コッキンポンコさんが投稿した味の六白(鹿児島/天文館通)の口コミ詳細

レビュアーのカバー画像

長文レビューで嫌がらせ(爆)

メッセージを送る

コッキンポンコ (50代前半・男性・東京都) 認証済

この口コミは、コッキンポンコさんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。

最新の情報とは異なる可能性がありますので、お店の方にご確認ください。 詳しくはこちら

利用規約に違反している口コミは、右のリンクから報告することができます。 問題のある口コミを報告する

味の六白天文館通、いづろ通、朝日通/とんかつ、かつ丼

2

  • 昼の点数:4.2

    • ¥2,000~¥2,999 / 1人
      • 料理・味 4.2
      • |サービス 3.8
      • |雰囲気 3.4
      • |CP 4.2
      • |酒・ドリンク -
2回目

  • 昼の点数:4.2

    • [ 料理・味4.2
    • | サービス3.8
    • | 雰囲気3.4
    • | CP4.2
    • | 酒・ドリンク-
    ¥2,000~¥2,999
    / 1人

モモちゃん考

鹿児島の取引先にモモちゃんという女の子がいる。
出会った時からコロナ禍でマスクをしているので顔はわからない。

世間一般ではもうマスクをとっても良いということになっているが、
彼女はいまだに律儀にマスクをしている。
マスクの上から覗く切れ長の大きな目が特徴で年齢は不詳。
背は170近い。「モモ」という名前とは違い、全体的に黒い服が多く、長い黒髪を揺らせながら話をする。
前髪は潔くパツンと切っていて、常に自らの視界を良好に保っている感じがする。

なんでこんな話になったのかというと、
モモちゃんも詩や短歌が好きでよく読んでいて、最近のトレンドや新人を熟知している。
あるときにそんな共通の話題があることがわかり、
久しぶりに詩が好きな人と話ができて僕も楽しくてついつい時間を忘れてしまったのである。

実のところ僕は結婚する前によく詩を読んでいた。
実家には若いころに買いに買った詩集が何十箱もある。

昨年はモモちゃんとの長話が原因で帰りの飛行機に乗り遅れてしまい、
鹿児島空港の係員の女の子にこっぴどく怒られてしまったのだ。
20歳くらいの女の子が「大人として時間に遅れるってどういうことかわかってます?」とか
随分と年上の男に対して、クソミソに説教をするっていう(笑)
まあ、個人的にも可愛い女の子から叱られるという、ある意味プレイ的な感じが悪い気はしなかったけど。
後日、モモちゃんにそのことを話したら、大爆笑してたっけ。

「ポンコさん、それヤバいよ。全然反省してないじゃん!」

僕の印象ではモモちゃんはよく笑う。
でも、普段社内ではあんまり笑わないらしい。
なのでモモちゃんの上司から僕たちがいつも何の話をしているのか訊かれたので「詩の話です」というと、
「詩って、あのポエムの詩?」と驚かれて、その後に必ず怪訝そうな顔をされる。
詩の話で盛り上がってはいかんのかい!と思うが、本当のことなんだから仕方がないじゃないかと思う。
モモちゃんの職場でいつかポエットリーディングでもしてやろうかと思うけど(笑)

モモちゃんにその話をすると「あー、あたし職場で話が合う人いないんだよね」という。
だから、長話をしている僕らを見て、不思議に思ったんじゃないかなー、と。
「ポンコさん、気になる?」
「何が?」
「うちの上からそういう視線にさらされていること」
「僕らってそんな注目の的なの?」
「そうなんじゃないかしら、だって普段わたしって職場ではそれほどお喋りじゃないから」
「僕とだとしゃべるから?」
「うん、そう」
「うーん別に僕は気にならないけど、モモちゃんが社内でやりにくくなったりするのであれば考える」
「わたしは大丈夫、そういうの全然気にしてない。そもそも会社に魂を置いてないから」

