議と悲壮感は漂うことなく、身振り手振りを交えて熱く語り続ける。そして言葉のひとつひとつに頷き、大きなため息をつく周りのご婦人たち。
注文して5分以上経っただろうか。トーストの焼きあがる音が聞こえてきて、もう間もなく用意ができそうだ。黒いセーターのママは、ざるに入ったゆで玉子をひとつ掴むと品定め、元に戻すと違う玉子を選んで皿に乗せる。もしかしたら、大き目の玉子を選んでくれたのだろうか。そしてモーニングのトーストとゆで卵の皿、サラダの小皿をお盆に乗せた、赤いチェックシャツを着た50年以上前は生娘、かなり略して“モーニング娘”が私の目の前に並べてくれる。そして紅茶は黒いセーターを着たママより、差し出された。
トーストは四枚切りの市販の厚さよりも分厚く、マーガリンが塗られており、苺ジャムも添えられている。そしてサラダはレタスと細切りきゅうり。シンプルながらもこんもりと盛り付けれていた。そし厚切りレモンスライスを乗せた紅茶。これだけでも400円ならかなりのお値打ち。しかし肝心の味噌汁は一向に出てくる気配はなし。きっとランチに書くべきところを間違えたんだよなと思いつつ、ジャムも塗ったトーストにかぶりつく。ふっくらと焼きあがったパンは耳まで美味しい。サラダも凡庸ながら、和風ドレッシングがかけられて悪くはない。
そして紅茶をひとくち啜ると、すぐさま味の異変に気づく。もう一度飲みなおすも、あきらかにアメリカンコーヒーの味。普段は紅茶の需要はさほど多くはないのか、いつもの流れでコーヒーを用意してしまったかのようだ。それにしてもレモンを添えた時点で気づいてもよさそうだが、何か心配事でもあったのか。私が座る目の前の棚には、非常用ローソクと書かれた箱と懐中電灯が置かれている。
モーニングセットも残すところ、あと五分の一というタイミングでチェックシャツの女性がソファーのご婦人たちに、お味噌汁飲まれますか?と声をかける。思いがけず慌てて視線を向けると、味噌汁のお椀を用意している。やはり間違いではなかった!すでに食事が終わったのか、コーヒーカップやコップのみが置かれた状況、味噌汁はいらないと口々に応え、もう何時間もいるんだからねと言い合いながら、皆で昆布茶を頼んだ。
その後、ひとつのお椀に味噌汁の具材を投入する動きがみえて、ポットのお湯をそのまま注ぎだした。そこにスプーンを差し入れると、ママはどうぞと当たり前のようにお椀を置いてくれる。この味噌汁、ネギと油揚げがたっぷり入った熱々でなかなかの味わい。松屋の牛丼に付いてくる味噌汁をはるかに凌駕する。ただし小さなスプーンで掬いながら中の具を食べる必要があるので、気分は箸がうまく使えない外国人のようだ。
味噌汁も間もなく飲み干そうとした瞬間、ようやく初老男性一人客が来店。私の二つ隣りの椅子に座り、ランチの焼きそばを頼む。カウンター越しに、ママたちと談笑していることから、地元の常連客のようだ。なんとかすべてを平らげて、お会計の合図を送る。ちょうど昆布茶を人数分セットしている最中だった。
店を出た後もあの衝撃体験の残像が残るなか、本木新道には戻らずに、未踏の路地を荒川方面へと南に下っていく。するとタクシー会社の敷地の、まさに角地に立つ銅像を発見。プレートには永遠なる少女とのタイトル。何だかボウリングの球を投げ終わったあとのポーズのようにも思えるが、どこが永遠と結びつくのかは製作者の意図がよくわからない。タモリが万が一この道をブラブラしながら歩いていたら、間違いなく目を付けることだろう。