2回
2020/07 訪問
驚いた!
オーガニックダイニング 陽なたぼっこ。
公式Facebookには、
"10年以上自然食の開発に携わった元バイヤーが選ぶ厳選素材と自ら大切に育てた濃厚無農薬野菜は体が喜ぶと全国から口コミで来店"
思わず飲み干したくなる名物料理「和ヒージョ」
日本にたった1軒の胸やけしない古式菜種油で作る
神のエビ和ヒージョは9割の方が食べるひと皿"
と書かれている。
かれこれ四半世紀前から自然食、無添加、無農薬は趣味の一つ。
この手を売りにす店や経営者には何店も何人も遭遇したけれど、心から感心することはなかった。
あくまでも商売上の売りとしてだったり、取り組みに整合性がなかったり。
そういう意味では、かなりの大風呂敷で興味津々だったが、赤池の東となるとなかなかアプローチの機会なかった。
機会を待っていては話にならないので、意を決して…いや、そこまで大層なことでもないけれど出向いてみることにした。
赤池駅から800m、徒歩10分ちょっと。
国道153号線に出て赤池2丁目交差点を東に進み、浅田南交差点の手前、右手。
気候の良い時期だったらブラブラと歩いてもいい距離だが、梅雨明け間近の湿度の中では辛い。
タクシー乗場で客待ちしていた運転手に近距離であることを一言詫びてレッツゴー。
浅田南交差点の南西角は、駐車場の奥に3軒の店舗兼用住宅が2棟、6軒の店舗が軒を並べている。
向かって右から2軒目。
手作り感というか、素朴な外観のイメージは、自然食や無添加食品を取り扱っているショップと相通じるものがある。
後で、そうした会社に勤務した経験があるとオーナーから聞くことになるのだが、なるほどと合点がいく。
それは内装にも同様のことがいえる。
昨日、新型コロナ感染症における1日あたりの新規感染者が最高値となったことも影響しているのか、客は自分達夫婦だけ。
「どちらでもお好きな席を…」と促されて選んだのはカウンター席。
取りあえずビールは、もちろんヱビス。
ここでまず感心したのはビールの泡のきめ細やかさ。
本当に上手に注がれた泡は、時間経過と共に中央部が盛り上がってくる。
あっという間に泡が消えるようなビールの注ぎ方で金を取るなんて恥ずかしくないのかと思うが、そういう声をあまり聞かないのは、飲む方もわかっていないということだろう。
凸型に盛り上がった泡をみて、「最近は口先だけできめ細かさを語る輩が多いけれど、本当に上手に注がれた泡ってのは、こうなるもんだ。そういうことを知らない人が多すぎるだけ」と嫁に話し、視線を上げ、「いいね」と店主に告げる。
さすが、PERFECT YEBISだけのことはある。
まずは、客の9割がオーダーするという和ヒージョ。
"古式菜種油"と書かれているのは、古式圧搾製法のことだろう。
市販されているサラダ油は、溶剤だの苛性ソーダだの何だかんだと使われているのだが、極めつけは高温での加熱処理。
リノール酸は身体に良いと言われているが、高温で熱すると毒性が指摘される物質に変化する。
しかし、古式圧縮製法の菜種油は非常に高価だ。
家でも古式製法の胡麻油は利用しているが、菜種油となると日常的に使用するのはコスト的に勇気が要る。
殆どの飲食店では、こうした食材や調味料に真っ当なものを使用することはない。
コストが合わないし、ビール同様、客の側も望んでいない。
正確には、そうしたことを理解している客はほとんどいないからだ。
まさか飲食店で古式圧縮製法の菜種油を使うとは思わなかった。
店主としばし、油談義。
まさに油を売っているという感じか。
和ヒージョは、神の海老、信州黒豚の幻の豚トロ、マッスルチキンと葱、マッスルチキンの砂肝ときのこ、じゃがいもとアンチョビーなどの選択肢がある。
どれも大いにそそられる。
とはいえ、やはり、スタンダードというか、以前から聞いていた海老にする。
●前菜五種
○ラタトゥイユ
個人的には"レミーのおいしいレストラン"(2007)を思い出す。
原題は、もろに"Ratatouille"。
何てウィットに富んだネーミングなんだろうと感心した。
rata(ネズミ)を語源とするプロヴァンス地方の方言、Ratatouilha(残飯)に由来すると言われているラタトゥイユ(Ratatouille)。