そういえば僕はモモちゃんのことを全く知らない。

どういう経緯で鹿児島で生まれて(生まれたのか?)、
こんな詩を嗜むような文学少女(年齢さえも知らないし)になったのか。
マスクを外したモモちゃんを知らないのでどんな顔なのかも知らない。
マスクをしている顔の下半分が予測がつかない。
とにかく切れ長でパッチリした目が雄弁で、鼻筋が通っているが、
そこから広がる鼻先からどのような顔を形成しているか、
唇はどのような形をして、そこからどんな歯が並んでいるんだろう、
顎のところに黒子があったりするのだろうか…
それがまったく想像がつかない。

僕たちは営業所かお店での立ち話がメインで座って話したことなんかない。
そういうときのモモちゃんの距離のとり方は基本、近めである。
お互いに触れるか触れないかを寸止めしながら、体を乗り出してくる感じ。
近いかなと思って少し後ろに下がってもモモちゃんのほうが寄ってくる。

モモちゃんは特に香水をつけるなどしていないようだったが、
白シャツに黒いエプロンの彼女から体温が伝わってくるようなくらいの近さで戦後詩の話をする。
谷川俊太郎、田村隆一、鮎川信夫、石原吉郎、吉原幸子、吉岡実など錚々たる詩文学のスターたちの話をするのだ。
そのスターの名前を言うともう細かい詩文などのマティリアルではなく、彼らの世界観のようなものを共有できる。
谷川俊太郎で言えば、サンリオの詩集、詩で生活できている人、ボクシング、吉増剛造、
とかのキーワードで話が途切れないとか。
もう共有することが愛おしいくらい、日常生活では稀有なことなので、そういうスイッチが一緒なのはうれしい。
だって、それはそれは砂漠の中で一本のマッチを見つけるくらい難しいことなのだから。

言葉が壊れたり、壊したり、
そういうことを形而上であれ、お互いにあり得ることだとすると
少しだけ世界の重さが軽くなる気がする。
詩を読む人と一緒に話をするということは、そういうことなんだと思う。
そんな甘えのような祈りのような立ち位置。

モモちゃんは石原吉郎が好きだと言っていた。
「夕焼けぐるみのうた」には、立ち返ってくる風景があるのだという。
おそらく幼いころの彼女になにかあったのかもしれない。
自らの異質、または異常性に孤独を感じたことがあったのかもしれない。
そこに他者からの暴力を感じることがあったのかもしれない。
人は小さいコミュニティの中での異質を見つけることに長けている。
詩なんか読んでいるヤツ。。。それは人の防衛本能に依拠する。仕方ないことなのだ。
当然、異質が多数派にすり替わることはない。

僕はモモちゃんに問いかける。
「天文館にとんかつば食べにいかん?」
「どうしたの急に」
モモちゃんは首をかしげて僕を見る。

僕はモモちゃんの顔が見たかったのだ。マスクを外して、とんかつを食べる彼女の顔をどうしても見たくなったのだ。
「ちょっと誘ってみたかったんだ。どうかな?」
「うーん」と少しだけ考えてから時計を見て、上司に言いに行ってから「行こう」と言った。

僕たちはタクシーで天文館に向かった。
タクシーの中で「私、じつはとんかつに目がないの」と告白めいた言い方をした。
「それじゃ、大きいとんかつを食べよう」黒いエプロンを脱いだ彼女は白いシャツとブラックジーンズになった。
エプロンを脱いだ背が高いモモちゃんは思った以上にすらっとしている。
肩までかかる長い髪を束ねるとくるっとまるめてジーンズのポケットから出した髪留めで止めた。
首の右横に小さな黒子があった。ちょっとした発見に心が躍る。

