アールアイさんが投稿した洋食のいし川 (福井/越前市その他)の口コミ詳細

レビュアーのカバー画像

アールアイの色情グルメ一代記

メッセージを送る

アールアイ (男性・大阪府) 認証済

この口コミは、アールアイさんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。

最新の情報とは異なる可能性がありますので、お店の方にご確認ください。 詳しくはこちら

利用規約に違反している口コミは、右のリンクから報告することができます。 問題のある口コミを報告する

閉店洋食のいし川 北府、たけふ新、武生/洋食、ハンバーグ、オムライス

1

  • 昼の点数:4.3

    • ~¥999 / 1人
      • 料理・味 3.9
      • |サービス 4.5
      • |雰囲気 4.4
      • |CP 3.8
      • |酒・ドリンク -
1回目

2017/04 訪問

  • 昼の点数:4.3

    • [ 料理・味3.9
    • | サービス4.5
    • | 雰囲気4.4
    • | CP3.8
    • | 酒・ドリンク-
    ~¥999
    / 1人

武生の一級河川

 越前市桂町。かつて武生と呼ばれた街で、栄華を誇った尾花遊郭跡を巡る旅。昭和5年刊行の『全国遊廓案内』によれば、当時妓楼は二十三軒、娼妓の数は九十五人を数えたという。
 戦後は赤線に移行し、昭和三十年刊行の『全国女性街ガイド』には、赤線は二十四軒に百五名ほど。ここまでくると北陸女の感じはうすれ、おんなの味もお粗末になると散々な書かれよう。
 JR武生駅より徒歩10分程度、現在の桂町にその遊郭赤線跡の残滓はある。メインストリートと思われる通りの真ん中には、水路が設けられ、その脇には松の木が等間隔で並ぶ風情のある光景。『たけふ案内』というネットサイトに、大正末から昭和初期に撮影された、尾花遊郭の画像が掲載されているが、その当時とほとんど変わらない町割りを今も保っている。
 かつて栄えし遊興の地を散策していると、荒れ果てた空き地の一画にポツンと佇む古びた飲食店が目に留まった。正面には何やら男前のイラストが描かれたのぼり旗が置かれて、武生に来たらボルガライスとのメッセージ付き。
 ここ最近は地域おこしの特効薬として、町ぐるみで俄かB級グルメを盛り立てる動きが後を絶たない。武生は越前おろしそばが有名だが、気になって手持ちのスマートフォンでチェックしてみると、ボルガライスとは要はオムライスにとんかつを乗っけたもの。何故ボルガという名前が付いたのかは諸説あるようだ。のぼり旗やポスターに登場する男性キャラクターの作者は、漫画家・池上遼一。ここ武生の出身という縁で、引き受けたとのこと。
 次第にこの店とボルガライスに興味を持ち始めた私。店へと近づくも、もしかして休業日なのか薄暗い店内に胸騒ぎ。入口のガラス越しに人影を確認し、恐る恐る扉を開ける。
 「あのう、今日はお休みなんですか」仕込み中らしき店内のおかみさんに声をかけた。「ごめんなさいね。旦那が外出しとるもんで、店を開けるのは12時半頃になりますけど」
 現在の時刻はお昼の正午前。30分程度時間を潰すことは問題ない。再び訪れることを伝えて、近くの寂れた商店街へと繰り出す。途中見かけた蕎麦屋でおろしそばを食して12時40分過ぎ、もうそろそろ営業しているだろうと店に向かうと相変わらず店内は暗いまま。
 すると扉が開いて中から出てきたおかみさんと鉢合わせ。あっと小さな声を漏らし、「お兄さんごめんね。今から呼んでくるんで、少し待っててもらえる?」
 店内に招き入れ、カウンター席に座った私に、段ボールケースから取り出した、小さな烏龍茶缶のプルタブを開けて、コップに注ぎだす。
 食器棚には、常連がキープした焼酎のボトルが並んでいるので、おそらく割り材用の烏龍茶をわざわざ出してくれたのだろう。すぐに戻ってくるからと、私一人を残して出て行ってしまった。
 一見客を残したまま店を離れる不用心さに、半ば呆気に取られること暫し。仕方なくテレビで放映中の、春の選抜高校野球をぼんやり眺めること15分ほど、肩で息をしながらご主人とおかみさんが戻って来た。其れなりに待たせたことを恐縮しまくる二人。私の頼んだボルガライスの調理に早速取りかかる。
 「住まいはこの近く?」ふいにおかみさんから声がかかる。「いえ、金沢から来ました」「まあ、そんな遠くから」「お父さん、金沢から来てくれたんだって」
 おかみさんの声には反応せず、一心不乱にフライパンを振るご主人。「ちょっと、ここがね」と耳元に手をやりながら苦笑するおかみさん。「金沢には昔二度ほど観光に行きましたけど、金沢城や兼六園とかね」
 前菜として、おかみさんの手によるミニカップのサラダとポタージュスープが用意される。メインディッシュはご主人が調理を担当するようで、見た目70代半ばのお二人、夫唱婦随の絶妙なコンビネーション。
 ほどなくして、待望のボルガライスが運ばれてきた。オムライスにやや薄切りのとんかつが乗り、デミグラスソースがかかる。正直なところ、出来立て熱々を頬張れること以外、特筆すべきことはないのかもしれない。
 しかしながら、この店だけの隠し味があるのは間違いない。美味しさは五つの味(酸味、苦味、甘味、塩味、旨味)のバランスで構成されるという。それを上回る人情味がこの料理には溢れている。
 私が食べ終わるのを見計らって、「何だか飲み物だらけになっちゃったね」と言いながら、おかみさんは淹れたての緑茶を出してくれた。注文直後に水も出してくれたので、確かにお腹も水分でタップンタップンに膨れてしまったようだ。
 その後、常連客も訪れ、長居をしないよう、タイミングを見計らってお会計。名残惜しくもこの場所を立ち去ろうとしたその時、店から慌てて駆け寄ってくるおかみさんの姿。「長いこと待たせてしまってごめんなさいね」もし良かったらと手渡してくれたのは、入店時にも供された烏龍茶缶だった。 
 

