mamezo24さんが投稿した長寿庵(東京/中野坂上)の口コミ詳細

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長寿庵中野坂上、西新宿、東中野/そば、うどん

1

  • 昼の点数:4.3

    • ~¥999 / 1人
      • 料理・味 4.6
      • |サービス 3.8
      • |雰囲気 -
      • |CP 3.5
      • |酒・ドリンク -
1回目

2012/07 訪問

  • 昼の点数:4.3

    • [ 料理・味4.6
    • | サービス3.8
    • | 雰囲気-
    • | CP3.5
    • | 酒・ドリンク-
    ~¥999
    / 1人

そばの香り

玄蕎麦の香りは外側に、旨み甘みは内側にあります。

玄蕎麦を挽くと最初に柔らかい内側(更科粉)後ほど外側が出てきます。

玄蕎麦から挽いて手打ちにしたそばはこの両方のバランスがとれています。

これは美味しいです、挽きたて打ち立てですから。

さて玄蕎麦からのそばとは違う秀逸なそばの体系が日本にはあります。

粉で仕入れて製麺する、この製麺は機械でも手打ちでも大きな差は無く機械によって真空の行程があるものはここから除外されるものです。
(そば粉は糊化温度が非常に低く香りが飛散し易いため、茹で上がっても香りを保たせる空気の層が必要、真空にするとこの層が失われます)

粉で仕入れるのがなぜ良いかと言いますと美味しさだけを考えて配合を決めることができるということがあると思います。

玄蕎麦から製麺するなら当然大切な食材余すところ無く使いたいと思うのが当たり前です。

そこにあるのは「ただいかに美味しいそば」ではなく「現にある素材からできる最高の蕎麦」どちらも大変結構なのですが。

この後者の重しを避ける唯一の方法が粉で仕入れを行うことです。

これを「技術の革新と伝統の堅持による軌跡(奇跡)」と私は考えて(笑)います。

「更科粉を多めに使いたい」と思っても玄蕎麦から製麺ならそれは難しいことです。

粉で仕入れるならこれが自在に可能になります。

A産地の更科粉とB産地の2番粉などと指定することさえできます。

大手の製粉会社では必要とされないそば粉を転用(主に乾麺などの原材料)することができます。

100均で十割りそばが105円で売っていたりしませんか?

それは更科粉など上質な部分をとった残り(これもそば粉に変わりありません)が10割で製麺されたものなので嘘はなく・・・悲しい現実です。

そういう流通の出来上がった社会の恩恵と言うと皮肉な感じですがこの環境にあって粉は自由に選ぶことができます。

江戸時代末期から現在に至って変遷を経た中でここを取り入れ実現できた(実現する可能性があった)のが長寿庵さんだったのかなと私は考えています。

実際に食べてみても本当に分かり難いと思います。

味、風味曖昧な部分です。

香り=匂いは誰にも分かり易いことでここが判断の基準にされ易い。

しかし「旨み甘み」これは麺つゆの味旨みに隠れ実は易い分かり難いところです。

旨いのにそれとは気付き難い。

考えるにこんな住宅街の奥で全く商売っ気なく営業して続けていられるのが何よりの証拠(笑)ではないかと。

根強い食通の常連さんが遠くからよくいらっしゃるそうです。

理解できる方の少ないことが心配です。

香りが少ないのは更科粉が多いせいでその分そば自体の旨み甘みが強いわけです。

私はこちらの温かいそばを食べて驚き、いつも堪らなく美味しくて通い続けて食べ歩きもしてやっと理解できてきたところです。

他に無いのですから理解しようがないのかもしれません。

同じように営業されている店舗でも原材料の値上げに伴って質を落とすことが多いそうです。

本当に稀で理解されないお店、心配です。

個人的には行列ができたりしない分だけ有難いのですが、はぁ~社会が・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

いつもはたぬきそばをいただくんですがこの時期ばかりは冷たいそばをいただくことに。

う~ん、思い切って天ざる、んっしまった!

と気が付いたときにはもうできあがっていました(笑)

いえ、これはこれで美味しいんですよしかし新そばの香りを堪能するには海苔の香りがちょいと、まぁいっか立ち直りの早い私は天ざるを楽しませていただきます。

てんぷらがた~っぷりピーマン、ナス、インゲン、椎茸、カボチャ、下敷きになっているのが海老天!デカイ。

ナスの天ぷらって美味いですよね~カボチャも甘くて美味しい。

エビも太くて食べ応えあり。

ビールをいただきながら天ぷらを堪能させてというより貪っていました気が付くと(笑)

