レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!
1位
1回
2017/09訪問 2017/09/04
本日の日吉地区での二軒目はマイレビュアさん達が軒並み高評価のこちらへ。午前11時を少し過ぎた頃に着いたら11時30分開店とのことなので先に武蔵家さんに行ったのだが、今日は食べログ情報を良く見なかった自分のミスだった。
券売機でラーメン(620)と海苔(7枚100)を購入し硬めで注文。券売機のすぐ側には染谷製麺の空の木箱が積まれたており、店内には強くはないけれどかなりハッキリしたトンコツ臭が感じられた。店名にちなんでBGMにはボブ・マーレイのレゲエがゆったりと流れていた。カウンターにはおろしショウガとライス用のキュウリの漬物が置かれているのが目に付く。麺の茹ではテボで待ちは5分程度。
強烈ではないけれど、臭いを伴う濃厚なトンコツに味覚と嗅覚が否応なく支配される。鶏油は多めに投入されているが出汁のトンコツが余りに強いので、その存在がかなり弱まり風味は希薄にすら感じられてしまうが、スープ全体の旨みを増すのに確実に貢献してくる。微かな甘みも感じられる濃口醤油がこれまた濃厚で、しょっぱいとは感じないまでも出汁と存在を競いあうように強固に主張してくる。スープ全体には粘度もかなり感じられるし、これは凄い。このスープに類似するものを自分は今のところ知らない。なお、量は麺に対して多すぎず少なすぎずの適量。
微かなウェーブを感じる染谷の平打ち中太麺は、この強靭なスープとの相性がとても良く最初の2口位までは若干ゴワゴワしていたけれど直ぐに食べごろに変化してきた。このスープと麺だけで完全に「参った」するしかない気分になってしまった。染谷製麺の持ち味である喉越しの良さは、スープ粘度が高く強靭なゆえ余り活かされてはいないように感じたけれど「ありがた家」とその系列店のようなバランスに優れたスープだけでなく濃厚なスープにも決して負けない事が充分に理解できた。
クラシックスタイルの肩ロースと思われるチャーシューはかなり歯応えを残していて味付けは濃いがしょっぱいと感じさせるやや手前。ほうれん草は適量ながら、出汁・油・醤油だれがいずれも強力過ぎるのも手伝ってか味は殆ど感じられず食感を楽しむことしか出来なかった。同じくネギも後載せにも関わらずスープの強さに負けてしまい印象にはほとんど残らなかった。
スープを一口飲んだ時の凄さに圧倒されて「もっと早く来れば良かった!」と思ったけれど、過去のレビューと読み比べてみると、どうやら2017年になってから海苔が変わったように読み取れた。この黒々とした海苔は厚み・風味・味ともに優れていて、濃いスープにもしっかりした麺にも決して負けない良いもので7枚100円には十分に価値があると思う。スープの強靭さとこの海苔の強さによるライス欲求度は極めて高く、この日の二杯目でなかったら確実にライスを付けたかった。おろしショウガの欲求度も非常に高かったので、序盤から投入したが相性は抜群!だった。
食後は久しぶりに口の周囲がトンコツ臭かった。横浜市内の未訪店にまだこのような自分にとって斬新で凄い店が残っていたとは・・・横浜市内巡り、まだまだ希望があるのかな。
2位
1回
2017/05訪問 2017/05/15
自宅から桜木町駅まで歩き戸塚駅行きのバスに乗る。1時間程度掛かるが片道216円で済むのは助かる。上手い具合に開店直後に到着した。券売機はお奨めメニューが優先配置されているので、普通のラーメン(680)のボタンを探すのに若干手間取ってしまった。海苔(5枚50)を追加して硬めで注文。麺箱には長多屋製麺の文字。カウンターに目を向けると「シヨウガが必要なら申し出を」の告知が目に入り「標準装備じゃないのか」と少し残念な気持ちになる。店内はカウンターに加えてテーブル席も多いから家族連れやお年寄りも使い易いだろう。噂の黒ウーロン茶を注いで席に着くが、麺の茹で待ち時間のみでラーメンが出来上がった。
