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外観
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外観
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冷やしとりそば
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花園通り
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花園通り
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京町二丁目通り
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近くの小径
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カフェー様式の建物
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かつての妓楼
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かつての妓楼
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吉原観光旅館組合員
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台東区千束4丁目。ある日の週末、千束通りを浅草4丁目の交差点に向かって歩いていく。今日もかつての新吉原遊郭巡り。何だか最近は、遊郭跡地の飲食店ばかりをレビューしているが、私はまるで、有殻類ならぬ遊郭類に属する変態生物。自然と足が、そちらの方面へと向かってしまうようだ。
千束通りの途中で右折し、そのまま進むと佐々木医院の看板が見えてきた。この地域の特性か、内科や産婦人科の診療科目以上に、性病科に目がいってしまう。佐々木医院が面する通りは、花園通り。中央分離帯には植え込みがあって、その向こう側は千束に住居表示が変わる。通称吉原と呼ばれる日本一のソープランド街だ。廓の四方を囲んでいた、お歯黒溝を超えるがごとく歩道橋を渡ると、花園通り沿いにはソープランドが軒を連ねている。この辺りはかつて羅生門河岸と呼ばれて、遊女屋の中でもランクの低い小見世や、長屋がそのまま一人の遊女の居住区兼客をとる、切見世と呼ばれるエリアだった。その河岸に沿って歩いて行くと、私のことを見込み客と勘違いしてか、店頭の従業員から声がかかる。
前方でふと目に留まるは、サンタモニカという店。漫画『ナニワ金融道』の高山部長のような風体の従業員が立っていたが、特に私には興味を示さず。てっきり桜田淳子の歌ではないけれど、「見に来て来て来て サンタモニカ~♪」と声がかかったら、ついフラフラと中へ入ってしまったかもしれない。
そのまま直進して、右手のコンビニの角を曲がると、京町2丁目の街灯。かつてこの通り沿いは、京以外の上方の遊女屋が集まっていたといわれる。その一つ目を右折、角町(すみちょう)の奥へと進むと、うっかり通り過ぎそうな小径が。その奥は、およそ千束というより、下町の路地裏と呼ぶにふさわしい雰囲気。そのまま進むと、十字路の角地にはなんとカフェー様式の建物を発見。いまでは一般の人が住んでいるようだが、曲線を用いた壁面の美しさにしばし見とれる。その十字路の左折前方には、この地に溶け込むような蕎麦屋を発見。藍色の暖簾には、雪輪に隅立て四つ目の家紋。入り口横には狸の置物、信楽焼き。袖看板を見上げると店名が梅月とわかった。
梅月との店名でふと思い浮かんだのは、梅と桜、月と太陽。どちらも麗しさと華やかさの対比に思えて、控えめな印象の店とは考えすぎか。引き戸を開けると、店内右手一番手前のテーブル席に白髪混じりの男性。左手の10席ほどありそうな大型テーブルには、六本木の路上で、キャバクラ案内のティッシュを配っていそうな金髪女性がひとり。こちらの女性は場所柄、出勤前の食事と思われる。
大きな鉄瓶が中央に置かれた、大テーブルの一角に腰を下ろすと、水色のバンダナを巻いた50前後の女性がお茶を持ってきてくれた。さっそくメニューを眺めると、そばのメニューがずらり。ご飯ものは丼やおにぎり程度で種類は少ない。やはりここは蕎麦との判断で、冷やしとりそば(900円)を頼んだ。ふと右手の男性を見やると、どう考えてもオフコースの元ボーカル、小田和正に横顔が瓜二つ。チュートリアルが司会の番組を、興味深そうに見つめていた。卓上にはビール瓶とお新香の小皿だけが置かれていて、ひと風呂浴びた帰りのようにもみえない。ものはためしと、「誰かがいつも君を見ている♪今日も梅月で君のこと想っている♪」と、代表曲の『今日もどこかで』の替え歌を口ずさむも全く無反応。私自身少し照れがあったので、声が小さかったのだろうか。
店内奥の調理場を除くと、女性従業員ばかり全部で4名。皆さん世話しなく動いている。店の規模にしては厨房もなかなか広い。むしろ出前の注文で忙しいのだろうか。しばらくして、冷やしとりそばが到着。バンダナの女性はコップに入った水も用意してくれた。茹でた鶏肉、葱ときゅうりの細切りの具の上には、天かすが散らしてある。見た目も涼しげで、食欲もそそりそうだ。するするっと手繰ると適度なのど越し。汁はやや甘めで好みが分かれるかもしれないが、私には好きな味付け。鶏肉には、あらかじめ下味がついていて、歯ごたえもしっかり残って美味しい。
金髪の女性は、食べ終わった後にメンソール系の煙草で一服。食べ終わった食器をお盆ごと、配膳口へと下げにいく。出前から戻ってきたらしい、キャップや衣服が黒づくめのご主人に、「ゴールデンウィークはカレンダー通り?」と尋ねる。「どうしようかなと思って」と、白い歯を見せたご主人。そちらを眺めると、左手首には金むくの時計とブレスレットがじゃらりと巻かれている。意外や商売繁盛しているのかもしれない。
そして小田和正似の男性客の前のテーブル席には、雑誌記事の切り抜きが額に入れて飾られていた。目を凝らして見てみると、『おとなの週末』掲載、エコノミークラス名店群という記事でコチラの店が取り上げられたようだ。なんと執筆はJ.C.オカザワ。食べログレビュアーには恐らくお馴染み、『庶ミンシュラン』などの著書も何冊か出版されている。会計に向かう際、その記事を斜め読みしたが、J.C.はこの店をどうやって知り得たのか。本来の目的は別のところにあったのかは知る由もない。
店を出て、遊郭跡地をしばらくぶらつく。すると江戸町二丁目の中心エリア、ソープランドが周りを囲む立地に、一軒の旅館に目が留まる。坂井旅館との看板を掲げた風情のある建物。かつての妓楼のようだが、おそらく昭和33年の売春防止法施行後における転業なのだろう。吉原という浮世の悦楽、時代の移り変わりを実感する瞬間。入り口上部には、吉原観光旅館組合員との変色したプレートが見えた。