彼女はタクシーの中ではまだマスクはまだ取らない。

うなじが少しだけ汗ばんでふわっと薫り立つような感じがした。
ハンカチで宙を仰ぐ。「ちょっと、アツい」モモちゃんはちらっと僕を見て言った。
タクシーの運転手が「すいません!」とエアコンを最大限に効かせる。
「ありがとうございます」
「まだ、アツい」
「これ以上無理だよ」
「なんか涼しい言葉言って」
「うーん、風立ちぬ いざ生きめやも」
「ナイス、ヴァレリー」
「ちょっと重いかな?」
「ううん、生きるとかって普段は言えないから、それもいい」
「つゆくさで夜露を集めて天の川」
「要らない、普通に湯上りのビールのほうがいい」
「ごめん適当に作った…」
「あのー、天文館はどのあたりに?」
「停められるところでいいです、あ、そのあたりで。
    ごめんなさいワンメーターで、おつり要らないから領収書ください」
天文館に着いて、すぐの件の店、六白に入る。

「こんなところにあるなんて知らなかった。地元だとなんにも見てないのよねー」
「六白黒豚が有名なお店なんだよ、昼は凄いけど1時過ぎると少しは空いているね」

カウンターに2名で座る。
「ねえ、僕は一択なんだけど、六白黒豚のロース200グラム、君もそれにしない?」
「えー、でも高いよー」
「いいよ、僕が出すから」
「んーじゃあ、そうする」
「おっし! 六白黒豚のローズ200グラムをふたつ!」

水が来るとモモちゃんが当たり前のようにマスクを取る。
カウンターだから横顔を見る。

鼻筋がまっすぐのびて凹凸のはっきりした顔立ちに、メニューを見てニコニコすると頬にえくぼができる。
「初めて見るかも」
「え?」
「モモちゃんの顔」
「そうか、アタシいつもマスクだったもんね」

正直ここまで美人だとは思っていなかった。
笑わないでマスクをしていただけで何という早とちりか。

「アタシの顔、変?」
「ううん」
「汗が引かないから。ねえ、こんな大柄な女…」
「どうしたの?」
「連れて歩きたい?」
「なんだよ、自分を犬みたいに言わないでよ」
「ああ、そうか…笑」
「何か言われたの? 好きな人に?」
「うん、まあ昔ね」

まあ地方では未だにこういったことに関していろいろある。
本当のところはどうなのか分からない。

僕の母親は170センチ近くあったから昭和40年代頃の新潟では「壁」などと言われていたそうだ(笑)
その頃は男性が小さくて、「そういう時代」だったのだろうけど、男性側のやっかみは酷いものだ。
もしかすると未だに「女のくせに…」なんていう言葉が日常的に、暴力的に使われている可能性だって、ある。
かくいう僕だってそういう男性性を優先させるようなモノの見方に影響されることもあるかもしれない。
自分のことながら、こういうことはいつも疑ってかかるようにしているつもりだ。

「ねえモモちゃん、いっぱい食べていいんだよ。もしご飯だっておかわりしたくなったら僕の分としてもらうから」
「なによ、そんなに食べないって…笑」

まあ、女性だと一人で入りにくいというのもあるだろうな。
今でこそないと思うけれど、
以前は女一人で焼き肉屋に入れるor入れない?という問いを自ら問わねばならぬほどの
自意識を持たなければならなかった女性たち。

観光客ならまだしも地元の女性だと周囲の視線が気になるというのもあるだろう。
僕だって飲食店で妻がおかわりしたいというときは僕もおかわりをもらうことにしている。

でも、そんなことじゃいけないんだよね。

一人の女性が周りの視線を気にせずに自由に食事だったり、お酒だったり、カラオケだったり楽しめないと
本当の自由じゃないよね。

でも、このお店は絶対にそんなお店じゃないし、
こちらが想像をたくましくして自意識過剰になっているだけなんだけど、
女性って気にし始めるとそんなことにまで気になってしまうのかもしれない。