ネズミが主人公ということで、かけてあるのだろう。
辞書で調べてみても、Ratatouilleは、"野菜の煮込み"という意味の他に"まずい煮込み、粗末な料理"という書かれている。
ネズミだの残飯だの粗末な料理だの、なんてひどいんだと思うが、ここからは単なる独りよがりな妄想。
ラタトゥイユは実に繊細な料理で、煮込み過ぎたら台無し。
この加減が非常に難しい。
主役は夏野菜なのだが、それぞれの煮込み具合の頃合いはバラバラ。
そこをちゃんと弁えて煮込むのは容易ではなく、ついつい煮込み過ぎた場合、"まずい煮込み"だの"粗末な料理"だのになってしまうからだとしたら、これまた、何てウィットに富んだネーミングなのだろう…なんてことを思いつつ、箸を伸ばす。
「フランス人も、まさか極東の島国で、箸で食べられるようになるとは思ってなかったやろね」
と店主に話しかけながら。
煮込み具合に最新の注意を払っていることは理解できる。
そして、押し出しが過ぎず、優しい味わいは和テイストに通じる。
分かりやすい味つけはどうとでもできるが、そこからどれだけ引いて調和を構成させるかとなればなかなか難しい。
もう少しだけ素材の存在感を味わえたら最高だが、十分に及第点。
○野菜の自家製ピクルス
ポップやメニューによれば、"女性に好評!"らしいが、先に箸を伸ばした嫁が、
「あ、これ、美味しい」
と独り言ちるように口にした。
つられるように箸を伸ばせば、なるほど、こちらも押し出さない。
酸味も尖らず、かと言って甘味も重くなく、野菜そのものの味わいをきっちりと活かしている。
一言で表現しろと言われたら、優しいということになるか。
製法としては、確かに日本料理の漬物ではなくピクルスなのだが、箸で食べているだけではない和テイストを感じさせるのが面白い。
○カボチャのクリームチーズ和え
日本各地に多大な被害をもたらした長雨の影響は、当たり前だが野菜にも打撃となり、ニンジンやレタス、ジャガイモが不作に陥っている。
"前菜盛り合わせ"の参考例として書かれていたのはポテト。
オーダー時、それを嫁に聞かせるため読み上げていると、
「今年はジャガイモが全然なくて…。カボチャになります」
いや、ポテトが食べたいっ!ってわけではないので、まったく問題ない。
それどころか、そのカボチャのクリームチーズ和えが美味かった。
むしろ、ジャガイモよりも滑らかな食感がクリーミーな味わいを増幅させ、自然な甘味がいい感じとなっていて、嫁もすっかり気に入っていた。
何の文句があるだろう。
○季節野菜のバーニャフレッダ
ポーションとしては、種から育てているという自慢の野菜…と思ったら、説明時にバーニャフレッダだという。
イタリアは、トリノを擁すピエモンテの郷土料理であるバーニャ・カウダ。
日本でも市民権を得ているといってよい冬の定番料理だが、冷製ソースを用いる時にはバーニャ・フレイダになる。
しかし、どうみてもディップがあるようには見えないし、実際、ない。
オリーブオイルはかかっているようだが、どこがバーニャフレッダなのだろうと思いつつ食べてみると、オリーブオイルではなくOlio de colza、菜種油。
店内のあちこちでみかける古式製法の菜種油か。
そして、その菜種油にアンチョビーペーストが。
なるほど、それでバーニャフレッダか。
しかも、これもまたいい感じで押し出されていない。
塩分もさほどではなく、何せ味わい深い野菜と濃厚な菜種油の風味が絡まり、最後に鼻腔をアンチョビーの香りがフワッと抜ける。
野菜そのものを味わうことにフォーカスされている。
なるほど、これがディップになっていたら、意図せぬ食べ方をされるかも知れない。
店主の思い入れが伝わってくる。
まあ、それが伝わってくるかどうかは別にしてもいいくらい、野菜そのものが美味い。
特に胡瓜には恐れいった。
熟すまで身を守る棘が、これだけしっかりとした胡瓜は随分ご無沙汰。
すべての栄養を種子にとられる前、何より自然そのままの証し。
その早熟が人間様にとっては美味い。
○鶏ハム
チキンについて、さほどの説明はなかったが、これまた店内情報によると"マッスルチキン"の文字があちこちに点在している。
これがマッスルチキンだという説明はなかったが、そもそも聞いたことがないネーミングだ。
筋肉鶏?