撮影した写真では判りにくいが、実際にはもう少し醤油の色が強い印象だ。出汁の濃さや強い粘度は、数少ない私の経験ではあるけれど吉村家直系店や「どんとこい家」「神田わいず」「オノミチ」などに匹敵するのではなかろうか。僅かな甘みを感じさせる醤油は強めながらもしょっぱいと感じる直前で留まっていて、鶏油は多めで主張が強い。半身の味玉が付いている点から壱八家を連想させられるが、このスープは私が知っている壱八家系のお店のスープを極限まで凶暴化したかのような図太い味となっている。ただ、とても残念なことに角度のきつい逆三角形のドンブリに納められたこのスープ、かなり量が少なくて普通のペースで食べ進めると麺と同時になくなってしまうのだ。麺を半分以上食べ終えたときにショウガを頼もうと思っていたのだが、その時には既にスープも半分以下しか残っておらず渋々断念することになってしまった。
麵は硬めオーダーでかなり歯応えのある仕上がりだがゴワゴワ感やワシワシ感は感じられない絶妙の仕上がり具合。ちょっと乱暴な言い方になるが、とにかくスープが凶暴なので麺との絡みがどうのとか、相性がどうのという次元ではなくて、このスープに合わせるには酒井の直系麺や王道家の麵のような力強い麵だともっと良いのでは、としか言いようがない。
チャーシューは厚み・面積共にほどほどでモモ肉(だろうか?)を柔らかくなるまで煮込んだもので、私の一杯に入っていたのはほぼ赤身のみの部位だったが味付けに独特のクセを感じる。これは今までに経験したことがないものでちょっと苦手かも。ほうれん草は青々としており、かなり新鮮なのが判るが量はやや少な目。海苔はかなりしっかりしていて大きさ・厚み・風味・味ともにかなり良い(「つた金」のようですね)。この海苔は濃いスープとの相性が抜群に良い。ネギは微量で印象なし。味玉は店によってはオマケ程度の扱いのところもあるけれど、絶妙の半熟で味付けも良いし大きさもMSサイズ位だからかなり気合いが入っているのが伝わってきた。
とにかくスープが凄い。海苔は立派なものだし、玉子には気合いが入っているし、ほうれん草は新鮮。チャーシューが好みに合わなかったのと、スープが少ないのは残念だった。先行レビュアさん達が訪問した時から30円程度値上げしているようだが、それでも680円なら唸らされるには十分だった。もし次に訪れることがあったら頼み込んでスープを多くしてもらい、ほうれん草増しにしたい。
3位
1回
2017/05訪問 2017/05/23
マイレビュアさん達の評価はまちまちで、必ずしも高評価でもないので大して期待していなかったのだけど研究や改善を重ねたのか、かなりズッシリ・シッカリした一杯だった。
ラーメン(700)+海苔増し(7枚100)を硬めで注文。待ち時間は7分程度。
スープは結構粘度が強くトンコツ、醤油、鶏油が高レベルでせめぎあっている。上手い表現ができないけれど、醤油前面型でもなければ有りがちなバランス型でもなく、それぞれが8割程度の力で拮抗していると言えば良いだろうか、中盤に擦り胡麻、終盤でおろし生姜を投入したが、これらにも全く負けない力強いスープだった。塩分も強すぎず美味しくいただけたしドンブリの事前暖めもされており最後までスープを楽しむ事ができた。
麵は丸山製麺の中太で硬めがちょうどいい具合。最初は微かなポキポキ感があったものの直ぐに良い具合に変化した。スープが力強いので、もう少し歯ごたえや弾力のある強固な麵だとさらに魅力が増すように感じた。
塩分が強すぎない絶妙な味付けが美味しいとろけるバラチャーシューは食感が弱い代わりに大判のため存分に味わうことができるし、多めのほうれん草は味・食感共にらしさを発揮していた。ネギは微量で影響はなし。海苔はシッカリしたものながらパリパリ感はなかったので風味はやや弱かったが味は悪くなかった。このレベルなら一杯700円も海苔7枚100円も十分に納得できると思う。
最近の新店は度を超えた派手な装飾で、正直センスを疑いたくなるようなキャッチコピーも多いなか、幹線道路沿いとは言えかなり地味な店構えだし、直近にあるコインパーキングは狭く止めにくいだろうから車での訪問は苦労しそうなので公共交通機関を使われる事をお奨めします。
開店半年を経てどうやらかなり良い方向に向かっている模様で、もしもう少し良い立地なら行列店にも成り得るポテンシャルは十分に有りそう!
