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其の人 (男性・静岡県) 認証済
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1回
夜の点数:4.5
昼の点数:4.5
2012/03 訪問
移ろう時代の狭間
昼食にて天丼セット(680円)を頂いた。日曜日でもランチ価格なのがうれしい。天丼はミニではあるものの、深い器なのでご飯量はかなりあった。天種は茄子1、海老2、ししとう1であった。これに茶碗蒸しと汁椀、漬物、苺とオレンジ、春野菜などの炊き合わせ?が付いて非常にボリューム感があった。奇を衒うこともなく、「旨過ぎる」ような味付けでもなく、普通の飽きない美味しさで、価格も手伝って日常的に頂けるような安心感のある内容で、大満足だった。--------------------------------------------------------------------------そろそろ、老舗一歩手前だろう。元は割烹旅館だったという。それがいつしかビジネスホテルが台頭してくるようになって、時代の流れだろうか、寿司割烹にしたのだそうだ。中は広く、二階への階段もあり、昔は旅館だったと言われれば確かにそんな感じだ。よくよく小物を見ると、なかなか良さそうな質の物も見受けられる。子供の頃、家族に連れられて行った寿司屋が実家近くにあった。家族で経営されていて、いつも温かい笑顔で迎えてくれて、成長を見守って頂けていたように思う。成人して、一人で行くようになり、店主も白髪が増えるなど老けこそすれ、温かさは当時のままだった。その店が、自分の飲食店における原点の一つとなった。移ろう時代の狭間で、田舎の家族経営の寿司屋は段々と減って行き、その店も例に漏れなかった。いや、完全には消滅していないが、週末の複数客の予約のみ、となって、行く機会が無くなった。その後、いつもその店の面影を片隅に抱いていたものの、なかなか本当に落ち着ける寿司屋にめぐり合えずに居た。そして、昨年、この店に初めて入った瞬間、デジャヴか何か分からないが、一瞬クラッと来た。あの店と同じ空気だった。そしてすぐ、見つけたと思った。元は旅館であり、レイアウトは全然違うし、色々古めかしくもあるが、空気の温度や湿度というか、感覚的な隙間感があの店と同じだった。ドキドキしてワクワクした。何年も求めたこの居心地に、本当に嬉しくなった。店主は高齢と思うが、背筋はピンとしていて、溌剌とした雰囲気がある。洋食屋ブロンディのご主人もそうだった。中華麺店カネコ本店のご主人も体こそちょっと曲がりがちだが、声の艶と芯は若々しいものだった。こういう主人の店ってのは、自分にとって本当に大事な店だ。奥さんは店のテレビをたまに見ては声に出して笑っていた。どこにも棘が無く、落ち着き、和む。あの店ではオールドの水割りだった。この店にそれは無かったけど、代わりに膳があった。水割りにしてもらって、寿司をやる。酢飯のほのかな甘い後味に、水割りの甘い香りが混じって最高の瞬間。これだこれだと、数年振りの感覚を懐かしんだ。今は月に数回伺っている。私事の都合上、持ち帰りのみにさせてもらうこともあるが、いつでもここの雰囲気と寿司と水割りは、自分の最高の贅沢である。並なら大盛りでも1500円。ランチは680円から。手頃なのも実に良い。移ろう時代の狭間にいる店はこの界隈にもあり、恐らくこちらもその一つであるが、ドンと大きく据えられたこの店の芯は、少なくとも自分の中で揺らぐことは無い。
2012/03/18 更新
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ペット可
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テイクアウト
家族・子供と
デート
女子会
合コン
大人数の宴会
接待
一人で入りやすい
知人・友人と
禁煙 分煙を含む
喫煙可
ワインあり
日本酒あり
焼酎あり
オシャレな空間
カップルシート
カウンター席
ソファー席
座敷
昼食にて天丼セット(680円)を頂いた。日曜日でもランチ価格なのがうれしい。天丼はミニではあるものの、深い器なのでご飯量はかなりあった。天種は茄子1、海老2、ししとう1であった。これに茶碗蒸しと汁椀、漬物、苺とオレンジ、春野菜などの炊き合わせ?が付いて非常にボリューム感があった。奇を衒うこともなく、「旨過ぎる」ような味付けでもなく、普通の飽きない美味しさで、価格も手伝って日常的に頂けるような安心感のある内容で、大満足だった。
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そろそろ、老舗一歩手前だろう。元は割烹旅館だったという。それがいつしかビジネスホテルが台頭してくるようになって、時代の流れだろうか、寿司割烹にしたのだそうだ。中は広く、二階への階段もあり、昔は旅館だったと言われれば確かにそんな感じだ。よくよく小物を見ると、なかなか良さそうな質の物も見受けられる。
子供の頃、家族に連れられて行った寿司屋が実家近くにあった。家族で経営されていて、いつも温かい笑顔で迎えてくれて、成長を見守って頂けていたように思う。成人して、一人で行くようになり、店主も白髪が増えるなど老けこそすれ、温かさは当時のままだった。その店が、自分の飲食店における原点の一つとなった。移ろう時代の狭間で、田舎の家族経営の寿司屋は段々と減って行き、その店も例に漏れなかった。いや、完全には消滅していないが、週末の複数客の予約のみ、となって、行く機会が無くなった。その後、いつもその店の面影を片隅に抱いていたものの、なかなか本当に落ち着ける寿司屋にめぐり合えずに居た。
そして、昨年、この店に初めて入った瞬間、デジャヴか何か分からないが、一瞬クラッと来た。あの店と同じ空気だった。そしてすぐ、見つけたと思った。元は旅館であり、レイアウトは全然違うし、色々古めかしくもあるが、空気の温度や湿度というか、感覚的な隙間感があの店と同じだった。ドキドキしてワクワクした。何年も求めたこの居心地に、本当に嬉しくなった。
店主は高齢と思うが、背筋はピンとしていて、溌剌とした雰囲気がある。洋食屋ブロンディのご主人もそうだった。中華麺店カネコ本店のご主人も体こそちょっと曲がりがちだが、声の艶と芯は若々しいものだった。こういう主人の店ってのは、自分にとって本当に大事な店だ。奥さんは店のテレビをたまに見ては声に出して笑っていた。どこにも棘が無く、落ち着き、和む。
あの店ではオールドの水割りだった。この店にそれは無かったけど、代わりに膳があった。水割りにしてもらって、寿司をやる。酢飯のほのかな甘い後味に、水割りの甘い香りが混じって最高の瞬間。これだこれだと、数年振りの感覚を懐かしんだ。
今は月に数回伺っている。私事の都合上、持ち帰りのみにさせてもらうこともあるが、いつでもここの雰囲気と寿司と水割りは、自分の最高の贅沢である。並なら大盛りでも1500円。ランチは680円から。手頃なのも実に良い。移ろう時代の狭間にいる店はこの界隈にもあり、恐らくこちらもその一つであるが、ドンと大きく据えられたこの店の芯は、少なくとも自分の中で揺らぐことは無い。