野菜にこれだけ思い入れがあり、もはやマニアックといってもいい領域まで達している店主のことだ。
鶏肉にも思い入れはあるだろう…と思いつつ食べてみる。
拍子抜けするほど、そして鶏ハムであることを踏まえると、随分ジューシー。
いわゆる在来種由来の地鶏で肥育期間が75日以上の平飼いの胸肉は、どうしても繊維質がしっかりとするか、しっとりとして味わい深くても、こういう食感にはなりにくい。
これは何だと興味をそそられる。
前菜を食べ終えると、ビアグラスも空になったのでワインをボトルでオーダー。
赤白の問いかけには、フェミニストを気取って嫁の意向を重視して赤。
◎Cantina Tudernum Todi Merlot 2016
イタリア中部、ウンブリア州の新しいD.O.C.。
ウンブリアといえば、リーズナブルなテーブルワインというイメージだが、ペルージャはトーディの名を冠されたボトルは悪くない。
グラスに注いだ瞬間、ルビーレッドのガーネットに、思わずバローロをイメージさせらる。
残念ながら、バローロのようなどっしりとコクのある味わいではないが、やや固いものの、このレベルのメルローに多い“頑張ったらバニラ“という感じはしている。
しかし、遠慮深いタンニンはスパイシーさと言いかえることもできるし、料理との相性も悪くない。
「お手軽で美味しいワインを…」と軽口半分に付け加えた瞬間、ワインクーラーに伸ばしていた店主の手が一瞬止まった気がする。
本当は別のボトルを推薦してくれるつもりだったのか…気になるところだが、これはこれで。
気に入ったなら、家でも気軽に楽しめるワインだと嫁に言うと、驚いたような表情を作りながら頷く。
●味が濃厚なきまぐれ野菜サラダ
「さっき、誉めてもらった胡瓜とは、また別の胡瓜です」
鮮やかな美しい色彩に彩られた皿をカウンター越しに手渡しながら店主が言う。
自家栽培の無農薬、有機、減農薬野菜…という触れ込みなどなくても食べればわかる。
最後まで新鮮な味わいで、どこで食べても最後の最後に登場してくる苦味など欠片もない。
若い頃、その食材の本来あるべき姿を探し求めてきたが、この味わいを知らない日本人はどれくらいいるんだろう。
野菜が不味いのではなく、不味い野菜しか食べたことがないのかも知れない。
それはとても寂しいことだ。
店主には大変失礼だが、必ずしもこの店でなくては味わえないなどということはない。
心ある生産者や料理人は全国に一定数以上いることだろう。
利用可能圏内の方は是非こちらで…そうでない人も、本当の味わいを是非探求してもらいたい。
それは人生においても同様だが、食材の探求に自己満足ほど障害となるものはない。
●和ヒージョ~神の海老
「神の海老」を「かみのえび」と呼んでも突っ込まれなかった。
"天然物"と記されていたので、最近流行の「シンノエビ」とは違うのか?などと考えていたら「かみのえび」と言ってしまった。
QUALICERTを与えられた"天使の海老"を超えるという意気込みで付されたと推測される"神の海老"。
バナメイと車海老の配合種で、自然に近い環境で飼育されているものの養殖だ。
まあ、シンだろうとカミだろうと、その辺りはさほど重要ではない。
クマエビやアシアカが、知らぬ間にフラワーエビになっているご時世。
まずは美味いかどうか。
それにしても、まさか飲食店で古式圧縮製法の菜種油を使っているなんて…いや、一部の超高級店(値段が)では使用されていることもあるが、コストを考えれば当然躊躇する。
さて、和ヒージョはといえば、正直なところ、やや塩味が立っているのが気になった。
アヒージョの生命線ともいえる塩だが、こればかりはギリギリが最高の味わい。
1㍉でも過ぎたら台無しとされる調味料だけに難しい。
殻ごと食べられるという触れ込み通り、丸ごとパクッと。
雑味がなく、海鮮としての海老がもつ負の部分も綺麗にクリアされる。
それだけにやや立った塩味が残念…それぞれのリミッターがあると思うので、次回はやや抑えてもらおう。
ちなみに、嫁にとっては問題なかったようだから、やはり微妙な個人差か。
●希少な国産無添加上肩ロースの生ハム
こちらは嫁のリクエスト。
プロシュットにしても、美しすぎる出来映え。
パルマもびっくりだ。
言うまでもなく、プロシュット・ディ・パルマは発色剤など用いず、豚肉と塩だけで作られることは知られているが、この色合いを出すのは容易ではない。
