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向付
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鯨肉刺身（尾の身）
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先付
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先付
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先付
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椀（蛤と蓴菜）
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焼物（本つぶ貝、鮎）
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椀（鼠茸、つくね）
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鱧おとし
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二階（梁）
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初めて訪れたのは15年ほど前のことになるだろうか。
金沢の知人から紹介されて出向いたのが最初。
金沢駅前の定宿からタクシーで30分弱。
どう考えても店なんてありもしないような閑静というより、閑散とした住宅街を経て、山に上がったところにひっそりと店がある。
いまは多少マシになったが、初めて訪れた時は基幹道路も工事中で、タクシーが道に迷ったことも一度や二度ではない。
新潟と富山の県境にあった農家に一目惚れして移築したという日本家屋は無言の説得力をもつ。
それにしても、建坪100坪…一切金具を使わない文化財級の和風建築を、いくら一目惚れだからってもってくるか？
どこまで本当かわからないが、「畦道で立ち●●してたら目についた」らしい。
秋田出身の大将は、若い時の横着が忍ばれる闊達なタイプ。
いろいろ数奇な人生をたどってきたことも承知しているが、だからこそ感じる魅力もある。
本当は心優しいお人好しなのに、突っ慳貪に話す。
30になったばかりの身で、この食材は…とかゴチャゴチャ言っていたら、つけられた渾名が「生意気」。
以後、予約の時も、「生意気ですけど…」で通じるようになってしまった。
ひさびさに訪問すると、変わらぬ豪放さで迎えてくれた。
ご無沙汰を感じさせない接客は嬉しい。
調理場にあるカウンター席しか利用したことはないが、奥の座敷も雰囲気があっていい。
気が向くと二階を見せてもらうが…なんともいえない雰囲気が立ちこめる。
海鮮は契約している漁師の獲物、山菜は「死ぬまで秘密」らしい場所で自ら収穫。
京都で和食を学んだくせに、やたら料理は豪快。
ドーン、バーン、ガーンってな感じなんだけど、おっ？と思わされることはしばしば。
この日は、「錦市場で見つけて、どうしも欲しくて買ってきた」という尾の身を、子供が気に入ったオモチャを見せるかのように出してくる。
なるほど…最近遭遇しない品質の尾の身だ。
ルビーに例える人もいるが、納得の美しさ。
刺身もいいし、季節になると登場する蛍烏賊の陶板焼きは逸品だ。
秋田出身だけあって、若干塩味が突っ込んでいる場合もあるし、〆の稲庭うどんには何故か高知・四万十川の青のりがかけられてきたりするけど、個人的には心が大きく伸びをするような空間。
もう満腹です、ごめんなさいっていうまで続々登場してくる料理は、しかし一興の価値はある。
最近は年に数回しか金沢に出向かなくなってしまって、あっという間にご無沙汰になってしまうけれど、立ち寄れば必ず顔をだすようにしている。
相変わらずの笑顔と大きな声で、今日も楽しんでいるだろうか。
そろそろ顔を見にいかなくては。