美味しいです。

冷たいそばはあまりいただかないので比較はできないんですがそば自体の旨みも強い感じ。

ん~美味いです。

そばつゆの塩分が乗って旨みがぐっとくるこの感覚が堪りません、香りを楽しむのも良いんですがそば自体の味や旨みがしっかりしているそばは本当に良いものです。

この天ざる950円なんですよ安い、これだけ食べ応えがあって美味しくて採算取れるんでしょうか、心配になります。

そば湯はすっきりと薄め、残さずいただいてご馳走様でした~


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

食べている間ずっとそばの風味がします。

適度な太さにサラッとした感触、スパゲティで言うとアルデンテ直後、充分な噛み心地でしっかりそばの風味が感じられる茹で加減。

上品で柔らかい更科粉の風味がよく生かされています。

よくそばの香りが強い弱いと一元的な言い方がされます、私もよくそういう使い方をしてしまいますがこれが実は誤解の元です。

香りが強く質の低いそばがあれば香りが弱く上質なそばもあります。

どちらかと言えば長寿庵さんのそばは後者です。

長寿庵さんのそば粉は更科粉の割合が高い。

更科粉というのはそばを挽くと最初に出てくる一番粉と言われるもので旨みや甘みが強く上質ですが香りは少ない。

後に出てくる粉ほど質が低く香りが強いわけです。

もちろんこれは好みです、香りの強さを優先に求める方には長寿庵さんのそばは向かないかもしれません。


この上質なそばを受ける汁はこの風味が最大限引き出される適度な塩分が与えられ、だしかえしが合わされてから充分に寝かされていたらしく素晴らしく調和しています。

そう調和、美味しい料理には「調和」があります。

音楽で言うならちょっと異質な例えば肉声と楽器が響き合って単体では得られない豊かな音が奏でられるよう。

噛む度にそばの穏やかなしかししっかりした味わいが感じられます。

だしとかえしの調和があってさらに響きあうそばと汁。

食べ歩きを始めて10年ほど経ちます。

その間何軒の蕎麦屋さんにお邪魔したか。

自分ではもう数えられなくて食べログさんに載せている分の分類で64軒だそうです。

64分の1、今まで食べてきたそばの中で長寿庵さんのたぬきそばが私は1番美味しい。

この値段ではとか前置きは必要ありません。

値段など考慮しなくても一番美味い、上質で洗練されています。


今回製麺のことなど伺ってみました。

私は製麺所の番重が全く見当たらないことや、そばの切れ具合つなぎの適切さ不透明感など質、お話をすると粉に思い入れを強くお持ちであること

などから手打ちと判断していました。

確かに均質感が強く出来が良すぎる雰囲気がありますがそれは技術が高いからと単純に考えていました。

ただし手打ちならなぜそれを謳わないのかは不思議に思っていました。

手打ちなのか製麺所なのか?

考えれば大切なことは美味しさであれだけ美味しいそばが作れるならその製麺所は素晴らしいというだけの話大した問題ではないのかもしれません。

しかし機械製麺とだけは思っていませんでした。

私の知っている機械製麺のそばは効率を上げるためなのかつなぎが多めだったり、流通過程で真空包装されてしまったり、真空の工程がある製麺機だったり

どれもそばに透明感が与えられる操作です。

私がよく参考にさせていただくレヴューアーさんの口コミに機械製麺では?という行を見つけて正直驚いていました。

そこでまあ大したことではありませんが(笑)伺ってみました。

手打ちなのか製麺所なのか?

答えは?

これがどちらでもないんです。

機械を使った自家製麺!

お店で機械を設置してらっしゃる。

おそらく20年も昔の機械ですから真空の工程があるはずはなく、人間の手の代わりのような単純なものではないかと想像します。

その機械で毎朝製麺されているそうです。

それでうどんも質が高かったんですね、納得。

本当に美味しい。

これが500円泣かせます。

幸せな時間です。


***********************************

再訪しました。

私の食べ歩き原点のお店です。

仕事の訪問先でたまたま入ったのが最初。

本当に町のそば屋さんという風情で正直全く期待していなかったのが良い方に裏切られ驚いた。

こういうシンプルな出来事だったんですが研究心に火がつきました。

どうして美味しいんだろう?

