日常に変化があるわけじゃない
後ろ向きではないけれど
たしかに時代に迎合しない
君がのぞいた
古いカメラのファインダーには
時代に置き去られたものたちが蠢いていて
その粘着質の澱のような腐敗物質を君は
文句も言わずにこそげとっている
そりゃ
淡々としていないと
やっていけないサ
二・二六事件 当日の切符は
今井さんの昔の焦げついた話をまざまざと蘇らせる
お茶飲み話程度の?
いやいや、違うよね?
煙草を燻らせて
歩道橋を渡る一筋の虹
メロウな時間が
床板をきしらせて
記憶を手繰り螺子(ねじ)を巻く
傘は廻るか唐傘の
背中にゃデカい牡丹獅子
柔な男じゃ喰われっちまう
風を渡る 一筋 の 虹
やっぱり
いい男を失ってしまった
全部を言わない男の苦い苦い
胸の内を
あー わかっていたんだよな