オニオンスライスも風味が良く、辛味どころか甘味がある。
そして、噛めば噛むほどとはこのことだろう。
●チーズの盛り合わせ
店主が6年探し求めたというチーズ。
完全にチーズが苦手な嫁も、敢えてチャレンジ。
人生で初めてのゴルゴンゾーラを「ハーブ?」
いや、確かにドルチェではあると思うが、さすがにハーブと呼ばれては青カビも立つ瀬がない。
それにしても、本当にチーズが苦手な嫁が食べていることに驚いた。
いま、食べているのは世界三大ブルーチーズの一つで、チーズが平気だという人でも無理な人は少なくない。
もしかして、スティルトンもロックフォールもいけるのだろうか。
店主に6年探してもらえば…それは無理か。
◎純米90 香取(寺田本家/千葉県)
生でも吟醸でも大吟醸でもない純米酒…相変わらず、ワンパターンなオーダーの仕方だが、これで理解してもらえないなら、まあ、それでいいやと最近は思うようにしている。
すると、「生酛でもいいですか?」
いや、生酛で文句があるわけがない。
出された瓶は、香取。
純米90と書かれている…これは初めて。
寺田本家といえば、五人娘しか飲んだことがない。
自然酒に思い入れのある蔵で好感しているが、純米90というのは、もしかして精米歩合10%ってことか?と思いつつ香りを確かめると、あー、これはそっち系だ。
昔ながらの醸造法である生酛で精米歩合10%、無濾過、無農薬米とくれば、これはもう、先人が日常的に飲んでいた酒に限りなくちかい。
ラベルには精米歩合90%と記されていたから、重量精米歩合を表示しているのだろう。
いずれにしても、ひさびさに味わう素朴な甘露。
●炎の豚バラ一夜干し炙り
名前に惹かれてオーダー。
干し肉にはロマンがある…といっても、三国志に登場しているとか、その程度のお安いロマンだが。
てっきり、一夜干しにした豚バラをサッと炙って…とか、そんな感じだろうと思っていたら、これが意外に調理時間が要している。
見るともなく見てみれば、これがまさにじっくりという感じで調理している。
料理の技術を一見客がああだこうだなどというのはおこがましいが、ここの店主は本当に丁寧に調理する。
その丁寧さというのが、いわゆる職人のそれとは違い、食材を本当に大事にしていることが伝わってくる調理の仕方。
その背中は、それぞれの食材がもつ力を引き出すというアクティブなベクトルではなく、食材をよく理解した上で、食材のもつ魅力を絶対に損なわないという強い意志を感じさせる。
そんなことを、仕事ではなく口先で語る軽薄な料理人は多いが、なかなか出会ったことのないタイプの料理人かも知れない。
で、豚バラ。
これはやられた。
まさに噛めば噛むほど。
食材そのものがもつ力が大きいので、噛めば噛むほどになるのだが、その中でもとりわけ噛めば噛むほど…なんだか意味不明な文章になったが、まさに噛めば噛むほど。
ずっと美味しいなどという下世話な意味合いではない。
どんどん味に深みが出て、咀嚼の楽しみを再認識させてくれる。
ああ、これこそ食文化を構成するブロックの一つで間違いない。
◎自然栽培米 百老(澤田酒造/愛知県)
これまた昔ながらの製法。
ここまでくると笑える。
貴重な生だの、大吟醸最高だの、白ワインみたいだの…そんなことばかり言っている輩には支持されないタイプの酒。
●平飼有精卵のビビンバ風たまごかけごはん
和ヒージョの菜種油を使って、〆の料理。
パスタとTKGが候補。
白米と卵にも興味があったのでTKGで。
不味いわけがないと思っていたが、思っていたよりもクリアな味わいで納得。
2020/08/07 更新
旧友との会食。
半年ぶりくらいになるのか。
どちらともなく声をかけて、一杯やりにいくかってことで、今回も店は一任される。
そこで、先日嫁と出向いた"陽なたぼっこ"を提案すると、是非とのこと。
下りてからの移動は先頭車両が便利なので、時刻を合わせて先頭車両の中で待ち合わせ。
電車がホームに到着すると、反対側、二つ目の出口付近で旧友が手を振っている。
開口一番、
「家族に送ってもらったから、ジャスコでマスク買ったよ。あ、ジャスコじゃなくてイオンか」
いかにも昭和な会話からスタート。
赤池で下りて②出口から地上に出れば目の前がタクシー乗場。
800mを歩くという選択肢がデブ二人にはない。
17時37分に到着。
まずは、PERFECT YEBISU。
連日30℃を超す容赦ない暑さに冷えたビールが心地よい。