  • 外観

  • 烏龍茶

  • スープ

  • サラダ

  • ボルガライス

  • 店内

  • 尾花遊郭跡

  • 尾花遊郭跡

  • 尾花遊郭跡

  • 尾花遊郭跡

  • 尾花遊郭跡

  • 尾花遊郭跡

  • 尾花遊郭跡

  • 尾花遊郭跡

  • 尾花遊郭跡

  • 尾花遊郭跡

  • 近くの撞球場

2017/04/23 更新

エリアから探す

すべて

開く

北海道・東北
北海道 青森 秋田 岩手 山形 宮城 福島
関東
東京 神奈川 千葉 埼玉 群馬 栃木 茨城
中部
愛知 三重 岐阜 静岡 山梨 長野 新潟 石川 福井 富山
関西
大阪 京都 兵庫 滋賀 奈良 和歌山
中国・四国
広島 岡山 山口 島根 鳥取 徳島 香川 愛媛 高知
九州・沖縄
福岡 佐賀 長崎 熊本 大分 宮崎 鹿児島 沖縄
アジア
中国 香港 マカオ 韓国 台湾 シンガポール タイ インドネシア ベトナム マレーシア フィリピン スリランカ
北米
アメリカ
ハワイ
ハワイ
グアム
グアム
オセアニア
オーストラリア
ヨーロッパ
イギリス アイルランド フランス ドイツ イタリア スペイン ポルトガル スイス オーストリア オランダ ベルギー ルクセンブルグ デンマーク スウェーデン
中南米
メキシコ ブラジル ペルー
アフリカ
南アフリカ

閉じる

予算

営業時間

ページの先頭へ