僕はモモちゃんを一生かけて守ることはできないけれど、こんな時くらい僕は犬にもなるさ。

六白黒豚のロース200グラムが湯気をたててやってくる。
「うわ、おっきい!」
「改めて見ると圧巻だね!」
モモちゃんは写メを撮っている。
「これはまるで大陸だね!」
「汝が屠りし肉の大陸!」
「なんかの下の句みたいよ」
モモちゃんは大きい目を細めて「おいひい♡」という。彼女は肉からイッたのだ。
僕は最初にキャベツで胃に防護幕を張る。
「なにそれ、食事の時には先に野菜っていう都市伝説を信じてるの?」と肉を噛み、飲み下しながら僕に訊く。
「そうだよ、信じているよ」
「まるで信仰ね」
「ああ、信じないと神はいないから。サンタクロースみたいなもんさ、ご利益はうすいかな」
「それが幸せの正体ね」

モモちゃん、凄い食欲。本当にとんかつ好きなんだな。大きいとんかつをむしゃむしゃと食べている。
美味しそうに食べる彼女の姿を見ているとなんだかホッとする。
「私も、信じていることがあるの」
「なんだい?」
「大きいことはいいことだ、大は小を兼ねるってこと」
「それこそ幻想じゃない?」
「いいえ、このとんかつがその信仰を顕現してくれたのよ」
「はは、なるほど」

薄く塗ったルージュがとんかつの脂に持っていかれる。
そんなことに頓着しないモモちゃん。
唇についたパン粉を箸をもった手の指先で拭うととんかつ定食を完食したのであった。

ポンコ。

  • 六白黒豚ロース定食200g

  • 艶やかにエロく揚がってます

  • ご飯もおかわりしちゃいます

  • 今日はこれ一択だった

  • 脱がせてみると、ホーホケキョ♪

2023/07/26 更新

1回目

  • 昼の点数:4.2

    • [ 料理・味4.2
    • | サービス3.8
    • | 雰囲気3.4
    • | CP4.2
    • | 酒・ドリンク-
    ¥1,000~¥1,999
    / 1人

サイボーグ女と食べるとんかつ定食

もう3年目になるのか。
コロナ禍のなかで九州の営業代行として入ってきた女がいた。

いつもの僕ならば、「女の子」と書くところだが、僕が書くその女の呼称は、「ボーグ」である。
この女にはなんというかそこはかとない「サイボーグ」臭が漂うのである。
人ではない。尋常ならざる何か。だからといって獣ではない。機械のようなテクスチュア。

おそらく40を越えた、属性は女性である。
たしか兄弟で結婚してないんはアタシだけですわぁ、とか言ってた。
そんなこと、知らんがな。僕はオマエのプラベートなんてまったく興味はない。

この女、ボーグとは、全くほのぼのとしないエピソードがある。

この女が入ったばかりのころ慣れないだろうとオンラインでのミーティングを毎週のようにやっていた。
前にいた女の子は営業が初めての子で毎日のように電話をかけてきたので
週一でオンラインミーティングすることが恒例になっていた。

だからそういうものだろうと思い、こちらも親切心で
前の女の子と同じように週一のオンラインミーティングの時間をとることにしたのだが、この女は違った。
30分もすると欠伸を噛み殺し始めたのだ。
「どんだけ欠伸を殺してんねん!」と突っ込みを入れようと思ったときにこう言い放った。

「もーそろそろ出ないと間に合わないんでー」

まるで機械がしゃべるように言葉を押し出した。まるで人として会話をしていないことに気が付いた。
なんだコイツ。。僕は思ったことが口から出ないようにした。
いったい僕はこの女に対して何をしていたのだろう。
わかりやすくかみ砕くために膨大な時間をかけた資料のデータが頭のなかで一気に崩れ去るのが見えた。

なら、お前の営業やってみな。

いつも黒づくめの服を着て、背が高く、僕の前では全く笑わない。だから僕も笑わない。
ショートボブで前髪がぱっつんとしていてマスクから覗く三白眼。まったく人間の顔をしていない。
まったく禍々しいのだが、女は僕に対して唯一人間らしい要求つまり、
初めての土地は心細いから鹿児島くらいはアンタが連れて行け、というものだたった。