今日は氷見直送だという刺身があるってことだったのでオーダーしてみる。
真旗魚、魴鮄(ほうぼう)、梭子魚、セイゴ(鱸)、鯛、赤烏賊、フクラギ(イナダ)。
「この時期にほうぼう?」
思わず口をついて出た。
「氷見では年中獲れるので…」
とはいえ、産卵期を終えたばかりということを考えればどうだろうと思いつつ食べてみると、悪くはないけれど、やはり何とも頼りない味だ。
赤烏賊はやや残念だったが、それ以外は可もなく不可もなし。
熟成の配慮もわかるが、まあ、8月ということを踏まえれば致し方ないだろう。
無着色の山葵ということだったが、本山葵でないことは残念。
グッとビールを飲み干して、刺身に合わせて"白老 火入れ"(澤田酒造/愛知県)。
刺身が終わり、酒も空いたので、料理との相性を踏まえたお薦めのワインを…と注文すると、白か赤かという永遠のテーマが出てきて、まずは白からということに。
出されたボトルは"Chatillon en diois"。
これは、初めてみるボトル…エチケットにAOCと記載されている。
Demeterの認証を受けているところが、陽なたぼっこの矜持か。
アロマの時点で女王だということがわかる。
酸味が強いのかと思わせるが、さほどでもなく、辛口というには芳醇なシャルドネ。
裏ラベルに、Chatillon en Diois(シャティヨン・アン・ディオワ)はヴェルコール山塊の麓にある小さな村だと書かれていた。
ということは、南仏ローヌのワインという括りになるのか。
フルーティーで繊細な味わい。
やはりシャルドネ100%と書かれていた。
美味しいから何でもいいけど。
前回謎だった"神の海老"について店主に尋ねてみた。
天然物と書かれていたので、「カミノエビ」と呼んだら、そのまま応じてくれたので、いわゆる養殖の「シンノエビ」とは別物なのかと思っていたけど、どうなのかと。
すると、店主は「シンノエビ」の存在を知らなかったようで、「オリジナルで勝手に神の海老って名付けたんです」とのこと。
ということは、やはり天然物で、「シンノエビ」とは別物ということか。
すっきりした。
希少な国産無添加上肩ロースの生ハム、味が濃厚なきまぐれ野菜サラダ、和ヒージョ~神の海老、炎の豚バラ一夜干し炙り。
和ヒージョは、前回、塩味が立っていたと伝えてあったので、今回はソフトリーになっていて、これが丁度よかった。
前回同様の注文になるのは、旧友におすすめというところで仕方ないが、今回も前回以上に感心。
相変わらず丁寧な調理だ。
このタイミングでボトルが空に。
すると旧友が、
「おかわりください」
彼はあまり強い方でもないので、大丈夫か?と懸念したけれど、まあ、飲もうという友を窘めるほどの器量はまだない。
今度は赤でリクエストすると、Ca' Erto。
(赤でCa Erto?)
いうまでもなく、ソアーヴェといえばイタリア北東部に位置するヴェネトを代表する白ワイン。
それもカ・エルトのカベルネ・ソーヴィニヨンは、これまた初めて。
前回、「家でも気軽に取り寄せられる」と書いたので、店主が意地になったか?
今回は白も赤も、ちと珍しい。
前回、前菜盛り合わせについていたカボチャのクリームチーズ和えが美味しかったので、単品でのオーダーも可能か確認して注文。
しっかりと旧友のハートを射止めたようだ。
これまた前回は和ヒージョのオイルを使って…の締めメニューに平飼い有精卵のビビンバ風たまごかけごはんを選んだが、今回はおまかせオイルパスタ。
今回のスペシャリテというわけではないが、前回訪問後に店側が発信するメルマガで、"7周年記念 アヒージョ締めの油で楽しむかけすぎトリュフのパスタ"という記事をみつけ、SNSで「そんな告知あったっけ?」と店主にツッコむと、「メルマガ会員限定」というので、早速登録。
ところが、当日のメルマガで、"お陰様でトリュフ完売しました"と送られてきた。
冒頭で、「そういえば、トリュフ、終わったって?」と聞くと、「ちゃんとお取りしておきました」と嬉しい一言。
そういう流れもあって、ここはパスタ一択だ
自慢ではないが、パスタには一家言も二家言もある(二家言という言葉は知らないが)。
食べログのレビューを読むと、オイリー過ぎるという評価もあったが、さて、どんなものか。
なんて無駄に意気込んでいたが、全然普通に美味しかった。
サマートリュフも、思ったより存在感、香り、味わいともに良かった。