最後に、水は氷が大量に入ったピッチャーで提供されるので、良く冷えたものが飲める。最近は水と氷が同時に注がれる給水機やウォーターサーバーを置いている店もあるけれど、例え水道水であったとしても私はこの氷入りピッチャーの水が一番嬉しい。特にこれからの季節には。
4位
1回
2017/08訪問 2017/08/12
↑標題を70年代ロック日本盤LPの帯のたたき文句(キャッチコピー)風にしてみました(果たして何人の方に通じるか?)。
「あ、昔ながらの家系ラーメンを食らっているな、と実感できる一杯」に出会った。但し、そこは現代、しかもお上品さが売りの東急電鉄と東急不動産がチカラを注いだ街であるから、昔ながらの臭~いトンコツ臭は一切せずスープの旨みと深みのみを残すように現代流にアレンジされてはいる。だが、それでもかつて家系の第一次お家騒動を引き起こした頃の味を確実に引き継いでいるのは間違いない。
臭みは抑えられてはいるものの粘度がありコクを感じる出汁の旨みは高次元だし、しょっぱいとは感じさせないが濃い目でしっかりした醤油ダレとのバランスも絶妙で多めに注がれた鶏油はしっかりと主張している。
麺は酒井の細めの角麺で、硬めオーダーしたものの少々硬すぎてスープとの絡みがやや物足りなかったのが残念。また、酒井独特の弾力もそのため希薄だった。ちなみに茹ではテボを使っておられた。
チャーシューは薄めながら面積のあるロースでかなり柔らかくなるまで調理されており、これもこのお上品な土地柄に配慮した結果だろうか。味はクラシカルスタイルのそれで、美味しくいただいた。ほうれん草は少な目だが食感は悪くなく味もしっかりしている。後載せのネギは少量だが、そこそこ主張があり薬味としての役割は十分。海苔はしっかりしたもので風味・味共に良い品を使っている。
麺は酒井だし、味変ポッドにはおろしショウガが置かれているし、ライス用の漬け物は緑色ではない本物のキュウリのキュウちゃんが置かれているしで、入店時で充分に期待できる店である事を理解したが、そのこだわりと味はホンモノであった。
海苔ラーメン(680+5枚増し100)、この価格でモダンながらもクラシカルな家系が味わえる。家系好きのレビュア間で早くも話題になるのも頷けた。加えて新店らしい明るさと綺麗さが相俟って、東急マダムやプチマダムをも取り込めるかどうかが今後の課題というところだろうか。
5位
1回
2017/10訪問 2017/10/27
先日の北新横浜の「麺唐」さんにも驚いたが、今日訪問したこちらのお店にもびっくりした。お店の外には風に乗って微かにトンコツ臭が流れてくるのだけれど、出汁に溢れる深い旨みが秀逸で、理屈抜きで「旨い」と唸った。出汁の正体は判らないがトンコツだけではなく野菜や昆布、もしかするとクセが少ないアゴのような魚介も使われているかも知れない。丁寧に煮出したのが良く判る出汁と、濃いけれども決してしょっぱ過ぎない醤油が相俟って、ひたすらに優しく繊細かつ上品なスープだった。なお、油は適量で風味はおとなしめ、スープ量はやや少なかったが温度は熱々だった。
口頭注文の後払い方式でラーメン(650)と海苔増し(7枚100)を硬めでお願いした。厨房に麺箱が置かれているが製麺所の記載はなく、どうやら自家製麺との事らしいが真実は未確認。麺は大寸胴で茹でられ平ザルで手際よく上げていた。卓上には豆板醤、おろしニンニクに加えておろしショウガのポッドも置かれている。待ち時間は4分程度だった。
麺は白さが目立つ四角形の中太縮れ麺で、この太さは一般的な家系店でもしばしばお目に掛かる。硬めでコシをほどほどに残す食感で小麦はそれなりに感じるが、旨みが強く醤油が濃いめのスープなので、麺がもう少し主張しても面白いのではないかと感じた。
