この口コミは、アールアイさんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。
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夜の点数:4.2
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~¥999 / 1人
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料理・味 4.2
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|サービス 3.8
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|雰囲気 3.8
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|CP 3.8
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|酒・ドリンク -
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昼の点数:4.2
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~¥999 / 1人
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料理・味 4.2
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|サービス 3.8
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|雰囲気 3.8
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|CP 3.8
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|酒・ドリンク -
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[ 料理・味4.2
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| サービス3.8
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| 酒・ドリンク- ]
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[ 料理・味4.2
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| サービス3.8
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| 雰囲気3.8
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| CP3.8
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| 酒・ドリンク- ]
高砂のときわで時は過ぎ
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外観
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チキンソテー定食
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ご飯となめこ汁
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在りし日の清水家
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在りし日の清水家・さば味噌煮定食
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2012/09/17 更新
葛飾区高砂3丁目。私の普段使いの飲食店として、お気に入りリストに入っている食堂に向かう、ある8月の週末の昼前上がり。京成高砂駅に降り立つと、京成金町線の柴又方面の沿線上に連なる、エビス通り商店会を歩いていく。お目当ての店は、清水屋という食堂。初訪問は約4年前、テレビ東京系列の「アド街ック天国」で高砂特集の番組を、ソファーに座りながらぼんやり眺めていたら、2軒の大衆食堂の紹介に思わず前のめりに。
その当時、本所吾妻橋を自宅の最寄り駅にしていた私は、近所の食堂が軒並み閉店の憂き目に晒されていたこともあり、すぐさま近日中の訪問を決意した。その清水屋、驚くべきはその値段。なんと日替わり定食は480円と580円の2種類。牛丼チェーン・松屋の焼き肉定食よりも安上がりなこちらの定食、480円といえどもおかずに味付け海苔や、目玉焼きか生卵も副菜として付く充実ぶり。
初訪問以来すっかりその店のとりこになった私は、定食の金額よりも高くつく交通費をかけてまで訪問すること、年に5~6回はコンスタントに足を運んでいた。商店街という名ばかりの寂れた片側の道沿いに、軒を連ねる店舗を横目で見やりながら進んでいくと、どうやらうっかり店を通り過ぎてしまったようだ。いやそんな失態はいままで初めてかもしれない。道を引き返すと、通過してしまった原因なのか、なんと清水家の正面入り口はシャッターが下ろされて、外壁に取り付けられた屋号の看板も取り外されていたのに気づく。
