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昼の点数:4.2
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~¥999 / 1人
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料理・味 3.4
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|サービス 4.2
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|雰囲気 4.2
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|CP 4.2
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|酒・ドリンク -
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[ 料理・味3.4
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| サービス4.2
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| 雰囲気4.2
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| CP4.2
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| 酒・ドリンク- ]
たまたまたまや
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外観
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外観
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外観
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外観
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日替わり定食
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箸立て
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西荻南銀座会
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2012/08/13 更新
杉並区西荻南2丁目。ある平日の午前中。普段めったに行かない荻窪界隈で、ひと仕事を終えた時のこと。腕時計をかざすと、もうすぐ11時だが、せっかくなので近く食事を摂りたいところ。早速手元のスマートフォンにて、いまや食探しの定番「食ベログアプリ」を起動する。特に不慣れな土地では大変重宝していると、最近の私はとみに持ち上げるが、決して食ベログからリベートをもらっている訳ではない。いやむしろ、私のくだらないレビュー内容から、かえって要注意レビュアーとしてマークされてもおかしくないだろう。
すると西荻窪駅が最寄りと思われる、一軒の食堂の画像に目が釘付けに。錆付いた袖看板の電話番号、市内局番は未だ3桁。出入り口は安っぽいサッシの引き戸と、全体は見えずも只ならぬオーラを感じ取った次第。まるで鬼太郎の妖怪アンテナよろしく、私のアソコもピクンと反応したようだ。
いまいる場所は荻窪駅前。よって会社への帰り道とは逆方向ながらも、西荻窪へ向かうことに決定。ちなみにこの行為自体、私の解釈ではサボっているのではなく、あくまでも食事休憩の範疇。
JR西荻窪駅の南口に降り立つと、西荻南中央通りをお目当ての食堂目指して歩いていく。この界隈、前回訪れてから実に約15年ぶり。すると前方に懐かしの輪島ボクシングジムが見えてきた。団子とボクシング、どっちが本業か区別がつきにくいが、かつてこの近所の小汚い洋食屋に入ったのを思い出した。とっくに通り過ぎたはずだが、それらしき店舗は見当たらず。すでに跡形もなくなってしまったのだろうか。
スマートフォンのGPS機能を頼りに、駅の改札口から10分近く歩いてきた。この界隈は西荻南銀座会という商店街を形成している。お目当ての食堂はもうすぐ。この中央通りの脇道を、そろそろ左折するようだと思って、ふと視界左手に飛び込んできた全面板張りの陋屋。そしてその奥を辿ると見覚えのある多摩屋と書かれた袖看板。食ベログにアップされた通りの外観で間違いない。
それにしても、間近で見れば見るほど、よくぞ杉並区の住宅地で生き永らえたと感嘆するしかない。私の住む東向島近隣であれば、さほど驚かないけれど、この区域だけ圧倒的に異彩を放っている。
これまで食ベログ未投稿なのは、品のいい杉並区民が思わず尻込みしたくなる所以か定かではないものの、高まる鼓動を意識しつつ店内へ。中には70代後半と思われし、おかみさんの姿。手元の時計は11時半を回ったところ。ちょうど開店準備の真っ最中のようだ。
小料理屋を彷彿とさせる、カウンターだけの狭苦しい店内。長年積もり積もった私財や置物が所狭しと空間を支配する。4脚しかない端っこの丸椅子に腰掛けると、「今日はオムレツですけど」と声がかかる。
店に入る前に気付いた、壁に貼られたラミネート加工のメニューによれば、日替わり定食600円と持ち帰り弁当500円の明記。私の背後には、カレーライスや肉豆腐、野菜の天ぷら等、一品料理も並んでいたが、なるほど少なくともお昼は1種類限定のようだ。まったく問題ない旨返事をすると、おかみさんは表に出るや、色褪せた暖簾を店頭に掲げるのが見える。
「今夜は怖いですね」とポツリと呟いたおかみさん。ちょうどテレビ画面では、午後には台風並み爆弾低気圧が関東に上陸とのニュース番組が放映中。私も前日の夜からその情報を知り得たものの、傘を持ち合わせていない。もし会社へ戻る前に降られたりでもしたら、近くのコンビニへ駆け込むしかないだろう。
出来上がりを待つ間、店内をぐるりと眺めていると、カウンターに置かれた箸立てに目が留まった。ビールジョッキのグラスにリサイクル箸が詰め込まれているのはいいとして、色や形や長さもてんでバラバラ。不揃いなのは、林檎たちだけにしてもらいたいと心の中で思わずにはいられない。
ほどなくして、「ああっ」と失敗したかのような声に、思わず顔を見上げる。おかみさんが、フライパンで焼き上げたオムレツを大皿に移す際、すでに盛られていたスパゲティがこぼれかかったようだ。何とか踏ん張り、一息つくおかみさん。手元がややおぼつかないのは、高齢のせいなのだろうか。
「お待ちどうさまでした」黒いプラスチックのお盆に乗せられた小鉢の数に、思わず仰け反りそうになった私。何とメインのお皿を除いて5品もついている。そしてあろうことか、オムレツが乗った大皿から、でろんとこぼれ落ちた付け合せのナポリタン。おかみさん的には、それでもセーフなのだろう。そして時間差で味噌汁の到着に、「いやはや随分と充実してますねえ」と図らずも声を漏らす。
「田舎者だから、こんなのしか出来なくてね」と謙遜するおかみさん。「冷凍食品とかは苦手なんですよ」と言葉が続く。「たしかに電子レンジとか見当たらないですもんね」と即答したくなる悪魔の囁きを堪えつつ、「どちらのご出身なんですか」と尋ねる。しばし躊躇いつつ、「水戸出身なんですけどね」と答えてくれた。
水戸自体決して田舎とは思わないが、正確にはその周辺なのだろうか。「よかったらこっちも食べてみてください」差し出されたのは、小鉢によそわれた山葵漬け。私の苦手な珍味ながらも、つくり笑顔でありがたく頂戴する。なんでも、おかみさんの知人が静岡へ旅行に行ったときのおみやげとのこと。
どちらかといえば質素な惣菜ばかりでも、独身者で家庭料理に日々飢えている私には大変ありがたい。こんな食堂が家の近所にあったなら、常連になること確実だ。
食べ進む途中、「ご飯のお代わりはいかがですか」と尋ねてくれるも、さすがに小食気味の私には十分過ぎるボリューム。突然ガラッと引き戸が開いて、作業着姿の男性が入ってきた。おかみさんとも顔馴染みのようで、私同様オムレツの了解を取り付ける。
最後まで取っておいた山葵漬けは、よっぽど残そうかと思ったものの、息を止めてお茶で全てを流し込んだ。子供時分の嫌いな食べ物はかなり克服してきたけれど、山葵漬けは死ぬまで好きにはなれそうもない。
食べ終わった食器をカウンター上段の台に置いてお会計。「なんか今にも降りそうでしたよ」と心配そうな声でお見送り。外に出て、表の通りを歩き出すこと3分足らずで、雨粒が頬を濡らすのに気付く。会社まで、傘を差さずにできれば済ませたい。西荻窪の駅へと小走りにて急いだ。