「蕎麦粉をブレンドする」と聞くと、
蕎麦粉をブレンドするより1種類の「○○地方蕎麦粉100%」と言う方が
美味しそうと感じてしまうかも知れません。
しかし実際は1種類の蕎麦粉を選ぶよりも、
数種類の蕎麦粉をどれぐらいブレンドするかを決める方がはるかに難しいです。
ブレンドの長所は、味、粘り気(ツルツル感)、香りを
それぞれの特徴を持った蕎麦に担当してもらえば良いことです。
掛け合わせによってそれら全てを網羅した蕎麦ができるからです。
ただその割合を決めるのは職人の知識と感覚が勝負の難しいことです。
ブレンドを間違えれば、非常においしくない蕎麦、つながらない蕎麦ができてしまいます。
私の店は「ブレンドしています」と堂々と言っている蕎麦屋は私は好きです。
単一地域を指定している(ブレンドをしない1種類の)蕎麦屋は、
おいしい蕎麦を出し続けるのは非常に難しいです。
例え、そういう蕎麦粉が手に入っても、
通年では同じレベルの味の蕎麦を提供し続けることは困難です。
1種類を使用しているおいしい蕎麦屋の見分け方は、
店に石臼(製粉機)があるかどうかです。
もし製粉機がなければ、蕎麦粉の保存管理にかかってきます。
または製粉所の質で変わってきます。
つまり外的な要因に蕎麦の味が左右されてしまいます。
これは蕎麦屋としては非常にリスクが大きいことです。
「新そばは美味しいけど、夏頃の蕎麦は冷たくて味がない」と言う蕎麦屋は
蕎麦粉管理、製粉所に味が左右されてしまいます。
だから冷たくして、香りや味を誤魔化す、ということをしがちです。
もちろん1種類でもブレンドでもいつでも美味しければそれで良いんですが。
現状では、そんなに気にしていない蕎麦屋さんの方が多いので、
参考になれば。