チャーシューは良く煮込まれたホロリと崩れるロース肉で、面積は小さめだったが厚みはそこそこありスープとの相性が良く、ここでも丁寧な仕事がされていると感じた。青みが強く少しのエグミを残すほうれん草は、新鮮で美味いのだが量は少なかった。海苔は大判で、厚みはほどほど、風味は強過ぎず弱すぎずでスープとのバランスも相性も良い品だった。
先行レビュアさん達によるとご店主は有名な家系ラーメン店からの独立とのことだし、提供されるラーメンの見ためはどう見ても家系なのだが、ご店主自らが家系ではないと否定されておられるとの事なので、ごり押しする気も家系だと言い張るつもりもないが「みうら家」「うえむらや」「たかさご家(旧本店)」などのライトな家系ラーメン店と比較しても出色の旨みを誇る「家系っぽいトンコツ醤油ラーメン」だったと思う。
いつもだったら、おろしショウガを入れてみるのだが、この繊細なスープに入れては台無しになってしまうと思ったので、一切の味変はせずに一気に完食した。
なお、「家系ではない」といいつつも味・油・茹での3つのお好みは聞いていただけると店内のメニューには告知されている。
6位
1回
2017/10訪問 2017/10/14
近年は家系ラーメンの定義と解釈が随分と拡大していて、世間では家系として認知されている店でも多くのバリエーションが見られるようになった。例えば、吉野町の「たかさご家」旧本店、伊勢佐木町の「みうら家」、生麦の「大黒家」、鴨居の「うえむらや」などは見た目は家系でもトンコツよりも鶏出汁が勝っていて味は中華そばに近い。世間でやたら増えている商店系と呼ばれる家系チェーンに代表されるラーメンに到っては不自然なまでにトンコツ感のみが強調され醤油感はほぼ皆無だ。
価格が高騰している影響もあってか海苔は1枚または2枚しか入っていない店もあれば、コストダウンのために海苔を随分と小さく切って枚数を稼ぐ店まである。有名店「まこと家」ではほうれん草は別注文となっているし、本牧や金沢区に4店ある「ラーメン大将」グループは九州ラーメン並みの細麺だし「とんぱた亭」三枚町店でもかなりの細麺を採用している。回転率を上げるためか平打ち細縮れ麺の店だって経験した事がある。今や家系を標榜している店ですら何でも有りの状況なのだ。
このお店への先行レビューでは家系であるか否かが重要なように述べられているが、家系の定義自体が最早あやふやになっているから、食べた人が「これは家系」と思うならそれで良いと思うし「ライトな家系」との記述は通じる人にとっては極めてイメージし易い表現だと思う。よもや屋号に「家」の字がないから家系ではない、などと思う人は今時いないだろうし。
のっけから、いつも以上に理屈っぽいだ文章を長々と書いてしまったが、このお店はマイレビュアさんから宿題として預かっていたから訪問の優先度を上げていた。こんな場所にラーメン店があるのだろうかと思えるような立地で、戸建住宅とマンション、企業の営業所らしき拠点が並ぶような場所ながら、店の裏には6台分の駐車場が確保されているのでクルマで来店するお客さんにも便利だ。訪問は平日の開店直前だったが、何と自分を含めて開店前に4名も並んだし開店直後にはさらに3名が立て続けに来店し、カウンター席は12時を待たずにほぼ満席になったのには驚いた。
口頭注文の後払い方式で、海苔ラーメン(800)を硬めで注文。過去のレビュー写真では海苔の初期値は2枚のように見えたが、実際は3枚で増しは4枚100円となっている。卓上に並ぶ味変用のアイテムは一般的な家系店と同じだがショウガ類はない。