その光景を目の当たりにした私は、しばらくその場を動けないほど呆然自失なショックに襲われる。前回訪問は、5月の中旬。この3ヵ月余りの短い間に店を閉めたのだろうか。ただし理由は推して測るべし。ともに80歳を迎えようかというご高齢の夫婦とひとり息子の3人構成。夫婦のいずれかが重い病気にでも罹れば、即引退を考えてもおかしくない年齢だが、こんなことならもっと早く訪問すべきだったと自戒の念。後悔先に立たずだが、実は5月の訪問直後にこちらの店のレビューを上げるつもりでいた。ただし、一回の訪問では情報不足だったがゆえ、もう一度訪問したうえで併せてまとめるつもりでいた。因みに、こちらの清水家は食べログ未登録だった店。駅から徒歩5分足らずの好立地、テレビ番組にも取り上げられたにも関わらず、これまでの不人気ぶりには悲しさを通り越して、やるせなさを感じてしまう。ただしそんな好事家は、数多の食べログレビュアーのなかで私だけかもしれない。
随分と前置きが長くなってしまったが、アド街ック天国で紹介されたもう一軒の店をに向かうべく、京成線の開かずの踏切を超えていく。高砂南口商栄会と呼ばれる、普通乗用車がようやく一台通れるほど道幅の狭い通りをしばらく進むと、左手に見えてきたのは御食事処ときわ。このときわという屋号、城東地区を中心として何軒か目にしたことがある、大衆食堂の個人的に注目すべきブランド。
浅草雷門傍のときわ食堂の店内には、東京ときわ会という20店舗から成る各店舗の木札が飾られて、こちらの高砂ときわもその一員のようだ。この東京ときわ会、昭和27年に墨田区業平で開業した初代が、浅草の地で営業再開後に発起人の一人として結成したという。その由緒あるときわ食堂、私も東京ときわ会の半数近くの店舗をこれまで訪れたことがあるが、料金体系はもちろんメニュー構成も独自で展開。今後は各地のときわ食堂を全店舗巡ってみるのも一興かもしれない。
そんな高砂にあるときわだが、清水家に比べれば足を運ぶ頻度は圧倒的に少なかった。いつ訪れても混んでいることに加えて、お酒や肴のメニューも充実していることから、長居する客も多くて回転率が非常に悪い。そのため次第に足が遠のいていた。私の考える大衆食堂利用の定義は、酒を注文してもビールや酎ハイの一杯で定食を済ませてとっとと切り上げるのが、理想だと思うのだが。
そのときわの店内に入ると、11時半を少し回った頃だというのに、すでに7割程の客の入り。営業開始は11時半だから、暖簾を表に掲げる前から並んでいた客もいたのかもしれない。店内には、テーブルの上にメニュー表も置かれているが、ホワイトボードに本日のお勧めメニューが手書きで並ぶ。いつ訪ねてもほぼ固定で書かれているメニューのひとつがチキンソテー。定食にすると800円。実はこちらの店のチキンソテーが私の大好物。お茶と水の入ったコップを両方持ってきてくれたこの店の看板娘、接客担当の次女にチキンソテー定食とみそ汁をなめこ汁に変更して注文する。
すでに2誌置かれているスポーツ新聞は、先客に読まれていたので、携帯電話をいじっていると、向かい側のテーブル席のご夫婦が気になり始める。目にも鮮やかな緑色のくたびれたTシャツを着こなした60歳前後の奥さんは、青汁のごとき見た目の緑茶ハイを飲んでいる。その向かい側でサンケイスポーツを読んでいるのが、横縞のポロシャツと短パン姿の小太りな親父。ふたりはご夫婦のようだが、私が着席してからも一言もしゃべらず。奥さんはテレビが観られる好位置に座っているものの、落ち着かないのかどこか所在なさげだ。
するとご主人と奥さんが頼んだ天丼としらす丼がそれぞれ運ばれてきた。テーブルに置かれたお新香の小皿を、奥さんの手元に黙ってすべらすご主人、自分は食べたくないとの意思表示のようだ。その後も二人は黙々と食べ進めると、ご主人は読み終わったスポーツ新聞を目の前に放り投げる。するとすかさず、その新聞を元の位置に戻しつつ、空になったコップの水を注ぎにいく甲斐甲斐しい奥さん。これが阿吽の呼吸というのだろうか。長年連れ添ってきた夫婦のなれの果てとも言うべき光景に、独身の私は結婚というシステムそのものに首をかしげたくなるばかり。
ほどなくして私の頼んだチキンソテー定食が運ばれてきた。大ぶりな胸肉はあらかじめ包丁でカットされている。夏の盛りに鶏肉をめったに口にしないのは、私以上に味や好みにうるさい実父の影響によるものだが、このメニューはその禁を破っても食べたい逸品。「なめこ汁は少しお待ちください」と娘さんのしゃべりも、いつも通り。数分後遅れて運ばれてきたのは、ご飯の丼よりも大きいお椀に入ったなめこ汁(200円)。具材は絹ごし豆腐とねぎとなめこと至ってシンプルだが、コクがあって味も絶品しかも熱々。普段めったに旨いと思える味噌汁に出くわすことはないが、こちらのなめこ汁は私の嗜好にジクソーパズルの如くピタリとはまる。
まずはチキンソテーから頬張る。皮の部分に軽く小麦粉をまぶしているため、表面がぱりっと仕上がっている。そして酸味のあるシャビシャビのソースに大根おろしがたっぷりと乗った意表をつく味。夏でも、むしろ夏だからこそさっぱりと食べられる白飯に合う料理といえそう。本来ならばご飯は少し残すつもりが、まぐろの佃煮もついていたので、すっかり完食。お腹もはちきれんばかりだ。
家族経営でこそ成り立っているこちらの食堂。高砂にて、いつまでも続けていってほしい店のひとつに違いない。長女に会計を済ませた後に挨拶をするも、食器を片づける次女の方は目も合わさず、心なしかうつむきがちな様子だった。