サイボーグが何をいう!?
そのうち女が動くたびにウイーン、ウイーンと駆動音がするのではないかと思っている。
ホントに、こちらの心を弾ませないヤツだな。まあ、弾ませてほしいとも思わないが。

お望みとあらば、と鹿児島中央駅で待ち合わせ、少しの間、打ち合わせをした。
スタバでまるでエンジンオイルを飲むようにソイラテを飲み干したサイボーグは
鹿児島中央のアミュプラザの店々の品ぞろえをみてからおもむろに「天文館に行きましょうよ」と言い放った。

「お昼に行きたい場所があるんですよ」とサイボーグ。
「あーん?なんだとコラっ(怒)」と心の声が漏れないようにする。

彼女はうちの会社の人間ではなく、業務委託会社の人間なので優にハラスメントになってしまう。
同じ会社の人間にするとそうなってしまう暴言の数々(苦笑) まったく住みにくい世の中になった。
路面電車で天文館に向かう。その間もぎくしゃくした動きをしながら路面電車に揺られている。
謎が謎を呼ぶ。笑うことがないのか? それとも笑うことを禁じられているのだろうか? 確かにそういう信教もある。

天文館につくと一件くらい仕事に行くか?というと「いえ、その目当ての店並ぶんで」というまるでワンセンテンスの言葉をしゃべる感じでいう。
「わかったよ。んじゃ、そこに行こう」と天文館の通りに入る。
電停から2分ほどあるいてその店はあった。
階段を上ってくと男たちの集団がいたが、みんなでテーブルを囲みたいらしく2人組の我々が先に通される。

「とんかつですよ、とんかつ」とボーグが言う。
「かごんまといえば黒豚だよね」と言ってもそれには答えない。

とにかく僕とボークとは話が弾んだためしがない。
だが、このボーグ女、お客さんとはポンポンと会話をする。

だいたいがプライベートの話からスタートするのだが、
うまくお客のプライベートを訊きだして、自分の話を重ねるタイプの営業。
まあ、保険営業でよく見る「共感♡営業」スタイルだ。その点保険屋だけに後妻業に通じるかもしれない(笑)
正直、僕は他人の営業スタイルについては全く興味はないので、
それで受注金額が増えるならばそれに越したことはないと思う。
まあ、増えてこないからイライラもするんだが、仕事なんだからもっと潤滑油的なモノが必要なんだと思う。
40年近くこの世で生きているのならば必須の技術である。
そんな鎧みたいな顔しやがってさ。「アートオブライフ」とでも言っておけ。

「うーん…」とボーグ女は悩んでいる。
悩むなよ、オマエ機械の身体なんだから。

僕はもう決めた。「六白黒豚ロースランチ」だ。黒豚は脂身を味わってなんぼだ。
手を上げて店員を呼ぼうとするとボーグが僕の手を制する。

「ちょっと待て、ワタシが決まっていない」

ボーグはずっとメニューを見たまま唸っている。
後からさきほどの集団が入ってテーブル席を占拠して注文も終わってしまった。
せっかく早く入ったのに、と思うがこればかりは仕方ない。

「多少、高いのでもいいぜ。こっちが払うからさ。」と面倒くさく言うと
「うん、だから悩んでる」と一言。 シバくぞ、オマエ(笑)

もう僕は手を挙げて店員を呼んで自分の分を注文した。
もしかしてスゲエ食べるのかなと思ったら、僕の注文に阿(おもね)ったのか「六白黒豚のヒレランチ」した。
「うわぁ、とんかつ好きなんですよー」と無邪気に言う。「あ、そぅ」とだけ僕は応じる。
表情がないのにニコニコした感じはやめてほしい。要らんから、そういうの。
「なん、君さ、休日とか何ばしよっとか?」
「ん-、釣りかな」
「釣りっち、何釣いよっと?」
「最近はメゴチごたる」
「釣ったさかんはどげんしよっとね?」
「刺身ったい」
「そいば甘醤油で食いよろうも?」
「うん」
「家族で食いよろうも?」
「うん」
「ふーん」