厨房では大寸胴で出汁を炊いているが、店内にトンコツ臭は感じられない。麺は木箱に納められており製麺所の記載はないようだ。茹では大き目のテボで、待ちはやや長めの6分。
スープは先ずは強めの醤油がしっかりと感じられるが、しょっぱいとは感じさせないギリギリの濃さとなっている。支える出汁は鶏が90%以上に感じられ、トンコツは僅かに最後に後味として残る程度。なるほど「これは家系じゃない」と仰りたい方の気持ちは判る。油は少なめで風味は強くないので、これもかなり中華そばに寄ってはいるが出汁もカエシもしっかりして旨みとコクに溢れたスープだ。最初から最後まで熱々を持続したのにも好印象を持った。しっかり口中は火傷したけれど。
麺は細角縮れ麺で、硬めでコシを感じさせ喉越しを楽しむタイプ。中華そばに寄るならもう少し味の主張の強い方が合いそうだし、家系に寄るならもう少し食感を重視した方が良いように感じた。
バラロールのチャーシューは薄目のものが2枚、味も食感も良くて大変丁寧な仕事を感じさせる。この点は輪切りの薄切りネギも同様で辛味が良い塩梅に飛んでおり薬味として絶妙の働きをしていたし、量は多くないが醤油味のメンマは食感が良いだけでなく、醤油感が強めのスープとの相性が抜群に良かった。ほうれん草は適量で食感も味も良かったし、増しの4枚100円のコスパはつらいところではあるけれども、海苔は黒々としていて厚み・食感・風味・味の総てに優れていた。
確かにスープのトンコツ感はかなり希薄だし麺は細麺ではあるけれど、味・油・麺のお好みを聞いてもらえたり、豚骨と鶏の合わせ出汁を使っているなど家系と呼べなくもない点もある。真っ白い殆ど九州ラーメンのような見ためのスープで太麺を食べるのが家系として通用するなら、その真逆の殆ど中華そばのような家系があっても面白いではないか。
このお店のご主人がどういう経緯でこの味にたどり着いたのかは判らないけれど、家系ベースの中華そば、もしくは中華そばから家系へのアプローチと受け取れば、自分にとっては腑に落ちる味だった。中華そばなのか家系なのかは置いておいて、何よりもご店主のこだわりと丁寧な仕事ぶりが窺える美味しい一杯だった。
7位
1回
2017/08訪問 2017/08/22
まだまだ未訪の店がたくさん残っている横浜線沿線の先ずは鴨居駅から徒歩圏のお店に行ってきた。体調の問題ならぬ体重の問題で今日は一軒のみ。どっちみちこのエリアにはあと4-5回は来なくてはならないと思っているので、今日行けなかった近隣の店にはまた別の機会に。
ラーメン(650)+海苔(4枚50)+ほうれん草(50)を券売機で購入し、いつも通りに硬めで注文。最近は50円のほうれん草を見るとついつい購入したくなってしまう。麺箱には丸山製麺の文字が見える。出汁は大寸胴でしっかり摂っており、厨房内のオペレーションは男性1名と女性2名。麺の上げは軽快な手さばきの平ザルによるもので、期待感が否応なしに高まる。待ちは4分ほどだった。
かなり多めの鶏油、圧倒的な存在感のほうれん草、しっかりした海苔、大判のチャーシューと見どころが満載のルックスに先ず目が釘付けになった。いつも通りにスープから頂く。存在感のある鶏油がしっかりと香り、中粘度のスープからはしっかりとしたトンコツ感としょっぱいと感じる直前の醤油を感じる。タイプとしてはバランス型と呼べると思うが、スープを構成する要素のひとつひとつが高レベルでありながらも、何かが出しゃばっていると感じる手前の寸止め状態で留まっているような印象を受ける。美味い。後載せのネギを同時に掬うが、とても良いアクセントになってくれた。