何度か通い他も食べ歩いて知るほどにその差を理解するようになります。

調べてみると「長寿庵」というブランドは全くの江戸が発祥とされるもののようです。

「長寿庵300年の歴史」

系譜は完全に辿ることができて大元は一人の三河から上京した若者だったという。

そば切りの技術があった若者の成功談をそこにみることができます。

そば粉がどう産地、伝統のという話ではなく職人の技術の体系がその本分であるようです。

もちろん作るのは個人ですからそば粉の選択があれば癖もありおそらく工夫ということもあります。

長寿庵だからどうという話ではないかもしれませんが江戸時代から続く非常に成功した一つの技術の体系が現にあって

お店がある食べてみたら美味しかった(笑)

本当に食べ歩くほどこちらのお店の美味しさを再び知ることになる、非常に不思議な感覚です。


・・・・・・・・・・・・・・・・・

再訪しました。
他で食べ歩くとここのかけそばの美味しさを再認識します。
日本のそば屋は美味しいかけそばを作れなくなった。
悲しい現実を認識します。
更科の上品なおそば、もちろん冷たいそばも美味しいです。
拝見しているとこの暑い時期は冷やしたぬきが大人気のようで注文が続いていました。
熱いのを注文するのは私ぐらい。
美味いです。
こちらでおそばをいただいていると感覚が研ぎ澄まされて余分なものが気になってきます。
タバコの臭いが気になって箸をを止めることしばしば、いえいえ店内で吸われるのは稀ですが
外で吸ってきた臭いも気になってしまいます。
それだけこちらのそばが美味しくどこまででも味わっていると感覚が自然に鋭敏になってきます。
よくできたかけそばは冷たいそばよりもそばの風味がよく分かります。
そばの汁と絶妙のハーモニーで美味いこと、茹で立てのほうれん草が箸休めではありませんが一服の清涼感を与えてくれます。
思わず応援したくなります。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

再訪しました。
実は今朝別の場所でそばを食べ口コミも書いたところです。
美味しいそばってなんだろうと考えるうちに確かめたくなりこちらへまた伺いました。
そばの汁は伝統の作り方をしていると酸味がある程度出てしまいます。
なので実はそのまま食べると酸味がかなり際立った感じになります。
天ぷらには必ず油が含まれていますからこれを合わせることで酸味が中和されバランスのとれた美味しい一皿となります。
天ぷらはそばと非常に相性がいい、って当たり前ですが私はさらにこれが不可欠なものだと思っています。
しかしこれは形の整った天ぷらである必要はなく揚げ玉、天カスで十分なものです。
酸味を中和する「油」が必要なだけです。
関西の方が関東の食を取り沙汰する時に関西では天カスは無料だが関東ではたぬきと銘打って料金を取る「けしからん」とおっしゃいます。賛成です必要なものですから無料がいいかもしれません。
しかしこの方達がこう言う根拠を私は疑っています。
関西のうどんは出汁が強めで塩分が控えめならその汁は味のボケ易いものです。
ボケるというのは旨みが強過ぎて味に締まりがなくなってしまったことを言います。
外食の料理として実は恥ずかしいもののはずですが意外にここが理解されていません。
揚げ玉、天かすは味をボケさせる典型的な具です。
関西のうどんには揚げ玉は合いません、キッパリ
合わないものをただと喜んでいる味盲ゴメンナサイ
揚げ玉を汁にに入れるのは実は関東の食の専売特許なのですが理解してもらえるでしょうか?
天丼が固有なもので美味しいというのと同じ感覚です。

今回もう一つ確認したのが茹で置きのそばは不味い、どう味わってみても茹で立てには敵わないということです。
茹でたばかりのそばには固有の「食味」があります。
造語ですゴメンナサイ「食感と風味のシンフォニー」のことです(笑)
どちらか一方ではなく合わせて感じられる感覚。
茹で置きのそばは実はうどんとあまり違いが感じられません。
太さが違うくらいで均質、そばの風味が感じられない。
今日長寿庵さんでいただいたそばには最後まで食味を感じることができました。
噛む度にそばの味がし風味が感じられる。
決定的な違いです。
巷で出されているチェーン店のそばはこれが皆無、ただのそばの残骸ですからこんなものに人気があるはずがありません。
実はこの食味は温かいそばでこそ感じられるものだと思います。
温かいので香り、味も強く感じられるしどんどん変わってしまうので食感も意識され易いものだと思います。
よく冷たいそばは厳密に批評されるものですがこれが逆で温かいそばこそ批評してほしいものだと私は思います。
すみませんまた熱くなってしまいました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ランチが充実している良いお店です。
カレーまであって色々セットが用意してあります。
天丼、カツ丼、親子丼、カレーとそば、うどん温かいのと冷たいのが選べて1000円以下
住宅街の中でどこから集まってきたのか昼時にはビジネスマンがひしめいています。
私はいつも温かいそばを食べます。
汁はしっかり質の良い出汁が効いていてかえしも秀逸、少し酸味が強めなのも私好み、天ぷらがよく合います。
そばも茹で加減質共に非の打ちどころがない。
良く味わうと質の高さに驚きます。
ごめんなさいこれに気付かない人は少し味覚が鈍いかも。
関東のそば文化そのまま、是非元気に続けてほしいお店です。

2013/11/13 更新

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