会話はそれ以上続かず。テーブルの上の冷たい茶を飲み干すと同時に頼んでいた定食がやってくる。
僕の頼んだ「六白黒豚ロースランチ」はいうほど大きくないなと思ったが、
これがそういえば黒豚なんだと思うとなかなかのビジュアルである。
この店は揚げ物用の鍋がいくつもあるのだろうか? 衣が剥げているところがない。
結構人気店はお客がガーっとくるとまとめてフライヤーに投げ込むスタイルが多いが、ここはそうではないらしい。
それに鹿児島の黒豚なのだ。きめこまかいパン粉の付き方ではないが、そこはご当地、どうでもいい。

とにかく素材だ。

最初に置かれたつけ皿は二つに区切られている。そこに一つはピンク色の塩が入っている。もう一つはなにも入っていない。
ソースでも七味でもつけて食べればいい。僕はしょうゆを所望する。持ってこられたのは鹿児島の甘醤油。
それじゃないんだよ、田中君。まあいい。容器に入った和からしを付け皿につけて醤油を入れる。そして溶く。
食べ方はまるで刺身のように。もしくは降り注ぐ雨のように。

これは美味い! 醤油も大変な美味。だけど特に付け皿の塩にレモンをかけて、そこにつけると異質の神に逢える!
甘いのだ。ゆっくりと首を回す脂身。レモンのエグ味が塩のミネラルを際立てる。
なあ、知らないと思うけどミネラルは体にストンと落ちるんだ。栄養としてね。
そのミネラルを味わえる。塩味が抵抗する。
そこをかけたレモンが際立てる。一線を引くんだ。おい、そこ「地球=ミネラル」を食べているんだよと。
それにサクサクと反応する衣。パン粉はとくに立ってない。

ロースは脂身だ。かみしめると口の中には脂身が染み出す。
やはり脂身は塩だな。段々と蒸れて衣が柔くなる。
皿の上に金属の網が敷いてあるが、高温でガッツリ揚げてあるから、そこは蒸れてしまう。
低温からしっかり熱を通して、最後の仕上げに高温で衣を揚げてはいないのかな。

おっと、忘れていた。
サイボーグ女は先に野菜とヒレカツを食べ、味噌汁を飲んでから、ご飯に行き着く。
うんうん、と頷きながら箸で口に運んでいる。

「やっぱ、塩がいい」と一言。
「よかったねぇ」とおじさん、シーシーしながら返答。

こんな感じで午後は鹿児島市内を営業廻りをした。ツカレタ。

ポンコ。

  • 六白黒豚ロースランチ 1460円

  • なかなか美味そう

  • 甘醤油なら出してもらえるのとデフォルトとして岩塩

2023/02/24 更新

エリアから探す

すべて

開く

北海道・東北
北海道 青森 秋田 岩手 山形 宮城 福島
関東
東京 神奈川 千葉 埼玉 群馬 栃木 茨城
中部
愛知 三重 岐阜 静岡 山梨 長野 新潟 石川 福井 富山
関西
大阪 京都 兵庫 滋賀 奈良 和歌山
中国・四国
広島 岡山 山口 島根 鳥取 徳島 香川 愛媛 高知
九州・沖縄
福岡 佐賀 長崎 熊本 大分 宮崎 鹿児島 沖縄
アジア
中国 香港 マカオ 韓国 台湾 シンガポール タイ インドネシア ベトナム マレーシア フィリピン スリランカ
北米
アメリカ
ハワイ
ハワイ
グアム
グアム
オセアニア
オーストラリア
ヨーロッパ
イギリス アイルランド フランス ドイツ イタリア スペイン ポルトガル スイス オーストリア オランダ ベルギー ルクセンブルグ デンマーク スウェーデン
中南米
メキシコ ブラジル ペルー
アフリカ
南アフリカ

閉じる

予算

営業時間

ページの先頭へ