丸山製麺の麺は気持ち細めの平打ち黄色で軽いウェーブのあるもの。スープがしっかりしているから麺の味は余り感じられず、食感は硬めでしっかりとコシを感じる茹で加減。スープとの相性はとても良いと思う。
ほうれん草が大量なので最初から大胆に食べ進めることにしたが、絞り方が良くて全く水っぽさを感じなかった。味は力強く歯ごたえもあり増しの50円は存分に価値があると思う。
クラシックスタイルで大判のチャーシューは厚さも十分で、歯応えがかなり強いながらも旨みが沁み込んでおり、これならチャーシュー増しをしても良いと感じた。増しの海苔はかつては5枚だったとの事らしいが、時勢を反映してか今は4枚で風味・味共に満足できた。無論スープに負ける事はなかった。
千家のご出身との事だが、今まで食したこの系列店では最も濃く最もバランスに優れ、正直最も美味いと感じた。
家系ラーメン好きのマイレビュアの皆様がいずれも3.5点前後という高得点を付けているものの、どなたもが4点は超えていない。高レベルの美味しさなのだけれど、突出して目立つ特長や個性が感じられないからかも知れない。自分も、特にスープの構成要素の総てが寸止め状態なのには「あーっ!あとちょっとぉ!」と言いたくて堪らなかった。
8位
1回
2017/08訪問 2017/08/21
お盆休みの明け週の月曜日、悪名高き国道16号線の一車線区間で乗車しているバスが大渋滞にハマり、予定を大幅に遅れること11時40分に到着。
客席は7割の入り。券売機でラーメン(650)と海苔(5枚50)を購入し麺硬めでお願いする。購入はしなかったが増しのほうれん草は200円とかなりの高額で、この夏の野菜の高騰ぶりからやむを得ないのかも知れないと納得。もっとも価格表を臨時に書き換えた跡はなかったので、これは定常的な設定なのかも。
卓上にはおろし生姜を発見!麺は自分がかなり好きな染谷製麺。麺の茹で上げに平ザルを使うので3玉入りの袋を開け丁寧にほぐしている。こういうオペレーションを見ると安心する。もちろんスープは自店内で摂っている。
混んでいた割には待ちは短く6分程度。厨房内のおそらくご店主と思われる男性の軽快な動きと女性従業員への的確な指示は見ていて安心できた。
先行レビューを読むとスープの評価にだいぶバラつきがあるが、それはスープのブレではなく食べた人の受け取り方による差と思われた。なぜならトンコツよりも鶏が目立つバランス出汁・粘度の低さ・重くない鶏油は家系ラーメンを期待する人には物足りないだろうが、クラシックな醤油ラーメンが好きな人なら十分に受け入れられるだろうから。自分は後者なので、ご覧の通りの高得点を付けた次第。上品さすら感じられる、しつこ過ぎない醤油ダレとのバランスも大変美味しかった。
平打ちの軽い縮れ麺は染谷らしくツルツル感が強く、このスープだと麺そのものの味もいい具合に主張してくる。食感はほどほどの弾力で自分的にはどストライク。もう少しここの麺を使う店が増えても良いような気がするのだが。
チャーシューはクラシックスタイルで味付けは丁度良い調味加減で、結構な噛み応えを残した歯に挟まる直前の食感。ほうれん草は適量で味も食感も力強かった。海苔は厚み・味・風味ともにしっかりしている良品で5枚50円の価値は十分にあった。少量だが後載せのネギはスープとの相性が良く薬味としての役割りは存分に果たしていた。
フォーマットは確かに家系ラーメンながら、最初に書いたように家系という枠内でとらえようとすると物足りなさが残らないではない。だが、そもそもお店の看板やメニューには家系とも横浜ラーメンとも謳っておらず、一杯のラーメンとしては非常に満足した。700円でこの出来と内容ならコスパも決して悪くはないと思った。
9位
1回
2017/10訪問 2017/10/10
杉田時代の吉村家も六角家も近藤家も昔はとにかく店中がトンコツ臭かったし、提供されるラーメンの器は鶏油でギトギト、ベトベトだった。そういう品を未だに提供してくれるお店は数えられるほどしか残っていないけれど、その分今はバラエティーに富んでいるから面白くもある。
このお店はだいぶ前からウォッチリストには入れていたがようやく行くことができた。我が家の相棒殿が「天気も良いから少しだけ離れた普段は縁のないエリアに買い物に行きたい。」と言うのでトレッサ横浜なる商業施設を提案し誘導する作戦が見事に奏功した。
店に入ると昔ながらの家系ラーメン店のトンコツ臭が漂っていて、嫌いな人には悪臭でしかないそれはこの店ではやや軽め。それでも近年の家系店でこの臭いが出ている店はかなり少ないから期待が高まる。券売機でラーメン(650)と海苔(7枚100)を購入し硬め注文はいつも通り。
細身で短髪のご主人とおぼしき調理ご担当は昔ながらの由緒正しい職人姿!麺箱は酒井製麺だし麺は平ザルで揚げるし、卓上におろしショウガは装備されているしで期待感は否応なしに高揚する。麺を鍋に投入する前の丁寧なほぐしは今では殆ど見ることができなくなった儀式のようにすら感じた。先客もおられたので待ちは6分程度。
供されたラーメンを手元に置いた瞬間に「これは美味い」と直感する。店内の臭い同様に若干軽めながらも昔ながらの家系ラーメンを髣髴とさせるトンコツ臭を伴った深みのある出汁と絶妙に香る鶏油、尖ってはいないもののしっかりした醤油ダレに舌が刺激される。美味い。ここ数軒でぬるめのスープに当たってしまう事が続いたけれど、この店は熱々でスープだけで既に3.5点以上は確定という状態。おろしショウガを入れたいのでスープの残量に気を遣いつつ食べ進めることにした。
酒井の麺は安定の美味さではあるのだが、好みの硬さからはやや普通よりに提供された。とは言えコシと弾力はしっかり感じられるし、やや短めなので噛み切らずに口中に適量を収め食感を存分に楽しめる。相棒は食べ終わった後に「硬めって言ったのに全然硬くなかった、ダメじゃん。」などと言っていたが、そこまで柔らかくはなかったんだが・・・
チャーシューは筋っぽさとジューシーさのバランスが絶妙で、歯に挟まりつつも肉の旨みと味付けが沁み出てきた。惜しむらくは小さかった事。この一杯で最も残念だったのがほうれん草で、明らかに茹ですぎ且つ細かく切り過ぎなので殆ど味も食感も感じられなかった。確かに初期の家系ラーメンでは、こういうくたびれ気味のほうれん草は定番ではあったが、あくまで個人的な好みとしてはこれは悪しき伝統のように思う。ネギは先入れ微量で存在感なし。こちらは、このお店の出自らしさというところか?増して10枚の海苔はやや緑色がかった品で、少々薄いながらも溶けたり穴が開くことはなかったが同時に風味・味共に強くなく、ぎりぎり許容できる範囲だった。
自分にとってはお約束のおろしショウガを1/3位進んだ段階で投入し、爽やかさが加味されたことを確認しつつ一気に食べ終えた。食後に自分の口の周りから漂ってくるトンコツ臭も軽めだった。
最近、家系ラーメンに妙に目覚めた相棒殿に言わせると「やっぱり油は多めにしとけば良かったな、ほうれん草は柔らか過ぎでダメだねー、海苔も薄かったしぃ~」てな事を言っていた。
横浜市内の家系ラーメン店巡りもだんだん残りが減ってきた。もしかすると、ここが最後のクラシックスタイルになるかも知れない。
10位
1回
2017/08訪問 2017/08/30
細麺でもスープが美味けりゃ、いいじゃないか♪いいじゃないか♪ヨイヨイヨイヨイ♪
朝6:30から営業をしていて、地元の駅前からバスに乗ると「本牧宮原」という、お店の最寄りのバス停まで乗り換えなしなので行ってみた。店内はテーブル席とカウンターを合わせるとかなりのキャパで、早朝は港湾で仕事をされている方々や運転手さん等で賑わうのだろう。自分が店に着いたのは9時半だったので恐らく朝のピークは過ぎていたと思われ5-6名の入りだった。なお、券売機は道路側ではなく店の反対側のドアから出た廊下に設置されているので特に混雑時には要注意。
ラーメン(600)と海苔増し(5枚100)を購入。事前情報で細麺だからバリカタも出来ると知っていたが、いつもの習慣で「硬め」と言ってしまった。常連客と思われる方は「ネギ増し」という注文もしていた。
厨房内の麺箱は大橋製麺、卓上にショウガ類はなし。ベテランと思しき初老の従業員さんが大寸胴でシッカリと出汁を炊いている。かの国のご出身と思われる若い従業員さんが茹でを担当し、上げは平ザルを使っていた。細麺なので待ちは非常に短く3分程度。確かに九州ラーメン並の細さだ。
スープが美味い!しっかりしたトンコツ感と鶏感に加えて多めの鶏油が旨みを増し、濃すぎない絶妙の醤油加減は尖がったものはないけれど抜群のバランスを感じる。塩分はやや強めだが、旨みが強いので決してしょっぱいとは感じさせない。ライスは付けなかったけれど、このスープはライス欲求度が高いし、おろしショウガも欲しくなる。先行レビューには「あっさり」と書かれているものが多いけれど、むしろ「しっかり」と感じたので上ブレだったのかな?
麺は細いので、硬めオーダーでコシが強く喉越しを楽しむタイプ。ドンブリが小ぶりなので一見、麺量が少ないかと思ったら逆に細麺なので密度が濃くしっかりした量が入っていた。普段、家系好きのマイレビュアさん達には「自分は麺にはそれほどは強いこだわりは持っていないよ。」と言っているが、さすがにここまで細くて、かつスープがしっかりしていると、やはりもう少しは太い方が良いように思うが、早朝の繁忙期における回転率向上の為には細麺の選択はやむを得ないのかも知れない。なお、茹で加減はバリカタ以上ではスープから浮いてしまいそうな気がするので硬め以下が合いそうだ。
具では多めのほうれん草が目立ち、味は強くはなかったがディフォルトにしてはしっかりした量で600円という価格以上の価値を感じた。チャーシューはクラシックスタイルで、ほどほどに歯応えが残っている。味は肉臭さがちょうど消えていて、塩分は強すぎず肉らしさを絶妙に残していてとても美味しい。小さいのは価格を考慮すれば止む無しか。
海苔は増して7枚で、恐らく初期値は2枚なのだろう。立てるのではなく被せるのでもなく、先がスープに浸る置き方なので、そのまま放置すると全体がスープに濡れてしまうから、最初に扱い方を決めるのが良さそう。私は、放置したまま食べ進んだ結果、見事に最後の3枚くらいはスープに浸ってしまったが決して溶けたり破れることはなく風味も味も保っていた。ネギは少量で余り存在感はなかったので、もし常連さんが注文しておられたようにネギ増しが無料でできるならお願いすればよかった。
家系好きのマイレビュアさん達が出かけていないのでナメていたけれど、このスープは正直相当に美味い。しかも600円。横浜市南西部に展開している他店舗にも優先度を上げて行ってみようと思った。
2016年の4月から身体上の理由で食べログをほぼ一年間休んでいましたが、2017年4月から一年分を取り戻そうと地元横浜市を中心に家系ラーメンを食べまくりました。選んだのは2017年に初訪問し印象に残ったお店です。東京都や千葉県などにも美味しいお店はありましたが、敢えて地元横浜市内の店だけに絞りました。I♡YOKOHAMA精神は持ち続けたいです。